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  • 特許-ゴルフボール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ゴルフボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 37/00 20060101AFI20240910BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20240910BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20240910BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20240910BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20240910BHJP
   C08K 5/36 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A63B37/00 616
A63B37/00 538
C08L9/00
C08L7/00
C08K5/09
C08K5/13
C08K5/36
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020212988
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022099170
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】永倉 光
(72)【発明者】
【氏名】志賀 一喜
(72)【発明者】
【氏名】林 界
(72)【発明者】
【氏名】重光 貴裕
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-31038(JP,A)
【文献】特開2014-195563(JP,A)
【文献】特開2007-119781(JP,A)
【文献】米国特許第7429221(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00
C08L 9/00
C08L 7/00
C08K 5/09
C08K 5/13
C08K 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと前記コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3~8のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、および(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物を含有するコア用ゴム組成物から形成されていることを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
前記コア用ゴム組成物は、(a)基材ゴム100質量部に対して、(d)前記p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物を0.1~2.0質量部含有する請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
(d)前記p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物が、下記一般式(1)で表されるものである請求項1または2に記載のゴルフボール。
【化1】
[一般式(1)において、Rは、アルコキシ基、ハロゲン基、炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、またはヒドロキシ基を表す。]
【請求項4】
前記コア用ゴム組成物は、さらに、(e)有機硫黄化合物を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載のゴルフボール。
【請求項5】
(e)前記有機硫黄化合物が、ハロゲン基で置換されたチオフェノール類、ハロゲン基で置換されたチオフェノール類の金属塩、ハロゲン基で置換されたジフェニルジスルフィド類、チアゾール類、およびチアゾール類の金属塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項4に記載のゴルフボール。
【請求項6】
前記コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs-Ho)が、ショアC硬度で、25以下である請求項1~5のいずれか1項に記載のゴルフボール。
【請求項7】
前記コアの表面硬度(Hs)とコアの中心からコア半径の50%地点の硬度(H50)との硬度差(Hs-H50)が、ショアC硬度で、-10以上、12以下である請求項1~6のいずれか1項に記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールに関するものであり、より詳細には、ゴルフボールのコアの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールのコアを形成する材料として、反発性が良い点から、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤等を含有するゴム組成物が広く使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、シス-1,4-結合を60重量%以上含有し、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が40以上であるポリブタジエンと、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、有機過酸化物と、モノフェノール系老化防止剤とを含むゴム組成物の加熱成形物を構成要素とすることを特徴とするゴルフボールが開示されている。
【0004】
特許文献2には、ゴム組成物を加硫して形成されるコアと、ポリウレタン材料を主材として形成されるカバーとを具備するゴルフボールにおいて、上記コアのゴム組成物が、ゴム基材100質量部、不飽和カルボン酸又はその金属塩10~40質量部、パーオキシケタール及びモノフェノール系老化防止剤を含有し、かつ上記モノフェノール系老化防止剤(b)に対する上記パーオキシケタール(a)の配合比が質量比で(a)/(b)=5~50であることを特徴とするゴルフボールが開示されている。
【0005】
特許文献3~5には、コアの硬度分布を負にするために添加される酸化防止剤として、例えば、2-t-ブチル-4-メトキシフェノール、3-t-ブチル-4-メトキシフェノール、3-t-オクチル-4-メトキシフェノール、2-メチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェノール、2-メチル-4-メトキシフェノールなどが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-121815号公報
【文献】特開2011-31038号公報
【文献】特開2009-034518号公報
【文献】特開2009-034519号公報
【文献】特開2015-154927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゴルフボールのコアの反発性を高めて、ドライバーショットの飛距離を大きくすることが行われている。しかし、高反発化されたコアは硬く、ドライバーショットにおける打球感が悪くなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、コアを改良することにより、ドライバーショットにおける飛距離を大きくしつつ、打球感に優れるゴルフボールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のゴルフボールは、コアと前記コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3~8のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、および(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物を含有するコア用ゴム組成物から形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明は、コア用ゴム組成物に(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物を配合することにより、コアの硬度分布を外剛内柔としつつコア表面付近の硬度を一定とすることができる。その結果、本発明のゴルフボールは、ドライバーショットの飛距離を大きくしつつ、良好な打球感を得ることができる。
【0011】
本発明において、コアの硬度分布が制御される理由は、必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。コア用ゴム組成物の架橋工程では、(c)架橋開始剤の開裂によって発生するラジカルが(a)基材ゴムの水素を引き抜くことで(b)共架橋剤のグラフト開始点が生成し、そこから重合と架橋が始まる。本発明で使用する(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物は、重合禁止剤またはラジカルスカベンジャーとしての効果を発現するものと考えられる。本発明で使用するコア用ゴム組成物が、(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物を含有すると、特にコア表面近傍の架橋反応に関与するラジカルを安定化する。その結果、コア表面近傍では、架橋反応が進行しにくくなり、コア表面付近の硬度が上がらず一定となると考えられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドライバーショットにおける飛距離を大きくしつつ、打球感に優れるゴルフボールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のゴルフボールは、コアと前記コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3~8のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、および(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物を含有するコア用ゴム組成物から形成されていることを特徴とする。
【0015】
[(a)基材ゴム]
(a)前記基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができる。(a)前記基材ゴムとしては、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、反発に有利なシス-1,4-結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。
【0016】
反発性がより高いコアが得られる観点から、基材ゴム中におけるハイシスポリブタジエンの含有率は、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。(a)基材ゴムが、ハイシスポリブタジエンのみからなることも好ましい。
【0017】
前記ハイシスポリブタジエンは、1,2-ビニル結合の含有量が2.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。1,2-ビニル結合の含有量が多すぎると反発性が低下する場合がある。
【0018】
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が、1,4-シス結合が高含量、1,2-ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
【0019】
前記ハイシスポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、30以上であることが好ましく、より好ましくは32以上、さらに好ましくは35以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは120以下、さらに好ましくは100以下、最も好ましくは55以下である。なお、本発明でいうムーニー粘度(ML1+4(100℃))とは、JIS K6300に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、100℃の条件下にて測定した値である。
【0020】
前記ハイシスポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、6.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.0以下である。ハイシスポリブタジエンの分子量分布(Mw/Mn)が小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下するおそれがある。なお、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、「HLC-8120GPC」)により、検知器として示差屈折計を用いて、カラム:GMHHXL(東ソー社製)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフランの条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した値である。
【0021】
[(b)共架橋剤]
前記コア用ゴム組成物に使用される(b)炭素数が3~8のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、共架橋剤としてゴム組成物に配合されるものであり、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有する。
【0022】
前記炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等を挙げることができる。
【0023】
前記炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの一価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属イオン;アルミニウムなどの三価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。前記金属成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、前記金属成分としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属が好ましい。炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸の二価の金属塩を用いることにより、ゴム分子間に金属架橋が生じやすくなるからである。特に、二価の金属塩としては、得られるゴルフボールの反発性が高くなるということから、アクリル酸亜鉛が好適である。なお、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0024】
前記(b)炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、25質量部以上がさらに好ましく、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましい。(b)炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の含有量が15質量部未満では、コア用ゴム組成物から形成されるコアを適当な硬さとするために、後述する(c)架橋開始剤の量を増加しなければならず、得られるゴルフボールの反発性が低下する傾向がある。一方、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の含有量が50質量部を超えると、コア用ゴム組成物から形成されるコアが硬くなりすぎて、得られるゴルフボールの打球感が低下するおそれがある。
【0025】
[(c)架橋開始剤]
前記コア用ゴム組成物に使用される(c)架橋開始剤は、(a)基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。(c)架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。前記有機過酸化物は、具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。
【0026】
前記(c)架橋開始剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、0.7質量部以上がさらに好ましく、5.0質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下がさらに好ましい。架橋開始剤の含有量が0.2質量部未満では、コア用ゴム組成物から形成されるコアが柔らかくなりすぎて、得られるゴルフボールの反発性が低下する傾向があり、5.0質量部を超えると、コア用ゴム組成物から形成されるコアを適切な硬さにするために、前述した(b)共架橋剤の使用量を減少する必要があり、得られるゴルフボールの反発性が不足したり、耐久性が悪くなるおそれがある。
【0027】
[(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物]
(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物は、モノフェノールのp位のみに置換基を有する化合物である。前記p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物は、フェノールが有する1個のヒドロキシ基に対するp位に置換基が直接結合している化合物であり、前記ヒドロキシ基のo位およびm位には置換基を有しない。前記p位の置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン基、炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。
【0028】
前記(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物としては、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
【0029】
【化1】
[一般式(1)において、Rは、アルコキシ基、ハロゲン基、炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、またはヒドロキシ基を表す。]
【0030】
前記アルコキシ基としては、例えば、炭素数が1以上のアルキル基が酸素原子に結合した基を挙げることができる。前記アルコキシ基の炭素数は、1以上であれば特に限定されないが、1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましく、1~8であることがさらに好ましい。前記アルコキシ基のアルキル部分の構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。前記アルコキシ基のアルキル部分の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基等の直鎖状または分岐鎖状アルキル基や、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の環状アルキル基を挙げることができる。前記アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n-、イソ-構造を含む)、ブトキシ基(n-、イソ-、sec-、tert-、シクロ-構造を含む)、ペンチルオキシ基(n-、イソ-、sec-、tert-、シクロ-構造を含む)、ヘキシルオキシ基(n-、イソ-、sec-、tert-、シクロ-構造を含む)、ヘプチルオキシ基(n-、イソ-、sec-、tert-、シクロ-構造を含む)、オクチルオキシ基(n-、イソ-、sec-、tert-、シクロ-構造を含む)等を挙げることができる。なお、前記アルコキシ基は、置換基(例えば、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基など)を有してもよい。
【0031】
前記ハロゲン基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。
【0032】
前記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
【0033】
前記アルキル基の炭素数は、1以上であれば特に限定されないが、1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましく、1~8であることがさらに好ましい。前記アルキル基の構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基や、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の環状アルキル基を挙げることができる。なお、前記アルキル基は、置換基(例えば、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基など)を有してもよい。
【0034】
前記アルケニル基の炭素数は、2以上であれば特に限定されないが、2~20であることが好ましく、2~10であることがより好ましく、2~8であることがさらに好ましい。前記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基などを挙げることができる。なお、前記アルケニル基は、置換基(例えば、アルキル基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基など)を有してもよい。
【0035】
前記アルキニル基の炭素数は、2以上であれば特に限定されないが、2~20であることが好ましく、2~10であることがより好ましく、2~8であることがさらに好ましい。前記アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基などを挙げることができる。なお、前記アルキニル基は、置換基(例えば、アルキル基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基など)を有してもよい。
【0036】
前記アラルキル基の炭素数は、7以上であれば特に限定されないが、7~20であることが好ましく、7~10であることがより好ましく、7~8であることがさらに好ましい。前記アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルブチル基、α―クミル基などを挙げることができる。なお、前記アラルキル基は、置換基(例えば、アルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基など)を有してもよい。
【0037】
前記アリール基の炭素数は、6以上であれば特に限定されないが、6~20であることが好ましく、6~15であることがより好ましく、6~10であることがさらに好ましい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。なお、前記アリール基は、置換基(例えば、アルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基など)を有してもよい。
【0038】
一般式(1)において、前記Rで表される置換基としては、アルコキシ基が好ましく、炭素数1~8のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が特に好ましい。
【0039】
前記(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物は、単独でもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
前記(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上がさらに好ましく、2.0質量部以下が好ましく、1.8質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下がさらに好ましい。前記(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物の配合量が0.1質量部未満であると、(d)p位のみに置換基を有するモノフェノール化合物の添加効果が小さく、2.0質量部を超えると、コアが柔らかくなりすぎるからである。コアが柔らかくなりすぎると、ドライバーショットにおける飛距離が低下する傾向がある。
【0041】
前記成分(b)と成分(d)の質量比(成分(b)/成分(d))は、18.5以上が好ましく、20以上がより好ましく、25以上がさらに好ましく、300以下が好ましく、150以下がより好ましく、100以下がさらに好ましい。前記質量比(成分(b)/成分(d))が前記範囲内であれば、打球感を維持しつつ高飛距離化を達成できるからである。
【0042】
前記成分(c)と成分(d)の質量比(成分(c)/成分(d))は、0.4以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましく、10.0以下が好ましく、6.0以下がより好ましく、5.0以下がさらに好ましい。前記質量比(成分(c)/成分(d))が前記範囲内であれば、打球感を維持しつつ高飛距離化を達成できるからである。
【0043】
[(e)有機硫黄化合物]
前記コア用ゴム組成物は、さらに(e)有機硫黄化合物を含有することが好ましい。(e)有機硫黄化合物を含有することにより、得られるコアの反発性がより高くなる。
【0044】
前記(e)有機硫黄化合物としては、チオール類(チオフェノール類、チオナフトール類)、ポリスルフィド類、チアゾール類、チウラム類、チオカルボン酸類、ジチオカルボン酸類、スルフェンアミド類、および、ジチオカルバミン酸塩類よりなる群から選択される少なくとも一種の化合物が挙げられる。
【0045】
チオール類としては、例えば、チオフェノール類、チオナフトール類が挙げられる。前記チオフェノール類としては、例えば、チオフェノール;4-フルオロチオフェノール、2,4-ジフルオロチオフェノール、2,5-ジフルオロチオフェノール、2,6-ジフルオロチオフェノール、2,4,5-トリフルオロチオフェノール、2,4,5,6-テトラフルオロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノールなどのフルオロ基で置換されたチオフェノール類;2-クロロチオフェノール、4-クロロチオフェノール、2,4-ジクロロチオフェノール、2,5-ジクロロチオフェノール、2,6-ジクロロチオフェノール、2,4,5-トリクロロチオフェノール、2,4,5,6-テトラクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールなどのクロロ基で置換されたチオフェノール類;4-ブロモチオフェノール、2,4-ジブロモチオフェノール、2,5-ジブロモチオフェノール、2,6-ジブロモチオフェノール、2,4,5-トリブロモチオフェノール、2,4,5,6-テトラブロモチオフェノール、ペンタブロモチオフェノールなどのブロモ基で置換されたチオフェノール類;4-ヨードチオフェノール、2,4-ジヨードチオフェノール、2,5-ジヨードチオフェノール、2,6-ジヨードチオフェノール、2,4,5-トリヨードチオフェノール、2,4,5,6-テトラヨードチオフェノール、ペンタヨードチオフェノールなどのヨード基で置換されたチオフェノール類;または、これらの金属塩が挙げられる。金属塩としては、好ましくは2価の金属塩、より好ましくは亜鉛塩である。
【0046】
前記チオナフトール類(ナフタレンチオール類)としては、2-チオナフトール、1-チオナフトール、1-クロロ-2-チオナフトール、2-クロロ-1-チオナフトール、1-ブロモ-2-チオナフトール、2-ブロモ-1-チオナフトール、1-フルオロ-2-チオナフトール、2-フルオロ-1-チオナフトール、1-シアノ-2-チオナフトール、2-シアノ-1-チオナフトール、1-アセチル-2-チオナフトール、2-アセチル-1-チオナフトール、またはこれらの金属塩が挙げられる。金属塩としては、好ましくは2価の金属塩、より好ましくは亜鉛塩である。
【0047】
ポリスルフィド類とは、ポリスルフィド結合を有する有機硫黄化合物であり、例えば、ジスルフィド類、トリスルフィド類、テトラスルフィド類が挙げられる。前記ポリスルフィド類としては、ジフェニルポリスルフィド類が好ましい。
【0048】
ジフェニルポリスルフィド類としては、ジフェニルジスルフィドの他;ビス(4-フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5-ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6-ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6-テトラフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4-クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5-ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6-ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6-テトラクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4-ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5-ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6-ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6-テトラブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4-ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5-ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6-ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6-テトラヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタヨードフェニル)ジスルフィド等のハロゲン基で置換されたジフェニルジスルフィド類;ビス(4-メチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリメチルフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタメチルフェニル)ジスルフィド、ビス(4-t-ブチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリ-t-ブチルフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタ-t-ブチルフェニル)ジスルフィド等のアルキル基で置換されたジフェニルジスルフィド類;などが挙げられる。
【0049】
チアゾール類としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、2-(N,N-ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4-メチル-2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-(4-メチル-2-ベンゾチアゾリル)ジスルフィド、5-クロロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-6-ニトロベンゾチアゾール、2-メルカプト-ナフト[1,2-d]チアゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾチアゾール、6-アミノ-2-メルカプトベンゾチアゾール、またはこれらの金属塩が挙げられる。
【0050】
チウラム類としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラムモノスルフィド類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラムテトラスルフィド類が挙げられる。チオカルボン酸類としては、例えば、ナフタレンチオカルボン酸が挙げられる。ジチオカルボン酸類としては、例えば、ナフタレンジチオカルボン酸が挙げられる。スルフェンアミド類としては、例えば、N-シクロへキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドが挙げられる。
【0051】
前記(e)有機硫黄化合物としては、ハロゲン基で置換されたチオフェノール類、ハロゲン基で置換されたチオフェノール類の金属塩、ハロゲン基で置換されたジフェニルジスルフィド類、チアゾール類、およびチアゾール類の金属塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0052】
前記(e)有機硫黄化合物は、単独もしくは二種以上を混合して使用することができる。
【0053】
前記(e)有機硫黄化合物の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下、さらに好ましくは2.0質量部以下である。(e)有機硫黄化合物の含有量が0.05質量部未満では、(e)有機硫黄化合物による効果が小さくなるおそれがある。また、(e)有機硫黄化合物の含有量が5.0質量部を超えると、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなって、反発性が低下するおそれがある。
【0054】
[(f)金属化合物]
前記コア用ゴム組成物は、共架橋剤として炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸のみを含有する場合、さらに(f)金属化合物を含有することが好ましい。コア用ゴム組成物中で炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸を金属化合物で中和することにより、共架橋剤として炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸の金属塩を使用する場合と実質的に同様の効果が得られるからである。なお、共架橋剤として、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸とその金属塩とを併用する場合においては、任意成分として、(f)金属化合物を用いてもよい。
【0055】
前記(f)金属化合物としては、コア用ゴム組成物中において(b)炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸を中和することができるものであれば、特に限定されない。前記(f)金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。前記(f)金属化合物として好ましいのは、二価金属化合物であり、より好ましくは亜鉛化合物である。二価金属化合物は、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸と反応して、金属架橋を形成するからである。また、亜鉛化合物を用いることにより、反発性の高いゴルフボールが得られる。
【0056】
前記(f)金属化合物は単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。また、前記(f)金属化合物の含有量は、所望とする(b)炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸の中和度に応じて、適宜調整すればよい。
【0057】
[(g)カルボン酸および/またはその塩]
前記コア用ゴム組成物は(g)カルボン酸および/またはその塩を含有してもよい。前記(g)カルボン酸および/またはその塩を含有することで、得られる球状コアの外剛内柔度合を大きくできる。前記(g)カルボン酸および/またはその塩としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸および芳香族カルボン酸塩が挙げられる。前記(g)カルボン酸および/または塩は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
【0058】
前記カルボン酸の炭素数は、1以上が好ましく、30以下が好ましく、より好ましくは18以下、さらに好ましくは13以下である。なお、(g)カルボン酸および/またはその塩には、(b)共架橋剤として使用する炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は含まれないものとする。
【0059】
前記カルボン酸および/またはその塩としては、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸など飽和脂肪族カルボン酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸もしくはアラキドン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸;または、安息香酸、ブチル安息香酸、アニス酸(メトキシ安息香酸)、ジメトキシ安息香酸、トリメトキシ安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸、クロロ安息香酸、ジクロロ安息香酸、トリクロロ安息香酸、アセトキシ安息香酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、フランカルボン酸もしくはテノイル酸などの芳香族カルボン酸;あるいは、これらカルボン酸のカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩が好ましい。
【0060】
前記(g)カルボン酸および/またはその塩の含有量は、例えば、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であって、40質量部以下が好ましく、より好ましくは35質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下である。(g)カルボン酸および/またはその塩の含有量が0.5質量部以上であれば、球状コアの外剛内柔度合が大きくなり、40質量部以下であれば、コア硬度の低下が抑制され、反発性が良好となる。
【0061】
本発明に用いられるコア用ゴム組成物は、必要に応じて、顔料、重量調整などのための充填剤、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。
【0062】
コア用ゴム組成物に用いる充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの重量を調整するための重量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤として特に好ましいのは、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、加硫助剤として機能して、コア全体の硬度を高めるものと考えられる。前記充填剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。充填剤の含有量が0.5質量部未満では、重量調整が難しくなり、30質量部を超えるとゴム成分の重量分率が小さくなり反発性が低下する傾向があるからである。
【0063】
前記しゃく解剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
【0064】
[コア]
本発明のゴルフボールが有するコアは、前述のコア用ゴム組成物を混合、混練し、金型内で成形することにより得ることができる。混練の方法は、特に限定されず、例えば、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。この際の条件は、特に限定されないが、通常は130℃~200℃、圧力2.9MPa~11.8MPaで10分間~60分間で行われる。例えば、前記コア用ゴム組成物を130℃~200℃で10分間~60分間加熱するか、あるいは、130℃~150℃で20分間~40分間加熱した後、160℃~180℃で5分間~15分間の2段階で加熱することが好ましい。
【0065】
本発明のゴルフボールのコアは、コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で、60以上であることが好ましく、62以上であることがより好ましく、65以上であることがさらに好ましく、95以下であることが好ましく、92以下であることがより好ましく、90以下であることがさらに好ましい。前記コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で60以上であれば、コアの反発性がより良好になる。また、前記コアの表面硬度(Hs)が、ショアC硬度で95以下であれば、ドライバーショットをした時の打球感がより向上する。
【0066】
前記コアの中心硬度(H0)は、ショアC硬度で、40以上であることが好ましく、45以上であることがより好ましく、50以上であることがさらに好ましい。コアの中心硬度(H0)がショアC硬度で40以上であれば、軟らかくなりすぎず、反発性が良好となる。また、コアの中心硬度(H0)は、ショアC硬度で80以下が好ましく、78以下であることがより好ましく、75以下であることがさらに好ましい。前記中心硬度(H0)がショアC硬度で80以下であれば、硬くなり過ぎず、打球感が良好となる。
【0067】
本発明のゴルフボールのコアは、外剛内柔の構造を有しつつ表面付近の硬度が一定であることを特徴とする。
【0068】
前記コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(H0)との硬度差(Hs-H0)は、ショアC硬度で、0以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、4以上であることがさらに好ましく、25以下であることが好ましく、22以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(H0)との硬度差(Hs-H0)が前記範囲内であれば、打球感を維持しつつ高飛距離を達成できるからである。
【0069】
前記コアの中心からコア半径の50%地点の硬度(H50)は、ショアC硬度で、65以上であることが好ましく、68以上であることがより好ましく、70以上であることがさらに好ましい。また、コアの中心からコア半径の50%地点の硬度(H50)は、ショアC硬度で85以下が好ましく、82以下であることがより好ましく、80以下であることがさらに好ましい。コアの中心からコア半径の50%地点の硬度(H50)が、前記範囲内であれば、圧縮変形量を大きくすることなく、打球感を維持しやすくなるからである。
【0070】
前記コアの表面硬度(Hs)とコアの中心からコア半径の50%地点の硬度(H50)との硬度差(Hs-H50)は、ショアC硬度で、-10以上であることが好ましく、-7以上であることがより好ましく、-5以上であることがさらに好ましく、12以下であることが好ましく、11.5以下であることがより好ましく、11以下であることがさらに好ましい。コアの表面硬度(Hs)とコアの中心からコア半径の50%地点の硬度(H50)との硬度差(Hs-H50)が前記範囲内であれば、圧縮変形量を大きくすることなく、打球感を維持しやすくなるからである。
【0071】
前記コアの表面硬度(Hs)とコアの中心からコア半径の75%地点の硬度(H75)との硬度差(Hs-H75)は、ショアC硬度で、-10以上であることが好ましく、-7以上であることがより好ましく、-5以上であることがさらに好ましく、15以下であることが好ましく、13以下であることがより好ましく、11以下であることがさらに好ましい。コアの表面硬度(Hs)とコアの中心からコア半径の75%地点の硬度(H75)との硬度差(Hs-H75)が前記範囲内であれば、圧縮変形量を大きくすることなく、打球感を維持しやすくなるからである。
【0072】
前記コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(H0)との硬度差(Hs-H0)の後述するコア圧縮変形量SCHに対する比((Hs-H0)/SCH)は、7.0以下が好ましく、6.0以下がより好ましく、5.0以下がさらに好ましく、-5.0以上が好ましく、-3.0以上がより好ましく、-1.0以上がさらに好ましい。前記コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(H0)との硬度差(Hs-H0)の後述するコア圧縮変形量SCHに対する比((Hs-H0)/SCH)が、前記範囲内であれば、圧縮変形量を大きくすることなく、打球感を改善しやすくなる。
【0073】
本発明のゴルフボールのコアの直径は、34.8mm以上であることが好ましく、36.8mm以上であることがより好ましく、38.8mm以上であることがさらに好ましく、42.2mm以下であることが好ましく、41.8mm以下であることがより好ましく、41.2mm以下であることがさらに好ましく、40.8mm以下であることが最も好ましい。前記コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、反発性がより良好となる。一方、コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。
【0074】
前記コアは、直径34.8mm~42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にコアが縮む量)が、2.0mm以上であることが好ましく、2.3mm以上であることがより好ましく、2.5mm以上であることがさらに好ましく、5.0mm以下が好ましく、4.5mm以下であることがより好ましく、4.3mm以下であることがさらに好ましい。前記圧縮変形量が、2.0mm以上であれば打球感がより良好となり、5.0mm以下であれば、反発性がより良好となる。
【0075】
[カバー]
本発明のゴルフボールのカバーは、樹脂成分を含有するカバー用組成物から形成される。前記樹脂成分としては、例えば、アイオノマー樹脂、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱ケミカル(株)から商品名「テファブロック」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーなどが挙げられる。
【0076】
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、オレフィンと炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、オレフィンと炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸とα,β-不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、あるいは、これらの混合物を挙げることができる。前記オレフィンとしては、炭素数が2~8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンが好ましい。前記炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β-不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。これらのなかでも、前記アイオノマー樹脂としては、エチレン-(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物、エチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。
【0077】
本発明のゴルフボールのカバーを構成するカバー用組成物は、樹脂成分として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーまたはアイオノマー樹脂を含有することが好ましい。アイオノマー樹脂を使用する場合には、熱可塑性スチレンエラストマーを併用することも好ましい。カバー用組成物の樹脂成分中のポリウレタンまたはアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0078】
前記カバー用組成物は、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
【0079】
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下である。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
【0080】
前記カバー用組成物のスラブ硬度は、所望のゴルフボールの性能に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、飛距離を重視するディスタンス系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で50以上が好ましく、55以上がより好ましく、60以上がさらに好ましく、80以下が好ましく、70以下がより好ましく、68以下がさらに好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度を50以上にすることにより、ドライバーショットおよびアイアンショットにおいて、高打出角で低スピンのゴルフボールが得られ、飛距離が向上する。また、カバー用組成物のスラブ硬度を80以下とすることにより、耐久性に優れたゴルフボールが得られる。また、コントロール性を重視するスピン系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で、50未満が好ましく、20以上が好ましく、25以上がより好ましく、30以上がさらに好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度が、ショアD硬度で50未満であれば、アプローチショットのスピン量が高くなり、グリーン上で止まりやすいゴルフボールが得られる。また、スラブ硬度を20以上とすることにより、耐擦過傷性が向上する。複数のカバー層の場合は、各層を構成するカバー用組成物のスラブ硬度は、同一あるいは異なっても良い。
【0081】
本発明のゴルフボールのカバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、あるいは、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
【0082】
圧縮成形法によりカバーを成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。カバー用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、-20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形してカバーに成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、-20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一なカバー厚みを有するゴルフボールカバーを成形できる。
【0083】
カバー用組成物を射出成形してカバーを成形する場合、押出して得られたペレット状のカバー用組成物を用いて射出成形しても良いし、あるいは、基材樹脂成分や顔料などのカバー用材料をドライブレンドして直接射出成形してもよい。カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、9MPa~15MPaの圧力で型締めした金型内に、200℃~250℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒~5秒で注入し、10秒~60秒間冷却して型開きすることにより行う。
【0084】
カバーを成形する際には、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。カバーに形成されるディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0085】
前記カバーの厚みは、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。カバーの厚みが4.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、さらに好ましくは0.8mm以上である。カバーの厚みが0.3mm未満では、カバーの耐久性や耐摩耗性が低下する場合がある。複数のカバー層の場合は、複数のカバー層の合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
【0086】
前記カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が50μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
【0087】
[ゴルフボール]
本発明のゴルフボールの構造は、コアと、前記コアを被覆する一層以上のカバーとを有するものであれば、特に限定されない。図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール1は、球状コア2と、球状コア2を被覆するカバー3とを有する。このカバーの表面には、多数のディンプル31が形成されている。このゴルフボール1の表面のうち、ディンプル31以外の部分は、ランド32である。このゴルフボール1は、カバー3の外側にペイント層およびマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
【0088】
前記コアの形状は、球状であることが好ましい。また、前記コアの構造は、単層構造と多層構造のいずれもよいが、単層構造であることが好ましい。単層構造のコアは、多層構造の界面における打撃時のエネルギーロスがなく、反発性が向上するからである。また、カバーは、一層以上の構造であればよく、単層構造、あるいは、二層以上の多層構造を有していてもよい。本発明のゴルフボールとしては、例えば、コアと前記コアを被覆するように配設された単層のカバーとからなるツーピースゴルフボール;コアと前記コアを被覆するように配設された二層以上のカバーを有するマルチピースゴルフボール(スリーピースゴルフボールを含む);コアと前記コアの周囲に設けられた糸ゴム層と、前記糸ゴム層を被覆するように配設されたカバーとを有する糸巻きゴルフボールなどを挙げることができる。上記いずれの構造のゴルフボールにも本発明を好適に利用できる。
【0089】
本発明のゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、本発明のゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
【0090】
本発明のゴルフボールは、直径40mm~45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.3mm以上、さらに好ましくは2.5mm以上であり、4.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.5mm以下、さらに好ましくは3.3mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を4.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
【実施例
【0091】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0092】
[評価方法]
(1)圧縮変形量
コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にコアまたはゴルフボールが縮む量)を測定した。
【0093】
(2)コア硬度(ショアC硬度)
コアの表面部において測定した硬度をコア表面硬度とした。また、コアを半球状に切断し、切断面の中心、および、中心から所定の距離において硬度を測定した。なお、コア硬度は、コア断面の中心から所定の距離の4点で硬度を測定して、これらを平均することにより算出した。硬度は、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて測定した。検出器は、「ShoreC」を用いた。
【0094】
(3)スラブ硬度(ショアD硬度)
カバー用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて硬度を測定した。検出器は、「Shore D」を用いた。
【0095】
(4)ドライバーショットにおける打球感
アマチュアゴルファー(上級者)10人により、ドライバーを用いた実打テストを行って、各人の打撃時のフィーリングを下記基準で評価させた。10人の評価のうち、最も多い評価をそのゴルフボールの打球感とした。
評価基準
◎:衝撃が少なくてフィーリングが良い。
〇:衝撃があるがフィーリングが良い方である。
△:普通。
【0096】
(5)ドライバーショットにおける飛距離
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットM/Cに、メタルヘッド製W#1ドライバー(住友ゴム工業株式会社製、XXIO S ロフト11°)を取り付け、ヘッドスピード40m/sでゴルフボールを打撃し、その飛距離(発射始点から静止地点までの距離)を測定した。測定は、各ゴルフボールについて12回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。なお、表1の各ゴルフボールの飛距離は、ゴルフボールNo.9との差で示し;表2の各ゴルフボールの飛距離は、ゴルフボールNo.18との差で示し;表3のゴルフボールNo.19~20および23~26の飛距離は、ゴルフボールNo.9との差で示し、ゴルフボールNo.21~22の飛距離は、ゴルフボールNo.18との差で示した。表4の各ゴルフボールの飛距離は、ゴルフボールNo.35との差で示し;表5の各ゴルフボールの飛距離は、ゴルフボールNo.44との差で示し;表6の各ゴルフボールの飛距離は、ゴルフボールNo.53との差で示し;表7の各ゴルフボールの飛距離は、ゴルフボールNo.62との差で示し;表8の各ゴルフボールの飛距離は、ゴルフボールNo.71との差で示し;表9の各ゴルフボールの飛距離は、ゴルフボールNo.80との差で示した。
【0097】
[ゴルフボールの作製]
(1)コアの作製
表1~表9に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、30分間加熱プレスすることにより直径39.8mmの球状コアを得た。なお、硫酸バリウムは、得られるゴルフボールの質量が、45.3gとなるように適量加えた。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
【表7】
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【0107】
表1~表9で用いた材料は下記の通りである。
BR730:JSR社製ハイシスポリブタジエンゴム(シス-1,4-結合含有量=95質量%、1,2-ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3)
ZN-DA90S:日触テクノファインケミカル社製アクリル酸亜鉛(ステアリン酸亜鉛10%含有)
ジクミルパーオキサイド:東京化成工業社製
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
PBDS:川口化学工業社製ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド
PCTP-Zn:東京化成工業社製ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩
ノクセラーM-P:大内新興化学工業社製2-メルカプトベンゾチアゾール
4-メトキシフェノール:東京化成工業社製
4-エトキシフェノール:東京化成工業社製
4-プロポキシフェノール:東京化成工業社製
4-ブトキシフェノール:東京化成工業社製
【0108】
(2)カバーの作製およびゴルフボールの作製
表10に示した配合のカバー用材料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状のカバー用組成物を調製した。カバー用組成物の押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で160~230℃に加熱された。得られたカバー用組成物を厚さ1.5mmとなるように上述のようにして得られた球状コア上に射出成形して、球状コアと前記コアを被覆するカバーを有するゴルフボールを作製した。得られたゴルフボールについて評価した結果を、表1~表9に併せて示した。
【0109】
【表10】
【0110】
表10で用いた材料は以下の通りである。
ハイミラン1555:三井デュポンポリケミカル社製Na中和アイオノマー
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル社製Na中和アイオノマー
ハイミランAM7329:三井デュポンポリケミカル社製Zn中和アイオノマー
A-220:石原産業社製二酸化チタン
JF-90:城北化学社製光安定剤
【0111】
表1~表9に示すように、本願発明のゴルフボールは、いずれもドライバーショットにおける飛距離が大きく、打球感に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、ゴルフボールとして好適に利用できる。
図1