(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】モータおよびポンプ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 11/33 20160101AFI20240910BHJP
H01R 4/34 20060101ALI20240910BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H02K11/33
H01R4/34
F04C29/00 T
(21)【出願番号】P 2020218351
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】本間 和博
(72)【発明者】
【氏名】村田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梶田 国博
【審査官】北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-080643(JP,A)
【文献】特開2020-162270(JP,A)
【文献】特開2008-146880(JP,A)
【文献】特開2014-050258(JP,A)
【文献】特開2018-071499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/33
H02K 11/30
H02K 5/22
F04C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転するロータを有するモータ部と、
前記モータ部の軸方向一方側に配置され前記モータ部に接続される制御基板と、
外部装置から延びる電源線および信号線が接続されるコネクタと、を備え、
前記コネクタは、
前記制御基板に繋がり電源用接続部において前記電源線に接続される電源用接続端子と、
前記制御基板に繋がり信号用接続部において前記信号線に接続される信号用接続端子と、
前記電源用接続端子および前記信号用接続端子を保持する保持部材と、を有し、
前記保持部材は、前記制御基板の軸方向一方側に配置され、前記中心軸線と直交する第1方向に沿って延び、
軸方向から見て、前記第1方向と直交する第2方向に延びて前記コネクタを前記第1方向の一方側の第1領域と他方側の第2領域とに区画する中央仮想線を想定し、
前記電源用接続部又は前記信号用接続部のいずれか一方は、前記第1領域内の前記第1方向の一方側の端部に位置し、
前記電源用接続部又は前記信号用接続部のいずれか他方は、前記第2領域内の前記第1方向の一方側に位置
し、
前記保持部材は、
前記第2方向の一方側を向き前記第1方向に延びる第1側面と、
前記第2方向の一方側を向き前記第1側面に対して前記第2方向の他方側に位置する第2側面と、を有し、
前記信号用接続端子は、
前記保持部材に埋め込まれる埋込部と、
前記制御基板に接続される基板側接続部と、を有し、
前記基板側接続部は、
前記第2側面から前記第2方向の一方側に突出する突出部と、
前記突出部の先端から前記制御基板側に折れ曲がり前記制御基板に設けられたスルーホールに挿入される挿入部と、を有する、モータ。
【請求項2】
前記電源用接続部が、前記第1領域内の前記第1方向の一方側に位置し、
前記信号用接続部が、前記第2領域内の前記第1方向の一方側に位置する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記信号用接続部が、前記第1領域内の前記第1方向の一方側に位置し、
前記電源用接続部が、前記第2領域内の前記第1方向の一方側に位置する、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記電源線および前記信号線は、前記コネクタから同方向に延び出る、請求項1~3の何れか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記電源線および前記信号線は、前記コネクタから前記第1方向の他方側に沿って延び出る、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記コネクタは、複数の前記電源用接続端子を有し、
前記保持部材は、前記電源用接続部の間に位置する壁部を有する、請求項1~5の何れか一項に記載のモータ。
【請求項7】
複数の前記電源用接続部にそれぞれ接続される前記電源線は、互いに同方向に延び出て、
前記壁部は、前記電源線同士の間を区画する、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記電源用接続部は、前記保持部材に埋め込まれ、前記電源線の先端部をネジで接続するネジ穴を有する、請求項1~7の何れか一項に記載のモータ。
【請求項9】
前記保持部材は、ネジ接続される前記電源線の先端部の供回りを規制する突出部を有する、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記電源用接続部の外周面には、少なくとも1つのDカット面が設けられる、請求項8又は9に記載のモータ。
【請求項11】
請求項1~
10の何れか一項に記載のモータと、
前記モータに接続されるポンプ機構と、を備える、ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータおよびポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モータ本体を制御する制御基板を備えた機電一体型のモータの採用が進んでいる。このようなモータには、外部機器に接続されるコネクタ部が設けられる。特許文献1に記載のポンプ装置には、電源用および信号用の計4本の接続端子を有するコネクタ部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコネクタ部には、電源用および信号用の接続端子が、1つのコネクタホルダにおいて密集して保持される。高出力のモータでは、電源線に流れる電流値が信号線に流れる電流値に対して極端に大きい。このため、電源用および信号用の接続端子を1つのコネクタホルダに集約して保持すると、絶縁の確保や発熱対策のために、コネクタ部が寧ろ大型化するという問題があった。しかしながら、電源用および信号用の接続端子を別々のコネクタ部によって保持させる場合、カプラの数が増加するなど部品点数が増加し、組み立て工程が複雑化するという問題があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて、全体として小型化を図りつつ組み立て工程を簡素化できるモータおよびポンプ装置の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、中心軸線を中心として回転するロータを有するモータ部と、前記モータ部の軸方向一方側に配置され前記モータ部に接続される制御基板と、外部装置から延びる電源線および信号線が接続されるコネクタと、を備える。前記コネクタは、前記制御基板に繋がり電源用接続部において前記電源線に接続される電源用接続端子と、前記制御基板に繋がり信号用接続部において前記信号線に接続される信号用接続端子と、前記電源用接続端子および前記信号用接続端子を保持する保持部材と、を有する。前記保持部材は、前記制御基板の軸方向一方側に配置され、前記中心軸線と直交する第1方向に沿って延びる。軸方向から見て、前記第1方向と直交する第2方向に延びて前記コネクタを前記第1方向の一方側の第1領域と他方側の第2領域とに区画する中央仮想線を想定する。前記電源用接続部又は前記信号用接続部のいずれか一方は、前記第1領域内の第1方向の一方側の端部に位置し、前記電源用接続部又は前記信号用接続部のいずれか他方は、前記第2領域内の第1方向の一方側に位置する。
【0007】
本発明のポンプ装置の一つの態様は、上述のモータに接続されるポンプ機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、全体として小型化を図りつつ組み立て工程を簡素化できるモータおよびポンプ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態のポンプ装置の断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のポンプ装置の部分斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のポンプ装置の平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のコネクタの斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のポンプ装置の部分断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の電源用接続端子の斜視図である。
【
図7】
図7は、変形例の保持部材を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータ10について説明する。
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、後段に説明する中心軸線Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0011】
以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」又は「軸方向一方側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「下側」又は「軸方向他方側」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に説明のために用いられる方向であって、モータ10およびポンプ装置1の使用時の姿勢を限定するものではない。また、特に断りのない限り、中心軸線Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸線Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。さらに、以下の説明において、「平面視」とは、軸方向から見た状態を意味する。
【0012】
<ポンプ装置>
図1は、ポンプ装置1の断面図である。
本実施形態のポンプ装置1は、水、オイルなどの流体を吸入して、吐出する。ポンプ装置1は、例えば、流体を流路に循環させる機能を有する。ポンプ装置1は、例えば車両の駆動装置に搭載される。
【0013】
図1に示すように、ポンプ装置1は、モータ10と、モータ10に接続されモータ10によって駆動されるポンプ機構90と、を備える。
【0014】
<モータ>
モータ10は、ハウジング11と、モータ部20と、制御基板40と、センサ基板15と、ベアリングホルダ85と、コネクタ80と、を備える。
【0015】
<ハウジング>
ハウジング11は、ハウジング本体12と、カバー13と、を有する。ハウジング本体12は、モータ部20を収容する。カバー13は、ハウジング本体12の上側の端部に締結される。カバー13は、ハウジング本体12の上側の開口を塞ぐ。ハウジング11は、モータ部20、制御基板40、センサ基板15、およびベアリングホルダ85を収容する。
【0016】
ハウジング本体12は、収容筒部12aと、底壁部12eと、を有する。
収容筒部12aは、軸方向に延びる筒状である。本実施形態の収容筒部12aは、中心軸線Jを中心とする円筒状である。収容筒部12aの内部には、モータ部20を収容するモータ収容空間Cが設けられる。収容筒部12aは、上側に開口する。収容筒部12aの上側の開口は、カバー13に覆われる。底壁部12eは、収容筒部12aの下端部に位置する。底壁部12eは、中心軸線Jと直交する板状である。底壁部12eは、モータ収容空間Cを下側から覆う。底壁部12eには、ベアリング保持部12dが設けられる。ベアリング保持部12dは、モータ部20の第2ベアリング37を保持する。
【0017】
カバー13は、主に、中心軸線Jと直交する方向に沿って延びる板状である。カバー13は、ハウジング本体12の上側の開口を塞ぐ。また、カバー13は、制御基板40を上側から覆う。カバー13には、上下方向に貫通する開口部13aが設けられる。開口部13aには、コネクタ80が配置される。
【0018】
<モータ部>
モータ部20は、中心軸線Jを中心として回転するロータ21と、ロータ21に径方向に対向するステータ26と、第1ベアリング36と、第2ベアリング37と、を有する。モータ部20は、例えば三相交流モータである。
【0019】
ロータ21は、シャフト22と、ロータコア23と、マグネット24とを有する。ロータ21は、シャフト22の下端部において、ポンプ機構90に接続され、ポンプ機構90に動力を伝える。
【0020】
シャフト22は、中心軸線Jを中心として上下方向に延びる。シャフト22は、第1ベアリング36および第2ベアリング37によって回転可能に支持される。第1ベアリング36は、ロータコア23の上側に位置し、第2ベアリング37は、ロータコア23の下側に位置する。
【0021】
シャフト22の下端部には、シール軸部22dと連結軸部22eとが設けられる。シール軸部22dは、第2ベアリング37の下側に位置する。シール軸部22dの外周面には、シール部材32が配置される。シール部材32は、ポンプ機構90側とモータ収容空間Cとの間を封止する。連結軸部22eは、シール軸部22dの下側に位置する。連結軸部22eは、ポンプ機構90の駆動部90aに連結される。
【0022】
シャフト22の上端部には、固定部材22hを介してセンサマグネット21mが取り付けられる。センサマグネット21mは、円環状である。センサマグネット21mは、周方向に交互に着磁された永久磁石である。センサマグネット21mは、ロータ21とともに中心軸線J周りを回転する。
【0023】
ロータコア23は、シャフト22の外周面に固定される。ロータコア23は、中心軸線Jを中心として周方向に延びる環状である。マグネット24は、ロータコア23に固定される。マグネット24は、複数設けられる。複数のマグネット24は、中心軸線J周りに等間隔に並ぶ。
【0024】
ステータ26は、ロータ21の径方向外側に配置される。ステータ26は、ステータコア27と、複数のインシュレータ28と、複数のコイル29と、を有する。
【0025】
ステータコア27は、中心軸線Jを中心とする円環状のコアバック部27aと、コアバック部27aの内周端から径方向内側へ延びる複数のティース部27bとを有する。複数のティース部27bは、周方向に互いに間隔をあけて配置される。ティース部27bの径方向内側面は、マグネット24の径方向外側面に、径方向外側から隙間をあけて対向する。
【0026】
コイル29は、多層に巻き回されたコイル線からなる。複数のコイル29は、それぞれインシュレータ28を介してティース部27bに装着される。コイル線の端部は、引出線として、ステータ26の上側に引き出される。引出線は、制御基板40に接続される。コイル29には、制御基板40から交流電流が供給される。
【0027】
<ベアリングホルダ>
ベアリングホルダ85は、モータ部20の上側に位置する。ベアリングホルダ85は、モータ収容空間Cを上側から覆う。ベアリングホルダ85は、第1ベアリング36を保持する。ベアリングホルダ85は、保持筒部86と、保持筒部から径方向外側に延びるテーパ筒部87と、テーパ筒部87の外縁から径方向外側に延びる脚部88と、を有する。保持筒部86は、第1ベアリング36を径方向外側から囲む。テーパ筒部87は、上側に向かうに従い径方向外側に傾斜する。テーパ筒部87は、保持筒部86と脚部88とを繋ぐ。脚部88は、ハウジング本体12にネジ固定される。
【0028】
ベアリングホルダ85には、上下方向に貫通する中央孔85hが設けられる。中央孔85hは、中心軸線Jを中心とする円形である。中央孔85hには、シャフト22の上端部が通される。これにより、センサマグネット21mは、第1ベアリング36の上側であって、テーパ筒部87の径方向内側に配置される。
【0029】
<センサ基板>
センサ基板15は、ベアリングホルダ85の上側に位置する。センサ基板15は、樹脂部材19を介してベアリングホルダ85に、固定される。センサ基板15は、センサ基板本体15aと、回転センサ15bと、を有する。
【0030】
センサ基板本体15aは、中心軸線Jと直交する平面に沿って延びる。回転センサ15bは、センサ基板本体15aの下面に実装される。回転センサ15bは、中心軸線J上に配置される。すなわち、回転センサ15bは、センサマグネット21mの直上に位置。回転センサ15bは、ロータ21の回転角を検出する。センサ基板15は、図示略の接続線を介して、制御基板40に接続される。
【0031】
<制御基板>
制御基板40は、モータ部20、ベアリングホルダ85、およびセンサ基板15の上側に配置される。制御基板40は、図示略の固定ネジによってハウジング本体12に固定される。
【0032】
制御基板40には、ステータ26のコイル29から延び出る引出線が接続される。これにより、制御基板40は、モータ部20に電気的に接続される。制御基板40は、外部電源から供給される電力を、モータ部20のステータ26に供給する。制御基板40は、センサ基板15から受信したロータ21の回転角の情報を基に、モータ部20に供給する電流を制御する。
【0033】
制御基板40は、基板本体41と、基板本体41に実装される複数の素子と、を有する。基板本体41は、平面視で多角形状である。基板本体41は、中心軸線Jと直交する平面に沿って延びる。複数の素子は、例えば、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor,FET)、プリドライバおよび低損失型リニアレギュレータ(Low Drop-Out regulator,LDO)、コンデンサなどである。
【0034】
<コネクタ>
コネクタ80は、制御基板40の上側に配置され、制御基板40に接続される。軸方向から見て、コネクタ80の少なくとも一部は、制御基板40と重なる。コネクタ80は、カバー13の開口部13aを介してハウジング11の内外に配置される。すなわち、コネクタ80の一部は、ハウジング11の外部に露出する。コネクタ80には、外部装置から延びる複数の電源線6および複数の信号線7が接続される。
【0035】
図2は、ポンプ装置1の部分斜視図である。
図3は、ポンプ装置1の平面図である。
図2および
図3において、カバー13の図示を省略する。
【0036】
図2に示すように、電源線6は、外部電源から延びる。本実施形態のコネクタ80には、2本の電源線6が接続される。電源線6には、ポンプ装置1を動作させるための駆動電流が流れる。
電源線6の先端には、先端部端子(先端部)6aが圧着される。電源線6は、先端部端子6aにおいてコネクタ80に接続される。先端部端子6aは、先端の板状部に貫通孔が設けられる圧着端子であり、例えば、丸端子である。
【0037】
信号線7は、例えば外部の制御ユニットから延びる。信号線7には、例えばポンプ装置1のオン、オフ又は強弱などを指令する信号電流が流れる。信号線7の先端には、カプラ7aが設けられる。複数の信号線7は、カプラ7aにおいて互いに束ねられる。複数の信号線7は、カプラ7aにおいて、コネクタ80に接続される。
【0038】
図4は、コネクタ80の斜視図である。
図5は、ポンプ装置1の部分断面図であり、コネクタ80の構造を示す。
図4に示すように、コネクタ80は、複数(本実施形態において2つ)の電源用接続端子81と、複数(本実施形態において3つ)の信号用接続端子82と、保持部材83と、シール部材84と、を有する。
【0039】
保持部材83は、制御基板40の上側に配置される。保持部材83は、電源用接続端子81と信号用接続端子82を埋め込んでインサート成形される樹脂材料である。これにより、保持部材83は、電源用接続端子81および信号用接続端子82を保持する。
【0040】
本実施形態によれば、保持部材83が、電源用接続端子81および信号用接続端子82を埋め込むインサート成形されて製造されるため、組み立て工程においてこれらの部品を単一の部材として扱うことができる。結果的に組み立て工程を簡素化できる。さらに、保持部材83の内部で、端子間の距離を確実に保ち絶縁の確実性を高めることができる。
【0041】
図3に示すように、保持部材83は、軸方向から見てX軸方向に沿って延びる。ここで、保持部材83の長手方向を第1方向D1と呼ぶ。第1方向D1は、中心軸線Jと直交する方向である。また、軸方向および第1方向D1と直交する方向を、第2方向D2と呼ぶ。本実施形態において、第2方向D2は、Y軸方向と平行な方向である。本実施形態において、保持部材83は、中心軸線J1と直交する第1方向D1に沿って延びる。本実施形態において、第1方向D1は、X軸方向と平行な方向であるが、中心軸線Jと直交する方向であれば何れの方向であってもよい。なお、以下の説明において、第1方向D1の一方側とは-X方向を意味し、第1方向D1の他方側とは+X方向を意味する。また、第2方向D2の一方側とは+Y方向を意味し、第2方向D2の他方側とは-Y方向を意味する。
【0042】
ここで、
図3に示すように、軸方向から見て、第1方向D1と直交する方向に延びる中央仮想線VLを想定する。中央仮想線VLは、第2方向D2に延びる。中央仮想線VLは、コネクタ80を第1領域A1と第2領域A2とに区画する。第1領域A1は、中央仮想線VLに対して第1方向D1の一方側に位置する領域である。一方で、第2領域A2は、中央仮想線VLに対して第1方向D1の他方側に位置する領域である。
【0043】
保持部材83は、基部83aと土手部83bとコネクタホルダ部83cと第1壁部(壁部、突出部)83dと第2壁部(突出部)83eと固定部83fとを有する。土手部83b、コネクタホルダ部83c、第1壁部83d、および第2壁部83eは、基部83aの上面に配置される。固定部83fは、基部83aの側面に配置される。
【0044】
基部83aは、軸方向から見て第1方向D1を長手方向とする矩形状である。基部83aは、上面と下面と、これらを繋ぐ4つの側面を有する。基部83aの側面には、凹溝83gが設けられる。凹溝83gは、基部83aの4つの側面において連なって延びる。すなわち、凹溝83gは、基部83aの周囲に一周に渡って延びる。凹溝83gには、シール部材84が収容される。基部83aは、カバー13の開口部13aに配置される。シール部材84は、開口部13aの内側面と、凹溝83gの底面との間で圧縮される。シール部材84は、水分が開口部13aを通過してハウジング11の内部に浸入することを抑制する。
【0045】
土手部83bは、コネクタ80の第1領域A1に配置される。また、土手部83bは、第1領域A1内において、第1方向D1の一方側の端部に配置される。土手部83bは、基部83aの上面から上側に突出する。土手部83bは、電源用接続端子81の一部を埋め込む。電源用接続端子81は、土手部83bと基部83aに跨って埋め込まれる。電源用接続端子81は、土手部83bの上面と基部83aの下面から部分的に露出する。
【0046】
コネクタホルダ部83cは、コネクタ80の第2領域A2に配置される。また、コネクタホルダ部83cは、第2領域A2内の第1方向D1の一方側の端部に配置される。したがって、土手部83bとコネクタホルダ部83cとは、それぞれコネクタ80の異なる領域(第1領域A1と第2領域A2)に配置される。コネクタホルダ部83cは、基部83aの上面から上側に突出する。コネクタホルダ部83cには、挿入凹部83hが設けられる。挿入凹部83hは、第1方向D1の他方側に開口する。挿入凹部83hには、信号線7のカプラ7aが挿入される。
【0047】
第1壁部83dは、基部83aの上面から上側に突出する。第1壁部83dは、第1方向D1に沿って延びる。第1壁部83dは、土手部83bの上面まで連なって延びる。第1壁部83dは、2つの電源用接続端子81の間に配置される。すなわち、2つの電源用接続端子81のうち、一方は第1壁部83dの第2方向D2一方側に配置され、他方は第1壁部83dの第2方向D2他方側に配置される。
【0048】
第2壁部83eは、基部83aの上面から上側に突出する。第2壁部83eは、第1壁部83dと並行して第1方向D1に沿って延びる。第2壁部83eは、土手部83bに繋がる。
【0049】
固定部83fは、基部83aの側面から側方に延びる。固定部83fには、筒状のカラー83kが埋め込まれる。カラー83kには、上下方向に貫通する貫通孔83jが設けられる。貫通孔83jには、コネクタ80をハウジング11に固定する固定ネジ(図示略)がねじ込まれる。
【0050】
図3に示すように、保持部材83には、2つの固定部83fが設けられる。2つの固定部83fは、それぞれコネクタ80の第1方向D1の両端部に位置する。2つの固定部83fのうち、第1方向D1の他方側の端部に位置する一方は、信号用接続端子82の一部を埋め込む。信号用接続端子82は、コネクタホルダ部83c、基部83a、および固定部83fに跨って埋め込まれる。信号用接続端子82は、コネクタホルダ部83cの挿入凹部83h内と固定部83fの側面から露出する。
【0051】
図4に示すように、2つの電源用接続端子81は、第2方向D2に並ぶ。電源用接続端子81は、銅合金など導電性に優れる金属材料から構成される。電源用接続端子81には、電源線6が接続される。
【0052】
図6は、電源用接続端子81の斜視図である。電源用接続端子81は、電源用接続部81aと、挿入ピン部81cと、を有する。電源用接続端子81は、挿入ピン部81cにおいて制御基板40に繋がり、電源用接続部81aにおいて電源線6に接続される。
【0053】
電源用接続部81aは、端子中心軸線J1を中心とする円柱状である。端子中心軸線J1は、中心軸線Jと平行に延びる。電源用接続部81aは、端子中心軸線J1を中心として軸方向に延びるネジ穴81hを有する。ネジ穴81hは、上側に開口する。
【0054】
電源用接続部81aの上端部には、フランジ部81bが設けられる。フランジ部81bは、電源用接続部81aの上端部から径方向外側に延びる。フランジ部81bは、端子中心軸線J1を中心とする円盤状である。
【0055】
電源用接続部81aの上面81eは、電源用接続部81aの上面と同一平面上に配置される。電源用接続端子81を保持部材83に埋め込んだ状態において、上面81eは、保持部材83から露出する。
【0056】
挿入ピン部81cは、電源用接続部81aの下端部から下側に延びる。挿入ピン部81cは、端子中心軸線J1を中心とする円柱状である。挿入ピン部81cの直径は、電源用接続部81aの直径より小さい。
【0057】
図5に示すように、ネジ穴81hには、接続ネジ3が挿入される。接続ネジ3の頭部と電源用接続部81aの上面81eとの間には、電源線6の先端部端子6aが挟み込まれる。電源線6から供給された電流は、先端部端子6aと電源用接続部81aの上面81eとの接触面を通って電源用接続端子81に流れる。
【0058】
本実施形態によれば、電源用接続部81aには、接続ネジ3を用いて、電源線6の先端部端子6aが接続される。このため、電源線6の先端部端子6aと電源用接続部81aとの接触面積を広く確保し易く、接触部における電気抵抗の増大を抑制できる。また、電源用接続部81aは、保持部材83に埋め込まれるため、電源用接続部81aが確実に保持されるのみならず、保持部材83として絶縁性の材料を採用することで、電源用接続端子81の絶縁を確保できる。
【0059】
電源用接続部81aの外周面には、2つのDカット面81dが設けられる。2つのDカット面81dは、端子中心軸線J1を中心として互いに対象に配置される。2つのDカット面81dは、互いに平行な平坦面である。Dカット面81dは、電源用接続部81aの外周面のうち、上下方向の中程に位置する。Dカット面81dの上側および下側には、電源用接続部81aの外周面に繋がる段差面81sがそれぞれ設けられる。上述したように、電源用接続端子81は、保持部材83に埋め込まれる。これにより、Dカット面81dは、保持部材83に埋め込まれる。保持部材83は、電源用接続端子81が保持部材83に対し端子中心軸線J1周りの回転を抑制する。本実施形態によれば、電源用接続部81aの外周面に、少なくとも1つのDカット面81dが設けられることで、ネジ穴81hに接続ネジ3を挿入する際に、電源用接続端子81が供回りすることを抑制できる。また、Dカット面81dの上下に配置される段差面81sは、それぞれ下側および上側を向き、保持部材83に接触する。このため、保持部材83に対する電源用接続端子81の軸方向への移動は、制限される。
【0060】
挿入ピン部81cは、制御基板40の基板本体41に設けられたスルーホール41aに挿入される。挿入ピン部81cは、スルーホール41aの内周面と半田接続される。これにより、電源用接続端子81は、制御基板40に電気的に繋がる。
【0061】
図4に示すように、信号用接続端子82は、コネクタ80に3つ設けられる。信号用接続端子82は、銅合金など導電性に優れる金属材料から構成される。信号用接続端子82は、信号用接続端子82は、断面矩形のピン状である。電源用接続端子81は、折れ曲がった形状を有し、例えば、プレス加工により成形される。
【0062】
信号用接続端子82は、信号用接続部82aと基板側接続部82bと埋込部82cとを有する。信号用接続端子82は、基板側接続部82bにおいて制御基板40に繋がり、信号用接続部82aにおいて信号線7に接続される。
【0063】
信号用接続部82aは、挿入凹部83h内で保持部材83から第1方向D1の他方側に突出して露出する。一方で、基板側接続部82bは、保持部材83の側面から側方に突出して露出する。埋込部82cは、信号用接続部82aと基板側接続部82bとを繋ぐ。埋込部82cは、保持部材83の内部に埋め込まれる。
【0064】
信号用接続部82aは、挿入凹部83hの内部で信号線7に接続される。すなわち、信号用接続端子82は、信号用接続部82aにおいて信号線7に接続される。
【0065】
基板側接続部82bは、先端において下側に折り曲がった形状を有する。基板側接続部82bの先端は、制御基板40の基板本体41に半田等の接合手段で電気的に接続される。これにより、信号用接続端子82は、制御基板40に電気的に接続される。
【0066】
保持部材83と、保持部材83から突出する基板側接続部82bの構成について、
図2および
図3を基に具体的に説明する。
図3に示すように、保持部材83は、第2方向D2の一方側(+Y)を向く主側面(第1側面)83m、第1副側面(第2側面)83p、および第2副側面(第2側面)83qを有する。主側面83m、第1副側面83p、および第2副側面83qは、ともに第1方向D1に延びる面である。主側面83m、第1副側面83p、および第2副側面83qは、第1方向D1の一方側から他方側に向かってこの順で並ぶ。第1副側面83pは、主側面83mに対して、第2方向D2の他方側に位置する。さらに、第2副側面83qは、主側面83mおよび第1副側面83pに対して、第2方向D2の他方側に位置する。したがって、主側面83m、第1副側面83p、および第2副側面83qは、第1方向D1の他方側に向かうに従い第2方向D2の他方側に並ぶ階段状に配置される。
【0067】
図2に示すように、基板側接続部82bは、突出部82baと挿入部82bbとを有する。突出部82baは、第2方向D2に沿って延び、挿入部82bbは、軸方向に沿って延びる。
【0068】
3つの信号用接続端子82の突出部82baは、第1方向D1に沿って並ぶ。1つの信号用接続端子82の突出部82baは、第1副側面83pから第2方向D2の一方側に突出する。また、2つの信号用接続端子82の突出部82baは、第2副側面83qから第2方向D2の一方側に突出する。
【0069】
挿入部82bbは、突出部82baの先端から制御基板40側に折れ曲がって軸方向に延びる。挿入部82bbは、制御基板40に設けられたスルーホール41bに挿入される。挿入部82bbは、スルーホール41bの内周面と半田接続される。これにより、電源用接続端子81は、制御基板40に電気的に繋がる。
【0070】
本実施形態によれば、信号用接続端子82の基板側接続部82bは、保持部材83の側面(第1副側面83pおよび第2副側面83q)から突出し、軸方向に折れ曲がった挿入部82bbにおいて制御基板40に接続される。このため、信号用接続端子82と制御基板40との接続部分が、コネクタ80によって隠れることがない。結果的に、信号用接続端子82と制御基板40との接続工程を容易に行うことができる。
【0071】
本実施形態によれば、信号用接続端子82の基板側接続部82bは、保持部材83の第1副側面83pおよび第2副側面83qから突出する。第1副側面83pおよび第2副側面83qは、主側面83mに対して第2方向D2の他方側に配置されている。このため、コネクタ80の全体において、基板側接続部82bが、第2方向D2の一方側に大きく突出することを抑制でき、コネクタ80の小型化を図ることができる。加えて、制御基板40の外形を、基板側接続部82bの突出に合わせて外側に大きくする必要がなく、制御基板40の小型化にも寄与できる。
【0072】
本実施形態では、突出部82baが突出する保持部材83の側面(第1副側面83pおよび第2副側面83q)は、主側面83mに対して階段状に成形されるが、その他の形状であってもよい。
【0073】
図7は、本実施形態に採用可能な変形例のコネクタ180を示す部分拡大図である。この変形例のコネクタ180の保持部材183は、第2方向D2の一方側を向き第1方向D1に延びる主側面(第1側面)183mと、主側面183mに繋がる傾斜面(第2側面)183pと、を有する。傾斜面183pは、第2方向D2の一方側および第1方向D1の他方側を向く平坦面である。傾斜面183pは、主側面183mから第1方向D1の他方側に向かうに従い第2方向D2の他方側に傾斜する。したがって、傾斜面183pは、主側面183mに対して第2方向D2の他方側に位置する。基板側接続部82bの突出部82baは、傾斜面183pから第2方向D2の一方側に突出する。このような構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
図3に示すように、本実施形態において、電源用接続部81aは、第1領域A1内の第1方向D1の一方側に位置する。一方で、信号用接続部82aは、第2領域A2内の第1方向D1の一方側に位置する。したがって、コネクタ80において電源用接続部81aと信号用接続部82aとは、中央仮想線VLを挟んで反対側の領域に配置される。さらに、電源用接続部81aと信号用接続部82aとは、互いに異なる領域(第1領域A1および第2領域A2)において第1方向D1の同方向に偏って配置される。すなわち、電源用接続部81aと信号用接続部82aとは、コネクタ80において、互いに分散して配置される。
【0075】
電源用接続部81aおよび信号用接続部82aは、流れる電流値に応じて発熱する。本実施形態によれば、電源用接続部81aと信号用接続部82aとが密集して配置される場合と比較して、発熱の集中を抑制できる。このため、電源用接続部81aおよび信号用接続部82aの発熱に起因する保持部材83の変形および劣化を抑制でき、コネクタ80の信頼性を高めることができる。
【0076】
加えて、本実施形態によれば、電源用接続部81aと信号用接続部82aとの距離が十分確保されるため、互いの絶縁を確保し易い。さらに、電源用接続端子81に流れる電源電流に起因して、信号用接続端子82を流れる信号にノイズが発生することを抑制できる。
【0077】
本実施形態によれば、1つのコネクタ80において、電源用接続部81aと信号用接続部82aとが個別に配置される。これにより、電源用接続部81aと信号用接続部82aとの距離を確保しつつ、全体としての大型化を抑制できる。
【0078】
本実施形態によれば、電源用接続部81aと信号用接続部82aとを個別に配置することで、それぞれ電源線6および信号線7に適した接続方法を採用できる。より具体的には、電源線6と電源用接続部81aとの接続方法として、ネジ接続を先端することで接続部の抵抗値を抑制できる。また、信号線7と信号用接続部82aとの接続方法として、カプラによる接続を採用することで、接続工程を簡素化できる。
【0079】
さらに、本実施形態によれば、電源用接続部81aと信号用接続部82aとは、それぞれ第1領域A1および第2領域A2において第1方向D1の一方側に偏って配置される。このため、コネクタ80は、電源用接続部81aおよび信号用接続部82aの第1方向D1の他方側に部材が配置されない領域を有する。電源用接続部81aおよび信号用接続部82aに対し同方向に、部材が配置されない領域をコネクタ80に設けることで、この領域に電源線6および信号線7を配置できる。結果的に、軸方向から見て、電源線6および信号線7が、コネクタ80から水平方向に突出することを抑制できる。なお、本実施形態の電源線6および信号線7は、コネクタ80から第1方向D1の他方側に延び出る。このため、電源線6および信号線7は、電源用接続部81aおよび信号用接続部82aの第1方向D1の他方側に部材が配置されない領域を通過する。
【0080】
本実施形態では、電源用接続部81aが、第1領域A1内の第1方向D1の一方側に位置し、信号用接続部82aが、第2領域A2内の第1方向D1の一方側に位置する場合について説明した。しかしながら、
図8に示す変形例のコネクタ280のように、信号用接続部282aが、第1領域A1内の第1方向D1の一方側に位置し、電源用接続部281aが、第2領域A2内の第1方向D1の一方側に位置していてもよい。この変形例では、電源線6および信号線7においても、第1方向D1の一方側に向かって延びることが好ましい。
【0081】
このように、電源用接続部81aと信号用接続部82aの位置は、互いに入れ替え可能である。本実施形態の上述の効果は、電源用接続部81a又は信号用接続部82aのいずれか一方は、第1領域A1内の第1方向D1の一方側の端部に位置し、電源用接続部81a又は信号用接続部82aのいずれか他方は、第2領域A2内の第1方向D1の一方側に位置していればよい。
【0082】
図2に示すように、本実施形態によれば、電源線6および信号線7は、コネクタ80から第1方向D1に延び出る。したがって、電源線6および信号線7は、コネクタ80から同方向に延び出ることとなり、互いに異なる方向に延び出る場合と比較して、電源線6および信号線7を接続した状態のポンプ装置1を小型化できる。また、電源線6および信号線7が同方向に延びるため、電源線6と信号線7をまとめて配策することも可能となり、配策工程を簡素化できる。
【0083】
本実施形態によれば、電源線6および信号線7が、コネクタ80から第1方向D1の他方側に沿って延び出る。このため、電源線6および信号線7が、コネクタ80の上側を通過する。本実施形態では、電源線6がコネクタ80の上側を通過する。電源線6は、軸方向から見て、コネクタ80に重なった領域で配策される。これにより、コネクタ80の上側の空間を有効活用することができ、軸方向から見て、コネクタ80と電源線6の配策空間を含めたポンプ装置1全体の小型化を図ることができる。
【0084】
図4に示すように、保持部材83の第1壁部83dは、電源用接続部81aの間に位置する。これにより、電源用接続部81aの露出部分(上面81e)の間の沿面距離を長くして、電源用接続部81a同士の絶縁性を高めることができる。
【0085】
本実施形態において、複数の電源用接続部81aにそれぞれ接続される電源線6は、互いに同方向(第1方向D1)に延び出る。さらに、第1壁部83dは、第1方向D1に沿って延びて、電源用接続部81aに接続される電源線6同士の間を区画する。したがって、第1壁部83dは、電源用接続部81aの露出部分同士の絶縁性のみならず、電源線6同士の絶縁性も高める。
【0086】
ここで2つの電源線6のうち、一方を第1電源線6Aと呼び、他方を第2電源線6Bと呼ぶ。
図2に示すように、第1電源線6Aと、第1壁部83dと、第2電源線6Bと、第2壁部83eとは、第2方向D2に沿ってこの順で並ぶ。
【0087】
コネクタ80を上側から見て、第1電源線6Aと第1壁部83dとは、第1電源線6Aに接続される電源用接続部81aの端子中心軸線J1に対して、時計回り方向に並ぶ。同様に、第2電源線6Bと第2壁部83eとは、第2電源線6Bに接続される電源用接続部81aの端子中心軸線J1に対して、時計回り方向に並ぶ。
【0088】
接続ネジ3は、電源用接続部81aに対して上側から挿入される。したがって、接続ネジ3を挿入する際に、電源線6には、上側から見て時計回りに供回りし易い。本実施形態によれば、第1壁部83dは、ネジ接続される第1電源線6Aの先端部端子6aの供回りを規制する。同様に、第2壁部83eは、ネジ接続される第2電源線6Bの先端部端子6aの供回りを規制する。
【0089】
<ポンプ機構>
ポンプ機構90は、駆動部90aと、ポンプカバー95と、を備える。駆動部90aは、モータ部20の下側に配置される。駆動部90aは、シャフト22の連結軸部22eに連結される。駆動部90aは、モータ部20の動力により駆動され、流体を吸引および吐出する。駆動部90aの構造としては、トロコイドポンプ構造、ベーンポンプ構造等が例示される。ポンプカバー95は、ハウジング本体12の下側に固定される。ポンプカバー95は、駆動部90aを下側から覆う。
【0090】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0091】
1…ポンプ装置、6…電源線、6a…先端部端子(先端部)、7…信号線、7a…カプラ、10…モータ、20…モータ部、21…ロータ、40…制御基板、41a,41b…スルーホール、80,180,280…コネクタ、81…電源用接続端子、81a,281a…電源用接続部、81d…Dカット面、81h…ネジ穴、82…信号用接続端子、82a,282a…信号用接続部、82b…基板側接続部、82ba…突出部、82bb…挿入部、82c…埋込部、83,183…保持部材、83d…第1壁部(壁部、突出部)83e…第2壁部(突出部)、83m,183m…主側面(第1側面)、83p…第1副側面(第2側面)、83q…第2副側面(第2側面)、90…ポンプ機構、183p…傾斜面(第2側面)、A1…第1領域、A2…第2領域、D1…第1方向、D2…第2方向、J…中心軸線、VL…中央仮想線