(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】パワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20240910BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240910BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240910BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H01L25/04 C
H05K7/20 N
(21)【出願番号】P 2021001692
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】松岡 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雄太
(72)【発明者】
【氏名】竹内 和哉
(72)【発明者】
【氏名】小澤 朋樹
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-200433(JP,A)
【文献】特開2008-118753(JP,A)
【文献】特開2018-190901(JP,A)
【文献】特開2013-030579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H01L 25/07
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子(521,531)、前記半導体素子に接続された端子(540a~540d)、および、前記半導体素子と前記端子それぞれを被覆する樹脂部(520)を有する半導体モジュール(511~513)と、
前記半導体モジュールに熱伝導可能に設けられる冷却部(730)、前記冷却部の内部に冷媒を供給する供給管(710)、および、前記冷却部の内部を流動した冷媒を排出する排出管(720)を備える冷却器(700)と、を有し、
前記半導体モジュールと前記冷却部の並ぶ並び方向に直交する横方向で前記供給管と前記排出管とが離間し、
前記並び方向と前記横方向それぞれに直交する縦方向で、前記供給管および前記排出管が前記半導体モジュールと対向し、
前記半導体素子には能動素子が含まれ、
前記端子には、前記能動素子の第1電極に接続される第1端子(540a,540b,540c)と、前記能動素子の第2電極に接続される第2端子(540a,540b,540c)と、前記能動素子の前記第1電極と前記第2電極との間の通電を制御する制御端子(540d)と、を含まれ、
前記第1端子と前記第2端子のうちの一方が前記供給管と前記排出管のうちの一方と前記縦方向で対向しているパワーモジュール。
【請求項2】
半導体素子(521,531)、前記半導体素子に接続された端子(540a~540d)、および、前記半導体素子と前記端子それぞれを被覆する樹脂部(520)を有する半導体モジュール(511~513)と、
前記半導体モジュールに熱伝導可能に設けられる冷却部(730)、前記冷却部の内部に冷媒を供給する供給管(710)、および、前記冷却部の内部を流動した冷媒を排出する排出管(720)を備える冷却器(700)と、を有し、
前記半導体モジュールと前記冷却部の並ぶ並び方向に直交する横方向で前記供給管と前記排出管とが離間し、
前記並び方向と前記横方向それぞれに直交する縦方向で、前記供給管および前記排出管が前記半導体モジュールと対向し、
前記冷却部は、前記並び方向で前記樹脂部と並ぶ対向部(731)と、前記対向部から前記縦方向に延長する第1腕部(732)と、前記横方向で前記第1腕部と離間し、前記対向部から前記縦方向に延長する第2腕部(733)と、を有し、
前記供給管は前記並び方向に延長して前記第1腕部に連結され、
前記排出管は前記並び方向に延長して前記第2腕部に連結されているパワーモジュール。
【請求項3】
前記半導体モジュールを複数有し、
複数の前記半導体モジュールが前記横方向で並び、
複数の前記半導体モジュールのうちの少なくとも1つが、前記供給管および前記排出管のうちの1つと前記縦方向で対向している請求項
2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記供給管と前記排出管それぞれの前記横方向の位置は、前記対向部における前記横方向で並ぶ2つの側面(731a,731b)の間である請求項
2または請求項
3に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記第1腕部と前記第2腕部それぞれは、前記対向部における前記縦方向で並ぶ2つの端面(731c,731d)のうちの一方から延長し、
前記第1腕部、前記第2腕部、および、2つの前記端面のうちの一方によって囲まれる囲み領域と、前記端子における前記樹脂部から露出された部位とが前記並び方向で並んでいる請求項
2~
4いずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記端子における前記樹脂部から露出された部位の一部が前記囲み領域に位置している請求項
5に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記半導体素子には能動素子が含まれ、
前記端子には、前記能動素子の第1電極に接続される第1端子(540a,540b,540c)と、前記能動素子の第2電極に接続される第2端子(540a,540b,540c)と、前記能動素子の前記第1電極と前記第2電極との間の通電を制御する制御端子(540d)と、を含まれている請求項
2~
6いずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記第1端子と前記第2端子のうちの一方が前記供給管と前記排出管のうちの一方と前記縦方向で対向している請求項
7に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
半導体素子(521,531)、前記半導体素子に接続された端子(540a~540d)、および、前記半導体素子と前記端子それぞれを被覆する樹脂部(520)を有する複数の半導体モジュール(511~513)と、
複数の前記半導体モジュールに熱伝導可能に設けられる冷却部(730)、前記冷却部の内部に冷媒を供給する供給管(710)、および、前記冷却部の内部を流動した冷媒を排出する排出管(720)を備える冷却器(700)と、を有し、
前記半導体モジュールと前記冷却部の並ぶ並び方向に直交する横方向で前記供給管と前記排出管とが離間し、
前記並び方向と前記横方向それぞれに直交する縦方向で、前記供給管および前記排出管が複数の前記半導体モジュールと対向し、
前記冷却部は、複数の前記半導体モジュールに対向するとともに前記横方向に延びる対向部(731)と、前記対向部から前記縦方向に延長し前記供給管に連結される第1腕部(732)と、前記横方向で前記第1腕部と離間し、前記対向部から前記縦方向に延長し前記排出管に連結される第2腕部(733)と、を有し、
複数の前記半導体モジュールが前記横方向で並び、
前記第1腕部、前記第2腕部、および、前記対向部によって囲まれる囲み領域に、前記供給管の一部および前記排出管の一部が位置しているパワーモジュール。
【請求項10】
前記供給管と前記排出管それぞれの前記横方向の位置は、前記対向部における前記横方向で並ぶ2つの側面(731a,731b)の間である請求項
9に記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記半導体素子には能動素子が含まれ、
前記端子には、前記能動素子の第1電極に接続される第1端子(540a,540b,540c)と、前記能動素子の第2電極に接続される第2端子(540a,540b,540c)と、前記能動素子の前記第1電極と前記第2電極との間の通電を制御する制御端子(540d)と、を含まれている請求項
9に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
前記第1端子と前記第2端子のうちの一方が前記供給管と前記排出管のうちの一方と前記並び方向と前記横方向それぞれに直交する縦方向で対向している請求項
11に記載のパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、パワーモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、インバータ、筐体、および、ヒートシンクを備える電動車両が知られている。インバータは三相線を介してモータと接続されている。
【0003】
筐体は一対の脚部とこれらを連結する連結部を有する。一対の脚部の間に連結部が位置している。一対の脚部と連結部それぞれに冷却液が流動する。
【0004】
ヒートシンクは一対の脚部の間に設けられる。ヒートシンクは連結部と並んで配置される。このヒートシンクの上面と連結部との間にインバータが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される電動車両では、ヒートシンクの側面と脚部との間に三相線が設けられている。そのために一対の脚部の並ぶ方向の体格が増大する虞があった。
【0007】
本開示の目的は、体格増大の抑制されたパワーモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によるパワーモジュールは、
半導体素子(521,531)、半導体素子に接続された端子(540a~540d)、および、半導体素子と端子それぞれを被覆する樹脂部(520)を有する半導体モジュール(511~513)と、
半導体モジュールに熱伝導可能に設けられる冷却部(730)、冷却部の内部に冷媒を供給する供給管(710)、および、冷却部の内部を流動した冷媒を排出する排出管(720)を備える冷却器(700)と、を有し、
半導体モジュールと冷却部の並ぶ並び方向に直交する横方向で供給管と排出管とが離間し、
並び方向と横方向それぞれに直交する縦方向で、供給管および排出管が半導体モジュールと対向し、
半導体素子には能動素子が含まれ、
端子には、能動素子の第1電極に接続される第1端子(540a,540b,540c)と、能動素子の第2電極に接続される第2端子(540a,540b,540c)と、能動素子の第1電極と第2電極との間の通電を制御する制御端子(540d)と、を含まれ、
第1端子と第2端子のうちの一方が供給管と排出管のうちの一方と縦方向で対向している。
本開示の一態様によるパワーモジュールは、
半導体素子(521,531)、半導体素子に接続された端子(540a~540d)、および、半導体素子と端子それぞれを被覆する樹脂部(520)を有する半導体モジュール(511~513)と、
半導体モジュールに熱伝導可能に設けられる冷却部(730)、冷却部の内部に冷媒を供給する供給管(710)、および、冷却部の内部を流動した冷媒を排出する排出管(720)を備える冷却器(700)と、を有し、
半導体モジュールと冷却部の並ぶ並び方向に直交する横方向で供給管と排出管とが離間し、
並び方向と横方向それぞれに直交する縦方向で、供給管および排出管が半導体モジュールと対向し、
冷却部は、並び方向で樹脂部と並ぶ対向部(731)と、対向部から縦方向に延長する第1腕部(732)と、横方向で第1腕部と離間し、対向部から縦方向に延長する第2腕部(733)と、を有し、
供給管は並び方向に延長して第1腕部に連結され、
排出管は並び方向に延長して第2腕部に連結されている。
本開示の一態様によるパワーモジュールは、
半導体素子(521,531)、半導体素子に接続された端子(540a~540d)、および、半導体素子と端子それぞれを被覆する樹脂部(520)を有する半導体モジュール(511~513)と、
半導体モジュールに熱伝導可能に設けられる冷却部(730)、冷却部の内部に冷媒を供給する供給管(710)、および、冷却部の内部を流動した冷媒を排出する排出管(720)を備える冷却器(700)と、を有し、
半導体モジュールと冷却部の並ぶ並び方向に直交する横方向で供給管と排出管とが離間し、
並び方向と横方向それぞれに直交する縦方向で、供給管および排出管が半導体モジュールと対向し、
冷却部は、並び方向で樹脂部と並ぶ対向部(731)と、対向部から縦方向に延長する第1腕部(732)と、横方向で第1腕部と離間し、対向部から縦方向に延長する第2腕部(733)と、を有し、
供給管は並び方向に延長して第1腕部に連結され、
排出管は並び方向に延長して第2腕部に連結されている。
また別の本開示の一態様によるパワーモジュールは、
半導体素子(521,531)、半導体素子に接続された端子(540a~540d)、および、半導体素子と端子それぞれを被覆する樹脂部(520)を有する複数の半導体モジュール(511~513)と、
複数の半導体モジュールに熱伝導可能に設けられる冷却部(730)、冷却部の内部に冷媒を供給する供給管(710)、および、冷却部の内部を流動した冷媒を排出する排出管(720)を備える冷却器(700)と、を有し、
半導体モジュールと冷却部の並ぶ並び方向に直交する横方向で供給管と排出管とが離間し、
並び方向と横方向それぞれに直交する縦方向で、供給管および排出管が複数の半導体モジュールと対向し、
冷却部は、複数の半導体モジュールに対向するとともに横方向に延びる対向部(731)と、対向部から縦方向に延長し供給管に連結される第1腕部(732)と、横方向で第1腕部と離間し、対向部から縦方向に延長し排出管に連結される第2腕部(733)と、を有し、
複数の半導体モジュールが横方向で並び、
第1腕部、第2腕部、および、対向部によって囲まれる囲み領域に、供給管の一部および排出管の一部が位置している。
【0010】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図8】パワーモジュールの変形例を示す斜視図である。
【
図9】パワーモジュールの変形例を示す上面図である。
【
図10】パワーモジュールの変形例を示す上面図である。
【
図11】パワーモジュールの変形例を示す上面図である。
【
図12】パワーモジュールの変形例を示す上面図である。
【
図13】パワーモジュールの変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0013】
各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせが可能である。また、特に組み合わせに支障が生じなければ、組み合わせが可能であることを明示していなくても、実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0014】
(第1実施形態)
<車載システム>
先ず、
図1に基づいて車載システム100を説明する。この車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム100は、バッテリ200、電力変換ユニット300、および、モータ400を有する。
【0015】
また車載システム100は図示しない複数のECUを有する。これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは協調して電気自動車を制御している。複数のECUの制御により、バッテリ200のSOCに応じたモータ400の力行と回生が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
【0016】
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
【0017】
電力変換ユニット300の備える電力変換装置500はバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。電力変換装置500はバッテリ200の直流電力を交流電力に変換する。電力変換装置500はモータ400の発電(回生)によって生成された交流電力を直流電力に変換する。
【0018】
モータ400は図示しない電気自動車の車軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは車軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは車軸を介してモータ400に伝達される。図面においてモータ400をMGと表記している。
【0019】
モータ400は電力変換装置500から供給される交流電力によって力行する。これにより推進力が走行輪に付与される。またモータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生で発生した交流電力は、電力変換装置500によって直流電力に変換される。この直流電力がバッテリ200に供給される。この直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
【0020】
<電力変換装置>
次に電力変換装置500を説明する。電力変換装置500はインバータを含んでいる。インバータはバッテリ200の直流電力を交流電力に変換する。この交流電力がモータ400に供給される。またインバータはモータ400で生成された交流電力を直流電力に変換する。この直流電力がバッテリ200と各種電気負荷に供給される。
【0021】
図1に示すように電力変換装置500にはPバスバ501とNバスバ502が含まれている。これらPバスバ501とNバスバ502にバッテリ200が接続される。Pバスバ501はバッテリ200の正極に接続される。Nバスバ502はバッテリ200の負極に接続される。
【0022】
また、電力変換装置500にはU相バスバ503、V相バスバ504、および、W相バスバ505が含まれている。これらU相バスバ503、V相バスバ504、および、W相バスバ505にモータ400が接続される。
図1では各種バスバの接続部位を白丸で示している。これら接続部位は例えばボルトや溶接などによって電気的に接続されている。
【0023】
電力変換装置500は、平滑コンデンサ570と、U相半導体モジュール511~W相半導体モジュール513と、を有する。平滑コンデンサ570は2つの電極を有する。これら2つの電極のうちの一方にPバスバ501が接続されている。2つの電極のうちの他方にNバスバ502が接続されている。
【0024】
U相半導体モジュール511~W相半導体モジュール513それぞれは、ハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531を有する。またU相半導体モジュール511~W相半導体モジュール513それぞれは、ハイサイドダイオード521aとローサイドダイオード531aを有する。ハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531が能動素子に相当する。
【0025】
本実施形態では、ハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531としてnチャネル型のMOSFETを採用している。
図1に示すようにハイサイドスイッチ521のソース電極とローサイドスイッチ531のドレイン電極とが接続されている。これによりハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531とが直列接続されている。
【0026】
また、ハイサイドスイッチ521のドレイン電極にハイサイドダイオード521aのカソード電極が接続されている。ハイサイドスイッチ521のソース電極にハイサイドダイオード521aのアノード電極が接続されている。これによりハイサイドスイッチ521にハイサイドダイオード521aが逆並列接続されている。
【0027】
同様にして、ローサイドスイッチ531のドレイン電極にローサイドダイオード531aのカソード電極が接続されている。ローサイドスイッチ531のソース電極にローサイドダイオード531aのアノード電極が接続されている。これによりローサイドスイッチ531にローサイドダイオード531aが逆並列接続されている。
【0028】
以上に示したハイサイドスイッチ521とハイサイドダイオード521aが第1半導体チップに形成されている。ローサイドスイッチ531とローサイドダイオード531aが第2半導体チップに形成されている。
【0029】
なお、ハイサイドダイオード521aはハイサイドスイッチ521のボディダイオードでもよいし、それとは別のダイオードでもよい。ローサイドダイオード531aはローサイドスイッチ531のボディダイオードでもよいし、それとは別のダイオードでもよい。スイッチとダイオードの形成される半導体チップが異なってもよい。
【0030】
ハイサイドスイッチ521のドレイン電極にドレイン端子540aが接続されている。ローサイドスイッチ531のソース電極にソース端子540bが接続されている。ハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531との間の中点に中点端子540cが接続されている。ハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531それぞれのゲート電極にゲート端子540dが接続されている。
【0031】
ドレイン電極とソース電極が第1電極と第2電極に相当する。ドレイン端子540a、ソース端子540b、および、中点端子540cが第1端子と第2端子に含まれる。ゲート端子540dが制御端子に含まれる。
【0032】
これまでに説明した半導体チップの全てと端子の一部が被覆樹脂520によって被覆保護されている。端子の先端側が被覆樹脂520から露出されている。この端子の先端がPバスバ501~W相バスバ505と制御基板580に接続される。
【0033】
ドレイン端子540aの先端がPバスバ501に接続されている。ソース端子540bの先端がNバスバ502に接続されている。これによりハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531とがPバスバ501からNバスバ502へ向かって順に直列接続されている。
【0034】
U相半導体モジュール511の中点端子540cがU相バスバ503を介してモータ400のU相ステータコイルに接続されている。V相半導体モジュール512の中点端子540cがV相バスバ504を介してV相ステータコイルに接続されている。W相半導体モジュール513の中点端子540cがW相バスバ505を介してW相ステータコイルに接続されている。
【0035】
そして、U相半導体モジュール511~W相半導体モジュール513それぞれに含まれるハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531それぞれのゲート端子540dが制御基板580に接続されている。
【0036】
この制御基板580にゲートドライバが含まれている。この制御基板580若しくは他の基板に複数のECUのうちの1つが含まれている。図面において制御基板580をCBと表記している。
【0037】
ECUは制御信号を生成する。この制御信号がゲートドライバに入力される。ゲートドライバは制御信号を増幅し、それをゲート端子540dに出力する。これによりハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531が開閉制御される。
【0038】
ECUは制御信号としてパルス信号を生成している。ECUはこのパルス信号のオンデューティ比と周波数を調整している。このオンデューティ比と周波数は図示しない電流センサや回転角センサの出力、および、モータ400の目標トルクやバッテリ200のSOCなどに基づいて決定される。
【0039】
モータ400を力行する場合、ECUからの制御信号の出力によって3相の半導体モジュールの備えるハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531それぞれがPWM制御される。これにより電力変換装置500で3相交流が生成される。
【0040】
モータ400が発電(回生)する場合、ECUは例えば制御信号の出力を停止する。これにより発電によって生成された交流電力が3相の半導体モジュールの備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。
【0041】
なお、U相半導体モジュール511~W相半導体モジュール513それぞれの備えるスイッチの種類としては特に限定されない。このスイッチとしては、MOSFETに代わって、例えばIGBTを採用することができる。また、U相半導体モジュール511~W相半導体モジュール513それぞれの備えるスイッチの種類は同一でも不同でもよい。
【0042】
そして、スイッチやダイオードなどの半導体素子の形成される半導体チップの形成材料は特に限定されない。半導体チップの形成材料としては、例えばSiなどの半導体やSiCなどのワイドギャップ半導体を適宜採用することができる。
【0043】
また、各半導体モジュールは並列接続された複数のハイサイドスイッチ521と、並列接続された複数のローサイドスイッチ531を備えてもよい。係る構成においても、複数のスイッチそれぞれにダイオードが逆並列接続されている。
【0044】
<電力変換ユニットの構成>
次に、電力変換ユニット300の構成を説明する。それに当たって、以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、z方向とする。x方向が横方向に相当する。y方向が縦方向に相当する。z方向が並び方向に相当する。
【0045】
<被覆樹脂>
U相半導体モジュール511~W相半導体モジュール513それぞれは上記した被覆樹脂520を有している。被覆樹脂520は例えばエポキシ系樹脂からなる。被覆樹脂520は例えばトランスファモールド法により成形されている。これまでに説明した半導体チップの全てと各種端子の一部がこの被覆樹脂520によって一体的に被覆されている。被覆樹脂520が樹脂部に相当する。
【0046】
図2と
図3に示すように被覆樹脂520はz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。被覆樹脂520は6面を有する直方体形状を成している。被覆樹脂520は、x方向で離間して並ぶ左面520aと右面520b、y方向で離間して並ぶ上面520cと下面520d、および、z方向で離間して並ぶ第1主面520eと第2主面520fを有する。
【0047】
図2に示すように、本実施形態では下面520dからドレイン端子540a、ソース端子540b、および、中点端子540cそれぞれの先端が露出している。これら3つの端子の先端側は、下面520dから離間する態様でy方向に延びている。左面520aから右面520bに向かって、ドレイン端子540a、ソース端子540b、および、中点端子540cが順にx方向に並んでいる。
【0048】
また、上面520cからゲート端子540dの先端が露出している。ゲート端子540dの先端側は、上面520cから離間する態様でy方向に延びた後、屈曲して、第1主面520e側に向かってz方向に延びている。
【0049】
図示しないが、半導体チップに接続された導電部の一部が被覆樹脂520によって被覆されている。そしてこの導電部の残りが被覆樹脂520の第1主面520eと第2主面520fそれぞれから露出されている。導電部は半導体チップで生じた熱を被覆樹脂520の外に熱伝導する機能を果たしている。また本実施形態の導電部はハイサイドスイッチ521とローサイドスイッチ531を直列接続する機能も果たしている。
【0050】
<冷却器>
電力変換ユニット300は、電力変換装置500の他に、
図4~
図7に示す冷却器700を有する。冷却器700はこれまでに説明したU相半導体モジュール511~W相半導体モジュール513それぞれを冷却する機能を果たす。
【0051】
図4に示すように冷却器700は供給管710、排出管720、および、冷却部730を有する。供給管710と排出管720は冷却部730を介して連結されている。供給管710に冷媒が供給される。この冷媒は冷却部730の内部を介して供給管710から排出管720へ流れる。
【0052】
供給管710と排出管720はそれぞれz方向に延びている。供給管710と排出管720はx方向で離間している。冷却部730はz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。
【0053】
<冷却部>
細分化して説明すると、冷却部730は、対向部731と、第1腕部732と、第2腕部733と、を有する。対向部731に第1腕部732と第2腕部733それぞれが連結されている。これら3つの構成要素それぞれは冷媒の流動する中空を有する。これら3つの構成要素それぞれの中空が連通している。
【0054】
第1腕部732に供給管710が連結される。第2腕部733に排出管720が連結される。係る構成のため、供給管710から供給された冷媒は、第1腕部732を介して対向部731に流動する。対向部731を流動した冷媒は第2腕部733を介して排出管720に流動する。この冷媒の流動方向は
図4において実線矢印で示している。
【0055】
対向部731は、x方向で離間して並ぶ第1側面731aと第2側面731b、y方向で離間して並ぶ第3側面731cと第4側面731d、および、z方向で離間して並ぶ外面731eと内面731fを有する。第1側面731aと第2側面731bが2つの側面に相当する。第3側面731cと第4側面731dが2つの端面に相当する。
【0056】
第1腕部732と第2腕部733それぞれは対向部731の第4側面731dに連結されている。第1腕部732と第2腕部733はx方向で離間している。x方向において、第1腕部732は第2腕部733よりも第1側面731a側に位置している。第2腕部733は第1腕部732よりも第2側面731b側に位置している。
【0057】
第1腕部732と第2腕部733それぞれは第4側面731dから離間する態様でy方向に延びている。第1腕部732と第2腕部733それぞれはz方向で並ぶ上外面730aと下内面730bを有する。上外面730aは外面731eと面一になっている。下内面730bの対向部731側は内面731fと面一になっている。しかしながら下内面730bの対向部731からy方向に離間した先端側は内面731fよりも、z方向において上外面730aから離間する方向にわずかながら突起している。
【0058】
第1腕部732の下内面730bにおける内面731fよりもわずかに突起した部位に供給管710が連結される。第2腕部733の下内面730bにおける内面731fよりもわずかに突起した部位に排出管720が連結される。換言すれば、第1腕部732の先端側の下内面730bに供給管710が連結される。第2腕部733の先端側の下内面730bに排出管720が連結される。
【0059】
第1腕部732と第2腕部733それぞれの延長方向と供給管710と排出管720それぞれの延長方向とが交差関係になっている。そのため、供給管710内を流動した冷媒の流動方向は、供給管710と第1腕部732との連結個所で変更される。第2腕部733内を流動した冷媒の流動方向は、第2腕部733と排出管720との連結個所で変更される。
【0060】
以下においては表記を簡便とするため、第1腕部732と第2腕部733それぞれの対向部731側を延長部734と示す。第1腕部732と第2腕部733それぞれの先端側を管連結部735と示す。この管連結部735で冷媒の流動方向が変更される。
【0061】
<供給管と排出管のx方向の位置>
例えば
図5に示すように、延長部734のx方向の長さはL1で一定になっている。これに対して管連結部735のx方向の長さは不定になっている。管連結部735における供給管710や排出管720の連結される部位は、z方向に直交する平面において円形を成している。
図5では供給管710と排出管720を破線で示している。
【0062】
供給管710と排出管720それぞれの外径は延長部734のx方向の長さよりも長くなっている。そのために管連結部735のx方向の最長の長さL2は延長部734のx方向の最長の長さL1よりも長くなっている。
【0063】
係るx方向の長さの長短関係、および、延長部734と管連結部735それぞれの形状のため、管連結部735のy方向への投影領域の一部に延長部734の全てが位置している。そして本実施形態では、管連結部735のy方向への投影領域における延長部734と重ならない非重複領域NOAに、第4側面731dが位置している。
図5では非重複領域NOAにおける管連結部735と第4側面731dとの間の領域を二点鎖線で囲って示している。
【0064】
当然ながらにして、管連結部735の非重複領域NOAの位置する第4側面731dはx方向において第1側面731aと第2側面731bとの間に位置する。そして、管連結部735の連結される延長部734は第4側面731dからy方向に延びている。
【0065】
係る構成のため、第1腕部732と第2腕部733それぞれの管連結部735のx方向の位置は、第1側面731aと第2側面731bとの間になっている。第1腕部732と第2腕部733それぞれの全てのx方向の位置は、第1側面731aと第2側面731bとの間になっている。第1腕部732に連結される供給管710と第2腕部733に連結される排出管720それぞれの全てのx方向の位置は、第1側面731aと第2側面731bとの間になっている。
【0066】
なお、本実施形態では、第3側面731cにおける冷媒を流動する中空を区画する部位は、第4側面731dにおける冷媒を流動する中空を区画する部位よりもx方向の長さが短くなっている。これは、第1腕部732から対向部731への冷媒の流動と、対向部731から第2腕部733への冷媒の流動をスムースに行わせるためである。
【0067】
係る長さの相違のため、例えば
図5に示すように、第1側面731aと第2側面731bそれぞれは、z方向に直交する平面において、y方向に対して傾斜した方向に延長している。第1側面731aと第2側面731bそれぞれは、第1側面731aと第2側面731bとの間の離間距離がy方向において第3側面731cから第4側面731dに向かうにしたがって徐々に延長するように、傾斜して延びている。
【0068】
そのため、厳密に言うと、第1腕部732と第2腕部733それぞれの全てのx方向の位置は、第1側面731aの第4側面731d側と第2側面731bの第4側面731d側との間になっている。第1腕部732に連結される供給管710と第2腕部733に連結される排出管720それぞれの全てのx方向の位置は、第1側面731aの第4側面731d側と第2側面731bの第4側面731d側との間になっている。
【0069】
<囲み領域>
以上に示した構成のため、
図5に示すように、冷却部730のz方向に面する平面形状はC字形状を成している。冷却部730の備える対向部731、第1腕部732、および、第2腕部733によって囲み領域EAが区画されている。
【0070】
この囲み領域EAは、y方向において、第4側面731dと、第1腕部732の先端と第2腕部733の先端とを結ぶ仮想直線VSLと、によって区画されている。囲み領域EAは、x方向において、第1腕部732の第2腕部733側の内側面と、第2腕部733の第1腕部732側の内側面と、によって区画されている。
図5では囲み領域EAを斜線のハッチングで示している。仮想直線VSLを二点鎖線で示している。
【0071】
<パワーモジュール>
冷却器700は電力変換装置500とともに、例えばアルミダイカストで製造された筐体800に収納される。そして冷却部730の対向部731は、
図6に示すように、この筐体800の壁部810とz方向で離間しつつ対向配置される。
【0072】
対向部731の内面731fと壁部810の載置面810aとの間に空隙が構成(区画)されている。この空隙にU相半導体モジュール511、V相半導体モジュール512、および、W相半導体モジュール513が設けられる。これら複数の半導体モジュールと冷却器700がパワーモジュール900に含まれている。
【0073】
U相半導体モジュール511、V相半導体モジュール512、および、W相半導体モジュール513はx方向において第1側面731a側から第2側面731b側に向かって順に並んでいる。これら複数の半導体モジュールの被覆樹脂520が対向部731と壁部810との間の空隙に設けられている。
【0074】
冷却部730の対向部731には、
図6において白抜き矢印で示す付勢力が付与される。この付勢力によって、複数の半導体モジュールは対向部731と壁部810との間で挟持されている。
【0075】
図示しないが、対向部731の内面731fと半導体モジュールの被覆樹脂520の第1主面520eとの間にグリースなどの伝熱部材が設けられている。同様にして、被覆樹脂520の第2主面520fと載置面810aとの間にグリースなどの伝熱部材が設けられている。係る構成により、半導体モジュールは冷却器700と壁部810とに積極的に熱伝導可能となっている。ただし、上記した伝熱部材はなくともよい。
【0076】
なお、半導体モジュールの設けられる壁部810は筐体800の一部でなくともよい。半導体モジュールは筐体800とは別体の壁部810に設けられてもよい。壁部810の内部に冷媒の流動する流通経路が構成されてもよい。
【0077】
図5と
図6に示すように、被覆樹脂520の上面520c側と下面520d側それぞれが空隙の外に設けられている。これに伴い、上面520cから露出したゲート端子540dの先端側が空隙の外に設けられている。下面520dから露出したドレイン端子540a、ソース端子540b、および、中点端子540cそれぞれの先端側が空隙の外に設けられている。
【0078】
図6に示すように、ゲート端子540dは上面520cから離間するようにy方向に延びた後、屈曲して、壁部810から離間するようにz方向に延びている。ゲート端子540dはy方向において対向部731の第3側面731cと対向している。
【0079】
ドレイン端子540a、ソース端子540b、および、中点端子540cそれぞれは下面520dから離間するようにy方向に延びている。これら下面520dから突出した複数の端子の先端のz方向の位置は対向部731の内面731fと壁部810の載置面810aとの間に位置している。そしてこれら複数の端子の先端はz方向において上記した囲み領域EAと並んでいる。
【0080】
また、これら下面520dから突出した複数の端子の先端は、
図5に示すように、z方向に直交する平面に沿う方向において、供給管710と排出管720それぞれと対向している。特に、
図7において重なった領域を破線で示すように、端側に位置するU相半導体モジュール511の被覆樹脂520の下面520dとこの下面520dから突出したドレイン端子540aそれぞれがy方向で供給管710と対向している。W相半導体モジュール513の被覆樹脂520の下面520dとこの下面520dから突出した中点端子540cがy方向で排出管720と対向している。
【0081】
上記したように中点端子540cには相バスバが接続される。図示しないが、この相バスバも囲み領域EAとz方向で並んでいる。なお、相バスバの一部が囲み領域EAに設けられる構成を採用することもできる。
【0082】
また、ドレイン端子540aにPバスバ501が接続される。ソース端子540bにNバスバ502が接続される。これらPバスバ501とNバスバ502が囲み領域EAとz方向で並んでもよいし、その一部が囲み領域EAに設けられてもよい。
【0083】
<作用効果>
上記したように、第1腕部732に連結される供給管710と第2腕部733に連結される排出管720それぞれが半導体モジュールの備える被覆樹脂520の下面520dとy方向で対向している。これにより冷却器700のx方向の体格の増大が抑制される。パワーモジュール900のx方向の体格の増大が抑制される。
【0084】
特に本実施形態では、第1腕部732、供給管710、第2腕部733、および、排出管720それぞれの全てのx方向の位置が、対向部731の第1側面731aと第2側面731bとの間になっている。このために冷却器700のx方向の体格の増大が抑制される。
【0085】
また、冷却部730に特化して言えば、第1腕部732と第2腕部733それぞれの全てのx方向の位置が、第1側面731aと第2側面731bとの間になっている。このために冷却部730のx方向の体格の増大が抑制される。
【0086】
上記したように、半導体モジュールの備える被覆樹脂520の下面520dから突出した複数の端子の先端が、z方向に直交する平面に沿う方向において、供給管710と排出管720それぞれと対向している。特に、U相半導体モジュール511のドレイン端子540aがy方向で供給管710と対向している。W相半導体モジュール513の中点端子540cがy方向で排出管720と対向している。
【0087】
これによれば半導体モジュールの端子と冷却器700との間の熱抵抗が低くなる。これにより端子の昇温が抑制される。
【0088】
冷却部730の備える対向部731、第1腕部732、および、第2腕部733によって区画される囲み領域EAと被覆樹脂520の下面520dから突出した複数の端子の先端とがz方向で並んでいる。
【0089】
これによれば囲み領域EAに位置する空気が冷却部730の備える3つの構成要素の中空を流動する冷媒によって降温されやすくなる。この空気によって下面520dから突出した複数の端子の先端が降温されやすくなる。
【0090】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を
図8と
図9に基づいて説明する。
【0091】
第1実施形態では、被覆樹脂520の上面520cからゲート端子540dの先端が露出し、下面520dからドレイン端子540a、ソース端子540b、および、中点端子540cそれぞれの先端が露出する例を示した。
【0092】
これに対して本実施形態では、被覆樹脂520の上面520cからドレイン端子540a、ソース端子540b、および、中点端子540cそれぞれの先端が露出し、下面520dからゲート端子540dの先端が露出している。
【0093】
そしてこのゲート端子540dにおけるz方向に延びる部位の一部が囲み領域EAに位置している。これによりゲート端子540dは囲み領域EAの空気と積極的に熱交換しやすくなる。
【0094】
なお本実施形態に記載のパワーモジュール900には、第1実施形態に記載のパワーモジュール900と同等の構成要素が含まれている。そのために本実施形態のパワーモジュール900が第1実施形態に記載のパワーモジュール900と同等の作用効果を奏することは言うまでもない。そのためにその記載を省略する。
【0095】
(第1の変形例)
上面520cと下面520dから露出される端子の組み合わせは、第1実施形態と第2実施形態で示した構成に限定されない。上面520cと下面520dのいずれからドレイン端子540a、ソース端子540b、中点端子540c、および、ゲート端子540dが露出されるのかは特に限定されない。
【0096】
例えば
図10と
図11に示すように、上面520cからドレイン端子540aとソース端子540bが露出される構成を採用することもできる。
図10に示す変形例では、下面520dから中点端子540cとゲート端子540dが露出されている。
図11に示す変形例では、下面520dから同電位の2つの中点端子540cとゲート端子540dが露出されている。
【0097】
例えば
図12と
図13に示すように、上面520cからドレイン端子540a、ソース端子540b、および、ゲート端子540dが露出される構成を採用することもできる。これら
図12と
図13に示すように、上面520cから露出されるゲート端子540dの数は特に限定されない。
【0098】
図12に示す変形例では、下面520dから同電位の2つの中点端子540cが露出されている。
図13に示す変形例では、下面520dから同電位の2つの中点端子540cとゲート端子540dが露出されている。上面520cから露出されるゲート端子540dの数と下面520dから露出されるゲート端子540dの数は不同でも同一でもよい。
【0099】
(第2の変形例)
各実施形態では冷却器700の対向部731と筐体800の壁部810との間に区画された空隙に半導体モジュールが設けられる例を示した。しかしながら、例えば、2つの冷却器700を用意して、2つの対向部731の間の空隙に半導体モジュールが設けられる構成を採用することもできる。
【0100】
(第3の変形例)
各実施形態では冷却器700の対向部731と筐体800の壁部810との間に区画された空隙に複数の半導体モジュールが設けられる例を示した。しかしながら、この空隙に1つの半導体モジュールが設けられる構成を採用することもできる。そしてこの1つの半導体モジュールが供給管710と排出管720のうちの少なくとも一方とy方向で対向する構成を採用することもできる。
【0101】
(その他の変形例)
本実施形態では電力変換装置500にインバータが含まれる例を示した。しかしながら電力変換装置500にはインバータのほかにコンバータが含まれてもよい。
【0102】
本実施形態では電力変換ユニット300が電気自動車用の車載システム100に含まれる例を示した。しかしながら電力変換ユニット300の適用としては特に上記例に限定されない。例えばモータと内燃機関を備えるハイブリッドシステムに電力変換ユニット300が含まれる構成を採用することもできる。
【0103】
本実施形態では電力変換ユニット300に1つのモータ400が接続される例を示した。しかしながら電力変換ユニット300に複数のモータ400が接続される構成を採用することもできる。この場合、電力変換ユニット300はインバータを構成するための3相の半導体モジュールを複数有する。
【0104】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0105】
511…U相半導体モジュール、512…V相半導体モジュール、513…W相半導体モジュール、520…被覆樹脂、521…ハイサイドスイッチ、531…ローサイドスイッチ、540a…ドレイン端子、540b…ソース端子、540c…中点端子、540d…ゲート端子、700…冷却器、710…供給管、720…排出管、730…冷却部、731…対向部、731a…第1側面、731b…第2側面、731c…第3側面、731d…第4側面、732…第1腕部、733…第2腕部