IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-点灯ユニットおよび非常用照明装置 図1
  • 特許-点灯ユニットおよび非常用照明装置 図2
  • 特許-点灯ユニットおよび非常用照明装置 図3
  • 特許-点灯ユニットおよび非常用照明装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】点灯ユニットおよび非常用照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20240910BHJP
【FI】
H05B47/105
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021002349
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107412
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
(72)【発明者】
【氏名】阿野 康則
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-099159(JP,A)
【文献】特開2001-268897(JP,A)
【文献】特表2019-525435(JP,A)
【文献】特開2019-207778(JP,A)
【文献】特開2020-036419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から電力を供給され、電池を充電する常用電源回路と、
前記外部電源が停電状態のとき、前記電池から電力を供給され光源部を点灯させる非常用電源回路と、
前記非常用電源回路を制御し、第1閾値と第2閾値を記憶する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記外部電源の電圧が前記第1閾値未満のとき前記外部電源の状態を前記停電状態と判別し、前記外部電源の電圧が前記第1閾値以上かつ前記第1閾値よりも大きい前記第2閾値未満のとき前記外部電源の状態を電圧低下状態と判別し、前記外部電源の電圧が前記第2閾値以上のとき前記外部電源の状態を正常状態と判別することを特徴とする点灯ユニット。
【請求項2】
前記制御部は、前記外部電源の状態を前記電圧低下状態と判別すると、前記外部電源が前記正常状態のときよりも前記常用電源回路の出力電力を低下させることを特徴とする請求項1に記載の点灯ユニット。
【請求項3】
前記外部電源の電圧に応じてオン時間が変化するスイッチング素子を有する停電検出回路を備え、
前記制御部は、前記スイッチング素子のオン時間により前記停電状態と前記電圧低下状態と前記正常状態を判別することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の点灯ユニット。
【請求項4】
前記停電検出回路には、前記外部電源に対応する全波整流波が入力され、
前記スイッチング素子は前記全波整流波の電圧値が予め定められた値よりも大きいときにオン状態となることを特徴とする請求項3に記載の点灯ユニット。
【請求項5】
前記制御部は、前記外部電源の電圧が前記第1閾値未満の状態が予め定められた時間継続すると、前記外部電源の状態を前記停電状態と判別することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の点灯ユニット。
【請求項6】
前記制御部は、前記外部電源の電圧が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満の状態が予め定められた時間継続すると、前記外部電源の状態を前記電圧低下状態と判別することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の点灯ユニット。
【請求項7】
前記制御部は、前記外部電源の電圧が前記第2閾値以上の状態が予め定められた時間継続すると、前記外部電源の状態を前記正常状態と判別することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の点灯ユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の点灯ユニットと、
前記光源部と、
を備えることを特徴とする非常用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯ユニットおよび非常用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電源回路、電圧検出回路、充電回路、点灯回路および蓄電池を備えた照明器具が開示されている。電源回路は、直流電圧源から供給される入力電力から出力電力を生成する。電圧検出回路は、直流電圧源から入力される入力電圧と閾値電圧との高低に応じた検出信号を出力する。入力電圧が閾値電圧よりも高いことを示す検出信号を電圧検出回路が出力している場合には、充電回路は電源回路の出力電力で蓄電池を充電する。入力電圧が閾値電圧よりも低いことを示す検出信号を電圧検出回路が出力している場合には、点灯回路が蓄電池を電源として光源を点灯させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6562354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、照明器具の制御に用いられる入力電圧についての情報は、入力電圧と閾値電圧との高低についての情報のみである。このため、十分な制御ができない可能性がある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、外部電源の電圧を詳細にモニタすることが可能な点灯ユニットおよび非常用照明装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る点灯ユニットは、外部電源から電力を供給され、電池を充電する常用電源回路と、前記外部電源が停電状態のとき、前記電池から電力を供給され光源部を点灯させる非常用電源回路と、前記非常用電源回路を制御し、第1閾値と第2閾値を記憶する制御部と、を備え、前記制御部は、前記外部電源の電圧が前記第1閾値未満のとき前記外部電源の状態を前記停電状態と判別し、前記外部電源の電圧が前記第1閾値以上かつ前記第1閾値よりも大きい前記第2閾値未満のとき前記外部電源の状態を電圧低下状態と判別し、前記外部電源の電圧が前記第2閾値以上のとき前記外部電源の状態を正常状態と判別する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る点灯ユニットでは、制御部は第1閾値と第2閾値を用いて停電状態と電圧低下状態と正常状態とを判別する。従って、制御部は、外部電源の電圧を詳細にモニタすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る非常用照明装置の回路ブロック図である。
図2】実施の形態1に係る停電検出回路の構成を示す図である。
図3】実施の形態1に係るコンデンサの両端電圧と制御部への印加電圧の波形を示す図である。
図4】比較例に係る常用電源回路への入力電圧とスイッチング素子のドレイン電流の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各本実施の形態に係る点灯ユニットおよび非常用照明装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。なお、本開示は以下で説明される実施の形態により限定されるものではない。また、以下で接続という場合には、電気的な接続を含むものとする。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る非常用照明装置100の回路ブロック図である。非常用照明装置100は、点灯ユニット10と、光源部30を備える。光源部30は、非常時に明るさを確保するための光源を備える。光源は例えばLEDである。光源部30をLEDで構成することで非常用照明装置100の消費エネルギーを抑制できる。
【0011】
非常用照明装置100は、光源部30を点灯させるために電池50を搭載している。点灯ユニット10は、外部電源ACから電力を供給され、電池50を充電する。外部電源ACは交流電源である。電池50は、停電等の非常時に光源部30に電力を供給し、光源部30を点灯させる。電池50は、充電可能な電池であれば良い。電池50は、例えばニカド電池、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池などの2次電池である。
【0012】
点灯ユニット10は、ダイオードブリッジ1と、常用電源回路2と、充電回路3と、停電検出回路5と、非常用電源回路6と、制御部7を備える。
【0013】
ダイオードブリッジ1は、交流を直流に変換する。ダイオードブリッジ1の出力は、常用電源回路2に接続される。ダイオードブリッジ1の出力の低電位側は、接地用端子に接続される。
【0014】
常用電源回路2は、絶縁形フライバック回路で構成される。常用電源回路2は、常用時に外部電源ACから電力を供給され、電池50を充電する。ここで常用時とは、外部電源ACが停電状態または疑似停電状態では無い状態を示す。なお、以下の説明において特に断りが無い限り、停電状態または疑似停電状態をまとめて停電状態と称する。常用電源回路2は、コンデンサ11、13、24、抵抗12、17、22、23、トランス14、スイッチング素子15を備える。また常用電源回路2は、制御IC(Integrated Circuit)16、フォトカプラ18、疑似停電発生回路19、ダイオード20、電解コンデンサ21を備える。
【0015】
常用電源回路2において、外部電源ACの全波波形とスイッチングによるリップルを低減するために、ダイオードブリッジ1の出力と並列にコンデンサ11が接続される。コンデンサ11の正極には、抵抗12の一端およびトランス14の一次側の一端が接続される。
【0016】
トランス14の一次側の他端には、スイッチング素子15の第1端子が接続される。スイッチング素子15の第2端子はコンデンサ11の負極に接続される。スイッチング素子15の制御端子は、制御IC16に接続される。制御端子は、第1端子、第2端子間をスイッチングするための端子である。制御IC16は、常用電源回路2を制御する。
【0017】
スイッチング素子15は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子15がMOSFETの場合、第1端子はドレイン端子、第2端子はソース端子、制御端子はゲート端子である。スイッチング素子15において、第1端子がトランス14と接続され、第2端子が接地用端子と接続され、制御端子が制御IC16と接続される。
【0018】
制御IC16は、例えばDCDCドライバである。制御IC16は、スイッチング素子15を駆動させる。抵抗12、コンデンサ13で形成された直列回路は、コンデンサ11と並列に接続され、制御IC16に電源を供給する。
【0019】
制御IC16には抵抗17を介してフォトカプラ18が接続される。抵抗17およびフォトカプラ18は、トランス14の二次側の情報を制御IC16に入力するために設けられる。
【0020】
疑似停電発生回路19は、疑似停電状態を発生させることができる回路である。疑似停電発生回路19は、疑似停電点検スイッチ、リモコン点検ボタンなどを備える。疑似停電発生回路19は、例えば疑似停電点検スイッチをオンにすることをトリガとして、制御IC16にスイッチングを停止させることができる。これにより疑似停電発生回路19は、疑似的に停電状態を作り出すことができる。したがって、外部電源ACの停電時に非常用照明装置100が正常に動作するか否かを確認できる。
【0021】
トランス14の二次側のフライバック巻き線の一端には、ダイオード20のアノードが接続される。ダイオード20は、トランス14の二次側に直列に接続され、出力側に安定した電圧を伝達するために設けられる。ダイオード20のカソードには、電解コンデンサ21の正極が接続される。電解コンデンサ21の負極は、接地用端子に接続される。
【0022】
常用電源回路2の接地用の経路において、トランス14の一次側と二次側は、コンデンサ24によって絶縁されている。
【0023】
常用電源回路2は、常用電源出力電圧検出部を備える。常用電源出力電圧検出部は、直列に接続された抵抗22と抵抗23から構成される。常用電源出力電圧検出部は、電解コンデンサ21と並列に接続される。抵抗22と抵抗23の分圧値は、制御部7であるマイクロコンピュータに入力される。これにより制御部7は、常用電源回路2の出力電圧を検出する。
【0024】
制御部7は、常用電源回路2の出力電圧に応じて目標値を算出する。その後、制御部7は、出力端子から目標値に対応する電圧を出力する。この電圧は、フォトカプラ18を介して一次側に伝達される。フォトカプラ18の一次側は、制御IC16に接続される。制御IC16は、フォトカプラ18を介して制御部7から目標値を受信する。制御IC16は、この目標値と常用電源回路2の出力電圧が一致するようにスイッチング素子15のオンオフ制御をする。これにより、絶縁型フライバック回路である常用電源回路2のフィードバックが実現する。
【0025】
常用電源回路2の出力には、充電回路3を介して電池50が接続される。常用電源回路2の出力電圧は、充電回路3を介して電池50に供給される。これにより、電池50が充電される。
【0026】
非常用電源回路6は、昇圧型スイッチング回路で構成されている。非常用電源回路6は、外部電源ACの停電時等の非常時に動作し、電池50の出力電圧を昇圧して光源部30を点灯させる。すなわち、非常用電源回路6は、外部電源ACが停電状態のとき、直流電源である電池50から電力を供給され光源部30を点灯させる。
【0027】
非常用電源回路6の入力端にはコンデンサ34が並列に接続される。コンデンサ34の正極には、電池50の正極とコイル53の一端が接続される。コンデンサ34の負極は、接地用端子に接続される。コイル53の他端は、ダイオード54のアノードに接続される。ダイオード54のカソードは、コンデンサ58の正極に接続される。コンデンサ58の負極はコンデンサ34の負極に接続される。すなわち、コンデンサ34と並列にコイル53、ダイオード54、コンデンサ58の順で接続された直列回路が接続されている。
【0028】
コイル53とダイオード54の接続点と接地用端子との間には、スイッチング素子55が接続されている。スイッチング素子55の第1端子は、ダイオード54のアノードに接続される。スイッチング素子55の第2端子はコンデンサ58の負極に接続される。スイッチング素子55の制御端子は制御部7に接続される。スイッチング素子55は、例えばMOSFETである。
【0029】
コンデンサ58の正極には、光源部30のアノード側が接続される。光源部30のカソード側に抵抗59の一端が接続される。抵抗59の他端は、コンデンサ58の負極に接続される。図1では、光源部30は光源であるLEDを2つ有している。これに限らず、非常用照明装置100が備える光源の数は1つ以上であればよい。
【0030】
停電検出回路5は、外部電源ACの停電状態を検出する回路である。停電検出回路5は、コンデンサ11と並列に接続される。停電検出回路5は、コンデンサ11の両端電圧から外部電源ACの状態を検出する。停電検出回路5は制御部7に接続される。停電検出回路5は、外部電源ACの電圧低下を検出すると、外部電源ACが電圧低下状態であることを示す信号を制御部7に伝達する。これにより制御部7は、常用電源回路2の出力となる電池50の充電電流を低下させる。停電検出回路5は、外部電源ACの停電を検出すると、外部電源ACが停電状態であることを示す信号を制御部7に伝達する。制御部7は、停電検出回路から当該信号を受けると、非常用電源回路6を動作させる。
【0031】
非常用電源回路6は、非常用電源出力電圧検出部を備える。非常用電源出力電圧検出部は、直列に接続された抵抗56と抵抗57から構成される。非常用電源出力電圧検出部は、コンデンサ58と並列に接続される。抵抗56と抵抗57の分圧値は、制御部7に入力される。これにより、制御部7は非常用電源回路6の出力電圧を検出する。
【0032】
非常用電源回路6は、出力電流検出部を備える。出力電流検出部は、光源部30のカソード側に接続された抵抗59から構成される。非常用電源回路6が動作すると、コンデンサ58には電池50の出力電圧が昇圧された電圧が印加される。コンデンサ58に印加される電圧は、非常用電源回路6の出力電圧である。抵抗59には、光源部30を流れる電流に対応する電圧が発生する。抵抗59に発生する電圧は、制御部7に入力される。これにより制御部7は、非常用電源回路6の出力電流を検出する。
【0033】
制御部7は、非常用電源出力電圧検出部で検出した出力電圧に応じて、出力電流の目標値を設定する。制御部7は、目標値が実現されるようにスイッチング素子55をオンオフさせる。このように、制御部7は非常用電源回路6を定電力フィードバック制御する。以上から、光源部30の電力は一定に制御される。
【0034】
続いて制御部7について説明する。制御部7は例えばマイクロコンピュータで構成される。マイクロコンピュータは各種の演算を行うCPUと、メモリと、タイマを備える。メモリは、例えば不揮発性メモリから構成される。
【0035】
制御部7は、停電検出回路5から入力された外部電源ACの電圧値と、予めプログラムされた閾値とを比較し、外部電源ACの状態を判別する。なお、閾値はマイクロコンピュータのメモリに記憶されている。制御部7はメモリから閾値を読み出し、外部電源ACの電圧値と比較して外部電源ACまたは電池50の状態を判別しても良い。以下では制御部7は、予めメモリに第1閾値と第2閾値を記憶しているものとして説明する。
【0036】
図2は、実施の形態1に係る停電検出回路5の構成を示す図である。停電検出回路5は、抵抗91、92、95、96、ツェナーダイオード93、フォトカプラ94、スイッチング素子97を備える。
【0037】
コンデンサ11の両端には、直列に接続された抵抗91、抵抗92が接続される。抵抗91と抵抗92の接続点に、ツェナーダイオード93のカソードが接続される。ツェナーダイオード93のアノードにはスイッチング素子97の制御端子が接続される。
【0038】
スイッチング素子97は、例えばトランジスタである。スイッチング素子97がトランジスタの場合、第1端子はコレクタであり、第2端子はエミッタであり、制御端子はベースである。
【0039】
スイッチング素子97の第1端子には、抵抗95、フォトカプラ94の一次側を介して、電源Vcc1からの電圧が印可される。スイッチング素子97の第2端子は常用電源回路2の一次側の接地用端子に接続される。
【0040】
電源Vcc2、フォトカプラ94の二次側、抵抗96は、この順で直列に接続される。抵抗96のフォトカプラ94と反対側の端部は、常用電源回路2の二次側の接地用端子に接続される。抵抗96に発生する電圧は、検出電圧として制御部7に印加される。
【0041】
図3は、実施の形態1に係るコンデンサ11の両端電圧と制御部7への印加電圧の波形を示す図である。停電検出回路5が外部電源ACの電圧を検出する方法について詳しく説明する。
【0042】
外部電源ACはダイオードブリッジ1で整流され、コンデンサ11の両端に印可される。コンデンサ11の両端電圧は、抵抗91、抵抗92で分圧され、さらにツェナーダイオード93で電圧降下される。ツェナーダイオード93のアノードにはスイッチング素子97が接続されている。このため、コンデンサ11の両端電圧が抵抗91、抵抗92およびツェナーダイオード93により設計された電圧に到達すると、スイッチング素子97がオンする。スイッチング素子97がオンすると、電源Vcc1から抵抗95を介してフォトカプラ94に電流が流れる。フォトカプラ94の二次側には電源Vcc2が接続されている。このため、電源Vcc2からフォトカプラ94の二次側、抵抗96の順で電流が流れ、抵抗96に電圧が発生する。
【0043】
つまり、図3に示されるように、外部電源ACの電圧が大きいとき、スイッチング素子97のオン時間が長くなり、外部電源ACの電圧が小さいとき、スイッチング素子97のオン時間が短くなる。制御部7はスイッチング素子97のオン時間を抵抗96に発生する電圧として検出する。
【0044】
このように本実施の形態では、停電検出回路5は、外部電源ACの電圧に応じてオン時間が変化するスイッチング素子97を有する。具体的には、停電検出回路5には、外部電源ACに対応する全波整流波が入力され、スイッチング素子97は全波整流波の電圧値が予め定められた値よりも大きいときにオン状態となる。よって制御部7は、スイッチング素子97のオン時間により外部電源ACの電圧を検出できる。
【0045】
なお、コンデンサ11の容量が大きいと、コンデンサ11による充放電の影響で電圧と電流の位相がずれる。このため、力率が低下するおそれがある。そこで、力率を改善するためにはコンデンサ11の容量を小さくすることが好ましい。これによりコンデンサ11の両端電圧を全波整流波とすることができる。全波整流波は脈流電圧とも呼ばれる。
【0046】
次に、制御部7が停電状態、電圧低下状態、正常状態を判別する方法を説明する。制御部7は、予めメモリに第1閾値と、第2閾値を記憶している。第2閾値は、第1閾値よりも大きい。
【0047】
停電検出回路5では、外部電源ACの電圧が大きいほどスイッチング素子97のオン時間が長くなる。停電検出回路5は、スイッチング素子97のオン時間に応じた信号を制御部7に送信する。制御部7は、スイッチング素子97のオン時間と第1閾値、第2閾値を比較し、外部電源ACの状態を判別する。制御部7は、例えば外部電源ACの電圧が第1閾値未満のとき、外部電源ACの状態を停電状態と判別する。制御部7は例えば外部電源ACの電圧が第1閾値以上かつ第2閾値未満のとき、外部電源ACの状態を電圧低下状態と判別する。制御部7は、例えば外部電源ACの電圧が第2閾値以上のとき、外部電源ACの状態を正常状態と判別する。
【0048】
本実施の形態の非常用照明装置100では、制御部7は第1閾値と第2閾値を用いて、停電状態と電圧低下状態と正常状態とを判別する。従って、制御部7は、停電状態と正常状態のみを判別する場合と比較して、外部電源ACの電圧を詳細にモニタすることができる。制御部7は正常状態において、常用電源回路2を制御して電池50を充電する。また、制御部7は停電状態において、非常用電源回路6を制御して光源部30を点灯させる。次に、電圧低下状態における制御の一例について説明する。
【0049】
図4は、比較例に係る常用電源回路2への入力電圧Vinとスイッチング素子15のドレイン電流Idの関係を示す図である。外部電源ACが低下した場合の入力電圧Vinとドレイン電流Idの波形について、詳しく説明する。
【0050】
制御IC16は、固定された周波数で動作している。このため制御IC16は、安定した出力電力を生成するために、入力電圧Vinが大きいときはスイッチング素子15のオン時間を短くし、入力電圧Vinが小さいときにはスイッチング素子15のオン時間を長く制御する。
【0051】
本実施の形態の比較例として、外部電源ACが低下したときに、制御IC16が常用電源回路2の出力電力を一定に維持する場合を仮定する。このとき、入力電圧Vinのボトム付近で、制御IC16で生成しているスイッチング周波数の周期をオン時間が超えるおそれがある。つまり、入力電圧Vinのボトム付近では正確なスイッチング制御ができない可能性がある。
【0052】
また、一般に制御ICでは、スイッチング素子の発熱および故障を防止するために、最大オン時間または最大ONDutyが内部で設定されていることがある。これにより、入力電圧Vinのボトム付近では、さらにスイッチングが困難な状況となる可能性がある。
【0053】
さらに、出力に予め定められた電力を供給するために、入力電圧Vinのボトム付近で供給できなかった電力を入力電圧Vinのピーク付近で供給する必要が生じる場合がある。つまり、入力電圧Vinのピーク付近で想定以上のオン時間となり、制御が不安定になるおそれがある。
【0054】
以上から、容量の小さいコンデンサ11を用いて力率を改善すると、入力電圧Vinが不安定となるおそれがある。従って、制御IC16における入力電圧Vinの検出値にばらつきが発生する可能性がある。
【0055】
これに対し、本実施の形態の制御部7は、外部電源ACの状態を電圧低下状態と判別すると、外部電源ACが正常状態のときよりも常用電源回路2の出力電力を低下させる。具体的には、制御部7は常用電源回路2の出力電圧の目標値を低下させる。常用電源回路2の出力電力を低下させることで、スイッチング素子15のオン時間を短くすることができる。よって、外部電源ACが低下してオン時間が増加した場合に、オン時間がスイッチング周波数の周期を超えることを抑制できる。従って、入力電圧Vinのボトム付近で正確なスイッチングを実施できる。また、入力電圧Vinのピーク付近で電力の不足分を補う必要がなくなる。従って、常用電源回路2を安定して制御できる。また、コンデンサ11の両端電圧を安定させて、外部電源ACの電圧を正確にモニタすることができる。特に、本実施の形態では照明器具に新たな部品を追加することなく外部電源ACの電圧を正確にモニタすることができる。従って、非常用照明装置100を小型化できる。
【0056】
非常用照明装置は、一般に不特定多数の人が集まる場所での火災、地震等の災害または事故の際に生じる停電時に、その場にいる人々が安全に避難できるように、室内を照明するために用いられる。非常用照明装置は、常用時は外部電源から電力を供給されて電池を充電し、外部電源ACから電力が供給されない非常時は、充電した電池からの電力を供給して光源を点灯させる。非常用照明装置は非常灯とも呼ばれる。このような非常用照明装置は、必要とされる動作が規定されている場合がある。この規定は、例えば一般社団法人日本照明工業会が定める「非常用照明器具技術」(JIL5501:2017改正追補)である。非常用照明装置は、例えば定格電圧範囲の最低値に対して40%電圧以上85%電圧未満で非常点灯に切り替わる必要がある。
【0057】
本実施の形態では、非常用照明装置100で必要とされる動作が規定されている場合にも、外部電源ACの電圧を詳細にモニタすることができ、正確な動作が実現できる。
【0058】
本実施の形態の制御部7は、スイッチング素子97のオン時間により停電状態と電圧低下状態と正常状態を判別するものとした。これに限らず、制御部7は別の方法で停電状態と電圧低下状態と正常状態を判別しても良い。また、制御IC16が停電状態と電圧低下状態と正常状態を判別して、常用電源回路2の出力電力を制御しても良い。制御部7と制御IC16の各機能は、制御部7と制御IC16のどちらで実現されても良く、1つの制御部で実現されても良い。
【0059】
また、電圧低下状態における制御は、常用電源回路2の出力電力を低下させることに限定されない。制御部7は、外部電源ACの状態を電圧低下状態と判別した場合に、別の制御を行っても良い。
【0060】
本実施の形態の変形例として、制御部7は、外部電源ACの電圧が第1閾値未満の状態が予め定められた時間継続すると、外部電源ACの状態を停電状態と判別しても良い。また、制御部7は、外部電源ACの電圧が第1閾値以上かつ第2閾値未満の状態が予め定められた時間継続すると、外部電源ACの状態を電圧低下状態と判別しても良い。また、制御部7は、外部電源ACの電圧が第2閾値以上の状態が予め定められた時間継続すると、外部電源ACの状態を正常状態と判別しても良い。これにより、一時的な電圧変動により制御が切り替わることを抑制できる。上記の予め定められた時間は、例えば瞬時的な停電または瞬間的な電圧低下を考慮した時間である。
【0061】
なお、本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 ダイオードブリッジ、2 常用電源回路、3 充電回路、5 停電検出回路、6 非常用電源回路、7 制御部、10 点灯ユニット、11 コンデンサ、12 抵抗、13 コンデンサ、14 トランス、15 スイッチング素子、16 制御IC、17 抵抗、18 フォトカプラ、19 疑似停電発生回路、20 ダイオード、21 電解コンデンサ、22 抵抗、23 抵抗、24 コンデンサ、30 光源部、34 コンデンサ、50 電池、53 コイル、54 ダイオード、55 スイッチング素子、56 抵抗、57 抵抗、58 コンデンサ、59 抵抗、91 抵抗、92 抵抗、93 ツェナーダイオード、94 フォトカプラ、95 抵抗、96 抵抗、97 スイッチング素子、100 非常用照明装置、AC 外部電源
図1
図2
図3
図4