(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240910BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240910BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20240910BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20240910BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240910BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240910BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240910BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240910BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20240910BHJP
【FI】
G06Q50/06
H01M8/00 Z
H01M8/04537
H01M8/04858
H02J3/38 120
H02J3/38 170
H02J3/00 170
H02J13/00 301A
H01M8/10 101
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2021004371
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江原 雅人
(72)【発明者】
【氏名】清水 一浩
(72)【発明者】
【氏名】田邊 怜
(72)【発明者】
【氏名】高田 奈々絵
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 直弘
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-005120(JP,A)
【文献】国際公開第2020/010326(WO,A1)
【文献】特開2014-186370(JP,A)
【文献】特開2002-044864(JP,A)
【文献】特開2006-210268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H01M 8/00
H01M 8/04537
H01M 8/04858
H02J 3/38
H02J 3/00
H02J 13/00
H01M 8/10
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生エネルギー由来の発電施設における発電に関する再生発電情報を出力する再生エネルギー発電サーバから前記再生発電情報を取得し、
水素由来の発電施設における発電に関する水素発電情報を出力する水素発電サーバからの前記水素発電情報と、水素燃料を用いた燃料電池の発電に関する燃料電池情報との少なくとも一方を取得し、
系統電力を供給する発電施設における発電に関する系統発電情報を出力する系統発電サーバから前記系統発電情報を取得し、
所定領域における複数の需要家施設が消費する電力量に関する情報を含む電力情報をそれぞれの需要家施設から取得し、
取得した、前記再生発電情報、前記水素発電情報ならびに前記燃料電池情報の少なくとも一方、前記系統発電情報、および複数の前記電力情報に基づいて、所定の需要家施設に供給する前記再生エネルギー由来の電力、前記水素由来の電力、前記燃料電池からの電力、および前記系統電力から選ばれた電力の種類の情報を含む提案情報を生成して、前記所定の需要家施設に出力するように構成されたプロセッサを備え
、
前記提案情報は、前記再生エネルギー由来の電力、前記水素由来の電力、前記燃料電池からの電力、および前記系統電力のそれぞれの電力を消費する比率の情報を含み、
前記プロセッサは、
前記所定領域内における前記複数の需要家施設が消費する電力の合計が略最小になるように、前記所定の需要家施設における電力の種類および前記比率を導出して、前記提案情報を生成する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記再生発電情報、前記水素発電情報、前記系統発電情報、および複数の前記電力情報に基づいて、前記所定の需要家施設において電気料金が略最も安くなる前記電力の種類および前記比率を導出して、前記提案情報を生成する
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記所定の需要家施設のユーザに関するユーザ情報を取得し、
前記所定の需要家施設における前記電力情報と前記ユーザ情報とに基づいて、前記提案情報を生成する
請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記所定の需要家施設から、前記所定の需要家施設のユーザが選択した電力の種類の情報を取得し、
前記ユーザが選択した前記電力の種類の情報に前記再生エネルギー由来の電力が含まれている場合に、前記所定の需要家施設または前記ユーザに提供する報酬を算出して出力する
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記燃料電池が、前記所定の需要家施設に電力を供給可能に構成され、
前記プロセッサは、
前記所定の需要家施設から、前記所定の需要家施設のユーザが選択した電力の種類の情報を取得し、
前記ユーザが選択した前記電力の種類に前記燃料電池が発電した電力が含まれていた場合、前記所定の需要家施設または前記ユーザに提供する報酬を算出して出力する
請求項
3または
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ユーザ情報が前記所定の需要家施設のユーザの嗜好に関する情報を含む
請求項
3~
5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記需要家施設は、
前記再生エネルギー由来の電力、前記水素由来の電力、前記燃料電池からの電力、および前記系統電力から、使用する上記電力の種類を選択可能、およびそれぞれの電力を消費する比率を調整可能に構成された給電調整部を備える
請求項1~
6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
再生エネルギー由来の発電施設における発電に関する再生発電情報を出力するように構成される第1のプロセッサを有する第1の装置と、
系統電力を供給する発電施設における発電に関する系統発電情報を出力するように構成される第2のプロセッサを有する第2の装置と、
所定領域における複数の需要家施設にそれぞれ備えられ、前記需要家施設が消費する電力量に関する情報を含む電力情報を出力するように構成される第3のプロセッサを有する第3の装置と、
水素由来の発電施設における発電に関する水素発電情報を出力するように構成される第4のプロセッサを有する第4の装置、および水素燃料を用いた燃料電池の発電に関する燃料電池情報を取得して出力するように構成される第5のプロセッサを有する第5の装置の少なくとも一方と、
前記第1の装置から前記再生発電情報を取得し、前記第2の装置から前記系統発電情報を取得し、前記複数の第3の装置のそれぞれから前記電力情報を取得し、前記第4の装置からの前記水素発電情報と前記第5の装置からの前記燃料電池情報との少なくとも一方を取得し、前記再生発電情報、前記系統発電情報、複数の前記電力情報、および前記水素発電情報ならびに前記燃料電池情報の少なくとも一方に基づいて、所定の需要家施設に供給する前記再生エネルギー由来の電力、前記系統電力、前記水素由来の電力、および前記燃料電池からの電力から選ばれた電力の種類の情報を含む提案情報を生成して、前記所定の需要家施設に対して出力する第6のプロセッサを有する第6の装置と、
を備え
、
前記提案情報は、前記再生エネルギー由来の電力、前記水素由来の電力、および前記系統電力のそれぞれの電力を消費する比率の情報を含み、
前記第6のプロセッサは、
前記所定領域内における前記複数の需要家施設が消費する電力の合計が略最小になるように、前記所定の需要家施設における電力の種類および前記比率を導出して、前記提案情報を生成する
る情報処理システム。
【請求項9】
前記第6のプロセッサは、
前記再生発電情報、前記水素発電情報、前記系統発電情報、および複数の前記電力情報に基づいて、前記所定の需要家施設において電気料金が略最も安くなる前記電力の種類および前記比率を導出して、前記提案情報を生成する
請求項
8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第6のプロセッサは、
前記所定の需要家施設のユーザに関するユーザ情報を取得し、
前記所定の需要家施設における前記電力情報と前記ユーザ情報とに基づいて、前記提案情報を生成する
請求項
8または9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記ユーザ情報が前記所定の需要家施設のユーザの嗜好に関する情報を含む
請求項1
0に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記第6のプロセッサは、
前記所定の需要家施設から、前記所定の需要家施設のユーザが選択した電力の種類の情報を取得し、
前記ユーザが選択した前記電力の種類の情報に前記再生エネルギー由来の電力が含まれている場合に、前記所定の需要家施設または前記ユーザに提供する報酬を算出して出力する
請求項
10または
11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記燃料電池が、前記所定の需要家施設に電力を供給可能に構成され、
前記第6のプロセッサは、
前記所定の需要家施設から、前記所定の需要家施設のユーザが選択した電力の種類の情報を取得し、
前記ユーザが選択した前記電力の種類に前記燃料電池が発電した電力が含まれていた場合、前記所定の需要家施設または前記ユーザに提供する報酬を算出して出力する
請求項1
0~1
2のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記第3の装置および前記第5の装置が、前記需要家施設に設けられる
請求項1
3に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記需要家施設は、
前記再生エネルギー由来の電力、前記水素由来の電力、前記燃料電池からの電力、および前記系統電力から、使用する上記電力の種類を選択可能、およびそれぞれの電力を消費する比率を調整可能に構成された給電調整部を備える
請求項
8~
14のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項16】
プロセッサに、
再生エネルギー由来の発電施設における発電に関する再生発電情報を出力する再生エネルギー発電サーバから前記再生発電情報を取得し、
水素由来の発電施設における発電に関する水素発電情報を出力する水素発電サーバからの前記水素発電情報と、水素燃料を用いた燃料電池の発電に関する燃料電池情報との少なくとも一方を取得し、
系統電力を供給する発電施設における発電に関する系統発電情報を出力する系統発電サーバから前記系統発電情報を取得し、
所定領域における複数の需要家施設が消費する電力量に関する情報を含む電力情報をそれぞれの需要家施設から取得し、
取得した、前記再生発電情報、前記水素発電情報ならびに前記燃料電池情報の少なくとも一方、前記系統発電情報、および複数の前記電力情報に基づいて、所定の需要家施設に供給する前記再生エネルギー由来の電力、前記水素由来の電力、前記燃料電池からの電力、および前記系統電力から選ばれた電力の種類の情報
と、前記再生エネルギー由来の電力、前記水素由来の電力、前記燃料電池からの電力、および前記系統電力のそれぞれの電力を消費する比率の情報と、を含む提案情報を
、前記所定領域内における前記複数の需要家施設が消費する電力の合計が略最小になるように、前記所定の需要家施設における電力の種類および前記比率を導出することにより生成して、前記所定の需要家施設に出力する
ことを実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、消費者宛てに発行する電気使用量のお知らせ書に、表面由来エネルギー発電、すなわち再生エネルギー由来の発電と、化石燃料発電と、原子力発電の項目と電気料金を図表で明示し、技術的要素の違いにおける発電の料金の違いを視覚的に表現する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、再生エネルギー由来の電力を利用する場合と、系統電力を利用する場合とを両立する方法が検討されていないため、再生エネルギー由来の電力と化石燃料由来を含めた系統電力とをユーザ側が選択できない。これにより、ユーザは二者択一の選択を迫られ、再生エネルギー由来の電力の消費を増加させることができず、普及が限定的に留まってしまう可能性がある。これは、水素由来の電力を使用可能な場合も同様である。そこで、ユーザの要望や所定領域において使用する電力に関して、電力の種類を選択でき、再生エネルギー由来や水素由来の電力の利用を促進できる技術が求められていた。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、ユーザの要望や所定領域において使用する電力に関して、電力の種類を選択することができる情報処理装置、情報処理システム、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理装置は、再生エネルギー由来の発電施設における発電に関する再生発電情報を出力する再生エネルギー発電サーバから再生発電情報を取得し、水素由来の発電施設における発電に関する水素発電情報を出力する水素発電サーバからの水素発電情報と、水素燃料を用いた燃料電池の発電に関する燃料電池情報との少なくとも一方を取得し、系統電力を供給する発電施設における発電に関する系統発電情報を出力する系統発電サーバから系統発電情報を取得し、所定領域における複数の需要家施設が消費する電力量に関する情報を含む電力情報をそれぞれの需要家施設から取得し、取得した、再生発電情報、水素発電情報ならびに燃料電池情報の少なくとも一方、系統発電情報、および複数の電力情報に基づいて、所定の需要家施設に供給する再生エネルギー由来の電力、水素由来の電力、燃料電池からの電力、および系統電力から選ばれた電力の種類の情報を含む提案情報を生成して、所定の需要家施設に出力するように構成されたプロセッサを備える。
【0007】
本開示に係る情報処理システムは、再生エネルギー由来の発電施設における発電に関する再生発電情報を出力するように構成される第1のプロセッサを有する第1の装置と、系統電力を供給する発電施設における発電に関する系統発電情報を出力するように構成される第2のプロセッサを有する第2の装置と、所定領域における複数の需要家施設にそれぞれ備えられ、需要家施設が消費する電力量に関する情報を含む電力情報を出力するように構成される第3のプロセッサを有する第3の装置と、水素由来の発電施設における発電に関する水素発電情報を出力するように構成される第4のプロセッサを有する第4の装置、および水素燃料を用いた燃料電池の発電に関する燃料電池情報を取得して出力するように構成される第5のプロセッサを有する第5の装置の少なくとも一方と、第1の装置から再生発電情報を取得し、第2の装置から系統発電情報を取得し、複数の第3の装置のそれぞれから電力情報を取得し、第4の装置からの水素発電情報と第5の装置からの燃料電池情報との少なくとも一方を取得し、再生発電情報、系統発電情報、複数の電力情報、および水素発電情報ならびに燃料電池情報の少なくとも一方に基づいて、所定の需要家施設に供給する再生エネルギー由来の電力、系統電力、水素由来の電力、および燃料電池からの電力から選ばれた電力の種類の情報を含む提案情報を生成して、所定の需要家施設に対して出力する第6のプロセッサを有する第6の装置と、を備える。
【0008】
本開示に係るプログラムは、プロセッサに、再生エネルギー由来の発電施設における発電に関する再生発電情報を出力する再生エネルギー発電サーバから再生発電情報を取得し、水素由来の発電施設における発電に関する水素発電情報を出力する水素発電サーバからの水素発電情報と、水素燃料を用いた燃料電池の発電に関する燃料電池情報との少なくとも一方を取得し、系統電力を供給する発電施設における発電に関する系統発電情報を出力する系統発電サーバから系統発電情報を取得し、所定領域における複数の需要家施設が消費する電力量に関する情報を含む電力情報をそれぞれの需要家施設から取得し、取得した、再生発電情報、水素発電情報ならびに燃料電池情報の少なくとも一方、系統発電情報、および複数の電力情報に基づいて、所定の需要家施設に供給する再生エネルギー由来の電力、水素由来の電力、燃料電池からの電力、および系統電力から選ばれた電力の種類の情報を含む提案情報を生成して、所定の需要家施設に出力することを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザの要望や所定領域において使用する電力に関して、電力の種類を選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態による電力管理システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による電力管理サーバの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による需要家施設の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による太陽光発電施設の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図5】
図5は、一実施形態による水素発電施設の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図6】
図6は、一実施形態による事業者発電施設の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図7】
図7は、一実施形態による電力管理方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本開示は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。
【0012】
近年、スマートシティと称される所定領域において、種々の施設に電力を供給可能な太陽光発電などの再生エネルギー由来の発電や、水素燃料を用いた水素発電などが検討されている。また、所定領域内には、例えば電力発電の事業者が提供する、火力発電や原子力発電などによって得られる系統電力も供給される。ところが、使用するユーザは、再生エネルギー由来の発電による電力(以下、再生エネルギー由来の電力)と、水素発電による電力(以下、水素由来の電力)と、系統電力とを自由に選択することが困難であった。そこで、本開示においては、ユーザが利用する電力を、再生エネルギー由来の電力か、水素エネルギー由来の電力か、系統電力かを選択可能にする技術を提案する。
【0013】
例えば、自然エネルギーにこだわるユーザにおいては、再生エネルギー由来の電力を使用可能とし、電力を使用する際の電気料金にこだわるユーザにおいては、電力の使用時点での最も安価な電力を使用可能とすることで、ユーザの利便性を向上させる。再生エネルギー由来の電力や水素由来の電力の利用を促進するためには、使用する電力として、再生エネルギー由来の電力や水素由来の電力を選択した場合には、ユーザに報酬を付与したり電気料金を割り引いたりしても良い。水素由来の電力を選択する場合は、二酸化炭素の低減量に応じて報酬を付与したりすることも可能である。また、水素由来の電力を選択する場合は水素燃料の製造費用に基づいて料金を設定するようにしても良い。以下に説明する一実施形態は、以上の案出に基づいたものである。
【0014】
まず、本開示の一実施形態による情報処理装置を適用可能な電力管理システムについて説明する。
図1は、本実施形態による電力管理システム1を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態による電力管理システム1は、ネットワーク2を介して互いに通信可能な、電力管理サーバ10、需要家施設20、太陽光発電施設30、水素発電施設40、および事業者発電施設50を有する。複数の需要家施設20はそれぞれ、第3の装置としての電力選択装置20Aを備える。太陽光発電施設30は、再生エネルギー発電サーバおよび第1の装置としての太陽光発電サーバ30Aを備える。水素発電施設40は、第4の装置としての水素発電サーバ40Aを備える。事業者発電施設50は、系統発電サーバおよび第2の装置としての発電事業者サーバ50Aを備える。また、それぞれの需要家施設20に水素発電可能な水素燃料電池を備えるようにしても良い。この場合、水素発電施設40を備えても備えなくても良い。太陽光発電施設30、水素発電施設40、および事業者発電施設50はそれぞれ、複数設けても良い。以下の説明において、それぞれの構成要素間での情報の送受信は、それぞれの構成要素における通信部およびネットワーク2を介して行われるが、この点についての都度の説明は省略する。
【0015】
ネットワーク2は、インターネット回線網や携帯電話回線網などから構成される。ネットワーク2は、例えば、インターネットなどの公衆通信網であって、WAN(Wide Area Network)や、携帯電話などの電話通信網や、WiFi(登録商標)などの無線通信網などのその他の通信網を含んでも良い。
【0016】
(電力管理サーバ)
電力管理サーバ10は、それぞれの需要家施設20に対して供給する電力を管理できる。本実施形態において、電力管理サーバ10には、それぞれの需要家施設20から所定のタイミングで、電力情報などの各種情報が送信される。電力情報は、施設識別情報、電力計測情報、および使用電力情報などを含むが、必ずしもこれらの情報に限定されない。電力管理サーバ10は、需要家施設20との間で、選択情報としての、使用情報、料金情報、または報酬情報を送受信可能である。電力管理サーバ10には、それぞれの太陽光発電施設30、水素発電施設40、および事業者発電施設50から所定のタイミングで、発電情報などの各種情報が送信される。発電情報は、それぞれの発電施設30,40,50における設置エリア、発電事業者名、発電所コード、発電所名、発電形式、ユニット名、認可出力(kW)、停止日などの発電に関する種々の情報を含む。
【0017】
図2は、電力管理サーバ10の構成を概略的に示すブロック図である。
図2に示すように、第6の装置としての電力管理サーバ10は、ネットワーク2を介して通信可能な一般的なコンピュータの構成を有する。電力管理サーバ10は、制御部11、記憶部12、通信部13、および入出力部14を備える。電力管理サーバ10は、需要家施設20に対する電力の供給を管理できる。
【0018】
ハードウェアを有する第6のプロセッサとしての制御部11は、具体的に、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの主記憶部を備える。
【0019】
記憶部12は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、およびリムーバブルメディアなどから選ばれた記憶媒体から構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、または、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、またはBD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。記憶部12には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベースなどを格納することができる。
【0020】
制御部11は、記憶部12に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて、電力処理部111、情報取得部112、算出部113、および学習部114の機能を実現できる。電力処理部111においてプログラムとしての学習モデルを用いる場合、学習モデルは学習部114によって生成することができる。学習モデルは、所定の入力パラメータと出力パラメータとの入出力データセットを教師データとして、例えばニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)などの機械学習により生成できる。なお、情報取得部112、および算出部113、についても同様である。これにより、制御部11は、学習モデルによって、電力処理部111、情報取得部112、および算出部113の機能を実現できる。また、学習部114は別体の学習装置であっても良い。
【0021】
電力処理部111は、電力を供給する発電施設30,40,50から、それぞれの需要家施設20に供給する電力の内訳、すなわち、系統電力の割合、再生エネルギー由来の電力の割合、および水素由来の電力の割合をどの程度にするかを導出できる。これにより、電力処理部111は、それぞれの需要家施設20に供給する電力を、系統電力、再生エネルギー由来の電力、および水素由来の電力のいずれの電力にするかを選択することもできる。
【0022】
情報取得部112は、それぞれの需要家施設20の電力選択装置20Aから電力情報を収集したり、太陽光発電サーバ30A、水素発電サーバ40A、および発電事業者サーバ50Aから発電情報を収集したりする。
【0023】
算出部113は、それぞれの需要家施設20において消費される電力の電力量および電気料金を算出したり、それぞれの需要家施設20に供給するポイントや割引料金などの報酬を算出したりすることができる。
【0024】
学習部114は、需要家施設20のユーザが選択する電力の種類を学習できる。すなわち、学習部114は、需要家施設20のユーザが、再生エネルギー由来の電力、水素由来の電力、および系統電力からいずれの電力を選択し、どのような使用比率にするかを学習できる。学習部114は、それぞれの需要家施設20のユーザによる電力の選択を学習して、それぞれの需要家施設20に応じて選択学習モデル12aを生成できる。学習部114は、それぞれの需要家施設20ごとに、例えばニューラルネットワークを用いた深層学習などの機械学習を行うことにより、選択学習モデル12aを適宜生成できる。学習部114は、発電情報、電力情報、およびユーザ情報を学習用入力パラメータとし、ユーザが選択した電力の種類、および使用比率を学習用出力パラメータとすることができる。学習部114は、適宜生成した選択学習モデル12aを記憶部12に格納して、過去の選択学習モデル12aを更新できる。電力処理部111は、更新された選択学習モデル12aを用いて、電力の種類およびその使用比率を出力できる。電力処理部111は、所定の需要家施設20の電力情報およびユーザ情報、および発電施設30,40,50の発電情報を入力パラメータとして選択学習モデル12aに入力する。これにより、選択学習モデル12aは、出力パラメータとして需要家施設20におけるユーザが嗜好する電力の種類および使用比率を出力できる。
【0025】
記憶部12には、各種のデータが検索可能に格納された、複数のデータベースが格納されている。記憶部12には、電力管理データベース12b、ユーザ情報データベース12c、および選択情報データベース12dが格納されている。これらのデータベース12b~12dは、例えばリレーショナルデータベース(RDB)を採用できる。なお、本実施形態においてデータベース(DB)は、プロセッサによって実行されるデータベース管理システム(Database Management System:DBMS)のプログラムが、記憶部12に記憶されるデータを管理することによって構築することができる。
【0026】
電力管理データベース12bには、それぞれの需要家施設20における施設識別情報と電力情報などのその他の情報とが関連付けられて、更新、削除、および検索可能に格納されている。電力管理データベース12bには、それぞれの発電施設30,40,50における施設識別情報と発電情報などのその他の情報とが関連付けられて、更新、削除、および検索可能に格納されている。個々の需要家施設20に割り当てられた施設識別情報は、検索可能な状態で電力管理データベース12bに格納される。施設識別情報は、個々の需要家施設20を互いに識別するための各種情報を含み、需要家施設20に関連する情報の送信に際して電力管理サーバ10へアクセスするために必要な情報を含む。施設識別情報は、需要家施設20が各種の情報を送信する際には合わせて送信される。需要家施設20が、施設識別情報とともに電力情報やユーザ情報などの所定の情報を電力管理サーバ10に送信すると、電力管理サーバ10の制御部11は、電力管理データベース12b内に検索可能な状態で、所定の情報を施設識別情報と関連付けて格納する。
【0027】
ユーザ情報データベース12cには、需要家施設20における施設識別情報と関連付けされて、需要家施設20の電力選択装置20Aを用いて電力を選択するユーザの嗜好などに関する情報を含むユーザ情報が、更新、削除、および検索可能に格納されている。選択情報データベース12dには、それぞれの需要家施設20において選択された電力の種類や、報酬情報などが、更新、削除、および検索可能に格納されている。報酬情報は、電力の種類および電力使用量に応じて設定されたポイント情報や、クーポン情報や、割引情報を含み、電力の種類や電力を使用する時刻などに応じて、設定することができる。報酬情報は、需要家施設20、および発電施設30,40,50の施設識別情報と関連付けされて、選択情報データベース12dに格納されている。
【0028】
同様に、それぞれの発電施設30,40,50に割り当てられた施設識別情報は、検索可能な状態で電力管理データベース12bに格納される。施設識別情報は、それぞれの発電施設30,40,50を互いに識別するための各種情報を含み、それぞれの発電施設30,40,50に関連する情報の送信に際して電力管理サーバ10へアクセスするために必要な情報を含む。施設識別情報は、それぞれの太陽光発電施設30、水素発電施設40、および事業者発電施設50が発電情報などの各種の情報を送信する際には合わせて送信される。発電施設30,40,50がそれぞれ、施設識別情報とともに発電情報などの所定の情報を電力管理サーバ10に送信すると、制御部11は、電力管理データベース12b内に検索可能な状態で、所定の情報を施設識別情報と関連付けて格納する。
【0029】
通信部13は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路である。LANインターフェースボードや無線通信回路は、公衆通信網であるインターネットなどのネットワーク2に接続される。通信部13は、ネットワーク2に接続して、需要家施設20、太陽光発電施設30、水素発電施設40、および事業者発電施設50との間で通信が可能である。通信部13は、それぞれの需要家施設20との間で、需要家施設20に固有の施設識別情報や電力情報を受信したり、需要家施設20に対して使用電力の指示信号や確認信号を送信したりできる。通信部13は、太陽光発電施設30、水素発電施設40、および事業者発電施設50との間で、発電情報を送受信できる。
【0030】
入出力部14は、例えばタッチパネルディスプレイやスピーカマイクロホンなどから構成しても良い。出力部としての入出力部14は、制御部11による制御に従って、所定の情報を外部に通知するように構成される。入出力部14は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはプラズマディスプレイなどのディスプレイの画面上に、文字や図形などを表示したり、スピーカから音声を出力したりできる。入出力部14は、印刷用紙などに所定の情報を印刷することによって出力するプリンタを含む。記憶部12に格納された各種情報は、例えば所定の事務所などに設置された入出力部14のディスプレイなどで確認することができる。入力部としての入出力部14は、例えば、キーボードや入出力部14の内部に組み込まれて表示パネルのタッチ操作を検出するタッチパネル式キーボード、または外部との間の通話を可能とする音声入力デバイスなどから構成される。
【0031】
(需要家施設)
第1の装置である電力を使用する需要家施設20は、例えば人間が居住する居住施設や、会社などの就労施設や、店舗などの商業施設などの、いわゆる電力を使用する施設であれば種々の施設を含む。
【0032】
図3は、需要家施設20の構成を概略的に示すブロック図である。
図3に示すように、需要家施設20は、制御部21、記憶部22、通信部23、入出力部24、給電調整部25、電力負荷26、燃料電池27、および蓄電池28を備える。需要家施設20において、制御部21、記憶部22、通信部23、および入出力部24によって電力選択装置20Aが構成される。制御部21、記憶部22、通信部23、および入出力部24はそれぞれ、物理的および機能的には、制御部11、記憶部12、通信部13、および入出力部14と同様の構成を有する。
【0033】
第3のプロセッサとしての制御部21は、需要家施設20に備えられた各種構成要素の動作を統括的に制御する。制御部21は記憶部22に格納されたプログラムを読み出すことにより、種々の制御機能を実現できる。電力選択装置20Aは、給電調整部25および燃料電池27を制御できる。第5の装置としての電力選択装置20Aは、第5のプロセッサとしての制御部21により、水素燃料を用いた燃料電池27の発電に関する燃料電池情報を燃料電池27から取得して出力可能に構成される。
【0034】
記憶部22は、電力情報データベース22aおよびユーザ情報データベース22bを格納できる。電力情報データベース22aおよびユーザ情報データベース22bに格納された種々の情報は、制御部21によって検索可能である。
【0035】
電力情報データベース22aには、電力管理サーバ10から提供される電力の給電や選択に関する情報を含む各種データが、追加、更新、削除可能に格納されている。電力情報データベース22aには、蓄電池28の充電量や、燃料電池27の水素燃料残量、および燃料電池27による発電量などの燃料電池情報を含む電力情報が、追加、更新、削除可能に格納できる。電力情報データベース22aには、太陽光発電施設30から給電される再生エネルギー由来の電力の使用量を含む電力情報が、追加、更新、削除可能に格納できる。電力情報データベース22aには、水素発電施設40から供給される、水素由来の電力の使用量や水素の供給量を含む電力情報が、追加、更新、削除可能に格納できる。電力情報データベース22aには、事業者発電施設50から給電される系統電力の使用量などの各種情報が、追加、更新、削除可能に格納できる。
【0036】
ユーザ情報データベース22bには、需要家施設20における電力選択装置20Aを利用するユーザに関する情報や、ユーザの嗜好の情報を含むユーザ情報が、追加、更新、削除可能に格納されている。
【0037】
通信部23は、ネットワーク2を介した無線通信によって、電力管理サーバ10との間で通信を行う。出力部としての入出力部24は、電気料金や電力使用量などの所定の情報を電力選択装置20Aの外部に通知可能に構成される。入力部としての入出力部24は、電力選択装置20Aを用いるユーザなどが制御部21に所定の情報を入力可能に構成される。
【0038】
給電調整部25は、制御部21の制御によって、太陽光発電施設30、水素発電施設40、事業者発電施設50、および燃料電池27から給電される電力から、使用する電力の種類を選択可能、およびそれぞれの電力を消費する比率を調整可能に構成されている。すなわち、給電調整部25は、制御部21の制御によって、太陽光発電施設30、水素発電施設40、事業者発電施設50、および燃料電池27のそれぞれから給電される電力量を調整可能に構成される。なお、給電調整部25は、需要家施設20の外部に設けられていても良い。電力負荷26は、需要家施設20において電力が使用される負荷である。
【0039】
燃料電池27は、水素発電施設40の水素タンク46から供給されたり、水素を供給する事業者などから供給されたりする水素を貯留可能に構成される。燃料電池27としては、貯留された水素と空気中の酸素とを反応させて発電する、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)を採用できる。燃料電池27としては、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、リン酸形燃料電池(PAFC)、または溶解炭酸塩形燃料電池(MCFC)などを採用しても良い。蓄電池28は、燃料電池27によって発電された電力を蓄電可能に構成される。蓄電池28に蓄電された電気は水素由来の電力として、給電調整部25の水素由来の電力に合流させたり、需要家施設20の電力負荷26に供給したりすることができる。なお、燃料電池27や蓄電池28は、需要家施設20の外部に設けることも可能である。
【0040】
(太陽光発電施設)
太陽光発電施設30は、例えばスマートシティなどの所定領域内のそれぞれの需要家施設20に供給する電力を太陽光によって発電可能な施設である。
図4は、太陽光発電施設30の構成を概略的に示すブロック図である。
図4に示すように、太陽光発電施設30に備えられた太陽光発電サーバ30Aは、ネットワーク2を介して通信可能な一般的なコンピュータの構成を有し、発電制御部31、記憶部32、および通信部33を備える。第1のプロセッサとしての発電制御部31、記憶部32、および通信部33はそれぞれ、機能的および物理的には、制御部11、記憶部12、および通信部13と同様の構成を有する。記憶部32には、発電情報データベース32aを格納できる。
【0041】
太陽光発電施設30は、太陽光発電サーバ30Aによって制御される太陽光パネル34および蓄電池35を備える。太陽光パネル34は、太陽光を電気に変換する太陽電池を複数備えて構成される。蓄電池35は、太陽光パネル34で発電した電力を蓄電可能に構成される。太陽光パネル34および蓄電池35は、太陽光発電サーバ30Aの発電制御部31によって制御される。発電制御部31が太陽光パネル34や蓄電池35から取得した、発電量、発電効率、稼働率、および充電量などの太陽光発電に関する各種の再生発電情報は、発電情報として発電情報データベース32aに格納される。
【0042】
(水素発電施設)
水素発電施設40は、例えばスマートシティなどの所定領域内のそれぞれの施設に供給する電力を燃料電池44によって発電可能な燃料電池発電所である。
図5は、水素発電施設40の構成を概略的に示すブロック図である。
図5に示すように、水素発電施設40に備えられた水素発電サーバ40Aは、ネットワーク2を介して通信可能な一般的なコンピュータの構成を有し、発電制御部41、記憶部42、および通信部43を備える。第4のプロセッサとしての発電制御部41、記憶部42、および通信部43はそれぞれ、機能的および物理的には、制御部11、記憶部12、および通信部13と同様の構成を有する。記憶部42には、発電情報データベース42aを格納できる。
【0043】
水素発電施設40は、水素発電サーバ40Aによって制御される燃料電池44および蓄電池45を備える。水素発電施設40は、燃料電池44に水素を供給可能な水素タンク46を備える。なお、水素発電施設40は、それぞれの需要家施設20に対して、水素タンク46から水素を供給するようにしても良い。この場合、水素発電施設40は、発電を行わずに、それぞれの需要家施設20に水素タンク46から水素を供給する、水素供給施設として利用可能である。燃料電池44は、貯留された水素と空気中の酸素とを反応させて発電する。燃料電池44は、例えば溶解炭酸塩形燃料電池(MCFC)を採用できるが、固体高分子形燃料電池(PEFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、またはリン酸形燃料電池(PAFC)などを採用して良い。蓄電池45は、燃料電池44で発電した電力を蓄電可能に構成される。蓄電池45に蓄電された電気は水素由来の電力として、それぞれの需要家施設20に給電することができる。燃料電池44および蓄電池45は、水素発電サーバ40Aの発電制御部41によって制御される。発電制御部41が燃料電池44や蓄電池45から取得した、発電量、発電効率、稼働率、および充電量などの水素発電に関する各種の水素発電情報は、発電情報として発電情報データベース42aに格納される。
【0044】
(事業者発電施設)
事業者発電施設50は、例えばスマートシティなどの所定領域内のそれぞれの施設に供給する電力を、石油や石炭などの化石燃料を用いた火力や地熱や原子力などによって発電可能な施設である。
図6は、事業者発電施設50の構成を概略的に示すブロック図である。
図6に示すように、事業者発電施設50に備えられた発電事業者サーバ50Aは、ネットワーク2を介して通信可能な一般的なコンピュータの構成を有し、発電制御部51、記憶部52、および通信部53を備える。ハードウェアを有する第2のプロセッサとしての発電制御部51、記憶部52、および通信部53はそれぞれ、機能的および物理的には、制御部11、記憶部12、および通信部13と同様の構成を有する。記憶部52には、発電情報データベース52aが格納できる。
【0045】
事業者発電施設50は、発電事業者サーバ50A、火力発電設備54や原子力発電設備55などの発電設備、および蓄電池56を備える。火力発電設備54および原子力発電設備55は、例えば蒸気を発生させてタービンを回転させることにより発電する。蓄電池56は、火力発電設備54や原子力発電設備55によって発電された電力を蓄電可能に構成される。火力発電設備54、原子力発電設備55、および蓄電池56は、発電事業者サーバ50Aの発電制御部51によって制御される。発電制御部51が火力発電設備54、原子力発電設備55、および蓄電池56から取得した、発電量、発電効率、稼働率、および充電量などの発電に関する各種の系統発電情報は、発電情報として発電情報データベース52aに格納される。
【0046】
(電力管理方法)
次に、本実施形態による電力管理方法について説明する。
図7は、本実施形態による電力管理方法を説明するためのフロー図である。以下の説明において、情報の送受信はネットワーク2を介して行われるが、この点についての都度の説明は省略する。また、電力管理サーバ10と、需要家施設20、太陽光発電施設30、水素発電施設40、および事業者発電施設50との間で情報を送受信する場合、送受信する情報に個々を特定する識別情報も送受信されるが、この点についての都度の説明も省略する。また、
図7に示すフロー図は、所定領域において電力管理サーバ10が適宜実行する処理を示す。
【0047】
図7に示すように、まず、ステップST1において電力管理サーバ10の制御部11における情報取得部112は、太陽光発電施設30、水素発電施設40、および事業者発電施設50のそれぞれから、発電情報を定期的または適宜収集する。情報取得部112は、収集した発電情報を記憶部12の電力管理データベース12bに格納する。電力管理サーバ10の算出部113は、取得した発電場情報に基づいて、スマートシティなどの所定領域内における電力の使用に関する所定の計算を行う。ここで、所定の計算とは、太陽光発電施設30による太陽光発電量の予測値に基づいて、水素発電施設40による発電量、および事業者発電施設50から買電する電力量などを導出する。太陽光発電量の予測値は例えば以下の式などで求められる。
発電量の予測値(kWh)
=日射量の予測値(kWh/m
2)×太陽光パネル容量(kW)×(1-ロスの予測値)
(なお、ロスの予測値は、0より大きく1未満である)
【0048】
ステップST2に移行して電力管理サーバ10の情報取得部112は、所定領域内のそれぞれの需要家施設20から電力情報を定期的または適宜収集して、記憶部12の電力管理データベース12bに格納する。なお、情報取得部112は、それぞれの需要家施設20からユーザ情報を定期的または適宜取得するようにしても良い。なお、ユーザ情報と電力情報とは同時に取得しても異なる時刻にそれぞれ取得しても良い。電力管理サーバ10の算出部113は、取得した電力情報に基づいて、それぞれの需要家施設20の使用電力を算出する。また、それぞれの需要家施設20において、選択されている電力の種類の電力使用量、すなわち、系統電力、再生エネルギー由来の電力、および水素由来の電力のそれぞれの電力使用量を算出する。算出した電力使用量は、需要家施設20の施設識別情報と関連付けされて電力管理データベース12bに格納される。
【0049】
次に、ステップST3に移行して電力処理部111は、発電施設30,40,50の発電情報、所定領域内の需要家施設20の電力情報、および所定の需要家施設20の電力情報およびユーザ情報を入力パラメータとして、選択学習モデル12aに入力する。選択学習モデル12aは、入力された入力パラメータに基づいて、所定の需要家施設20において使用を提案する電力の種類を選択し、提案するそれぞれの電力の使用比率を導出して出力する。すなわち、電力処理部111は、まず、所定領域内に供給されるそれぞれの発電施設30,40,50からの電力量ならびにその予測値、および所定領域内において需要家施設20によって使用される電力量ならびにその予測値から必要な情報を選択する。その後、電力処理部111は、選択した情報に基づいて、所定の需要家施設20に提案する電力の種類および使用比率を導出して出力する。
【0050】
具体的に、使用する電力の種類として、系統電力、再生エネルギー由来の電力、および水素由来の電力から、少なくとも1つの電力を選択して、これらの3種類の使用比率を導出して出力する。例えば、電力処理部111は、所定の需要家施設20において使用する電力として、系統電力を50%、再生エネルギー由来の電力、すなわち太陽光発電による電力を50%などと導出することができる。同様に、電力処理部111は、太陽光発電による電力を30%、水素発電施設40からの電力を30%、燃料電池27からの電力を40%などと導出することができる。制御部11は、導出した電力の種類および使用比率の情報を提案情報として出力して、選択情報データベース12dに格納し、需要家施設20に送信する。
【0051】
ここで、提案情報としては、所定領域内における消費電力が略最小になるような電力の種類および使用比率や、需要家施設20において使用する電力の電気料金が最も安くなる電力の種類および使用比率などが含まれる。また、提案情報として、ユーザ情報に含まれる嗜好に基づいて、電力の種類を再生エネルギー由来の電力のみや、水素由来の電力のみや、燃料電池27による発電のみなどの情報を含んでも良い。この場合、提案情報は、単位時間当たりの電気料金の情報をさらに含んでも良い。
【0052】
次に、ステップST4に移行して需要家施設20の電力選択装置20Aは、電力管理サーバ10から送信された電力の種類および使用比率の提案情報を受信して、電力情報データベース22aに格納する。電力選択装置20Aは、取得した提案情報を入出力部24に出力して、ユーザに報知する。これにより、需要家施設20のユーザは、需要家施設20において、提案された電力の種類および使用比率を認識することができる。
【0053】
続いて、需要家施設20のユーザは、入出力部24から、使用する電力の種類、および使用比率の情報を入力する。需要家施設20のユーザが入力した使用する電力の種類、および使用比率の情報は、電力情報として電力情報データベース22aに格納され、ユーザ選択情報としてユーザ情報データベース22bに格納される。制御部21は、入力された電力の種類および使用比率の電力情報およびユーザ選択情報は、電力管理サーバ10に送信される。情報取得部112は、取得した電力情報を、ユーザ情報データベース12cの施設識別情報と関連付けて、記憶部12の電力管理データベース12bに格納する。情報取得部112は、取得したユーザ選択情報を記憶部12のユーザ情報データベース12cの施設識別情報と関連付けて、選択情報データベース12dに格納する。学習部114は、取得したユーザ選択情報に基づいて需要家施設20ごとの選択学習モデル12aを更新することができる。
【0054】
次に、ステップST5に移行して制御部21は、給電調整部25を制御することにより、ユーザが入力した使用する電力の種類、および使用比率に基づいて電力負荷26に給電する。燃料電池27から給電調整部25に電力が供給される場合、制御部21は、間接的に燃料電池27を制御する。また、制御部21は、使用する電力の種類として、水素由来の電力が選択された場合、燃料電池27を制御することにより、使用比率に応じた電力を電力負荷26に直接的に給電するようにしても良い。
【0055】
ステップST6に移行すると電力管理サーバ10における電力処理部111は、選択情報データベース12dからユーザ選択情報を読み出して、需要家施設20においてユーザが選択した電力の種類が系統電力のみであるか否かを判定する。電力処理部111がユーザの選択した電力の種類が系統電力のみであると判定した場合(ステップST6:Yes)、ステップST7に移行する。
【0056】
ステップST7において電力処理部111は、需要家施設20において使用される電力の使用量(使用電力量)を計測する。算出部113は、使用電力量に基づいて、電気料金を算出して、電力管理データベース12bに格納する。また、並行して、事業者発電施設50における発電事業者サーバ50Aの発電制御部51は、需要家施設20に供給する使用電力量を計測して、電気料金を算出し、記憶部52に格納する。
【0057】
ステップST6において電力処理部111が、ユーザの選択した電力の種類が系統電力のみではないと判定した場合(ステップST6:No)、ステップST8に移行する。ステップST8において電力処理部111は、選択情報データベース12dから読み出したユーザ選択情報に基づいて、需要家施設20でおいて、ユーザが選択した電力の種類に燃料電池27が発電した電力が含まれているか否かを判定する。電力処理部111がユーザの選択した電力の種類に燃料電池27が発電した電力が含まれていると判定した場合(ステップST8:Yes)、ステップST9に移行する。
【0058】
ステップST9において算出部113は、燃料電池27による発電の電力量に基づいて、報酬を算出する。なお、報酬としては、需要家施設20に対する報酬として、系統電力や再生エネルギー由来の電力の電気料金などの減額や、水素燃料の料金の減額などを採用できる。また、需要家施設20のユーザに対する報酬としては、クーポン券の発行やポイントの付与などを採用できる。これにより、需要家施設20およびユーザの少なくとも一方に対して種々の報酬を採用できる。算出部113は、算出した報酬の情報を含む報酬情報を出力して、需要家施設20に送信する。なお、算出部113は、ユーザが所持する端末に報酬情報を送信しても良い。その後、ステップST10に移行する。
【0059】
一方、ステップST8において電力処理部111が、ユーザの選択した電力の種類に燃料電池27が発電した電力が含まれていないと判定した場合(ステップST8:No)、ステップST10に移行する。
【0060】
ステップST10において電力処理部111は、選択情報データベース12dから読み出したユーザ選択情報に基づいて、需要家施設20においてユーザが選択した電力の種類に、再生エネルギー由来の電力が含まれているか否かを判定する。電力処理部111がユーザの選択した電力の種類に再生エネルギー由来の電力が含まれていると判定した場合(ステップST10:Yes)、ステップST11に移行する。
【0061】
ステップST11において算出部113は、再生エネルギー由来の電力量に基づいて、報酬を算出する。なお、報酬は、電気料金の減額や、クーポン券の発行や、ポイントの付与など、種々の報酬を採用できる。算出部113は、算出した報酬情報を出力して需要家施設20に送信する。その後、ステップST7に移行する。
【0062】
一方、ステップST10において電力処理部111が、ユーザの選択した電力の種類に再生エネルギー由来の電力が含まれていないと判定した場合(ステップST10:No)、ステップST7に移行する。なお、ステップST6,ST8,ST10の全てにおいて否定の判定がされた場合(ステップST6,ST8,ST10:No)、選択された電力の種類は、水素発電施設40からの電力のみか、さらに系統電力が含まれるかのいずれかである。
【0063】
ステップST7に移行して電力処理部111は、需要家施設20の使用電力量を、電力の種類ごとに計測する。算出部113は、燃料電池27による電力においては水素燃料に基づいた料金を算出し、系統電力や再生エネルギー由来の電力や水素由来の電力においては電気料金を算出して、電力管理データベース12bに格納する。また、並行して、発電施設30,40,50のそれぞれのサーバ30A,40A,50Aの発電制御部31,41,51は、需要家施設20に供給する使用電力量をそれぞれ計測して、電気料金を算出し、それぞれ記憶部32,42,52に格納する。以上により、本実施形態による電力管理処理が終了する。
【0064】
以上説明した本開示の一実施形態によれば、電力管理サーバ10の制御部11が、発電情報に含まれる、所定領域に電力を供給可能な発電施設30,40,50から所定領域内の需要家施設20に供給される電力量ならびにその予測値を導出している。また、制御部11が、電力情報に含まれる、所定領域内で電力の供給を受ける需要家施設20において使用される電力量ならびにその予測値を導出している。その上で、所定領域に供給される電力量ならびに予測値と、需要家施設20で使用される電力量ならびに予測値との必要な情報と、所定の需要家施設20の電力情報およびユーザ情報とに基づいて、電力の種類および使用比率を導出している。所定の需要家施設20においては、ユーザが電力管理サーバ10から提案された電力の種類および使用比率や、ユーザ自身の嗜好などから需要家施設20において使用する電力の種類と使用比率とを決定することができる。これにより、ユーザの要望や所定領域において使用する電力に関して、所望の電力の種類および使用比率を選択でき、再生エネルギー由来や水素由来の電力の利用を促進できる。
【0065】
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形や、相互の実施形態を組み合わせた実施形態を採用できる。例えば、上述の実施形態において挙げた装置構成や表示画面や名称はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる装置構成や表示画面や名称を用いても良い。
【0066】
また、電力管理サーバ10と同等の機能を、需要家施設20の電力選択装置20Aに搭載しても良い。
【0067】
例えば、実施形態においては、機械学習の一例としてニューラルネットワークを用いた深層学習を挙げたが、それ以外の方法に基づく機械学習を行っても良い。例えば、サポートベクターマシン、決定木、単純ベイズ、k近傍法など、他の教師あり学習を用いても良い。また、教師あり学習に代えて半教師あり学習を用いても良い。さらには、機械学習として、強化学習や深層強化学習を用いても良い。
【0068】
(記録媒体)
本開示の一実施形態において、各種のサーバ10,30A,40A,50Aや、需要家施設20による処理方法を実行可能なプログラムを、コンピュータその他の機械や装置(以下、コンピュータなど、という)が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータなどに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、当該コンピュータなどがサーバや車両の制御部として機能する。ここで、コンピュータなどが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラムなどの情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータなどから読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちのコンピュータなどから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、BD、DAT、磁気テープ、フラッシュメモリなどのメモリカードなどがある。また、コンピュータなどに固定された記録媒体としてハードディスク、ROMなどがある。さらに、SSDは、コンピュータなどから取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータなどに固定された記録媒体としても利用可能である。
【0069】
(その他の実施形態)
また、一実施形態に係る電力管理サーバ10、電力選択装置20A、太陽光発電サーバ30A、水素発電サーバ40A、および発電事業者サーバ50Aにおいて、「部」は、「回路」などに読み替えることができる。例えば、通信部は、通信回路に読み替えることができる。
【0070】
また、一実施形態に係る電力管理サーバ10や需要家施設20に実行させるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。
【0071】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」などの表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本実施形態を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。すなわち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0072】
また、1つのサーバを備えたシステムに代えて、情報処理装置と物理的に近い場所にサーバの一部の処理を実行可能な端末を分散して配置し、大量のデータを効率良く通信したり、演算処理時間を短くしたりできるエッジコンピューティングの技術を適用しても良い。
【0073】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 電力管理システム
2 ネットワーク
10 電力管理サーバ
11,21 制御部
12,22,32,42,52 記憶部
12a 選択学習モデル
12b 電力管理データベース
12c ユーザ情報データベース
12d 選択情報データベース
13,23,33,43,53 通信部
14,24 入出力部
20 需要家施設
20A 電力選択装置
22a 電力情報データベース
22b ユーザ情報データベース
25 給電調整部
26 電力負荷
27,44 燃料電池
28,35,45,56 蓄電池
30 太陽光発電施設
30A 太陽光発電サーバ
31,41,51 発電制御部
32a,42a,52a 発電情報データベース
34 太陽光パネル
40 水素発電施設
40A 水素発電サーバ
46 水素タンク
50 事業者発電施設
50A 発電事業者サーバ
54 火力発電設備
55 原子力発電設備
111 電力処理部
112 情報取得部
113 算出部
114 学習部