IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スズキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電装部品の取付構造 図1
  • 特許-電装部品の取付構造 図2
  • 特許-電装部品の取付構造 図3
  • 特許-電装部品の取付構造 図4
  • 特許-電装部品の取付構造 図5
  • 特許-電装部品の取付構造 図6
  • 特許-電装部品の取付構造 図7
  • 特許-電装部品の取付構造 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電装部品の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240910BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60R16/02 610B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021006978
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111515
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 章裕
(72)【発明者】
【氏名】星野 真一
(72)【発明者】
【氏名】真田 歩
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035711(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073416(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00- 6/12, 7/00- 8/00,16/00
B60R 16/02
H01M 50/20-50/298
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装部品が載置される載置面を有する載置部を備え、車両のフロアパネルの上面の被固定部に固定される固定部材と、
天井壁と、前記天井壁から下方に延びる複数の側壁とを有し、前記電装部品と前記固定部材とを上方および側方から覆うカバー部材とを備え、
前記固定部材は、前記載置面が前記フロアパネルよりも高い位置に位置し、
前記固定部材は、第1の固定部および第2の固定部を有し、
前記被固定部は、前記フロアパネルよりも高い位置に位置する第1の被固定部と第2の被固定部とを有し、
前記第1の被固定部は、前記第1の固定部が固定される第1の被固定部位を有し、
前記第2の被固定部は、前記第2の固定部が固定される第2の被固定部位を有し、
前記カバー部材は、前記複数の側壁の下端部が前記載置面よりも低い位置に位置しており、
前記載置面は、前記第1の被固定部位および前記第2の被固定部位のいずれか一方よりも高い位置に位置していることを特徴とする電装部品の取付構造。
【請求項2】
前記カバー部材の前記複数の側壁のうちの1つの所定の側壁に開口部が設けられており、
前記開口部は、その上端部が前記載置面よりも上方に位置するように上下方向に開口しており、
前記第1の固定部および前記第1の固定部のいずれか一方は、前記載置部の一端部から外方に延びており、
前記第1の固定部および前記第2の固定部のいずれか他方は、前記第1の固定部および前記第2の固定部のいずれか一方よりも高い位置に位置するように、前記載置部の他端部から前記開口部を通して前記所定の側壁よりも外方に延びており、
前記所定の側壁に仕切壁が設けられており、
前記仕切壁は、前記開口部の少なくとも一部を閉じていることを特徴とする請求項1に記載の電装部品の取付構造。
【請求項3】
電装部品が載置される載置面を有する載置部を備え、車両のフロアパネルの上面の被固定部に固定される固定部材と、
天井壁と、前記天井壁から下方に延びる複数の側壁とを有し、前記電装部品と前記固定部材とを上方および側方から覆うカバー部材とを備え、
前記固定部材は、前記載置面が前記フロアパネルよりも高い位置に位置し、
前記カバー部材は、前記複数の側壁の下端部が前記載置面よりも低い位置に位置しており、
前記電装部品に接続されるワイヤハーネスを有し、
前記カバー部材は、前記カバー部材の内部に前記ワイヤハーネスを通す貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記載置面よりも低い位置に位置するように、前記複数の側壁のうちの少なくとも1つの側壁に形成されていることを特徴とする電装部品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装部品の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された電装部品が冠水することを抑制するものとして、特許文献1に記載されるハイブリッド電気自動車のバッテリボックス構造が知られている。
【0003】
このハイブリッド電気自動車のバッテリボックス構造は、第1の収容空間を区画し、車体フレームに取り付けられる下フレーム体と、第2の収容空間を区画し、下フレーム体の上面に載置される上フレーム体とを備えている。
【0004】
このハイブリッド電気自動車のバッテリボックス構造は、防水性に対する要求が低い第1のバッテリ関連機器群を第1の収容空間に収容し、防水性に対する要求が高い第2のバッテリ関連機器群を第2の収容空間に収容することにより、第2のバッテリ関連機器群が冠水することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-35126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のハイブリッド電気自動車のバッテリボックス構造にあっては、第2のバッテリ関連機器群を収容する第2の収容空間まで水位が上昇した場合に、第2のバッテリ関連機器群が冠水することを抑制できる構造となっていないので、第2のバッテリ関連機器群が冠水することを抑制するには、未だ改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、車両が冠水した場合に、フロアパネルに設置される電装部品が水没することを抑制できる電装部品の取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電装部品が載置される載置面を有する載置部を備え、車両のフロアパネルの上面の被固定部に固定される固定部材と、天井壁と、前記天井壁から下方に延びる複数の側壁とを有し、前記電装部品と前記固定部材とを上方および側方から覆うカバー部材とを備え、前記固定部材は、前記載置面が前記フロアパネルよりも高い位置に位置し、前記固定部材は、第1の固定部および第2の固定部を有し、前記被固定部は、前記フロアパネルよりも高い位置に位置する第1の被固定部と第2の被固定部とを有し、前記第1の被固定部は、前記第1の固定部が固定される第1の被固定部位を有し、前記第2の被固定部は、前記第2の固定部が固定される第2の被固定部位を有し、前記カバー部材は、前記複数の側壁の下端部が前記載置面よりも低い位置に位置しており、前記載置面は、前記第1の被固定部位および前記第2の被固定部位のいずれか一方よりも高い位置に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように上記の本発明によれば、車両が冠水した場合に、フロアパネルに設置される電装部品が水没することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を搭載した車両の車室を左斜め上方から見た図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を上方から見た図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を後斜め上方から見た分解図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を上方から見た図であり、固定ブラケットから電装部品とカバー部材を取り外した状態を示す。
図5図5は、図2のV-V方向矢視断面図である。
図6図6は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を示す図であり、カバー部材を左前斜め下方から見た図である。
図7図7は、本発明の一実施例に係る電装部品の取付構造を示す図であり、固定ブラケットとカバー部材を左前斜め下方から見た図である。
図8図8は、図2のVIII-VIII方向矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態に係る電装部品の取付構造は、電装部品が載置される載置面を有する載置部を備え、車両のフロアパネルの上面の被固定部に固定される固定部材と、天井壁と、天井壁から下方に延びる複数の側壁とを有し、固定部材と電装部品とを上方および側方から覆うカバー部材とを備え、固定部材は、載置面がフロアパネルよりも高い位置に位置し、カバー部材は、複数の側壁の下端部が載置面よりも低い位置に位置している。
【0012】
これにより、本発明の一実施の形態に係る電装部品の取付構造は、車両が冠水した場合に、フロアパネルに設置される電装部品が水没することを抑制できる。
【実施例
【0013】
以下、本発明に係る電装部品の取付構造の実施例について、図面を用いて説明する。
図1から図8は、本発明に係る一実施例の電装部品の取付構造を示す図である。図1から図8において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の電装部品を基準とし、車両の前後方向を前後方向、車両の左右方向(車幅方向)を左右方向、車両の上下方向(車両の高さ方向)を上下方向とする。
【0014】
まず、構成を説明する。
図1において、車両1は、フロアパネル2を有し、フロアパネル2の上部には車室3が形成されている。車室3の前側には図示しないダッシュパネルによって車室と分離されたエンジンルームが形成されており、車室3の後方には図示しない荷室が形成されている。
【0015】
フロアパネル2の上部には運転者が着座する運転席4と、乗員が着座する助手席5とが設置されており、運転席4と助手席5は車幅方向に離れている。
【0016】
運転席4は、運転者の臀部および腿部を支持するシートクッション4Aと、運転者の背中を受け止めて支持するシートバック4Bとを有する。助手席5は、乗員の臀部および腿部を支持するシートクッション5Aと、乗員の背中を受け止めて支持するシートバック5Bとを有する。
【0017】
助手席5のシートクッション5Aとフロアパネル2の間には電装装置6が設置されている。
【0018】
図2に示すように、助手席5側において、フロアパネル2には前側クロスメンバ7Aと後側クロスメンバ7Bが取付けられており、前側クロスメンバ7Aと後側クロスメンバ7Bは、前後方向に離隔して車幅方向に延びている。
【0019】
図1に示すように、フロアパネル2の左端部には左側サイドシル8Aが設けられており、左側サイドシル8Aは、フロアパネル2に沿って前後方向に延びている。
【0020】
フロアパネル2の車幅方向の中央部にはフロアトンネル8Bが設けられており、フロアトンネル8Bは、フロアパネル2から上方に膨出している。フロアトンネル8Bは、運転席4と助手席5の間に位置しており、フロアパネル2に沿って前後方向に延びている。
【0021】
車両1を上方から見た場合に、電装装置6は、前側クロスメンバ7A、後側クロスメンバ7B、左側サイドシル8Aおよびフロアトンネル8Bに取り囲まれるようにしてフロアパネル2に設置されている。
【0022】
前側クロスメンバ7Aと後側クロスメンバ7Bの車幅方向の左端部と右端部には、それぞれ支持ブラケット9A、9B、9C、9Dが設けられており、支持ブラケット9A、9B、9C、9Dは、前側クロスメンバ7Aと後側クロスメンバ7Bから上方に突出している。
【0023】
図1図2に示すように、支持ブラケット9A、9Bの上端部にはスライドレール10Aが設けられており、スライドレール10Aは、前後方向に延びている。
【0024】
支持ブラケット9C、9Dの上端部にはスライドレール10Bが設けられており、スライドレール10Bは、スライドレール10Aと平行に前後方向に延びている。電装装置6は、スライドレール10A、10Bの下方に設置されている。
【0025】
助手席5のシートクッション5Aの下部には一対の図示しないベースフレームが設けられており、ベースフレームは、スライドレール10A、10Bに対して前後方向に摺動自在となるようにスライドレール10A、10Bに嵌合されている。
【0026】
これにより、助手席5は、ベースフレームがスライドレール10A、10Bに対して前後方向に移動することにより、フロアパネル2に対して前後方向に移動する。
【0027】
図3に示すように、電装装置6は、固定部材を構成する固定ブラケット21と、電装部品22と、樹脂製のカバー部材23とを有する。
【0028】
固定ブラケット21は、載置部21Aと、二股状の固定部21Bと、前側固定部21Cと、後側固定部21Dとを有する。
【0029】
図5に示すように、載置部21Aは、フロアパネル2の上面2aよりも高い位置(すなわち、フロアパネル2の上面2aの上方)に位置しており、その上面に載置面21aを有する。載置面21aには電装部品22が載置されており、電装部品22は、図示しないねじ等の固定具によって載置部21Aに固定されている。
【0030】
図4図7に示すように、固定部21Bは、載置部21Aの右端部から右方に直線状に延びた後、下方に折り曲げられている。
【0031】
図4に示すように、車両1を上方から見た場合に、前側クロスメンバ7A、後側クロスメンバ7Bおよびスライドレール10A、10Bに囲まれる空間にはブラケット11が設けられており、ブラケット11の上面11aは、フロアパネル2の上面2aよりも高い位置で、かつ、載置部21Aよりも低い位置に位置している(図5参照)。
【0032】
固定部21Bの下端部は、図示しないねじ等の固定具によってブラケット11の上面11aに固定されている。
【0033】
図5に示すように、前側固定部21Cは、載置部21Aの前端部21cから上方に直線状に延びる縦壁21eと縦壁21eから前方に直線状に延びる横壁21fとを有し、横壁21fが図示しないねじ等の固定具によって前側クロスメンバ7Aに固定されている。
【0034】
後側固定部21Dは、載置部21Aの後端部21dから下方に延びる縦壁21gと縦壁21gから後方に直線状に延びる横壁21hとを有し、横壁21hは、図示しないねじ等の固定具によって後側クロスメンバ7Bに固定されている。
【0035】
本実施例の載置部21Aの前端部21cは、載置部の一端部を構成し、載置部21Aの後端部21dは、載置部の他端部を構成する。前側クロスメンバ7Aと後側クロスメンバ7Bは、それぞれ前後方向で高さが異なる部位を含んでいる。
【0036】
図5に示すように、前側固定部21Cは、載置部21Aの載置面21aよりも高い位置に位置する前側クロスメンバ7Aの上面7aに固定されている。後側固定部21Dは、フロアパネル2の上面2aよりも高く、載置部21Aより低い位置に設けられた後側クロスメンバ7Bの低位部7cに固定されている。低位部7cとは、後側クロスメンバ7Bの上面7bよりも低い部位である。
【0037】
このように、固定ブラケット21は、載置面21aが前側クロスメンバ7Aの上面7aよりも低い位置に位置し、かつ、後側クロスメンバ7Bの低位部7cよりも高い位置に位置するようにして、前側クロスメンバ7Aと後側クロスメンバ7Bとブラケット11とを介してフロアパネル2に固定されている。
【0038】
本実施例の固定ブラケット21は、固定部材を構成し、前側クロスメンバ7A、後側クロスメンバ7Bおよびブラケット11は、被固定部を構成する。
【0039】
後側固定部21Dは、第1の固定部を構成し、前側固定部21Cは、第2の固定部を構成する。後側クロスメンバ7Bは、被固定部および第1の被固定部を構成し、後側クロスメンバ7Bの低位部7cは、第1の被固定部位を構成する。前側クロスメンバ7Aは、被固定部および第2の被固定部を構成し、前側クロスメンバ7Aの上面7aは、第2の被固定部位を構成する。
【0040】
図6図7に示すように、カバー部材23は、天井壁23Aと、前壁23Bと、後壁23Cと、左側壁23Dと、右側壁23Eとを有する。
【0041】
前壁23Bおよび後壁23Cは、天井壁23Aから下方に延びており、前後方向に対向している。
【0042】
左側壁23Dは、天井壁23Aから下方に延びており、前壁23Bの左端部と後壁23Cの左端部とを連絡している。右側壁23Eは、天井壁23Aから下方に延びており、前壁23Bの右端部と後壁23Cの右端部とを連絡している。
【0043】
前壁23B、後壁23C、左側壁23Dおよび右側壁23Eの底部は開口している。カバー部材23は、天井壁23A、前壁23B、後壁23C、左側壁23Dおよび右側壁23Eによって固定ブラケット21と電装部品22とを上方および側方(前後左右方向)から覆っている。
【0044】
すなわち、カバー部材23は、固定ブラケット21と電装部品22が外部から目視できないように固定ブラケット21と電装部品22を覆っている。
【0045】
前壁23Bと後壁23Cの前後方向の長さに対し、左側壁23Dと右側壁23Eの車幅方向の長さは短く形成されており、カバー部材23を上方から見た場合に、カバー部材23は、長方形に形成されている。
【0046】
前壁23B、後壁23C、左側壁23Dおよび右側壁23Eの上下方向の長さ(高さ)は、同一に形成されており、前壁23B、後壁23C、左側壁23Dおよび右側壁23Eの下端部23aは、固定ブラケット21の載置面21aよりも低い位置に位置している(図5参照)。以下、前壁23B、後壁23C、左側壁23Dおよび右側壁23Eの下端部23aをカバー部材23の下端部23aともいう。
【0047】
カバー部材23の下端部23aは、フロアパネル2の上面2aに接触しており、フロアパネル2の上面2aと同じ高さ位置に位置している。
【0048】
カバー部材23の前壁23Bには前側開口部23bが形成されており、前側開口部23bは、前壁23Bの下端部23aから上方に向かって切り欠かれている。すなわち、前側開口部23bは、前壁23Bの上下方向に開口している。
【0049】
カバー部材23の後壁23Cには後側開口部23cが形成されており、後側開口部23cは、後壁23Cの下端部23aから上方に向かって切り欠かれている。すなわち、後側開口部23cは、後壁23Cの上下方向に開口している。
【0050】
図5に示すように、前側開口部23bの上端部23dは、後側開口部23cの上端部23eよりも上方に位置している。具体的には、後側開口部23cの上端部23eは、載置部21Aの載置面21aと同じ高さ位置に位置しており、前側開口部23bの上端部23dは、載置部21Aの載置面21aよりも上方で天井壁23Aの近くに位置している。
【0051】
図5図7に示すように、前側固定部21Cは、横壁21fが後側固定部21Dの横壁21hよりも高い位置に位置しており、載置部21Aの前端部21cから前側開口部23bを通して前壁23Bよりも前方(外方)に延びている。
【0052】
後側固定部21Dは、横壁21hが前側固定部21Cの横壁21fよりも低い位置に位置しており、載置部21Aの後端部21dから後側開口部23cを通して後壁23Cよりも後方(外方)に延びている。
【0053】
カバー部材23によって固定ブラケット21と電装部品22とを上方および側方から覆う際に、前側開口部23bおよび後側開口部23cに前側固定部21Cと後側固定部21Dが挿通され、前側開口部23bおよび後側開口部23cが前側固定部21Cと後側固定部21Dに沿って下方に案内される。
【0054】
前側開口部23bの上端部23dは、後側開口部23cの上端部23eよりも上方に位置しているので、前側固定部21Cの横壁21fが前側開口部23bの上端部23dに当接することがなく、カバー部材23の下端部23aがフロアパネル2に接触するまでカバー部材23を移動させることができる。
【0055】
図6図7に示すように、前壁23Bには突出壁23F、23G、23Hが設けられている。突出壁23F、23Gは、前側開口部23bの左右の縁から前方に突出しており、車幅方向に対向している。
【0056】
突出壁23Hは、前側開口部23bの上端部23dの上縁から前方に突出しており、前側固定部21Cの横壁21fを上方から覆っている(図2図5参照)。
【0057】
突出壁23F、23Gの突出方向の先端は、前側クロスメンバ7Aに接触しており、突出壁23Hは、前側クロスメンバ7Aの上面7aに接触している(図5参照)。
【0058】
これにより、前側開口部23bは、突出壁23F、23G、23Hおよび前側クロスメンバ7Aによって閉じられ、カバー部材23の内部空間24(図5参照)とカバー部材23の外部(外気)とは、前側開口部23bを介して非連通状態となっている。
【0059】
カバー部材23の後壁23Cには突出壁23I、23J、23Kが設けられている。突出壁23I、23Jは、後側開口部23cの左右の縁から後方に突出しており、車幅方向に対向している。
【0060】
突出壁23Kは、後側開口部23cの上端部23dの上縁から後方に突出しており、後側固定部21Dの横壁21hを上方から覆っている(図2図5参照)。
【0061】
突出壁23I、23Jの突出方向の先端は、後側クロスメンバ7Bに接触しており、突出壁23Kは、後側クロスメンバ7Bの上面7bに接触している(図5参照)。
【0062】
これにより、後側開口部23cは、突出壁23I、23J、23Kおよび後側クロスメンバ7Bによって閉じられ、カバー部材23の内部空間24とカバー部材23の外部(外気)とは、後側開口部23cを通して非連通状態となっている。
【0063】
図5図6に示すように、カバー部材23の前壁23Bには仕切壁23Wが設けられている。仕切壁23Wは、前側開口部23bの上側部分を閉じている(図8参照)。
【0064】
具体的には、仕切壁23Wの下端部23fは、載置面21aと同じ高さ位置に位置しており(図8参照)、カバー部材23の内部空間24のうち、載置面21aよりも上方のカバー部材23の上側内部空間25には空気溜まりが形成される。なお、仕切壁23Wは、前側開口部23bの全体を閉じてもよい。
【0065】
また、カバー部材23の内部空間24のうち、載置部21Aよりも下方の下側内部空間26にも空気溜まりが形成される。
【0066】
本実施例のカバー部材23の前壁23B、後壁23C、左側壁23Dおよび右側壁23Eは、側壁を構成し、前壁23Bは、所定の側壁を構成する。
【0067】
仕切壁23Wの左右両側には嵌合部が形成されており、前側固定部21Cの縦壁21eの左右両端が嵌合部に強固に嵌合されている。これにより、カバー部材23が固定ブラケット21に固定される。
【0068】
また、カバー部材23は、前側固定部21Cの横壁21fが前側開口部23bに嵌合され、後側固定部21Dの横壁21hが後側開口部23cに嵌合される。
【0069】
また、カバー部材23は、突出壁23F、23Gの突出方向の先端が前側クロスメンバ7Aに接触するとともに、突出壁23Hが前側クロスメンバ7Aの上面7aに接触する。これに加えて、カバー部材23は、突出壁23I、23Jの突出方向の先端が後側クロスメンバ7Bに接触するとともに、突出壁23Kが後側クロスメンバ7Bの上面7bに接触している。
【0070】
これにより、カバー部材23は、フロアパネル2に対して移動することがなく、固定ブラケット21に安定して固定される。
【0071】
図6図7に示すように、カバー部材23の右側壁23Eには図示しないワイヤハーネスを通すための複数の貫通孔23g、23hが形成されている。貫通孔23g、23hは、載置部21Aの載置面21aよりも低い位置に位置している。
【0072】
ワイヤハーネスは、電装部品22の端子に接続されており、電装部品22の端子から二股状の固定部21Bおよび貫通孔23g、23hを通してカバー部材23の外部に配線され、車両1に搭載される他の電装部品に接続されている。
【0073】
ワイヤハーネスは、フロアトンネル8Bの下方を通って運転席4の下方から助手席5の下方側に配設されている。
【0074】
なお、ワイヤハーネスを通す貫通孔は、前壁23B、後壁23Cおよび左側壁23Dのいずれかに形成されてもよいが、この場合にも貫通孔は、載置部21Aの載置面21aよりも低い位置に位置することが好ましい。
【0075】
次に、本実施例の電装部品22の取付構造の効果を説明する。
本実施例の電装装置6は、助手席5のシートクッション5Aとフロアパネル2の間に設置されているので、エンジンルームに比べて低温環境にある車室3に電装装置6を設置でき、電装部品22の性能を引き出し易い。
【0076】
これに加えて、荷室のスペースが電装装置6によって阻害されることを防止して電装装置6の設置性能を向上できる上に、電装装置6をエンジンルームに設置する必要がないので、エンジンルームの小型化を図ることができる。
【0077】
ところで、電装装置6をフロアパネル2の上面2aに設置すると、電装装置6が低位置に設置されることになるので、車両1が冠水路を走行中、あるいは冠水路に停車中に、フロアパネル2に設置される電装部品22が水没するおそれがある。
【0078】
本実施例の電装部品22の取付構造は、電装部品22が載置される載置面21aを有する載置部21Aを備えた固定ブラケット21が設けられており、固定ブラケット21は、車両1のフロアパネル2の上面2aに設けられた前側固定部21C、後側固定部21Dおよびブラケット11に固定されている。
【0079】
また、電装部品22の取付構造は、天井壁23A、天井壁23Aから下方に延びる前壁23B、後壁23C、左側壁23Dおよび右側壁23Eを有し、固定ブラケット21と電装部品22とを上方および側方から覆うカバー部材23を備えている。
【0080】
固定ブラケット21は、載置面21aがフロアパネル2の上面2aよりも高い位置に位置しており、カバー部材23は、前壁23B、後壁23C、左側壁23Dおよび右側壁23Eの下端部23aが載置面21aよりも低い位置に位置している。
【0081】
これにより、車両1が冠水路を走行中、あるいは冠水路に停車中に、載置部21Aの下方の下側内部空間26に空気溜まりを形成できる。このため、下側内部空間26に水が侵入することを困難にでき、載置面21aよりも上方に水位が上昇することを抑制できる。したがって、フロアパネル2に設置される電装部品22が水没することを抑制できる。
【0082】
また、電装部品22を載置する載置面21aを、フロアパネル2の上面2aから上方に離し、電装部品22を上側内部空間25に設置しているので、車両1の冠水時に水位が上昇した場合に水が電装部品22に到達することを抑制できる。
【0083】
これに加えて、水が電装部品22に近づいた場合でも、上側内部空間25に形成される空気溜まりによって水が電装部品22に到達することを抑制でき、フロアパネル2に設置される電装部品22が水没することを抑制できる。
【0084】
また、電装部品22を載置する載置部21Aの載置面21aをフロアパネル2の上面2aから上方に離して設置することにより、カバー部材23の下側内部空間26に空気溜まりが形成できるので、電装部品22の熱を下側内部空間26に逃がすことができる。このため、電装部品22の排熱性能を向上でき、電装部品22の温度が上昇することを抑制できる。
【0085】
また、本実施例の電装部品22の取付構造によれば、カバー部材23は、フロアパネル2の上面2aよりも高い位置に位置する前側クロスメンバ7Aと後側クロスメンバ7Bとを有する。
【0086】
前側クロスメンバ7Aは、前側固定部21Cが固定される上面7aを有し、後側クロスメンバ7Bは、後側固定部21Dが固定される低位部7cを有する。
【0087】
これに加えて、載置面21aは、後側クロスメンバ7Bの低位部7cよりも高い位置に設置されている。
【0088】
これにより、載置部21Aの載置面21aをフロアパネル2の上面2aよりも上方に設置し、車両1の冠水時には電装部品22を空気溜まりが形成される内部空間24に設置できる。このため、フロアパネル2に設置される電装部品22が水没することをより効果的に抑制できる。
【0089】
また、電装部品22の熱を空気溜まりが形成される下側内部空間26に逃がすことができ、電装部品22の排熱性能をより効果的に向上できる。
【0090】
また、本実施例の電装部品22の取付構造によれば、カバー部材23の前壁23Bに前側開口部23bが設けられており、前側開口部23bは、上端部23dが載置面21aよりも上方に位置するように上下方向に開口している。
【0091】
後側クロスメンバ7Bは、載置部21Aの後端部21dから後側開口部23cを通して後壁23Cよりも後方に延びており、前側クロスメンバ7Aは、後側クロスメンバ7Bの横壁21hよりも横壁21fが高い位置に位置するように、載置部21Aの前端部21cから前側開口部23bを通して前壁23Bよりも外方に延びている。
【0092】
これに加えて、前壁23Bに仕切壁23Wが設けられており、仕切壁23Wは、載置面21aよりも高い位置において、前側開口部23bの上側部分を閉じている。
【0093】
ここで、前側固定部21Cの高さが後側固定部21Dの高さより高い場合には、前側固定部21Cを挿通するための前側開口部23bの長さを後側開口部23cよりも長くする必要がある。このため、前側開口部23bを通して内部空間24とカバー部材23の外部とが連通されることになる。
【0094】
本実施例の電装部品22の取付構造によれば、前壁23Bに仕切壁23Wが設けられており、仕切壁23Wは、載置面21aよりも高い位置において、前側開口部23bの上側部分を閉じている。
【0095】
これにより、載置部21Aの載置面21aの上方の上側内部空間25がカバー部材23の外部と連通することを防止でき、上側内部空間25に空気溜まりが形成できる。
【0096】
このため、車両1の冠水時に水位が上昇した場合に、上側内部空間25に形成される空気溜まりによって水が電装部品22に到達することを抑制でき、フロアパネル2に設置される電装部品22が水没することを抑制できる。
【0097】
また、上側内部空間25に電装部品22を設置するスペースを確保しつつ、フロアパネル2に対して載置部21Aの位置を高くする程、載置面21aよりも高い位置において前側開口部23bの上下方向長さを短くでき、仕切壁23Wの上下方向長さを短くできる。
【0098】
このため、前側開口部23bを通して内部空間24とカバー部材23の外部とが連通されることをより効果的に防止でき、車両1の冠水時に上側内部空間25により多くの空気を溜めることができる。このため、フロアパネル2に設置される電装部品22が水没することをより効果的に防止できる。
【0099】
また、フロアパネル2に対して載置部21Aの位置を高くする程、下側内部空間26の容積を大きくして下側内部空間26に多くの空気を溜めることができ、フロアパネル2に設置される電装部品22が水没することをより効果的に防止できる。
【0100】
これに加えて、電装部品22から多くの熱を下側内部空間26に逃がすことができ、電装部品22の排熱性能をより効果的に向上できる。
【0101】
なお、本実施例の電装部品22の取付構造は、前側固定部21Cを載置部21Aの載置面21aよりも高い位置に設置するとともに、後側固定部21Dを載置部21Aの載置面21aよりも低い位置に設置し、載置面21aを後側固定部21Dよりも高い位置に設置しているが、これに限定されるものではない。
【0102】
すなわち、前側固定部21Cを載置部21Aの載置面21aよりも低い位置に設置するとともに、後側固定部21Dを載置部21Aの載置面21aよりも高い位置に設置し、載置面21aを前側固定部21Cよりも高い位置に設置してもよい。
【0103】
また、本実施例の電装部品22の取付構造によれば、電装部品22に接続されるワイヤハーネスを有する。
【0104】
カバー部材23は、カバー部材23の内部にワイヤハーネスを通す貫通孔23g、23hを有し、貫通孔23g、23hは、載置面21aよりも低い位置に位置するように、右側壁23Eに形成されている。
【0105】
ここで、電装部品22が設置される載置部21Aの載置面21aよりも上方に貫通孔を形成した場合には、貫通孔を通して上側内部空間25とカバー部材23の外部とが連通されるおそれがある。
【0106】
これに対して、載置面21aよりも低い位置に貫通孔23g、23hを形成することにより、貫通孔23g、23hを通して上側内部空間25とカバー部材23の外部とが連通されることを防止でき、電装部品22とワイヤハーネスの接続部が冠水することを抑制できる。
【0107】
また、載置部21Aの位置を高くすれば、載置部21Aの下方の前壁23B、後壁23C、左側壁23Dおよび右側壁23Eの設置面積を増大でき、貫通孔23g、23hの設置スペースを増大でき、貫通孔23g、23hの設置の自由度を向上できる。
【0108】
なお、本実施例の被固定部は、フロアパネル2の前側クロスメンバ7Aと後側クロスメンバ7Bから構成されているが、フロアパネル2と一体(一体成形)の部位であってもよい。
【0109】
電装部品としては、例えば、バッテリやDC-DCコンバータに適用可能である。しかしながら、バッテリやDC-DCコンバータに限定されるものではなく、車両1に搭載される電気的な部品であればなんでもよい。
【0110】
さらに、電装装置6は、助手席5のシートクッション5Aとフロアパネル2の間に設置されているが、運転席4のシートクッション4Aとフロアパネル2の間に設置されてもよい。
【0111】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0112】
1...車両、2...フロアパネル、2a...上面(フロアパネルの上面)、7A...前側クロスメンバ(被固定部、第2の被固定部)、7a...上面(第2の被固定部位)、7B...後側クロスメンバ(被固定部、第1の被固定部)、7c...低位部(第1の被固定部位)、21...固定ブラケット(固定部材)、21A...載置部、21a...載置面、21C...前側固定部(第2の固定部)、21c...前端部(載置部の一端部)、21D...後側固定部(第1の固定部)、21d...後端部(載置部の他端部)、22...電装部品、23...カバー部材、23A...天井壁、23B...前壁(側壁、所定の側壁)、23b...前側開口部(開口部)、23C...後壁(側壁)、23D...左側壁(側壁)、23E...右側壁(側壁)、23g,23h...貫通孔、23W...仕切壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8