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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】センサーモジュール
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20240910BHJP
   G01P 15/18 20130101ALI20240910BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20240910BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01P15/08 102Z
G01P15/18
H01L23/02 J
H05K1/18 S
H05K1/18 R
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021007141
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111603
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 正泰
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-028432(JP,A)
【文献】特開2006-242590(JP,A)
【文献】特開2018-009908(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0068021(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3993584(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 15/00 ~ 15/18
G01C 19/00 ~ 19/72
B81B 1/00 ~ 7/04
B81C 1/00 ~ 3/00
H01L 23/02
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面と、前記主面において第1の辺に設けられる第1の凹部と、前記第1の辺に対向する第2の辺に設けられる第2の凹部と、前記第1の辺と前記第2の辺とに隣り合う第3の辺に設けられる第3の凹部と、前記第3の辺に対向する第4の辺に設けられる第4の凹部と、を有する矩形状のプリント基板と、
前記プリント基板の前記第1の凹部と接着される第1の凸部と、前記第2の凹部と接着される第2の凸部と、前記第3の凹部と接着される第3の凸部と、前記第4の凹部と接着される第4の凸部と、を有する金属キャップと、
前記プリント基板の前記主面に設けられ、前記主面と前記金属キャップとの間に収容される第1慣性センサーと、
前記プリント基板の前記主面に設けられ、前記主面と前記金属キャップとの間に収容される第2慣性センサーと、
を備え、
前記プリント基板の前記主面に直交する方向からの平面視で、前記第1慣性センサーと、前記第2慣性センサーと、は前記プリント基板の前記第1の凹部の幅方向の両端と、前記第2の凹部の幅方向の両端と、を結ぶ線分により囲まれる領域及び前記第3の凹部の幅方向の両端と、前記第4の凹部の両端と、を結ぶ線分により囲まれる領域の外側に配置される、
センサーモジュール。
【請求項2】
前記第1慣性センサーは、
第1加速度センサー素子と、
前記第1加速度センサー素子に電気的に接続される第1内部電極と、
を備え、
前記平面視で、前記第1加速度センサー素子と、前記第1内部電極と、は第1の方向に並んで配置されており、
前記第1加速度センサー素子は、前記第1の方向において、前記第1内部電極よりも前記プリント基板の外縁に近い位置に配置され、
前記第2慣性センサーは、
第2加速度センサー素子と、
前記第2加速度センサー素子に電気的に接続される第2内部電極と、
を備え、
前記平面視で、前記第2加速度センサー素子と、前記第2内部電極と、は第2の方向に並んで配置されており、
前記第2加速度センサー素子は、前記第2の方向において、前記第2内部電極よりも前記プリント基板の外縁に近い位置に配置される、
請求項1記載のセンサーモジュール。
【請求項3】
前記第1慣性センサーは、
第1加速度センサー素子と、
第1角速度センサー素子と、
を備え、
前記平面視で、前記第1加速度センサー素子と、前記第1角速度センサー素子と、は第3の方向に並んで配置されており、
前記第1加速度センサー素子は、前記第3の方向において、前記第1角速度センサー素子よりも前記プリント基板の外縁に近い位置に配置され、
前記第2慣性センサーは、
第2加速度センサー素子と、
第2角速度センサー素子と、
を備え、
前記平面視で、前記第2加速度センサー素子と、前記第2角速度センサー素子と、は第4の方向に並んで配置されており、
前記第2加速度センサー素子は、前記第4の方向において、前記第2角速度センサー素子よりも前記プリント基板の外縁に近い位置に配置される、
請求項1記載のセンサーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、プリント基板などの絶縁基板上に搭載した電子部品を覆うように金属キャップを配置するために、金属キャップの裾部に設けた突片と絶縁基板面とを半田などにより接続する電子デバイスが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-31787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の電子デバイスでは、金属キャップの2つの対向する裾部の中央部から突出させた突片と絶縁基板とを接続しているため、電子デバイスの実装工程や電子デバイスの使用環境における熱サイクルにおいて、金属キャップと絶縁基板との熱膨張率の差に起因する応力が絶縁基板に加わる。この応力は、金属キャップの2つの対向する突片を結ぶ直線状の領域において絶縁基板に強く加わるため、絶縁基板上に搭載される圧電振動子などの電子部品が、金属キャップの2つの対向する突片を結ぶ直線状の領域に配置された場合、電子部品にも応力が加わり、電子部品の特性が変化する。
【0005】
このような電子部品の特性の変化は、発振器以外の電子部品、例えば、水晶などの圧電基板やシリコンなどの半導体基板からMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて形成した慣性素子の振動などを利用するセンサーにおいても同様である。このようなセンサーにおいては、センサーに応力が加わることにより、センサーの特性が変化し、センサーの検出精度が低下するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
センサーモジュールは、主面と、前記主面において第1の辺に設けられる第1の凹部と、前記第1の辺に対向する第2の辺に設けられる第2の凹部と、前記第1の辺と前記第2の辺とに隣り合う第3の辺に設けられる第3の凹部と、前記第3の辺に対向する第4の辺に設けられる第4の凹部と、を有する矩形状のプリント基板と、前記プリント基板の前記第1の凹部と接着される第1の凸部と、前記第2の凹部と接着される第2の凸部と、前記第3の凹部と接着される第3の凸部と、前記第4の凹部と接着される第4の凸部と、を有する金属キャップと、前記プリント基板の前記主面に設けられ、前記主面と前記金属キャップとの間に収容される第1慣性センサーと、前記プリント基板の前記主面に設けられ、前記主面と前記金属キャップとの間に収容される第2慣性センサーと、を備え、前記プリント基板の前記主面に直交する方向からの平面視で、前記第1慣性センサーと、前記第2慣性センサーと、は前記プリント基板の前記第1の凹部の幅方向の両端と、前記第2の凹部の幅方向の両端と、を結ぶ線分により囲まれる領域及び前記第3の凹部の幅方向の両端と、前記第4の凹部の両端と、を結ぶ線分により囲まれる領域の外側に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係るセンサーモジュールの平面図。
図2】実施形態1に係るセンサーモジュールの下面図。
図3図1中のA-A線での断面図。
図4図1中のE部を示す平面図。
図5図1中のF部を示す平面図。
図6】実施形態2に係るセンサーモジュールの平面図。
図7図6中のG部を示す平面図。
図8図6中のH部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態1
実施形態1に係るセンサーモジュール1について、図1図5を参照して説明する。なお、図1は、センサーモジュール1の内部の構成を説明する便宜上、金属キャップ7の天板部70を取り外した状態を図示している。図4及び図5は、第1慣性センサー3及び第2慣性センサー4の内部の構成を説明する便宜上、加速度センサー素子、角速度センサー素子、及び内部電極以外の構成要素を省略して図示している。なお、各図の各構成要素の寸法比率は実際と異なる。
【0009】
図面に付記する座標においては、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸及びZ軸として説明する。X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」とし、矢印の方向がプラス方向である。また、Z方向のプラス方向を「上」又は「上方」、Z方向のマイナス方向を「下」又は「下方」として説明する。また、Z方向からの平面視において、Z方向プラス側の面を上面、これと反対側となるZ方向マイナス側の面を下面として説明する。
【0010】
図1図3に示すように、センサーモジュール1は、プリント基板2と、プリント基板2の上面である主面21に接着された金属キャップ7と、プリント基板2の主面21に設けられ、主面21と金属キャップ7との間に収容される第1慣性センサー3、第2慣性センサー4、及び角速度センサー5と、プリント基板2の下面22に搭載された半導体装置8と、プリント基板2の下面22に電気的に接続された複数のリード端子9を備えるリード群90と、を有する。
【0011】
プリント基板2は、プリント基板2の主面21に直交するZ方向からの平面視で、外形が矩形状の板状である。プリント基板2としては、例えば、セラミック基板、ガラスエポキシ基板などを用いることができる。なお、説明の便宜上、プリント基板2に形成される配線については図示を省略し、下面22に配置される外部接続端子292のみを図示している。
【0012】
プリント基板2は、Z方向からの平面視で、第1の辺2Aと、第1の辺2Aに対向する第2の辺2Bと、第1の辺2Aと第2の辺2Bとに隣り合う第3の辺2Cと、第3の辺2Cに対向する第4の辺2Dと、を有する。
【0013】
なお、「矩形」とは正方形及び長方形を含み、さらに矩形の一部に矩形とは相違する非矩形部分を有する形状を含む概念である。非矩形部分とは、例えば、矩形の角が曲線状または直線状に面取りされる部分や、矩形を囲む辺の一部が矩形の外側に突出する凸部又は矩形の内側に陥没している切り欠きなどの凹部などである。このように、矩形を構成する各辺は、非矩形部により分断されていても構わない。
【0014】
また、「隣り合う」とは、矩形を構成する各辺のうち互いに交差する2辺が直接的に接触する場合に限らず、非矩形部分を介して間接的に接触する場合を含む概念である。例えば、第1の辺2Aと、第3の辺2Cと、が隣り合うとは、第1の辺2Aと、第3の辺2Cと、が矩形の角において接触する場合に限らず、矩形の角が面取りされる部分などの非矩形部分を介して接触していても構わない。
【0015】
プリント基板2の主面21において、第1の辺2Aには第1の凹部23Aが設けられ、第2の辺2Bには第2の凹部23Bが設けられ、第3の辺2Cには第3の凹部23Cが設けられ、第4の辺2Dには第4の凹部23Dが設けられる。なお、本実施形態では、凹部23A,23B,23C,23Dは、それぞれ辺2A,2B,2C,2Dの中央部に設けられているが、辺2A,2B,2C,2Dの中央部以外に設けても構わない。
【0016】
次に、プリント基板2の主面21側に位置する各部について説明する。
図1及び図3に示すように、プリント基板2の主面21には、金属キャップ7が接着される。また、プリント基板2の主面21には、第1慣性センサー3、第2慣性センサー4、及び角速度センサー5が設けられる。プリント基板2の主面21に、金属キャップ7が接着されることにより、プリント基板2の主面21と、金属キャップ7と、の間に、第1慣性センサー3、第2慣性センサー4、及び角速度センサー5が収容される。
【0017】
金属キャップ7は、Z方向からの平面視で、プリント基板2とほぼ相似形を呈する矩形状である。金属キャップ7としては、例えば、鉄-ニッケル系合金である42アロイを用いることができる。
【0018】
金属キャップ7は、天板部70と、天板部70の外周縁から下方に延設される側壁71と、天板部70と側壁71とにより形成される凹部711と、側壁71の下端部から内側に向けて突出する第1の凸部72A、第2の凸部72B、第3の凸部72C、第4の凸部72Dと、を有する。
【0019】
金属キャップ7は、凹部711内に第1慣性センサー3、第2慣性センサー4、及び角速度センサー5を収容するようにして、プリント基板2の主面21に配置される。
【0020】
金属キャップ7の凸部72A,72B,72C,72Dは、Z方向からの平面視で、プリント基板2の凹部23A,23B,23C,23Dとそれぞれ重なるように配置される。
【0021】
金属キャップ7の第1の凸部72Aは、プリント基板2の第1の凹部23Aと、接着部材74を介して接着される。同様に、金属キャップ7の第2の凸部72Bは、プリント基板2の第2の凹部23Bと、接着部材74を介して接着され、第3の凸部72Cは、第3の凹部23Cと、接着部材74を介して接着され、第4の凸部72Dは、第4の凹部23Dと、接着部材74を介して接着される。
【0022】
接着部材74としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂などによる樹脂系接着剤を用いることができる。なお、接着部材74は、導電性を有していても構わない。また、接着部材74は、樹脂系接着剤の他、例えば、半田などを用いても構わない。
【0023】
第1慣性センサー3と、第2慣性センサー4と、はX軸、Y軸、Z軸の3軸回りの角速度と、3軸に沿った方向の加速度と、を検出する、いわゆる6軸慣性センサーである。
【0024】
角速度センサー5は、X軸、Y軸、Z軸の3軸のうち、所望の検出軸回りの角速度を高精度に検出するために設けられる。本実施形態では、角速度センサー5は、Z軸回りの角速度を検出する。なお、角速度センサー5はなくても構わない。
【0025】
ここで、本実施形態における第1慣性センサー3及び第2慣性センサー4の配置について、説明する。
【0026】
図1に示すように、プリント基板2の主面21に直交するZ方向からの平面視で、第1慣性センサー3と、第2慣性センサー4と、はプリント基板2の第1の凹部23Aの幅方向の両端と、第2の凹部23Bの幅方向の両端と、を結ぶ線分L1により囲まれる領域243及び第3の凹部23Cの幅方向の両端と、第4の凹部23Dの両端と、を結ぶ線分L2により囲まれる領域244の外側に配置される。
【0027】
プリント基板2の第1の凹部23Aの幅方向の両端と、第2の凹部23Bの幅方向の両端と、を結ぶ線分L1は、Z方向からの平面視で、第1の凹部23Aと第2の凹部23Bとの幅方向のY方向プラス側の端部を結ぶ第1の線分L11と、第1の凹部23Aと第2の凹部23Bとの幅方向のY方向マイナス側の端部を結ぶ第2の線分L12と、を有する。なお、第1の線分L11と、第2の線分L12と、は交差しない。
【0028】
プリント基板2の第1の凹部23Aの幅方向の両端と、第2の凹部23Bの幅方向の両端と、を結ぶ線分L1により囲まれる領域243は、具体的には、Z方向からの平面視で、第1の線分L11と、第2の線分L12と、第1の凹部23Aの幅方向の外縁と、第2の凹部23Bの幅方向の外縁と、により囲まれる領域である。
【0029】
プリント基板2の第3の凹部23Cの幅方向の両端と、第4の凹部23Dの幅方向の両端と、を結ぶ線分L2は、Z方向からの平面視で、第3の凹部23Cと第4の凹部23Dとの幅方向のX方向プラス側の端部を結ぶ第3の線分L21と、第3の凹部23Cと第4の凹部23Dとの幅方向のX方向マイナス側の端部を結ぶ第4の線分L22と、を有する。なお、第3の線分L21と、第4の線分L22と、は交差しない。
【0030】
プリント基板2の第3の凹部23Cの幅方向の両端と、第4の凹部23Dの幅方向の両端と、を結ぶ線分L2により囲まれる領域244は、具体的には、第3の線分L21と、第4の線分L22と、第3の凹部23Cの幅方向の外縁と、第4の凹部23Dの幅方向の外縁と、により囲まれる領域である。
【0031】
プリント基板2の第1の凹部23Aの幅方向の両端と、第2の凹部23Bの幅方向の両端と、を結ぶ線分L1により囲まれる領域243は、Z方向からの平面視で、X方向に沿って延在している。プリント基板2の第3の凹部23Cの幅方向の両端と、第4の凹部23Dの幅方向の両端と、を結ぶ線分L2により囲まれる領域244は、Z方向からの平面視で、Y方向に沿って延在している。
【0032】
プリント基板2の第1の凹部23Aの幅方向の両端と第2の凹部23Bの幅方向の両端とを結ぶ線分L1により囲まれる領域243と、プリント基板2の第3の凹部23Cの幅方向の両端と第4の凹部23Dの幅方向の両端とを結ぶ線分L2により囲まれる領域244と、はプリント基板2の中央部において交差しており、第1の凹部23Aの幅方向の両端と第2の凹部23Bの幅方向の両端とを結ぶ線分L1により囲まれる領域243と、第3の凹部23Cの幅方向の両端と第4の凹部23Dの幅方向の両端とを結ぶ線分L2により囲まれる領域244と、を重ね合わせた形状は、十字形状になっている。
【0033】
このように、本実施形態では、プリント基板2の主面21は、線分L1により囲まれる領域243と、線分L2により囲まれる領域244と、により十字形状に区分される。プリント基板2の主面21は、線分L1により囲まれる領域243と、線分L2により囲まれる領域244と、領域243と領域244とにより区分された第1の実装領域246、第2の実装領域247、第3の実装領域248、及び第4の実装領域249と、を有する。第1の実装領域246、第2の実装領域247、第3の実装領域248、及び第4の実装領域249は、Z方向からの平面視で、線分L1により囲まれる領域243と、線分L2により囲まれる領域244と、の外側にある領域である。
【0034】
具体的には、第1の実装領域246は、Z方向からの平面視で、第1の線分L11よりもY方向プラス側にあり、かつ、第3の線分L21よりもX方向プラス側にある領域である。同様に、第2の実装領域247は、第1の線分L11よりもY方向プラス側にあり、かつ、第4の線分L22よりもX方向マイナス側にある領域であり、第3の実装領域248は、第2の線分L12よりもY方向マイナス側にあり、かつ、第4の線分L22よりもX方向マイナス側にある領域であり、第4の実装領域249は、第2の線分L12よりもY方向マイナス側にあり、かつ、第3の線分L21よりもX方向プラス側にある領域である。
【0035】
プリント基板2の第1の凹部23Aの幅方向の両端と第2の凹部23Bの幅方向の両端とを結ぶ線分L1により囲まれる領域243と、プリント基板2の第3の凹部23Cの幅方向の両端と第4の凹部23Dの幅方向の両端とを結ぶ線分L2により囲まれる領域244と、は金属キャップ7と、プリント基板2と、のそれぞれの熱膨張率の差に起因する応力がプリント基板2に強く加わる領域である。
【0036】
第1の実装領域246、第2の実装領域247、第3の実装領域248、及び第4の実装領域249は、金属キャップ7と、プリント基板2と、のそれぞれの熱膨張率の差に起因する応力がプリント基板2に加わり難い領域である。すなわち、第1の実装領域246、第2の実装領域247、第3の実装領域248、及び第4の実装領域249は、第1慣性センサー3と、第2慣性センサー4と、をプリント基板2の主面21に配置するのに好適な領域である。
【0037】
本実施形態では、第1慣性センサー3は第1の実装領域246に配置され、第2慣性センサー4は第3の実装領域248に配置されている。ただし、第1慣性センサー3と、第2慣性センサー4と、の配置は、これに限らず、第1慣性センサー3と、第2慣性センサー4と、は第1の実装領域246、第2の実装領域247、第3の実装領域248、及び第4の実装領域249のうち、任意の実装領域に配置しても構わない。
【0038】
このように、第1慣性センサー3と、第2慣性センサー4と、をZ方向からの平面視で、プリント基板2の第1の凹部23Aの幅方向の両端と、第2の凹部23Bの幅方向の両端と、を結ぶ線分L1により囲まれる領域243及び第3の凹部23Cの幅方向の両端と、第4の凹部23Dの両端と、を結ぶ線分L2により囲まれる領域244の外側である実装領域246,247,248,249に配置することにより、金属キャップ7と、プリント基板2と、のそれぞれの熱膨張率の差に起因する応力は、第1慣性センサー3と、第2慣性センサー4と、に加わり難くなる。これにより、センサーモジュール1の使用環境などが変化しても、第1慣性センサー3と、第2慣性センサー4と、の検出精度が低下し難くなり、高精度なセンサーモジュール1を得ることができる。
【0039】
次に、第1慣性センサー3及び第2慣性センサー4の基本構成について説明する。
図4及び図5に示すように、第1慣性センサー3と、第2慣性センサー4と、の基本構成は、互いに同様であり、第2慣性センサー4は、Z方向からの平面視で、第1慣性センサー3を反時計回りに90度回転させた姿勢で実装されている。
【0040】
図4に示すように、第1慣性センサー3は、Z方向からの平面視で、長辺31と、長辺31とは長さが異なる短辺32と、により囲まれた長方形状の外形を有する。本実施形態では、長辺31はX方向に平行であり、短辺32はY方向に平行である。
【0041】
第1慣性センサー3は、第1加速度センサー素子30と、第1角速度センサー素子3rと、図示しない配線により第1加速度センサー素子30と第1角速度センサー素子3rとに電気的に接続される複数の第1内部電極33と、を有する。なお、本実施形態では、第1加速度センサー素子30、及び第1角速度センサー素子3rは、それぞれシリコン基板を用いて形成されているが、シリコン以外の半導体基板や水晶などの圧電基板を用いて形成されていても構わない。
【0042】
第1加速度センサー素子30は、長辺31に沿ったX方向の加速度を検出するX軸加速度センサー素子3xと、長辺31と短辺32とを含む平面に垂直なZ方向の加速度を検出するZ軸加速度センサー素子3zと、短辺32に沿ったY方向の加速度を検出するY軸加速度センサー素子3yと、を有する。なお、本実施形態では、第1加速度センサー素子30は、X軸加速度センサー素子3xと、Z軸加速度センサー素子3zと、Y軸加速度センサー素子3yと、を有しているが、第1加速度センサー素子30は、そのうち1つ以上を有していれば構わない。
【0043】
また、本実施形態では、X軸加速度センサー素子3xと、Z軸加速度センサー素子3zと、Y軸加速度センサー素子3yと、は短辺32に沿ったY方向において、Y方向プラス側からY方向マイナス側に向かって、この順に並んで配置されている。ただし、X軸加速度センサー素子3x、Z軸加速度センサー素子3z、Y軸加速度センサー素子3yの配置は、これに限らず、例えば、X軸加速度センサー素子3x、Z軸加速度センサー素子3z、Y軸加速度センサー素子3yが、長辺31に沿ったX方向に並んで配置されていても構わない。
【0044】
第1角速度センサー素子3rは、X軸、Y軸、及びZ軸の各軸回りの角速度を検出する3軸角速度センサー素子である。第1加速度センサー素子30と、第1角速度センサー素子3rと、は長辺31に沿ったX方向に並んで配置される。なお、第1角速度センサー素子3rは無くても構わない。
【0045】
ここで、第1加速度センサー素子30と、第1内部電極33と、の配置について説明する。
複数の第1内部電極33は、長辺31に沿ったX方向に並んで配置されている。第1加速度センサー素子30と、複数の第1内部電極33と、は短辺32に沿った方向であるY方向に並んで配置されている。
【0046】
このように、本実施形態では、第1加速度センサー素子30と、複数の第1内部電極33と、は第1の方向としてのY方向に並んで配置されている。そして、第1加速度センサー素子30は、Y方向において、第1内部電極33よりもプリント基板2の外縁である第3の辺2Cに近い位置に配置される。これにより、金属キャップ7とプリント基板2とのそれぞれの熱膨張率の差に起因する応力が、第1加速度センサー素子30に加わり難くなり、第1慣性センサー3における加速度の検出精度はさらに低下し難くなる。
【0047】
図5に示すように、第2慣性センサー4は、Z方向からの平面視で、長辺41と、長辺とは長さが異なる短辺42と、により囲まれた長方形状の外形を有する。本実施形態では、長辺41はY方向に平行であり、短辺42はX方向に平行である。
【0048】
第2慣性センサー4は、第2加速度センサー素子40と、第2角速度センサー素子4rと、図示しない配線により第2加速度センサー素子40と第2角速度センサー素子4rとに電気的に接続される複数の第2内部電極43と、を有する。
【0049】
第2加速度センサー素子40は、長辺41に沿ったY方向の加速度を検出するY軸加速度センサー素子4yと、長辺41と短辺42とを含む平面に垂直なZ方向の加速度を検出するZ軸加速度センサー素子4zと、短辺42に沿ったX方向の加速度を検出するX軸加速度センサー素子4xと、を有する。
【0050】
また、本実施形態では、Y軸加速度センサー素子4yと、Z軸加速度センサー素子4zと、X軸加速度センサー素子4xと、は短辺42に沿ったX方向において、X方向マイナス側からX方向プラス側に向かって、この順に並んで配置されている。
【0051】
第2角速度センサー素子4rは、X軸、Y軸、及びZ軸の各軸回りの角速度を検出する3軸角速度センサー素子である。第2加速度センサー素子40と、第2角速度センサー素子4rと、は長辺41に沿ったY方向に並んで配置される。
【0052】
ここで、第2加速度センサー素子40と、第2内部電極43と、の配置について説明する。
複数の第2内部電極43は、長辺41に沿ったY方向に並んで配置される。第2加速度センサー素子40と、複数の第2内部電極43と、は短辺42に沿った方向であるX方向に並んで配置されている。
【0053】
このように、本実施形態では、第2加速度センサー素子40と、複数の第2内部電極43と、は第2の方向としてのX方向に並んで配置されている。そして、第2加速度センサー素子40は、X方向において、第2内部電極43よりもプリント基板2の外縁である第2の辺2Bに近い位置に配置される。これにより、金属キャップ7とプリント基板2とのそれぞれの熱膨張率の差に起因する応力が、第2加速度センサー素子40に加わり難くなり、第2慣性センサー4における加速度の検出精度はさらに低下し難くなる。
【0054】
上述したように、本実施形態では、第1加速度センサー素子30を、複数の第1内部電極33よりもプリント基板2の外縁である第3の辺2Cに近い位置に配置することにより、第1慣性センサー3における加速度の検出精度はさらに低下し難くなる。そして、同様に、第2加速度センサー素子40を、複数の第2内部電極43よりもプリント基板2の外縁である第2の辺2Bに近い位置に配置することにより、第2慣性センサー4における加速度の検出精度はさらに低下し難くなる。このように、本実施形態では、第1慣性センサー3及び第2慣性センサー4におけるそれぞれの加速度の検出精度をさらに低下し難くすることができるので、さらに高精度なセンサーモジュール1を得ることができる。
【0055】
以上、プリント基板2の上面である主面21側に位置する各部について説明した。次に、プリント基板2の下面22側に位置する各部について説明する。
図2及び図3に示すように、プリント基板2の下面22には半導体装置8が搭載されている。半導体装置8は、プリント基板2に設けられる図示しない配線を介して第1慣性センサー3、第2慣性センサー4、及び角速度センサー5と電気的に接続している。半導体装置8は、回路素子であり、例えば、半導体チップであるベアチップをモールドした構成である。半導体装置8は、第1慣性センサー3、第2慣性センサー4、及び角速度センサー5の駆動を制御するとともに、第1慣性センサー3、第2慣性センサー4、及び角速度センサー5からの検出信号に対するサンプリング処理、ゼロ点補正、感度調整、フィルター処理、温度補正等の各種の処理を行い、処理後の検出信号を出力する。
【0056】
また、半導体装置8は、第1慣性センサー3及び第2慣性センサー4からそれぞれ出力される検出軸が同じ検出信号を合成することにより、検出信号に含まれるノイズを低減し、信号品質を向上させることができる。例えば、半導体装置8は、第1慣性センサー3のX軸加速度センサー素子3xから出力されるX方向の検出信号と、第2慣性センサー4のX軸加速度センサー素子4xから出力されるX方向の検出信号を合成することにより、検出信号に含まれる熱雑音などの、検出信号とは無相関なノイズなどを低減し、信号品質を向上させることができる。
【0057】
また、プリント基板2の下面22には、図示しない配線を介して半導体装置8に電気的に接続されている外部接続端子292が設けられている。外部接続端子292は、図示しない半田などの導電性を有する接合部材を介してリード群90と電気的に接続される。
【0058】
次にリード群90について説明する。図1に示すように、リード群90は、プリント基板2の下面22において、第1の辺2Aに沿って配置された複数のリード端子9を備える第1リード群90Aと、第2の辺2Bに沿って配置された複数のリード端子9を備える第2リード群90Bと、第3の辺2Cに沿って配置された複数のリード端子9を備える第3リード群90Cと、第4の辺2Dに沿って配置された複数のリード端子9を備える第4リード群90Dと、を有する。
【0059】
リード群90に含まれる複数のリード端子9は、例えば、製造時においてリードフレームを切断加工することにより形成されたものであり、例えば、鉄系材料や銅系材料で形成されている。図2及び図3に示すように、このような複数のリード端子9は、それぞれ、プリント基板2に接続される接続部91を有する。接続部91は、図示しない半田などの導電性を有する接合部材を介してプリント基板2の下面22に形成された外部接続端子292に電気的に接続される。
【0060】
以上述べた通り、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
プリント基板2の主面21に直交するZ方向からの平面視で、第1慣性センサー3と、第2慣性センサー4と、はプリント基板2の第1の凹部23Aの幅方向の両端と、第2の凹部23Bの幅方向の両端と、を結ぶ線分L1により囲まれる領域243及び第3の凹部23Cの幅方向の両端と、第4の凹部23Dの両端と、を結ぶ線分L2により囲まれる領域244の外側に配置される。これにより、金属キャップ7とプリント基板2との熱膨張率の差に起因する応力は第1慣性センサー3及び第2慣性センサー4に加わり難くなるため、第1慣性センサー3及び第2慣性センサー4の検出精度が安定し、高精度なセンサーモジュール1を得ることができる。
【0061】
2.実施形態2
次に、実施形態2に係るセンサーモジュール1aを、図6図8を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0062】
本実施形態に係るセンサーモジュール1aは、図8に示すように、第2慣性センサー4の姿勢が実施形態1とは異なる。具体的には、第2慣性センサー4は、Z方向からの平面視で、第1慣性センサー3を時計回りに90度回転させた姿勢で実装されている。なお、図6に示すように、本実施形態に係るセンサーモジュール1aでは、実施形態1と同様に、第1慣性センサー3が第1の実装領域246に配置され、第2慣性センサー4が第3の実装領域248に配置されている。
【0063】
まず、第1慣性センサー3における第1加速度センサー素子30と、第1角速度センサー素子3rと、の配置について説明する。
図7に示すように、第1慣性センサー3の構成及び姿勢は実施形態1と同様であり、第1加速度センサー素子30と、第1角速度センサー素子3rと、は長辺31に沿ったX方向に並んで配置される。
【0064】
このように、本実施形態では、第1加速度センサー素子30と、第1角速度センサー素子3rと、は第3の方向としてのX方向に並んで配置されている。そして、第1加速度センサー素子30は、X方向において、第1角速度センサー素子3rよりもプリント基板2の外縁である第1の辺2Aに近い位置に配置される。これにより、金属キャップ7とプリント基板2とのそれぞれの熱膨張率の差に起因する応力が、第1加速度センサー素子30に加わり難くなり、第1慣性センサー3における加速度の検出精度はさらに低下し難くなる。
【0065】
次に、第2慣性センサー4における第2加速度センサー素子40と、第2角速度センサー素子4rと、の配置について説明する。
【0066】
図8に示すように、第2加速度センサー素子40は、長辺41に沿ったY方向の加速度を検出するY軸加速度センサー素子4yと、長辺41と短辺42とを含む平面に垂直なZ方向の加速度を検出するZ軸加速度センサー素子4zと、短辺42に沿ったX方向の加速度を検出するX軸加速度センサー素子4xと、を有し、Y軸加速度センサー素子4yと、Z軸加速度センサー素子4zと、X軸加速度センサー素子4xと、は短辺42に沿ったX方向において、X方向プラス側からX方向マイナス側に向かって、この順に並んで配置されている。
【0067】
第2加速度センサー素子40と、第2角速度センサー素子4rと、は長辺41に沿ったY方向に並んで配置される。
【0068】
このように、本実施形態では、第2加速度センサー素子40と、第2角速度センサー素子4rと、は第4の方向としてのY方向に並んで配置されている。そして、第2加速度センサー素子40は、第2角速度センサー素子4rよりもプリント基板2の外縁である第4の辺2Dに近い位置に配置される。これにより、金属キャップ7とプリント基板2とのそれぞれの熱膨張率の差に起因する応力は、第2加速度センサー素子40に加わり難くなり、第2慣性センサー4における加速度の検出精度はさらに低下し難くなる。
【0069】
本実施形態によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
第1加速度センサー素子30と第1角速度センサー素子3rとが並んで配置される第3の方向であるX方向において、第1加速度センサー素子30を、第1角速度センサー素子3rよりもプリント基板2の外縁である第1の辺2Aに近い位置に配置することにより、第1慣性センサー3における加速度の検出精度はさらに低下し難くなる。そして、同様に、第2加速度センサー素子40と第2角速度センサー素子4rとが並んで配置される第4の方向であるY方向において、第2加速度センサー素子40を、第2角速度センサー素子4rよりもプリント基板2の外縁である第4の辺2Dに近い位置に配置することにより、第2慣性センサー4における加速度の検出精度はさらに低下し難くなる。このように、第1慣性センサー3及び第2慣性センサー4におけるそれぞれの加速度の検出精度をさらに低下し難くすることができるので、さらに高精度なセンサーモジュール1aを得ることができる。
【0070】
なお、センサーモジュール1,1aは、例えば、建設機械や農業機械などの車両、ロボット、ドローン等の移動体や、スマートフォン、ヘッドマウントディスプレイ等の電子機器等に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1,1a…センサーモジュール、2…プリント基板、2A…第1の辺、2B…第2の辺、2C…第3の辺、2D…第4の辺、3…第1慣性センサー、4…第2慣性センサー、7…金属キャップ、21…主面、22…下面、23A…第1の凹部、23B…第2の凹部、23C…第3の凹部、23D…第4の凹部、30…第1加速度センサー素子、33…第1内部電極、40…第2加速度センサー素子、43…第2内部電極、72A…第1の凸部、72B…第2の凸部、72C…第3の凸部、72D…第4の凸部、L1…第1の凹部23Aの幅方向の両端と第2の凹部23Bの幅方向の両端とを結ぶ線分、L2…第3の凹部23Cの幅方向の両端と第4の凹部23Dの幅方向の両端とを結ぶ線分、243…線分L1に囲まれる領域、244…線分L2に囲まれる領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8