(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電子時計および電子時計の制御方法
(51)【国際特許分類】
G04G 19/00 20060101AFI20240910BHJP
G04C 10/04 20060101ALI20240910BHJP
G04G 19/12 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G04G19/00 E
G04C10/04 C
G04G19/12
(21)【出願番号】P 2021011162
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 教充
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-096776(JP,A)
【文献】特開2000-356690(JP,A)
【文献】特開2018-004353(JP,A)
【文献】特開2018-159666(JP,A)
【文献】特開2005-308396(JP,A)
【文献】特開2017-161551(JP,A)
【文献】特開2015-175602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
G04C 1/00-99/00
G04R 20/00-60/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を表示する複数の指針と、
発電部と、
前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、
前記蓄電部の蓄電量を複数段階で表示するインジケーター針と、
前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードと、前記指針のうちの少なくとも
秒針を停止するパワーセーブモードと、を切り替えて制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記パワーセーブモード中に、前記蓄電量を検出し、前記インジケーター針による前記蓄電量の表示を更新
し、
前記パワーセーブモードにおける前記蓄電量の検出間隔は、前記通常時刻表示モードにおける前記蓄電量の検出間隔よりも長い
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電子時計において、
前記制御部は、
前記通常時刻表示モードでは、前記インジケーター針で前記蓄電量とは異なる他の情報を表示し、
前記パワーセーブモードに切り替えると、前記インジケーター針を前記蓄電量の表示に切り替える
ことを特徴とする電子時計。
【請求項3】
時刻を表示する複数の指針と、
発電部と、
前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、
前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードと、前記通常時刻表示モードよりも消費電力が少ないパワーセーブモードと、を切り替えて制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記パワーセーブモードに切り替えると、前記指針のうちの一つの指針で
ある秒針で前記蓄電部の蓄電量を複数段階で表示
し、
前記パワーセーブモードにおける前記蓄電量の検出間隔は、前記通常時刻表示モードにおける前記蓄電量の検出間隔よりも長い
ことを特徴とする電子時計。
【請求項4】
請求項
3に記載の電子時計において、
一番低い段階の前記蓄電量を表示する場合、前記
秒針は12時位置を指示する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれか一項に記載の電子時計において、
前記制御部は、前記発電部で発電が行われない非発電状態の継続時間が所定時間以上の場合に、前記パワーセーブモードに切り替える
ことを特徴とする電子時計。
【請求項6】
請求項1から請求項
5までのいずれか一項に記載の電子時計において、
前記制御部は、前記蓄電量が閾値未満の場合に、前記パワーセーブモードに切り替える
ことを特徴とする電子時計。
【請求項7】
請求項1から請求項
6までのいずれか一項に記載の電子時計において、
操作部を備え、
前記制御部は、前記操作部で切替操作が行われたことを検出すると、前記パワーセーブモードに切り替える
ことを特徴とする電子時計。
【請求項8】
請求項1から請求項
7までのいずれか一項に記載の電子時計において、
前記制御部は、
前記パワーセーブモードにおいて、前記蓄電量が判定値以上の場合に、前記発電部で発電している発電状態が検出されると、前記通常時刻表示モードに切り替え、
前記パワーセーブモードにおいて、前記蓄電量が前記判定値未満の場合は、前記発電状態が検出されても前記パワーセーブモードを維持する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項9】
請求項1から請求項
8までのいずれか一項に記載の電子時計において、
前記制御部は、
前記パワーセーブモードとして、第1のパワーセーブモードと、前記第1のパワーセーブモードよりも消費電力が少ない第2のパワーセーブモードとを切り替えて制御可能であり、
前記通常時刻表示モードから前記パワーセーブモードに切り替える場合、前記蓄電量が切替閾値以上の場合は前記第1のパワーセーブモードに切り替えて制御し、前記蓄電量が前記切替閾値未満の場合は前記第2のパワーセーブモードに切り替えて制御し、
前記第1のパワーセーブモードで制御されている場合に、前記蓄電量が前記切替閾値未満に低下した場合は前記第2のパワーセーブモードに切り替えて制御する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項10】
時刻を表示する複数の指針と、発電部と、前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、前記蓄電部の蓄電量を表示するインジケーター針と、を備える電子時計の制御方法であって、
前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードの実行中に切替条件に該当すると、前記指針のうちの少なくとも
秒針を停止するパワーセーブモードに切り替え、
前記パワーセーブモードの実行中は、前記蓄電部の蓄電量を検出し、前記インジケーター針で前記蓄電量を複数段階で表示
し、
前記パワーセーブモードにおける前記蓄電量の検出間隔は、前記通常時刻表示モードにおける前記蓄電量の検出間隔よりも長い
ことを特徴とする電子時計の制御方法。
【請求項11】
時刻を表示する複数の指針と、発電部と、前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、を備える電子時計の制御方法であって、
前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードの実行中に切替条件に該当すると、前記通常時刻表示モードよりも消費電力が少ないパワーセーブモードに切り替え、
前記パワーセーブモードの実行中は、前記蓄電部の蓄電量を検出し、前記指針のうちの一つの指針で
ある秒針で前記蓄電量を複数段階で表示
し、
前記パワーセーブモードにおける前記蓄電量の検出間隔は、前記通常時刻表示モードにおける前記蓄電量の検出間隔よりも長い
ことを特徴とする電子時計の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計および電子時計の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽電池等の発電手段からの電気エネルギーを蓄積する二次電池と、この二次電池の電圧を検出する電圧検出回路と、検出した電圧に基づいて二次電池の残容量を表示する残容量表示手段とを備える充電式電子時計が開示されている。前記残容量表示手段は、通常モードでは、二次電池の残容量に応じて表示内容を更新し、指針の運針を停止する節電モードでは、残容量の表示内容の更新動作を停止するとともに、使用者に充電を促す必要のある所定の電圧以下を検出した場合、節電モードから通常モードに戻り、充電警告動作を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の充電式電子時計では、節電モード中は、残容量の表示内容の更新動作を停止しており、二次電池の電圧が充電警告動作となる電圧以下に低下するまで、電子時計のユーザーは二次電池の電圧を知ることができない。特に、複数の電子時計を所持している場合、使用中以外の時計は自宅などで保管中に節電モードに移行するため、複数の時計が同時に充電警告状態になる可能性がある。充電警告状態を放置すると、時計が完全に停止してしまう。停止した場合は、発電した上でユーザーが時刻を再設定する手間が生じてしまう。充電警告状態の時計を停止させないためには、それらの時計の発電手段によって二次電池を充電(蓄電)させる必要があり、所持している時計が増えると、時計管理作業が増加して不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の電子時計は、時刻を表示する複数の指針と、発電部と、前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、前記蓄電部の蓄電量を複数段階で表示するインジケーター針と、前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードと、前記指針のうちの少なくとも一つを停止するパワーセーブモードと、を切り替えて制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記パワーセーブモード中に、前記蓄電量を検出し、前記インジケーター針による前記蓄電量の表示を更新することを特徴とする。
【0006】
本開示の電子時計は、時刻を表示する複数の指針と、発電部と、前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードと、前記通常時刻表示モードよりも消費電力が少ないパワーセーブモードと、を切り替えて制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記パワーセーブモードに切り替えると、前記指針のうちの一つの指針で前記蓄電部の蓄電量を複数段階で表示することを特徴とする。
【0007】
本開示の電子時計の制御方法は、時刻を表示する複数の指針と、発電部と、前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、前記蓄電部の蓄電量を表示するインジケーター針と、を備える電子時計の制御方法であって、前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードの実行中に切替条件に該当すると、前記指針のうちの少なくとも一つを停止するパワーセーブモードに切り替え、前記パワーセーブモードの実行中は、前記蓄電部の蓄電量を検出し、前記インジケーター針で前記蓄電量を複数段階で表示することを特徴とする。
【0008】
本開示の電子時計の制御方法は、時刻を表示する複数の指針と、発電部と、前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、を備える電子時計の制御方法であって、前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードの実行中に切替条件に該当すると、前記通常時刻表示モードよりも消費電力が少ないパワーセーブモードに切り替え、前記パワーセーブモードの実行中は、前記蓄電部の蓄電量を検出し、前記指針のうちの一つの指針で前記蓄電量を複数段階で表示することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の電子時計を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態の電子時計の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態の通常時刻表示モード時のモード切替処理を示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態のパワーセーブモード時のモード切替処理を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態の電子時計を示す正面図である。
【
図8】第3実施形態の電子時計を示す正面図である。
【
図9】第3実施形態の通常時刻表示モード時のモード切替処理を示すフローチャートである。
【
図10】第3実施形態のパワーセーブモード時のモード切替処理を示すフローチャートである。
【
図11】第4実施形態の通常時刻表示モード時のモード切替処理を示すフローチャートである。
【
図12】第4実施形態のパワーセーブモード時のモード切替処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態に係る電子時計1を図面に基づいて説明する。
本実施形態の電子時計1は、
図1に示すように、ユーザーの手首に装着される腕時計であり、外装ケース2と、円盤状の文字板3と、指針である時針11、分針12、秒針13と、日車14と、蓄電量を複数段階で表示するインジケーター針15と、図示略のムーブメントとを備える。時針11、分針12、秒針13は、回転軸が文字板3の平面中心位置に設けられたセンター針である。インジケーター針15は、回転軸が文字板3の平面中心位置に対して7時および8時の中間位置側に設けられた機能針である。
外装ケース2の側面において、文字板3の中心に対して、3時方向には、操作部21であるりゅうず5が設けられている。りゅうず5は、引き出し位置や回転方向、回転量をデジタル信号で出力可能な電子式である。
文字板3は、インジケーター針15が指示する蓄電量を複数段階で示す目盛16を備える。本実施形態では、目盛16は、「B0、B1、B2、B3、B4」の5段階の目盛を備える。目盛16は約1/4円状に形成され、最も低い蓄電量を示す目盛B0はインジケーター針15の回転軸に対して9時方向に配置され、最も高い蓄電量を示す目盛B4はインジケーター針15の回転軸に対して12時方向に配置され、目盛B1~B3は、目盛B0およびB4間に等間隔に配置されている。
【0011】
図2は、電子時計1の構成を示すブロック図である。
電子時計1は、制御部20と、操作部21と、発電部22と、蓄電部23と、記憶部24と、水晶発振回路25とを備える。さらに、電子時計1は、モータードライバー31~35と、ステッピングモーター41~45と、輪列51~55とを備える。
【0012】
操作部21は、りゅうず5であり、りゅうず5の引き出し位置に応じた信号と、回転操作に応じた信号を制御部20に出力する。このため、制御部20は、操作部21から入力される信号によって、りゅうず5の位置と、回転方向および回転量を検出できる。
発電部22は、太陽電池や、回転錘や手巻き操作で発電ローターを回転して発電用コイルで発電する電磁誘導式の発電装置等で構成される。なお、発電部22は、エレクトレット素子を用いた静電式の発電装置、圧電素子を用いた発電装置、熱発電装置等でもよい。
蓄電部23は、発電部22で発電された電気エネルギーを蓄電する二次電池やコンデンサー等で構成される。
記憶部24は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)で構成され、プログラムやプログラムを実行する際に必要な情報等が記憶される。
水晶発振回路25は、時間計測の基準や、制御部20のクロックとなる基準周波数信号を生成している。基準周波数は32768Hzであり、制御部20にて32768分周することで、1Hzつまり1秒の信号を得ることができる。
【0013】
制御部20は、マイコンや専用のIC(Integrated Circuit)等で構成され、電子時計1の制御を実行し、記憶部24に記憶されたプログラムを実行することで各機能を実現する。制御部20は、通常運針制御部210と、パワーセーブ制御部220と、モード切替制御部230と、発電検出部240と、電圧検出部250と、インジケーター制御部260とを備える。制御部20では、1秒の信号をカウントし続けて時刻を保持している。そして、その時刻は、ユーザーが操作部21を操作して修正することが可能である。
通常運針制御部210は、通常時刻表示モード時に実行され、モータードライバー31~34を制御して、時針11、分針12、秒針13、日車14で時刻を表示する。
【0014】
パワーセーブ制御部220は、パワーセーブモード時に実行される。本実施形態では、パワーセーブ制御部220は、第1のパワーセーブモードと、第2のパワーセーブモードとを実行し、時刻を表示する指針である時針11、分針12、秒針13と、日車14とを段階的に停止して消費電力を抑制する。
第1のパワーセーブモードは、秒針13を停止し、その他の時針11、分針12、日車14の動作は継続するモードである。すなわち、時刻を表示する複数の指針のうち、一つの指針である秒針13を停止するモードである。なお、秒針13は、パワーセーブモードで停止したことを明確にするため、0秒位置に停止する。
第2のパワーセーブモードは、時針11、分針12、秒針13、日車14を停止する。すなわち、時刻を表示する複数の指針をすべて停止するモードである。なお、秒針13は、第1のパワーセーブモードと同じく0秒位置に停止する。また、時針11および分針12は、秒針13と同じく12時位置に停止するが、12時位置に移動せずに、第2のパワーセーブモードに移行した時点の位置で停止してもよい。また、日車14は、第2のパワーセーブモードに移行した時点で停止してもよいが、「1日」を表示する位置に移動して停止してもよいし、日車14にパワーセーブモードを表示するマークを表記しておき、このマークを表示する位置に移動して停止してもよい。
【0015】
発電検出部240は、発電部22から出力される発電電流等を検出し、発電部22で発電が行われているか否かを検出する。
電圧検出部250は、二次電池等で構成される蓄電部23の電池電圧を検出する。
蓄電部23は蓄電される電荷の量に応じて、電池電圧が変化するため、電池電圧を検出することで蓄電部23の蓄電量を推定することが可能である。
インジケーター制御部260は、電圧検出部250で検出された蓄電部23の電池電圧に基づいてインジケーター針15を動作して電池に蓄電されている電荷の量つまり蓄電量を表示する。なお、本実施形態では、インジケーター制御部260は、通常時刻表示モード時およびパワーセーブモード時のいずれのモード時にも動作して蓄電量を表示している。
図3は、蓄電部23の電圧と、インジケーター針15の表示位置と、通常運針である通常時刻表示モード時の持続時間と、パワーセーブモード時の持続時間と、実行されるパワーセーブモードの種類を示す。なお、本実施形態では、蓄電部23の電圧が1.0V未満になると、制御部20は停止し、時刻のカウントができなくなる。このため、持続時間は、蓄電部23の電圧が1.0V未満に低下して制御部20が停止するまでの時間である。つまり、蓄電されている電荷により電子時計1が動作するが、現在の電荷量で電子時計1が動き続けることのできる時間であり、カウントされる時刻を保持できる持続時間である。
図3に示すように、蓄電部23の電圧が1.42V以上の場合、インジケーター制御部260はインジケーター針15で目盛16のB4を表示する。蓄電部23の電圧が1.42V以上の場合、通常時刻表示モード時の持続時間は70日以上であるのに対し、パワーセーブモード時の持続時間は210日以上である。なお、蓄電部23の電圧が1.42V以上の場合、パワーセーブ制御部220は、第1のパワーセーブモードを実行する。
同様に、
図3に示すように、蓄電部23の電圧が1.38V以上1.42V未満では、インジケーター針15はB3を表示し、第1のパワーセーブモードが実行され、1.35V以上1.38V未満では、インジケーター針15はB2を表示し、第1のパワーセーブモードが実行され、1.20V以上1.35V未満では、インジケーター針15はB1を表示し、第2のパワーセーブモードが実行され、1.20V未満では、インジケーター針15はB0を表示し、第2のパワーセーブモードが実行される。したがって、本実施形態において、第1のパワーセーブモードと第2のパワーセーブモードとを切り替える切替閾値は1.35Vに設定されている。
各電圧レベルでの、通常時刻表示モード時およびパワーセーブモード時の持続時間は、
図3に示す通りであり、第1のパワーセーブモードの実行中は、秒針13を停止し、消費電力が抑制されるので通常時刻表示モード時と比べて持続時間が約3倍になり、第2のパワーセーブモードの実行中は、時針11、分針12、秒針13、日車14が停止し、消費電力がさらに抑制されるので、通常時刻表示モードと比べて持続時間が約5倍となる。
【0016】
次に、モード切替制御部230によるモード切替処理について
図4および
図5のフローチャートを参照して説明する。
モード切替制御部230は、通常時刻表示モード時は、
図4の処理を2秒毎に実行する。モード切替制御部230は、
図4の処理を実行すると、ステップS1を実行して、電圧検出部250で電池電圧つまり蓄電量を検出する。次に、モード切替制御部230は、ステップS2を実行し、発電検出部240により、発電部22が発電状態であるか否かを判断する。
モード切替制御部230は、ステップS2でYESと判定した場合、つまり発電があった場合は、ステップS3を実行し、記憶部24内に設けたカウンターをクリアする。
一方、モード切替制御部230は、ステップS2でNOと判定した場合、つまり発電がなかった場合、ステップS4を実行し、カウンターをカウントアップする。
次に、モード切替制御部230は、ステップS5を実行し、カウンター値に基づいて非発電状態の継続時間が所定時間に達したか否か、つまり通常時刻表示モードからパワーセーブモードに切り替える切替条件に該当したか否かを判定する。すなわち、カウンターは、2秒毎の発電検出時に発電を検出するとクリアされ、非発電状態が継続すると順次カウントアップされる。このため、非発電状態の継続時間は、カウンターのカウンター値×2秒で算出でき、この非発電状態の継続時間が所定時間以上であるか否かを判定できる。なお、ステップS5の所定時間つまり切替条件は、電子時計1の種類や発電部22の種類に応じて設定され、例えば、3時間や6時間、12時間などに設定される。また、発電部22が太陽電池の場合は、所定時間を3時間程度と短めに設定すると、電子時計1が袖に隠れて使用中であってもパワーセーブモードへの切替条件に該当する場合があるので、24時間と長めに設定することが望ましい。
【0017】
モード切替制御部230は、ステップS5でYESと判定すると、ステップS6を実行し、パワーセーブモードを設定する。この際、ステップS1で検出された電池電圧が1.35V以上であれば第1のパワーセーブモードを設定し、1.35V未満であれば第2のパワーセーブモードを設定する。
そして、モード切替制御部230は、ステップS3またはステップS6の処理後、あるいは、ステップS5でNOと判定された場合は、ステップS7を実行し、インジケーター制御部260によってインジケーター針15の表示位置を更新して、
図4のモード切替処理を終了する。
このため、モード切替制御部230は、通常時刻表示モードを継続している場合は、2秒毎に
図4の処理を実行し、インジケーター針15は2秒毎に電池電圧つまり蓄電部23の蓄電量をB0~B5の5段階で表示する。
【0018】
制御部20は、モード切替処理後、
図4のステップS6でパワーセーブモードに設定された場合は、各パワーセーブモードを実行し、前述したように、時刻を指示する複数の指針の少なくとも一つを停止する。
また、モード切替制御部230は、パワーセーブモード時には、
図5の処理を実行する。なお、
図5の処理は、通常時刻表示モード時と同じく2秒間隔で実行してもよいが、本実施形態では、2秒よりも長い間隔、例えば、1分毎や1時間毎に実行している。
モード切替制御部230は、
図5の処理を実行すると、ステップS11を実行して、電圧検出部250で電池電圧つまり蓄電量を検出する。次に、モード切替制御部230は、ステップS12を実行し、発電検出部240により、発電部22が発電状態であるか否かを判断する。
モード切替制御部230は、ステップS12でYESと判定した場合は、ステップS13で通常モードつまり通常時刻表示モードを設定し、パワーセーブモードで停止していた指針を、現時刻を指示する位置に復帰するステップS14を実行する。
一方、ステップS12でNOと判定した場合、モード切替制御部230は、ステップS15を実行し、パワーセーブモードの設定を維持する。
次に、モード切替制御部230は、ステップS14またはS15の処理後、ステップS16を実行し、インジケーター制御部260によってインジケーター針15の表示位置を更新して、
図5のモード切替処理を終了する。
このため、パワーセーブモード時の蓄電量の検出間隔は、通常時刻表示モード時の蓄電量の検出間隔よりも長い時間に設定されている。
【0019】
図6は、通常時刻表示モード時の時針11、分針12、秒針13、インジケーター針15の運針タイミングと、発電検出部240による発電検出タイミングと、電圧検出部250による電池電圧検出タイミングとを示すタイミングチャートである。
なお、秒針13の輪列53は、ステッピングモーター43が60ステップ動くと秒針13が一周する減速比で構成されている。このため、秒針13は60分割で運針され、ステッピングモーター43の1ステップあたり、6°回転する。
分針12の輪列52は、ステッピングモーター42が720ステップ動くと分針12が一周する減速比となっている。分針12は720分割で運針され、ステッピングモーター42の1ステップあたり、0.5°回転する。
時針11の輪列51は、ステッピングモーター41が720ステップ動くと時針11が一周する減速比となっている。時針11は720分割で運針され、ステッピングモーター41の1ステップあたり、0.5°回転する。
【0020】
図6に示すように、通常運針制御部210は、秒針13を1秒毎に1ステップ運針し、分針12は5秒毎に1ステップ運針し、時針11は1分毎に1ステップ運針する。なお、
図6では図示を略しているが、通常運針制御部210は、日車14を1日に1回動作して日付表示を更新する。
また、前述したように、電圧検出部250は2秒毎に電池電圧検出を行い、発電検出部240は2秒毎に発電検出を行い、インジケーター制御部260は、2秒毎にインジケーター針15を動作する。なお、蓄電部23の電圧は短期間では大きく変動しないため、2秒毎に電池電圧を検出しても、検出した電圧値は変動しないことが多い。このため、実際にインジケーター針15が動く間隔は2秒よりも長い間隔となる。
図3に示すように、インジケーター針15の各表示位置(B0~B4)が持続する時間は日単位であり、表示位置を変更するためのインジケーター針15の動作は日単位の長い間隔で実行されることになる。
以上のとおり、秒針13が最も動作間隔が短いため、パワーセーブモード時に少なくとも秒針13を停止することで消費電力を低減でき、パワーセーブモードの効果を高めることができる。
また、本実施形態では、
図6に示すように、電池電圧検出は2秒間隔、発電検出は2秒間隔と同じ間隔で実行しているが、電池電圧検出は10秒間隔、発電検出は2秒間隔のように別々の間隔としても良い。
【0021】
[第1実施形態の作用効果]
このような本実施形態によれば、通常時刻表示モード時だけでなく、パワーセーブモード時もインジケーター針15を動作させて蓄電部23の蓄電量、具体的には電池電圧をB0~B4の5段階で表示している。このため、電子時計1のユーザーは、パワーセーブモード中であっても、蓄電量の低下を把握でき、制御部20が停止するレベルに蓄電量が低下する前に、発電部22を作動させて蓄電量を増加させることができる。このため、多数の電子時計1を所持しているユーザーは、パワーセーブモードに移行した複数の電子時計1の中から、インジケーター針15が表示するレベルが低い電子時計1を選択して優先的に発電させることができ、電圧低下によって制御部20が停止することを防止できる。つまり、制御部20が停止し時刻のカウントができなくなった場合、ユーザーは、制御部20が動作するまで蓄電した上で時刻を再設定する必要があるが、この手間が不要となる。
【0022】
本実施形態では、パワーセーブモード時の蓄電量の検出間隔を、通常時刻表示モード時の蓄電量の検出間隔よりも長く設定しているので、パワーセーブモード時には、指針の運針を停止することによる節電効果に加えて、蓄電量の検出頻度を少なくすることによっても節電効果を高めることができる。
【0023】
本実施形態では、非発電状態の継続時間が所定時間以上の場合に、パワーセーブモードに設定されるため、ユーザーがパワーセーブモードに切り替える操作を行う必要が無く、自宅などで保管中の電子時計1を自動的にパワーセーブモードに切り替えることができ、効果的に節電できる。
【0024】
本実施形態では、パワーセーブモードとして、第1のパワーセーブモードと、消費電力がより少ない第2のパワーセーブモードとを備えるため、蓄電量が切替閾値である1.35V未満に低下した場合に、第2のパワーセーブモードに切り換えることで、節電効果をより高めることができ、制御部20が停止するまでの持続時間も延長できる。
【0025】
[第2実施形態]
第2実施形態の電子時計1Aを、
図7を参照して説明する。第1実施形態の電子時計1は、インジケーター針15を蓄電量の表示のみに用いていた。これに対し、第2実施形態の電子時計1Aは、インジケーター針15Aを蓄電量と蓄電量以外の情報の表示に兼用している。なお、電子時計1Aにおいて、電子時計1と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。また、第1および第2のパワーセーブモード時の時針11、分針12、秒針13、日車14の停止動作は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0026】
電子時計1Aは、文字板3の平面中心位置に対して6時方向の位置に、インジケーター針15Aと、目盛16Aとが設けられている。
図7に示すように、目盛16Aにおいて、インジケーター針15Aの回転軸から向かって6時方向から7時方向には、「DST」の英字と「●」の記号が表記されている。DST(daylight saving time)は夏時間を意味する。インジケーター針15Aは、これらの英字と記号を指示することで、夏時間(DST:夏時間ON、●:夏時間OFF)の設定を表示する。
目盛16Aの7時方向から9時方向には、蓄電量を示す目盛B0~B4が表示されている。また、電子時計1Aにおいて、発電部22として太陽電池が設けられている場合、目盛B4の時計回り方向側に、太陽電池で発電していることを示す太陽マークを表示してもよい。
目盛16Aの1時方向から4時方向の範囲には、七曜を示す英単語の頭文字である「S(Sunday)」、「M(Monday)」、「T(Tuesday)」、「W(Wednesday)」、「T(Thursday)」、「F(Friday)」、「S(Saturday)」の文字が表記される。
【0027】
電子時計1Aのインジケーター制御部260は、通常時刻表示モード時では、インジケーター針15Aで曜日を指示し、操作部21を操作した場合に、蓄電量を示す目盛B0~B4を指示する。操作部21の操作としては、りゅうず5を1段目などに引き出す操作でもよいし、ボタンを設けている場合はボタンを押す操作でもよい。
インジケーター制御部260は、パワーセーブモード時には、インジケーター針15Aで目盛B0~B4を指示する。つまり、通常時刻表示モードからパワーセーブモードに移行すると、インジケーター針15Aは曜日を指示している状態から蓄電量を指示する状態に移動し、パワーセーブモード中は蓄電量の指示を継続する。
インジケーター制御部260は、通常時刻表示モードおよびパワーセーブモードのいずれのモードにおいても、発電部22で発電している場合は、インジケーター針15Aで太陽マークを表示してもよい。
【0028】
[第2実施形態の作用効果]
第2実施形態の電子時計1Aは、前記第1実施形態と同じ構成を備えることで第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる。特に、インジケーター針15Aは、パワーセーブモード時に蓄電量をB0~B4の5段階で表示しているため、電子時計1Aのユーザーは、パワーセーブモード中であっても、蓄電量の低下を把握できる。
また、インジケーター針15Aは、蓄電量だけでなく、曜日、夏時間の設定の有無、発電状態の指示にも兼用されるため、曜日などの情報も指示でき、電子時計1Aの使い勝手を向上できる。なお、インジケーター針15Aが指示する情報は、曜日、夏時間の設定の有無、発電状態に限らず、これら以外の情報でもよく、インジケーター針15Aが指示する蓄電量以外の情報は電子時計1Aが有する機能などに応じて設定すればよい。
【0029】
[第3実施形態]
第3実施形態の電子時計1Bを、
図8を参照して説明する。第3実施形態の電子時計1Bは、インジケーター針を設けずに、パワーセーブモード時に、時刻を指示する指針、具体的には秒針13によって蓄電量を表示するものである。このため、文字板3には、12時から11時までの目盛3Bが設けられ、12時~4時の目盛3Bの内側にB0~B4の文字を表記し、12時~4時の目盛3Bを蓄電量の目盛として兼用している。
電子時計1Bは、第1のパワーセーブモードでは、時針11、分針12は動作を継続し、秒針13は蓄電量を表示し、第2のパワーセーブモードでは、時針11、分針12を12時位置に停止し、秒針13は蓄電量を表示する。秒針13は、各パワーセーブモード中は、時刻表示のための運針を停止して、蓄電量を表示する。
【0030】
次に、電子時計1Bのモード切替処理について
図9および
図10のフローチャートを参照して説明する。
通常時刻表示モード時は、モード切替制御部230は、2秒毎に
図9の処理を実行する。
図9の処理は、第1実施形態の
図4の処理と同様に、ステップS21で電池電圧を検出し、ステップS22で発電状態であるか否かを判断し、ステップS22でYESの場合、ステップS23でカウンターをクリアしてモード切替処理を終了する。
ステップS22でNOの場合、モード切替制御部230は、ステップS24でカウンターのカウントアップを行い、ステップS25で非発電状態の継続時間が所定時間に達したか否かを判定する。そして、ステップS25でYESの場合、ステップS26でパワーセーブモードを設定してモード切替処理を終了し、ステップS25でNOの場合は、そのままモード切替処理を終了する。
【0031】
パワーセーブモード時は、モード切替制御部230は、1分毎や1時間毎など通常時刻表示モード時よりも長い間隔で
図10の処理を実行する。
図10の処理は、第1実施形態の
図5の処理と同様に、ステップS31で電池電圧を検出し、ステップS32で発電状態であるか否かを判断する。モード切替制御部230は、ステップS32でYESと判定した場合は、ステップS33で通常モードを設定し、パワーセーブモードで停止していた指針を、現時刻を指示する位置に復帰するステップS34を実行してモード切替処理を終了する。
一方、ステップS32でNOと判定した場合は、モード切替制御部230は、ステップS35でパワーセーブモードを設定し、ステップS36を実行してステップS31で検出した電圧に基づいて秒針13の位置を目盛B0~B4のいずれかを指示するように更新してモード切替処理を終了する。
【0032】
[第3実施形態の作用効果]
電子時計1Bは、パワーセーブモード時は、
図10のステップS36を実行し、電圧検出結果に応じて秒針13によって目盛B0~B4のいずれかを指示するため、蓄電部23の蓄電量、つまり電池残量を表示することができる。このため、前記第1実施形態と同様に、電子時計1Bのユーザーは、パワーセーブモード時に制御部20が停止するレベルに蓄電量が低下する前に、発電機能を作動させることができる。
また、秒針13で蓄電量を表示しており、インジケーター針を設ける必要が無いため、指針の数やステッピングモーター数を少なくでき、シンプルなデザインの電子時計1Bを提供できる。なお、電子時計1Bでは、秒針13で蓄電量を表示しているが、秒針を備えない電子時計では、時針あるいは分針で蓄電量を表示すればよい。
【0033】
電子時計1Bは、パワーセーブモード時に秒針13で蓄電量を表示するため、パワーセーブモード中に時刻表示のために秒針13を運針する場合に比べて節電効果を高めることができる。
【0034】
電子時計1Bは、12時位置の目盛3BにB0を設定しているので、蓄電量が最も低い場合は秒針13が12時位置を指示する。一般的に時計における各指針は、12時位置を起点として右回りつまり時計回りに運針することで、指針が指示する数字も増えていく。例えば、秒針13であれば、12時位置で0秒を指示し、右回りに運針することで、1、2…59秒と指示する秒の数字も増えていく。このため、秒針13等の指針で蓄電量を指示する場合も、12時位置に蓄電量が最も低いレベルであるB0を設定することで、ユーザーは、秒針13が12時位置を指示している場合に、蓄電量が最も低いレベルであるB0に低下したことを視認性良くかつ直感的に確認できる。さらに、12時位置から右回りに順次蓄電量が増加するB1~B4の目盛を設定しているので、ユーザーは秒針13の指示位置を確認することで、蓄電量のレベルも直感的に把握できる。
【0035】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の電子時計について、
図11、
図12を参照して説明する。なお、第4実施形態は、第3実施形態の電子時計1Bに対し、通常時刻表示モード時およびパワーセーブモード時のモード切替処理の一部が相違するものである。このため、
図11、12において、第3実施形態の
図9,10と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
通常時刻表示モード時、モード切替制御部230は、2秒毎に
図11の処理を実行し、第3実施形態と同様にステップS21で電池電圧を検出し、ステップS41で検出した電圧が1.35V未満であるか否かを判定する。
モード切替制御部230は、ステップS41でNOと判定した場合は、第3実施形態と同じくステップS22~S26を実行し、ステップS41でYESと判定した場合は、ステップS26を実行して、モード切替処理を終了する。
【0036】
パワーセーブモード時は、モード切替制御部230は、1分毎や1時間毎に
図12の処理を実行し、第3実施形態と同様にステップS31で電池電圧を検出し、ステップS42で検出した電圧が1.35V未満であるか否かを判定する。
モード切替制御部230は、ステップS42でNOと判定した場合は、第3実施形態と同じくステップS32~S36を実行し、ステップS42でYESと判定した場合は、ステップS35、S36を実行して、モード切替処理を終了する。
したがって、第4実施形態では、通常時刻表示モード時には、蓄電量つまり電池電圧が閾値である1.35V未満の場合にパワーセーブモードに切り替えている。また、パワーセーブモード時には、蓄電量が判定値である1.35V以上の場合で発電状態が検出されると通常時刻表示モードに切り替え、蓄電量が判定値である1.35V未満の場合は発電状態の検出に関係無くパワーセーブモードを維持している。
【0037】
[第4実施形態の作用効果]
第4実施形態によれば、第3実施形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、通常時刻表示モード時に、ステップS41で電池電圧が閾値である1.35V未満の場合は、非発電状態の継続時間が所定時間未満であっても、ステップS26でパワーセーブモードを設定している。このため、蓄電量が低下した場合に、自動的にパワーセーブモードに移行するため、電子時計1Bが袖に隠れているなどで十分に発電できずに蓄電量が低下した場合にも効果的に節電でき、内部の計時機能を維持する時間を長くすることができる。
また、電子時計1Bは、インジケーター針を備えていないので、通常時刻表示モード時には蓄電量の低下を把握し難いが、電池電圧つまり蓄電量が低下した段階で自動的にパワーセーブモードに移行して、秒針13で蓄電量を表示できる。
【0038】
また、パワーセーブモード時に、ステップS42で電池電圧が判定値である1.35V未満の場合は、発電の有無に関係無く、通常モードに復帰せずにパワーセーブモードを維持するので、十分な電力を蓄えてから通常モードに復帰することができる。
【0039】
[変形例]
なお、本開示は前述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、蓄電部23の電圧を検出し、その電圧に基づいて蓄電量を複数段階で表示していたが、発電部22の発電量つまり電荷を積算し、計算された電荷量に応じて蓄電量を複数段階で表示してもよい。
【0040】
通常時刻表示モード時およびパワーセーブモード時のモード切替処理の実行間隔は前記各実施形態の例に限定されない。例えば、通常時刻表示モード時のモード切替処理は2秒間隔に限らず、1分間隔でもよいし、30分間隔や1時間間隔でもよい。パワーセーブモード時のモード切替処理も同様に適宜設定できる。特に、パワーセーブモード時に、電圧検出部250による電池電圧検出間隔つまりインジケーター針15、15Aや、秒針13による蓄電量の表示更新間隔を長くすることで、消費電力をさらに低減できる。さらに、第1および第2の各パワーセーブモードによって蓄電量の表示更新間隔を異ならせてもよい。また、蓄電量を表示するインジケーター針15や秒針13の更新間隔は、電池残量に応じて変更してもよい。
【0041】
前記各実施形態では、非発電状態が所定時間継続した場合にパワーセーブモードに移行していたが、ユーザーが手動で切替操作を行った場合、例えば、りゅうず5を0段位置から1段位置や2段位置に引き出す切替操作を行った場合に、パワーセーブモードに移行してもよい。ユーザーの手動操作でパワーセーブモードに移行すれば、ユーザーがしばらく使用しない電子時計の電圧低下を効果的に抑制できる。
【0042】
通常時刻表示モード時に、電池電圧が目盛B0のレベルに低下した場合は、電池電圧が低下したことを警告するBLD(Battery Low Display)運針を実行してもよい。BLD運針とは、電池電圧が低下したことを表示する運針であり、秒針13を2秒以上の間隔、例えば2秒間隔や5秒間隔で運針するものである。なお、BLD運針中、時針11、分針12は通常通り運針する。BLD運針は、電池電圧低下表示(Battery Low Display)や、電池寿命切れ予告表示(battery life indicator)などとも呼ばれる。
【0043】
前記第3、4実施形態では、秒針13で蓄電量を表示していたが、時針11、分針12、秒針13の3つの指針を駆動し、3つの指針で同時に目盛B0~B4を指示してもよい。このように3つの指針で目盛B0~B4を指示すれば、時刻表示と異なる運針となるため、ユーザーは蓄電量を指示していることを容易に把握できる。なお、3つの指針のうちの2つの指針で目盛B0~B4を指示してもよいし、時分針の2つの指針のみを備える電子時計では時針および分針の2つの指針で目盛B0~B4を指示してもよい。
また、前記実施形態では、インジケーター針15、15Aや秒針13で蓄電量を表示していたが、指針以外で蓄電量を表示してもよい。例えば、文字板3にB0~B4の文字を表記して文字板3を移動して蓄電量のレベルを表示してもよい。
前記各実施形態では、蓄電量をB0~B4の5段階で表示していたが、5段階に限定されず、3段階などでもよく、複数段階で表示すればよい。例えば、第1のパワーセーブモード時は2段階で表示し、第2のパワーセーブモード時は1段階で表示してもよい。
前記各実施形態では、パワーセーブモードとして、第1および第2の2つのパワーセーブモードを設定していたが、1つのパワーセーブモードのみを設定してもよい。また、第1パワーセーブモードでは秒針のみを停止していたが、他の指針のみを停止するようにしてもよいし、複数の指針を停止するようにしてもよい。
前記第4実施形態において、通常時刻表示モードからパワーセーブモードに切り替える閾値と、パワーセーブモード時に発電状態に関係無くパワーセーブモードを維持する判定値と、各実施形態において第1および第2のパワーセーブモードを切り替える切替閾値とは、同じ値である1.35Vに設定していたが、それぞれを異なる値に設定してもよい。
【0044】
前記各実施形態では、時針11、分針12、秒針13をそれぞれ独立して運針できるように構成していたが、時針11および分針12を連動して運針してもよい。この場合、時針11および分針12を運針するモータードライバー、ステッピングモーター、輪列を兼用できるので、電子時計の小型化や低コスト化が実現できる。
また、インジケーター針15、15Aを備える場合、時針11、分針12、秒針13を連動して運針してもよい。
さらに、時針11を独立して運針し、分針12および秒針13を連動して運針してもよい。この場合は、時針11で蓄電量を表示してもよいし、インジケーター針15、15Aを設けて蓄電量を表示してもよい。
【0045】
[本開示のまとめ]
本開示の電子時計は、時刻を表示する複数の指針と、発電部と、前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、前記蓄電部の蓄電量を複数段階で表示するインジケーター針と、前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードと、前記指針のうちの少なくとも一つを停止するパワーセーブモードと、を切り替えて制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記パワーセーブモード中に、前記蓄電量を検出し、前記インジケーター針による前記蓄電量の表示を更新することを特徴とする。
本開示の電子時計によれば、パワーセーブモード中にインジケーター針で蓄電部の蓄電量を複数段階で表示している。このため、電子時計のユーザーは、パワーセーブモード中であっても、蓄電量の低下を把握でき、制御部が停止するレベルに蓄電量が低下する前に、発電部を作動させて蓄電量を増加させることができる。このため、多数の電子時計を所持しているユーザーは、パワーセーブモードに移行した複数の電子時計の中から蓄電量が低い電子時計を選択して優先的に発電させることができ、電圧低下によって制御部が停止することを防止できる。
【0046】
本開示の電子時計において、前記制御部は、前記通常時刻表示モードでは、前記インジケーター針で前記蓄電量とは異なる他の情報を表示し、前記パワーセーブモードに切り替えると、前記インジケーター針を前記蓄電量の表示に切り替えることが好ましい。
本開示の電子時計によれば、インジケーター針は、通常時刻表示モード中は、曜日、夏時間の設定の有無、発電状態等の蓄電量とは異なる他の情報を表示するため、電子時計の使い勝手を向上できる。また、インジケーター針は、パワーセーブモード中は、蓄電量を表示するため、蓄電量の低下を容易に把握できて発電部を発電させて蓄電量の低下を防止できる。
【0047】
本開示の電子時計は、時刻を表示する複数の指針と、発電部と、前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードと、前記通常時刻表示モードよりも消費電力が少ないパワーセーブモードと、を切り替えて制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記パワーセーブモードに切り替えると、前記指針のうちの一つの指針で前記蓄電部の蓄電量を複数段階で表示するように切り替えることを特徴とする。
本開示の電子時計によれば、パワーセーブモード中に一つの指針で蓄電部の蓄電量を複数段階で表示している。このため、電子時計のユーザーは、パワーセーブモード中に、蓄電量の低下を把握でき、制御部が停止するレベルに蓄電量が低下する前に、発電部を作動させて蓄電量を増加させることができる。このため、多数の電子時計を所持しているユーザーは、パワーセーブモードに移行した複数の電子時計の中から蓄電量が低い電子時計を選択して優先的に発電させることができ、電圧低下によって制御部が停止することを防止できる。
また、蓄電量は短時間で大きく変化しないので、蓄電量の検出間隔つまり蓄電量を表示する指針の運針間隔は、通常時刻表示モード時の前記指針の運針間隔に比べて長くできる。このため、前記指針は、時刻表示時よりも蓄電量を表示する場合のほうが消費電力を低減でき、パワーセーブモード時の節電効果を高めることができる。
【0048】
本開示の電子時計において、前記指針のうちの一つの指針は秒針であることが好ましい。
秒針は、時針や分針に比べて運針間隔が短いため、消費電力も高い。パワーセーブモード時に秒針で蓄電量を表示すれば、時刻表示のために秒針を運針することがなくなるため、節電効果を高めることができる。
【0049】
本開示の電子時計において、一番低い段階の前記蓄電量を表示する場合、前記指針のうちの一つの指針は12時位置を指示することが好ましい。
本開示の電子時計によれば、蓄電量を表示する指針が12時位置を指示することで最も蓄電量が低い段階を表示しているので、視認性を向上でき、ユーザーは蓄電量が低下していることを容易に確認できる。
【0050】
本開示の電子時計において、前記パワーセーブモードにおける前記蓄電量の検出間隔は、前記通常時刻表示モードにおける前記蓄電量の検出間隔よりも長いことが好ましい。
本開示の電子時計によれば、パワーセーブモード時の節電効果をより高めることができる。
【0051】
本開示の電子時計において、前記制御部は、前記発電部で発電が行われない非発電状態の継続時間が所定時間以上の場合に、前記パワーセーブモードに切り替えることが好ましい。
本開示の電子時計によれば、非発電状態が、例えば3時間や24時間等の所定時間以上継続した場合に、自動的にパワーセーブモードに切り替わるため、自宅などで保管中の電子時計等も効果的に節電できる。
【0052】
本開示の電子時計において、前記制御部は、前記蓄電量が閾値未満の場合に、前記パワーセーブモードに切り替えることが好ましい。
本開示の電子時計によれば、蓄電量が閾値未満に低下した場合に、自動的にパワーセーブモードに切り替わるため、電子時計が袖に隠れているなどで十分に発電できない状態で蓄電量が低下した場合に効果的に節電できる。
【0053】
本開示の電子時計において、操作部を備え、前記制御部は、前記操作部で切替操作が行われたことを検出すると、前記パワーセーブモードに切り替えることが好ましい。
本開示の電子時計によれば、ユーザーの操作でパワーセーブモードに切り替えることができるため、自宅で保管する予定の電子時計をユーザーの意図でパワーセーブモードに設定して効果的に節電できる。
【0054】
本開示の電子時計において、前記制御部は、前記パワーセーブモードにおいて、前記蓄電量が判定値以上の場合に、前記発電部で発電している発電状態が検出されると、前記通常時刻表示モードに切り替え、前記パワーセーブモードにおいて、前記蓄電量が前記判定値未満の場合は、前記発電状態が検出されても前記パワーセーブモードを維持することが好ましい。
本開示の電子時計によれば、発電状態が検出されても前記蓄電量が判定値未満であればパワーセーブモードを維持し、蓄電量が判定値以上となって発電状態が検出された場合に通常時刻表示モードに切り替わるため、蓄電量が判定値以上にならない限りパワーセーブモードを維持できる。このため、蓄電量が低い状態で通常時刻表示モードに切り替わってしまい、蓄電量が短時間で低下して制御部が停止することを防止できる。
【0055】
本開示の電子時計において、前記制御部は、前記パワーセーブモードとして、第1のパワーセーブモードと、前記第1のパワーセーブモードよりも消費電力が少ない第2のパワーセーブモードとを切り替えて制御可能であり、前記通常時刻表示モードから前記パワーセーブモードに切り替える場合、前記蓄電量が切替閾値以上の場合は前記第1のパワーセーブモードに切り替えて制御し、前記蓄電量が前記切替閾値未満の場合は前記第2のパワーセーブモードに切り替えて制御し、前記第1のパワーセーブモードで制御されている場合に、前記蓄電量が前記切替閾値未満に低下した場合は前記第2のパワーセーブモードに切り替えて制御することが好ましい。
パワーセーブモードとして、第1のパワーセーブモードと、消費電力がより少ない第2のパワーセーブモードとを備えるため、蓄電量が切替閾値未満に低下した場合に、第2のパワーセーブモードに切り換えることで、節電効果をより高めることができ、制御部が停止するまでの持続時間も延長できる。
【0056】
本開示の電子時計の制御方法は、時刻を表示する複数の指針と、発電部と、前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、前記蓄電部の蓄電量を表示するインジケーター針と、を備える電子時計の制御方法であって、前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードの実行中に切替条件に該当すると、前記指針のうちの少なくとも一つを停止するパワーセーブモードに切り替え、前記パワーセーブモードの実行中は、前記蓄電部の蓄電量を検出し、前記インジケーター針で前記蓄電量を複数段階で表示することを特徴とする。
本開示の電子時計の制御方法によれば、パワーセーブモード中にインジケーター針で蓄電部の蓄電量を複数段階で表示している。このため、電子時計のユーザーは、パワーセーブモード中であっても、蓄電量の低下を把握でき、制御部が停止するレベルに蓄電量が低下する前に、発電部を作動させて蓄電量を増加させることができる。このため、多数の電子時計を所持しているユーザーは、パワーセーブモードに移行した複数の電子時計の中から蓄電量が低い電子時計を選択して優先的に発電させることができ、電圧低下によって制御部が停止することを防止できる。
【0057】
本開示の電子時計の制御方法は、時刻を表示する複数の指針と、発電部と、前記発電部で発電された電力を蓄電する蓄電部と、を備える電子時計の制御方法であって、前記指針で時刻を表示する通常時刻表示モードの実行中に切替条件に該当すると、前記通常時刻表示モードよりも消費電力が少ないパワーセーブモードに切り替え、前記パワーセーブモードの実行中は、前記蓄電部の蓄電量を検出し、前記指針のうちの一つの指針で前記蓄電量を複数段階で表示することを特徴とする。
本開示の電子時計の制御方法によれば、パワーセーブモード中に一つの指針で蓄電部の蓄電量を複数段階で表示している。このため、電子時計のユーザーは、パワーセーブモード中に、蓄電量の低下を把握でき、制御部が停止するレベルに蓄電量が低下する前に、発電部を作動させて蓄電量を増加させることができる。このため、多数の電子時計を所持しているユーザーは、パワーセーブモードに移行した複数の電子時計の中から蓄電量が低い電子時計を選択して優先的に発電させることができ、電圧低下によって制御部が停止することを防止できる。
また、蓄電量は短時間で大きく変化しないので、蓄電量の検出間隔つまり蓄電量を表示する指針の運針間隔は、通常時刻表示モード時の前記指針の運針間隔に比べて長くできる。このため、前記指針は、時刻表示時よりも蓄電量を表示する場合のほうが消費電力を低減でき、パワーセーブモード時の節電効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0058】
1…電子時計、1A…電子時計、1B…電子時計、2…外装ケース、3…文字板、5…りゅうず、11…時針、12…分針、13…秒針、14…日車、15…インジケーター針、15A…インジケーター針、16…目盛、16A…目盛、20…制御部、21…操作部、22…発電部、23…蓄電部、24…記憶部、25…水晶発振回路、31…モータードライバー、32…モータードライバー、33…モータードライバー、34…モータードライバー、35…モータードライバー、41…ステッピングモーター、42…ステッピングモーター、43…ステッピングモーター、44…ステッピングモーター、45…ステッピングモーター、51…輪列、52…輪列、53…輪列、54…輪列、55…輪列、210…通常運針制御部、220…パワーセーブ制御部、230…モード切替制御部、240…発電検出部、250…電圧検出部、260…インジケーター制御部。