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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】充電インレット
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240910BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20240910BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20240910BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
H01R13/64
B60L53/16
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021011918
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115358
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 大和
(72)【発明者】
【氏名】大野 友也
(72)【発明者】
【氏名】安藤 徹
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-238413(JP,A)
【文献】特開平07-192826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01R 13/64
B60L 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部に設けられた充電コネクタが接続される充電インレットと、
前記充電インレットが設けられたボディと、
前記ボディに形成された開口部を開閉するカバーとを備え、
前記充電インレットは、前記カバーが開けられることにより前記車両外部に露出するように設けられており、
前記充電インレットは、
筐体と、前記筐体に設けられた端子ユニットとを含み、
前記端子ユニットは、
第1直流用ピンと、第2直流用ピンと、第1通信用ピンと、第2通信用ピンと、接地ピンとを含み、
前記筐体は、第1台座と、第2台座と、阻害部材を含み、
AC充電コネクタを前記充電インレットに接続しようとすると、前記阻害部材は、前記AC充電コネクタに設けられた第1交流用端子と、第2交流用端子と、第3交流用端子と、中性点用端子との少なくとも1つと干渉して、前記AC充電コネクタおよび前記充電インレットの接続を阻害し、
前記筐体の前記第1台座には、前記第1交流用端子に対応した位置に形成された第1端子孔と、前記第2交流用端子に対応した形成された第2端子孔と、前記第3交流用端子に対応した位置に形成された第3端子孔と、前記中性点用端子に対応した位置に形成された第4端子孔と、前記第1通信用ピンが内部に配置された第5端子孔と、前記第2通信用ピンが内部に配置された第6端子孔とが形成されており、
前記筐体の前記第2台座には、前記第1直流用ピンが内部に配置された第7端子孔と、前記第2直流用ピンが内部に配置された第8端子孔とが形成されており、
前記阻害部材は、前記第1端子孔と、前記第2端子孔と、前記第3端子孔と、前記第4端子孔との少なくとも1つに設けられ、
前記阻害部材は、前記第5端子孔と、前記第6端子孔と、前記第7端子孔と、前記第8端子孔に設けられていない、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電インレットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の充電インレットとして、AC(alternating current)充電コネクタおよびDC(Direct Current)充電コネクタに対応したインレットが知られており、たとえば、CCS(Combined Charging System、「コンボ」ともいう)規格に対応したインレットなどが知られている。このような車両において、AC充電機能をオプションとすることが検討されている。
【0003】
AC充電機能をオプションとして採用しなかったインレットにおいては、DC充電機能のみを備えることになる。
【0004】
そこで、特開2020-065394号公報に記載されたシステムにおいては、充電インレットがAC充電およびDC充電のいずれにも対応しているのか、DC充電のみに対応しているのかを報知するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-065394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のシステムに設けられた充電インレットにおいては、AC充電コネクタを物理的に接続することができてしまう。
【0007】
そのため、ユーザは充電コネクタを接続することができたにも関わらず、充電を開始することができないことに違和感を覚えるおそれがある。
【0008】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、AC充電コネクタの接続を物理的に阻害することができる充電インレットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に充電インレットは、車両外部に設けられた充電コネクタが接続される充電インレットであって、筐体と、前記筐体に設けられた端子ユニットとを含み、前記端子ユニットは、第1直流用ピンと、第2直流用ピンと、第1通信用ピンと、第2通信用ピンと、接地ピンとを含み、前記筐体は、阻害部材を含み、AC充電コネクタを前記充電インレットに接続しようとすると、前記阻害部材は、前記AC充電コネクタに設けられた第1交流用端子と、第2交流用端子と、第3交流用端子と、中性点用端子との少なくとも1つと干渉して、前記AC充電コネクタおよび前記充電インレットの接続を阻害する。上記筐体には、第1交流用端子に対応した位置に形成された第1端子孔と、第2交流用端子に対応した形成された第2端子孔と、第3交流用端子に対応した位置に形成された第3端子孔と、中性点用端子に対応した位置に形成された第4端子孔とが形成されており、阻害部材は、第1端子孔と、第2端子孔と、第3端子孔と、第4端子孔との少なくとも1つに設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る充電インレットによれば、AC充電コネクタが接続されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係るインレット6が搭載された車両1を模式的に示す模式図である。
図2】インレット6を示す斜視図である。
図3】端子孔32および阻害物25とその周囲の構成を示す断面図である。
図4】充電コネクタ7を正面図である。
図5】AC/DC充電コネクタ8を示す正面図である。
図6】阻害物25の第1変形例である阻害物25Aを示す断面図である。
図7】阻害物25の第2変形例である阻害物25Bを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から図7を用いて、本実施の形態に係る充電インレットについて説明する。図1から図7に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係るインレット6が搭載された車両1を模式的に示す模式図である。車両1は、ボディ2と、バッテリ4と、カバー5と、インレット6とを備える。
【0014】
バッテリ4は、充放電可能な二次電池であり、ボディ2に搭載されている。バッテリ4は、たとえば、リチウムイオン電池である。カバー5は、ボディ2の側面に設けられる。ボディ2には開口部が形成され、カバー5はこの開口部を開閉する。カバー5が開けられることによりインレット6が露出する。インレット6に充電コネクタ7が接続された状態で、バッテリ4が充電される。
【0015】
図2は、インレット6を示す斜視図である。インレット6は、樹脂筐体10と端子ユニット11とを含む。
【0016】
樹脂筐体10は、基板20と、台座21,22と、底板24とを含む。台座21,22は、底板24から突出するように形成されている。基板20には、台座21および台座22の外周を取り囲むように形成された挿入溝23が形成されている。
【0017】
台座21には、複数の端子孔30~36が形成されており、台座22には、複数の端子孔37,38が形成されている。
【0018】
端子ユニット11は、通信用ピン(第1通信用ピン)40と、通信用ピン(第2通信用ピン)41と、接地ピン42と、直流用ピン47,48とを含む。
【0019】
通信用ピン40,41は、端子孔30,31内に配置されている。接地ピン42は、端子孔33内に配置されている。直流用ピン47,48は、端子孔37,38内に配置されている。
【0020】
端子孔33の周囲を取り囲むように、端子孔30,31,32,34,35,36が配置されている。端子孔30,31は、端子孔33の上方に配置されており、端子孔30および端子孔31は横方向に配列している。端子孔32,33,34は、横方向に配列しており、端子孔32および端子孔34は、端子孔33を間に挟むように配置されている。端子孔35,36は、端子孔33の下方に配置されており、端子孔35および端子孔36は、横方向に配列するように配置されている。
【0021】
なお、インレット6は、電気自動車急速充電規格CCS(Combined Charging System)に準拠した充電コネクタである。インレット6は、DC充電用インレットであり、AC充電に対応していない。
【0022】
一般的に、DC充電およびAC充電に対応しているインレットにおいては、各端子孔32,35,36内にAC充電用ピンが設けられると共に、端子孔34内に中性点用ピンが配置されている。
【0023】
このインレット6においては、端子孔32,34,35,36内には、阻害物25,27,28,29が形成されている。具体的には、阻害物25,27,28,29は、端子孔32,34,35,36内に充填されている。
【0024】
図3は、端子孔32および阻害物25とその周囲の構成を示す断面図である。この図3に示す例においては、阻害物25は端子孔33内に充填されている。阻害物25は、樹脂などの絶縁材料によって形成されている。なお、端子孔34,35,36内においても、阻害物27,28,29が充填されている。
【0025】
図4は、充電コネクタ7を正面図である。なお、充電コネクタ7は、電気自動車急速充電規格CCS(Combined Charging System)に準拠した充電コネクタである。なお、CCSは、CharIN e.V. (Charging Interface Initiative)が標準規格として提案する充電方法である。そして、充電コネクタ7は、直流用充電コネクタであり、AC充電機能を有していない。
【0026】
充電コネクタ7は、端子ユニット50と樹脂筐体51とを含む。端子ユニット50は、複数の筒状端子を含む。具体的には、端子ユニット50は、通信用端子60,61と、接地用端子62と、直流用端子67,68とを含む。通信用端子60は、「CP Pin」であり、この通信用端子60を通して、EVSE(Electric Vehicle Service Equipment:(充電ステーション))が供給することができる電流に関する情報が車両1に伝達される。通信用端子61は、「PP pin」であり、通信用端子61を通して、車両1が接続されていることがEVSEに通知される。直流用端子67,68を通して、EVSEから供給される直流電流が車両1に供給される。
【0027】
通信用端子60,61と、接地用端子62と、直流用端子67,68とは、いずれも筒状に形成されている。樹脂筐体51は、複数の筒部70~72,77,78と、基板80と、枠部81,82とを含む。基板80は、板状に形成されている。各筒部70~72,77,78は、中空状に形成されている。
【0028】
筒部70,71内には、通信用端子60,61が配置されている。筒部72内には、接地用端子62が配置されている。筒部77,78内には、直流用端子67,68が配置されている。
【0029】
複数の筒部70~72,77,78と、枠部81,82は、基板80から立ち上がるように形成されている。枠部81は、筒部70~72の周囲を取り囲むように形成されている。枠部82は、筒部77,78周囲を取り囲むように形成されている。
【0030】
充電コネクタ7をインレット6に接続すると、インレット6の通信用ピン40,41が、充電コネクタ7の通信用端子60,61内に挿入され、接地ピン42が接地用端子62内に挿入される。これにより、車両1およびEVSEとの間の通信が可能となる。この際、インレット6の端子孔30~32内に筒部70~72が挿入される。
【0031】
インレット6の直流用ピン47,48は、直流用端子68,67内に挿入される。これにより、直流用ピン47,48および直流用端子68,67を通して、EVSEから車両1に直流電力が供給されることになる。
【0032】
この際、充電コネクタ7の筒部70,71,72,77,78が、端子孔31,30,33,38,37内に挿入されると共に、枠部81,枠部82が挿入溝23内に挿入される。
【0033】
図5は、AC/DC充電コネクタ8を示す正面図である。AC/DC充電コネクタ8は、DC充電およびAC充電のいずれにも対応する充電コネクタである。AC/DC充電コネクタ8のDC充電機能は、電気自動車急速充電規格CCS(Combined Charging System)に準拠している。なお、本実施の形態においては、AC充電コネクタの一例として、AC/DC充電コネクタ8を例として挙げている。
【0034】
なお、AC/DC充電コネクタ8は、充電コネクタ7に近似した構成となっており、AC/DC充電コネクタ8は、充電コネクタ7の構成に加えて、交流用端子63,64,65と、中性点用端子66と、筒部73~76とをさらに備える。
【0035】
筒部73,74,75内には、交流用端子63,64,65が配置されており、筒部76内には中性点用端子66が配置されている。
【0036】
このAC/DC充電コネクタ8においては、車両に設けられた充電インレットがDC充電およびAC充電のいずれにも対応している場合において、AC/DC充電コネクタ8を充電インレットに接続することで、車両をDC充電またはAC充電によって充電することができる。
【0037】
ここで、AC/DC充電コネクタ8をインレット6に接続しようとした際に、図2に示す端子孔(第1端子孔)34は、図5に示す交流用端子(第1交流用端子)63に対応する位置に形成されている。端子孔(第2端子孔)36は、交流用端子(第2交流用端子)64に対応した位置に形成されている。端子孔(第3端子孔)35は、交流用端子(第3交流用端子)65に対応した位置に形成されている。端子孔32(第4端子孔)は、中性点用端子66に対応した位置に形成されている。
【0038】
ここで、AC/DC充電コネクタ8をインレット6に接続しようとすると、端子孔32,34,35,36内には、阻害物25,27,28,29が充填されている。このため、阻害物25,27,28,29と、中性点用端子66と、交流用端子63,65,64とが干渉する。その結果、AC/DC充電コネクタ8をインレット6に接続することができない。
【0039】
このように、AC/DC充電コネクタ8をインレット6に接続されることが抑制されているため、ユーザは、当該インレット6は、AC/DC充電コネクタ8に対応していないことを直ぐに認識することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、端子孔33,34,35,36のいずれにも阻害物を形成しているが、端子孔33,34,35,36の少なくとも1つに阻害物を形成するようにしてもよい。
【0041】
図6は、阻害物25の第1変形例である阻害物25Aを示す断面図である。この阻害物25Aにおいては、端子孔32の開口部を閉塞するように形成されている。これにより、端子孔32内に、図5に示すAC/DC充電コネクタ8の筒部76および中性点用端子66が挿入されることを抑制することができる。
【0042】
図7は、阻害物25の第2変形例である阻害物25Bを示す断面図である。阻害物25Bは、筒状に形成されており、端子孔32内に設けられている。この阻害物25Bにおいても、図5に示すAC/DC充電コネクタ8の筒部76および中性点用端子66が挿入されることを抑制することができる。このように、阻害物としては、各種形状のものを採用することができる。
【0043】
なお、本実施の形態においては、AC充電コネクタの一例として、AC/DC充電コネクタ8を例として挙げており、DC充電機能を有する必要はない。たとえば、DC充電機能を有さないAC充電コネクタは、図5において、枠部82と、筒部77,78と、直流用端子67,68とが設けられていない。このようなAC充電コネクタにおいても、阻害物25,27,28,29などによって、インレット6に接続されることを抑制することができる。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1 車両、2 ボディ、4 バッテリ、5 カバー、6 インレット、7,8 充電コネクタ、10,51 樹脂筐体、11,50 端子ユニット、20,80 基板、21,22 台座、23 挿入溝、24 底板、25,25A,25B,27,28,29 阻害物、30,31,32,33,34,35,36,37,38 端子孔、40,41 通信用ピン、42 接地ピン、46 中性点用ピン、47,48 直流用ピン、60,61 通信用端子、62 接地用端子、63,64,65 交流用端子、66 中性点用端子、67,68 直流用端子、70,71,72,73,76,77,78 筒部、81,82 枠部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7