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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】交通監視装置および交通監視方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20240910BHJP
   G01H 9/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G01H9/00 E
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021013610
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2021121917
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】16/777,803
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】ナリセッティ チャイタニャ プラサード
(72)【発明者】
【氏名】樋野 智之
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡寛
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0342156(US,A1)
【文献】特表2019-529952(JP,A)
【文献】特開2012-252630(JP,A)
【文献】特開2015-082122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/01
G01H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォーターフォールデータを取得するための分散型音響センサ(DAS)であって、前記ウォーターフォールデータが、前記DASに隣接する道路上の振動の発生位置、前記振動の発生時間、および前記振動の振幅を含む、分散型音響センサと、
前記DASに接続されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサが、
前記DASから前記ウォーターフォールデータを受信し、
前記ウォーターフォールデータを前処理し、
前記前処理されたウォーターフォールデータを、各パッチのサイズが前記道路のパラメータに基づいて決定されている複数のパッチに分離し、
前記複数のパッチの各々を処理して前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定する
ように構成され
前記複数のパッチは、前記道路上の橋に対応する橋のパッチを含み、
前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定することは、前記橋の両側の領域の交通流特性を比較することにより、前記道路上の橋の交通流特性を推定することを含む
交通監視装置。
【請求項2】
前記プロセッサが前記複数のパッチのパッチごとのサイズを決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載の交通監視装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記複数のパッチの第2のパッチの第2のサイズとは異なる前記複数のパッチの第1のパッチの第1のサイズを決定するように構成されている、請求項2に記載の交通監視装置。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記道路を管理するための外部デバイスに前記少なくとも1つの交通流特性を出力するための命令を生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載の交通監視装置。
【請求項5】
前記プロセッサが前記道路上の橋の位置を特定するようにさらに構成され
前記特定された橋の位置に基づき、前記複数のパッチのサイズが決定される、請求項1に記載の交通監視装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記前処理されたウォーターフォールデータに基づいて前記橋の前記位置を特定するように構成されている、請求項5に記載の交通監視装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記複数のパッチのパッチごとの前記振動の前記振幅を所定のしきい値と比較することによって前記橋の前記位置を特定するように構成されている、請求項5に記載の交通監視装置。
【請求項8】
ウォーターフォールデータを取得するための分散型音響センサ(DAS)であって、前記ウォーターフォールデータが、前記DASに隣接する道路上の振動の発生位置、前記振動の発生時間、および前記振動の振幅を含む、分散型音響センサと、
前記DASに接続されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサが、
前記DASから前記ウォーターフォールデータを受信し、
前記ウォーターフォールデータを前処理し、
前記前処理されたウォーターフォールデータに基づいて前記道路のパラメータを推定し、
前記前処理されたウォーターフォールデータを、各パッチのサイズが前記道路のパラメータに基づいて決定されている複数のパッチに分離し、
前記複数のパッチの各々を処理して前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定する
ように構成されている、
交通監視装置。
【請求項9】
振動の道路上の発生位置、前記振動の発生時間、および前記振動の振幅を含むウォーターフォールデータを取得することと、
前記ウォーターフォールデータを前処理することと、
前記前処理されたウォーターフォールデータを、第1のパッチが第1のサイズを有しまた第2のパッチが前記第1のサイズとは異なる第2のサイズを有する複数のパッチに分離することと、
前記複数のパッチの各々を処理して前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定することと
を含
前記複数のパッチは、前記道路上の橋に対応する橋のパッチを含み、
前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定することは、前記橋の両側の領域の交通流特性を比較することにより、前記道路上の橋の交通流特性を推定することを含む、交通監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交通監視装置および装置を使用する方法に関する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、国際特許出願第PCT/JP2019/026131に関連し、その開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
光ファイバは非常に多くの道路に沿って存在する。これらの光ファイバに取り付けられた分散型音響センサ(DAS)は、光ファイバが配置された場所の振動を検出することができる。場合によっては、これらの振動は通過する車両の結果である。DASは、車両の数、車両の車線位置、および車速に関連するデータを収集することができる。
【0004】
DASは、交通パラメータを決定するために、時間および距離に基づいてウォーターフォールデータ(waterfall data)を生成する。個々の車両を検出するDASの能力は、DASによって検出された信号内のノイズの量に関連する。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様によれば、交通監視装置は、ウォーターフォールデータを取得するための分散型音響センサ(DAS)であって、前記ウォーターフォールデータが、前記DASに隣接する道路上の振動の発生位置、前記振動の発生時間、および前記振動の振幅を含む、分散型音響センサと、前記DASに接続されたプロセッサとを備え、前記プロセッサが、前記DASから前記ウォーターフォールデータを受信し、前記ウォーターフォールデータを前処理し、前記前処理されたウォーターフォールデータを、各パッチのサイズが前記道路のパラメータに基づいて決定されている複数のパッチに分離し、前記複数のパッチの各々を処理して前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定するように構成されている。
【0006】
第2の態様によれば、交通監視装置は、ウォーターフォールデータを取得するための分散型音響センサ(DAS)であって、前記ウォーターフォールデータが、前記DASに隣接する道路上の振動の発生位置、前記振動の発生時間、および前記振動の振幅を含む、分散型音響センサと、前記DASに接続されたプロセッサとを備え、前記プロセッサが、前記DASから前記ウォーターフォールデータを受信し、前記ウォーターフォールデータを前処理し、前記前処理されたウォーターフォールデータに基づいて前記道路のパラメータを推定し、前記前処理されたウォーターフォールデータを、各パッチのサイズが前記道路のパラメータに基づいて決定されている複数のパッチに分離し、前記複数のパッチの各々を処理して前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定するように構成されている。
【0007】
第3の態様によれば、交通監視方法は、振動の道路上の発生位置、前記振動の発生時間、および前記振動の振幅を含むウォーターフォールデータを取得することと、前記ウォーターフォールデータを前処理することと、前記前処理されたウォーターフォールデータを、第1のパッチが第1のサイズを有しまた第2のパッチが前記第1のサイズとは異なる第2のサイズを有する複数のパッチに分離することと、前記複数のパッチの各々を処理して前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の態様は、添付の図面とともに読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。業界内の標準的な慣行に従って、様々な特徴が縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際、説明を明確にするために、様々な特徴の寸法は、任意に拡大または縮小される場合がある。
【0009】
図1】いくつかの実施形態による、道路に沿った分散型音響センサ(DAS)システムの概略図である。
【0010】
図2】いくつかの実施形態による、交通を監視する方法のフローチャートである。
【0011】
図3】いくつかの実施形態による、DASシステムによって収集されたウォーターフォールデータとともにDASシステムの概略図である。
【0012】
図4】いくつかの実施形態による、パッチを含むウォーターフォールデータの図である。
【0013】
図5A】いくつかの実施形態による、橋および固い地面の道路についてDASシステムによって収集されたウォーターフォールデータの図である。
【0014】
図5B】いくつかの実施形態による、図5Aのウォーターフォールデータについての振動振幅対時間のグラフである。
【0015】
図6A】いくつかの実施形態による、DASシステムによって収集されたウォーターフォールデータの図である。
【0016】
図6B】いくつかの実施形態における、図6Aのウォーターフォールデータに基づいて修正されたウォーターフォールデータの図である。
【0017】
図7】いくつかの実施形態による、ウォーターフォールデータを分析するためのシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の開示は、提供された主題の異なる特徴を実装するための多くの異なる実施形態または例を提供する。本開示を簡略化するために、構成要素、値、動作、材料、配置などの具体例が以下に記載される。もちろん、これらは単なる例であり、限定するものではない。他の構成要素、値、動作、材料、配置などが考えられる。たとえば、以下の説明における第2の特徴を越えるか、または第2の特徴の上の第1の特徴の形成は、第1および第2の特徴が直接接触して形成される実施形態を含んでよく、第1および第2の特徴が直接接触しなくてよいように、第1の特徴と第2の特徴との間に追加の特徴が形成されてよい実施形態も含んでよい。加えて、本開示は、様々な例において参照数字および/または参照文字を繰り返す場合がある。この繰返しは、簡潔さおよび明確さを目的としており、それ自体は、説明された様々な実施形態および/または構成の間の関係を規定するものではない。
【0019】
さらに、「下方」、「下」、「下位」、「上」、「上位」などの空間的な相対語は、図に示されたように、ある要素または特徴と別の要素または特徴との関係を記述する説明を容易にするために、本明細書で使用される場合がある。空間的な相対語は、図に描写された方向に加えて、使用中または動作中のデバイスの様々な方向を包含するものである。装置は、他の方法で(90度回転するかまたは他の方向に)方向付けされてよく、ここで使用される空間的な相対記述子は、同様にそれに応じて解釈されてよい。
【0020】
図1は、いくつかの実施形態による、道路130に沿った分散型音響センサ(DAS)システム100の概略図である。DASシステム100は、DAS112と通信する交通監視装置111を含む。DASシステム100は、DAS112に接続された光ファイバ121をさらに含む。光ファイバ121は道路130に沿っている。道路130は3つの車線を含む。多数の車両が道路130上にある。道路130上のいくつかの車両140は、道路130上の他の車両150よりも大きい。
【0021】
車両140および150が道路130を通過するとき、車両は振動を発生させる。これらの振動は、光が光ファイバ121に沿って伝搬する方式を変更する。DAS112は光ファイバ121に接続され、光ファイバ121に光信号を送り、光ファイバ121から返された光を検出する。結果として得られたデータはウォーターフォールデータと呼ばれる。ウォーターフォールデータは、道路130上の車両の数、車両による移動の方向性、車速、および車両の車線位置に関連する情報を提供する。
【0022】
図1の道路130は固い地面上にある。固い地面は、道路130に沿って走行する際の車両140および150の検出を不明瞭にするほど十分に高い振幅で振動しない。結果として、DAS112は、道路130に沿って走行する車両140および150を正確に検出することができる。いくつかの実施形態では、道路130は少なくとも1つの橋を含む。
【0023】
固い地面とは異なり、橋は、風、前の車両の通過、および他の現象に起因して振動する。場合によっては、橋の振動は、通過する車両140または150によって発生する振動を不明瞭にするほど十分に高い。結果として、橋上の交通の監視は、固い地面の道路130に沿った交通の監視よりも困難である。
【0024】
図1は、例示的な測定されたDASデータも含む。この例示的な測定されたDASデータは、DAS112によって収集されたウォーターフォールデータの理解を支援するために提供される。
【0025】
図2は、いくつかの実施形態による、交通を監視する方法200のフローチャートである。方法200は、ウォーターフォールデータ、たとえば、DAS112によって検出されたウォーターフォールデータ(図1)を受信する。ウォーターフォールデータは、振動データが検出された時間および光ファイバに沿った位置に関連する情報を含む。ウォーターフォールデータのさらなる詳細が、下記で図3について説明される。いくつかの実施形態では、ウォーターフォールデータは、固い地面と少なくとも1つの橋の両方を含む道路に沿ったデータを含む。
【0026】
動作205において、受信されたウォーターフォールデータを強化するために、ウォーターフォールデータが前処理される。ウォーターフォールデータの前処理は、道路、たとえば、道路130(図1)に沿った各位置でのウォーターフォールデータの振動振幅を所定の時間期間にわたって正規化することを含む。振動振幅を正規化すると、光ファイバの感度の変動を説明するのに役立つ。光ファイバの感度の変動は、道路の凹凸のある表面、光ファイバの一貫性のない設置、および光ファイバの不一致を含むが、それらに限定されないいくつかの発生源から生じる。振動振幅を正規化すると、交通量の変動を説明するのにも役立つ。たとえば、道路上の車両の数が増えると、DASによって検出される振動の大きさが増加する。所定の時間期間に基づいて振動振幅を正規化することにより、交通量が少ない状況の時間期間に対する交通量が多い状況の間に検出された大きい振動の影響が低減され、交通流特性を推定するためのより正確なデータが生成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、ウォーターフォールデータを前処理すると、所定の時間期間の間、光ファイバに沿った各位置での最大振動振幅も制限される。最大振動振幅を制限すると、トラックまたは建設車両などの大型車両からの振動が、乗用車などの小型車両によって発生する振動を不明瞭にすることを防止するのに役立つ。
【0028】
ウォーターフォールデータを前処理することにより、様々な時間期間の間の交通流特性をより正確に決定するために、道路に沿った個々の車両がより簡単に識別され追跡される。
【0029】
動作210において、前処理されたウォーターフォールデータがパッチに分割される。パッチは、前処理されたウォーターフォールデータ全体の一部分である。パッチのサイズが小さくなると、前処理されたウォーターフォールデータから取得される情報の解像度が上がる。たとえば、1分掛ける1キロメートル(km)のサイズを有するパッチは、3分掛ける1.5kmのサイズを有するパッチよりも正確な結果を生み出す。しかしながら、パッチのサイズが小さくなると、DASシステム、たとえば、DASシステム100(図1)上の処理負荷が増大する。
【0030】
いくつかの手法では、パッチのサイズは、前処理されたウォーターフォールデータ全体にわたって均一である。パッチのサイズが均一であると、DASシステム上の処理負荷を軽減するのに役立つ。しかしながら、均一なパッチサイズにより、より詳細な情報を取得するために、道路、たとえば、道路130の特定の部分を対象にする能力が低下する。加えて、道路が少なくとも1つの橋を含む場合、前処理されたウォーターフォールデータは、交通流特性を決定する際に使用しにくいデータを提供する。均一なパッチサイズをもつと、各パッチのデータの品質に対する橋の影響が無視され、データがあまり役に立たない。
【0031】
いくつかの実施形態では、パッチのサイズは調整可能である。いくつかの実施形態では、パッチサイズは、距離パラメータを変更することによって調整される。たとえば、第1のパッチ内の距離は1.5kmであるが、第2のパッチ内の距離は1kmである。パッチサイズ用の距離パラメータを調整することにより、道路の特定の部分がより正確な分析の対象になる。道路の特定の部分を分析すると、たとえば、信号機を設置するかどうか、特定の場所での事故の頻度、または交通が頻繁に遅くなる場所を特定するのに役立つ。
【0032】
いくつかの実施形態では、パッチサイズは、時間パラメータを変更することによって調整される。たとえば、第1のパッチ内の時間は2分であるが、第2のパッチ内の時間は1分である。パッチサイズ用の時間パラメータを調整することにより、特定の時刻がより正確な分析の対象になる。特定の時刻を分析すると、たとえば、信号機のタイミング、全地球測位システム(GPS)ナビゲーションの代替ルート識別、建設作業のタイミングを決定するために、大量の時間および少量の時間の間に交通がどのように流れるかを判断するのに役立つ。
【0033】
いくつかの実施形態では、パッチサイズは、距離パラメータと時間パラメータの両方を変更することによって調整される。パッチサイズを調整すると、道路の一部分が橋を含むときにDASシステム上の処理負荷を軽減するのにも役立つ。たとえば、橋上の交通について正確なデータが合理的に取得可能でない場合、パッチサイズを調整して橋を含む道路の部分を分析するための処理負荷を最小化すると、DASシステムの全体的な速度を向上させるのに役立つ。
【0034】
動作215において、パッチごとに少なくとも1つの交通流特性が推定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの交通流特性は、平均交通速度、車両の数、各車両の速度、車両のタイプ、または各車両の方向である。いくつかの実施形態では、パッチごとに2つ以上の交通流特性が推定される。前処理されたウォーターフォールデータは、時間と道路上の位置の両方に基づいて振動を表す線を含む。一般に、各線は単一の車両の軌道を表す。一般に、パッチ内の線は直線または接続線である必要はない。当業者は、この説明における「線」という用語が、「車両の軌道」または「車両の振動パターン」というフレーズに対応し、それらと同じ意味で使用されることを理解されよう。いくつかの実施形態では、車両の軌道を表すパッチ内の線は不連続である。そのような不連続性は、場合によっては、DASの測定における欠陥から生じる。そのような不連続性は、場合によっては、パッチ内の線に対応する車両が停止してから再スタートしたとき、たとえば、ハイブリッド車のエンジンが停止し再起動したときにも生じる。車両がある位置で停止してから再スタートする時間範囲では、車両は振動を発生させず、そのような発生はパッチ内の不連続性として観察可能である。交通流特性は、パッチ内の線の数、パッチ内の線の勾配、パッチ内の線の振動の振幅、およびパッチ内の線の太さに基づいて推定される。
【0035】
道路の距離範囲を横断する車両の数が増えると、距離範囲内の線の数が増える。すなわち、線の高度集中は、交通量が多いことを示す。車両の速度が上がると、線の勾配が小さくなる(より水平になる)。線の勾配が小さいことは、車両が短い時間期間内に道路を長距離走行したことを示す。DAS、たとえば、DAS112(図1)に向かって移動する車両は、負の勾配を有する(前処理されたウォーターフォールデータ内で右から左に上昇する)線を生成する。DASから離れて移動する車両は、正の勾配を有する(前処理されたウォーターフォールデータ内で右から左に降下する)線を生成する。線の太さは車両の寸法を示す。ある位置でのある線の総振動振幅は、車両が前記位置を横切るときに車両によって発生する振動の大きさを示す。たとえば、トラックなどの大型車両は、乗用車などの小型車両よりも、ウォーターフォールデータ内に太くて大きい振幅の線を生成する。
【0036】
場合によっては、しきい値を超える太さを有する線は自動車事故を示す。事故の場所および頻度を識別する能力は、たとえば、信号機を設置するかどうかを判定するのにも役立つ。事故のリアルタイム検出は、交通渋滞が事故の存在を示すことを待つよりも速く、GPSナビゲーションを使用して車両の経路を変更するのにも役立つ。
【0037】
方法200は、少なくとも1つの推定された交通流特性を出力する。いくつかの実施形態では、方法200は、複数の交通流特性を出力する。いくつかの実施形態では、方法200は、ワイヤレス通信を使用して交通流特性を出力する。いくつかの実施形態では、方法200は、有線通信を使用して交通流特性を出力する。いくつかの実施形態では、交通流特性は、周期的に、たとえば、毎分出力される。いくつかの実施形態では、交通流特性は、連続的に出力される。いくつかの実施形態では、交通流特性は、ユーザがDASシステムにアクセスするまで、DASシステム内に格納される。
【0038】
オプションの動作220において、パッチサイズが推定される。オプションの動作220を含まないいくつかの実施形態では、パッチサイズはユーザによって設定される。いくつかの実施形態では、たとえば、道路に沿った交通の詳細な分析が望まれていない、道路に沿った交通流特性が一貫している、またはユーザが特定のパッチサイズを指定するので、オプションの動作220は省略される。いくつかの実施形態では、パッチサイズは、道路の既知のパラメータ、たとえば、道路に沿った橋の位置に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、パッチサイズは、光ファイバの設置業者の設置パラメータに基づいて決定される。
【0039】
いくつかの実施形態では、道路のパラメータに関連する情報は、ユーザ入力に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、道路のパラメータに関連する情報は、DASシステムに格納されるか、またはDASシステムに対して外部に格納された地図から検索される。いくつかの実施形態では、道路のパラメータに関連する情報は、光ファイバ設置業者から検索される。
【0040】
いくつかの実施形態では、光ファイバの設置パラメータは、光ファイバ設置業者から検索される。いくつかの実施形態では、光ファイバの設置パラメータは、動作205におけるウォーターフォールデータの前処理中に決定される。
【0041】
オプションの動作225において、道路に沿った橋の位置が推定される。いくつかの実施形態では、たとえば、橋が道路に沿って位置しないか、または道路上の橋の長さが方法200の分析に悪影響を与えるほど十分ではないので、オプションの動作225は省略される。オプションの動作225を含まないいくつかの実施形態では、橋の位置は、ユーザ入力に基づいて特定される。いくつかの実施形態では、オプションの動作225は、道路に沿った複数の橋の位置を特定する。いくつかの実施形態では、橋の位置は、ウォーターフォールデータに基づいて特定される。いくつかの実施形態では、橋の位置は、未処理のウォーターフォールデータに基づいて特定される。いくつかの実施形態では、橋の位置は、前処理されたウォーターフォールデータに基づいて特定される。
【0042】
いくつかの実施形態では、ウォーターフォールデータに基づく橋の位置の特定は、高速フーリエ変換(FFT)およびしきい値化を使用して実行される。いくつかの実施形態では、ウォーターフォールデータに基づく橋の位置の特定は、ローパスフィルタリングおよびしきい値化を使用して実行される。たとえば、振動振幅対時間をプロットすることは、橋の位置を特定するのに使用できる。橋は、風、前の車両の橋の横断、および現在の車両の橋の横断に起因して振動するので、橋の振動振幅は時間に対して実質的に一貫している。結果として、振動の適用は実質的に一貫している。対照的に、固い地面の道路は、道路に沿った車両の通過を示す振動振幅のスパイクを表す。道路に沿った様々な位置で振動振幅対時間をプロットし、振動振幅が所定のしきい値を超えない位置を識別することにより、橋の位置を識別することができる。いくつかの実施形態では、所定のしきい値は、道路に沿った車両の通過を示す既知の振動振幅に基づく。いくつかの実施形態では、既知の振動振幅は、その道路またはDASシステムを備えた他の道路からの経験的データに基づいて決定される。
【0043】
図3は、いくつかの実施形態による、DASシステムによって収集されたウォーターフォールデータ300とともにDASシステム100の概略図である。DASシステム100は、図1のDASシステム100と同じである。図1とは対照的に、図3の道路(図示せず)は、ウォーターフォールデータ300によって示されたように、2つの橋を含む。ウォーターフォールデータ300は、前処理されたウォーターフォールデータである。
【0044】
ウォーターフォールデータ300は、領域302、304、306、308、および310を含む。領域302、306、および310は、道路を横断する車両によって発生する振動を示す識別可能な線を含む。領域304および308は橋を示す。領域302、306、および310と比較して、領域304および308は、橋の振動が橋を横断する車両の検出された振動を不明瞭にするので、識別可能な線を含まない。
【0045】
上記のように、交通流特性は、ウォーターフォールデータ300内の線に基づいて特定可能である。エリア320は、互いに近接する3本の線を含む。各線は、道路を横断する車両を表す。エリア330は、互いに離れて近接する3本の線を含む。エリア320は、エリア330よりも道路上の交通密度が高いことを示す。エリア320とエリア330の両方の線の正の勾配は、車両がDASから遠ざかっていることを示す。エリア320とエリア330の両方の勾配の大きさは類似している。これは、エリア320によって示された3台の車両の速度が、エリア330によって示された3台の車両の速度と類似していることを示す。場合によっては、2つの異なる交通密度エリアでの同様の勾配の大きさは、道路を横断する車両が、交通密度が増加しても大幅に変化しない低速で進行していることを示唆する。このタイプの分析は、いくつかの実施形態では、たとえば、動作215において、交通流特性を推定するのに使用可能である。
【0046】
図4は、いくつかの実施形態による、パッチ402~426を含むウォーターフォールデータ400の図である。ウォーターフォールデータ400は、前処理されたウォーターフォールデータである。パッチ408、414、および420の各々は、道路を横断する車両によって発生する振動を示す不明瞭な線によって示されたように、橋を含む。いくつかの実施形態では、パッチ402、404、406、410、412、406、418、422、424、および426は、固い地面のパッチと総称される。いくつかの実施形態では、パッチ408、414、および420は、橋のパッチと総称される。
【0047】
固い地面のパッチの各々は、パッチ幅Wpを有する。パッチ幅Wpの大きさは、いくつかの実施形態では、オプションの動作220において決定される。いくつかの実施形態では、パッチ幅Wpの大きさは、ユーザによって決定される。いくつかの実施形態では、固い地面のパッチの少なくとも1つは、固い地面のパッチの他の少なくとも1つとは異なるパッチ幅を有する。いくつかの実施形態では、固い地面のパッチの各々のパッチ幅Wpは、個別に決定される。固い地面のパッチの各々のパッチ幅を個別に決定すると、DASシステム上の処理負荷が増大する。しかしながら、固い地面のパッチの各々のパッチ幅を個別に決定すると、DASシステムによる出力の解像度が向上する。
【0048】
当業者は、パッチ幅Wpが、距離方向(図4の水平方向)におけるウォーターフォールデータ400の区分であることを認識されよう。いくつかの実施形態では、ウォーターフォールデータ400は、時間方向(図4の垂直方向)にセグメント化される。いくつかの実施形態では、ウォーターフォールデータ400は、距離方向と時間方向の両方にセグメント化される。
【0049】
橋のパッチの各々は、異なる幅を有する。橋のパッチの各々は、橋によって占有される道路の部分、および橋の両側の重複領域を含む。たとえば、パッチ408は、橋の第1の側に重複領域408aを含み、橋の第2の側に重複領域408bを含む。同様に、パッチ420は、橋の第1の側に重複領域420aを含み、橋の第2の側に重複領域420bを含む。パッチ414も、図4ではラベル付けされていない重複領域を含む。
【0050】
重複領域408aおよび重複領域420aは、第1の重複幅Woaを有する。重複領域408bおよび重複領域420bは、第2の重複幅Wobを有する。図4では、WoaはWobに等しい。いくつかの実施形態では、WoaはWobよりも大きい。いくつかの実施形態では、WobはWoaよりも大きい。いくつかの実施形態では、重複領域408aの幅は、重複領域420aの幅とは異なる。いくつかの実施形態では、重複領域408bの幅は、重複領域420bの幅とは異なる。いくつかの実施形態では、WoaおよびWobはWpに等しい。いくつかの実施形態では、WoaはWpに等しく、WobはWpとは異なる。いくつかの実施形態では、WobはWpに等しく、WoaはWpとは異なる。
【0051】
いくつかの実施形態では、パッチ内の重複領域の少なくとも1つが省略され、橋の側面は隣接するパッチの縁部と並べられている。たとえば、いくつかの実施形態では、重複領域408aは省略され、パッチ406の縁部はパッチ408内の橋の縁部と並べられている。いくつかの実施形態では、重複領域408bは省略され、パッチ410の縁部はパッチ408内の橋の縁部と並べられている。いくつかの実施形態では、重複パッチ408aと重複パッチ408bの両方が省略され、パッチ406の縁部はパッチ408内の橋の第1の縁部と並べられており、パッチ410の縁部はパッチ408内の橋の第2の縁部と並べられている。
【0052】
重複領域、たとえば、重複領域408aおよび408bは、橋、たとえば、パッチ408内の橋上の交通流特性を推定するのに役立つ。橋の第1の側の線と橋の第2の側の線を比較することにより、橋の交通流特性が推定される。たとえば、重複領域408a内の線450aは、重複領域408b内の線450bと同じ幅および勾配を有するように見える。したがって、いくつかの実施形態では、パッチ408内の橋上の交通流特性は、重複領域408aまたは重複領域408b内の交通流特性に類似していると考えられる。対照的に、パッチ414内の橋の第1の側の重複領域内の線454aは、パッチ414内の橋の第2の側の重複領域内の線454bよりも水平であるように見える。したがって、いくつかの実施形態では、橋を出る交通が橋に入る交通よりも遅いように見えるので、パッチ414内の橋上の交通流特性は、線454bの交通流特性に類似していると考えられる。
【0053】
少なくとも1つの重複領域を含まない実施形態では、橋上の交通流特性は、橋の縁部と並べられている縁部を有するパッチ内の交通流特性の比較に基づいて推定される。たとえば、重複領域408aが省略され、パッチ406の縁部が橋の縁部と並べられている少なくとも1つの実施形態では、パッチ406内の線と重複領域408b内の対応する線との間で比較が行われる。当業者は、重複領域408bが省略される実施形態、および重複領域408aと重複領域408bの両方が省略される実施形態では、同様の分析が可能であることを認識するはずである。
【0054】
図5Aは、いくつかの実施形態による、橋および固い地面の道路についてDASシステムによって収集されたウォーターフォールデータ500の図である。ウォーターフォールデータ500は、前処理されたウォーターフォールデータである。ウォーターフォールデータ500は、領域502および領域506を含む。ウォーターフォールデータ500の目視検査は、領域502が橋を示し、領域506が固い地面を示すことを示す。いくつかの実施形態では、オプションの動作225は、ウォーターフォールデータのユーザによる目視検査および橋の位置の入力によって実施される。
【0055】
いくつかの実施形態では、オプションの動作225は、しきい値化プロセスによって自動的に実施される。時間線504は、特定の位置で領域502を通って引かれ、振動の振幅は、時間線504に沿ったウォーターフォールデータ500内の線の太さに基づいて決定される。同様に、時間線508は、特定の位置で領域506を通って引かれ、振動の振幅は、時間線508に沿ったウォーターフォールデータ500内の線の太さに基づいて決定される。これらの振幅は、ウォーターフォールデータ500が橋を示すか固い地面を示すかを判定するために、しきい値と比較される。
【0056】
時間線504によってサンプリングされた位置と時間線508によってサンプリングされた位置との間の距離Dは、DASシステムのサンプリングレートに基づく。いくつかの実施形態では、距離Dは約1メートル(m)~約4mの範囲である。距離Dが増加すると、DAS上の処理負荷は減少するが、橋の縁部の位置を特定する精度は低下する。距離Dが減少すると、橋の縁部がより正確に検出されるが、DASシステム上の処理負荷は増加する。いくつかの実施形態では、橋の縁部の位置を正確に特定するために、光学動作225の間にサンプリングレートが増加し、次いで、DASシステムの通常の動作中にサンプリングレートが減少する。
【0057】
図5Bは、いくつかの実施形態による、図5Aのウォーターフォールデータ500についての振動振幅対時間のグラフ510である。グラフ510は、図5Aの時間線504に沿った振動振幅に対応する線514を含む。グラフ510は、図5Aの時間線508に沿った振動振幅に対応する線518を含む。
【0058】
線514の振動振幅の変動は実質的に一定であり、振動振幅内のスパイクがあったとしてもごくわずかである。対照的に、線518は、振動振幅内のいくつかの著しいスパイクを含む。振動振幅内のこれらのスパイクは、車両が道路を通過する時間に対応する。線514および518によって示された振動振幅を所定のしきい値520と比較することにより、DASシステムは、時間線504に対応する位置または時間線508に対応する位置が、橋上にあるか固い地面上にあるかを自動的に判定することができる。所定のしきい値520の値は、図2に関して上述されたように決定可能である。
【0059】
図6Aは、いくつかの実施形態による、DASシステムによって収集されたウォーターフォールデータ600の図である。ウォーターフォールデータ600は、前処理されたウォーターフォールデータである。ウォーターフォールデータ600は、通過する車両からの振動線の不明瞭さに起因する橋を示す領域610および領域620を含む。ウォーターフォールデータ600は、通過する車両からの容易に識別可能な振動線に起因する固い地面を示す領域615および領域625を含む。
【0060】
図6Bは、いくつかの実施形態における、図6Aのウォーターフォールデータ600に基づく修正されたウォーターフォールデータ600’の図である。ウォーターフォールデータ600と比較して、ウォーターフォールデータ600’はしきい値化処理を受けている。ウォーターフォールデータ600’は、橋を示す領域610および領域620を依然として含む。しかしながら、ウォーターフォールデータ600’は、実質的に振動がない領域615’および領域625’を含む。結果として、領域615’および領域625’は実質的に空白である。領域615’および625’内の空白データを領域610および620と比較すると、ウォーターフォールデータ600’から橋の位置を明確に識別するのに役立つ。いくつかの実施形態では、オプションの動作225は、図6Aおよび6Bに示されたしきい値化プロセスを使用して実施される。
【0061】
図7は、いくつかの実施形態による、ウォーターフォールデータを分析するためのシステム700のブロック図である。いくつかの実施形態では、交通監視装置111はシステム700を使用して実装される。システム700は、ハードウェアプロセッサ702と、コンピュータプログラムコード706、すなわち一組の実行可能命令で符号化された、すなわち、それを記憶する非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体704とを含む。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体704は、外部デバイスとインターフェースするための命令707も符号化される。プロセッサ702は、バス708を介してコンピュータ読み取り可能な記憶媒体704に電気的に結合されている。プロセッサ702はまた、バス708によってI/Oインターフェース710に電気的に結合されている。ネットワークインターフェース712も、バス708を介してプロセッサ702に電気的に接続されている。ネットワークインターフェース712はネットワーク714に接続されており、その結果、プロセッサ702およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体704がネットワーク714を介して外部要素に接続することが可能である。プロセッサ702は、システム700を、方法200に記載された動作の一部または全部を実行するために使用可能にするために、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体704内に符号化されたコンピュータプログラムコード706を実行するように構成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、プロセッサ702は、中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、分散処理システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または適切な処理装置である。
【0063】
いくつかの実施形態では、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体704は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、および/または半導体のシステム(もしくは装置もしくはデバイス)である。たとえば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体704には、半導体メモリもしくは固体メモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、および/または光ディスクが含まれる。光ディスクを使用するいくつかの実施形態では、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体704には、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク読取り/書込み(CD-R/W)、および/またはデジタルビデオディスク(DVD)が含まれる。
【0064】
いくつかの実施形態では、記憶媒体704は、システム700に方法200を実行させるように構成されたコンピュータプログラムコード706を記憶する。いくつかの実施形態では、記憶媒体704は、センサデータパラメータ716、橋位置パラメータ718、パッチサイズパラメータ720、重複領域サイズパラメータ722、および/または方法200の動作を実行する一組の実行可能命令などの、方法200を実行するために必要な情報、ならびに方法200を実行する間に生成される情報も記憶する。
【0065】
いくつかの実施形態では、記憶媒体704は、外部デバイスとインターフェースするための命令707を記憶する。命令707は、プロセッサ702が外部デバイスによって読取り可能な命令を生成することを可能に、方法200を効果的に実施する。
【0066】
システム700はI/Oインターフェース710を含む。I/Oインターフェース710は外部回路に結合されている。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース710には、情報およびコマンドをプロセッサ702に通信するためのキーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、トラックパッド、および/またはカーソル方向キーが含まれる。
【0067】
システム700はまた、プロセッサ702に結合されたネットワークインターフェース712を含む。ネットワークインターフェース712は、システム700が、1つまたは複数の他のコンピュータシステムが接続されているネットワーク714と通信することを可能にする。ネットワークインターフェース712には、BLUETOOTH、WIFI、WIMAX、GPRS、もしくはWCDMAなどのワイヤレスネットワークインターフェース、またはETHERNET、USB、もしくはIEEE-1394などの有線ネットワークインターフェースが含まれる。いくつかの実施形態では、方法200は2つ以上のシステム700に実装され、センサデータ、橋位置、パッチサイズ、および重複領域サイズなどの情報は、ネットワーク514を介して異なるシステム500の間で交換される。
【0068】
システム700は、I/Oインターフェース710またはネットワークインターフェース712を介して、ウォーターフォールデータに関連する情報を受信するように構成される。ウォーターフォールデータは、前処理のためにバス708を介してプロセッサ702に転送される。次いで、前処理されたウォーターフォールデータは、センサデータパラメータ716としてコンピュータ読み取り可能な媒体704に記憶される。いくつかの実施形態では、システム700は、I/Oインターフェース710またはネットワークインターフェース712を介して、橋位置に関連する情報を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ702は、センサデータパラメータ716に基づいて橋位置情報を生成するように構成される。橋位置情報は、橋位置パラメータ718としてコンピュータ読み取り可能な媒体704に記憶される。いくつかの実施形態では、システム700は、I/Oインターフェース710またはネットワークインターフェース712を介して、パッチサイズに関連する情報を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、センサデータパラメータ716に基づいてパッチサイズに関連する情報を生成するように構成される。パッチサイズ情報は、パッチサイズパラメータ720としてコンピュータ読み取り可能な媒体704に記憶される。いくつかの実施形態では、システム700は、I/Oインターフェース710またはネットワークインターフェース712を介して、重複領域サイズに関連する情報を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ702は、重複領域サイズに関連する情報を生成するように構成される。重複領域サイズ情報は、重複領域サイズパラメータ722としてコンピュータ読み取り可能な媒体704に記憶される。
【0069】
動作中、プロセッサ702は、DASから受信されたウォーターフォールデータを前処理するために一組の命令を実行する。プロセッサ702はさらに、道路についての少なくとも1つの交通流特性を推定するために、橋位置パラメータ718、パッチサイズパラメータ720、重複領域サイズパラメータ722、および/または他の情報を使用して、前処理されたウォーターフォールデータを操作するための命令を実行する。道路の少なくとも1つの交通流特性の推定に続いて、プロセッサ702は、I/Oインターフェース710またはネットワークインターフェース712を介して外部デバイスと通信するための命令を生成する。
【0070】
いくつかの実施形態では、外部デバイスは、少なくとも1つの交通流特性を使用して、都市または町の地域内の交通パターンを特定する。いくつかの実施形態では、外部デバイスは、少なくとも1つの交通流特性を使用して、たとえば、道路を横断する車両によって引き起こされる振動線の幅および振幅に基づいて、道路に沿って走行する車両が道路の重量制限を超えているかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、外部デバイスは、少なくとも1つの交通流特性を使用して、GPSデバイス用のナビゲーション計画を開発する。いくつかの実施形態では、外部デバイスは、少なくとも1つの交通流特性を使用して、緊急車両のルーティングを支援する。たとえば、ナビゲーション計画を生成することにより、かつ/または大きい振動振幅を検出することによって車両事故の場所を具体的に識別するために。いくつかの実施形態では、外部デバイスは、非常に高い振動振幅および/または光ファイバへの損傷に基づいて地滑りを検出するために、少なくとも1つの交通パターンを使用する。
【0071】
他の手法と比較して、方法200を実行するために使用されるDASシステム100は、カメラなどの複数の視覚監視デバイスを単一の検出システムと置き換えることができる。視覚監視デバイスの代わりに測定器として光ファイバを使用することにより、ワイヤレス通信が回避される。場合によっては、ワイヤレス通信は、中断したり、他のワイヤレス通信デバイスと干渉したりする。ワイヤレス通信はまた、光ファイバによって提供される有線接続よりも多くのノイズを送信される信号に取り込む。加えて、DASシステム100は、道路に沿ってすでに設置されている光ファイバに接続することができる。これにより、DASシステム100を設置し、かつ/または方法200を実行するために使用される基盤の数が最小化される。
【0072】
上記の説明は、橋を識別し、少なくとも1つの橋を含む道路に関連する交通流特性を推定する例を参照している。当業者は、上述された原理がトンネル内の交通流特性を決定することにも適用可能であることを認識するはずである。橋とは対照的に、トンネル内の道路は振動を減衰させてしまう。したがって、橋の信号を不明瞭にする大量のノイズの代わりに、トンネルの信号強度は低下する。どちらの例でも、個々の車両情報を識別することは困難である。しかしながら、必要に応じてパッチサイズを修正し、重複領域を確立することにより、トンネル内の交通流特性は、依然として上述された原則を使用して推定することができる。
【0073】
付記1
【0074】
交通監視装置は、ウォーターフォールデータを取得するための分散音響センサ(DAS)を含み、前記ウォーターフォールデータは、前記DASに隣接する道路上の振動の発生位置、前記振動の発生時間、および前記振動の振幅を含む。前記交通監視装置は、前記DASに接続されたプロセッサをさらに含む。前記プロセッサは、前記DASから前記ウォーターフォールデータを受信するように構成されている。前記プロセッサは、前記ウォーターフォールデータを前処理するようにさらに構成されている。前記プロセッサは、前記前処理されたウォーターフォールデータを複数のパッチに分離するようにさらに構成され、前記複数のパッチの各パッチのサイズは、前記道路のパラメータに基づいて決定されている。前記プロセッサは、前記複数のパッチの各々を処理して、前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定するようにさらに構成されている。
【0075】
付記2
【0076】
前記プロセッサが前記複数のパッチのパッチごとのサイズを決定するようにさらに構成されている、付記1の交通監視装置。
【0077】
付記3
【0078】
前記プロセッサが、前記複数のパッチの第2のパッチの第2のサイズとは異なる前記複数のパッチの第1のパッチの第1のサイズを決定するように構成されている、付記2の交通監視装置。
【0079】
付記4
【0080】
前記プロセッサが、前記道路を管理するための外部デバイスに前記少なくとも1つの交通流特性を出力するための命令を生成するようにさらに構成されている、付記1の交通監視装置。
【0081】
付記5
【0082】
前記プロセッサが前記道路上の橋の位置を特定するようにさらに構成されている、付記1の交通監視装置。
【0083】
付記6
【0084】
前記プロセッサが、前記前処理されたウォーターフォールデータに基づいて前記橋の前記位置を特定するように構成されている、付記5の交通監視装置。
【0085】
付記7
【0086】
前記プロセッサが、前記複数のパッチのパッチごとの前記振動の前記振幅を所定のしきい値と比較することによって前記橋の前記位置を特定するように構成されている、付記5の交通監視装置。
【0087】
付記8
【0088】
前記プロセッサが、前記橋の前記特定された位置に隣接する前記前処理されたウォーターフォールデータ上の重複領域のサイズを決定するようにさらに構成されている、付記5の交通監視装置。
【0089】
付記9
【0090】
前記プロセッサが、前記複数のパッチの第1のパッチの縁部を前記橋の前記特定された位置の縁部と並べるようにさらに構成されている、付記5の交通監視装置。
【0091】
付記10
【0092】
交通監視装置は、ウォーターフォールデータを取得するための分散音響センサ(DAS)を含み、前記ウォーターフォールデータは、前記DASに隣接する道路上の振動の発生位置、前記振動の発生時間、および前記振動の振幅を含む。前記交通監視装置は、前記DASに接続されたプロセッサをさらに含む。前記プロセッサは、前記DASから前記ウォーターフォールデータを受信するように構成されている。前記プロセッサは、前記ウォーターフォールデータを前処理するようにさらに構成されている。前記プロセッサは、前記前処理されたウォーターフォールデータに基づいて前記道路のパラメータを推定するようにさらに構成されている。前記プロセッサは、前記前処理されたウォーターフォールデータを複数のパッチに分離するようにさらに構成され、前記複数のパッチの各々のサイズは前記道路の前記推定されたパラメータに基づく。前記プロセッサは、前記複数のパッチの各々を処理して、前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定するようにさらに構成されている。
【0093】
付記11
【0094】
前記道路の前記推定されたパラメータが前記道路上の橋の位置である、付記10の交通監視装置。
【0095】
付記12
【0096】
前記プロセッサが、前記前処理されたウォーターフォールデータに基づいて前記橋の前記位置を特定するように構成されている、付記11の交通監視装置。
【0097】
付記13
【0098】
プロセッサが、複数のパッチのパッチごとの振動の振幅をしきい値と比較することによって橋の位置を特定するように構成される、付記11の交通監視装置。
【0099】
付記14
【0100】
前記プロセッサが、前記前処理されたウォーターフォールデータからの経験的データに基づいてしきい値を決定するようにさらに構成されている、付記13の交通監視装置。
【0101】
付記15
【0102】
前記プロセッサがユーザ入力として前記しきい値を受信するようにさらに構成されている、付記13の交通監視装置。
【0103】
付記16
【0104】
前記プロセッサが、前記橋の前記特定された位置に隣接する前記前処理されたウォーターフォールデータ上の重複領域のサイズを決定するようにさらに構成されている、付記11の交通監視装置。
【0105】
付記17
【0106】
前記プロセッサが、前記複数のパッチの第1のパッチの縁部を前記橋の前記特定された位置の縁部と並べるようにさらに構成されている、付記11の交通監視装置。
【0107】
付記18
【0108】
交通監視方法は、ウォーターフォールデータを取得することを含み、前記ウォーターフォールデータは、振動の道路上の発生位置、前記振動の発生時間、および前記振動の振幅を含む。前記方法は、前記ウォーターフォールデータを前処理することをさらに含む。前記方法は、前記前処理されたウォーターフォールデータを複数のパッチに分離することをさらに含み、前記複数のパッチの第1のパッチは第1のサイズを有し、前記複数のパッチの第2のパッチは前記第1のサイズとは異なる第2のサイズを有する。前記方法は、前記複数のパッチの各々を処理して、前記道路の少なくとも1つの交通流特性を推定することをさらに含む。
【0109】
付記19
【0110】
前記道路上の橋の位置を特定することをさらに含む、付記18の方法。
【0111】
付記20
【0112】
前記橋の前記位置を特定するステップが、前記複数のパッチのパッチごとの振動の前記振幅をしきい値と比較することを含む、付記19の方法。
【0113】
上記は、当業者が本開示の態様をよりよく理解することができるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、ここで紹介された実施形態の同じ目的を遂行し、かつ/または同じ利点を実現するために、他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として、本開示を容易に使用できることを理解するべきである。当業者はまた、そのような均等な構造が本開示の趣旨および範囲から逸脱しないこと、また、当業者は本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、ここにおける様々な変更、置換、および交代をしてもよいことを理解するべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7