(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
F16H 7/02 20060101AFI20240910BHJP
B25J 17/00 20060101ALI20240910BHJP
F16H 19/02 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
F16H7/02 Z
B25J17/00 G
F16H19/02 D
(21)【出願番号】P 2021013794
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼ 秀典
(72)【発明者】
【氏名】一宮 祐太
(72)【発明者】
【氏名】星野 真吾
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-006238(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0062320(KR,A)
【文献】特開2014-236036(JP,A)
【文献】実開昭47-033572(JP,U)
【文献】米国特許第05271292(US,A)
【文献】中国実用新案第208215393(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
F16H 7/00- 7/24
F16H 19/00-19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に接続され、前記基台に対して第1回動軸の回りに回動する第1アームと、
前記第1アームに接続され、前記第1アームに対して第2回動軸の回りに回動する第2アームと、を備え、
前記第2アームは、
第1軸の回りに回転する第1プーリーと、
前記第1プーリーを前記第1軸の回りに回転させるモーターと、
前記第1プーリーに対して離間して配置され、前記第1軸と平行な第2軸の回りに回転する第2プーリーと、
前記第1プーリーと前記第2プーリーとに回し掛けられ、前記モーターの動力を前記第1プーリーから前記第2プーリーに伝達する第1ベルトと、
前記第2プーリーと前記第2軸に沿う方向に並んで配置され、前記第2プーリーと一体的に前記第2軸の回りに回転する第3プーリーと、
前記第2プーリーおよび前記第3プーリーが固定されている軸部と、
前記第3プーリーに対して離間して配置され、前記第2軸と平行な第3軸の回りに回転する第4プーリーと、
前記第3プーリーと前記第4プーリーとに回し掛けられ、前記モーターの動力を前記第3プーリーから前記第4プーリーに伝達する第2ベルトと、
前記第2プーリーと前記第3プーリーとの間に位置し、前記軸部と接触する第1ベアリングと、
前記第1ベアリングとの間に前記第3プーリーを挟み込むように配置され、前記軸部と接触する第2ベアリングと、を有し、
前記第2軸と直交する方向に沿って前記軸部を見たときに、前記第3プーリーは、前記第2ベアリングと重ならないことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記第2軸と直交する方向に沿って前記軸部を見たときに、前記第2プーリーは、前記第1ベアリングと重ならない請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第2アームに固定され、前記第2ベアリングを支持する第2ベアリング支持部を有する請求項1に記載のロボット。
【請求項4】
前記第2アームに固定され、前記第1ベアリングを支持する第1ベアリング支持部を有する請求項1ないし
3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項5】
前記第2ベルトの剛性は、前記第1ベルトの剛性よりも高い請求項1ないし
3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項6】
前記第2軸と平行な直線に沿って前記第2アームを平面視した場合において、前記第1軸は、前記第3軸を通り前記第2アームの長手方向に沿って延びる直線から離れており、前記直線と前記第2軸との間の距離は、前記直線と前記第1軸との間の距離よりも短い請求項1ないし
3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項7】
基台と、
前記基台に接続され、前記基台に対して第1回動軸の回りに回動する第1アームと、
前記第1アームに接続され、前記第1アームに対して第2回動軸の回りに回動する第2アームと、を備え、
前記第2アームは、
第1軸の回りに回転する第1プーリーと、
前記第1プーリーを前記第1軸の回りに回転させるモーターと、
前記第1プーリーに対して離間して配置され、前記第1軸と平行な第2軸の回りに回転する第2プーリーと、
前記第1プーリーと前記第2プーリーとに回し掛けられ、前記モーターの動力を前記第1プーリーから前記第2プーリーに伝達する第1ベルトと、
前記第2プーリーと前記第2軸に沿う方向に並んで配置され、前記第2プーリーと一体的に前記第2軸の回りに回転する第3プーリーと、
前記第2プーリーおよび前記第3プーリーが固定されている軸部と、
前記第3プーリーに対して離間して配置され、前記第2軸と平行な第3軸の回りに回転する第4プーリーと、
前記第3プーリーと前記第4プーリーとに回し掛けられ、前記モーターの動力を前記第3プーリーから前記第4プーリーに伝達する第2ベルトと、
前記第2プーリーと前記第3プーリーとの間に位置し、前記軸部と接触する第1ベアリングと、
前記第1ベアリングとの間に前記第3プーリーを挟み込むように配置され、前記軸部と接触する第2ベアリングと、を有し、
前記第2軸と平行な直線に沿って前記第2アームを平面視した場合において、前記第1軸は、前記第3軸を通り前記第2アームの長手方向に沿って延びる直線から離れており、前記直線と前記第2軸との間の距離は、前記直線と前記第1軸との間の距離よりも短いことを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構およびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、直動モーターの回転軸に固定された第1プーリーと、スプラインシャフトに固定されたボールネジと、ボールネジに固定された第2プーリーと、第1プーリーおよび第2プーリーに回し掛けられたベルトと、を備えた駆動機構を有するスカラロボットが記載されている。このようなスカラロボットでは、直動モーターの回転軸が回転すると、第1プーリーの回転駆動力がベルトを介して第2プーリーに伝達され、スプラインシャフトが回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成の駆動機構では、直動モーターの回転軸の回転数に対してボールネジの回転数を大きく減速させたい場合に、第1プーリーと第2プーリーのプーリー比を大きくする必要があるため、第2プーリーの径が大きくなり、その分、スカラロボットの先端部分が肥大化してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の駆動機構は、第1軸まわりに回転する第1プーリーと、
前記第1プーリーを前記第1軸まわりに回転させるモーターと、
前記第1プーリーに対して離間して配置され、前記第1軸と平行な第2軸まわりに回転する第2プーリーと、
前記第1プーリーと前記第2プーリーとに回し掛けられ、前記モーターの動力を前記第1プーリーから前記第2プーリーに伝達する第1ベルトと、
前記第2プーリーと前記第2軸に沿う方向に並んで配置され、前記第2プーリーと一体的に前記第2軸まわりに回転する第3プーリーと、
前記第3プーリーに対して離間して配置され、前記第2軸と平行な第3軸まわりに回転する第4プーリーと、
前記第3プーリーと前記第4プーリーとに回し掛けられ、前記モーターの動力を前記第3プーリーから前記第4プーリーに伝達する第2ベルトと、
前記第2プーリーと前記第3プーリーとの間に位置し、前記第2プーリーおよび前記第3プーリーを支持する第1ベアリングと、を有する。
【0006】
本発明のロボットは、上述の駆動機構を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係るロボットの全体構成を示す側面図である。
【
図2】
図1のロボットが有する第2アームの内部構造を示す平面図である。
【
図3】
図2の第2アームが有する駆動機構を示す断面図である。
【
図4】第2実施形態に係るロボットが有する駆動機構を示す断面図である。
【
図5】第3実施形態に係るロボットが有する駆動機構を示す断面図である。
【
図6】第4実施形態に係るロボットが有する駆動機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の駆動機構およびロボットを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
なお、説明の便宜上、各図には互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸を図示している。また、以下では、各図の上側すなわちZ軸の矢印側を鉛直方向の上側とし、各図の下側すなわちZ軸の矢印と反対側を鉛直方向の下側とする。なお、本願明細書の「平行」は、平行の場合の他、平行から若干ずれた状態も含む意味である。つまり、技術常識上平行と同一とみなせる状態も含む意味である。同様に、本願明細書の「直交」は、直交している場合の他、直交から若干ずれた状態も含む意味である。つまり、技術常識上直交と同一とみなせる状態も含む意味である。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るロボットの全体構成を示す側面図である。
図2は、
図1のロボットが有する第2アームの内部構造を示す平面図である。
図3は、
図2の第2アームが有する駆動機構を示す断面図である。
【0011】
図1に示すロボット100は、スカラロボットであり、例えば、電子部品等のワークの保持、搬送、組立および検査等の各作業で用いられる。ただし、ロボット100の用途は、特に限定されない。
【0012】
ロボット100は、床面に固定された基台110と、基台110に接続されたアーム120と、を有する。また、アーム120は、基端部が基台110に接続され、基台110に対して鉛直方向に沿った第1回動軸J1まわりに回動する第1アーム130と、基端部が第1アーム130の先端部に接続され、第1アーム130に対して鉛直方向に沿った第2回動軸J2まわりに回動する第2アーム140と、を有する。第1回動軸J1と第2回動軸J2とは平行である。
【0013】
また、第2アーム140の先端部には作業ヘッド150が設けられている。作業ヘッド150は、第2アーム140の先端部に同軸的に配置されたスプラインナット151およびボールネジナット152と、スプラインナット151およびボールネジナット152に挿通されたスプラインシャフト153と、を有する。スプラインシャフト153は、第2アーム140に対して、その中心軸であり鉛直方向に沿った第3回動軸J3まわりに回転可能で、かつ、第3回動軸J3に沿って昇降可能である。第3回動軸J3は、第1回動軸J1および第2回動軸J2と平行である。
【0014】
ただし、作業ヘッド150としては、特に限定されない。例えば、2本のシャフトを設け、一方のシャフトが第3回動軸J3まわりに回転し、他方のシャフトが第3回動軸J3と平行な軸方向に昇降する構成であってもよい。
【0015】
また、スプラインシャフト153の下端部にはエンドエフェクター160が装着されている。エンドエフェクター160は、着脱自在であり目的の作業に適したものが適宜選択される。エンドエフェクター160としては、例えば、ワークを挟持、吸着により保持するハンド、ワークに対して所定の加工を行う作業具等が挙げられる。
【0016】
また、ロボット100は、基台110と第1アーム130とを連結し、基台110に対して第1アーム130を第1回動軸J1まわりに回動させる関節アクチュエーター171と、第1アーム130と第2アーム140とを連結し、第1アーム130に対して第2アーム140を第2回動軸J2まわりに回動させる関節アクチュエーター172と、を有する。また、ロボット100は、スプラインナット151を回転させてスプラインシャフト153を第3回動軸J3まわりに回転させる駆動機構181と、ボールネジナット152を回転させてスプラインシャフト153を第3回動軸J3に沿った方向に昇降させる駆動機構182と、を有する。
【0017】
また、ロボット100は、基台110内に配置され、図示しないホストコンピューターからの指令に基づいて関節アクチュエーター171、172および駆動機構181、182の駆動を制御するロボット制御装置190を有する。ロボット制御装置190が関節アクチュエーター171、172および駆動機構181、182をそれぞれ独立して制御することにより、ロボット100に所望の作業を行わせることができる。ロボット制御装置190は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサーと、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部インターフェースと、を有する。また、メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0018】
以上、ロボット100の全体構成について簡単に説明した。次に、スプラインナット151を回転させてスプラインシャフト153を第3回動軸J3まわりに回転させる駆動機構181について
図2および
図3に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図2および
図3に示すように、駆動機構181は、駆動源としてのモーター2を有する。モーター2は、第2アーム140の筐体141に固定されており、その出力軸21が鉛直方向に沿う第1軸JJ1まわりに回転する。モーター2は、ACサーボモーターである。ただし、モーター2としては、特に限定されず、例えば、DCサーボモーター、ステッピングモーター等を用いてもよい。
【0020】
また、駆動機構181は、モーター2の出力軸21に配置され、出力軸21と一体的に第1軸JJ1まわりに回転する第1プーリー31を有する。出力軸21の下端は、自由端となっており、この下端側から第1プーリー31を取り外すことができる。なお、本実施形態では、出力軸21に第1プーリー31が直接配置されているが、これに限定されず、これらの間に、例えば、歯車等を備えた動力伝達機構や減速機等の機構が介在していてもよい。
【0021】
また、駆動機構181は、第1プーリー31と離間して配置され、第1軸JJ1と平行な第2軸JJ2まわりに回転する第2プーリー32を有する。第2プーリー32は、第1プーリー31に対して第2アーム140の先端側に配置され、スプラインシャフト153と第1プーリー31との間に位置している。また、第2プーリー32は、第1プーリー31とX-Y平面に沿う方向に並んで配置されている。ただし、第2プーリー32の配置は、特に限定されない。
【0022】
また、駆動機構181は、第1プーリー31と第2プーリー32とに回し掛けられ、これらを連結する第1ベルト41を有する。そのため、第1プーリー31が回転すると、その回転が第1ベルト41を介して第2プーリー32に伝わり、第2プーリー32が第1プーリー31に従動して回転する。第2プーリー32の外径は、第1プーリー31の外径よりも大きい。そのため、第1プーリー31、第1ベルト41および第2プーリー32によって、モーター2の出力軸21の回転数を減速する第1減速機51が構成される。
【0023】
また、駆動機構181は、第2プーリー32と第2軸JJ2に沿う方向に並んで配置され、第2軸JJ2まわりに回転する第3プーリー33を有する。第3プーリー33は、第2プーリー32と一体的に回転する。第3プーリー33の外径は、第2プーリー32の外径よりも小さい。
【0024】
また、駆動機構181は、第3プーリー33と離間して配置され、第1、第2軸JJ1、JJ2と平行な第3軸JJ3まわりに回転する第4プーリー34を有する。第4プーリー34は、第3プーリー33に対して第2アーム140の先端側に配置され、スプラインシャフト153と同軸的に配置されている。つまり、第3軸JJ3は、第3回動軸J3と一致している。また、第4プーリー34にはスプラインナット151が挿通、固定されており、これらが一体的に回転する。また、第4プーリー34は、第3プーリー33とX-Y平面に沿う方向に並んで配置されている。ただし、第4プーリー34の配置は、特に限定されない。
【0025】
また、駆動機構181は、第3プーリー33と第4プーリー34とに回し掛けられ、これらを連結する第2ベルト42を有する。そのため、第3プーリー33が回転すると、その回転が第2ベルト42を介して第4プーリー34に伝わり、第4プーリー34が第3プーリー33に従動して回転する。第4プーリー34の外径は、第3プーリー33の外径よりも大きい。そのため、第3プーリー33、第2ベルト42および第4プーリー34によって、モーター2の出力軸21の回転数を減速する第2減速機52が構成される。
【0026】
なお、駆動機構181の構成としては、これに限定されず、例えば、第2ベルト42に張力を与えるアイドラーを備えていてもよい。
【0027】
このような駆動機構181では、モーター2の駆動力が、第1減速機51および第2減速機52を介してスプラインナット151に伝達される。このように、モーター2とスプラインナット151との間に第1、第2減速機51、52を介在させることにより、所望の回転数でスプラインナット151を回転させることができる。また、モーター2の配置自由度が増し、第2アーム140を設計し易くもなる。
【0028】
特に、モーター2とスプラインナット151との間に2つの減速機を配置することにより、1つの減速機を配置する場合よりも第4プーリー34の外径を小さく抑えることができる。そのため、第2アーム140の先端部の肥大化や重量化を抑制することができ、優れた駆動特性を有するロボット100を実現することができる。例えば、第4プーリー34を出力軸21に対して1/9の回転数に減速したい場合、本実施形態の構成では、第1減速機51のプーリー比を3とし、第2減速機52のプーリー比を3とすればよい。そのため、第4プーリー34の過度な大径化を抑制することができる。これに対して、第2減速機52だけの場合、つまり、第1減速機51を省略し、第3プーリー33を出力軸21に配置した場合には、第2減速機52のプーリー比を9にしなければならず、第4プーリー34の過度な大径化を招く。
【0029】
また、駆動機構181は、第2プーリー32と第3プーリー33との間に配置された第1ベアリング61を有する。また、駆動機構181は、第3プーリー33の下側に位置し、第1ベアリング61との間に第3プーリー33を挟み込むように配置された第2ベアリング62を有する。つまり、第2軸JJ2上には、下側から第2ベアリング62、第3プーリー33、第1ベアリング61および第2プーリー32が並んで配置されている。これら第1ベアリング61および第2ベアリング62は、それぞれ、第2プーリー32および第3プーリー33を第2軸JJ2まわりに回転可能に支持する。第2プーリー32は、第1ベアリング61によって下側から片持ち支持され、第3プーリー33は、第1ベアリング61および第2ベアリング62によって上下から両持ち支持される。
【0030】
ここで、出力軸21の回転数が第1減速機51で減速される分、第2ベルト42には第1ベルト41よりも大きなトルクがかかる。そのため、耐久性を維持するために、第1ベルト41に比べて第2ベルト42の剛性を大きくする必要があり、その分、第2ベルト42の張力も大きくなり、結果として、第3プーリー33には第2プーリー32よりも大きなラジアル荷重が加わる。そこで、本実施形態のように、第3プーリー33を第1ベアリング61および第2ベアリング62で両持ち支持することにより、前記のラジアル荷重に起因した第3プーリー33の変位をより効果的に抑制することができる。そのため、第3プーリー33の回転が安定する。また、1つのベアリングで第3プーリー33を片持ち支持する場合と比べて、第1ベアリング61および第2ベアリング62を小型化することもできる。ただし、これに限定されず、第2ベアリング62を省略してもよい。
【0031】
なお、第1ベアリング61および第2ベアリング62としては、それぞれ、特に限定されない。本実施形態では、第1ベアリング61および第2ベアリング62として、深溝玉軸受が用いられている。深溝玉軸受によれば、ラジアル荷重、両方向のアキシアル荷重またはそれらを組合せた合成荷重を受けることができ、高速回転にも対応することができる。また、広く使用されているため、低コスト化を実現することもできる。
【0032】
また、第1ベアリング61は、同心的に配置された内輪611および外輪612と、これらの間に配置された複数の玉613と、を有する。同様に、第2ベアリング62は、同心的に配置された内輪621および外輪622と、これらの間に配置された複数の玉623と、を有する。また、第1、第2ベアリング61、62の外輪612、622がそれぞれ第2アーム140の筐体141に固定されており、内輪611、621に第2軸JJ2に沿った軸部7が挿入、固定されている。そして、この軸部7に第2プーリー32および第3プーリー33が固定されている。このような構成によって、第2プーリー32および第3プーリー33が第2軸JJ2まわりに一体的に回転することができる。
【0033】
なお、軸部7の上端は、自由端である。そのため、後述するように、軸部7に阻害されることなく、第2プーリー32から第1ベルト41を取り外すことができる。
【0034】
次に、第1、第2ベアリング61、62の第2アーム140への固定について説明する。駆動機構181は、第1、第2ベアリング61、62の外輪612、622同士を連結する連結部8を有する。そして、連結部8が第2アーム140の筐体141に固定される。これにより、第1、第2ベアリング61、62が一括して第2アーム140の筐体141に固定される。このような構成によれば、第1、第2ベアリング61、62の第2アーム140への固定が容易となる。ただし、第1、第2ベアリング61、62の第2アーム140への固定方法は、特に限定されない。
【0035】
連結部8は、第1ベアリング61の外輪612を支持する第1ベアリング支持部81と、第2ベアリング62の外輪622を支持すると共に第2アーム140の筐体141に固定された第2ベアリング支持部82と、第1ベアリング支持部81と第2ベアリング支持部82とを接続する接続部83と、を有する。このうち、第2ベアリング支持部82と接続部83とが一体形成され、接続部83と第1ベアリング支持部81とがネジ止めされている。ただし、連結部8の構成は、これに限定されず、例えば、第1ベアリング支持部81、第2ベアリング支持部82および接続部83が互いに別部材で構成されていてもよい。
【0036】
また、接続部83は、第3プーリー33と第4プーリー34とに輪っか状に回し掛けられた第2ベルト42の内側を通って第1ベアリング支持部81と第2ベアリング支持部82とを接続している。つまり、連結部8は、第2ベルト42の内側を通って第1ベアリング61と第2ベアリング62とを連結する。
【0037】
以上、駆動機構181の構成について説明した。駆動機構181によれば、修理、保守、点検等の作業時において第1ベルト41の脱着を容易に行うことができる。具体的には、第1プーリー31を出力軸21から取り外すことにより第1ベルト41が緩み、第1プーリー31および第2プーリー32から第1ベルト41を取り外すことができる。装着する際は、逆の手順を行えばよく、第1プーリー31および第2プーリー32に第1ベルト41を回し掛けた後に第1プーリー31を出力軸21に固定すればよい。このように、駆動機構181によれば、第1プーリー31を脱着するだけで第1ベルト41の脱着を行うことができる。そのため、第1ベルト41の脱着が容易となる。
【0038】
また、作業ヘッド150を第2アーム140から取り外し、第4プーリー34をフリーにすることにより第2ベルト42が緩み、第3プーリー33および第4プーリー34から第2ベルト42を取り外すことができる。装着する際は、逆の手順を行えばよく、第3、第4プーリー33、34に第2ベルト42を回し掛けた後に、作業ヘッド150を第2アーム140の筐体141に挿入し、固定すればよい。このように、駆動機構181によれば、作業ヘッド150を脱着するだけで第2ベルト42の脱着を行うことができる。そのため、第2ベルト42の脱着が容易となる。特に、本実施形態では、連結部8が第2ベルト42の内側を通って第1ベアリング61と第2ベアリング62とを連結している。そのため、連結部8によって第2ベルト42の取り外しが阻害されることがなく、第2ベルト42をスムーズに取り外すことができる。
【0039】
また、例えば、第2ベルト42に張力を与えるアイドラーを備えている場合には、アイドラーを緩めることにより、作業ヘッド150を取り外すことなく、第3プーリー33および第4プーリー34から第2ベルト42を取り外すことができる。
【0040】
ここで、ベルトは、一旦緩めると再装着する際に再び張力を加える必要があり、その作業に手間がかかる。そのため、仮に、第1ベルト41を取り外すために第2ベルト42を取り外す必要がある構成であると、第1、第2ベルト41、42のそれぞれについて張力を加え直す作業が必要となり大きな手間となる。第2ベルト42を取り外すために第1ベルト41を取り外す必要がある構成の場合も同様である。これに対して、駆動機構181では、第1ベルト41を取り外すために第2ベルト42を取り外す必要がないし、第2ベルト42を取り外すために第1ベルト41を取り外す必要がない。したがって、ベルト再装着時の張力を加え直す作業の手間が軽減される。
【0041】
以上、ロボット100について説明した。このようなロボット100に含まれる駆動機構181は、前述したように、第1軸JJ1まわりに回転する第1プーリー31と、第1プーリー31を第1軸JJ1まわりに回転させるモーター2と、第1プーリー31に対して離間して配置され、第1軸JJ1と平行な第2軸JJ2まわりに回転する第2プーリー32と、第1プーリー31と第2プーリー32とに回し掛けられ、モーター2の動力を第1プーリー31から第2プーリー32に伝達する第1ベルト41と、第2プーリー32と第2軸JJ2に沿う方向に並んで配置され、第2プーリー32と一体的に第2軸JJ2まわりに回転する第3プーリー33と、第3プーリー33に対して離間して配置され、第2軸JJ2と平行な第3軸JJ3まわりに回転する第4プーリー34と、第3プーリー33と第4プーリー34とに回し掛けられ、モーター2の動力を第3プーリー33から第4プーリー34に伝達する第2ベルト42と、第2プーリー32と第3プーリー33との間に位置し、第2プーリー32および第3プーリー33を支持する第1ベアリング61と、を有する。このような構成によれば、大きな減速比を得たい場合でも、第4プーリー34の外径を小さく抑えることができる。そのため、第2アーム140の先端部の肥大化や重量化を抑制することができ、優れた駆動特性を有するロボット100を実現することができる。また、第1ベルト41を取り外すために第2ベルト42を取り外す必要がないし、第2ベルト42を取り外すために第1ベルト41を取り外す必要がない。したがって、第1ベルト41の脱着が容易となる。また、ベルト再装着時の張力を加え直す作業の手間が軽減される。
【0042】
また、前述したように、駆動機構181は、第1ベアリング61との間に第3プーリー33を挟み込むように配置され、第3プーリー33を支持する第2ベアリング62を有する。これにより、第3プーリー33が第1ベアリング61および第2ベアリング62によって両持ち支持される。そのため、第2ベルト42の張力に起因した第3プーリー33の変位をより効果的に抑制することができ、第3プーリー33の回転が安定する。また、第1ベアリング61だけで第3プーリー33を片持ち支持する場合と比べて、第1ベアリング61および第2ベアリング62を小型化することもできる。
【0043】
また、前述したように、駆動機構181は、第2ベルト42の内側を通って第1ベアリング61と第2ベアリング62とを連結する連結部8を有する。これにより、連結部8に阻害されることなく第2ベルト42の脱着を行うことができる。
【0044】
また、前述したように、ロボット100は、駆動機構181を有する。そのため、ロボット100は、駆動機構181の効果を享受することができ、高いメンテナンス性を発揮することができる。
【0045】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係るロボットが有する駆動機構を示す断面図である。
【0046】
本実施形態のロボット100は、第2ベアリング62の配置と連結部8の構成とが異なること以外は、前述した第1実施形態のロボット100と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関しては、その説明を省略する。また、
図4において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0047】
図4に示すように、本実施形態の駆動機構181では、第2ベアリング62は、第2プーリー32の上側に位置し、第1ベアリング61との間に第2プーリー32を挟み込むように配置されている。そのため、第2プーリー32は、第1ベアリング61および第2ベアリング62によって上下から両持ち支持され、第3プーリー33は、第1ベアリング61によって上側から片持ち支持される。このような構成によれば、第2プーリー32をより安定した姿勢で支持することができ、第2プーリー32の回転が安定する。また、第1ベアリング61だけで第2プーリー32を片持ち支持する場合と比べて、第1ベアリング61および第2ベアリング62を小型化することもできる。
【0048】
また、連結部8は、第1ベアリング61の外輪612を支持すると共に第2アーム140の筐体141に固定された第1ベアリング支持部81と、第2ベアリング62の外輪622を支持する第2ベアリング支持部82と、第1ベアリング支持部81と第2ベアリング支持部82とを接続する接続部83と、を有する。このうち、第1ベアリング支持部81と接続部83とが一体形成され、接続部83と第2ベアリング支持部82とがネジ止めされている。ただし、連結部8の構成は、これに限定されない。
【0049】
また、接続部83は、第1プーリー31と第2プーリー32とに輪っか状に回し掛けられた第1ベルト41の内側を通って第1ベアリング支持部81と第2ベアリング支持部82とを接続している。つまり、連結部8は、第1ベルト41の内側を通って第1ベアリング61と第2ベアリング62とを連結する。これにより、第1プーリー31を出力軸21から取り外して、第1プーリー31および第2プーリー32から第1ベルト41と取り外す作業が連結部8に阻害されず、当該作業をスムーズに行うことができる。
【0050】
以上のように、本実施形態の駆動機構181では、前述したように、第1ベアリング61との間に第2プーリー32を挟み込むように配置され、第2プーリー32を支持する第2ベアリング62を有する。これにより、第2プーリー32が第1ベアリング61および第2ベアリング62によって両持ち支持される。そのため、第2プーリー32の回転がより安定する。また、第1ベアリング61だけで第2プーリー32を片持ち支持する場合と比べて、第1ベアリング61および第2ベアリング62を小型化することもできる。
【0051】
また、前述したように、駆動機構181は、第1ベルト41の内側を通って第1ベアリング61と第2ベアリング62とを連結する連結部8を有する。これにより、連結部8に阻害されることなく第1ベルト41の脱着を行うことができる。
【0052】
このような第2実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0053】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態に係るロボットが有する駆動機構を示す断面図である。
【0054】
本実施形態のロボット100は、駆動機構181がさらにブレーキ9を有すること以外は、前述した第1実施形態のロボット100と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関しては、その説明を省略する。また、
図5において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0055】
図5に示すように、本実施形態の駆動機構181は、各プーリー31、32、33、34の回転を規制するブレーキ9を有する。ブレーキ9は、軸部7に設けられ、軸部7の回転を規制することにより、各プーリー31、32、33、34の回転を規制する。ブレーキ9としては、軸部7の回転を規制する状態と許容する状態とを切り替えることができれば、特に限定されない。
【0056】
特に、ブレーキ9は、第2ベアリング62の下側に配置されている。これにより、例えば、ブレーキ9を第2プーリー32の上側に配置した場合と比べて、間に部材が介在しない分、ブレーキ9をベアリングの近傍に配置することができる。そのため、ブレーキ9によって、軸部7の回転を安定して規制することができる。また、ブレーキ9を第2ベアリング62の下側に配置することにより、第1ベルト41の脱着に影響を与え難くなる。
【0057】
このような第3実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0058】
<第4実施形態>
図6は、第4実施形態に係るロボットが有する駆動機構を示す断面図である。
【0059】
本実施形態のロボット100は、駆動機構181がさらにブレーキ9を有すること以外は、前述した第2実施形態のロボット100と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関しては、その説明を省略する。また、
図6において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0060】
図6に示すように、本実施形態の駆動機構181は、各プーリー31、32、33、34の回転を規制するブレーキ9を有する。ブレーキ9は、軸部7に設けられ、軸部7の回転を規制することにより、各プーリー31、32、33、34の回転を規制する。ブレーキ9としては、軸部7の回転を規制する状態と許容する状態とを切り替えることができれば、特に限定されない。
【0061】
特に、ブレーキ9は、第2ベアリング62の上側に配置されている。これにより、例えば、ブレーキ9を第3プーリー33の下側に配置した場合と比べて、間に部材が介在しない分、ブレーキ9をベアリングの近傍に配置することができる。そのため、ブレーキ9によって、軸部7の回転を安定して規制することができる。また、ブレーキ9は、Z軸に沿う平面視において、第1ベルト41の内側で連結部8を介して第2アーム140の筐体141に固定されている。これにより、ブレーキ9が第1ベルト41の脱着に影響を与え難くなる。
【0062】
このような第4実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0063】
以上、本発明の駆動機構およびロボットを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、駆動機構は、ロボット以外の如何なる機器に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
100…ロボット、110…基台、120…アーム、130…第1アーム、140…第2アーム、141…筐体、150…作業ヘッド、151…スプラインナット、152…ボールネジナット、153…スプラインシャフト、160…エンドエフェクター、171…関節アクチュエーター、172…関節アクチュエーター、181…駆動機構、182…駆動機構、190…ロボット制御装置、2…モーター、21…出力軸、31…第1プーリー、32…第2プーリー、33…第3プーリー、34…第4プーリー、41…第1ベルト、42…第2ベルト、51…第1減速機、52…第2減速機、61…第1ベアリング、611…内輪、612…外輪、613…玉、62…第2ベアリング、621…内輪、622…外輪、623…玉、7…軸部、8…連結部、81…第1ベアリング支持部、82…第2ベアリング支持部、83…接続部、9…ブレーキ、J1…第1回動軸、J2…第2回動軸、J3…第3回動軸、JJ1…第1軸、JJ2…第2軸、JJ3…第3軸