(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】リッドシステム
(51)【国際特許分類】
B60L 53/16 20190101AFI20240910BHJP
B60K 15/05 20060101ALI20240910BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20240910BHJP
E05B 83/34 20140101ALI20240910BHJP
【FI】
B60L53/16
B60K15/05 B
B60L53/67
E05B83/34
(21)【出願番号】P 2021014338
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 優也
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-054180(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0027594(US,A1)
【文献】特開2009-227218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/16
B60K 15/05
B60L 53/67
E05B 83/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の複数のリッドを含むリッドシステムであって、
第1のエネルギ源を受け入れる第1の受入口を覆い、開閉可能な第1のリッドと、
第2のエネルギ源を受け入れる第2の受入口を覆い、開閉可能な第2のリッドと、
前記第1のリッドおよび前記第2のリッドを開放するための操作部と、
前記車両の現在位置を検出する検出部と、
前記リッドシステムを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第1のエネルギ源または前記第2のエネルギ源の供給設備の位置を取得し、
前記検出部によって検出された現在位置に近い位置の供給設備を特定し、
特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドの前記操作部による開放のための所定処理を実行
し、
前記所定処理は、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドを前記操作部による操作に応じて開放する処理を含み、
前記操作部は、2段階で操作可能に構成され、
前記制御部は、前記操作部の1段階目の操作に応じて、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドを開放する、リッドシステム。
【請求項2】
前記操作部は、2段階目の操作により、開放するリッドを指定可能に構成され、
前記所定処理は、前記検出部によって検出された現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源を特定できない場合、前記操作部の2段階目の操作で指定されたリッドを開放する処理を含む、請求項
1に記載のリッドシステム。
【請求項3】
前記所定処理は、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応しないリッドを前記操作部による操作に応じて開放しない処理を含む、請求項1
または請求項2に記載のリッドシステム。
【請求項4】
前記所定処理は、前記複数のリッドのうち、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドをユーザに報知する処理を含む、請求項1から請求項
3のいずれかに記載のリッドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、リッドシステムに関し、特に、車両の複数のリッドを含むリッドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
DC(Direct Current)充電とAC(Alternating Current)充電との両方に対応する車両は、それぞれに対応するインレットを備える必要がある。車両の構造によっては、これらのインレットが車両の別々の位置に配置され、それぞれのインレットを覆う別々のリッドが備えられる場合がある。
【0003】
従来、このように複数のリッドが車両に備えられる場合、たとえば、複数の充電口にそれぞれリッドが備えられる場合、または、給油口のリッドおよび充電口のリッドが備えられる場合に、両者の開閉を混同しないように、それぞれのリッドを開放するための2つのリッドオープナの配置を、それぞれのリッドの配置関係と対応するようにしたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数のリッドが車両に備えられる場合、AC電力、DC電力、ガソリン、軽油、または、水素などのエネルギ源の供給設備にユーザが車両を近付ける場合に、ユーザは、いずれのリッドを開くべきか分かり難い場合がある。
【0006】
この開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることが可能なリッドシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示に係るリッドシステムは、車両の複数のリッドを含むリッドシステムであり、第1のエネルギ源を受け入れる第1の受入口を覆い、開閉可能な第1のリッドと、第2のエネルギ源を受け入れる第2の受入口を覆い、開閉可能な第2のリッドと、第1のリッドおよび第2のリッドを開放するための操作部と、車両の現在位置を検出する検出部と、リッドシステムを制御する制御部とを備える。
【0008】
制御部は、第1のエネルギ源または第2のエネルギ源の供給設備の位置を取得し、検出部によって検出された現在位置に近い位置の供給設備を特定し、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドの操作部による開放のための所定処理を実行する。
【0009】
このような構成によれば、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドの操作部による開放のための処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることができる。
【0010】
所定処理は、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドを操作部による操作に応じて開放する処理を含むようにしてもよい。
【0011】
このような構成によれば、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドを操作部による操作に応じて開放する処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることができる。
【0012】
操作部は、2段階で操作可能に構成され、制御部は、操作部の1段階目の操作に応じて、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドを開放するようにしてもよい。
【0013】
このような構成によれば、2段階で操作可能な操作部の1段階目の操作に応じて、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドを開放する処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることができる。
【0014】
操作部は、2段階目の操作により、開放するリッドを指定可能に構成され、所定処理は、検出部によって検出された現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源を特定できない場合、操作部の2段階目の操作で指定されたリッドを開放する処理を含むようにしてもよい。
【0015】
このような構成によれば、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源を特定できない場合、操作部の2段階目の操作で指定されたリッドを開放する処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放することができる。
【0016】
所定処理は、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応しないリッドを操作部による操作に応じて開放しない処理を含むようにしてもよい。
【0017】
このような構成によれば、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応しないリッドを操作部による操作に応じて開放しない処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応しないリッドを開放しないようにすることができる。
【0018】
所定処理は、複数のリッドのうち、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドをユーザに報知する処理を含むようにしてもよい。
【0019】
このような構成によれば、複数のリッドのうち、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応する、開放するリッドをユーザに報知する処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
この開示によれば、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることが可能なリッドシステムを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この実施の形態に係るリッドシステムが適用される車両システムの構成を示す概略図である。
【
図2】この実施の形態に係る車両の給電方法の一例を示す図である。
【
図3】この実施の形態に係る車両システムの車両および給電設備の構成図である。
【
図4】第1実施形態におけるリッドオープナの概略を示す図である。
【
図5】第1実施形態におけるリッド開放処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係る車両システムの車両および給電設備の構成図である。
【
図7】第2実施形態におけるリッドオープナおよびインジケータの概略を示す図である。
【
図8】第2実施形態におけるリッド開放処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】第3実施形態に係る車両システムの車両および給電設備の構成図である。
【
図10】第3実施形態におけるリッドオープナの概略を示す図である。
【
図11】第3実施形態におけるリッド開放処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、この開示の実施の形態は説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返されない。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、この実施の形態に係るリッドシステムが適用される車両システム1の構成を示す概略図である。
図1を参照して、車両システム1は、車両100と、DC給電設備200A~200Dと、AC給電設備400A,400Bと、サーバ500とを含む。
【0024】
車両100は、AC充電およびDC充電が可能に構成され、サーバ500と無線通信可能に構成される。DC給電設備200A~200Dは、DC電力を車両100に供給可能に構成される。AC給電設備400A,400Bは、AC電力を車両100に供給可能に構成される。DC給電設備200A~200DおよびAC給電設備400A,400Bは、サーバ500と無線通信または有線通信が可能に構成される。
【0025】
サーバ500は、所定処理を実行可能なCPUと、所定処理のプログラムを記憶するとともに処理の実行のためのワークメモリとして用いられるメモリと、インターネット、公衆回線および公衆無線LAN(Local Area Network)などのパブリックネットワーク、ならびに、LANおよびVPN(Virtual Private Network)などのプライベートネットワークを介して、車両100、DC給電設備200A~200DおよびAC給電設備400A,400Bなどの外部装置と通信する通信部とを備える。サーバ500は、複数のDC給電設備200A~200Dおよび複数のAC給電設備400A,400Bの位置情報を、メモリに予め記憶している。
【0026】
図2は、この実施の形態に係る車両100の給電方法の一例を示す図である。
図2を参照して、この実施の形態の車両100は、AC充電用の給電口110ACが右側にあり、DC充電用の給電口110DCが左側にある。給電口110AC,110DCは、それぞれ、開閉可能なリッド111AC,111DCで覆われている。
【0027】
このため、AC充電をするときには、
図2(A)で示すように、AC給電設備400が車両の右側に位置するように、ユーザは、車両100を停車し、リッド111ACを開け、充電コネクタ310を接続するためのインレットである給電口110ACに、充電コネクタ310を接続する。
【0028】
DC充電をするときには、
図2(B)で示すように、DC給電設備200が車両の左側に位置するように、ユーザは、車両100を停車し、リッド111DCを開け、充電コネクタを接続するためのインレットである給電口110DCに、充電コネクタを接続する。
【0029】
図3は、この実施の形態に係る車両システム1の車両および給電設備の構成図である。ここでは、DC給電設備200を示しているが、AC給電設備400も、DC給電設備200と、電力の種類が異なるだけで、同様の構成である。
【0030】
図3を参照して、車両100は、走行用の電力を蓄電するバッテリ130を備える。バッテリ130は、たとえばリチウムイオン電池またはニッケル水素電池のような二次電池を含んで構成される。二次電池は、単電池であってもよいし、組電池であってもよい。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタのような他の蓄電装置を採用してもよい。
【0031】
車両100は、DC給電設備200から電力の供給を受けてバッテリ130の充電を行なうことができる。この実施の形態では、DC給電設備200が、直流電力供給方式(DC方式)の給電設備(たとえば、急速充電設備)である。給電設備、公共の給電設備であってもよいし、ユーザの自宅に設置された給電設備であってもよい。車両100は、DC給電設備200の給電方式(たとえば、DC方式)に対応する給電口110DCおよび充電ユニット120を備える。充電ユニット120は、AC給電設備400の給電方式(たとえば、AC方式)にも対応する。車両100は、AC給電設備400の給電方式(たとえば、AC方式)に対応する給電口110ACも備える。給電口110AC,110DCは、それぞれ、開閉可能なリッド111AC,111DCで覆われている。
【0032】
なお、給電設備は、交流電力供給方式(AC方式)の給電設備(たとえば、普通充電設備)であってもよい。
図3には、複数種の給電方式に対応できるように、給電方式ごとの複数の給電口を図示しているが、車両100は、1つの種類の給電方式の給電口を備えるようにしてもよい。
【0033】
DC給電設備200には、充電ケーブル300が接続される。この実施の形態では、充電ケーブル300が常にDC給電設備200などの給電設備に接続されている。ただし、これに限られず、充電ケーブル300は、DC給電設備200またはAC給電設備400に対して着脱可能であってもよい。充電ケーブル300は、先端に充電コネクタ310を有し、内部に信号線と電力線とを含む。DC給電設備200に繋がれた充電ケーブル300の充電コネクタ310が、車両100の給電口110DCに接続されることで、DC給電設備200と車両100とが電気的に接続される。これにより、DC給電設備200から充電ケーブル300を通じて車両100に電力を供給することが可能になる。AC給電設備400の場合も同様である。
【0034】
車両100の充電ユニット120は、給電口110AC,110DCに入力される電力に所定の処理を行なう回路(たとえば、図示しない電力変換回路およびフィルタ回路)を含む。こうした回路の処理により、バッテリ130の充電に適した電力(直流電力)が、充電ユニット120からバッテリ130へ出力される。充電ユニット120は、車両100の外部から供給される電力を用いてバッテリ130の外部充電を実行可能に構成される。充電ユニット120は、ECU150によってON/OFF制御される充電リレー(不図示)をさらに備える。充電リレーは、車両外部(たとえば、DC給電設備200,AC給電設備400)から供給される電力によるバッテリ130の充電時にON状態(導通状態)にされる。
【0035】
車両100は、上記給電口110AC,110DC、充電ユニット120、およびバッテリ130に加えて、走行駆動部140と、ECU150と、入力装置160と、表示装置170と、位置検出部180と、通信装置190と、駆動輪141と、リッドオープナ112とをさらに備える。なお、車両100の駆動方式は、
図3に示される前輪駆動に限られず、後輪駆動または4輪駆動であってもよい。
【0036】
走行駆動部140は、図示しないPCU(Power Control Unit)とMG(Motor Generator)とを含み、バッテリ130に蓄えられた電力を用いて車両100を走行させるように構成される。PCUは、たとえば、演算装置を含んで構成される制御装置と、インバータと、コンバータと(いずれも図示せず)を含んで構成される。PCUの制御装置は、ECU150からの指示(制御信号)を受信し、その指示に従ってPCUのインバータおよびコンバータを制御するように構成される。MGは、たとえば三相交流モータジェネレータである。MGは、PCUによって駆動され、駆動輪141を回転させるように構成される。また、MGは、回生発電を行ない、発電した電力をバッテリ130に供給するように構成される。
【0037】
バッテリ130は、前述した二次電池に加えて、ECU150によってON/OFF制御されるSMR(システムメインリレー)と、バッテリ130の状態を監視する監視ユニットと(いずれも図示せず)を含む。SMRは、バッテリ130から走行駆動部140への電力経路に配置され、バッテリ130の電力を用いた走行時にON状態(導通状態)にされる。監視ユニットは、バッテリ130の状態(たとえば、温度、電流、および電圧)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU150へ出力する。ECU150は、監視ユニットの出力(すなわち、各種センサの検出値)に基づいてバッテリ130の状態(たとえば、温度、電流、電圧、SOC(State Of Charge)、および内部抵抗)を取得することができる。
【0038】
ECU150は、演算装置151、RAM(Random Access Memory)152、記憶装置153、およびタイマ154を含んで構成される。演算装置151としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。RAM152は、演算装置151によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153は、たとえば、ROM(Read Only Memory)および書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。なお、ECU150が備えるプロセッサの数は任意であり、所定の制御ごとにプロセッサが用意されてもよい。
【0039】
タイマ154は、設定時刻の到来を演算装置151に知らせるように構成される。タイマ154に設定された時刻になると、タイマ154から演算装置151へその旨を知らせる信号が送信される。この実施の形態では、タイマ154としてタイマ回路を採用する。ただし、タイマ154は、ハードウェア(タイマ回路)ではなく、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0040】
入力装置160は、ユーザからの入力を受け付ける装置である。入力装置160は、ユーザによって操作され、ユーザの操作に対応する信号をECU150へ出力する。通信方式は有線でも無線でもよい。入力装置160の例としては、各種スイッチ(押しボタンスイッチ、スライドスイッチ等)、各種ポインティングデバイス(マウス、タッチパッド等)、キーボード、およびタッチパネルが挙げられる。入力装置160は、カーナビゲーションシステムの操作部であってもよい。
【0041】
表示装置170は、ECU150から要求があったときに、車両100に関する情報をユーザ(たとえば、車両100の運転者)へ表示するように構成される。この実施の形態では、表示装置170としてカーナビゲーションシステムのタッチパネルディスプレイを採用する。ただしこれに限られず、任意のHMI(Human Machine Interface)を表示装置170および入力装置160として採用できる。表示装置170は、スピーカ機能を有してもよい。
【0042】
位置検出部180は、車両100の位置を検出するように構成される。位置検出部180の検出結果は、ECU150へ出力される。位置検出部180としては、たとえばカーナビゲーションシステムに含まれるGPS(Global Positioning System)受信機を採用できる。ただしこれに限られず、位置検出部180は、車両100の移動方向および移動量を検出する各種センサ(たとえば、車輪センサ、ヨーレートセンサ、および加速度センサ)の検出結果に基づいて、車両100の位置を算出するように構成されてもよい。
【0043】
通信装置190は、サーバ500などの外部の装置と無線通信するための装置である。通信装置190は、ECU150からの送信情報を外部の装置に送信するとともに、外部の装置からの受信情報をECU150に受渡す。
【0044】
リッドオープナ112は、給電口110AC,110DCそれぞれのリッド111AC,111DCを開けるための操作部であり、ユーザによって操作されると、リッド111AC,111DCを開放可能に構成されている。リッドオープナ112の詳細については後述する。
【0045】
従来、このように複数のリッド111AC,111DCが車両100に備えられる場合、たとえば、複数の給電口110AC,110DCにそれぞれリッド111AC,111DCが備えられる場合に、両者の開閉を混同しないように、それぞれのリッド111AC,111DCを開放するための2つのリッドオープナの配置を、それぞれのリッドの配置関係と対応するようにしたものがあった。
【0046】
しかし、複数のリッド111AC,111DCが車両100に備えられる場合、エネルギ源の供給設備(たとえば、DC給電設備200,AC給電設備400)にユーザが車両100を近付ける場合に、ユーザは、いずれのリッド111AC,111DCを開くべきか分かり難い場合がある。
【0047】
そこで、ECU150は、エネルギ源の供給設備の位置を取得し、位置検出部180によって検出された車両100の現在位置に近い位置の供給設備を特定し、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドのリッドオープナ112による開放のための所定処理を実行する。
【0048】
これにより、車両100の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドのリッドオープナによる開放のための処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることができる。
【0049】
図4は、第1実施形態におけるリッドオープナ112の概略を示す図である。
図4を参照して、リッドオープナ112は、この実施の形態においては、一般的な車両のように、車室内の運転席のシートと運転席側のドアとの間の床面に設けられるが、他の位置に設けられるようにしてもよい。リッドオープナ112に対して
図4の右上の側が、車両100の前方側である。
【0050】
図4(A)で示されるように、リッドオープナ112は、まず、手前(車両100の後方側)に引くことが可能なように構成されている。
図4(B)で示されるように、リッドオープナ112は、手前に引かれた後、左右に傾けることが可能なように構成されている。リッドオープナ112およびリッド111AC,111DCは、リッドオープナ112が左に傾けられると、
図2で示した、車両100の左側のリッド111DCが開放し、リッドオープナ112が右に傾けられると、
図2で示した、車両100の右側のリッド111ACが開放するように構成される。
【0051】
この実施の形態においては、リッドオープナ112は、手前に引かれたことを検出可能なセンサ(不図示)と、傾けられた方向を検出可能なセンサ(不図示)とを備える。リッドオープナ112のこれらのセンサは、
図3で示すように、検出した状態を示す信号をECU150に送信する。
【0052】
リッド111AC,111DCは、それぞれ、ECU150からの制御信号を受信すると、リッド111AC,111DCを開放するアクチュエータ(不図示)を備える。
【0053】
ECU150は、リッドオープナ112から、傾けられた方向を示す信号を受信すると、受信した信号が、左に傾けられたことを示す場合、車両100の左側のリッド111DCを開放するための制御信号をリッド111DCに送信する。リッド111DCのアクチュエータは、ECU150からこの制御信号を受信すると、リッド111DCを開放するよう動作する。このように、リッド111DCが車両100の左側に設けられていることに対応して、リッドオープナ112が左に傾けられることでリッド111DCが開放されるように構成される。
【0054】
ECU150は、リッドオープナ112から、傾けられた方向を示す信号を受信すると、受信した信号が、右に傾けられたことを示す場合、車両100の右側のリッド111ACを開放するための制御信号をリッド111ACに送信する。リッド111ACのアクチュエータは、ECU150からこの制御信号を受信すると、リッド111ACを開放するよう動作する。このように、リッド111ACが車両100の右側に設けられていることに対応して、リッドオープナ112が右に傾けられることでリッド111ACが開放されるように構成される。
【0055】
図5は、第1実施形態におけるリッド開放処理の流れを示すフローチャートである。このリッド開放処理は、車両100のECU150の演算装置151によって、上位の処理から所定周期ごとに呼出されて実行される。
図5を参照して、演算装置151は、位置検出部180の検出結果を用いて、車両100の現在位置を取得する(ステップS110)。
【0056】
次に、演算装置151は、現在位置の近辺(たとえば、
図1で示すような距離R以内)のエネルギ源の供給設備(たとえば、AC給電設備400,DC給電設備200,ガソリン給油設備,軽油給油設備,水素供給設備)の位置および供給するエネルギ源の種類(たとえば、AC電力,DC電力,ガソリン,軽油,水素)をサーバ500から取得する(ステップS111)。サーバ500は、エネルギ源の供給設備の位置および供給するエネルギ源の種類を対応付けて予め記憶している。
【0057】
演算装置151は、ステップS111で情報を取得した供給設備のいずれかの所定範囲(たとえば、10m以内などの数十m以内)内に車両100が入ったか否かを判断する(ステップS112)。供給設備の所定範囲内に入った(ステップS112でYES)と判断した場合、演算装置151は、その供給設備が、AC給電設備400であるか、DC給電設備200であるか、その他の供給設備または不明な供給設備であるかを判断する(ステップS113)。
【0058】
供給設備の所定範囲内に入っていない(ステップS112でNO)と判断した場合、および、ステップS113でその供給設備がその他の供給設備または不明な供給設備であると判断した場合、演算装置151は、リッドオープナ112のセンサからの信号を用いてリッドオープナ112が引かれ傾けられたか否かを判断する(ステップS114)。
【0059】
リッドオープナ112が引かれ傾けられた(ステップS114でYES)と判断した場合、演算装置151は、2つのリッド111AC,111DCのうち、傾けられた側のリッドを開けるよう、リッド111ACまたはリッド111DCのアクチュエータを制御する(ステップS115)。
【0060】
リッドオープナ112が引かれ傾けられていない(ステップS114でNO)と判断した場合、および、ステップS115の後、演算装置151は、実行する処理をこのリッド開放処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0061】
ステップS113でその供給設備がDC給電設備200であると判断した場合、演算装置151は、リッドオープナ112のセンサからの信号を用いてリッドオープナ112が引かれたが未だ傾けられていないか否かを判断する(ステップS116)。リッドオープナ112が引かれたが未だ傾けられていない(ステップS116でYES)と判断した場合、演算装置151は、DC充電用のリッド111DCを開けるよう、リッド111DCのアクチュエータを制御する(ステップS117)。具体的には、演算装置151は、リッド111DCを開放するための制御信号をリッド111DCに送信し、リッド111DCのアクチュエータは、この制御信号に応じて、リッド111DCを開放するよう動作する。また、演算装置151は、リッドオープナ112が引かれた後、開放するリッド111DCに対応する側(ここでは、左側)と反対する側(ここでは、右側)に傾けられたとしても、傾けられた側に対応するリッド111ACを開放しないよう制御する。具体的には、演算装置151は、リッドオープナ112が引かれ右側に傾けられたとしても、車両110の右側のリッド111ACを開放するための制御信号を送信しないようにする。
【0062】
リッドオープナ112が引かれていない(ステップS116でNO)と判断した場合、および、ステップS117の後、演算装置151は、実行する処理をこのリッド開放処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0063】
ステップS113でその供給設備がAC給電設備400であると判断した場合、演算装置151は、リッドオープナ112のセンサからの信号を用いてリッドオープナ112が引かれたが未だ傾けられていないか否かを判断する(ステップS118)。リッドオープナ112が引かれたが未だ傾けられていない(ステップS118でYES)と判断した場合、演算装置151は、AC充電用のリッド111ACを開けるよう、リッド111ACのアクチュエータを制御する(ステップS119)。具体的には、演算装置151は、リッド111ACを開放するための制御信号をリッド111ACに送信し、リッド111ACのアクチュエータは、この制御信号に応じて、リッド111ACを開放するよう動作する。また、演算装置151は、リッドオープナ112が引かれた後、開放するリッド111ACに対応する側(ここでは、右側)と反対する側(ここでは、左側)に傾けられたとしても、傾けられた側に対応するリッド111DCを開放しないよう制御する。具体的には、演算装置151は、リッドオープナ112が引かれ左側に傾けられたとしても、車両110の左側のリッド111DCを開放するための制御信号を送信しないようにする。
【0064】
リッドオープナ112が引かれていない(ステップS118でNO)と判断した場合、および、ステップS119の後、演算装置151は、実行する処理をこのリッド開放処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0065】
[第2実施形態]
第1実施形態においては、リッドオープナ112の1段階目の操作がされたときに、車両100の所定範囲内の供給設備で供給されるエネルギ源の種類に対応するリッドを開放するようにした。第2実施形態においては、車両100Aの所定範囲内の供給設備で供給されるエネルギ源の種類に対応するインジケータを点灯する。
【0066】
図6は、第2実施形態に係る車両システム1Aの車両100Aおよび給電設備の構成図である。
図6を参照して、第2実施形態に係る車両システム1Aの車両100Aは、第1実施形態に係る車両システム1の車両100の構成に加えて、インジケータ113AC,113DCを備える。インジケータ113AC,113DCは、LED(Light Emitting Diode)を含む。
【0067】
図7は、第2実施形態におけるリッドオープナ112およびインジケータ113AC,113DCの概略を示す図である。
図7を参照して、リッドオープナ112については、
図4と同様であるため、重複する説明は繰返さない。
【0068】
2つのインジケータ113AC,113DCは、この実施の形態においては、
図7で示されるように、リッドオープナ112の近辺、かつ、リッドオープナ112に対して車両100Aの前方側に設けられる。リッド111ACが車両100Aの右側に設けられていることに対応して、インジケータ113ACは、両インジケータのうちの右側である。リッド111DCが車両100Aの左側に設けられていることに対応して、インジケータ113DCは、両インジケータのうちの左側である。
【0069】
図8は、第2実施形態におけるリッド開放処理の流れを示すフローチャートである。このリッド開放処理は、車両100AのECU150の演算装置151によって、上位の処理から所定周期ごとに呼出されて実行される。
図8を参照して、ステップS110からステップS115までの処理は、
図5と同様であるため、重複する説明は繰返さない。
【0070】
ステップS113でその供給設備がDC給電設備200であると判断した場合、演算装置151は、DC充電用のリッド111DCに対応するインジケータ113DCを点灯させるための制御信号をインジケータ113DCに送信することで、インジケータ113DCが点灯するよう制御する(ステップS127)。その後、演算装置151は、実行する処理をステップS114の処理に進める。
【0071】
ステップS113でその供給設備がAC給電設備400であると判断した場合、演算装置151は、AC充電用のリッド111ACに対応するインジケータ113ACを点灯させるための制御信号をインジケータ113ACに送信することで、インジケータ113ACが点灯するよう制御する(ステップS129)。その後、演算装置151は、実行する処理をステップS114の処理に進める。
【0072】
[第3実施形態]
第1実施形態および第2実施形態においては、リッドオープナ112がレバー式であることとした。第3実施形態においては、リッドオープナ114AC,114DCが押しボタン式であることとする。
【0073】
図9は、第3実施形態に係る車両システム1Bの車両100Bおよび給電設備の構成図である。
図9を参照して、第3実施形態に係る車両システム1Bの車両100Bは、第2実施形態に係る車両システム1Aの車両100Aの構成のうち、リッドオープナ112およびインジケータ113AC,113DCの部分が異なる。第3実施形態に係る車両100Bは、押しボタン式のリッドオープナ114AC,114DCを備える。リッドオープナ114AC,114DCの内部には、それぞれ、インジケータ115AC,115DCが備えられる。リッドオープナ114AC,114DCの押下する部分は、それぞれ、内部のインジケータ115AC,115DCから発光された光が外部に透過するように構成されている。
【0074】
図10は、第3実施形態におけるリッドオープナ114AC,114DCの概略を示す図である。
図10を参照して、リッドオープナ114AC,114DCは、この実施の形態においては、リッドオープナ114AC,114DCは、ダッシュボードのインストルメントパネルの下に設けられるが、他の位置に設けられるようにしてもよい。
【0075】
リッドオープナ114AC,114DCは、ユーザによって押下可能に構成され、押下されると、押下されたことを示す信号がECU150の演算装置151に送られる。リッドオープナ114AC,114DCは、それぞれ、ボタンの内部にLEDのインジケータ115AC,115DCが備えられ、ECU150の演算装置151からの点灯信号に応じて、そのインジケータが発光することでボタンの外部に光が透過するように構成されている。
図10においては、リッドオープナ114DCが光っている状態が示されている。
【0076】
リッド111ACが車両100Bの右側に設けられていることに対応して、リッドオープナ114ACは、両リッドオープナのうちの右側である。リッド111DCが車両100Bの左側に設けられていることに対応して、リッドオープナ114DCは、両リッドオープナのうちの左側である。
【0077】
ECU150の演算装置151は、リッドオープナ114AC,114DCが押下されたことを示す信号を受信すると、受信した信号が右側のリッドオープナ114ACが押下されたことを示す場合、車両100Bの右側のリッド111ACを開放するための制御信号をリッド111ACに送信する一方、受信した信号が左側のリッドオープナ114DCが押下されたことを示す場合、車両100Bの左側のリッド111DCを開放するための制御信号をリッド111DCに送信する。
【0078】
図11は、第3実施形態におけるリッド開放処理の流れを示すフローチャートである。このリッド開放処理は、車両100BのECU150の演算装置151によって、上位の処理から所定周期ごとに呼出されて実行される。
図11を参照して、ステップS110からステップS113までの処理は、
図5と同様であるため、重複する説明は繰返さない。
【0079】
ステップS113でその供給設備がDC給電設備200であると判断した場合、演算装置151は、DC用のリッドオープナ114DCのインジケータ115DCを点灯するための制御信号をリッドオープナ114DCに送信することで、リッドオープナ114DCのインジケータ115DCが点灯するよう制御する(ステップS137)。その後、演算装置151は、実行する処理をステップS124の処理に進める。
【0080】
ステップS113でその供給設備がAC給電設備400であると判断した場合、演算装置151は、AC用のリッドオープナ114ACのインジケータ115ACを点灯するための制御信号をリッドオープナ114ACに送信することで、リッドオープナ114ACのインジケータ115ACが点灯するよう制御する(ステップS139)。その後、演算装置151は、実行する処理をステップS124の処理に進める。
【0081】
ステップS124では、演算装置151は、リッドオープナ114AC,114DCが押下されたか否かを判断する(ステップS124)。押下された(ステップS124でYES)と判断した場合、演算装置151は、押下されたリッドオープナに対応するリッドを開放するよう、リッドのアクチュエータを制御する(ステップS125)。押下されていない(ステップS124でNO)と判断した場合、および、ステップS125の後、演算装置151は、実行する処理をこのリッド開放処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0082】
[変形例]
(1) 前述した第1実施形態において、
図3および
図4で説明したように、リッド111AC,111DCを開放する操作部が、リッドオープナ112であることとした。しかし、これに限定されず、1つの操作部で2つのリッド111AC,111DCのいずれかを開放するための2段階の操作が可能なものであれば、他の構造の操作部であってもよい。第1実施形態においては、1段階目がリッドオープナ112を引く操作であることとした。2段階目が開放したいリッドの位置を示す操作であることとした。1段階目の操作が行われたときに、所定範囲内の供給設備の種類が判明している場合は、その供給設備に対応するリッドを開放する。
【0083】
(2) 前述した第1実施形態において、
図4で説明したように、インジケータ113AC,113DCは、リッドオープナ112の近辺の車室内の床面に設けられるようにした。しかし、これに限定されず、インジケータ113AC,113DCは、車室内の他の場所、たとえば、ダッシュボードまたはインストルメントパネルに設けられるようにしてもよい。
【0084】
(3) 前述した第1実施形態において、
図5のステップS117およびステップS119で示したように、リッドオープナ112が、演算装置151によって判別された供給設備に対応する側と反対側に傾けられたとしても、反対側のリッドを開放するための制御信号を送信しない処理を実行することで、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応しないリッドをリッドオープナ112による操作に応じて開放しない処理を実行するようにした。
【0085】
しかし、これに限定されず、リッドがリッドを物理的にロックするロック機構を備えるようにして、演算装置151によって判別された供給設備に対応する側と反対側のリッドをロック機構によってロックすることによって、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応しないリッドをリッドオープナ112による操作に応じて開放しない処理を実行するようにしてもよい。
【0086】
また、リッドがリッドを物理的にロックするロック機構を備えるようにして、普段は両方のリッドをロック機構によってロックしておき、演算装置151によって判別された供給設備に対応する側と反対側のリッドのロック機構をアンロックしないことによって、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応しないリッドをリッドオープナ112による操作に応じて開放しない処理を実行するようにしてもよい。なお、この場合は、演算装置151によって判別された供給設備に対応する側のリッドのロック機構は、リッドオープナ112による操作に応じてアンロックされる。
【0087】
(4) 前述した第2実施形態において、車両100Aは、リッドオープナ112の操作をリッド111AC,リッド111DCに伝達するワイヤを備えるようにしてもよい。この場合、リッドオープナ112が引かれて右に傾けられると、車両100の右側のリッド111ACに接続されているワイヤが引っ張られるように構成されるとともに、リッド111ACに接続されているワイヤが引っ張られることでリッド111ACが開放するように構成される。また、リッドオープナ112が引かれて左に傾けられると、車両100の左側のリッド111DCに接続されているワイヤが引っ張られるように構成されるとともに、リッド111DCに接続されているワイヤが引っ張られることでリッド111DCが開放するように構成される。
【0088】
(5) 前述した第3実施形態において、リッドオープナ114AC,114DCは、物理的なボタンであることとした。しかし、これに限定されず、リッドオープナ114AC,114DCは、タッチパネルの表示のボタンであり、タッチパネルによって表示のボタンの押下が検出されるようにしてもよい。この場合、インジケータ115AC,115DCの発光は、タッチパネルのディスプレイでの表示による発光で示される。
【0089】
(6) 前述した第3実施形態において、リッドオープナ114AC,114DCの内部に、それぞれインジケータ115AC,115DCが設けられるようにした。しかし、これに限定されず、リッドオープナ114AC,114DCと別体でインジケータ115AC,115DCが設けられるようにしてもよい。
【0090】
(7) 前述した実施の形態において、
図3、
図6および
図9で示したように、車両100,100A,100Bは、バッテリ130に蓄えられた電力のみを用いて走行可能な電気自動車であることとした。しかし、これに限定されず、この実施の形態における車両は、バッテリを備えた車両であればよく、たとえば、バッテリに蓄えられた電力とエンジンの出力との両方を用いて走行可能なプラグインハイブリッド車であってもよいし、バッテリに蓄えられた電力と燃料電池による電力との両方を用いて走行可能な燃料電池自動車であってもよい。
【0091】
(8) 前述した実施の形態においては、車両100が、AC電力の給電口110ACを覆うリッド111ACと、DC電力の給電口110DCを覆うリッド111DCとを備えるようにした。しかし、これに限定されず、車両が、2つのエネルギ源を受け入れる受入口をそれぞれ覆う2つのリッドを備えればよく、たとえば、AC電力またはDC電力の給電口を覆うリッドと、ガソリン、軽油および水素などの燃料の受入口を覆うリッドとを備えるようにしてもよい。
【0092】
(9) 前述した第2実施形態および第3実施形態においては、
図8のステップS127,ステップS129および
図11のステップS137,ステップ139で示したように、インジケータ113AC,113DC,115AC,115DCが発光することで、開放するリッドをユーザに示すようにした。しかし、これに限定されず、インジケータの発光とともに、または、インジケータの発光に変えて、スピーカからの音声またはディスプレイ表示で、開放するリッドをユーザに示すようにしてもよい。
【0093】
(10) 前述した実施の形態は、車両システム1,1A,1Bの車両100,100A,100Bに適用されるリッドシステムの開示、車両システム1,1A,1Bの開示、または、車両100,100A,100Bの開示と捉えることができる。また、前述した実施の形態は、車両システム1,1A,1B、リッドシステムまたは車両100,100A,100Bにおける
図5、
図8または
図11で示した、リッドを開放する方法またはリッド開放処理のプログラムの開示と捉えることができる。
【0094】
[まとめ]
(1)
図2、
図3、
図6および
図9で示したように、車両システム(たとえば、車両システム1,1A,1B)に適用されるリッドシステムは、車両(たとえば、車両100,100A,100B)の複数のリッド(たとえば、リッド111AC,111DC)を含むシステムである。
図3、
図6および
図9で示したように、リッドシステムは、第1のエネルギ源(たとえば、AC電力。ガソリン,軽油,水素などの燃料であってもよい。)を受け入れる第1の受入口(たとえば、給電口110AC。給油口であってもよい。)を覆い、開閉可能な第1のリッド(たとえば、リッド111AC)と、第2のエネルギ源(たとえば、前述の実施形態では、DC電力。ガソリン,軽油,水素などの燃料であってもよい。)を受け入れる第2の受入口(たとえば、給電口110DC。給油口であってもよい。)を覆い、開閉可能な第2のリッド(たとえば、リッド111DC)と、第1のリッドおよび第2のリッドを開放するための操作部(たとえば、リッドオープナ112,114AC,114DC)と、車両の現在位置を検出する検出部(たとえば、位置検出部180)と、リッドシステムを制御する制御部(たとえば、ECU150)とを備える。
【0095】
図5、
図8および
図11で示したように、制御部は、第1のエネルギ源または第2のエネルギ源の供給設備(たとえば、DC給電設備200,AC給電設備400。ガソリン給油設備,軽油給油設備,水素供給設備であってもよい。)の位置を取得し(たとえば、ステップS111)、検出部によって検出された現在位置に近い位置の供給設備を特定し(たとえば、ステップS110,ステップS112)、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドの操作部による開放のための所定処理を実行する(たとえば、ステップS113~ステップS119、ステップS127,ステップS129,ステップS137,ステップS139)。
【0096】
これにより、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドの操作部による開放のための処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることができる。
【0097】
(2)
図5で示したように、所定処理は、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドを操作部による操作に応じて開放する処理(たとえば、ステップS116~ステップS119)を含む。
【0098】
これにより、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドを操作部による操作に応じて開放する処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることができる。
【0099】
(3)
図5で示したように、操作部は、2段階で操作可能に構成され、制御部は、操作部の1段階目の操作に応じて、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドを開放する(たとえば、ステップS116~ステップS119)。
【0100】
これにより、2段階で操作可能な操作部の1段階目の操作に応じて、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドを開放する処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることができる。
【0101】
(4)
図4で示したように、操作部は、2段階目の操作により、開放するリッドを指定可能に構成される。
図5で示したように、所定処理は、検出部によって検出された現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源を特定できない場合、操作部の2段階目の操作で指定されたリッドを開放する処理(たとえば、ステップS113~ステップS115)を含む。
【0102】
これにより、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源を特定できない場合、操作部の2段階目の操作で指定されたリッドを開放する処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放することができる。
【0103】
(5)
図5で示したように、所定処理は、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応しないリッドを操作部による操作に応じて開放しない処理(たとえば、ステップS117,ステップS119)を含む。
【0104】
これにより、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応しないリッドを操作部による操作に応じて開放しない処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応しないリッドを開放しないようにすることができる。
【0105】
(6)
図8および
図11で示したように、所定処理は、複数のリッドのうち、特定した供給設備で供給されるエネルギ源に対応するリッドをユーザに報知する処理(たとえば、ステップS113,ステップS127,ステップS129,ステップS137,ステップS139)を含む。
【0106】
これにより、複数のリッドのうち、車両の現在位置に近い位置の供給設備で供給されるエネルギ源に対応する、開放するリッドをユーザに報知する処理が実行される。その結果、エネルギ源の供給設備に対応するリッドを開放し易くすることができる。
【0107】
今回開示された各実施の形態は、適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
1,1A,1B 車両システム、100,100A,100B,110 車両、110AC,110DC 給電口、111AC,111DC リッド、112,114AC,114DC リッドオープナ、113AC,113DC,115AC,115DC インジケータ、120 充電ユニット、130 バッテリ、140 走行駆動部、141 駆動輪、150 ECU、151 演算装置、152 RAM、153 記憶装置、154 タイマ、160 入力装置、170 表示装置、180 検出部、190 通信装置、200,200A,200D DC給電設備、300 充電ケーブル、310 充電コネクタ、400,400A,400B AC給電設備、500 サーバ。