(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】表示装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240910BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240910BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240910BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240910BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20240910BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240910BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 E
G02F1/13357
G02F1/1335
G02F1/13363
H04N5/74 A
H04N9/31 500
H04N9/31 020
H04N5/74 K
(21)【出願番号】P 2021017645
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】秋山 光一
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-154198(JP,A)
【文献】特開2003-241164(JP,A)
【文献】特開2014-142524(JP,A)
【文献】特開2007-148319(JP,A)
【文献】特開2020-126089(JP,A)
【文献】特開2005-202210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1335-1/13363
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
9/12-9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯を有する第1光と、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光と、を含む光を射出する光源装置と、
前記光源装置から射出される光が入射する光学装置と、
前記光学装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
を備え、
前記光変調装置は、複数の画素を有する液晶パネルを有し、
前記複数の画素のそれぞれは、第1サブ画素と、第2サブ画素と、を少なくとも有し、
前記光学装置は、第1偏光方向を有する光を透過し、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向を有する光を反射する偏光分離素子と、前記光源装置と前記偏光分離素子との間に設けられる位相差板と、を有し、
前記光学装置は、前記第1光が前記第1サブ画素に入射し、前記第2光が前記第2サブ画素に入射する第1期間と、前記第1光が前記第2サブ画素に入射し、前記第2光が前記第1サブ画素に入射する第2期間と、を時間的に切り替え、
前記光学装置は、前記第1期間において、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第1偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、前記第2期間において、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第1偏光方向を有する光に変換
し、
前記位相差板は、光入射面を有し、前記光入射面に交差する回転軸を中心として回転可能とされ、
前記第1期間において、前記位相差板の光学軸が前記第1光と前記第2光の入射光の偏光方向に対して45°の角度をなし、
前記第2期間において、前記位相差板の光学軸が前記第1光と前記第2光の入射光の偏光方向と平行になす、表示装置。
【請求項2】
第1波長帯を有する第1光と、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光と、を含む光を射出する光源装置と、
前記光源装置から射出される光が入射する光学装置と、
前記光学装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
を備え、
前記光変調装置は、複数の画素を有する液晶パネルを有し、
前記複数の画素のそれぞれは、第1サブ画素と、第2サブ画素と、を少なくとも有し、
前記光学装置は、第1偏光方向を有する光を透過し、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向を有する光を反射する偏光分離素子と、前記光源装置と前記偏光分離素子との間を進行する光の光路内と光路外とで移動可能に設けられる位相差板と、を有し、
前記光学装置は、前記第1光が前記第1サブ画素に入射し、前記第2光が前記第2サブ画素に入射する第1期間と、前記第1光が前記第2サブ画素に入射し、前記第2光が前記第1サブ画素に入射する第2期間と、を時間的に切り替え、
前記光学装置は、
前記第1期間において、前記光源装置と前記偏光分離素子との間を進行する光の光路内に前記位相差板を挿入した状態とし、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第1偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、
前記第2期間において、前記光源装置と前記偏光分離素子との間を進行する光の光路外に前記位相差板を離脱した状態とし、前記第1光を前記第2偏光方向を有する光として射出し、前記第2光を前記第1偏光方向を有する光として射出する、表示装置。
【請求項3】
第1波長帯を有する第1光と、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光と、を含む光を射出する光源装置と、
前記光源装置から射出される光が入射する光学装置と、
前記光学装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
を備え、
前記光変調装置は、複数の画素を有する液晶パネルを有し、
前記複数の画素のそれぞれは、第1サブ画素と、第2サブ画素と、を少なくとも有し、
前記光学装置は、第1偏光方向を有する光を透過し、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向を有する光を反射する偏光分離素子と、前記光源装置と前記偏光分離素子との間に設けられる位相差板と、を有し、
前記光学装置は、前記第1光が前記第1サブ画素に入射し、前記第2光が前記第2サブ画素に入射する第1期間と、前記第1光が前記第2サブ画素に入射し、前記第2光が前記第1サブ画素に入射する第2期間と、を時間的に切り替え、
前記光学装置は、前記第1期間において、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第1偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、前記第2期間において、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第1偏光方向を有する光に変換し、
前記光源装置は、前記第1光を射出する第1発光素子と、前記第2光を射出する第2発光素子と、前記第1光と前記第2光とを合成する光合成素子と、を有し、
前記第1発光素子および前記第2発光素子は、前記第1光が前記偏光分離素子に対して前記第1偏光方向を有する光および前記第2偏光方向を有する光のいずれか一方となり、前記第2光が前記偏光分離素子に対して前記第1偏光方向を有する光および前記第2偏光方向を有する光のいずれか他方となるように配置される
、表示装置。
【請求項4】
前記光合成素子は、前記第1発光素子から射出された前記第1光を反射し、前記第2発光素子から射出された前記第2光を透過して、前記第1光と前記第2光とを合成する、請求項
3に記載の表示装置。
【請求項5】
第1波長帯を有する第1光と、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光と、を含む光を射出する光源装置と、
前記光源装置から射出される光が入射する光学装置と、
前記光学装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
を備え、
前記光変調装置は、複数の画素を有する液晶パネルを有し、
前記複数の画素のそれぞれは、第1サブ画素と、第2サブ画素と、を少なくとも有し、
前記光学装置は、第1偏光方向を有する光を透過し、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向を有する光を反射する偏光分離素子と、前記光源装置と前記偏光分離素子との間に設けられる位相差板と、を有し、
前記光学装置は、前記第1光が前記第1サブ画素に入射し、前記第2光が前記第2サブ画素に入射する第1期間と、前記第1光が前記第2サブ画素に入射し、前記第2光が前記第1サブ画素に入射する第2期間と、を時間的に切り替え、
前記光学装置は、前記第1期間において、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第1偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、前記第2期間において、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第1偏光方向を有する光に変換し、
前記光学装置は、前記第1期間と前記第2期間とを所定のタイミングで間欠的に切り替える
、表示装置。
【請求項6】
前記位相差板は、前記第1波長帯の光および前記第2波長帯の光に対して1/2波長の位相差を付与する、請求項1
から請求項5までのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記光源装置は、前記第1波長帯および前記第2波長帯とは異なる第3波長帯を有する第3光をさらに射出し、
前記複数の画素のそれぞれは、第3サブ画素をさらに有し、
前記光変調装置は、前記液晶パネルに対して光入射側に設けられるレンズアレイをさらに有し、
前記レンズアレイは、前記複数の画素のそれぞれに対応するレンズを有し、
前記第1光、前記第2光および前記第3光は、前記レンズに対して互いに異なる角度で入射する、請求項1から請求項
6までのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1光は青色光であり、前記第2光は赤色光であり、前記第3光は緑色光である、請求項
7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記光源装置は、前記第3波長帯を有する第4光をさらに射出し、
前記複数の画素のそれぞれは、第4サブ画素をさらに有し、
前記第1光、前記第2光、前記第3光および前記第4光は、前記レンズに対して互いに異なる角度で入射する、請求項
7または請求項
8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1光は青色光であり、前記第2光は赤色光であり、前記第3光は緑色光であり、前記第4光は緑色光である、請求項
9に記載の表示装置。
【請求項11】
請求項1から請求項
10までのいずれか一項に記載の表示装置と、
前記表示装置から射出される光を投写する投写光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
光源から射出された光を変調して画像情報に基づく画像光を生成し、生成された画像光を投写するプロジェクターが知られている。下記の特許文献1に、光源装置と、1つの液晶パネルからなる光変調装置と、投写光学装置と、を備えるプロジェクターが開示されている。このプロジェクターにおいては、偏光方向が互いに揃った青色光、赤色光、および2つの緑色光が光源装置から射出され、液晶パネルの入射側に設けられたマイクロレンズアレイによって空間的に分離された状態で、液晶パネルの青色サブ画素、赤色サブ画素、および2つの緑色サブ画素にそれぞれ入射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、1枚の液晶パネルを備えたプロジェクター、いわゆる単板方式のプロジェクターは、赤色光、緑色光、および青色光のそれぞれを変調する3枚の液晶パネルを備えたプロジェクターに比べて、液晶パネルの各画素に照射される光のエネルギー密度が高くなる。特に青色光は、赤色光および緑色光に比べて、当該青色光が照射されるサブ画素に対して光照射によるダメージを及ぼしやすい。そのため、液晶パネルの青色サブ画素がダメージを受け、液晶パネルの信頼性が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の表示装置は、第1波長帯を有する第1光と、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光と、を含む光を射出する光源装置と、前記光源装置から射出される光が入射する光学装置と、前記光学装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、を備える。前記光変調装置は、複数の画素を有する液晶パネルを有し、前記複数の画素のそれぞれは、第1サブ画素と、第2サブ画素と、を少なくとも有する。前記光学装置は、第1偏光方向を有する光を透過し、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向を有する光を反射する偏光分離素子と、前記光源装置と前記偏光分離素子との間に設けられる位相差板と、を有する。前記光学装置は、前記第1光が前記第1サブ画素に入射し、前記第2光が前記第2サブ画素に入射する第1期間と、前記第1光が前記第2サブ画素に入射し、前記第2光が前記第1サブ画素に入射する第2期間と、を時間的に切り替える。前記光学装置は、前記第1期間において、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第1偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、前記第2期間において、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第1偏光方向を有する光に変換する。
【0006】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の表示装置、または本発明の他の一つの態様の表示装置と、前記表示装置から射出される光を投写する投写光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図3】青色半導体レーザーから射出される青色光の偏向方向を示す図である。
【
図4】赤色半導体レーザーから射出される赤色光の偏向方向を示す図である。
【
図5A】第1期間における光源装置および光学装置の構成を示す斜視図である。
【
図5B】第1期間における液晶パネル上での4つの色光の位置関係を示す模式図である。
【
図6A】第2期間における光源装置および光学装置の構成を示す斜視図である。
【
図6B】第2期間における液晶パネル上での4つの色光の位置関係を示す模式図である。
【
図7A】第3実施形態のプロジェクターにおいて、第1期間における光源装置および光学装置の構成を示す斜視図である。
【
図7B】第1期間における液晶パネル上での4つの色光の位置関係を示す模式図である。
【
図8A】第2期間における光源装置および光学装置の構成を示す斜視図である。
【
図8B】第2期間における液晶パネル上での4つの色光の位置関係を示す模式図である。
【
図9A】第5実施形態のプロジェクターにおいて、第1期間における光源装置および光学装置の構成を示す平面図である。
【
図9B】第1期間における液晶パネル上での3つの色光の位置関係を示す模式図である。
【
図10A】第2期間における光源装置および光学装置の構成を示す平面図である。
【
図10B】第2期間における液晶パネル上での3つの色光の位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図2は、光変調装置の拡大図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0009】
本実施形態に係るプロジェクター1は、光源装置2から射出された光を変調して画像情報に応じた画像を形成し、形成された画像をスクリーン等の被投写面上に拡大して投写する。換言すると、プロジェクター1は、光源装置2から射出された光を1つの液晶パネル61を有する1つの光変調装置6により変調して画像を形成し、形成された画像を投写する。プロジェクター1は、いわゆる、単板方式のプロジェクターである。
【0010】
図1に示すように、プロジェクター1は、光源装置2と、光学装置3と、均一化装置4と、フィールドレンズ5と、光変調装置6と、投写光学装置7と、を備える。光源装置2、光学装置3、均一化装置4、フィールドレンズ5、光変調装置6、および投写光学装置7は、システム光軸Axに沿う所定の位置に配置されている。システム光軸Axは、光源装置2の光軸であり、光源装置2から射出される光Lの主光線の進行方向に沿う軸と定義する。
【0011】
以下の説明においては、システム光軸Axに沿って光源装置2から射出された光の進行方向に平行な軸をZ軸とし、光の進行方向を+Z方向とする。また、Z軸にそれぞれ直交し、かつ、互いに直交する2つの軸をX軸およびY軸とする。これらの軸に沿う方向のうち、プロジェクター1を設置した空間における鉛直方向上方を+Y方向とする。また、+Y方向が鉛直方向上方を向くように、+Z方向に沿って光が入射される対象物を見た場合の水平方向右方を+X方向とする。図示を省略するが、+X方向の反対方向を-X方向とし、+Y方向の反対方向を-Y方向とし、+Z方向の反対方向を-Z方向とする。
【0012】
光源装置2および光学装置3の構成については、後で詳しく説明する。
均一化装置4は、光源装置2から射出された光Lが照射される光変調装置6の画像形成領域における光Lの照度を均一化する。均一化装置4は、第1マルチレンズ41と、第2マルチレンズ42と、重畳レンズ43と、を有する。なお、上記の構成に代えて、他の構成を有する均一化装置が設けられてもよいし、均一化装置が設けられなくてもよい。
【0013】
第1マルチレンズ41は、光源装置2から入射される光Lの中心軸、すなわち、システム光軸Axに直交する面内にマトリクス状に配列された複数のレンズ411を有する。第1マルチレンズ41は、複数のレンズ411によって光源装置2から入射される光を複数の部分光束に分割する。
【0014】
第2マルチレンズ42は、システム光軸Axに直交する面内にマトリクス状に配列されるとともに、第1マルチレンズ41の複数のレンズ411に対応した複数のレンズ421を有する。各レンズ421には、当該レンズ421に対向するレンズ411から射出された部分光束が入射される。各レンズ421は、部分光束を重畳レンズ43に入射させる。
【0015】
重畳レンズ43は、第2マルチレンズ42から入射される複数の部分光束を光変調装置6の画像形成領域において重畳させる。詳述すると、各々が複数の部分光束に分割された青色光LB、赤色光LR、および2つの緑色光LGは、第2マルチレンズ42と重畳レンズ43とによって、フィールドレンズ5を介して、光変調装置6の後述するマイクロレンズアレイ62を構成する複数のマイクロレンズ621の各々に異なる角度で入射する。
【0016】
フィールドレンズ5は、均一化装置4と光変調装置6との間に配置されている。フィールドレンズ5は、均一化装置4から射出される光Lを平行化し、光変調装置6に導く。
【0017】
光変調装置6は、光源装置2から射出された光を変調する。詳述すると、光変調装置6は、光源装置2から射出され、光学装置3、均一化装置4およびフィールドレンズ5を介して入射される各色光を画像情報に応じてそれぞれ変調し、画像情報に応じた画像光を形成する。光変調装置6は、1つの液晶パネル61と、1つのマイクロレンズアレイ62と、を備える。
【0018】
図2は、-Z方向から見た光変調装置6の一部を拡大視した模式図である。換言すると、
図2は、液晶パネル61が有する画素PXと、マイクロレンズアレイ62が有するマイクロレンズ621と、の対応関係を示している。
図2に示すように、液晶パネル61は、システム光軸Ax(Z軸)に直交する面内にマトリクス状に配列された複数の画素PXを有する。
【0019】
1つの画素PXは、互いに異なる色の色光を変調する複数のサブ画素SXを有する。本実施形態では、各画素PXは、4つのサブ画素SX(SX1~SX4)を有する。具体的に、矩形状の画素PXの中心に対して、-X方向で+Y方向の位置に、第1サブ画素SX1が配置されている。+X方向で-Y方向の位置に、第2サブ画素SX2が配置されている。-X方向で-Y方向の位置に、第3サブ画素SX3が配置されている。+X方向で+Y方向の位置に、第4サブ画素SX4が配置されている。
【0020】
図1に示すように、マイクロレンズアレイ62は、液晶パネル61に対して光入射側(-Z側)に設けられている。マイクロレンズアレイ62は、マイクロレンズアレイ62に入射される複数の色光LB,LR,LGを個々の画素PXに導く。マイクロレンズアレイ62は、複数の画素PXに対応する複数のマイクロレンズ621を有する。
【0021】
図2に示すように、複数のマイクロレンズ621は、システム光軸Axに直交する面内にマトリクス状に配列されている。換言すると、複数のマイクロレンズ621は、フィールドレンズ5から入射される光の中心軸に直交する面内にマトリクス状に配列されている。本実施形態では、1つのマイクロレンズ621は、+X方向に配列された2つのサブ画素と、+Y方向に配列された2つのサブ画素と、に対応して設けられている。すなわち、1つのマイクロレンズ621は、XY平面内に2行2列に配列された4つのサブ画素SX1~SX4に対応して設けられている。
【0022】
1つのマイクロレンズ621には、均一化装置4によって重畳された青色光LB、赤色光LR、および2つの緑色光LGがそれぞれ異なる角度で入射される。これにより、マイクロレンズ621は、マイクロレンズ621に入射される色光を、当該色光に対応するサブ画素SXに振り分けて入射させる。
【0023】
図1に示すように、投写光学装置7は、光変調装置6によって変調された光、すなわち、画像を形成する光をスクリーンなどの被投写面(図示略)上に投写する。投写光学装置7は、単数または複数の投写レンズを有する。
【0024】
以下、光源装置2の構成について説明する。
図3は、青色半導体レーザー20Bから射出される青色光LBの偏向方向を示す図である。
図4は、赤色半導体レーザー20Rから射出される赤色光LRの偏向方向を示す図である。
図5Aは、第1期間における光源装置2および光学装置3の構成を示す斜視図である。
図5Bは、第1期間における液晶パネル61上での4つの色光の位置関係を示す模式図である。
図6Aは、第2期間における光源装置2および光学装置3の構成を示す斜視図である。
図6Bは、第2期間における液晶パネル61上での4つの色光の位置関係を示す模式図である。
【0025】
図5Aおよび
図6Aに示すように、光源装置2は、青色半導体レーザー20Bと、赤色半導体レーザー20Rと、ダイクロイックミラー21と、2個の緑色半導体レーザー20Gと、4個のコリメーターレンズ22と、を有する。このように、光源装置2は、4個の半導体レーザー20B,20R,20G,20Gを有する。
【0026】
光源装置2の光射出側には、4個の集光レンズ24と、回転拡散板25と、4個のピックアップレンズ26と、が設けられている。
【0027】
青色半導体レーザー20Bは、例えば440~490nmの波長帯を有する青色光LBを射出する。赤色半導体レーザー20Rは、例えば610~750nmの波長帯を有する赤色光LRを射出する。2個の緑色半導体レーザー20Gのそれぞれは、例えば500~560nmの波長帯を有する緑色光LGを射出する。
本実施形態の青色光LBは、特許請求の範囲の第1波長帯の第1光に対応する。本実施形態の赤色光LRは、特許請求の範囲の第2波長帯の第2光に対応する。本実施形態の緑色光LGは、特許請求の範囲の第3波長帯の第3光および第4光に対応する。本実施形態の青色半導体レーザー20Bは、特許請求の範囲の第1発光素子に対応する。本実施形態の赤色半導体レーザー20Rは、特許請求の範囲の第2発光素子に対応する。
【0028】
4個のコリメーターレンズ22のそれぞれは、4個の半導体レーザー20B,20R,20Gのそれぞれの光射出側に設けられている。コリメーターレンズ22は、当該コリメーターレンズ22に対応する半導体レーザー20B,20R,20Gから射出される光を平行化する。
【0029】
後述するように、4個の半導体レーザー20B,20R,20Gから射出される4本の色光LB,LR,LG,LGは、回転拡散板25の光入射面25aの互いに離間した4個所に入射する。具体的には、4本の色光LB,LR,LG,LGは、XY平面に平行な光入射面25aにおいて、システム光軸Axを中心として、それぞれ-X側で+Y側の位置、+X側で-Y側の位置、-X側で-Y側の位置、および+X側で+Y側の位置に入射する。青色半導体レーザー20B、赤色半導体レーザー20R、およびダイクロイックミラー21は、上記の4個所のうち、-X側で+Y側の位置に対応して配置されている。
【0030】
青色半導体レーザー20Bは、システム光軸Axに垂直な方向(-Y方向)に向けて青色光LBを射出するように配置されている。赤色半導体レーザー20Rは、システム光軸Axに平行な方向(+Z方向)に向けて赤色光LRを射出するように配置されている。したがって、青色半導体レーザー20Bから射出される青色光LBと、赤色半導体レーザー20Rから射出される赤色光LRとは、互いに直交する方向に向かって進む。ダイクロイックミラー21は、青色光LBの光路と赤色光LRの光路とが交差する位置に、各光路と45°の角度をなすように配置されている。
【0031】
ダイクロイックミラー21は、青色光LBを反射し、赤色光LRを透過する。そのため、ダイクロイックミラー21を通過した青色光LBと赤色光LRとは、ともに+Z方向に向かって進む。このように、ダイクロイックミラー21は、青色光LBと赤色光LRとを合成する光合成素子として機能する。なお、本実施形態の構成に代えて、青色半導体レーザー20Bの位置と赤色半導体レーザー20Rの位置とを入れ替え、青色光LBを透過し、赤色光LRを反射するダイクロイックミラーを用いる構成としてもよい。
本実施形態のダイクロイックミラー21は、特許請求の範囲の光合成素子に対応する。
【0032】
ここで、光の偏光方向に着目すると、青色光LBと赤色光LRとは、互いに同じ方向に向かって進むが、青色光LBの偏光方向と赤色光LRの偏光方向とは互いに異なる。
【0033】
現在のプロジェクター用の高出力半導体レーザーは、青色半導体レーザーとしてAlInGaN系の半導体レーザーが用いられ、赤色半導体レーザーとしてAlGaInP系の半導体レーザーが用いられることが一般的である。このように、青色半導体レーザー20Bと赤色半導体レーザー20Rとで構成材料が異なり、結晶構造が異なることに起因して、青色半導体レーザー20Bから射出される青色光LBの偏光方向と、赤色半導体レーザー20Rから射出される赤色光LRの偏光方向と、は互いに異なる。
【0034】
図3に示すように、青色半導体レーザー20Bは、青色光LBの主光線Abに沿う方向から見て、短辺と長辺とを有する長方形状の光射出面20abを有する。青色半導体レーザー20Bから射出される青色光LBは、光射出面20abの短手方向における発散角度が、光射出面20abの長手方向における発散角度よりも大きい。その結果、青色光LBの主光線Abに直交する断面は、光射出面20abの短手方向に沿う長軸、および光射出面20abの長手方向に沿う短軸を有する楕円形状となる。青色光LBの偏光方向PBは、光射出面20abの長手方向、すなわち、断面形状である楕円の短軸方向に一致する。
【0035】
一方、
図4に示すように、赤色半導体レーザー20Rについても、青色半導体レーザー20Bと同様、赤色光LRの主光線Arに直交する断面は、光射出面20arの短手方向に沿う長軸、および光射出面20arの長手方向に沿う短軸を有する楕円形状となる。ところが、上述した構成材料の違いに起因して、赤色光LRの偏光方向PRは、光射出面20arの短手方向、すなわち、断面形状である楕円の長軸方向に一致する。
【0036】
そのため、青色光LBと赤色光LRとがダイクロイックミラー21によって合成される場合に、青色光LBの断面形状である楕円の向きと、赤色光LRの断面形状である楕円の向きと、が一致するように合成されれば、青色光LBの偏光方向PBと、赤色光LRの偏光方向PRと、は互いに直交する。したがって、青色半導体レーザー20Bおよび赤色半導体レーザー20Rは、青色光LBが偏光分離素子30に対してP偏光およびS偏光のいずれか一方となり、赤色光LRが偏光分離素子30に対してP偏光およびS偏光のいずれか他方となるように配置されている。
【0037】
これに対し、
図5Aおよび
図6Aに示すように、2個の緑色半導体レーザー20Gは、上記の4個所のうち、-X側で-Y側の位置、および+X側で+Y側の位置にそれぞれ対応して配置されている。
【0038】
4個の集光レンズ24は、回転拡散板25の光入射側に設けられている。4個の集光レンズ24は、システム光軸Axを中心として、-X側で+Y側の位置、+X側で-Y側の位置、-X側で-Y側の位置、および+X側で+Y側の位置にそれぞれ設けられている。集光レンズ24は、集光レンズ24に入射する各色光LB,LR,LG,LGを回転拡散板25に向けて集光する。
【0039】
回転拡散板25は、4個の集光レンズ24の光射出側に設けられている。回転拡散板25は、4個の集光レンズ24に対して共通に設けられている。回転拡散板25は、モーター等の駆動源27によって、システム光軸Axに平行な回転軸を中心として回転可能とされている。回転拡散板25は、回転拡散板25に入射する各色光LB,LR,LG,LGを所定の拡散角に拡散させる。回転拡散板25は、入射光の光密度を低下させ、回転拡散板25の発熱を抑える点で好ましい。ただし、拡散板は、必ずしも回転しなくてもよい。
【0040】
4個のピックアップレンズ26は、回転拡散板25の光射出側に設けられている。4個のピックアップレンズ26は、システム光軸Axを中心として、-X側で+Y側の位置、+X側で-Y側の位置、-X側で-Y側の位置、および+X側で+Y側の位置にそれぞれ設けられている。ピックアップレンズ26は、回転拡散板25から射出される各色光LB,LR,LG,LGを後段の均一化装置4に導く。
【0041】
以下、光学装置3の構成について説明する。
図5Aおよび
図6Aに示すように、光学装置3は、偏光分離素子30と、位相差板31と、位相差板駆動機構32と、全反射ミラー33と、を有する。光学装置3は、青色光LBが第1サブ画素SX1に入射し、赤色光LRが第2サブ画素SX2に入射する第1期間と、青色光LBが第2サブ画素SX2に入射し、赤色光LRが第1サブ画素SX1に入射する第2期間と、を時間的に切り替える。
【0042】
偏光分離素子30は、ダイクロイックミラー21から射出される青色光LBおよび赤色光LRの光路上に設けられている。偏光分離素子30は、偏光分離素子30の光入射面30aに対するP偏光を透過し、光入射面30aに対するS偏光を反射する。
本実施形態のP偏光は、特許請求の範囲の第1偏光方向を有する光に対応する。本実施形態のS偏光は、特許請求の範囲の第2偏光方向を有する光に対応する。
【0043】
偏光分離素子30は、偏光分離素子30で反射したS偏光を、システム光軸Axと直交するXY平面内において-X側で+Y側の位置から+X側で-Y側の位置に向けて反射するように、角度が設定されている。そのため、システム光軸Axに沿って-Z側から見ると、偏光分離素子30で反射したS偏光は、-X側で+Y側の位置から+X側で-Y側の位置(左上から右下)に向けて斜めに進行する。
【0044】
位相差板31は、ダイクロイックミラー21と偏光分離素子30との間を進行する青色光LBおよび赤色光LRの光路上に設けられている。位相差板31は、位相差板31の光学軸が青色光LBの偏光方向および赤色光LRの偏光方向のそれぞれに対して45°の角度をなすように配置されている。これにより、位相差板31は、青色光LBおよび赤色光LRの双方に対して1/2波長の位相差を付与する。すなわち、位相差板31は、いわゆる広帯域位相差板から構成されている。したがって、青色光LBおよび赤色光LRの偏光方向は、位相差板31の透過前後で各色光LB,LRの主光線を中心として90°回転する。
【0045】
本実施形態の位相差板31には、システム光軸Axと直交するXY平面内の任意の方向に位相差板31を平行移動させる位相差板駆動機構32が設けられている。これにより、位相差板31は、ダイクロイックミラー21と偏光分離素子30との間を進行する青色光LBおよび赤色光LRの光路内と光路外とで移動可能とされている。位相差板駆動機構32は、例えばステッピングモーター等を有する任意の駆動機構から構成される。
【0046】
全反射ミラー33は、偏光分離素子30で反射したS偏光の光路上であって、上記の4個所のうち、+X側で-Y側の位置に設けられた集光レンズ24に対応して配置されている。全反射ミラー33は、偏光分離素子30で反射し、-X側で+Y側の位置から+X側で-Y側の位置に向かって進行してきたS偏光を、システム光軸Axと平行に+Z側に向けて反射するように、角度が設定されている。
【0047】
以下、4つのサブ画素SX1~SX4に対する各色光LB,LR,LGの入射位置の切り替えの一例を説明する。
図5Aに示すように、第1期間において、光学装置3は、位相差板駆動機構32を制御して、位相差板31を、ダイクロイックミラー21と偏光分離素子30との間を進行する青色光LBおよび赤色光LRの光路内に挿入した状態とする。このとき、上述したように、青色光LBおよび赤色光LRの偏光方向は、位相差板31の透過前後で90°回転する。これにより、光学装置3は、位相差板31から射出される青色光LBを偏光分離素子30に対するP偏光に変換し、位相差板31から射出される赤色光LRを偏光分離素子30に対するS偏光に変換する。
【0048】
この場合、青色光LBは、偏光分離素子30を透過し、システム光軸Axを中心として-X側で+Y側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置4を経て、光変調装置6に入射する。一方、赤色光LRは、偏光分離素子30で反射し、全反射ミラー33でさらに反射し、システム光軸Axを中心として+X側で-Y側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置4を経て、光変調装置6に入射する。
【0049】
これに対して、2個の緑色半導体レーザー20Gから射出される緑色光LGのそれぞれは、光学装置3を通らないため、緑色半導体レーザー20Gの位置から変化することなく、システム光軸Axを中心として-X側で-Y側の位置、および+X側で+Y側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置4を経て、光変調装置6に入射する。
【0050】
その結果、
図5Bに示すように、第1期間においては、青色光LBが第1サブ画素SX1に入射し、赤色光LRが第2サブ画素SX2に入射し、緑色光LGが第3サブ画素SX3に入射し、緑色光LGが第4サブ画素SX4に入射する。
【0051】
次に、
図6Aに示すように、第2期間において、光学装置3は、位相差板駆動機構32を制御して、位相差板31を、ダイクロイックミラー21と偏光分離素子30との間を進行する青色光LBおよび赤色光LRの光路外に脱離した状態とする。このとき、青色光LBおよび赤色光LRの偏光方向は、第1期間における各色光LB,LRの偏光方向に対して90°回転する。これにより、光学装置3は、位相差板31から射出される青色光LBを偏光分離素子30に対するS偏光に変換し、位相差板31から射出される赤色光LRを偏光分離素子30に対するP偏光に変換する。
【0052】
この場合、赤色光LRは、偏光分離素子30を透過し、システム光軸Axを中心として-X側で+Y側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置4を経て、光変調装置6に入射する。一方、青色光LBは、偏光分離素子30で反射し、全反射ミラー33でさらに反射し、システム光軸Axを中心として+X側で-Y側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置4を経て、光変調装置6に入射する。また、緑色光LGの位置は、第1期間と変わらない。
【0053】
その結果、
図6Bに示すように、第2期間においては、赤色光LRが第1サブ画素SX1に入射し、青色光LBが第2サブ画素SX2に入射し、緑色光LGが第3サブ画素SX3に入射し、緑色光LGが第4サブ画素SX4に入射する。すなわち、第1期間と第2期間とでは、青色光LBが入射するサブ画素と、赤色光LRが入射するサブ画素と、が第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2との間で入れ替わる。
【0054】
光学装置3は、プロジェクター1による画像投写時に第1期間と第2期間とを連続的に切り替えるのではなく、第1期間と第2期間とを所定のタイミングで間欠的に切り替える。すなわち、位相差板31の光路内外への出し入れは、所定のタイミングで間欠的に行われる。所定のタイミングとは、例えばプロジェクター1の電源投入時、プロジェクター1点灯後の一定時間経過時などである。
【0055】
本実施形態のプロジェクター1においては、第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2とに入射する色光LB,LRが時間的に切り替わるため、第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2とに供給する画像信号を、2つのサブ画素SX1,SX2に入射する色光LB,LRの切り替えに連動させて時間的に切り替える。すなわち、液晶パネル61の第1サブ画素SX1および第2サブ画素SX2には、現在が第1期間および第2期間のいずれの期間であるかに応じて、当該期間に対応する色光LB,LRの画像データが書き込まれる。また、第3サブ画素SX3と第4サブ画素SX4に対しては、現在が第1期間および第2期間のいずれの期間であるかに関わらず、緑色光LGの画像データが書き込まれる。このように、液晶パネル61によって変調された画像光は、投写光学装置7によって図示しないスクリーン等の被投写面上に投写される。
【0056】
[第1実施形態の効果]
本実施形態のプロジェクター1は、青色光LBと赤色光LRとを含む光Lを射出する光源装置2と、光源装置2から射出される光が入射する光学装置3と、光学装置3から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置6と、を備える。光変調装置6は、複数の画素PXを有する液晶パネル61を有し、複数の画素PXのそれぞれは、第1サブ画素SX1と、第2サブ画素SX2と、を少なくとも有する。光学装置3は、P偏光を透過し、S偏光を反射する偏光分離素子30と、光源装置2と偏光分離素子30との間に設けられる位相差板31と、を有する。光学装置3は、青色光LBが第1サブ画素SX1に入射し、赤色光LRが第2サブ画素SX2に入射する第1期間と、青色光LBが第2サブ画素SX2に入射し、赤色光LRが第1サブ画素SX1に入射する第2期間と、を時間的に切り替える。光学装置3は、第1期間において、位相差板31から射出される青色光LBをP偏光に変換し、位相差板31から射出される赤色光LRをS偏光に変換し、第2期間において、位相差板31から射出される青色光LBをS偏光に変換し、位相差板31から射出される赤色光LRをP偏光に変換する。
【0057】
この構成によれば、液晶パネル61の各画素PXを構成する第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2に入射する青色光LBと赤色光LRとが時間的に切り替わる。すなわち、青色光LBは、特定のサブ画素のみに入射することがない。青色光LBは、赤色光LRおよび緑色光LGに比べてエネルギーが高く、当該青色光LBが照射されるサブ画素に対して光照射によるダメージを及ぼしやすい。この問題に対し、本実施形態では、上述したように、青色光LBが入射するサブ画素が時間的に切り替わるため、青色光LBの照射によるダメージが軽減され、液晶パネル61の信頼性低下を抑制することができる。
【0058】
本実施形態のプロジェクター1において、位相差板31は、青色光LBおよび赤色光LRの双方に対して1/2波長の位相差を付与する。
【0059】
この構成によれば、1枚の位相差板31を用いるだけで、青色光LBの偏光方向と赤色光LRの偏光方向とを一括して変化させることができる。
【0060】
本実施形態のプロジェクター1において、位相差板31は、光源装置2と偏光分離素子30との間を進行する青色光LBおよび赤色光LRの光路内と光路外とで移動可能とされている。
【0061】
この構成によれば、1枚の位相差板31を青色光LBおよび赤色光LRの光路内外に出し入れするだけで、青色光LBの偏光方向と赤色光LRの偏光方向とを一括して変化させることができる。
【0062】
本実施形態のプロジェクター1において、光源装置2は、青色光LBを射出する青色半導体レーザー20Bと、赤色光LRを射出する赤色半導体レーザー20Rと、青色光LBと赤色光LRとを合成するダイクロイックミラー21と、を有し、青色半導体レーザー20Bおよび赤色半導体レーザー20Rは、青色光LBが偏光分離素子30に対してP偏光およびS偏光のいずれか一方となり、赤色光LRが偏光分離素子30に対してP偏光およびS偏光のいずれか他方となるように配置されている。
【0063】
この構成によれば、特に1/2波長板等を用いることなく、青色半導体レーザー20Bおよび赤色半導体レーザー20Rのそれぞれを適切な向きに配置するだけで、青色光LBを偏光分離素子30に対するP偏光およびS偏光のいずれか一方とし、赤色光LRを偏光分離素子30に対するP偏光およびS偏光のいずれか他方とすることができる。これにより、光学装置3の偏光分離素子30は、青色光LBと赤色光LRを確実に分離することができる。
【0064】
本実施形態のプロジェクター1において、光源装置2は、2つの緑色光LGをさらに射出し、複数の画素PXのそれぞれは、第3サブ画素SX3および第4サブ画素SX4をさらに有し、光変調装置6は、液晶パネル61の光入射側に設けられ、複数の画素のそれぞれに対応するマイクロレンズ621からなるマイクロレンズアレイ62をさらに有し、青色光LB、赤色光LR、および2つの緑色光LGは、マイクロレンズ621に対して互いに異なる角度で入射する。
【0065】
この構成によれば、青色光LB、赤色光LR、および2つの緑色光LGを4つのサブ画素SX1~SX4に空間的に分離して振り分けることができる。
【0066】
本実施形態のプロジェクター1において、光学装置3は、第1期間と第2期間とを所定のタイミングで間欠的に切り替える。
【0067】
この構成によれば、液晶パネル61に画像データを書き込まない期間に第1期間と第2期間とを切り替えることができるため、プロジェクター1は、所定の表示品質を維持することができる。
【0068】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、光学装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
また、第2実施形態の光源装置の構成は、第1実施形態の
図5Aの構成と同様であるため、図示を省略する。
【0069】
第1実施形態における光学装置3の位相差板31は、青色光LBおよび赤色光LRの光路内への挿入、および光路外への脱離が可能となっていた。これに対して、本実施形態における光学装置の位相差板は、青色光LBおよび赤色光LRの光路内に挿入されたままの状態となっている。ただし、本実施形態の位相差板は、位相差板の光入射面に交差する回転軸を中心として回転可能とされている。そのため、光学装置は、位相差板を回転させる位相差板駆動機構を有する。位相差板駆動機構は、例えばステッピングモーター等を有する任意の駆動機構から構成される。プロジェクターのその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0070】
通常、位相差板は、位相差板の光学軸が入射光の偏光方向に対して45°の角度をなすように配置されることが前提である。すなわち、位相差板は、位相差板の光学軸が入射光の偏光方向に対して45°の角度をなす場合に、本来の位相差素子として機能する。これに対して、位相差板の光学軸が入射光の偏光方向に対して0°の角度をなす場合、すなわち、位相差板の光学軸を入射光の偏光方向と平行にした場合には、位相差板は、位相差素子として機能せず、位相差板が存在しないことと光学的に等価である。
【0071】
したがって、第1期間において、位相差板を、位相差板の光学軸が青色光LBの偏光方向および赤色光LRの偏光方向に対して45°の角度をなすように配置する。このとき、光学装置は、第1実施形態の
図5Aと同様の状態となり、
図5Bに示すように、青色光LBが第1サブ画素SX1に入射し、赤色光LRが第2サブ画素SX2に入射し、緑色光LGが第3サブ画素SX3に入射し、緑色光LGが第4サブ画素SX4に入射する。
【0072】
次に、第2期間において、位相差板を第1期間の状態から45°回転させ、位相差板の光学軸が青色光LBおよび赤色光LRのいずれか一方の偏光方向に対して0°の角度をなすように配置する。このとき、位相差板は光路内に存在していても、光学装置は、第1実施形態の
図6Aと実質的に同様の状態となり、
図6Bに示すように、赤色光LRが第1サブ画素SX1に入射し、青色光LBが第2サブ画素SX2に入射し、緑色光LGが第3サブ画素SX3に入射し、緑色光LGが第4サブ画素SX4に入射する。
【0073】
本実施形態においても、第1実施形態と同様、光学装置は、プロジェクターによる画像投写時に、位相差板を連続的に回転させるのではなく、位相差板を所定のタイミングで間欠的に回転させる構成を有する。所定のタイミングとは、例えばプロジェクターの電源投入時、プロジェクターの点灯後の一定時間経過時などである。
【0074】
本実施形態においても、第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2とに入射する色光LB,LRが時間的に切り替わるため、2つのサブ画素SX1,SX2に供給する画像信号を、色光LB,LRの切り替えに連動させて時間的に切り替える。すなわち、液晶パネル61の第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2とには、現在が第1期間、第2期間のいずれの期間であるかに応じて、当該期間に対応する色光の画像データが書き込まれる。
【0075】
[第2実施形態の効果]
本実施形態のプロジェクターにおいても、青色光LBの照射によるダメージが軽減され、液晶パネル61の信頼性低下を抑制できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0076】
本実施形態のプロジェクターにおいて、位相差板は、位相差板の光入射面に交差する回転軸を中心として回転可能とされている。
【0077】
この構成によれば、1枚の位相差板を青色光LBおよび赤色光LRの光路内で45°回転させるだけで、青色光LBの偏光方向と赤色光LRの偏光方向とを一括して変化させることができる。
【0078】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図面を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、光源装置および光学装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
図7Aは、本実施形態のプロジェクターにおいて、第1期間における光源装置52および光学装置53の構成を示す斜視図である。
図7Bは、第1期間における液晶パネル61上での4つの色光の位置関係を示す模式図である。
図8Aは、第2期間における光源装置52および光学装置53の構成を示す斜視図である。
図8Bは、第2期間における液晶パネル61上での4つの色光の位置関係を示す模式図である。
本実施形態で用いる図面において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0079】
図7Aおよび
図8Aに示すように、本実施形態のプロジェクターにおいて、光源装置52は、青色半導体レーザー20Bと、赤色半導体レーザー20Rと、ダイクロイックミラー21と、2個の緑色半導体レーザー20Gと、4個のコリメーターレンズ22と、を有する。
【0080】
第1実施形態と同様、4個の半導体レーザー20B,20R,20G,20Gから射出される4本の色光LB,LR,LG,LGは、システム光軸Axを中心として、-X側で+Y側の位置、+X側で-Y側の位置、-X側で-Y側の位置、および+X側で+Y側の位置に入射する。本実施形態の場合、青色半導体レーザー20B、赤色半導体レーザー20R、およびダイクロイックミラー21は、上記の4個所のうち、+X側で-Y側の位置に対応して配置されている。2個の緑色半導体レーザー20Gは、上記の4個所のうち、-X側で-Y側の位置、および-X側で+Y側の位置にそれぞれ対応して配置されている。
【0081】
光学装置53は、偏光分離素子30と、位相差板31と、位相差板駆動機構32と、全反射ミラー33と、を有する。光学装置53は、青色光LBが第1サブ画素SX1に入射し、赤色光LRが第2サブ画素SX2に入射する第1期間と、青色光LBが第2サブ画素SX2に入射し、赤色光LRが第1サブ画素SX1に入射する第2期間と、を時間的に切り替える。
【0082】
偏光分離素子30は、-Z方向から偏光分離素子30に入射するS偏光をYZ平面内で反射し、+Y方向に進行するように、角度が設定されている。そのため、システム光軸Axに沿って-Z側から見ると、偏光分離素子30で反射したS偏光は、+X側で-Y側の位置から+X側で+Y側の位置(下から上)に向けて進行する。
【0083】
第1実施形態と同様、位相差板31は、位相差板駆動機構32によって、ダイクロイックミラー21と偏光分離素子30との間を進行する青色光LBおよび赤色光LRの光路内と光路外とで移動可能とされている。
【0084】
全反射ミラー33は、偏光分離素子30で反射したS偏光の光路上であって、上記の4個所のうち、+X側で+Y側の位置に対応して配置されている。全反射ミラー33は、偏光分離素子30で反射し、-Y側から+Y側に向かって進行してきたS偏光を、システム光軸Axと平行に+Z側に向けて反射するように、角度が設定されている。
【0085】
以下、4つのサブ画素SX1~SX4に対する各色光LB,LR,LGの入射位置の切り替えの一例を説明する。
なお、本実施形態においては、4つのサブ画素SX1~SX4の位置関係が第1実施形態とは異なり、画素PXの中心に対して、+X方向で-Y方向の位置に、第1サブ画素SX1が配置されている。+X方向で+Y方向の位置に、第2サブ画素SX2が配置されている。-X方向で+Y方向の位置に、第3サブ画素SX3が配置されている。-X方向で-Y方向の位置に、第4サブ画素SX4が配置されている。
【0086】
図7Aに示すように、第1期間において、光学装置53は、位相差板31を、ダイクロイックミラー21と偏光分離素子30との間を進行する青色光LBおよび赤色光LRの光路内に挿入した状態とする。これにより、光学装置53は、位相差板31から射出される青色光LBを偏光分離素子30に対するP偏光に変換し、位相差板31から射出される赤色光LRを偏光分離素子30に対するS偏光に変換する。
【0087】
この場合、青色光LBは、偏光分離素子30を透過し、システム光軸Axを中心として+X側で-Y側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置4を経て、光変調装置6に入射する。一方、赤色光LRは、偏光分離素子30で反射し、全反射ミラー33でさらに反射し、システム光軸Axを中心として+X側で+Y側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置4を経て、光変調装置6に入射する。2つの緑色光LGのそれぞれは、システム光軸Axを中心として-X側で+Y側の位置、および-X側で-Y側の位置から光変調装置6に入射する。
【0088】
その結果、
図7Bに示すように、第1期間においては、青色光LBが第1サブ画素SX1に入射し、赤色光LRが第2サブ画素SX2に入射し、緑色光LGが第3サブ画素SX3に入射し、緑色光LGが第4サブ画素SX4に入射する。
【0089】
次に、
図8Aに示すように、第2期間において、光学装置53は、位相差板31を、ダイクロイックミラー21と偏光分離素子30との間を進行する青色光LBおよび赤色光LRの光路外に脱離した状態とする。これにより、光学装置53は、位相差板31から射出される青色光LBを偏光分離素子30に対するS偏光に変換し、位相差板31から射出される赤色光LRを偏光分離素子30に対するP偏光に変換する。
【0090】
この場合、赤色光LRは、偏光分離素子30を透過し、システム光軸Axを中心として+X側で-Y側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置4を経て、光変調装置6に入射する。一方、青色光LBは、偏光分離素子30で反射し、全反射ミラー33でさらに反射し、システム光軸Axを中心として+X側で+Y側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置4を経て、光変調装置6に入射する。また、緑色光LGの位置は、第1期間と変わらない。
【0091】
その結果、
図8Bに示すように、第2期間においては、赤色光LRが第1サブ画素SX1に入射し、青色光LBが第2サブ画素SX2に入射し、緑色光LGが第3サブ画素SX3に入射し、緑色光LGが第4サブ画素SX4に入射する。すなわち、第1期間と第2期間とでは、青色光LBが入射するサブ画素と、赤色光LRが入射するサブ画素と、が第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2との間で入れ替わる。
【0092】
光学装置53は、第1期間と第2期間とを所定のタイミングで間欠的に切り替える。すなわち、位相差板31の光路内外への出し入れは、所定のタイミングで間欠的に行われる。所定のタイミングとは、例えばプロジェクターの電源投入時、プロジェクター点灯後の一定時間経過時などである。
【0093】
本実施形態のプロジェクターにおいては、第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2とに入射する色光LB,LRが時間的に切り替わるため、第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2とに供給する画像信号を、2つのサブ画素SX1,SX2に入射する色光LB,LRの切り替えに連動させて時間的に切り替える。すなわち、液晶パネル61の第1サブ画素SX1および第2サブ画素SX2には、現在が第1期間および第2期間のいずれの期間であるかに応じて、当該期間に対応する色光LB,LRの画像データが書き込まれる。
【0094】
[第3実施形態の効果]
本実施形態のプロジェクターにおいても、青色光LBの照射によるダメージが軽減され、液晶パネル61の信頼性低下を抑制できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0095】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
第4実施形態のプロジェクターの構成は第3実施形態と同様であり、光学装置の構成が第3実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
また、第4実施形態の光源装置の構成は、第3実施形態の
図7Aの構成と同様であるため、図示を省略する。
【0096】
本実施形態のプロジェクターにおいて、光学装置の位相差板は、位相差板の光入射面に交差する回転軸を中心として回転可能とされている。これにより、第2実施形態で説明したように、光学装置は、位相差板を光路内外に出し入れする第3実施形態の光学装置53と同等の機能を有する。プロジェクターのその他の構成は、第3実施形態と同様である。
【0097】
[第4実施形態の効果]
本実施形態のプロジェクターにおいても、青色光LBの照射によるダメージが軽減され、液晶パネル61の信頼性低下を抑制できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0098】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、図面を用いて説明する。
第5実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、光源装置および光学装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
図9Aは、本実施形態のプロジェクターにおいて、第1期間における光源装置72および光学装置73の構成を示す平面図である。
図9Bは、第1期間における液晶パネル上での3つの色光の位置関係を示す模式図である。
図10Aは、第2期間における光源装置72および光学装置73の構成を示す平面図である。
図10Bは、第2期間における液晶パネル上での3つの色光の位置関係を示す模式図である。
本実施形態で用いる図面において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0099】
図9Aおよび
図10Aに示すように、本実施形態のプロジェクターにおいて、光源装置72は、青色半導体レーザー20Bと、赤色半導体レーザー20Rと、ダイクロイックミラー21と、緑色半導体レーザー20Gと、を有する。
【0100】
3個の半導体レーザー20B,20R,20Gから射出される3本の色光LB,LR,LGは、回転拡散板25の光入射面25aにおいて、システム光軸Axを中心として、-X側の位置、+X側の位置、および上記2つの位置の中間位置にそれぞれ入射する。青色半導体レーザー20B、赤色半導体レーザー20R、およびダイクロイックミラー21は、上記の3個所のうち、-X側の位置に対応して配置されている。緑色半導体レーザー20Gは、中間位置に対応して配置されている。
【0101】
青色半導体レーザー20Bは、システム光軸Axに垂直な方向(+X方向)に向けて青色光LBを射出するように配置されている。一方、赤色半導体レーザー20Rは、システム光軸Axに平行な方向(+Z方向)に向けて赤色光LRを射出するように配置されている。したがって、青色半導体レーザー20Bから射出される青色光LBと、赤色半導体レーザー20Rから射出される赤色光LRとは、互いに直交する方向に向かって進む。ダイクロイックミラー21は、青色光LBの光路と赤色光LRの光路とが交差する位置に、各光路と45°の角度をなすように配置されている。
【0102】
ダイクロイックミラー21は、青色光LBを反射し、赤色光LRを透過する。そのため、ダイクロイックミラー21を通過した青色光LBと赤色光LRとは、ともに+Z方向に向かって進む。なお、本実施形態の構成に代えて、青色半導体レーザー20Bの位置と赤色半導体レーザー20Rの位置とを入れ替え、青色光LBを透過し、赤色光LRを反射するダイクロイックミラーを用いてもよい。本実施形態においても、第1実施形態と同様、青色光LBと赤色光LRとがダイクロイックミラー21によって合成される際、青色光LBの断面形状である楕円の向きと、赤色光LRの断面形状である楕円の向きと、が互いに一致するように合成される。このとき、青色光LBの偏光方向と赤色光LRの偏光方向とは互いに直交する。
【0103】
本実施形態においては、液晶パネルの複数の画素のそれぞれは、3つのサブ画素を有する。画素PXの中心に対して、-X側の位置に、第1サブ画素SX1が配置されている。+X側の位置に、第2サブ画素SX2が配置されている。画素PXの中央に、第3サブ画素SX3が配置されている。
【0104】
以下、3つのサブ画素SX1~SX3に対する各色光LB,LR,LGの入射位置の切り替えの一例を説明する。
図9Aに示すように、第1期間において、光学装置73は、位相差板31を、ダイクロイックミラー21と偏光分離素子30との間を進行する青色光LBおよび赤色光LRの光路内に挿入した状態とする。これにより、光学装置73は、位相差板31から射出される青色光LBを偏光分離素子30に対するP偏光に変換し、位相差板31から射出される赤色光LRを偏光分離素子30に対するS偏光に変換する。
【0105】
この場合、青色光LBは、偏光分離素子30を透過し、システム光軸Axを中心として-X側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置を経て、光変調装置に入射する。一方、赤色光LRは、偏光分離素子30で反射し、全反射ミラー33でさらに反射し、システム光軸Axを中心として+X側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置を経て、光変調装置に入射する。緑色光LGは、青色光LBと赤色光LRとの間の位置から光変調装置に入射する。青色光LB、赤色光LRおよび緑色光LGは、レンズアレイの各レンズに対して互いに異なる角度で入射する。
【0106】
その結果、
図9Bに示すように、第1期間においては、青色光LBが第1サブ画素SX1に入射し、赤色光LRが第2サブ画素SX2に入射し、緑色光LGが第3サブ画素SX3に入射する。
【0107】
次に、
図10Aに示すように、第2期間において、光学装置73は、位相差板31を、ダイクロイックミラー21と偏光分離素子30との間を進行する青色光LBおよび赤色光LRの光路外に脱離した状態とする。これにより、光学装置73は、位相差板31から射出される青色光LBを偏光分離素子30に対するS偏光に変換し、位相差板31から射出される赤色光LRを偏光分離素子30に対するP偏光に変換する。
【0108】
この場合、赤色光LRは、偏光分離素子30を透過し、システム光軸Axを中心として-X側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置を経て、光変調装置に入射する。一方、青色光LBは、偏光分離素子30で反射し、全反射ミラー33でさらに反射し、システム光軸Axを中心として+X側の位置から集光レンズ24を介して回転拡散板25に入射し、ピックアップレンズ26および均一化装置を経て、光変調装置に入射する。また、緑色光LGの位置は、第1期間と変わらない。
【0109】
その結果、
図10Bに示すように、第2期間においては、赤色光LRが第1サブ画素SX1に入射し、青色光LBが第2サブ画素SX2に入射し、緑色光LGが第3サブ画素SX3に入射する。すなわち、第1期間と第2期間とでは、青色光LBが入射するサブ画素と、赤色光LRが入射するサブ画素と、が第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2との間で入れ替わる。
【0110】
光学装置73は、第1期間と第2期間とを所定のタイミングで間欠的に切り替える。すなわち、位相差板31の光路内外への出し入れは、所定のタイミングで間欠的に行われる。所定のタイミングとは、例えばプロジェクターの電源投入時、プロジェクター点灯後の一定時間経過時などである。
【0111】
本実施形態のプロジェクターにおいては、第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2とに入射する色光LB,LRが時間的に切り替わるため、第1サブ画素SX1と第2サブ画素SX2とに供給する画像信号を、2つのサブ画素SX1,SX2に入射する色光LB,LRの切り替えに連動させて時間的に切り替える。すなわち、液晶パネルの第1サブ画素SX1および第2サブ画素SX2には、現在が第1期間および第2期間のいずれの期間であるかに応じて、当該期間に対応する色光LB,LRの画像データが書き込まれる。
【0112】
[第5実施形態の効果]
本実施形態のプロジェクターにおいても、青色光LBの照射によるダメージが軽減され、液晶パネル61の信頼性低下を抑制できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0113】
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態について説明する。
第6実施形態のプロジェクターの構成は第5実施形態と同様であり、光学装置の構成が第5実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
また、第6実施形態の光源装置の構成は、第5実施形態の
図9Aの構成と同様であるため、図示を省略する。
【0114】
本実施形態のプロジェクターにおいて、光学装置の位相差板は、位相差板の光入射面に交差する回転軸を中心として回転可能とされている。これにより、第2実施形態で説明したように、光学装置は、位相差板を光路内外に出し入れする第5実施形態の光学装置73と同等の機能を有する。プロジェクターのその他の構成は、第5実施形態と同様である。
【0115】
[第6実施形態の効果]
本実施形態のプロジェクターにおいても、青色光LBの照射によるダメージが軽減され、液晶パネル61の信頼性低下を抑制できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0116】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えばプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、本発明を、投写光学装置を持たない表示装置に適用してもよい。
【0117】
本発明の一つの態様の表示装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の表示装置は、第1波長帯を有する第1光と、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光と、を含む光を射出する光源装置と、前記光源装置から射出される光が入射する光学装置と、前記光学装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、を備え、前記光変調装置は、複数の画素を有する液晶パネルを有し、前記複数の画素のそれぞれは、第1サブ画素と、第2サブ画素と、を少なくとも有し、前記光学装置は、第1偏光方向を有する光を透過し、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向を有する光を反射する偏光分離素子と、前記光源装置と前記偏光分離素子との間に設けられる位相差板と、を有し、前記光学装置は、前記第1光が前記第1サブ画素に入射し、前記第2光が前記第2サブ画素に入射する第1期間と、前記第1光が前記第2サブ画素に入射し、前記第2光が前記第1サブ画素に入射する第2期間と、を時間的に切り替え、前記光学装置は、前記第1期間において、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第1偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、前記第2期間において、前記位相差板から射出される前記第1光を前記第2偏光方向を有する光に変換し、前記位相差板から射出される前記第2光を前記第1偏光方向を有する光に変換する。
【0118】
本発明の一つの態様の表示装置において、前記位相差板は、前記第1波長帯の光および前記第2波長帯の光に対して1/2波長の位相差を付与してもよい。
【0119】
本発明の一つの態様の表示装置において、前記位相差板は、前記光源装置と前記偏光分離素子との間を進行する光の光路内と光路外とで移動可能とされてもよい。
【0120】
本発明の一つの態様の表示装置において、前記位相差板は、光入射面を有し、前記光入射面に交差する回転軸を中心として回転可能とされてもよい。
【0121】
本発明の一つの態様の表示装置において、前記光源装置は、前記第1光を射出する第1発光素子と、前記第2光を射出する第2発光素子と、前記第1光と前記第2光とを合成する光合成素子と、を有し、前記第1発光素子および前記第2発光素子は、前記第1光が前記偏光分離素子に対して前記第1偏光方向を有する光および前記第2偏光方向を有する光のいずれか一方となり、前記第2光が前記偏光分離素子に対して前記第1偏光方向を有する光および前記第2偏光方向を有する光のいずれか他方となるように配置されてもよい。
【0122】
本発明の一つの態様の表示装置において、前記光源装置は、前記第1波長帯および前記第2波長帯とは異なる第3波長帯を有する第3光をさらに射出し、前記複数の画素のそれぞれは、第3サブ画素をさらに有し、前記光変調装置は、前記液晶パネルに対して光入射側に設けられるレンズアレイをさらに有し、前記レンズアレイは、前記複数の画素のそれぞれに対応するレンズを有し、前記第1光、前記第2光および前記第3光は、前記レンズに対して互いに異なる角度で入射してもよい。
【0123】
本発明の一つの態様の表示装置において、前記第1光は青色光であり、前記第2光は赤色光であり、前記第3光は緑色光であってもよい。
【0124】
本発明の一つの態様の表示装置において、前記光源装置は、前記第3波長帯を有する第4光をさらに射出し、前記複数の画素のそれぞれは、第4サブ画素をさらに有し、前記第1光、前記第2光、前記第3光および前記第4光は、前記レンズに対して互いに異なる角度で入射してもよい。
【0125】
本発明の一つの態様の表示装置において、前記第1光は青色光であり、前記第2光は赤色光であり、前記第3光は緑色光であり、前記第4光は緑色光であってもよい。
【0126】
本発明の一つの態様の表示装置において、前記光学装置は、前記第1期間と前記第2期間とを所定のタイミングで間欠的に切り替えてもよい。
【0127】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の表示装置と、前記表示装置から射出される光を投写する投写光学装置と、を備える。
【符号の説明】
【0128】
1,11…プロジェクター、2,52,72…光源装置、3,53,73…光学装置、6…光変調装置、7…投写光学装置、20B…青色半導体レーザー(第1発光素子)、20R…赤色半導体レーザー(第2発光素子)、21…ダイクロイックミラー(光合成素子)、30…偏光分離素子、31…位相差板、61…液晶パネル、62…マイクロレンズアレイ、621…マイクロレンズ、LB…青色光(第1光)、LR…赤色光(第2光)、LG…緑色光(第3光、第4光)、PX…画素、SX…サブ画素、SX1…第1サブ画素、SX2…第2サブ画素、SX3…第3サブ画素、SX4…第4サブ画素。