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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/47 20060101AFI20240910BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240910BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240910BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01N21/47 B
G03G21/00 370
B41J29/38
B65H7/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021017995
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2022120933
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】神保 典幸
(72)【発明者】
【氏名】井口 幸宣
(72)【発明者】
【氏名】林 健一
(72)【発明者】
【氏名】木俣 明則
(72)【発明者】
【氏名】梅田 史郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-194704(JP,A)
【文献】特開2006-126508(JP,A)
【文献】特開2020-183891(JP,A)
【文献】特開2017-187431(JP,A)
【文献】特開2014-163723(JP,A)
【文献】特開2010-107730(JP,A)
【文献】特開2013-015575(JP,A)
【文献】特開2015-215338(JP,A)
【文献】特開2006-023288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/61
G03G 21/00
G03G 15/00
B41J 29/38-29/393
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材と、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別手段が前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値と前記記録媒体に照射される前記光源の光量の少なくともいずれかを補正する補正手段と、
を備え、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報は前記記録媒体の累積の通紙枚数であり、
前記基準部材は有色であり、前記累積の通紙枚数は白色の記録媒体の通紙枚数であり、
前記補正手段は、前記判別手段による白色の記録媒体の種類の判別結果と累積の通紙枚数とから前記基準部材の紙粉量の多少を推測し、紙粉量が多いと判断した場合は前記閾値を上げる、又は、前記光量を下げる補正を行い、紙粉量が少ないと判断した場合は前記閾値を下げる、又は、前記光量を上げる補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
光源と、
前記光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材と、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別手段が前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値と前記記録媒体に照射される前記光源の光量の少なくともいずれかを補正する補正手段と、
を備え、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報は前記記録媒体の累積の通紙枚数であり、
前記基準部材は白色であり、前記累積の通紙枚数は有色の記録媒体の通紙枚数であり、
前記補正手段は、有色の記録媒体の累積の通紙枚数に応じて前記閾値を下げる、又は、前記光量を上げる補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
光源と、
前記光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材と、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別手段が前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値と前記記録媒体に照射される前記光源の光量の少なくともいずれかを補正する補正手段と、
を備え、
キャリブレーション時に、前記検知手段により検知された前記基準部材に照射された光の反射光量が増加したか否かに応じて、前記補正手段は、前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
光源と、
前記光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材と、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別手段が前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値と前記記録媒体に照射される前記光源の光量の少なくともいずれかを補正する補正手段と、
を備え、
前記判別手段により判別された、前記基準部材よりも反射率が低い種類の記録媒体と高い種類の記録媒体の通紙比率に応じて、前記補正手段は、前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
光源と、
前記光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材と、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別手段が前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値と前記記録媒体に照射される前記光源の光量の少なくともいずれかを補正する補正手段と、
計数手段と、
を備え、
前記計数手段は、前記基準部材の反射率と同等の反射率を有する記録媒体を通紙した場合にはカウントせず、基準部材よりも反射率が高い記録媒体を通紙した場合には加算カウントし、基準部材よりも反射率が低い記録媒体を通紙した場合には減算カウントし、
前記補正手段は、前記計数手段による累積のカウント値に応じて前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記補正手段は、前記判別手段による有色の記録媒体の種類の判別結果から基準部材の紙粉量の多少を推測し、紙粉量が多いと判断した場合は前記閾値を下げる、又は、前記光量を上げる補正を行い、紙粉量が少ないと判断した場合は前記閾値を上げる、又は、前記光量を下げる補正を行う、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記基準部材の紙粉量の多少を、前記判別手段による記録媒体の種類の判別結果及び/または記録媒体の通紙枚数から推測し、紙粉量が多いと判断した場合はユーザーに前記基準部材の清掃を促す表示を行う請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記補正手段による閾値または光量の補正量が規定量以上のときに、ユーザーに前記基準部材の清掃を促す表示を行う請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記検知手段は第1の検知手段として前記光源から前記基準部材に照射され基準部材から反射された拡散光を検知し、
前記光源から基準部材に照射された光の正反射光を検知する第2の検知手段を備え、
前記補正手段は、前記第2の検知手段により検知された正反射光の検知結果と、前記第1の検知手段により検知された拡散光の検知結果の比較に基づいて、前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別ステップと、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別ステップで前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値もしくは、前記記録媒体に照射される前記光源の光量を補正する補正ステップと、
を実行させ、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報は前記記録媒体の累積の通紙枚数であり、
前記基準部材は有色であり、前記累積の通紙枚数は白色の記録媒体の通紙枚数であり、
前記補正ステップでは、前記判別ステップによる白色の記録媒体の種類の判別結果と累積の通紙枚数とから前記基準部材の紙粉量の多少を推測し、紙粉量が多いと判断した場合は前記閾値を上げる、又は、前記光量を下げる補正を行い、紙粉量が少ないと判断した場合は前記閾値を下げる、又は、前記光量を上げる補正を行う処理を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別ステップと、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別ステップで前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値もしくは、前記記録媒体に照射される前記光源の光量を補正する補正ステップと、
を実行させ、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報は前記記録媒体の累積の通紙枚数であり、
前記基準部材は白色であり、前記累積の通紙枚数は有色の記録媒体の通紙枚数であり、
前記補正ステップでは、有色の記録媒体の累積の通紙枚数に応じて前記閾値を下げる、又は、前記光量を上げる補正を行う処理を実行させるためのプログラム。
【請求項12】
光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別ステップと、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別ステップで前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値もしくは、前記記録媒体に照射される前記光源の光量を補正する補正ステップと、
を実行させ、
キャリブレーション時に、前記検知手段により検知された前記基準部材に照射された光の反射光量が増加したか否かに応じて、前記補正ステップでは、前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断する処理を実行させるためのプログラム。
【請求項13】
光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別ステップと、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別ステップで前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値もしくは、前記記録媒体に照射される前記光源の光量を補正する補正ステップと、
を実行させ、
前記判別ステップにより判別された、前記基準部材よりも反射率が低い種類の記録媒体と高い種類の記録媒体の通紙比率に応じて、前記補正ステップでは、前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断する処理を実行させるためのプログラム。
【請求項14】
光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別ステップと、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別ステップで前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値もしくは、前記記録媒体に照射される前記光源の光量を補正する補正ステップと、
計数ステップと、
を実行させ、
前記計数ステップでは、前記基準部材の反射率と同等の反射率を有する記録媒体を通紙した場合にはカウントせず、基準部材よりも反射率が高い記録媒体を通紙した場合には加算カウントし、基準部材よりも反射率が低い記録媒体を通紙した場合には減算カウントし、
前記補正ステップでは、前記計数ステップによる累積のカウント値に応じて前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断する処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像が印刷される記録媒体の種類の判別機能を有する、複写機、プリンタ、多機能デジタル複合機(MFP)等の画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような記録媒体の種類の判別機能を有する画像形成装置として、光源から記録媒体に照射された光の反射光を光学センサーにより受光し、その出力に基づいて記録媒体の種類を判別する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置には、反射光の調整のためのキャリブレーションを行うための基準板を備えたものが存在する。
【0003】
例えば特許文献1には、照射光を照射するための光源と、照射光を反射するための基準板と、光源と同じ側に配置され、記録媒体、および、基準板の少なくとも一方で反射される照射光の光量を検知するための光学センサーを備え、基準板で反射される照射光の光量に基づいて、記録媒体で反射される照射光の光量を補正し、補正した光量に基づいて記録媒体の種類を検知する画像形成装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、光学反射率を検知する複数の検知手段を有する画像形成装置で、予め1つの検知手段の対面位置に設置される基準板の光学反射率を前記複数の検知手段で検知して、その検知結果を記憶しておき、製品使用時に、複数の検知手段で同一の記録媒体の光学反射率を検知して、記憶された基準板の検知結果と検知された記録媒体の検知結果との関係から検知手段の補正が必要か否かと、どちらの検知手段を補正するかを判定する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-105710号公報
【文献】特許第4847391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された、反射光のキャリブレーションを行うための基準板を有する画像形成装置では、基準板からの反射光を基に、キャリブレーションを行っていたが、次のような問題があった。
【0007】
即ち、記録媒体は搬送路に沿って通紙されるが、通紙が繰り返されることによって記録媒体の紙粉が基準板に付着し溜まってしまう。このため、例えば基準板が白色以外の有色で記録媒体が白色である場合は、白色の紙粉が基準板に溜まってしまい、キャリブレーション時に基準板面の反射率が付着した白色紙粉の影響で高くなってしまう。基準板からの反射率が高くなると、画像形成装置は記録媒体の種類を判別するための所定の閾値を上げ、若しくは光源から出力される光量を下げる等の調整を行うが、その結果、記録媒体の種類判別の精度が低下し、普通紙を再生紙と誤判別するといった誤判別が発生するという課題があった。
【0008】
この発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、基準板の紙粉汚れによる記録媒体の種類判別の精度低下を防止することができる画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)光源と、
前記光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材と、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別手段が前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値と前記記録媒体に照射される前記光源の光量の少なくともいずれかを補正する補正手段と、
を備え、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報は前記記録媒体の累積の通紙枚数であり、
前記基準部材は有色であり、前記累積の通紙枚数は白色の記録媒体の通紙枚数であり、
前記補正手段は、前記判別手段による白色の記録媒体の種類の判別結果と累積の通紙枚数とから前記基準部材の紙粉量の多少を推測し、紙粉量が多いと判断した場合は前記閾値を上げる、又は、前記光量を下げる補正を行い、紙粉量が少ないと判断した場合は前記閾値を下げる、又は、前記光量を上げる補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
(2)光源と、
前記光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材と、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別手段が前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値と前記記録媒体に照射される前記光源の光量の少なくともいずれかを補正する補正手段と、
を備え、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報は前記記録媒体の累積の通紙枚数であり、
前記基準部材は白色であり、前記累積の通紙枚数は有色の記録媒体の通紙枚数であり、
前記補正手段は、有色の記録媒体の累積の通紙枚数に応じて前記閾値を下げる、又は、前記光量を上げる補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
(3)光源と、
前記光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材と、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別手段が前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値と前記記録媒体に照射される前記光源の光量の少なくともいずれかを補正する補正手段と、
を備え、
キャリブレーション時に、前記検知手段により検知された前記基準部材に照射された光の反射光量が増加したか否かに応じて、前記補正手段は、前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断することを特徴とする画像形成装置。
(4)光源と、
前記光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材と、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別手段が前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値と前記記録媒体に照射される前記光源の光量の少なくともいずれかを補正する補正手段と、
を備え、
前記判別手段により判別された、前記基準部材よりも反射率が低い種類の記録媒体と高い種類の記録媒体の通紙比率に応じて、前記補正手段は、前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断することを特徴とする画像形成装置。
(5)光源と、
前記光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材と、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別手段が前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値と前記記録媒体に照射される前記光源の光量の少なくともいずれかを補正する補正手段と、
計数手段と、
を備え、
前記計数手段は、前記基準部材の反射率と同等の反射率を有する記録媒体を通紙した場合にはカウントせず、基準部材よりも反射率が高い記録媒体を通紙した場合には加算カウントし、基準部材よりも反射率が低い記録媒体を通紙した場合には減算カウントし、
前記補正手段は、前記計数手段による累積のカウント値に応じて前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断することを特徴とする画像形成装置。
(6)前記補正手段は、前記判別手段による有色の記録媒体の種類の判別結果から基準部材の紙粉量の多少を推測し、紙粉量が多いと判断した場合は前記閾値を下げる、又は、前記光量を上げる補正を行い、紙粉量が少ないと判断した場合は前記閾値を上げる、又は、前記光量を下げる補正を行う、前項2に記載の画像形成装置。
(7)前記基準部材の紙粉量の多少を、前記判別手段による記録媒体の種類の判別結果及び/または記録媒体の通紙枚数から推測し、紙粉量が多いと判断した場合はユーザーに前記基準部材の清掃を促す表示を行う前項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
(8)前記補正手段による閾値または光量の補正量が規定量以上のときに、ユーザーに前記基準部材の清掃を促す表示を行う前項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
(9)前記検知手段は第1の検知手段として前記光源から前記基準部材に照射され基準部材から反射された拡散光を検知し、
前記光源から基準部材に照射された光の正反射光を検知する第2の検知手段を備え、
前記補正手段は、前記第2の検知手段により検知された正反射光の検知結果と、前記第1の検知手段により検知された拡散光の検知結果の比較に基づいて、前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断する前項1または2に記載の画像形成装置。
(10)光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別ステップと、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別ステップで前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値もしくは、前記記録媒体に照射される前記光源の光量を補正する補正ステップと、
を実行させ、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報は前記記録媒体の累積の通紙枚数であり、
前記基準部材は有色であり、前記累積の通紙枚数は白色の記録媒体の通紙枚数であり、
前記補正ステップでは、前記判別ステップによる白色の記録媒体の種類の判別結果と累積の通紙枚数とから前記基準部材の紙粉量の多少を推測し、紙粉量が多いと判断した場合は前記閾値を上げる、又は、前記光量を下げる補正を行い、紙粉量が少ないと判断した場合は前記閾値を下げる、又は、前記光量を上げる補正を行う処理を実行させるためのプログラム。
(11)光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別ステップと、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別ステップで前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値もしくは、前記記録媒体に照射される前記光源の光量を補正する補正ステップと、
を実行させ、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報は前記記録媒体の累積の通紙枚数であり、
前記基準部材は白色であり、前記累積の通紙枚数は有色の記録媒体の通紙枚数であり、
前記補正ステップでは、有色の記録媒体の累積の通紙枚数に応じて前記閾値を下げる、又は、前記光量を上げる補正を行う処理を実行させるためのプログラム。
(12)光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別ステップと、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別ステップで前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値もしくは、前記記録媒体に照射される前記光源の光量を補正する補正ステップと、
を実行させ、
キャリブレーション時に、前記検知手段により検知された前記基準部材に照射された光の反射光量が増加したか否かに応じて、前記補正ステップでは、前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断する処理を実行させるためのプログラム。
(13)光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別ステップと、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別ステップで前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値もしくは、前記記録媒体に照射される前記光源の光量を補正する補正ステップと、
を実行させ、
前記判別ステップにより判別された、前記基準部材よりも反射率が低い種類の記録媒体と高い種類の記録媒体の通紙比率に応じて、前記補正ステップでは、前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断する処理を実行させるためのプログラム。
(14)光源から記録媒体に照射された光の反射光を検知する検知手段と、前記反射光のキャリブレーションを行うための基準部材を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記検知手段による検知結果と所定の閾値とに基づいて前記記録媒体の種類を判別する判別ステップと、
前記基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、前記判別ステップで前記記録媒体の種類を判別するための前記所定の閾値もしくは、前記記録媒体に照射される前記光源の光量を補正する補正ステップと、
計数ステップと、
を実行させ、
前記計数ステップでは、前記基準部材の反射率と同等の反射率を有する記録媒体を通紙した場合にはカウントせず、基準部材よりも反射率が高い記録媒体を通紙した場合には加算カウントし、基準部材よりも反射率が低い記録媒体を通紙した場合には減算カウントし、
前記補正ステップでは、前記計数ステップによる累積のカウント値に応じて前記基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断する処理を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0010】
前項(1)に記載の発明によれば、基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、判別手段が記録媒体の種類を判別するための所定の閾値と記録媒体に照射される光源の光量の少なくともいずれかが補正されるから、基準部材が紙粉により汚れても、記録媒体の種類の誤判別を防止でき、精度の高い記録媒体の種類判別を行うことができる。
【0011】
また、基準部材に付着した紙粉量の多少に影響する記録媒体の通紙枚数に応じて補正が行われるから、より精度の高い記録媒体の種類判別を行うことができる。
【0012】
また、基準部材が有色であり、白色の記録媒体の累積の通紙枚数に応じて補正を行うから、有色の基準部材に白色の紙粉が付着した場合に精度の高い記録媒体の種類判別を行うことができる。
【0013】
また、白色の記録媒体の種類の判別結果から基準部材の紙粉量の多少を推測し、紙粉量が多いと判断した場合は閾値を上げる、又は、光量を下げる補正を行い、紙粉量が少ないと判断した場合は閾値を下げる、又は、光量を上げる補正を行うから、補正量をより微細に調整でき、ますます精度の高い用紙の種類判別を行うことができる。
【0014】
前項()に記載の発明によれば、基準部材が白色であり、有色の記録媒体の累積の通紙枚数に応じて補正を行うから、白色の基準部材に有色の紙粉が付着した場合に精度の高い記録媒体の種類判別を行うことができる。
【0015】
前項(6)に記載の発明によれば、有色の記録媒体の種類の判別結果から基準部材の紙粉量の多少を推測し、紙粉量が多いと判断した場合は閾値を下げる、又は、光量を上げる補正を行い、紙粉量が少ないと判断した場合は閾値を上げる、又は、光量を下げる補正を行うから、補正量をより微細に調整でき、ますます精度の高い用紙の種類判別を行うことができる。
【0016】
前項(7)に記載の発明によれば、基準部材の紙粉量が多いと判断した場合はユーザーに基準部材の清掃を促すことができる。
【0017】
前項(8)に記載の発明によれば、閾値または光量の補正量が規定量以上のときに、ユーザーに基準部材の清掃を促すことができる。
【0018】
前項()に記載の発明によれば、キャリブレーション時に、基準部材に照射された光の反射光量が増加したか否かに応じて、基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかが判断される。
【0019】
前項()に記載の発明によれば、基準部材よりも反射率が低い種類の記録媒体と高い種類の記録媒体の通紙比率に応じて、基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかが判断される。
【0020】
前項()に記載の発明によれば、光源から基準部材に照射され基準部材から反射された正反射光の検知結果と、拡散光の検知結果の比較に基づいて、基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかが判断される。
【0021】
前項()に記載の発明によれば、計数手段が、基準部材の反射率と同等の反射率を有する記録媒体を通紙した場合にはカウントせず、基準部材よりも反射率が高い記録媒体を通紙した場合には加算カウントし、基準部材よりも反射率が低い記録媒体を通紙した場合には減算カウントし、計数手段による累積のカウント値に応じて基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかが判断される。
【0022】
前項(10)に記載の発明によれば、反射光のキャリブレーションを行うための基準部材の紙粉汚れに関連する情報に応じて、記録媒体の種類を判別するための所定の閾値と記録媒体に照射される光源の光量の少なくともいずれかを補正する処理を、画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】画像形成装置の内部構造の一例を示す図である。
図2】用紙の種類を検出するための検知機構(メディアセンサ-)の構成図である。
図3】光源による反射光のキャリブレーションについて説明するための図である。
図4】用紙の色彩(横軸)と、反射光量の比率(縦軸)との関係を示す図である。
図5】画像形成装置が長期間にわたって使用されたときのメディアセンサ-の状態についての説明図である。
図6】白い用紙を通紙した時に、通紙枚数が増えていった時の光学センサーが反射光の光量を検知した時の出力電圧の変化を示したグラフである。
図7】この発明の他の実施形態を示すもので、画像形成装置が長期間にわたって使用されたときのメディアセンサ-の状態についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の最良の実施形態を図面を用いて説明する。
【0025】
図1を参照して、画像形成装置100の内部構造について説明する。図1は、画像形成装置100の内部構造の一例を示す図である。
【0026】
画像形成装置100は、カラープリンタ、モノクロプリンタ、またはファックスであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびファックスの複合機(いわゆるMFP(Multi Functional Peripheral))であってもよい。
【0027】
画像形成装置100は、画像読取部としてのスキャナー20と、画像形成部110を含むプリンター25とを備える。スキャナー20は、カバー21と、用紙台22と、用紙トレイ23と、ADF(Auto Document Feeder)24とを備える。カバー21の一端は、用紙台22に固定されており、カバー21は、当該一端を支点として開閉可能に構成されている。
【0028】
画像形成装置100のユーザーは、カバー21を開くことで、原稿を用紙台22にセットすることができる。画像形成装置100は、原稿が用紙台22にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、用紙台22にセットされた原稿のスキャンを開始する。また、画像形成装置100は、原稿が用紙トレイ23にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、ADF24によって1枚ずつ自動的に原稿を読み取る。
【0029】
プリンター25は、用紙の収納部60A~60Dと、給紙部としての複数の給紙ローラー61と、複数の用紙の搬送ローラー62と、複数の用紙センサ63と、タイミングローラー87と、タイミングセンサ88と、切替爪89と、反転ローラー70と、画像形成装置100を制御するための制御装置101と、スキャナー20によって読み取られた画像を用紙に印刷するための画像形成部110とを含む。
【0030】
収納部60A~60Dは、記録媒体の一例としての用紙がセットされるカセットである。以下、総称するときは、収納部60A~60Dの1つを代表して収納部60ともいう。収納部60は、画像形成装置100から脱着可能に構成されている。ユーザーは、画像形成装置100から収納部60を外すことで収納部60に用紙をセットすることができる。収納される用紙のサイズは、収納部60A~60D間で異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0031】
給紙ローラー61は、給紙クラッチ(図示しない)を介してモーター(図示しない)に接続されている。当該モーターは、制御装置101によって制御される。制御装置101は、ユーザーから印刷指示を受けたことに基づいて、モーターを駆動する。モーターは、給紙クラッチを介して給紙ローラー61を回転する。これにより、用紙は収納部60から搬送経路41に1枚ずつ送り出される。
【0032】
制御装置101は、前記モーターを駆動するほか、画像形成装置100の全体を統括的に制御する。制御装置101は、図示しないCPUとROMとRAM等を備え、CPUがROM等に格納された動作プログラムに従って動作することにより、各制御が実行される。RAMは、CPUが動作する祭の作業領域となるメモリである。
【0033】
搬送ローラー62は、収納部60から送り出された用紙を搬送するように、搬送経路41内に複数設けられている。搬送ローラー62は、モーター(図示しない)に接続されている。制御装置101は、当該モーターを駆動することで搬送ローラー62を回転し、搬送経路41に沿って用紙を搬送する。用紙は、画像形成部110に搬送される。
【0034】
手差しトレイ64は、手差し用の用紙がセットされるトレイである。ユーザーは、手差し用の用紙として、長方形などの定型用紙の他に、長方形以外の非定型用紙をセットすることもできる。
【0035】
画像形成部110は、印刷対象の画像パターンに従ってトナー像を形成し、当該トナー像を用紙に印刷する。タイミングローラー87は、タイミングセンサ88による用紙の検知結果に基づいて、画像形成部110内を搬送されるトナー像の位置に合わせて用紙の搬送を調整する。その結果、画像形成部110で形成されたトナー像が、用紙の適切な位置に印刷される。
【0036】
タイミングローラー87の手前には、光学センサー(光学検知手段に相当)90が配置されている。光学センサー90は、搬送経路41内を搬送される用紙の坪量、色彩などの用紙種類を検知する。
【0037】
図2は、用紙の種類を検出するための、光学センサー90を含む検知機構(以下、メディアセンサーともいう)の構成図である。
【0038】
図2を参照して、光源51および光学検知センサ-90の配置について説明する。図2に示すように、画像形成装置100は、間隔を隔てて配置された用紙30の搬送を案内するための一対の用紙ガイド43a、43bを備えており、用紙ガイド43a、43bで挟まれた空間には、用紙30が搬送されるための搬送経路41が形成されている。図2において用紙30は図2の奥行き方向の手前側から前方側へ搬送される。一方の用紙ガイド43aの外側には、光学センサー90と反射光源51とが間隔をあけて配置されている。反射光源51は、搬送経路41に対して照射光を出力可能に構成されている。用紙ガイド43aには開口46が形成され、反射光源51からの照射光が開口46を介して搬送経路41に入射できるようになっており、搬送経路41を通過する用紙30に照射され、用紙30から反射されるようになっている。
【0039】
好ましくは、各用紙ガイド43a、43bの内側面の色は、光を吸収しやすい色(たとえば黒色)で構成される。このようにすることにより、搬送経路41内で照射光が拡散されることを抑制することができる。
【0040】
他方の用紙ガイド43bの外側であって、搬送経路41に対して光学センサー90と反対側の位置には、透過光源55が配置されている。透過光源55は、搬送経路41に対して照射光を出力可能に構成されている。好ましくは、光学センサー90は、透過光源55の照射方向の直線上に配置される。その結果、光学センサー90は、透過光源55からの光量の一番強い領域で照射光を測定できる。用紙ガイド43bには、開口47が、透過光源55から出力された照射光が搬送経路41を透過可能となるように形成されている。
【0041】
開口47の周囲における用紙ガイド43bの外側面には、反射光源51からの照射光を反射するための基準板(基準部材に相当)45が設けられている。このような構成とすることにより、反射光源51からの照射光が拡散されることなく基準板45により反射され、光学センサー90において反射光を検知することが容易となる。
【0042】
さらに好ましくは、基準板45の色は、照射光を反射しやすい色(たとえば白色や光源51と同色)で構成され、基準板45は一定の反射率および拡散度を備える。このような構成とすることにより、基準板45で反射された照射光を基準として、用紙30で反射された光源51からの照射光の光量を補正することが容易となる。
【0043】
用紙30(メディア)の種類は、反射光源51による照射光の反射光量と、透過光源55による照射光の透過光量の組合せにより判定される。より具体的には、透過光による用紙検知では、用紙の坪量、厚み、含水率などを検知することができ、反射光による用紙検知では、用紙の色彩、コーティングの有無など、用紙表面の性質に関する情報を検知することができる。
【0044】
これらの組合せにより、再生紙、ピンクや黄色などの色紙、コート紙、マット紙、厚紙など用紙種類の検知が可能となり、より詳細なデータを保存しておけば、用紙固有のブランドや銘柄まで検出が可能となる。
【0045】
次に、図3を参照して、反射光源51による反射光のキャリブレーションについて説明する。
【0046】
図3に示すように、画像形成装置100は、反射光源51の照射光の出力を制御するための出力制御部105を備えており、出力制御部105は、反射光源51を制御して、搬送経路41に対して照射光31を出力させる。反射光源51から出力された照射光31は、基準板45において正反射または拡散反射され、反射光32となる。光学センサー90は、反射光32の光量(以下、反射光の光量を反射光量ともいう)を検知する。ここで、反射光源51としては、レーザー光源や白色光源など、各種光源を用いることができる。光学センサー90としては、フォトダイオード、またはCCDセンサ等を用いることができる。
【0047】
反射光源51から照射された照射光31が基準板45で反射されたときの反射光量を光学センサー90で検知することで、基準になる反射光量を測定できる。画像形成装置100はさらに、用紙30からの反射光量を所定の閾値と比較して用紙の種類を判別する判別部106を備えており、基準板45による基準となる反射光量に基づいて、判別部106が判定する際の閾値を変更したり、出力制御部105で照射光31の光量を調整(キャリブレーション)することで、用紙30の種類をより正確に検知することが可能となる。
【0048】
次に、反射光による用紙検知について説明する。前述したように、反射光による用紙検知では、用紙の色彩、コーティングの有無など、用紙表面の性質に関する情報を検知することができる。以下に示す例では、用紙の色彩の検知について説明する。
【0049】
図4を参照して、反射光量の比率に基づく用紙種類の検知について説明する。図4に示す例は、用紙の色彩(横軸)と、反射光量の比率(縦軸)との関係を示している。図4に示すように、用紙の色彩によって反射光量の比率が異なる。そこで、予め用紙の色彩ごとの反射光量の比率を求め、用紙の色彩と反射光量との関係が規定されたテーブルを図3に示す記憶装置107に記憶させておく。
【0050】
判別部106は、記憶装置107に記憶されたテーブルを参照して、補正結果として算出された反射光量の比率に対応する用紙の色彩を検知する。
【0051】
ここで、画像形成装置100が長期間にわたって使用されたときのメディアセンサ-の状態について図5を参照して説明する。
【0052】
図5に示す反射光源51は緑色の光源であり、基準板45も緑色で構成されているものとする。用紙30の通紙を繰り返すことにより発生した紙粉59は、基準板45上にも蓄積され徐々に基準板45上を覆っていく。この時、上述した反射光のキャリブレーションを行うと、緑色の基準板45で正確な判定を行えるように制御しているにもかかわらず、通紙した用紙の色に応じて基準となる反射光量が変化してしまい、判定結果に誤差を生じることになる。
【0053】
図6は、白い用紙30を通紙した時に、通紙枚数(横軸)が増えていった時の光学センサー90が反射光32の光量を検知した時の出力電圧(縦軸)の変化を示したグラフである。緑色の基準板45上に白い紙粉が蓄積することにより、反射光量が増えていることが分かる。
【0054】
この場合、キャリブレーションを行うと通常時に対して反射光量が高いと判断されるため、判定の閾値を上げたり、反射光源51の照射光量を下げたりする制御を行ってしまう。すなわち、用紙30を通紙してその用紙の種類判別を行う場合に誤判別をしてしまうことになる。より具体的には、上述した用紙の色彩を判別する場合に、白い用紙を通紙したにも関わらず、黄色の用紙と判別してしまうのである。
【0055】
そこで、本実施形態では、基準板45の汚れに関連する情報に応じて、判別部106が用紙30の種類を判別するための所定の閾値もしくは、用紙30に照射する光量を、図5に示す補正部108で補正することで誤判別を防止する。
【0056】
より具体的には、前述したように緑色等の有色の基準板45の場合に白色の用紙30を通紙する場合、白色の用紙30の累積の通紙枚数が多くなると、白色の紙粉59の付着量が有色の基準板45に増加するため、光学センサー90で受光される反射光量が増加する。このため、白色の用紙30の累積の通紙枚数に応じて、用紙種類判別のために測定された反射光量と比較される所定の閾値を上げる、又は、反射光源51の出力を調整して反射光源51から照射される光量を下げる補正を行う。これにより、有色の基準板45に付着した紙粉量の多少にかかわらず、精度の高い用紙の種類判別を行うことができる。白色の用紙30の累積の通紙枚数が少ない場合は、補正は行われない。通紙枚数は、用紙30の搬送経路上に備えられた用紙センサ-(図示せず)の信号を基にカウンタ109がカウントする。
【0057】
また、基準板45が有色であり、白色の用紙30の累積の通紙枚数に応じて補正を行う場合であっても、白色紙の種類によっては紙粉量の多い用紙と少ない用紙が存在する。このため、判別部106での用紙種類の判別結果と累積通紙枚数を基に紙粉の量を推測し、紙粉の付着量が多いと判断した場合はその量に応じて閾値を上げる、又は、発光光量を下げる調整補正を行い、紙粉の量が少ないと判断した場合はその量に応じて閾値を下げる、又は、発光光量を上げる調整補正を行うことで、より精度の高い用紙の種類判別を行うことができる。
【0058】
上記の例では、基準板45が有色の場合の例を示したが、基準板45が白色の場合もある。その場合、有色の用紙30の紙粉が基準板45に付着すると、反射光源51の基準板45での反射光量が紙粉の付着していない場合に較べて減少する。このため、有色の用紙30の累積の通紙枚数に応じて、用紙種類判別のために測定された反射光量と比較される所定の閾値を下げる、又は、反射光源51の出力を調整して反射光源51から照射される光量を上げる補正を行う。これにより、白色の基準板45に付着した紙粉量の多少にかかわらず、精度の高い用紙の種類判別を行うことができる。有色の用紙30の累積の通紙枚数が少ない場合は、補正は行われない。
【0059】
また、基準板45が白色であり、有色の用紙30の累積の通紙枚数に応じて補正を行う場合であっても、有色紙の種類によっては紙粉量の多い用紙と少ない用紙が存在する。このため、判別部106での用紙種類の判別結果と累積通紙枚数を基に紙粉の量を推測し、紙粉の付着量が多いと判断した場合はその量に応じて閾値を下げる、又は、発光光量を上げる調整補正を行い、紙粉の量が少ないと判断した場合はその量に応じて閾値を上げる、又は、発光光量を下げる調整補正を行うことで、より精度の高い用紙の種類判別を行うことができる。
【0060】
また、基準板45に過度に紙粉汚れが発生していると、閾値や発光光量の補正によっても判別精度の維持ができなくなるため、ユーザーに基準板45の清掃を促すメッセージ等の表示を操作パネルの表示部に表示することが望ましい。
【0061】
基準板45に過度に紙粉汚れが発生しているかどうかは、判別部106により判別された用紙の種類及び/または累積通紙枚数から基準板45に対する紙粉の付着量を推測し、推測値が予め設定された規定量以上になるとメッセージ等を表示するように構成すれば良い。
【0062】
また、用紙種類を判別するための所定の閾値を補正する際の補正量、あるいは反射光源51の発光光量を補正する際の補正量が大きいときは、基準板45に過度に紙粉汚れが発生していると考えられるため、補正量が予め設定された規定量以上のときに、基準板45の清掃を促す表示を行うようにしても良い。
【0063】
さらに、反射光源51の反射光のキャリブレーションを行う時に、光学センサー90により検知された基準板45に照射された反射光源51から光の反射光量が、前回よりも増加した場合(例えば有色基準板45で白色用紙の通紙枚数が多い場合)や、減少した場合(例えば白色基準板45で有色用紙の通紙枚数が多い場合)は、基準板45の紙粉汚れの程度が進んでいると考えられるから、反射光源51から光の反射光量が増加したか減少したかに応じて、用紙種類の判別のための所定の閾値や反射光源51の光量の補正を行ったり、基準板45の清掃を促す表示を行うようにしても良い。
【0064】
また、判別部106により種類が判別された用紙30について、基準板45よりも反射率が低い種類の用紙30と高い種類の用紙30の通紙比率に応じて、基準板45の紙粉汚れが生じているかどうかを判断し、用紙種類の判別のための所定の閾値や反射光源51の光量の補正を行ったり、基準板45の清掃を促す表示を行うようにしても良い。例えば、有色基準板45に対して、白色の用紙30の通紙比率が規定値以上の場合に、閾値を上げる、又は、光量を下げる補正を行い、通紙比率が更に大きくなった場合は、基準板45の清掃を促す表示を行うことが考えられる。
【0065】
また、基準板45の反射率と同等の反射率を有する用紙30を通紙した場合にはカウンタ109によるカウントを行わず、基準板45よりも反射率が高い用紙30を通紙した場合には加算カウントし、基準板45よりも反射率が低い用紙30を通紙した場合には減算カウントし、カウンタ109による累積のカウント値に応じて基準板の紙粉汚れが生じているかどうかを判断し、所定の閾値や反射光源51の光量の補正を行ったり、基準板45の清掃を促す表示を行うようにしても良い。
【0066】
また、図7に示すように、反射光源51から基準板45に照射された光の正反射光を検知する第2の光学センサー91(第2の検知手段に相当)を設けても良い。この場合、光学センサー90(第1の検知手段に相当)では、反射光源51から基準板45に照射された光31のうち基準板45から反射された拡散光32を検知し、第2の光学センサー91では基準板45に照射された光のうち正反射光33を検知し、第2の光学センサー91により検知された正反射光33の検知結果と、光学センサー90により検知された拡散光32の検知結果の比較に基づいて、基準部材の紙粉汚れが生じているかどうかを判断しても良い。具体的には、紙粉59が付着すると基準板45からの正反射光33は減少することから、各光学センサー90、91での光量の比率により、基準板45の汚れ具合(紙粉の付着量)を求めることができ、この比率を基に、所定の閾値の補正や反射光源51の光量の補正を行ったり、基準板45の清掃を促す表示を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0067】
30 用紙
31 照射光源
32 反射光(拡散光)
33 反射光(正反射光)
41 搬送経路
43a、43b 搬送経路
45 基準板(基準部材)
46、47 開口
51 反射光源
55 透過光源
59 紙粉
90 光学センサー(検知手段)
91 光学センサー(第2の検知手段)
100 画像形成装置
101 画像形成部
105 出力制御部
106 判別部
107 記憶装置
108 補正部
109 カウンタ
110 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7