(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】環境制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/165 20200101AFI20240910BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20240910BHJP
F24F 130/20 20180101ALN20240910BHJP
【FI】
H05B47/165
F24F11/80
F24F130:20
(21)【出願番号】P 2021019306
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2024-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伏江 遼
(72)【発明者】
【氏名】折戸 真理
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-29075(JP,A)
【文献】特開平11-287494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0175405(US,A1)
【文献】国際公開第2020/158560(WO,A1)
【文献】特開2019-125061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/165
F24F 11/80
F24F 130/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間内に第1色温度の光と前記第1色温度より低い第2色温度の光を照射可能な照明装置と、
前記対象空間内の室温が設定温度になるように空気調和を行う空調装置とを備え、
前記照明装置は、現在時刻が予め設定された基準時間帯である場合に前記第1色温度の光を照射し、現在時刻が前記基準時間帯でない場合に前記第2色温度の光を照射し、
前記空調装置は、
前記照明装置が前記第1色温度の光を照射している場合、前記室温と前記設定温度との差が第1基準値以上になったときに前記設定温度を変更し、
前記照明装置が前記第2色温度の光を照射している場合、前記室温と前記設定温度との差が前記第1基準値と異なる第2基準値以上になったときに前記設定温度を変更する環境制御システム。
【請求項2】
前記空調装置は、
冷房運転中に前記照明装置が前記第1色温度の光を照射している場合、前記室温が前記設定温度よりも前記第1基準値以上高くなった時に前記設定温度を低くし、
冷房運転中に前記照明装置が前記第2色温度の光を照射している場合、前記室温が前記設定温度よりも前記第2基準値以上高くなった時に前記設定温度を低くし、
前記第2基準値は、前記第1基準値より小さい請求項1に記載の環境制御システム。
【請求項3】
前記空調装置は、
暖房運転中に前記照明装置が前記第1色温度の光を照射している場合、前記室温が前記設定温度よりも前記第1基準値以上低くなった時に前記設定温度を高くし、
暖房運転中に前記照明装置が前記第2色温度の光を照射している場合、前記室温が前記設定温度よりも前記第2基準値以上低くなった時に前記設定温度を高くし、
前記第2基準値は、前記第1基準値より大きい請求項1に記載の環境制御システム。
【請求項4】
前記照明装置は、現在時刻が前記基準時間帯であるか否かに応じて照射する光の照度を変更する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の環境制御システム。
【請求項5】
日出時刻及び日没時刻に関する情報を取得する情報取得手段をさらに備え、
前記照明装置は、現在時刻と前記情報取得手段が取得した情報とに応じて照射する光の照度を変更する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の環境制御システム。
【請求項6】
日照に関する情報を取得する情報取得手段をさらに備え、
前記照明装置は、前記情報取得手段が取得した情報に応じて照射する光の照度を変更する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の環境制御システム。
【請求項7】
対象空間内に第1色温度の光と前記第1色温度より低い第2色温度の光を照射可能な照明装置と、
前記対象空間内の人の体感温度を推定する体感温度推定手段と、
前記対象空間内の人の体感温度が設定温度になるように空気調和を行う空調装置とを備え、
前記照明装置は、現在時刻が予め設定された基準時間帯である場合に前記第1色温度の光を照射し、現在時刻が前記基準時間帯でない場合に前記第2色温度の光を照射し、
前記空調装置は、
前記照明装置が前記第1色温度の光を照射している場合、前記体感温度と前記設定温度との差が第1基準値以上になったときに前記設定温度を変更し、
前記照明装置が前記第2色温度の光を照射している場合、前記体感温度と前記設定温度との差が前記第1基準値と異なる第2基準値以上になったときに前記設定温度を変更する環境制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、環境制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、同一の室内に設けられている空気調和機(空調装置)及び照明装置を制御する家電制御システムが記載されている。この特許文献1に例示されるように、空調装置の冷房時に照明装置の色調をユーザが冷涼感を受ける「昼光色」に設定し、空調装置の暖房時に照明機器の色調をユーザが温暖感を受ける「電球色」に設定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される技術においては、照明が人の生体リズムに与える影響について一切考慮されていない。人の体内時計は、例えばサーカディアンリズム等の約24時間の周期を有する生体リズムに従っている。この生体リズムは光によって影響を受ける。特許文献1に示される技術では、例えば、夕方以降の睡眠前の時間帯において冷房している場合、照明装置の色調を昼光色あるいは寒色とすることにより人の覚醒を促し睡眠障害を招来する可能性がある。また、他に例えば、日中の活動時間帯において、暖房している場合、照明装置の色調を電球色あるいは暖色とすることにより人のリラックスを促し活動効率が低下してしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、人の生体リズムに適した照明環境と、人の温熱的快適性を損なわない温度環境とを両立可能な環境制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る環境制御システムは、対象空間内に第1色温度の光と前記第1色温度より低い第2色温度の光を照射可能な照明装置と、前記対象空間内の室温が設定温度になるように空気調和を行う空調装置とを備え、前記照明装置は、現在時刻が予め設定された基準時間帯である場合に前記第1色温度の光を照射し、現在時刻が前記基準時間帯でない場合に前記第2色温度の光を照射し、前記空調装置は、前記照明装置が前記第1色温度の光を照射している場合、前記室温と前記設定温度との差が第1基準値以上になったときに前記設定温度を変更し、前記照明装置が前記第2色温度の光を照射している場合、前記室温と前記設定温度との差が前記第1基準値と異なる第2基準値以上になったときに前記設定温度を変更する。
【0007】
または、本開示に係る環境制御システムは、対象空間内に第1色温度の光と前記第1色温度より低い第2色温度の光を照射可能な照明装置と、前記対象空間内の人の体感温度を推定する体感温度推定手段と、前記対象空間内の人の体感温度が設定温度になるように空気調和を行う空調装置とを備え、前記照明装置は、現在時刻が予め設定された基準時間帯である場合に前記第1色温度の光を照射し、現在時刻が前記基準時間帯でない場合に前記第2色温度の光を照射し、前記空調装置は、前記照明装置が前記第1色温度の光を照射している場合、前記体感温度と前記設定温度との差が第1基準値以上になったときに前記設定温度を変更し、前記照明装置が前記第2色温度の光を照射している場合、前記体感温度と前記設定温度との差が前記第1基準値と異なる第2基準値以上になったときに前記設定温度を変更する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る環境制御システムによれば、人の生体リズムに適した照明環境と、人の温熱的快適性を損なわない温度環境とを両立できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る環境制御システムの対象空間の構成を模式的に示す側面図である。
【
図2】実施の形態1に係る空調装置の室内機の構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る環境制御システムの制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係る環境制御システムの動作の一例を示すフロー図である。
【
図5】実施の形態1に係る環境制御システムの動作の一例を示すフロー図である。
【
図6】時刻と生体リズムの位相反応作用との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る環境制御システムを実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1から
図6を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。
図1は環境制御システムの対象空間の構成を模式的に示す側面図である。
図2は空調装置の室内機の構成を模式的に示す断面図である。
図3は環境制御システムの制御系統の構成を示すブロック図である。
図4及び
図5は環境制御システムの動作の一例を示すフロー図である。
図6は時刻と生体リズムの位相反応作用との関係を説明する図である。
【0012】
この実施の形態に係る環境制御システムは、
図1に示すように、制御対象装置として空調装置10及び照明装置20を備えている。空調装置10は、同図に示すような対象空間1を空気調和の対象としている。対象空間1は、例えば1つの部屋の内部空間である。空調装置10は、対象空間1に係る部屋の壁面又は天井面に設置される。ここで説明する構成例では、空調装置10は、壁面に設置されている。
【0013】
空調装置10は、対象空間1内の空気の温度を調節することで対象空間1内の空気調和を行う機器である。空調装置10は、冷房運転及び暖房運転の一方又は両方を含む空調運転が可能である。また、空調装置10は、除湿運転、加湿運転、送風運転のいずれか1つ以上の運転を可能としてもよい。
【0014】
この実施の形態の空調装置10は、空気調和装置の室内機である。次に、
図2を参照しながら、この実施の形態の空調装置10の構成について説明する。同図に示すように、空調装置10は、筐体11を備えている。筐体11は、中空箱状の部材である。筐体11は、横長で前面から下面にかけて斜めに切り欠かれた略直方体状に形成されている。
【0015】
筐体11の上面部には、吸込口12が形成されている。吸込口12は、外部から筐体11の内部に空気を取り込むための開口である。空調装置10の下面には、吹出口13が形成されている。吹出口13は、筐体11の内部から外部へと空気を排出するための開口である。筐体11の前面側は、前面パネル19で覆われている。
【0016】
筐体11の内部には、吸込口12から吹出口13へと通じる風路が形成されている。吸込口12には、プレフィルタ18が設置されている。プレフィルタ18は、吸込口12から空調装置10の内部へと入る空気から、比較的大きなごみ、塵、埃等を取り除くためのものである。
【0017】
前述した風路におけるプレフィルタ18の風下側には、熱交換器14が設置されている。熱交換器14は、前述の風路を流れる空気と熱交換を行って、前述の風路を流れる空気を加熱又は冷却する。空気を加熱するか冷却するかは、空調装置10が暖房運転であるか冷房運転であるかによる。
【0018】
筐体11の内部には、ドレンパン17が設けられている。ドレンパン17は、熱交換器14の下方に配置されている。ドレンパン17は、熱交換器14のフィンの表面で生じた凝縮水を受けるためのものである。
【0019】
前述した風路における熱交換器14の風下側には、送風ファン15が設置されている。送風ファン15は、吸込口12から吹出口13へと向かう空気流を、前述の風路中に生成するためのものである。
【0020】
吹出口13には、ルーバ16が設けられている。ルーバ16は、吹出口13から吹き出す空気の吹き出し角度を調整するためのものである。
図2の断面図では、ルーバ16として、上下風向板が表れている。ルーバ16の上下風向板は、筐体11の前面側から見て、手前側と奥側とに設置されている。また、手前側と奥側の各上下風向板は、それぞれ左右に分割されている。そして、ルーバ16の上下風向板の向きを変えることで、空調装置10は、送風方向を上下に変更可能である。
【0021】
また、ここでは図示が省略されているが、ルーバ16は、左右風向板も備えている。左右風向板は、吹出口13から吹き出す空気の左右方向の吹き出し角度を調整するためのものである。
【0022】
送風ファン15が動作すると、吸込口12から吹出口13へと向かう空気流が前述の風路中に生成され、吸込口12から空気が吸い込まれ、吹出口13から空気が吹き出される。吸込口12から吸い込まれた空気は、筐体11内部の前述した風路を、プレフィルタ18、熱交換器14、送風ファン15の順に通過する空気流となり、吹出口13から吹き出す。この際、送風ファン15の風下側に配置されたルーバ16の上下風向板及び左右風向板により、吹出口13から吹き出される風の方向すなわち送風方向が調整される。
【0023】
以上のように構成された空調装置10は、対象空間1内に送風する。そして、空調装置10は、送風する気流の温度及び風向を変更可能である。また、室内機である空調装置10は、空気調和装置の図示しない室外機と接続されている。そして、空気調和装置の室外機は、
図1及び
図2では図示しない圧縮機等を備えている。空調装置10は、対象空間1内の室温が設定温度になるように空気調和を行う。設定温度は、例えば、空調装置10の図示しないリモートコントローラ等への操作により設定される。
【0024】
照明装置20は、
図1に示すような対象空間1に光を照射可能である。照明装置20は、対象空間1に係る部屋の壁面又は天井面に設置される。ここで説明する構成例では、照明装置20は、天井面に設置されている。照明装置20は、対象空間1内に照射する光の色温度を変更可能である。すなわち、照明装置20は、対象空間1内に第1色温度の光と第2色温度の光とを照射可能である。第2色温度は、第1色温度より低い色温度である。第1色温度は寒色系の光で、例えば5000Kである。第2色温度は暖色系の光で、例えば3000Kである。
【0025】
寒色系の光は、例えば、青緑色、青色、青紫色等の青系統の色の可視光である。暖色系の光は、例えば、赤色、橙色、黄色、又は、いわゆる電灯色等の可視光である。照明装置20は、第1色温度の寒色系の光を発する第1光源と、第2色温度の暖色系の光を発する第2光源とを備えている。照明装置20は、第1光源と第2光源とを、互いに独立して点灯/消灯させることができる。なお、照明装置20は、第1光源及び第2光源の他に、通常の照明用として白色、又は、いわゆる昼白色等の可視光を発する第3光源を備えていてもよい。また、照明装置20は、対象空間1内に照射する光の照度(強度)を変更可能である。
【0026】
次に、
図3も参照しながら、この実施の形態に係る環境制御システムの構成について説明を続ける。対象空間1に設けられた空調装置10及び照明装置20は、環境制御システムの制御対象装置である。この実施の形態の環境制御システムは、制御装置200を備えている。制御装置200は、例えばマイクロコンピュータ等を備えた処理回路により構成されている。制御装置200がマイクロコンピュータを備えている場合、制御装置200は、図示しないプロセッサ及びメモリを備えている。メモリには、制御用のプログラムが記憶されている。プロセッサは、メモリに記憶されているプログラムを読み出して実行する。
【0027】
プロセッサが制御用のプログラムを実行することで、制御装置200は予め設定された処理を実行して制御対象装置である空調装置10及び照明装置20のそれぞれの動作を制御する。また、特に、メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、後述する情報取得部201、時間帯判定部211、環境状態判定部212及び装置制御部220の各部の機能が実現される。
【0028】
なお、制御装置200の機能を実現する処理回路は、例えば、専用ハードウェアとして形成されていてもよい。また、処理回路は、その一部が専用ハードウェアとして形成され、かつ、さらにプロセッサ及びメモリを備えていてもよい。一部が少なくとも1つの専用ハードウェアである処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0029】
プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリには、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0030】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを備える場合、制御装置200の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。前述したように、プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、予め設定された処理を実行して制御装置200の機能を実現する。
【0031】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、制御装置200の機能を実現することができる。なお、制御対象装置のそれぞれは、単一の制御装置200により動作が制御される構成に限定されるものではない。制御対象装置は、複数の装置が連携することで動作を制御されてもよい。
【0032】
制御装置200は、情報取得部201、時間帯判定部211、環境状態判定部212及び装置制御部220を備えている。情報取得部201は情報源から、必要な情報を取得する。ここで説明する構成例では、情報取得部201の情報源として、時刻取得部101、室温センサ111、表面温度センサ112、室内照度センサ121及び屋外照度センサ122がある。
【0033】
時刻取得部101は現在時刻を取得する。時刻取得部101は、時計を内蔵していてもよいし、システム外部から現在時刻情報を取得してもよい。
図1に示すように、室温センサ111は、例えば空調装置10に設けられている。室温センサ111は、対象空間1内の室温を検出するセンサである。
【0034】
表面温度センサ112は、例えば空調装置10に設けられている。表面温度センサ112は、例えば、一方向に並べた複数のサーモパイルを備えている。複数のサーモパイルのそれぞれは、赤外線の受光及び温度の検出を個別に実行可能な素子を有している。そして、表面温度センサ112は、複数のサーモパイルの前述の一方向と直交する方向の向きを変えることができる。このようにすることで、表面温度センサ112は、一方向に並んだ複数のサーモパイルのそれぞれを走査させて、予め設定された対象範囲内について表面温度を検出することができる。この対象範囲は、対象空間1内の全体をカバーすることが望ましい。
【0035】
表面温度センサ112は、サーモパイルに代えて、SOI(Silicon on Insulator)ダイオード方式の非冷却赤外線イメージセンサを備えていてもよい。SOIダイオード方式の場合、センサ部にシリコンダイオードを使用しているため、シリコン半導体ラインのみで製造可能であり、生産コストが安いというメリットがある。
【0036】
表面温度センサ112は、このような構成により、前述した対象範囲内を走査して当該範囲内の表面温度分布を非接触で取得する。表面温度センサ112の検出結果、すなわち、表面温度センサ112により取得した表面温度分布データを、制御装置200等で処理することで、例えば背景との温度差から、室内における人(対象者2)を含む熱源の有無及びその位置、人体の表面皮膚温度、人の身体の部位(肌の露出部と非露出部、頭部等)等を検出することができる。
【0037】
また、表面温度センサ112の検出結果に基づいて、室内の人の体感温度も得ることができる。この場合、肌を露出している人体ほど体感温度を検出しやすい。さらに、表面温度センサ112により取得した表面温度分布データを、制御装置200等で処理することで、対象空間1内の対象者2の人数も検出できる。さらに、対象空間1内の対象者2の人数の変化から、対象空間1への対象者2の入退出も検知できる。
【0038】
室内照度センサ121は、対象空間1内の照度を検出するセンサである。屋外照度センサ122は、対象空間1外の屋外の照度を検出するセンサである。情報取得部201は、時刻取得部101、室温センサ111、表面温度センサ112、室内照度センサ121及び屋外照度センサ122のそれぞれから情報を取得する。
【0039】
情報取得部201は、屋外照度センサ122の検出結果から日照時間を算出できる。日照時間とは、一日のうちで屋外照度センサ122により検出される直達日射量が規定値以上となる時間である。屋外照度センサ122及び情報取得部201は、日照に関する情報を取得する情報取得手段を構成している。また、天候が晴れであれば、屋外照度センサ122の検出結果から日出時刻及び日没時刻を推定できる。情報取得部201は、屋外照度センサ122の検出結果から日出時刻及び日没時刻に関する情報を取得する。屋外照度センサ122及び情報取得部201は、日出時刻及び日没時刻に関する情報を取得する情報取得手段も構成している。なお、情報取得手段は、屋外照度センサ122を備えていなくとも、例えばインターネット等の電気通信回線を介してシステム外部のデータソースから日照に関する情報、並びに、日出時刻及び日没時刻に関する情報を取得してもよい。
【0040】
時間帯判定部211は、時刻取得部101及び情報取得部201により取得された現在時刻が、基準時間帯内であるか否かを判定する。基準時間帯は、一日のうちで予め設定された時間帯である。具体的に例えば、基準時間帯は、午前0時から正午までとする。この場合、現在時刻が午前0時から正午までのときに、時間帯判定部211は現在時刻が基準時間帯内であると判定する。そして、現在時刻が正午から深夜24時までのときに、時間帯判定部211は現在時刻が基準時間帯内でないと判定する。他に例えば、基準時間帯は、午前6時から正午までとする。この場合、現在時刻が午前6時から正午までのときに、時間帯判定部211は現在時刻が基準時間帯内であると判定する。そして、現在時刻が午前0時から午前6時まで、及び、正午から深夜24時までのときに、時間帯判定部211は現在時刻が基準時間帯内でないと判定する。
【0041】
環境状態判定部212は、情報取得部201により取得された情報に基づいて、対象空間1内外の環境状態について判定する。具体的には、環境状態判定部212は、室温センサ111により検出された対象空間1内の室温と、前述した空調装置10の設定温度との差から、対象空間1内の温度環境を判定する。また、環境状態判定部212は、室内照度センサ121により検出された対象空間1内の照度に基づいて、対象空間1内の明るさ環境を判定する。そして、環境状態判定部212は、屋外照度センサ122により検出された屋外の照度に基づいて、屋外の明るさ環境を判定する。
【0042】
装置制御部220は、空調装置10及び照明装置20の動作を制御する制御手段である。装置制御部220は、空調装置10の送風ファン15及びルーバ16等の動作を制御することで、空調装置10の動作を制御する。また、装置制御部220は、照明装置20の光源の点灯状態、照射する光の色温度、照射する光の強度等を制御することで照明装置20の動作を制御する。
【0043】
装置制御部220は、時間帯判定部211及び環境状態判定部212の判定結果に応じて、空調装置10及び照明装置20の動作を制御する。装置制御部220は、時間帯判定部211により現在時刻が前述の基準時間帯であると判定された場合、照明装置20から前述した第1色温度の光を照射させる。したがって、照明装置20は、現在時刻が基準時間帯である場合に第1色温度の光を照射する。そして、装置制御部220は、時間帯判定部211により現在時刻が基準時間帯でないと判定された場合、照明装置20から第2色温度の光を照射させる。したがって、照明装置20は、現在時刻が基準時間帯でない場合に第2色温度の光を照射する。
【0044】
装置制御部220は、室温センサ111により検出される室温が前述した設定温度となるように空調装置10の動作を制御する。そして、装置制御部220は、照明装置20の動作状態と環境状態判定部212の判定結果とに応じて、設定温度を変更する。より詳しくは、装置制御部220は、照明装置20が第1色温度の光を照射している場合、室温と設定温度との差が第1基準値以上になったときに設定温度を変更する。また、装置制御部220は、照明装置20が第2色温度の光を照射している場合には、室温と設定温度との差が第2基準値以上になったときに設定温度を変更する。ここで、第1基準値と第2基準値とは異なる値に設定される。したがって、空調装置10は、照明装置20が第1色温度の光を照射している場合、室温と設定温度との差が第1基準値以上になったときに設定温度を変更する。そして、空調装置10は、照明装置20が第2色温度の光を照射している場合、室温と設定温度との差が第1基準値と異なる第2基準値以上になったときに設定温度を変更する。
【0045】
空調装置10が冷房運転中のとき、装置制御部220は、照明装置20が第1色温度の光を照射している場合、室温が設定温度よりも第1基準値以上高くなった時に設定温度を低くする。また、装置制御部220は、照明装置20が第2色温度の光を照射している場合、室温が設定温度よりも第2基準値以上高くなった時に設定温度を低くする。そして、第2基準値は、第1基準値より小さい。具体的に例えば、第1基準値は2℃に設定され、第2基準値は1℃に設定される。
【0046】
空調装置10が暖房運転中のとき、装置制御部220は、照明装置20が第1色温度の光を照射している場合、室温が設定温度よりも第1基準値以上低くなった時に設定温度を高くする。また、装置制御部220は、照明装置20が第2色温度の光を照射している場合、室温が設定温度よりも第2基準値以上低くなった時に設定温度を高くする。そして、第2基準値は、第1基準値より大きい。具体的に例えば、第1基準値は1℃に設定され、第2基準値は2℃に設定される。
【0047】
次に、以上のように構成された環境制御システムの動作について具体例を挙げながら説明する。まず、夏季において空調装置10が冷房運転中である場合の例である。この例では、前述の基準時間帯は午前0時から正午までとする。現在時刻が午前10時のとき、現在時刻は基準時間帯であるため、照明装置20は第1色温度すなわち相対的に高い色温度(例えば5000K)の光を照射する。この状況において、空調装置10の設定温度が26℃であり、現在の室温が27.5℃であるとする。照明装置20は第1色温度の光を照射しているため、室温が設定温度よりも第1基準値以上高くなった時に設定温度を低くする。第1基準値は前述した例にならい2℃とする。室温の27.5℃と設定温度の26℃との差の1.5℃は、第1基準値である2℃より小さい。したがって、この場合には、室温が設定温度よりも第1基準値以上高くないため、設定温度は変更されずに26℃のままである。
【0048】
一方、現在時刻が午後4時(16時)になると、現在時刻は基準時間帯でないため、照明装置20は第2色温度すなわち相対的に低い色温度(例えば3000K)の光を照射する。この状況において、先ほどと同じく空調装置10の設定温度が26℃であり、現在の室温が27.5℃であるとする。照明装置20は第2色温度の光を照射しているため、室温が設定温度よりも第2基準値以上高くなった時に設定温度を低くする。第2基準値は前述した例にならい1℃とする。室温の27.5℃と設定温度の26℃との差の1.5℃は、第2基準値である1℃より大きい。したがって、この場合には、室温が設定温度よりも第2基準値以上高いため、設定温度は26℃よりも低い温度(例えば25℃等)に変更される。
【0049】
次に、冬季において空調装置10が暖房運転中である場合の例である。この例でも、前述の基準時間帯は午前0時から正午までとする。現在時刻が午前10時のとき、現在時刻は基準時間帯であるため、照明装置20は第1色温度すなわち相対的に高い色温度(例えば5000K)の光を照射する。この状況において、空調装置10の設定温度が26℃であり、現在の室温が24.5℃であるとする。照明装置20は第1色温度の光を照射しているため、室温が設定温度よりも第1基準値以上低くなった時に設定温度を高くする。第1基準値は前述した例にならい1℃とする。室温の24.5℃と設定温度の26℃との差の1.5℃は、第1基準値である1℃より大きい。したがって、この場合には、室温が設定温度よりも第1基準値以上低いため、設定温度は26℃よりも高い温度(例えば27℃等)に変更される。
【0050】
一方、現在時刻が午後4時(16時)とすると、現在時刻は基準時間帯でないため、照明装置20は第2色温度すなわち相対的に低い色温度(例えば3000K)の光を照射する。この状況において、先ほどと同じく空調装置10の設定温度が26℃であり、現在の室温が24.5℃であるとする。照明装置20は第2色温度の光を照射しているため、室温が設定温度よりも第2基準値以上低くなった時に設定温度を高くする。第2基準値は前述した例にならい2℃とする。室温の24.5℃と設定温度の26℃との差の1.5℃は、第2基準値である2℃より小さい。したがって、この場合には、室温が設定温度よりも第2基準値以上低くないため、設定温度は変更されずに26℃のままである。
【0051】
次に、以上のように構成された環境制御システムの動作例について
図4及び
図5のフロー図を参照しながら説明する。まず、
図4に示すのは、空調装置10が冷房運転中の動作例である。ステップS11において、制御装置200の情報取得部201は、空調装置10の冷房運転における設定温度を空調装置10から取得する。また、情報取得部201は、室温センサ111により検出された対象空間1内の室温を取得する。そして、情報取得部201は、時刻取得部101により取得された現在時刻を取得する。ステップS11の後、制御装置200は次にステップS12の処理を行う。ステップS12においては、制御装置200の時間帯判定部は、ステップS11で取得した現在時刻が前述した基準時間帯であるか否かを判定する。現在時刻が基準時間帯である場合、制御装置200は次にステップS13の処理を行う。
【0052】
ステップS13においては、制御装置200の装置制御部220は、照明装置20から前述した第1色温度の光を照射させる。続くステップS14において、装置制御部220は、ステップS11で取得した室温が設定温度よりも第1基準値以上高いか否かを判定する。室温が設定温度よりも第1基準値以上高くない場合、制御装置200はステップS11に戻って処理を継続する。一方、室温が設定温度よりも第1基準値以上高い場合、制御装置200は次にステップS15の処理を行う。ステップS15においては、装置制御部220は、空調装置10の冷房運転における設定温度を下げる。ステップS15の後、制御装置200はステップS11に戻って処理を継続する。
【0053】
一方、ステップS12で現在時刻が基準時間帯でない場合、制御装置200は次にステップS16の処理を行う。ステップS16においては、制御装置200の装置制御部220は、照明装置20から前述した第2色温度の光を照射させる。続くステップS17において、装置制御部220は、ステップS11で取得した室温が設定温度よりも第2基準値以上高いか否かを判定する。室温が設定温度よりも第2基準値以上高くない場合、制御装置200はステップS11に戻って処理を継続する。一方、室温が設定温度よりも第2基準値以上高い場合、制御装置200は次に前述したステップS15の処理を行う。
【0054】
次に、
図5に示すのは、空調装置10が暖房運転中の動作例である。ステップS21において、制御装置200の情報取得部201は、空調装置10の暖房運転における設定温度を空調装置10から取得する。また、情報取得部201は、室温センサ111により検出された対象空間1内の室温を取得する。そして、情報取得部201は、時刻取得部101により取得された現在時刻を取得する。ステップS21の後、制御装置200は次にステップS22の処理を行う。ステップS22においては、制御装置200の時間帯判定部は、ステップS21で取得した現在時刻が前述した基準時間帯であるか否かを判定する。現在時刻が基準時間帯である場合、制御装置200は次にステップS23の処理を行う。
【0055】
ステップS23においては、制御装置200の装置制御部220は、照明装置20から前述した第1色温度の光を照射させる。続くステップS24において、装置制御部220は、ステップS21で取得した室温が設定温度よりも第1基準値以上低いか否かを判定する。室温が設定温度よりも第1基準値以上低くない場合、制御装置200はステップS21に戻って処理を継続する。一方、室温が設定温度よりも第1基準値以上低い場合、制御装置200は次にステップS25の処理を行う。ステップS25においては、装置制御部220は、空調装置10の暖房運転における設定温度を上げる。ステップS25の後、制御装置200はステップS21に戻って処理を継続する。
【0056】
一方、ステップS22で現在時刻が基準時間帯でない場合、制御装置200は次にステップS26の処理を行う。ステップS26においては、制御装置200の装置制御部220は、照明装置20から前述した第2色温度の光を照射させる。続くステップS27において、装置制御部220は、ステップS21で取得した室温が設定温度よりも第2基準値以上低いか否かを判定する。室温が設定温度よりも第2基準値以上低くない場合、制御装置200はステップS21に戻って処理を継続する。一方、室温が設定温度よりも第2基準値以上低い場合、制御装置200は次に前述したステップS25の処理を行う。
【0057】
次に、以上のように構成された環境制御システムにより得られる作用について説明する。まず、人の体内時計は、例えばサーカディアンリズム等の約24時間の周期を有する生体リズムに従っている。この生体リズムは、太陽光、照明光等の光を同調因子として、光の明暗サイクルに同調することが知られている。すなわち、人の生体リズムは、光によって位相反応作用を受けている。そして、
図6に示すように、人が光を浴びるタイミングによって、位相反応作用の作用する方向及び量が変化する。また、寒色系の光には、人の体感温度を下げて、当該人の温冷感を寒い側に移行させる作用がある。寒色系の光には人を覚醒させる作用もある。これに対し、暖色系の光には、人の体感温度を上げて、当該人の温冷感を暑い側に移行させる作用がある。暖色系の光の場合、リラックス作用が大きく、人を覚醒させる作用は寒色系の光よりも小さい。
【0058】
以上のように構成された環境制御システムによれば、照明装置20は、現在時刻が基準時間帯であるか否かに応じて、色温度が高い寒色系の第1色温度の光と、色温度が低い暖色系の第2色温度の光とを切り替えて照射する。このため、人の生体リズムに適した照明環境を実現できる。ただし、色温度が高い寒色系の第1色温度の光と色温度が低い暖色系の第2色温度の光とでは、人の温冷感に与える影響が異なる。そこで、照明装置20が色温度が高い寒色系の第1色温度の光と、色温度が低い暖色系の第2色温度の光のどちらを照射しているかに応じて、空調装置10の設定温度を変更する室温の基準値を異なるものにする。このようにすることで、照明装置20から照射されている光が対象者2の温冷感に与える影響を考慮した空気調和が可能となる。したがって、人の生体リズムに適した照明環境と、人の温熱的快適性を損なわない温度環境とを両立可能である。このため、例えば、夕方に寒色系の光を照射して睡眠障害を誘発してしまうこと等を抑制できる。
【0059】
なお、基準時間帯でない時間帯をさらに2つの時間帯に分け、そのうちの一方の時間帯においては、照明装置20は第3色温度の光を照射するようにしてもよい。第3色温度は、前述した第1色温度及び第2色温度のいずれとも異なる色温度である。例えば、基準時間帯を午前0時から正午までとした場合に、正午から午後2時(14時)までの時間帯においては、照明装置20は第3色温度の光を照射する。そして、午後2時から深夜12時までは照明装置20は第2色温度の光を照射する。この場合、第3色温度は、第1色温度より低く、第2色温度より高くする。具体的に例えば、第1色温度を5000K、第2色温度を3000Kとし、第3色温度を4000Kとする。
【0060】
また、装置制御部220は、現在時刻が前述の基準時間帯であるか否かに応じて照明装置20から照射させる光の照度を変更してもよい。すなわち、この場合には照明装置20は現在時刻が基準時間帯であるか否かに応じて照射する光の照度を変更する。例えば、現在時刻が基準時間帯である場合、装置制御部220は、照明装置20から照射させる光の照度を700lxとする。そして、現在時刻が基準時間帯でない場合、装置制御部220は、照明装置20から照射させる光の照度を500lxとする。サーカディアンリズム等の人の生体リズムには、照射される光の波長だけでなく、照度すなわち人の目に入る光エネルギー量も関係している。このため、サーカディアンリズム等の人の生体リズムに則した照明制御を実現でき、睡眠効率の向上を図ることができる。
【0061】
また、前述した情報取得手段により取得した日出時刻及び日没時刻に関する情報に応じて、照明装置20が照射する光の照度を変更してもよい。すなわち、日出時刻から日没時刻までは照明装置20から照射させる光の照度を高くし、日没時刻以降は、照明装置20から照射させる光の照度を低くする。前述の例でいえば、現在時刻が日没時刻移行である場合、装置制御部220は、照明装置20から照射させる光の照度を例えば300lxとする。このようにすることで、サーカディアンリズム等の人の生体リズムにさらに則した照明制御を実現できる。
【0062】
この際、日出時刻及び日没時刻の季節変化も考慮に入れるとさらによい。例えば、夏季の日没時刻に合わせた照明制御を一年中行うと、冬季では既に日没し屋外が暗くなっている場合にも、屋内の対象空間1内の照明は明るいままとなり、屋内と屋外で照明環境が大きく異なってしまう。そこで、季節に応じた日出時刻及び日没時刻に従って照明装置20から照射させる光の照度を変更することで、屋内から屋外、又は屋外から屋内への移動時おける違和感を低減することができる。すなわち、屋内と屋外の照明環境の差を少なくすることで快適性の向上を図ることができる。なお、冬季は夏季と比較して日照時刻が短いため、人の睡眠リズムが乱れやすいとも言われる。そこで、このような人の睡眠リズムに着目し、日照時刻が短い季節では屋内の明るさを日没後も担保することで、睡眠リズムを安定させることもできる。
【0063】
また、前述した情報取得手段により取得した日照に関する情報に応じて、照明装置20が照射する光の照度を変更してもよい。すなわち、晴天時等の日照時間が長く日照量が多いときは照明装置20から照射させる光の照度を高くする。また、曇天、雨天時等の日照時間が短く日照量が少ないときは照明装置20から照射させる光の照度を低くする。このようにすることで、屋内から屋外、又は屋外から屋内への移動時おける違和感を低減することができる。すなわち、屋内と屋外の照明環境の差を少なくすることで快適性の向上を図ることができる。
【0064】
以上で説明した環境制御システムの構成例においては、空調装置10は室温が目標温度になるように動作が制御されていた。この実施の形態に係る環境制御システムの変形例として、空調装置10の動作を対象空間1内の対象者2の体感温度が目標温度になるように制御してもよい。前述したように、表面温度センサ112の検出結果に基づいて、対象空間1内の対象者2の体感温度を得ることができる。例えば、制御装置200の環境状態判定部212は、情報取得部201が取得した表面温度センサ112の検出結果を用いて、対象者2の体感温度を推定する。この場合、表面温度センサ112、情報取得部201及び環境状態判定部212は、対象空間1内の人の体感温度を推定する体感温度推定手段を構成している。
【0065】
この変形例では、装置制御部220は、体感温度推定手段により推定される対象者2の体感温度が前述した設定温度となるように空調装置10の動作を制御する。そして、装置制御部220は、照明装置20が第1色温度の光を照射している場合、体感温度と設定温度との差が第1基準値以上になったときに設定温度を変更する。また、装置制御部220は、照明装置20が第2色温度の光を照射している場合には、体感温度と設定温度との差が第2基準値以上になったときに設定温度を変更する。したがって、空調装置10は、照明装置20が第1色温度の光を照射している場合、体感温度と設定温度との差が第1基準値以上になったときに設定温度を変更する。そして、空調装置10は、照明装置20が第2色温度の光を照射している場合、体感温度と設定温度との差が第1基準値と異なる第2基準値以上になったときに設定温度を変更する。
【0066】
空調装置10が冷房運転中のとき、装置制御部220は、照明装置20が第1色温度の光を照射している場合、体感温度が設定温度よりも第1基準値以上高くなった時に設定温度を低くする。また、装置制御部220は、照明装置20が第2色温度の光を照射している場合、体感温度が設定温度よりも第2基準値以上高くなった時に設定温度を低くする。そして、第2基準値は、第1基準値より小さい。具体的に例えば、第1基準値は2℃に設定され、第2基準値は1℃に設定される。
【0067】
空調装置10が暖房運転中のとき、装置制御部220は、照明装置20が第1色温度の光を照射している場合、体感温度が設定温度よりも第1基準値以上低くなった時に設定温度を高くする。また、装置制御部220は、照明装置20が第2色温度の光を照射している場合、体感温度が設定温度よりも第2基準値以上低くなった時に設定温度を高くする。そして、第2基準値は、第1基準値より大きい。具体的に例えば、第1基準値は1℃に設定され、第2基準値は2℃に設定される。
【0068】
以上のように構成された環境制御システムの変形例においても、人の生体リズムに適した照明環境と、人の温熱的快適性を損なわない温度環境とを両立可能である。また、対象空間1内の対象者2の体感温度を推定し、この推定した体感温度との差を少なくするように空調装置10の動作を制御できるため、人が感じる温熱的快適性をより向上した温度環境の構築を図ることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 対象空間
2 対象者
10 空調装置
11 筐体
12 吸込口
13 吹出口
14 熱交換器
15 送風ファン
16 ルーバ
17 ドレンパン
18 プレフィルタ
19 前面パネル
20 照明装置
101 時刻取得部
111 室温センサ
112 表面温度センサ
121 室内照度センサ
122 屋外照度センサ
200 制御装置
201 情報取得部
211 時間帯判定部
212 環境状態判定部
220 装置制御部