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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240910BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G03G15/00 680
G03G21/16 133
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021019478
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122331
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2024-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 智久
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-44256(JP,A)
【文献】特開2018-134752(JP,A)
【文献】特開2002-234230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備えるハウジングと、
ヒンジを介して前記ハウジングに結合され、前記開口部を塞ぐ扉と、
前記ハウジングの下部、且つ、前記ヒンジの近傍に設けられたインレットと、
前記ハウジングの下部に設けられた1次電源部と、
前記1次電源部よりも前記インレットから離間した位置に設けられた2次電源部と、
前記インレットと前記1次電源部との間の第1電路に設けられ、前記扉が開けられることで通電が停止される1次インターロックスイッチと、
前記1次電源部と前記2次電源部との間の第2電路に設けられ、前記扉が開けられることで通電が停止される2次インターロックスイッチと、を備え、
前記1次インターロックスイッチは、前記2次インターロックスイッチよりも前記インレットに近接した位置に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
閉じた状態で前記扉を固定可能、且つ、前記扉を開閉する操作が可能な固定機構を前記2次インターロックスイッチに対応する位置に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記2次インターロックスイッチは、前記扉を開けた場合に前記1次インターロックスイッチよりも先に通電を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記扉から前記1次インターロックスイッチ側に突出し、前記扉が閉められた場合に前記1次インターロックスイッチを押圧する第1突出部と、
前記扉から前記2次インターロックスイッチ側に突出し、前記扉が閉められた場合に前記2次インターロックスイッチを押圧する第2突出部と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記ハウジングの側面に設けられ、
前記ヒンジは、前記開口部の下部に設けられ、
前記インレット及び前記1次電源部は、前記ハウジングの下部に設けられ、
前記2次電源部は、前記1次電源部よりも上方に設けられ、
前記1次インターロックスイッチは、前記2次インターロックスイッチよりも下方に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置のハウジングには、電源コードが接続されるインレットが設けられている。多くの場合、インレットはハウジングの下部に設けられ、インレットを介して供給される交流電力を直流に変換する1次電源部がインレットの近傍に設けられている。直流に変換された電力は、2次電源部により各部に応じた電圧に変換される。
【0003】
また、画像形成装置のハウジングには、内部のメンテナンスや詰まったシートの除去等のために、開口部と、開口部を塞ぐ扉が設けられている。扉には、扉が閉じた状態を保持する固定機構が設けられている。固定機構にはハンドルが設けられており、ハンドルの操作により扉を開閉することが可能である。また、作業の安全性を確保するために、扉を開けると電源が切れるインターロックスイッチが設けられている(例えば、特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-145340号公報
【文献】特開2011-154240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記の各構成要素の位置関係を以下のように仮定する。開口部がハウジングの側面に設けられ、扉の下端部にヒンジが設けられている。インレットと1次電源部は、ハウジングの下部に設けられ、2次電源部は、1次電源部よりも上方に設けられている。また、インレットと1次電源部との間の第1電路に1次インターロックスイッチが設けられ、1次電源部と2次電源部との間の第2電路に2次インターロックスイッチが設けられている。
【0006】
インターロックスイッチは、押しボタン型やレバー型等の可動部と、可動部を筐体の外側に付勢するばねと、可動部が押し込まれた場合に通電する接点と、を備える。扉が閉められている場合には、扉によって可動部が押し込まれているため、扉はばねから反力を受ける。反力による扉の変形を防ぐためには、固定機構の近傍にインターロックスイッチを設けることが望ましい。
【0007】
ところが、一般に、固定機構は、扉のヒンジから離れた位置に設けられるため、1次インターロックスイッチを固定機構の近傍に設けると、第1電路が第2電路の近傍を経由して配線されることになる。そのため、第1電路から発生するノイズが2次電源部の動作に影響を及ぼすおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情を考慮し、インレットと1次電源部との間の電路から発生するノイズの2次電源部に対する影響を抑制することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、開口部を備えるハウジングと、ヒンジを介して前記ハウジングに結合され、前記開口部を塞ぐ扉と、前記ハウジングの下部、且つ、前記ヒンジの近傍に設けられたインレットと、前記ハウジングの下部に設けられた1次電源部と、前記1次電源部よりも前記インレットから離間した位置に設けられた2次電源部と、前記インレットと前記1次電源部との間の第1電路に設けられ、前記扉が開けられることで通電が停止される1次インターロックスイッチと、前記1次電源部と前記2次電源部との間の第2電路に設けられ、前記扉が開けられることで通電が停止される2次インターロックスイッチと、を備え、前記1次インターロックスイッチは、前記2次インターロックスイッチよりも前記インレットに近接した位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
前記画像形成装置は、閉じた状態で前記扉を固定可能、且つ、前記扉を開閉する操作が可能な固定機構を前記2次インターロックスイッチに対応する位置に備えていてもよい。
【0011】
前記2次インターロックスイッチは、前記扉を開けた場合に前記1次インターロックスイッチよりも先に通電を停止してもよい。
【0012】
前記画像形成装置は、前記扉から前記1次インターロックスイッチ側に突出し、前記扉が閉められた場合に前記1次インターロックスイッチを押圧する第1突出部と、前記扉から前記2次インターロックスイッチ側に突出し、前記扉が閉められた場合に前記2次インターロックスイッチを押圧する第2突出部と、を備えていてもよい。
【0013】
前記開口部は、前記ハウジングの側面に設けられ、前記ヒンジは、前記開口部の下部に設けられ、前記インレット及び前記1次電源部は、前記ハウジングの下部に設けられ、前記2次電源部は、前記1次電源部よりも上方に設けられ、前記1次インターロックスイッチは、前記2次インターロックスイッチよりも下方に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、インレットと1次電源部との間の電路から発生するノイズの2次電源部に対する影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す斜視図(2次電源部を含む)である。
図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す斜視図(2次電源部を除く)である。
図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の扉が開けられた状態を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る扉の内側(前側)の部分を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の特徴的な構成を模式的に示す側面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の特徴的な構成を模式的に示す側面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の特徴的な構成を模式的に示す側面図である。
図11】本発明の一実施形態に対する比較例を示す側面図である。
図12図8の側面図を平面図に置き換えたものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る画像形成装置100について説明する。
【0017】
最初に、画像形成装置100の全体の構成について説明する。図1、2は、画像形成装置100の外観を示す斜視図である。図3は、画像形成装置100の内部構成を模式的に示す側面図である。以下、図3における紙面左側を画像形成装置100の正面側(前側)とし、左右の向きは画像形成装置100を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0018】
画像形成装置100は、プリンター1と、スキャナー110と、原稿搬送装置120と、を備える。プリンター1の上方にスキャナー110が設けられ、スキャナー110の上方に原稿搬送装置120が設けられている。原稿搬送装置120は、スキャナー110の読取位置を経由する搬送路に沿って原稿を搬送する。スキャナー110は、フラットベッド型のイメージスキャナーであり、原稿を読み取って画像データを生成する。プリンター1は、電子写真方式でシートSに画像を形成する。
【0019】
プリンター1とスキャナー110は、直方体状のハウジング3により一体化されている。ハウジング3の内部の下部には、シートSが収容される給紙カセット4と、給紙カセット4からシートSを送り出す給紙ローラー5が設けられている。給紙カセット4の上方には、電子写真方式にてトナー像を形成する作像装置6が設けられ、作像装置6の後側の上方には、トナー像をシートSに定着する定着装置7が設けられている。定着装置7の上方には、トナー像が定着されたシートSを排出する排紙ローラー対8と、排出されたシートSが積載される排紙トレイ9が設けられている。
【0020】
作像装置6は、光の照射により電位が変化する感光体ドラム11、感光体ドラム11を帯電させる帯電装置12、画像データに応じたレーザー光を出射する露光装置13、感光体ドラム11にトナーを供給する現像装置14、転写バイアスを発生する一次転写ローラー15A、感光体ドラム11のトナー像が転写される中間転写ベルト15B、転写バイアスを発生する二次転写ローラー15C、及び、感光体ドラム11に残留したトナーを除去するクリーニング装置16を備える。現像装置14には、現像装置14にトナーを供給するトナーコンテナ20が接続されている。
【0021】
ハウジング3の内部には、給紙ローラー5から作像装置6、定着装置7を経て排紙ローラー対8に至る搬送路10が設けられている。搬送路10には、シートSを搬送する複数の搬送ローラー対17が設けられている。作像装置6よりも搬送方向上流側には、レジストローラー対18が設けられている。反転搬送路10Rは、定着装置7と排紙ローラー対8との間の分岐点10Bにおいて搬送路10から分岐し、給紙ローラー5とレジストローラー対18との間の合流点10Jにおいて搬送路10に合流する。
【0022】
制御部2は、演算部と記憶部とを備える。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。演算部は、記憶部に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで各種処理を実施する。なお、制御部2は、ソフトウェアを用いない集積回路によって実現されてもよい。
【0023】
スキャナー110の前側には、操作パネル19が設けられている。操作パネル19は、表示パネルと、表示パネルの表示面に重ねて設けられたタッチパネルと、表示パネルに隣接するキーパッドと、を備える。制御部2は、プリンター1及びスキャナー110の操作メニューを表す画面を表示パネルに表示させ、タッチパネル及びキーパッドで検知された操作に応じてプリンター1及びスキャナー110の各部を制御する。
【0024】
プリンター1の基本的な画像形成動作は、次のとおりである。外部のコンピューター等からプリンター1に片面印刷の印刷ジョブが入力されると、給紙ローラー5が給紙カセット4から搬送路10にシートSを送り出し、回転が停止されたレジストローラー対18がシートSの斜行を補正し、レジストローラー対18が所定のタイミングで作像装置6にシートSを送り出す。作像装置6においては、帯電装置12が感光体ドラム11を所定の電位に帯電させ、露光装置13が感光体ドラム11に潜像を書き込み、現像装置14がトナーコンテナ20から供給されたトナーを用いて潜像を現像することでトナー像を形成し、一次転写ローラー15Aがトナー像を中間転写ベルト15Bに転写し、二次転写ローラー15Cがトナー像をシートSに転写する。続いて、定着装置7がシートSを挟持して搬送しながらトナー像を溶融させることでトナー像をシートSに定着させ、排紙ローラー対8が排紙トレイ9にシートSを排出する。クリーニング装置16は、感光体ドラム11に残留したトナーを除去する。両面印刷の場合、第1面にトナー像が定着されたシートSが反転搬送路10Rを経由して搬送路10に送り込まれることで、第2面にトナー像が転写される。
【0025】
次に、画像形成装置100の特徴的な構成について説明する。図4は、画像形成装置100の内部構成を示す斜視図(2次電源部32を含む)である。図5は、画像形成装置100の内部構成を示す斜視図(2次電源部32を除く)である。図6は、画像形成装置100の扉3Dが開けられた状態を示す斜視図である。図7は、扉3Dの内側(前側)の部分を示す斜視図である。図8は、画像形成装置100の特徴的な構成を模式的に示す側面図である。
【0026】
画像形成装置100は、開口部3Aを備えるハウジング3と、ヒンジ3Hを介してハウジング3に結合され、開口部3Aを塞ぐ扉3Dと、ハウジング3の下部、且つ、ヒンジ3Hの近傍に設けられたインレット30と、ハウジング3の下部に設けられた1次電源部31と、1次電源部31よりもインレット30から離間した位置に設けられた2次電源部32と、インレット30と1次電源部31との間の第1電路41に設けられ、扉3Dが開けられることで通電が停止される1次インターロックスイッチ51と、1次電源部31と2次電源部32との間の第2電路42に設けられ、扉3Dが開けられることで通電が停止される2次インターロックスイッチ52と、を備え、1次インターロックスイッチ51は、2次インターロックスイッチ52よりもインレット30に近接した位置に設けられている。
【0027】
[ハウジング、扉]
ハウジング3の背面(後面)には、概ね長方形の開口部3A(図3、6、8参照)と、開口部3Aを塞ぐ扉3D(図2乃至8参照)が設けられている。開口部3Aの下端部と扉3Dの下端部は、ヒンジ3Hを介して結合されており、ヒンジ3Hを支点として扉3Dが開閉可能である。反転搬送路10R(図3参照)は、補強リブを備える前後に対をなす案内板10G(図7参照)と、前後に対をなすローラー17Rを備える搬送ローラー対17と、を備える。図7に示されるように、後方の案内板10G及びローラー17Rが扉3Dの内面側に設けられているため、扉3Dが開けられることで反転搬送路10Rが開放され、詰まったシートSの除去が可能となる。また、扉3Dが開けられることで定着装置7等のメンテナンスが可能となる。
【0028】
[固定機構]
ハウジング3は、閉じた状態で扉3Dを固定する固定機構70を備える(図6参照)。固定機構70は、開口部3Aの左右の縁部の上部に設けられている。固定機構70は、扉3Dの内側(前側)に設けられた支持部72を支点として揺動可能な鉤状部材71と、ハウジング3に設けられ、鉤状部材71を引っ掛けることが可能な固定部73と、固定部73に引っ掛かる方向に鉤状部材71を付勢するばね(図示省略)と、ばねによる付勢と反対の方向に鉤状部材71を操作するためのハンドル74と、を備える。
【0029】
鉤状部材71は、上方に突出した鉤状の先端部を備え、ばねによって図6における時計回り方向に付勢されている。固定部73は、付勢された鉤状部材71の先端部が引っ掛かる形状(図6の例では、棒状)に形成されている。ハンドル74は、扉3Dの外面に設けられ、上端部を支点として揺動可能であり、リンク機構(図示省略)を介して鉤状部材71と連結されている。ばねによる付勢に抵抗してハンドル74を後方に引く操作により、鉤状部材71が図6における反時計回り方向に揺動し、固定部73から外れる。
【0030】
[インレット、1次電源部、2次電源部]
インレット30(図4乃至6、8参照)は、開口部3Aの右下隅に隣接しており、後方から電源コードのプラグが差し込まれる。インレット30の前方には、1次電源部31が設けられており、インレット30と1次電源部31が第1電路41により接続されている(図8参照)。1次電源部31の上方には、2次電源部32が設けられており、1次電源部31と2次電源部32が第2電路42により接続されている。1次電源部31は、インレット30を介して供給される交流電力を直流電力に変換し、2次電源部32や、定着装置7の熱源等に供給する。2次電源部32は、1次電源部31から供給される直流電力を、作像装置6、定着装置7、搬送ローラー対17等を駆動するモーター(図示省略)や、制御部2、スキャナー110、原稿搬送装置120等に適合した電圧に変換して供給する。
【0031】
[1次インターロックスイッチ、第1突出部]
1次インターロックスイッチ51(図4乃至6、8参照)は、インレット30の上方、且つ、1次電源部31の後方に設けられ、第1電路41を開閉する機能を備える。1次インターロックスイッチ51は、例えば、筐体から後方に突出したアクチュエーターと、アクチュエーターを後方に付勢するばねと、アクチュエーターが押し込まれた場合に接続される接点と、を備えるマイクロスイッチである。第1突出部61(図4乃至8参照)は、扉3Dの内面の1次インターロックスイッチ51に対向する箇所から前方に突出している。扉3Dが閉じられた場合に、第1突出部61が1次インターロックスイッチ51のアクチュエーターを前方に押し込むことで、接点が接続され、通電する。
【0032】
[2次インターロックスイッチ、第2突出部]
2次インターロックスイッチ52(図4乃至6、8参照)は、1次インターロックスイッチ51の上方、且つ、右側の固定機構70の右方に設けられ、第2電路42を開閉する機能を備える。2次インターロックスイッチ52は、例えば、筐体から上方に突出したアクチュエーターと、アクチュエーターを上方に付勢するばねと、アクチュエーターが押し込まれた場合に接続される接点と、を備えるマイクロスイッチである。第2突出部62(図5乃至8参照)は、扉3Dの内面の2次インターロックスイッチ52に対向する箇所のやや上方から突出しており、先端部が前方に向かってすぼまっている。2次インターロックスイッチ52の上方には、前後方向に摺動可能な摺動部材63が設けられている。摺動部材63は、ばねによって後方に付勢されている。摺動部材63の下部には、下方に突出した凸部が設けられている。扉3Dが閉じられた場合に、第2突出部62が摺動部材63を前方に押し出し、摺動部材63の凸部が2次インターロックスイッチ52のアクチュエーターを下方に押し込むことで、接点が接続され、通電する。
【0033】
次に、扉3Dの開閉動作について説明する。既出の図8は、扉3Dが開けられたことで1次インターロックスイッチ51及び2次インターロックスイッチ52の通電が停止した状態を示している。同図においては、図示の便宜上、扉3Dの開度が小さいが、実際には、より大きな開度まで扉3Dを開けることが可能である。これに対して、図9は、図8よりも扉3Dの開度が小さい状態を示しており、1次インターロックスイッチ51のみが通電している。図10は、扉3Dが閉められたことで1次インターロックスイッチ51及び2次インターロックスイッチ52が通電した状態を示している。
【0034】
図8に示される状態からユーザーが扉3Dを閉める操作を行うと、図9に示されるように、1次インターロックスイッチ51が先に通電し、続いて、図10に示されるように、2次インターロックスイッチ52が通電する。一方、図10に示される状態からユーザーが扉3Dを開ける操作を行うと、図9に示されるように、2次インターロックスイッチ52の通電が先に停止し、続いて、図8に示されるように、1次インターロックスイッチ51の通電が停止する。
【0035】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置100の効果について説明する。図11は、比較例を示す側面図である。この比較例では、1次インターロックスイッチ51が2次インターロックスイッチ52及び固定機構70(図8乃至11では固定機構70は省略)に隣接しているため、本実施形態と比べて、第1電路41が長く、且つ、第1電路41が2次インターロックスイッチ52の近傍を通っている。このように配置する理由は、1次インターロックスイッチ51及び2次インターロックスイッチ52を固定機構70に近接させることで、1次インターロックスイッチ51及び2次インターロックスイッチ52のばねの反力による扉3Dの変形を抑制するためである。
【0036】
これに対して、本実施形態では(図8乃至10参照)、1次インターロックスイッチ51が2次インターロックスイッチ52よりもインレット30に近接した位置に設けられている。この構成によれば、比較例と比べて、第1電路41が短くなるから、第1電路41からのノイズが抑制される。よって、第1電路41から発生するノイズの2次電源部32に対する影響を抑制することができる。また、第1電路41を第2電路42及び2次電源部32から離間させることが可能となるから、第1電路41から発生するノイズの2次電源部32に対する影響を抑制することができる。また、本実施形態では、比較例と比べて、1次インターロックスイッチ51が固定機構70から離間しているため、扉3Dの変形の抑制に対する固定機構70の寄与は小さくなるが、構造上、扉3Dはヒンジ3Hに近い箇所ほど変形しにくいから、1次インターロックスイッチ51のばねの反力による扉3Dの変形を抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、閉じた状態で扉3Dを固定可能、且つ、扉3Dを開閉する操作が可能な固定機構70を、ハウジング3及び扉3Dの2次インターロックスイッチ52に対応する位置に備えるから、2次インターロックスイッチ52のばねの反力による扉3Dの変形を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、2次インターロックスイッチ52は、扉3Dを開けた場合に1次インターロックスイッチ51よりも先に通電を停止する。2次電源部32の動作中に1次電源部31の動作が停止すると、2次電源部32から電力の供給を受ける装置がエラーを起こすが、本実施形態では、扉3Dを開けた場合に1次電源部31よりも先に2次電源部32が動作を停止するから、2次電源部32から電力の供給を受ける装置のエラーを防ぐことができる。
【0039】
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、扉3Dから1次インターロックスイッチ51側に突出し、扉3Dが閉められた場合に1次インターロックスイッチ51を押圧する第1突出部61と、扉3Dから2次インターロックスイッチ52側に突出し、扉3Dが閉められた場合に2次インターロックスイッチ52を押圧する第2突出部62と、を備える。この構成によれば、1次インターロックスイッチ51と2次インターロックスイッチ52を開口部3Aの縁よりも奥側(前側)に設けることが可能となるから、設計の自由度を高めることができる。
【0040】
上記実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0041】
上記実施形態では、ヒンジ3Hが開口部3Aの下部に設けられている例が示されたが、ヒンジ3Hが開口部3Aの右又は左の側部に設けられていてもよい。例えば、図12は、図8の側面図を平面図に置き換えたものである(図8とは座標軸の方向のみが異なる)。この例では、ヒンジ3Hは、開口部3Aの右側部に設けられている。インレット30及び1次電源部31は、ハウジング3の下部に設けられ、2次電源部32は、1次電源部31よりも左方に設けられている。1次インターロックスイッチ51及び2次インターロックスイッチ52は、開口部3Aの下部に設けられている。また、1次インターロックスイッチ51は、2次インターロックスイッチ52よりも右方に設けられている。この構成によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。なお、2次電源部32が1次電源部31よりも左方且つ上方に設けられ、2次インターロックスイッチ52が開口部3Aの上部に設けられていてもよい。
【0042】
上記実施形態では、第1突出部61と第2突出部62が設けられている例が示されたが、第1突出部61と第2突出部62は必須ではなく、1次インターロックスイッチ51、2次インターロックスイッチ52を扉3Dが直接的に押圧するように構成されていてもよい。
【0043】
上記実施形態では、扉3Dを開けた場合に、2次インターロックスイッチ52が1次インターロックスイッチ51よりも先に通電が停止する例が示されたが、扉3Dを開けた場合に、2次インターロックスイッチ52が1次インターロックスイッチ51と同時に通電を停止するように構成されていてもよい。
【0044】
上記実施形態では、固定機構70を2次インターロックスイッチ52に対応する位置に備える例が示されたが、固定機構70を2次インターロックスイッチ52に対応しない位置に備えていてもよい。例えば、固定機構70を開口部3A及び扉3Dの上端部に備えていてもよい。この場合、扉3Dの厚肉化、補強リブの追加等により扉3Dの変形が抑制されることが望ましい。
【0045】
上記実施形態では、ハウジング3の背面に開口部3Aが設けられている例が示されたが、ハウジング3の左右の側面や正面に開口部3Aが設けられている画像形成装置100に本発明が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
3 ハウジング
3A 開口部
3D 扉
3H ヒンジ
30 インレット
31 1次電源部
32 2次電源部
41 第1電路
42 第2電路
51 1次インターロックスイッチ
52 2次インターロックスイッチ
61 第1突出部
62 第2突出部
70 固定機構
100 画像形成装置
図1
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図5
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図12