(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報管理システム及び情報管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240910BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240910BHJP
G16Y 10/25 20200101ALI20240910BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240910BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20240910BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20240910BHJP
【FI】
G06Q50/08
G05B19/418 Z
G16Y10/25
G16Y20/20
G16Y40/10
G16Y40/30
(21)【出願番号】P 2021020688
(22)【出願日】2021-02-12
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大耀
(72)【発明者】
【氏名】西吉 大樹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】大野 暁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 駿
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/007493(WO,A1)
【文献】特開2003-337861(JP,A)
【文献】特開2001-357016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00- 99/00
G05B 19/418
G16Y 10/25
G16Y 20/20
G16Y 40/10
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メーカによって生産される生産品を構成する資材を前記メーカに供給する1つ以上のサプライヤにおける前記資材に関する資材情報を少なくとも記憶した記憶部と、
前記メーカから、前記生産品に関する品質の不具合が発生したことを示す不具合通知が受信された場合に、前記記憶部に格納された、前記不具合に関する前記資材の前記資材情報に含まれる機密情報の少なくとも一部へのアクセス権限を、前記メーカに付与するように制御を行う権限制御部と、
を有
し、
前記権限制御部は、前記不具合の原因の判明の緊急度が高いほど、前記アクセス権限が付与される機密情報の範囲が大きくなるように、前記アクセス権限を前記メーカに付与する、
情報管理システム。
【請求項2】
前記機密情報には、前記サプライヤにおける機密性の高さを示す機密度が設定されており、
前記権限制御部は、前記不具合の緊急度が高いほど、より高い前記機密度が設定された前記機密情報及び当該機密情報の機密度よりも低い機密度が設定された機密情報へのアクセス権限を、前記メーカに付与する、
請求項
1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
メーカによって生産される生産品を構成する資材を前記メーカに供給する1つ以上のサプライヤにおける前記資材に関する資材情報を少なくとも記憶した記憶部と、
前記メーカから、前記生産品に関する品質の不具合が発生したことを示す不具合通知が受信された場合に、前記記憶部に格納された、前記不具合に関する前記資材の前記資材情報に含まれる機密情報の少なくとも一部へのアクセス権限を、前記メーカに付与するように制御を行う権限制御部と、
を有し、
前記権限制御部は、前記不具合の原因
が判明しない場合に、前記アクセス権限が付与される機密情報の範囲が大きくなるように、前記アクセス権限を前記メーカに付与する、
情報管理システム。
【請求項4】
前記機密情報には、前記サプライヤにおける機密性の高さを示す機密度が設定されており、
前記権限制御部は、前記機密情報のうちの第1の機密情報へのアクセス権限を前記メーカに付与した後で前記メーカにおいて前記不具合の原因が判明しない場合に、前記機密情報のうち前記第1の機密情報の前記機密度よりも高い前記機密度の第2の機密情報へのアクセス権限を前記メーカに付与する、
請求項
3に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記機密情報は、対応する前記資材の生産に関し以前に前記資材が生産されたときの状態から変化した変化点に関する変化点情報を含み、
前記権限制御部は、前記変化点情報へのアクセス権限を、前記メーカに付与する、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記記憶部は、資材と当該資材が組み付けられて構成される他の資材とを対応付けるように、前記資材情報を記憶し、
前記記憶部に格納された前記資材情報を用いて前記不具合に関する前記資材を特定する資材特定部、
をさらに有する請求項1から
5のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【請求項7】
少なくとも、メーカによって生産される生産品を構成する資材を前記メーカに供給する1つ以上のサプライヤにおける前記資材に関する資材情報を、記憶部に記憶し、
前記メーカから、前記生産品に関する品質の不具合が発生したことを示す不具合通知が受信された場合に、前記記憶部に格納された、前記不具合に関する前記資材の前記資材情報に含まれる機密情報の少なくとも一部へのアクセス権限を、前記メーカに付与するように制御を行
い、
前記不具合の原因の判明の緊急度が高いほど、前記アクセス権限が付与される機密情報の範囲が大きくなるように、前記アクセス権限を前記メーカに付与する、
情報管理方法。
【請求項8】
少なくとも、メーカによって生産される生産品を構成する資材を前記メーカに供給する1つ以上のサプライヤにおける前記資材に関する資材情報を、記憶部に記憶し、
前記メーカから、前記生産品に関する品質の不具合が発生したことを示す不具合通知が受信された場合に、前記記憶部に格納された、前記不具合に関する前記資材の前記資材情報に含まれる機密情報の少なくとも一部へのアクセス権限を、前記メーカに付与するように制御を行い、
前記不具合の原因が判明しない場合に、前記アクセス権限が付与される機密情報の範囲が大きくなるように、前記アクセス権限を前記メーカに付与する、
情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理システム及び情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、製品不良に基づいて生産設備の不具合箇所の特定を行う、不具合箇所特定支援装置を開示する。特許文献1にかかる不具合箇所特定支援装置は、生産設備にて生産した製品に発生する製品不良の原因となる当該生産設備の不具合箇所を示す不具合箇所情報を製品不良に関連付けて記憶する不具合箇所情報記憶手段を備える。また、特許文献1にかかる不具合箇所特定支援装置は、指定された製品不良に対応する不具合箇所情報を不具合箇所情報記憶手段から抽出する不具合箇所情報抽出手段と、不具合箇所情報抽出手段が抽出した不具合箇所情報が示す不具合箇所を表示させる表示制御手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両メーカ等のメーカが生産する製品(生産品)には、複数のサプライヤから供給された複数の資材で構成されるものが多い。メーカにおいてこのような製品(生産品)についての品質の不具合が発生した場合、不具合の原因を特定するためには、メーカにある情報だけでは不十分であり、サプライヤで管理している資材に関する情報(資材情報)が必要となることがある。一方、不具合の原因を特定するのに利用される資材情報は、機密情報を含むことがある。したがって、サプライヤの資材情報を用いて不具合の原因を特定することは、容易ではない。ここで、特許文献1は、各情報が機密情報を含むことについて開示していないので、特許文献1にかかる技術では、生産品に関する品質の不具合の原因を特定することは、容易ではない。
【0005】
本発明は、サプライヤから供給された資材で構成される生産品に関する品質の不具合の原因を容易に特定することを可能とする情報管理システム及び情報管理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる情報管理システムは、メーカによって生産される生産品を構成する資材を前記メーカに供給する1つ以上のサプライヤにおける前記資材に関する資材情報を少なくとも記憶した記憶部と、前記メーカから、前記生産品に関する品質の不具合が発生したことを示す不具合通知が受信された場合に、前記記憶部に格納された、前記不具合に関する前記資材の前記資材情報に含まれる機密情報の少なくとも一部へのアクセス権限を、前記メーカに付与するように制御を行う権限制御部と、を有する。
【0007】
また、本発明にかかる情報管理方法は、少なくとも、メーカによって生産される生産品を構成する資材を前記メーカに供給する1つ以上のサプライヤにおける前記資材に関する資材情報を、記憶部に記憶し、前記メーカから、前記生産品に関する品質の不具合が発生したことを示す不具合通知が受信された場合に、前記記憶部に格納された、前記不具合に関する前記資材の前記資材情報に含まれる機密情報の少なくとも一部へのアクセス権限を、前記メーカに付与するように制御を行う。
【0008】
このような構成により、メーカは、サプライヤの機密情報を用いて不具合の原因を調査できる。したがって、本発明は、サプライヤから供給された資材で構成される生産品に関する品質の不具合の原因を容易に特定することを可能とする。
【0009】
また、好ましくは、前記権限制御部は、前記不具合の原因の判明の緊急度が高いほど、前記アクセス権限が付与される機密情報の範囲が大きくなるように、前記アクセス権限を前記メーカに付与する。
このような構成により、本発明は、機密情報の保護と不具合原因の特定とのバランスを取ることが可能となる。
【0010】
また、好ましくは、前記機密情報には、前記サプライヤにおける機密性の高さを示す機密度が設定されており、前記権限制御部は、前記不具合の緊急度が高いほど、より高い前記機密度が設定された前記機密情報及び当該機密情報の機密度よりも低い機密度が設定された機密情報へのアクセス権限を、前記メーカに付与する。
このような構成により、本発明は、機密情報の保護と不具合原因の特定とのバランスをさらに確実に取ることが可能となる。
【0011】
また、好ましくは、前記権限制御部は、前記不具合の原因の調査の段階が進むにつれて、前記アクセス権限が付与される機密情報の範囲が大きくなるように、前記アクセス権限を前記メーカに付与する。
このような構成により、本発明は、機密情報の保護と不具合原因の特定とのバランスを取ることが可能となる。
【0012】
また、好ましくは、前記機密情報には、前記サプライヤにおける機密性の高さを示す機密度が設定されており、前記権限制御部は、前記機密情報のうちの第1の機密情報へのアクセス権限を前記メーカに付与した後で前記メーカにおいて前記不具合の原因が判明しない場合に、前記機密情報のうち前記第1の機密情報の前記機密度よりも高い前記機密度の第2の機密情報へのアクセス権限を前記メーカに付与する。
このような構成により、本発明は、機密情報の保護と不具合原因の特定とのバランスをさらに確実に取ることが可能となる。
【0013】
また、好ましくは、前記機密情報は、対応する前記資材の生産に関し以前に前記資材が生産されたときの状態から変化した変化点に関する変化点情報を含み、前記権限制御部は、前記変化点情報へのアクセス権限を、前記メーカに付与する。
このような構成により、本発明は、不具合の原因を特定することがさらに容易となる。
【0014】
また、好ましくは、前記記憶部は、資材と当該資材が組み付けられて構成される他の資材とを対応付けるように、前記資材情報を記憶し、前記記憶部に格納された前記資材情報を用いて前記不具合に関する前記資材を特定する資材特定部をさらに有する。
このような構成により、不具合の原因となった資材(部品)が特定されていない場合であっても、不具合の原因となった可能性のある資材(部品)を、容易に特定することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、サプライヤから供給された資材で構成される生産品に関する品質の不具合の原因を容易に特定することを可能とする情報管理システム及び情報管理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1にかかる情報管理システムを示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる記憶部に格納される情報を例示する図である。
【
図3】実施の形態1にかかる情報管理システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】実施の形態1にかかる情報管理システムによって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1にかかる情報管理システムによって実行される代替判定処理を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態2にかかる情報管理システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】実施の形態2にかかる情報管理システムによって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態3にかかる記憶部に記憶された資材情報を例示する図である。
【
図9】実施の形態3にかかる情報管理システムによって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態4にかかる記憶部に記憶された資材情報を例示する図である。
【
図11】実施の形態4にかかる情報管理システムによって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態4にかかる資材特定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0018】
図1は、実施の形態1にかかる情報管理システム1を示す図である。情報管理システム1は、生産品メーカ装置10と、サプライヤ装置20と、運送会社装置30と、情報管理装置100と、記憶部50とを有する。情報管理装置100は、生産品メーカ装置10、サプライヤ装置20及び運送会社装置30と、有線又は無線のネットワーク2を介して通信可能に接続されている。ネットワーク2は、例えばインターネットであってもよいし、LAN(Local Area Network)であってもよい。
【0019】
記憶部50は、例えばデータベース(DB)である。情報管理装置100は、記憶部50に記憶される情報を管理する。具体的には、情報管理装置100は、記憶部50に情報を格納する。また、情報管理装置100は、必要に応じて、格納されている情報を閲覧可能とする。なお、記憶部50は、情報管理装置100と物理的に一体であってもよい。記憶部50は、情報管理装置100に内蔵されていてもよい。また、記憶部50は、記憶された情報を外部から閲覧可能とするウェブサイト(ウェブサーバ)を実現してもよい。
【0020】
生産品メーカ装置10は、例えばコンピュータ等の情報処理装置として機能する。生産品メーカ装置10は、生産品(製品)を生産する生産品メーカ(以降、単に「メーカ」と称する)によって管理される。生産品メーカ装置10は、サーバであってもよいし、端末であってもよいし、サーバと端末の両方の機能を有してもよい。生産品メーカ装置10は、メーカごとに1つ以上設けられ得る。また、メーカが複数あれば、生産品メーカ装置10も複数存在し得る。
【0021】
サプライヤ装置20は、例えばコンピュータ等の情報処理装置として機能する。サプライヤ装置20は、生産品を構成する資材を生産してメーカに供給するサプライヤによって管理される。サプライヤ装置20は、サーバであってもよいし、端末であってもよいし、サーバと端末の両方の機能を有してもよい。ここで、資材は、例えば生産品を構成する部品又はユニット品等である。ユニット品は、さらに複数の資材(部品)で構成される。例えば、生産品が自動車である場合、資材は、トランスアスクル、トランスミッション、ボルト、及びナット等である。なお、トランスアスクル及びトランスミッション等は、複数の資材(部品)で構成されるユニット品であるともいえる。なお、サプライヤ装置20は、サプライヤごとに1つ以上設けられ得る。サプライヤが複数あれば、サプライヤ装置20も複数存在し得る。
【0022】
運送会社装置30は、例えばコンピュータ等の情報処理装置として機能する。運送会社装置30は、運送会社によって管理される。運送会社装置30は、サーバであってもよいし、端末であってもよいし、サーバと端末の両方の機能を有してもよい。運送会社は、例えば、資材をサプライヤの工場等からメーカの工場等に搬送する。なお、運送会社装置30は、運送会社ごとに1つ以上設けられ得る。運送会社が複数あれば、運送会社装置30も複数存在し得る。
【0023】
生産品メーカ装置10は、この生産品メーカ装置10を管理するメーカに関する情報である生産品メーカ情報を、情報管理装置100に送信する。情報管理装置100は、受信された生産品メーカ情報を、記憶部50に格納する。これにより、記憶部50は、生産品メーカ情報を記憶する。
【0024】
生産品メーカ情報は、例えば、対応するメーカによって生産される生産品に関する情報を含む。例えば、生産品メーカ情報は、生産品の仕様、及び、生産品の生産実績等を示してもよい。また、生産品メーカ情報は、機密情報を含む。この機密情報は、対応するメーカで生産される生産品に関する不具合が発生していない通常時では、対応するメーカの外部に開示されない。ここで、生産品メーカ情報は、対応するメーカで生産される生産品に関する不具合が発生したときにその不具合の原因を調査するのに使用され得る情報を、含み得る。
【0025】
サプライヤ装置20は、このサプライヤ装置20を管理するサプライヤが供給する資材に関する情報である資材情報を、情報管理装置100に送信する。情報管理装置100は、受信された資材情報を、記憶部50に格納する。これにより、記憶部50は、資材情報を記憶する。
【0026】
資材情報は、対応する資材の生産実績及び仕様等を示してもよい。ここで、資材情報は、対応する資材に関する不具合が発生したときにその不具合の原因を調査するのに使用され得る情報を、含み得る。さらに具体的には、資材情報は、対応する資材で構成される生産品に関する品質の不具合が発生したときに、その不具合の原因を調査するのに使用され得る情報を含み得る。また、資材情報は、機密情報を含む。この機密情報は、対応する資材に関する不具合が発生していない通常時では、対応するサプライヤの外部に開示されない。また、資材情報に含まれる情報は、対応する資材の供給を受けるメーカからの指示によって、適宜定められてもよい。
【0027】
運送会社装置30は、この運送会社装置30を管理する運送会社の運送に関する情報である運送情報を、情報管理装置100に送信する。情報管理装置100は、受信された運送情報を、記憶部50に格納する。これにより、記憶部50は、運送情報を記憶する。なお、運送情報は、メーカにて資材の供給を受ける際にどの運送会社を採用するかを決定する際に、使用され得る。
【0028】
また、生産品メーカ装置10は、ネットワーク2を介して、生産品メーカ装置10を管理するメーカの管理者の操作等に応じて、記憶部50に記憶された情報にアクセスできる。生産品メーカ装置10は、例えばウェブブラウザを用いて、記憶部50に記憶された情報にアクセスしてもよい。その際、生産品メーカ装置10は、情報の閲覧を要求するための信号(閲覧要求)を、情報管理装置100に送信する。閲覧要求は、例えば、生産品メーカ装置10の識別情報(IPアドレス等)及びアクセス先の情報の識別情報を含んでもよい。情報管理装置100は、閲覧要求に応じて、ネットワーク2を介して、生産品メーカ装置10に、アクセスされた情報を送信する。これにより、生産品メーカ装置10の管理者は、他社の情報を閲覧することができる。なお、この場合であっても、生産品メーカ装置10は、アクセス権限がない機密情報にアクセスすることはできない。言い換えると、生産品メーカ装置10の管理者は、アクセス権限がない機密情報を閲覧することはできない。
【0029】
同様にして、サプライヤ装置20は、ネットワーク2を介して、記憶部50に記憶された情報にアクセスできる。これにより、サプライヤ装置20の管理者は、他社の情報を閲覧することができる。なお、この場合であっても、サプライヤ装置20は、アクセス権限がない機密情報にアクセスすることはできない。言い換えると、サプライヤ装置20の管理者は、アクセス権限がない機密情報を閲覧することはできない。
【0030】
また、同様にして、運送会社装置30は、記憶部50に記憶された情報にアクセスできる。これにより、運送会社装置30の管理者は、他社の情報を閲覧することができる。なお、この場合であっても、運送会社装置30は、アクセス権限がない機密情報にアクセスすることはできない。言い換えると、運送会社装置30の管理者は、アクセス権限がない機密情報を閲覧することはできない。
【0031】
また、生産品メーカ装置10は、対応するメーカにおいて生産されている生産品に関する品質の不具合が発生した場合に、不具合通知を、ネットワーク2を介して、情報管理装置100に送信する。不具合通知については後述する。情報管理装置100は、不具合通知を受信すると、不具合通知を送信した生産品メーカ装置10に関するメーカに、不具合に関する資材の資材情報に含まれる機密情報の少なくとも一部へのアクセス権限を付与する。詳しくは後述する。これにより、その生産品メーカ装置10は、不具合に関する資材の資材情報に含まれる機密情報にアクセスすることが可能となる。そして、そのメーカの管理者は、生産品メーカ装置10を用いてその機密情報を閲覧することが可能となる。
【0032】
ここで、記憶部50は、メーカ及びサプライヤの機密情報を格納するので、情報管理装置100の管理者は、情報管理装置100を操作しても機密情報の内容を理解できないことが好ましい。そのためには、情報管理装置100の管理者は、機密情報に関する技術分野とは全く異なる分野を専門としていることが好ましい。あるいは、情報管理装置100は、情報管理装置100を操作しても機密情報を閲覧することができないように、記憶部50の情報を管理してもよい。
【0033】
図2は、実施の形態1にかかる記憶部50に格納される情報を例示する図である。
図2に示すように、記憶部50は、生産品メーカ情報60と、資材情報70と、運送情報52とを格納する。
【0034】
生産品メーカ情報60は、対応するメーカの識別情報(メーカID)と、公開情報と、機密情報とを含む。生産品メーカ情報60の公開情報は、対応するメーカ以外の他の企業等(他のメーカ、サプライヤ及び運送会社)の構成員(従業員等)であっても、常時、自由に閲覧可能な情報である。一方、生産品メーカ情報60の機密情報は、通常時では、対応するメーカの外部からは閲覧できない情報である。そして、その機密情報にアクセスする権限であるアクセス権限がなければ、機密情報を閲覧することができない。公開情報は、例えば、対応するメーカが生産する生産品の生産実績、生産品の種類、生産品の生産日、生産品の公開可能な仕様等を示す。機密情報は、例えば、対応するメーカが生産する生産品について、生産条件、生産方法、検査方法、及び、公開が制限された仕様等を示す。
【0035】
図2の例では、生産品メーカ情報60は、メーカAについて、公開情報Aと、機密情報Aとを含む。また、生産品メーカ情報60は、メーカBについて、公開情報Bと、機密情報Bとを含む。なお、生産品メーカ情報60は、メーカごとだけでなく、各メーカの部門(例えば生産現場部門、生産技術部門、設計部門、品質保証部門等)ごとに、設けられていてもよい。
【0036】
また、生産品メーカ情報60の機密情報には、機密度が設定されていてもよい。機密度は、対応するメーカの管理者によって設定されてもよい。機密度は、メーカにおける機密性(秘匿性又は秘密性)の高さを示す。機密度が高い機密情報ほど、その機密情報を閲覧可能な条件が厳しくなる。
【0037】
図2の例では、メーカAにかかる機密情報Aは、機密情報A1と、機密情報A2と、機密情報A3とを含む。そして、機密情報A1の機密度よりも機密情報A2の機密度の方が高い。また、機密情報A2の機密度よりも機密情報A3の機密度の方が高い。例えば、機密情報A1の機密度は「低」であり、機密情報A2の機密度は「中」であり、機密情報A3の機密度は「高」であってもよい。また、メーカBにかかる機密情報Bは、機密情報B1と、機密情報B2と、機密情報B3とを含む。そして、機密情報B1の機密度よりも機密情報B2の機密度の方が高い。また、機密情報B2の機密度よりも機密情報B3の機密度の方が高い。例えば、機密情報B1の機密度は「低」であり、機密情報B2の機密度は「中」であり、機密情報B3の機密度は「高」であってもよい。
【0038】
なお、
図2の例では、機密情報の機密度が3段階に設定されているが、機密度の段階の数は任意である。また、機密度は、1つの段階に設定されてもよい。また、例えば、機密度は、0から1の連続した数値で設定されてもよい。このことは、後述する資材情報の機密度についても同様である。
【0039】
資材情報70は、対応する資材の識別情報(資材ID)と、その資材を供給するサプライヤの識別情報(サプライヤID)と、公開情報と、機密情報とを含む。資材情報70の公開情報は、対応する資材を供給するサプライヤ以外の他の企業等(他のサプライヤ、メーカ及び運送会社)の構成員(従業員等)であっても、常時、自由に閲覧可能な情報である。一方、資材情報70の機密情報は、通常時では、対応するサプライヤの外部からは閲覧できない情報である。そして、その機密情報にアクセスする権限であるアクセス権限がなければ、機密情報を閲覧することができない。公開情報は、対応する資材について、例えば、生産実績、生産日、生産拠点及び倉庫の位置情報、在庫状況、及び、公開可能な仕様等を示す。公開情報は、対応する資材がユニット品である場合に、このユニット品を構成する他の資材が何かを示してもよい。機密情報は、対応する資材について、例えば、生産条件、設計条件、生産方法、検査方法、及び、公開が制限された仕様等を示す。
【0040】
図2の例では、資材情報70は、資材aについて、資材aを供給するサプライヤaの識別情報と、公開情報aと、機密情報aとを含む。また、資材情報70は、資材bについて、資材bを供給するサプライヤbの識別情報と、公開情報bと、機密情報bとを含む。
【0041】
また、資材情報70の機密情報には、機密度が設定されていてもよい。機密度は、対応するサプライヤの管理者によって設定されてもよい。機密度は、サプライヤにおける機密性の高さを示す。機密度が高い機密情報ほど、その機密情報を閲覧可能な条件が厳しくなる。
【0042】
図2の例では、資材aにかかる機密情報aは、機密情報a1と、機密情報a2と、機密情報a3とを含む。そして、機密情報a1の機密度よりも機密情報a2の機密度の方が高い。また、機密情報a2の機密度よりも機密情報a3の機密度の方が高い。例えば、機密情報a1の機密度は「低」であり、機密情報a2の機密度は「中」であり、機密情報a3の機密度は「高」であってもよい。また、資材bにかかる機密情報bは、機密情報b1と、機密情報b2と、機密情報b3とを含む。そして、機密情報b1の機密度よりも機密情報b2の機密度の方が高い。また、機密情報b2の機密度よりも機密情報b3の機密度の方が高い。例えば、機密情報b1の機密度は「低」であり、機密情報b2の機密度は「中」であり、機密情報b3の機密度は「高」であってもよい。
【0043】
運送情報52は、対応する運送会社の識別情報(運送会社ID)と、公開情報とを含む。運送情報52の公開情報は、例えば、対応する運送会社の位置情報、運送車両の稼働状況、突発的な依頼に対して運送車両の出動可能な時間等を示す。なお、運送情報52は、資材情報70等と同様に、機密情報を含んでもよい。
図2の例では、運送情報52は、運送会社#1について、公開情報#1を含む。また、運送情報52は、運送会社#2について、公開情報#2を含む。
【0044】
図3は、実施の形態1にかかる情報管理システム1の構成を示す機能ブロック図である。情報管理装置100は、ハードウェア構成として、CPU101(Central Processing Unit)、ROM102(Read Only Memory)、RAM103(Random Access Memory)、I/O104(Input/Output)及びUI105(User Interface)を有する。なお、生産品メーカ装置10、サプライヤ装置20及び運送会社装置30も、これらのハードウェア構成を有し得る。
【0045】
CPU101は、制御処理及び演算処理等を行う処理デバイス(プロセッサ)としての機能を有する。ROM102は、CPU101によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するストレージとしての機能を有する。ROM102は、データベースを含み得る。記憶部50は、ROM102によって実現されてもよい。RAM103は、処理データ等を一時的に記憶するメモリとしての機能を有する。I/O104は、通信装置及び入出力装置であり、外部からデータ及び信号を入力し、外部にデータ及び信号を出力する。UI105は、例えばキーボード等の入力デバイスと、例えばディスプレイ等の出力デバイスとから構成される。なお、UI105は、入力デバイスと出力デバイスとが一体となったタッチパネルとして構成されてもよい。また、UI105は、マイク及びスピーカを有してもよい。
【0046】
また、情報管理装置100は、構成要素として、情報取得部110と、情報格納部112と、アクセス処理部120と、不具合通知受信部130と、資材特定部140と、権限制御部150と、原因調査状況取得部160と、代替判定部170とを有する。なお、情報管理装置100の各構成要素の1つ以上は、情報管理装置100とは別の装置(例えば生産品メーカ装置10)によって実現されてもよい。また、情報管理装置100の各構成要素は、物理的に1つの装置によって実現されることに限定されず、例えばクラウドコンピューティング等により複数の装置によって実現されてもよい。つまり、情報管理装置100は、物理的に複数の装置で構成されてもよい。
【0047】
なお、これらの構成要素は、CPU101がROM102に記憶されたプログラムを実行することによって実現可能である。また、情報管理装置100は、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてそのプログラムをインストールするようにしてもよい。なお、情報管理装置100の各構成要素は、上記のようにソフトウェアによって実現されることに限定されず、何らかの回路素子等のハードウェアによって実現されてもよい。また、情報管理装置100の各構成要素は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。
【0048】
情報取得部110は、生産品メーカ情報60、資材情報70及び運送情報52を取得する。具体的には、情報取得部110は、ネットワーク2を介して、生産品メーカ装置10から、生産品メーカ情報60を取得する。また、情報取得部110は、ネットワーク2を介して、サプライヤ装置20から、資材情報70を取得する。また、情報取得部110は、ネットワーク2を介して、運送会社装置30から、運送情報52を取得する。情報取得部110は、I/O104により、生産品メーカ情報60、資材情報70及び運送情報52を受信する。
【0049】
情報格納部112は、情報取得部110によって取得された情報を、記憶部50に格納する。情報格納部112は、生産品メーカ情報60、資材情報70及び運送情報52を、記憶部50に格納する。その際に、情報格納部112は、外部の装置からアクセスがあった場合に閲覧可能とするための処理を行ってもよい。また、情報格納部112は、生産品メーカ情報60及び資材情報70に含まれる機密情報に対し、アクセスを行った装置にアクセス権限がなければその装置に対して閲覧できないようにするための処理を行ってもよい。
【0050】
アクセス処理部120は、他の装置(生産品メーカ装置10等)から記憶部50に記憶された情報にアクセスがあった場合に、その装置に対して情報を閲覧可能とするための処理を行う。以下、生産品メーカ装置10からアクセスがあった場合について説明するが、他の装置からアクセスがあった場合についても同様である。
【0051】
具体的には、アクセス処理部120は、ネットワーク2を介して、生産品メーカ装置10から閲覧要求を取得する。アクセス処理部120は、I/O104によって閲覧要求を受信する。閲覧要求に対応する情報(閲覧対象の情報)が公開情報である場合、アクセス処理部120は、閲覧要求に含まれる識別情報(IPアドレス等)の生産品メーカ装置10に対して、閲覧対象の情報を、生産品メーカ装置10において閲覧可能となるように送信する。アクセス処理部120は、I/O104によって情報を送信する。これにより、生産品メーカ装置10は、情報(公開情報)を受信して、ディスプレイ等に情報を表示する。
【0052】
一方、閲覧要求に対応する情報が機密情報である場合、アクセス処理部120は、閲覧要求に含まれる識別情報に対応する生産品メーカ装置10(その装置を管理するメーカ)に、その機密情報へのアクセス権限があるか否かを判定する。なお、アクセス権限については、後述する権限制御部150によって付与され得る。そして、その生産品メーカ装置10(その装置を管理するメーカ)にその機密情報へのアクセス権限がある場合、アクセス処理部120は、公開情報へのアクセスの場合と同様に、その機密情報を、閲覧要求に含まれる識別情報に対応する生産品メーカ装置10に送信する。
【0053】
一方、その生産品メーカ装置10(その装置を管理するメーカ)にその機密情報へのアクセス権限がない場合、アクセス処理部120は、その機密情報を、閲覧要求に含まれる識別情報に対応する生産品メーカ装置10に送信しない。つまり、アクセス処理部120は、その生産品メーカ装置10のその機密情報へのアクセスを禁止する。そして、アクセス処理部120は、この情報へのアクセス権限がない旨を示す情報を、生産品メーカ装置10に送信してもよい。
【0054】
不具合通知受信部130は、不具合通知を受信する。具体的には、不具合通知受信部130は、生産品メーカ装置10から不具合通知を受信する。不具合通知受信部130は、I/O104によって不具合通知を受信する。ここで、不具合通知は、メーカにおいて、そのメーカで生産されている生産品に関する品質の不具合が発生したことを示す。例えば、メーカにおいて生産品を生産している過程において、ある生産工程(生産ライン)で品質の不具合が発生した場合に、不具合通知が受信される。また、例えば、メーカから顧客に納入された生産品において品質の不具合が発生した場合に、不具合通知が受信されてもよい。なお、不具合通知は、管理者が生産品メーカ装置10を操作することによって生産品メーカ装置10から送信されてもよい。あるいは、ある生産工程で不具合が発生した場合等では、生産品メーカ装置10は、不具合通知を、管理者の操作なしに自動的に送信してもよい。
【0055】
なお、不具合通知には、不具合に関する情報(不具合情報)が含まれている。不具合情報は、例えば、不具合の発生に関与した可能性の高い資材又はユニット品を示してもよい。不具合の発生に関与した可能性の高い資材又はユニット品は、例えば、生産品の生産ラインにおいて不具合が発生したために停止した生産工程に関するものであり得る。例えば、停止した生産工程で生産品となる途中の生産物(ワーク)に組み込まれた資材又はユニット品は、不具合の発生に関与した可能性が高い。不具合情報は、管理者の操作によって生成されてもよい。あるいは、不具合が発生した生産工程に対応する資材又はユニット品を生産品メーカ装置10が自動的に特定することによって、不具合情報が自動的に生成されてもよい。
【0056】
資材特定部140は、不具合に関する資材を特定する。具体的には、資材特定部140は、不具合通知を用いて、不具合の発生に関与した可能性の高い資材を特定する。ここで、不具合通知に不具合の発生に関与した可能性の高い資材が示されている場合、資材特定部140は、その資材を抽出することによって、不具合の発生に関与した可能性の高い資材を特定する。また、不具合通知に不具合の発生に関与した可能性の高いユニット品が示されている場合、資材特定部140は、そのユニット品を構成する全ての資材を、不具合の発生に関与した可能性の高い資材として特定する。例えば、不具合に関するユニット品が資材A、資材B及び資材Cで構成される場合、資材特定部140は、資材A、資材B及び資材Cを、不具合の発生に関与した可能性の高い資材として特定する。なお、資材特定部140は、不具合通知に対応する不具合に関する資材として、その資材を供給したサプライヤも特定してもよい。つまり、ある同じ種類の資材を供給するサプライヤが複数あるケースで、資材特定部140は、どのサプライヤが供給したどの資材が不具合に関する資材であるかを、特定する。
【0057】
権限制御部150は、不具合通知が受信された場合に、記憶部50に格納された、不具合通知に対応する不具合に関する資材の資材情報に含まれる機密情報の少なくとも一部へのアクセス権限を、メーカに付与するように制御を行う。具体的には、権限制御部150は、資材特定部140によって特定された資材に関する資材情報に含まれる機密情報の少なくとも一部へのアクセス権限を、不具合通知に関するメーカに付与する。これにより、後述するように、メーカにおいて、不具合の原因を調査することができる。なお、権限制御部150によってアクセス権限が付与される機密情報は、不具合に関する資材を供給したサプライヤに対応する当該資材の機密情報であり得る。つまり、ある同じ種類の資材を供給するサプライヤが複数あるケースで、あるサプライヤが供給した資材について不具合が発生した場合に、別のサプライヤの機密情報に対してアクセス権限は付与されなくてもよい。
【0058】
ここで、権限制御部150によって付与されるアクセス権限は、一時的なものであることが好ましい。つまり、不具合の原因の調査が終了した場合に、権限制御部150は、メーカに付与されたアクセス権限を破棄してもよい。これにより、サプライヤの機密情報の保護を、可能な限り行うことができる。
【0059】
ここで、権限制御部150は、特定された資材に関する資材情報に含まれる全ての機密情報へのアクセス権限を、一度にメーカに付与してもよい。あるいは、権限制御部150は、不具合の原因の調査の段階が進むにつれて、アクセス権限が付与される機密情報の範囲が大きくなるように、アクセス権限を付与してもよい。例えば、権限制御部150は、特定された資材に関する資材情報に含まれる機密情報へのアクセス権限を、機密情報の機密度に応じて段階的にメーカに付与してもよい。
【0060】
例えば、
図2の例において、不具合に関与した可能性が高い資材として資材aが特定されたとする。この場合、権限制御部150は、まず、機密情報a1(第1の機密情報)へのアクセス権限をメーカに付与する。その後、メーカにおいて不具合の原因が判明しない場合に、権限制御部150は、機密情報a1よりも機密度の高い機密情報a2(第2の機密情報)へのアクセス権限をメーカに付与する。なお、権限制御部150は、まず、機密情報a1及びa2(第1の機密情報)へのアクセス権限をメーカに付与し、メーカにおいて不具合の原因が判明しない場合に、機密情報a3(第2の機密情報)へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。
【0061】
権限制御部150が、機密情報へのアクセス権限をメーカに付与するように制御を行うと、アクセス処理部120は、そのメーカの生産品メーカ装置10からの、その機密情報への閲覧要求に応じて、機密情報へのアクセスを許可する。そして、アクセス処理部120は、その機密情報を、そのメーカの生産品メーカ装置10において閲覧可能となるように、生産品メーカ装置10に送信する。メーカでは、その機密情報を用いて、不具合の原因を調査することができる。
【0062】
このとき、生産品メーカ装置10は、不具合の原因の調査状況を示す調査状況通知を、情報管理装置100に送信してもよい。調査状況通知は、生産品メーカ装置10を管理者が操作することによって、生成され得る。調査状況通知は、例えば、「原因未判明」、「原因判明」又は「調査終了」を示してもよい。なお、「原因未判明」は、アクセス権限のある機密情報を用いても原因が判明しない旨を示す。「原因判明」は、アクセス権限のある機密情報を用いて原因が判明した旨を示す。「調査終了」は、原因が判明したか否かに関わらず、原因の調査を終了する旨を示す。
【0063】
原因調査状況取得部160は、不具合の原因の調査状況を取得する。具体的には、原因調査状況取得部160は、ネットワーク2を介して、生産品メーカ装置10から、調査状況通知を取得する。原因調査状況取得部160は、I/O104によって、調査状況通知を受信する。権限制御部150は、調査状況通知に応じて、上述したように、アクセス権限を付与する機密情報の範囲を拡大してもよい。
【0064】
代替判定部170は、不具合が解消するまでの間の暫定対応手段(代替手段)を判定する。具体的には、代替判定部170は、不具合に関する資材を供給したサプライヤ以外のサプライヤであって、その資材を供給可能なサプライヤ(代替サプライヤ)を判定する。また、代替判定部170は、その資材を代替サプライヤからメーカに運送可能な運送会社(代替運送会社)を判定する。代替判定部170は、例えば、記憶部50に記憶された資材情報70及び運送情報52を用いて、代替サプライヤ及び代替運送会社を判定してもよい。
【0065】
例えば、
図2の例において、不具合に関与した可能性が高い資材として資材aが特定されたとする。この場合、代替判定部170は、資材情報(公開情報)から、資材aの代替となる資材を判定する。そして、代替判定部170は、その資材に関する資材情報に含まれる公開情報を用いて、その資材情報に関するサプライヤから資材の供給を受けることが可能かを判定する。また、代替判定部170は、運送情報52の公開情報を用いて、そのサプライヤからその資材をメーカに運送可能な運送会社があるかを判定する。
【0066】
また、代替判定部170は、資材情報70に含まれる公開情報で示される、資材の生産実績、在庫状況、生産拠点及び倉庫の位置情報等を用いて、代替サプライヤを判定してもよい。また、代替判定部170は、資材情報70に含まれる公開情報で示される、対応する資材を過去に不具合通知に関するメーカ又は他のメーカに納入した実績等を用いて、代替サプライヤを判定してもよい。また、代替判定部170は、運送情報52に含まれる公開情報で示される、運送会社の位置情報、運送車両の稼働状況、突発的な依頼に対して運送車両の出動可能な時間等を用いて、代替運送会社を判定してもよい。
【0067】
また、代替判定部170は、予めニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムによって学習された学習済みモデルを用いて、代替サプライヤ及び代替運送会社を判定してもよい。例えば、代替判定部170は、上述したサプライヤの情報(公開情報)を入力すると、対応するサプライヤが代替サプライヤとして適しているか否かの判定結果を出力する学習済みモデルを用いて、代替サプライヤを判定してもよい。この場合、上述したサプライヤの情報を入力データとし、そのサプライヤが代替サプライヤとして適切か否かを示すデータを正解ラベルとして、機械学習を行うことによって、上述した学習済みモデルが生成され得る。代替運送会社の判定についても同様である。
【0068】
図4は、実施の形態1にかかる情報管理システム1によって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。
図4の処理は、主に、情報管理装置100によって実行される。不具合通知受信部130は、生産品メーカ装置10から、不具合通知を受信する(ステップS102)。資材特定部140は、不具合通知に対応する不具合に関する資材xを特定する(ステップS104)。なお、不具合通知に資材xが示されている場合、資材特定部140は、その資材xを抽出することによって、資材xを特定する。また、不具合通知に資材xが示されていない場合、資材特定部140は、不具合が発生した生産工程に関するユニット品を構成する全ての資材を、資材xとして特定する。
【0069】
権限制御部150は、不具合通知に関するメーカに、機密情報x1へのアクセス権限を付与する(ステップS106)。具体的には、権限制御部150は、資材xに関する機密情報xのうち最も機密度の低い機密情報x1へのアクセス権限を、メーカに付与する。なお、
図2の例において、資材xが資材aに対応する場合、機密情報x1は機密情報a1に対応する。これにより、メーカでは、機密情報x1を用いて、不具合の原因を調査することができる。
【0070】
情報管理装置100は、不具合の原因が判明したか否かを判定する(ステップS108)。具体的には、情報管理装置100は、不具合の原因の調査状況を判定する。さらに具体的には、例えば権限制御部150は、原因調査状況取得部160によって取得された調査状況通知が「原因判明」を示しているか、あるいは「原因未判明」を示しているかを判定する。調査状況通知が「原因判明」を示している場合、権限制御部150は、不具合の原因が判明したと判定する。一方、調査状況通知が「原因未判明」を示している場合、権限制御部150は、不具合の原因が判明していないと判定する。
【0071】
不具合の原因が判明した場合(S108のYES)、情報管理装置100は、アクセス権限の付与に関する処理を終了する。一方、不具合の原因が判明していない場合(S108のNO)、権限制御部150は、不具合通知に関するメーカに、機密情報x2へのアクセス権限を付与する(ステップS110)。具体的には、権限制御部150は、資材xに関する機密情報xのうち、機密情報x1よりも機密度の高い機密情報x2へのアクセス権限を、メーカに付与する。つまり、権限制御部150は、資材xに関する機密情報xのうち、機密情報x1の次に機密度の低い機密情報x2へのアクセス権限を、メーカに付与する。なお、
図2の例において、資材xが資材aに対応する場合、機密情報x2は機密情報a2に対応する。これにより、メーカでは、機密情報x1及び機密情報x2を用いて、不具合の原因を調査することができる。
【0072】
情報管理装置100は、S108の処理と同様にして、不具合の原因が判明したか否かを判定する(ステップS112)。不具合の原因が判明した場合(S112のYES)、情報管理装置100は、アクセス権限の付与に関する処理を終了する。一方、不具合の原因が判明していない場合(S112のNO)、権限制御部150は、不具合通知に関するメーカに、機密情報x3へのアクセス権限を付与する(ステップS114)。
【0073】
具体的には、権限制御部150は、資材xに関する機密情報xのうち、機密情報x2よりも機密度の高い機密情報x3へのアクセス権限を、メーカに付与する。つまり、権限制御部150は、資材xに関する機密情報xのうち、最も機密度の高い機密情報x3へのアクセス権限を、メーカに付与する。なお、
図2の例において、資材xが資材aに対応する場合、機密情報x3は機密情報a3に対応する。これにより、メーカでは、機密情報x1、機密情報x2及び機密情報x3を用いて、不具合の原因を調査することができる。なお、機密情報x3よりも機密度の高い機密情報がない場合、情報管理装置100は、アクセス権限の付与に関する処理を終了する。これに対し、機密情報x3よりも機密度の高い機密情報がある場合、情報管理装置100は、資材xに関する全ての機密情報xへのアクセス権限が付与されるまで、S112~S114の処理を繰り返してもよい。
【0074】
図5は、実施の形態1にかかる情報管理システム1によって実行される代替判定処理を示すフローチャートである。
図5の処理は、主に、情報管理装置100によって実行される。情報管理装置100は、
図4に示したフローチャートのS102~S104の処理を実行する(ステップS122)。つまり、不具合通知受信部130は、不具合通知を受信する(S102)。資材特定部140は、資材xを特定する(S104)。
【0075】
代替判定部170は、記憶部50から、暫定対応手段の判定に必要な情報を取得する(ステップS124)。具体的には、代替判定部170は、資材xと同種の資材に関する資材情報に含まれる公開情報を取得する。なお、好ましくは、代替判定部170は、資材xと同種の資材に関する資材情報のうち、資材xを供給したサプライヤとは異なるサプライヤに関する資材情報に含まれる公開情報を取得する。また、代替判定部170は、運送情報に含まれる公開情報を取得する。
【0076】
代替判定部170は、資材xを供給可能な代替サプライヤ及び代替運送会社を判定する(ステップS126)。そして、代替判定部170は、代替サプライヤ及び代替運送会社に、資材xの代替となる資材x’を供給するように連絡する(ステップS128)。具体的には、代替判定部170は、代替サプライヤに対応するサプライヤ装置20に、資材x’を供給することを示す通知を送信する。また、代替判定部170は、代替運送会社に対応する運送会社装置30に、代替サプライヤから資材x’を運送することを示す通知を送信する。これにより、代替サプライヤでは、資材x’の出荷準備を行うことができる。また、代替運送会社では、資材x’の運送のための車両を手配することができる。
【0077】
生産品に関する品質の不具合が発生した場合、生産品を生産するメーカにおいて品質の不具合の原因を調査することが多い。ここで、生産品が、複数のサプライヤから供給された複数の資材で構成される場合、これらの資材が、品質の不具合に関与している可能性がある。したがって、不具合の原因を特定するためには、メーカにある情報だけでは不十分であり、サプライヤで管理している資材情報が必要となることがある。一方、不具合の原因を特定するのに利用される資材情報は、機密情報を含むことがある。したがって、サプライヤの資材情報を用いて不具合の原因を特定することは、容易ではない。
【0078】
これに対し、上述した実施の形態1では、予め、機密情報を含む資材情報を記憶部50に格納しておく。そして、実施の形態1にかかる情報管理装置100は、メーカから不具合通知が受信された場合に、記憶部50に格納された、不具合通知に対応する不具合に関する資材の資材情報に含まれる機密情報の少なくとも一部へのアクセス権限を、メーカに付与する。このような構成により、不具合が発生していない場合は、メーカに機密情報へのアクセス権限が付与されていないので、サプライヤの機密情報の機密性は保持される。一方、不具合が発生した場合は、その不具合に関与した可能性の高い資材に関する機密情報のみ、メーカがアクセスすることができる。したがって、不具合の原因の特定に使用され得る機密情報をサプライヤが記憶部50に格納することを、より積極的に促すことができる。これにより、実施の形態1にかかる情報管理システム1は、サプライヤの機密情報の保護を図りつつ、サプライヤから供給された資材で構成される生産品に関する品質の不具合の原因を容易に特定することを可能とする。
【0079】
また、このような構成により、生産品において品質の不具合が発生した場合に、メーカとサプライヤとで、連携して不具合の原因の調査を行うことができる。これにより、不具合の原因を特定しやすくなる。
【0080】
また、上述した実施の形態1にかかる情報管理システム1は、不具合の原因の調査の段階が進むにつれて、アクセス権限が付与される機密情報の範囲が大きくなるように、アクセス権限をメーカに付与する、ように構成されている。このような構成により、不具合が早い段階で判明すれば、メーカにアクセス権限が付与される機密情報の範囲が小さくなる。一方で、不具合の原因を特定するためには多くの情報が必要となる場合もあるので、不具合の原因の調査がかなり進んだ段階では、メーカにアクセス権限が付与される機密情報の範囲を大きくすることも必要である。これにより、機密情報の保護と不具合原因の特定とのバランスを取ることが可能となる。
【0081】
また、上述した実施の形態1では、機密情報には、サプライヤにおける機密性の高さを示す機密度が設定されている。そして、実施の形態1にかかる情報管理システム1は、機密情報のうちの第1の機密情報へのアクセス権限を付与する。その後、実施の形態1にかかる情報管理システム1は、メーカにおいて不具合の原因が判明しない場合に、機密情報のうち第1の機密情報の機密度よりも高い機密度の第2の機密情報へのアクセス権限をメーカに付与する。このような構成により、機密度の低い機密情報については不具合の原因の調査の早い段階でメーカにアクセス権限が付与される。一方、機密度の高い機密情報については、なかなか不具合の原因が判明しない段階となってから、メーカにアクセス権限が付与される。これにより、機密情報の保護と不具合原因の特定とのバランスをさらに確実に取ることが可能となる。
【0082】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、不具合の原因の判明の緊急度に応じて機密情報へのアクセス権限の範囲が変わる点で、実施の形態1と異なる。なお、実施の形態2にかかる情報管理システム1の構成については、
図1に示したものと実質的に同様であるので、説明を省略する。
【0083】
図6は、実施の形態2にかかる情報管理システム1の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態2にかかる情報管理装置100は、緊急度取得部210を有する点で、実施の形態1にかかる情報管理装置100と異なる。実施の形態2にかかる情報管理装置100のその他の構成については、実施の形態1にかかる情報管理装置100と実質的に同様であるので、説明を省略する。
【0084】
実施の形態2では、不具合通知には、不具合の原因の判明の緊急度を特定するための緊急度情報が含まれていてもよい。なお、一般に、緊急度が高い不具合ほど、より早くその原因を特定する必要がある。緊急度は、「緊急度:低」、「緊急度:中」及び「緊急度:高」といったように、数段階に設定されていてもよい。あるいは、緊急度は、例えば0から1の数値で表されてもよい。不具合通知に含まれる緊急度情報は、緊急度そのものを示してもよい。その場合、緊急度情報は、管理者が生産品メーカ装置10を操作することによって生成されてもよい。
【0085】
あるいは、緊急度情報は、緊急度そのものでなく、緊急度を算出するために必要な情報を含んでもよい。この情報は、管理者が生産品メーカ装置10を操作することによって生成されてもよい。あるいは、生産品メーカ装置10が、不具合が発生した生産工程から、自動的に、このような緊急度情報を生成してもよい。例えば、緊急度情報は、不具合によって影響のある生産品の数(車両の台数等)及び生産品の納入日を示してもよい。また、緊急度情報は、不具合の発生による生産ラインのインパクトを示してもよい。生産ラインのインパクトとは、例えば、不具合によって生産ラインがどれだけ進まないのかを示してもよい。また、生産ラインのインパクトは、不具合によって停止する生産工程の数を示してもよい。例えば、不具合によって全ての生産ラインの生産工程が停止してしまう場合、生産ラインのインパクトは非常に大きい。一方、不具合が発生した生産工程のみが停止するが、他の生産ラインは稼働可能である場合は、生産ラインのインパクトは小さい。
【0086】
緊急度取得部210は、不具合の原因の判明の緊急度を取得する。不具合通知に緊急度が示されている場合、緊急度取得部210は、不具合通知から緊急度を抽出することによって、緊急度を取得する。また、不具合通知に緊急度が示されておらず、緊急度を算出するために必要な情報が含まれている場合、緊急度取得部210は、この情報を用いて緊急度を算出することによって、緊急度を取得する。また、不具合通知に緊急度情報が含まれていない場合、緊急度取得部210は、記憶部50に記憶された生産品メーカ情報60から、緊急度を算出するために必要な情報を抽出して、緊急度を算出してもよい。
【0087】
緊急度取得部210は、例えば以下の方法によって、緊急度を算出してもよい。緊急度取得部210は、不具合によって影響のある生産品の数が多いほど、緊急度が高くなるように、緊急度を算出する。また、緊急度取得部210は、不具合によって影響のある生産品の納入日が早いほど、緊急度が高くなるように、緊急度を算出する。また、緊急度取得部210は、生産ラインのインパクトが高いほど、緊急度が高くなるように、緊急度を算出する。また、緊急度取得部210は、不具合によって影響のある生産品の数x1、それらの生産品の納入日までの日数x2、及び停止する生産工程の数x3を変数とする関数(数式)f(x1、x2、x3)を用いて、緊急度を算出してもよい。なお、算出される緊急度は、数値化されていてもよいし、「緊急度:低」、「緊急度:中」及び「緊急度:高」といったように、段階的に設定されてもよい。
【0088】
また、実施の形態2において、権限制御部150は、不具合の原因の判明の緊急度が高いほど、アクセス権限が付与される機密情報の範囲が大きくなるように、アクセス権限をメーカに付与する。例えば、権限制御部150は、不具合の緊急度が高いほど、より高い機密度が設定された機密情報へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。つまり、権限制御部150は、不具合の緊急度が高いほど、より高い機密度が設定された機密情報及びこの機密情報の機密度よりも低い機密度が設定された機密情報へのアクセス権限を、メーカに付与してもよい。
【0089】
例えば、
図2の例において、不具合に関与した可能性が高い資材として資材aが特定されたとする。このケースにおいて、緊急度が「低」である場合、権限制御部150は、機密情報a1(第1の機密情報)へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。あるいは、数値化された緊急度が予め定められた閾値Uth1未満である場合、権限制御部150は、機密情報a1へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。つまり、緊急度が低い場合、権限制御部150は、機密度の低い機密情報へのアクセス権限のみをメーカに付与する。なお、機密度が数値化されている場合、緊急度が「低」であるとき又は緊急度が閾値Uth1未満であるとき、権限制御部150は、予め定められた閾値Sth1未満の機密度の機密情報へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。
【0090】
また、緊急度が「中」である場合、権限制御部150は、機密情報a1(第1の機密情報)及び機密情報a2(第2の機密情報)へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。あるいは、数値化された緊急度が閾値Uth1以上閾値Uth2未満である場合、権限制御部150は、機密情報a1及び機密情報a2へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。但し、閾値Uth2は、予め定められた閾値であって、Uth2>Uth1である。なお、機密度が数値化されている場合、緊急度が「中」であるとき又は緊急度が閾値Uth1以上閾値Uth2未満であるとき、権限制御部150は、閾値Sth1以上閾値Sth2未満の機密度の機密情報へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。但し、閾値Sth2は、予め定められた閾値であって、Sth2>Sth1である。
【0091】
また、緊急度が「高」である場合、権限制御部150は、機密情報a1(第1の機密情報)、機密情報a2(第2の機密情報)及び機密情報a3(第3の機密情報)へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。あるいは、数値化された緊急度が閾値Uth2以上である場合、権限制御部150は、機密情報a1、機密情報a2及び機密情報a3へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。つまり、緊急度が高い場合、権限制御部150は、全ての機密情報へのアクセス権限を一度にメーカに付与する。なお、機密度が数値化されている場合、機密度に関わらず全ての機密情報へのアクセス権限をメーカに付与してもよい。
【0092】
図7は、実施の形態2にかかる情報管理システム1によって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。
図7の処理は、主に、情報管理装置100によって実行される。不具合通知受信部130は、S102の処理と同様にして、生産品メーカ装置10から、不具合通知を受信する(ステップS202)。資材特定部140は、S104の処理と同様にして、不具合通知に対応する不具合に関する資材xを特定する(ステップS204)。
【0093】
緊急度取得部210は、不具合通知に関する不具合の緊急度を取得する(ステップS206)。緊急度が「低」の場合(ステップS208の「低」)、権限制御部150は、不具合通知に関するメーカに、機密情報x1へのアクセス権限を付与する(ステップS210)。具体的には、権限制御部150は、資材xに関する機密情報xのうち最も機密度の低い機密情報x1へのアクセス権限を、メーカに付与する。その後、処理フローは、
図4のS108の処理に進んでもよい。つまり、不具合の原因が判明しなければ、より機密度の高い機密情報へのアクセス権限が、メーカに付与されてもよい。
【0094】
また、緊急度が「中」の場合(S208の「中」)、権限制御部150は、不具合通知に関するメーカに、機密情報x1及び機密情報x2へのアクセス権限を付与する(ステップS212)。具体的には、権限制御部150は、資材xに関する機密情報xのうち最も機密度の低い機密情報x1及び次に機密度の低い機密情報x2へのアクセス権限を、メーカに付与する。その後、処理フローは、
図4のS112の処理に進んでもよい。つまり、不具合の原因が判明しなければ、より機密度の高い機密情報へのアクセス権限が、メーカに付与されてもよい。
【0095】
また、緊急度が「高」の場合(S208の「高」)、権限制御部150は、不具合通知に関するメーカに、機密情報x1、機密情報x2及び機密情報x3へのアクセス権限を付与する(ステップS214)。具体的には、権限制御部150は、資材xに関する機密情報xのうち最も機密度の低い機密情報x1、次に機密度の低い機密情報x2、及びその次に機密度の低い機密情報x3(つまり最も機密度の高い機密情報x3)へのアクセス権限を、メーカに付与する。言い換えると、権限制御部150は、資材xに関する全ての機密情報x(機密情報x1、機密情報x2及び機密情報x3)へのアクセス権限を、メーカに付与する。
【0096】
上述したように、実施の形態2にかかる情報管理システム1は、不具合の原因の判明の緊急度が高いほど、アクセス権限が付与される機密情報の範囲が大きくなるように、アクセス権限をメーカに付与するように構成されている。このような構成により、不具合の原因の判明の緊急度が低ければ、メーカにアクセス権限が付与される機密情報の範囲が小さくなる。一方で、不具合の原因を特定するためには多くの情報が必要となる場合もあるので、不具合の原因の判明の緊急度が高い場合では、迅速に原因を特定するために、最初からより多くの情報を用いて不具合の原因を調査する必要がある。したがって、この場合は、メーカにアクセス権限が付与される機密情報の範囲を大きくすることも必要である。これにより、機密情報の保護と不具合原因の特定とのバランスを取ることが可能となる。
【0097】
また、実施の形態2にかかる情報管理システム1は、不具合の緊急度が高いほど、より高い機密度が設定された機密情報及び当該機密情報の機密度よりも低い機密度が設定された機密情報へのアクセス権限をメーカに付与するように構成されている。このような構成により、不具合の原因の判明の緊急度が低い場合では、機密度の低い機密情報のみに対して、メーカにアクセス権限が付与される。一方、不具合の原因の判明の緊急度が高い場合では、機密度の低い機密情報だけでなく、機密度の高い機密情報に対しても、メーカにアクセス権限が付与される。これにより、機密情報の保護と不具合原因の特定とのバランスをさらに確実に取ることが可能となる。
【0098】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3においては、記憶部50に記憶された資材情報の構成(データ構造)が、上記の実施の形態と異なる。なお、実施の形態3にかかる情報管理システム1の構成については、
図1及び
図3に示したものと実質的に同様であるので、説明を省略する。なお、実施の形態3では、
図3に示した原因調査状況取得部160は、なくてもよい。
【0099】
図8は、実施の形態3にかかる記憶部50に記憶された資材情報70を例示する図である。なお、生産品メーカ情報60及び運送情報52については、
図2に例示したものが、記憶部50に記憶されていてもよい。実施の形態3において、資材情報70は、資材ごとに設けられた資材テーブル72で構成されている。
図8の例では、資材情報70は、資材aのテーブルである資材テーブル72aと、資材bのテーブルである資材テーブル72bとを含む。
【0100】
資材テーブル72は、対応する資材に関連する会社ごとに、会社IDと、公開情報と、機密情報とで構成されている。会社IDは、例えば、資材テーブル72に対応する資材を供給するサプライヤの識別情報を示す。公開情報は、資材テーブル72に対応する資材について、対応するサプライヤが提供する、常時、自由に閲覧可能な情報である。公開情報は、必須項目と自由項目とを含んでもよい。必須項目は、資材情報70を提供するサプライヤが必ず記載する必要がある項目である。例えば、必須項目は、対応する資材の生産日、及び、対応する資材の材料であってもよい。また、自由項目は、資材情報70を提供するサプライヤが自由に記載してもよい項目である。例えば、自由項目には、対応する資材の性能の良さ等をアピールする宣伝が記載されていてもよい。自由項目は、常時公開されているので、対応する資材の購入を検討しているメーカ等に対するマーケティング活動に用いることができる。
【0101】
また、実施の形態3において、機密情報は、変化点を示す変化点情報を含む。変化点は、対応する資材の生産に関し以前にその資材が生産されたときの状態から変化したときの、その変化した状態に対応する。なお、変化点の基準つまり変化前の状態である「以前にその資材が生産されたときの状態(変化前状態)」とは、その状態で資材を生産したときに、その資材に関して何ら不具合が発生しなかった実績がある状態であり得る。資材テーブル72は、機密情報として、変化点情報のみを含んでもよい。つまり、あるサプライヤが供給するある資材について、変化点が生じた場合のみに、機密情報が格納されてもよい。
【0102】
ここで、「変化点」は、例えば、資材の材料(原料)の変化、又は、資材の生産工程の変化を示す。例えば、あるサプライヤが供給するある資材について、以前は材料が材料A(例えばアルミニウム)であったのに対して、あるときに材料が材料B(例えば鉛)に変化した場合、変化点は、「材料B」を示してもよい。また、あるサプライヤが供給するある資材について、以前は生産工程A、B、Cによって生産されていたのに対して、あるときに生産工程A、Dに変化した場合、変化点は、「生産工程D」を示してもよい。
【0103】
図8の例では、資材テーブル72aは、資材aについて、資材aを供給するサプライヤa1の識別情報と、公開情報である必須項目a1及び自由項目a1と、機密情報である変化点情報a11及び変化点情報a12とを含む。また、資材テーブル72aは、資材aについて、資材aを供給するサプライヤa2の識別情報と、公開情報である必須項目a2及び自由項目a2と、機密情報である変化点情報a21を含む。ここで、サプライヤa1については、資材aに関する機密情報として2つの変化点情報a11及び変化点情報a12が格納されているのに対し、サプライヤa2については、資材aに関する機密情報として1つの変化点情報a21が格納されている。つまり、サプライヤa1については、資材aについて変化点が2つ発生したのに対し、サプライヤa2については、資材aについて変化点が1つ発生したことが分かる。
【0104】
また、
図8の例では、資材テーブル72bは、資材bについて、資材bを供給するサプライヤb1の識別情報と、公開情報である必須項目b1及び自由項目b1と、機密情報である変化点情報b11とを含む。また、資材テーブル72bは、資材bについて、資材bを供給するサプライヤb2の識別情報と、公開情報である必須項目b2及び自由項目b2とを含む。ここで、サプライヤb1については、資材bに関する機密情報として1つの変化点情報b11が格納されているのに対し、サプライヤb2については、変化点情報が格納されていない。つまり、サプライヤb1については、資材bについて変化点が1つ発生したのに対し、サプライヤb2については、資材bについて変化点が発生しなかったことがわかる。
【0105】
なお、実施の形態1等と同様に、機密情報である変化点情報に、機密度が設定されてもよい。また、記憶部50は、変化前状態に関する情報(変化前情報)を、機密情報として記憶してもよい。但し、後述する権限制御部150の処理において、変化前情報については、アクセス権限が付与されないようにしてもよい。
【0106】
また、資材テーブル72は、対応する資材を使用するメーカに関する情報を含んでもよい。例えば、メーカAが資材aを使用する場合、資材テーブル72aは、メーカAについて、会社IDと、公開情報と、機密情報とを含んでもよい。この場合、公開情報の必須項目には、データがなくてもよい。また、公開情報の自由項目には、メーカAが資材aの供給を受けているサプライヤの識別情報が格納されていてもよい。
【0107】
図9は、実施の形態3にかかる情報管理システム1によって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。
図9の処理は、主に、情報管理装置100によって実行される。不具合通知受信部130は、S102等の処理と同様にして、生産品メーカ装置10から、不具合通知を受信する(ステップS302)。資材特定部140は、S104等の処理と同様にして、不具合通知に対応する不具合に関する資材xを特定する(ステップS304)。この場合、資材特定部140は、不具合通知に対応する不具合に関する資材xとして、その資材xを供給したサプライヤも特定する。
図8の例で、サプライヤa1が供給した資材aについて不具合が発生した場合、資材特定部140は、資材xとして、サプライヤa1が供給した資材aを特定する。
【0108】
権限制御部150は、不具合通知に関するメーカに、変化点情報xへのアクセス権限を付与する(ステップS306)。例えば、
図8の例において、サプライヤa1が供給した資材aについて不具合が発生した場合、権限制御部150は、変化点情報a11及び変化点情報a12へのアクセス権限を、メーカに付与する。なお、資材xについて変化点情報xが記憶されていない場合、権限制御部150は、アクセス権限をメーカに付与しなくてもよい。
【0109】
また、実施の形態2のように、変化点情報xに機密度が設定されている場合、権限制御部150は、変化点情報xに対して、
図4のS106~S114の処理と実質的に同様の処理を行ってもよい。さらに、実施の形態3にかかる情報管理装置100が緊急度取得部210を有する場合、権限制御部150は、変化点情報xに対して、
図7のS208~S214の処理と実質的に同様の処理を行ってもよい。これらのことは、後述する実施の形態4においても同様である。つまり、実施の形態2の特徴は、実施の形態3だけでなく、実施の形態4にも適用可能である。
【0110】
実施の形態3にかかる情報管理システム1では、機密情報は、対応する資材の生産に関し以前に資材が生産されたときの状態から変化した変化点に関する変化点情報を含む。そして、実施の形態3にかかる情報管理システム1は、変化点情報へのアクセス権限を、メーカに付与するように構成されている。ここで、以前に資材が生産されたときの状態(変化前状態)では、資材を生産したときに、その資材に関して何ら不具合が発生しなかった実績が多い可能性が高いため、その状態で資材を生産したとしても、不具合が発生する可能性は低い。一方、変化点が発生した場合、変化前状態から変化した状態で資材を生産して不具合が発生せずに生産できた実績が乏しい可能性があるため、不具合が発生する可能性がある。したがって、ある資材について不具合が発生した場合、変化点によって、不具合が発生した可能性が高い。したがって、変化点情報へのアクセス権限を付与することによって、不具合の原因を特定することが、さらに容易となる。
【0111】
また、実施の形態3にかかる情報管理システム1は、不具合の原因の特定に寄与する可能性が高い変化点情報のみに対してアクセス権限をメーカに付与するように構成されている。このような構成により、変化点情報以外の機密情報に対してはアクセス権限が付与されないので、機密情報の機密性をより確実に保持することが可能となる。
【0112】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4においては、記憶部50に記憶された資材情報の構成(データ構造)が、上記の実施の形態と異なる。なお、実施の形態4にかかる情報管理システム1の構成については、
図1及び
図3に示したものと実質的に同様であるので、説明を省略する。なお、実施の形態4では、
図3に示した原因調査状況取得部160は、なくてもよい。
【0113】
図10は、実施の形態4にかかる記憶部50に記憶された資材情報70を例示する図である。なお、生産品メーカ情報60及び運送情報52については、
図2に例示したものが、記憶部50に記憶されていてもよい。実施の形態4において、資材情報70は、資材ごとに設けられた資材テーブル74で構成されている。
図10の例では、資材情報70は、資材テーブル74aと、資材テーブル74bと、資材テーブル74cと、資材テーブル74dと、資材テーブル74eと、資材テーブル74fとを含む。資材テーブル74aは、資材aに関するテーブルである。資材テーブル74bは、資材bに関するテーブルである。資材テーブル74cは、資材cに関するテーブルである。資材テーブル74dは、資材dに関するテーブルである。資材テーブル74eは、資材eに関するテーブルである。資材テーブル74fは、資材fに関するテーブルである。
【0114】
資材テーブル74は、対応する資材に関連する会社ごとに、会社IDと、組付先情報と、機密情報とで構成されている。なお、資材テーブル74は、実施の形態3で説明した公開情報を含んでもよい。また、組付先情報は、実施の形態3にかかる公開情報の必須項目に対応し得る。会社IDは、例えば、資材テーブル74に対応する資材を供給するサプライヤの識別情報を示す。機密情報は、実施の形態3と同様に、変化点を示す変化点情報を含んでもよい。
【0115】
なお、実施の形態1等と同様に、機密情報である変化点情報に、機密度が設定されてもよい。また、記憶部50は、変化前状態に関する情報を、機密情報として記憶してもよい。但し、後述する権限制御部150の処理において、変化前状態に関する情報については、アクセス権限が付与されないようにしてもよい。なお、実施の形態4では、機密情報は、変化点情報でなくてもよい。
【0116】
組付先情報は、対応するサプライヤによって供給される対応する資材が、どの資材(ユニット品)に組み付けられるのかを示している。例えば、資材テーブル74aにおいて、サプライヤa1の組付先情報が「資材x」を示している場合、サプライヤa1によって供給される資材aは、ユニット品である資材xに組み付けられる。例えば、資材xは、メーカAで使用されるトランスアスクルであってもよい。また、資材テーブル74は、対応する資材がユニット品である場合、そのユニット品がどの資材で構成されるかを示す組付元情報を含んでもよい。なお、組付先情報は、組付先情報によって示される資材がどの会社(メーカ又はサプライヤ)で生産されるかを示してもよい。つまり、組付先情報は、資材と会社とを示してもよい。
【0117】
図10の例では、資材テーブル74aは、資材aについて、資材aを供給するサプライヤa1の識別情報と、サプライヤa1によって供給される資材aの組付先「資材x」を示す組付先情報とを含む。なお、サプライヤa1については、資材aに関する変化点情報は格納されていない。つまり、サプライヤa1については、資材aについて変化点が発生していない。また、資材テーブル74aは、資材aについて、資材aを供給するサプライヤa2の識別情報と、サプライヤa2によって供給される資材aの組付先「資材y」を示す組付先情報と、機密情報である変化点情報a21とを含む。資材テーブル74aにおいて、サプライヤa1によって供給される資材aは、ユニット品である資材xに組み付けられ、サプライヤa2によって供給される資材aは、ユニット品である資材yに組み付けられる。
【0118】
また、
図10の例では、資材テーブル74bは、資材bについて、資材bを供給するサプライヤb1の識別情報と、サプライヤb1によって供給される資材bの組付先「資材z」を示す組付先情報と、機密情報である変化点情報b11とを含む。また、資材テーブル74bは、資材bについて、資材bを供給するサプライヤb2の識別情報と、サプライヤb2によって供給される資材bの組付先「資材x」を示す組付先情報とを含む。なお、サプライヤb2については、資材bに関する変化点情報は格納されていない。つまり、サプライヤb2については、資材bについて変化点が発生していない。資材テーブル74bにおいて、サプライヤb1によって供給される資材bは、ユニット品である資材zに組み付けられ、サプライヤb2によって供給される資材bは、ユニット品である資材xに組み付けられる。
【0119】
また、
図10の例では、資材テーブル74cは、資材cについて、資材cを供給するサプライヤc1の識別情報と、サプライヤc1によって供給される資材cの組付先「資材a」を示す組付先情報とを含む。なお、サプライヤc1については、資材cに関する変化点情報は格納されていない。つまり、サプライヤc1については、資材cについて変化点が発生していない。また、資材テーブル74cは、資材cについて、資材cを供給するサプライヤc2の識別情報と、サプライヤc2によって供給される資材cの組付先「資材w」を示す組付先情報と、機密情報である変化点情報c21とを含む。資材テーブル74cにおいて、サプライヤc1によって供給される資材cは、ユニット品である資材aに組み付けられ、サプライヤc2によって供給される資材cは、ユニット品である資材wに組み付けられる。
【0120】
また、
図10の例では、資材テーブル74dは、資材dについて、資材dを供給するサプライヤd1の識別情報と、サプライヤd1によって供給される資材dの組付先「資材v」を示す組付先情報と、機密情報である変化点情報d11とを含む。また、資材テーブル74dは、資材dについて、資材dを供給するサプライヤd2の識別情報と、サプライヤd2によって供給される資材dの組付先「資材b」を示す組付先情報とを含む。なお、サプライヤd2については、資材dに関する変化点情報は格納されていない。つまり、サプライヤd2については、資材dについて変化点が発生していない。資材テーブル74dにおいて、サプライヤd1によって供給される資材dは、ユニット品である資材vに組み付けられ、サプライヤd2によって供給される資材dは、ユニット品である資材bに組み付けられる。
【0121】
また、
図10の例では、資材テーブル74eは、資材eについて、資材eを供給するサプライヤe1の識別情報と、サプライヤe1によって供給される資材eの組付先「資材a」を示す組付先情報と、機密情報である変化点情報e11とを含むを含む。また、資材テーブル74eは、資材eについて、資材eを供給するサプライヤe2の識別情報と、サプライヤe2によって供給される資材eの組付先「資材u」を示す組付先情報と、機密情報である変化点情報e21とを含む。資材テーブル74eにおいて、サプライヤe1によって供給される資材eは、ユニット品である資材aに組み付けられ、サプライヤe2によって供給される資材eは、ユニット品である資材uに組み付けられる。
【0122】
また、
図10の例では、資材テーブル74fは、資材fについて、資材fを供給するサプライヤf1の識別情報と、サプライヤf1によって供給される資材fの組付先「資材t」を示す組付先情報と、機密情報である変化点情報f11とを含む。また、資材テーブル74fは、資材fについて、資材fを供給するサプライヤf2の識別情報と、サプライヤf2によって供給される資材fの組付先「資材d」を示す組付先情報とを含む。なお、サプライヤf2については、資材fに関する変化点情報は格納されていない。つまり、サプライヤf2については、資材fについて変化点が発生していない。資材テーブル74fにおいて、サプライヤf1によって供給される資材fは、ユニット品である資材tに組み付けられ、サプライヤf2によって供給される資材fは、ユニット品である資材bに組み付けられる。
【0123】
上述したように、実施の形態4にかかる記憶部50は、資材と当該資材が組み付けられて構成される他の資材とを対応付けるように、資材情報70を記憶している。つまり、実施の形態4にかかる記憶部50は、資材とその資材が組み付けられる他の資材との対応関係が示されている。そして、実施の形態4にかかる資材特定部140は、この資材情報70を用いて、不具合に関する資材を特定する。以下、
図11及び
図12を用いて説明する。
【0124】
図11は、実施の形態4にかかる情報管理システム1によって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。また、
図12は、実施の形態4にかかる資材特定方法を説明するための図である。
図11の処理は、主に、情報管理装置100によって実行される。不具合通知受信部130は、S102等の処理と同様にして、生産品メーカ装置10から、不具合通知を受信する(ステップS402)。
【0125】
資材特定部140は、不具合通知に対応する不具合の原因となった資材(部品)が特定されているか否かを判定する(ステップS404)。具体的には、資材特定部140は、不具合通知において、不具合の原因となった資材(部品)が特定されているか否かを判定する。不具合の原因となった資材(部品)が特定されている場合(S404のYES)、権限制御部150は、その特定されている資材(部品)を供給したサプライヤの機密情報(変化点情報)へのアクセス権限をメーカに付与する(ステップS406)。なお、そのサプライヤの変化点情報が記憶されていない場合、アクセス権限はメーカに付与されなくてもよい。
【0126】
一方、不具合に関する資材(部品)が特定されていない場合(S404のNO)、資材特定部140は、不具合が発生した生産工程で扱っていたユニット品を特定する(ステップS410)。具体的には、不具合通知には、不具合が発生した生産工程が示されている。したがって、資材特定部140は、不具合通知に示されている生産工程で扱われていたユニット品を特定する。なお、上述したように、生産工程と、その生産工程で扱われているユニット品との対応関係は、一意に定められ得る。例えば、記憶部50に記憶された生産品メーカ情報60に、その対応関係を示すようにしてもよく、資材特定部140は、その生産品メーカ情報60を用いて、生産工程に対応するユニット品を特定してもよい。
【0127】
資材特定部140は、資材情報における対応関係から、不具合に関するユニット品を構成する資材のサプライヤを特定する(ステップS412)。具体的には、資材特定部140は、資材情報70の資材テーブル74において、組付先情報がS410の処理で特定されたユニット品を示す資材を特定し、その資材のサプライヤを特定する。さらに、資材特定部140は、特定された資材が別の資材で構成されるユニット品である場合、資材テーブル74において、組付先情報がその資材(ユニット品)を示す資材を特定し、その資材のサプライヤを特定する。資材特定部140は、これらの処理を、最小部品まで行う。言い換えると、資材特定部140は、特定された資材がユニット品でなくなるまで上記の処理を行う。さらに言い換えると、資材特定部140は、特定された資材が組付先情報に示される他の資材テーブル74が存在しなくなるまで、上記の処理を行う。
【0128】
資材特定部140は、特定されたサプライヤのうち、対応する変化点情報が登録されているサプライヤを特定する(ステップS414)。具体的には、資材特定部140は、特定されたサプライヤに関する資材テーブル74を参照する。そして、資材特定部140は、その資材テーブル74に、特定されたサプライヤに関する変化点情報が格納(登録)されているかを判定する。資材特定部140は、変化点情報が登録されているサプライヤを特定する。
【0129】
権限制御部150は、不具合通知に関するメーカに、特定されたサプライヤの変化点情報へのアクセス権限を付与する(ステップS416)。言い換えると、実施の形態4においては、変化点情報が登録されていないサプライヤの機密情報に対しては、権限制御部150は、アクセス権限を付与する必要はない。
【0130】
図12を用いて具体例を説明する。
図10の例において、
図12に例示するように、ユニット品である資源xで不具合が発生したとする。この場合、資材特定部140は、S410の処理で資材xを特定する。そして、資材特定部140は、S412の処理で、資材テーブル74で組付先情報が「資材x」を示す資材を特定する。この場合、
図12に示すように、資材テーブル74aにおけるサプライヤa1の組付先情報が「資材x」を示しているので、資材特定部140は、資材aを特定し、資材aを供給するサプライヤa1を特定する。また、資材テーブル74bにおけるサプライヤb2の組付先情報が「資材x」を示しているので、資材特定部140は、資材bを特定し、資材bを供給するサプライヤb2を特定する。
【0131】
次に、資材特定部140は、特定された「資材a」が組付先情報に示されている資材テーブル74の資材を特定する。このとき、好ましくは、資材特定部140は、特定されたサプライヤa1で生産される「資材a」が組付先情報に示されている資材テーブル74の資材を特定する。
図12に示すように、資材テーブル74cにおけるサプライヤc1の組付先情報が「資材a」を示しているので、資材特定部140は、資材cを特定し、資材cを供給するサプライヤc1を特定する。ここで、資材テーブル74cにおけるサプライヤc1の組付先情報で示される「資材a」は、サプライヤa1によって生産されるとする。また、資材テーブル74eにおけるサプライヤe1の組付先情報が「資材a」を示しているので、資材特定部140は、資材eを特定し、資材eを供給するサプライヤe1を特定する。ここで、資材テーブル74eにおけるサプライヤe1の組付先情報で示される「資材a」は、サプライヤa1によって生産されるとする。
【0132】
なお、
図12の例において、特定されたサプライヤc1によって供給される「資材c」が組付先情報に示されている資材テーブル74は、存在しないものとする。また、特定されたサプライヤe1によって供給される「資材e」が組付先情報に示されている資材テーブル74は、存在しないものとする。したがって、資材特定部140は、特定された「資材c」及び「資材e」が最小部品であると判定する。
【0133】
また、資材特定部140は、特定された「資材b」が組付先情報に示されている資材テーブル74の資材を特定する。このとき、好ましくは、資材特定部140は、特定されたサプライヤb2で生産される「資材b」が組付先情報に示されている資材テーブル74の資材を特定する。
図12に示すように、資材テーブル74dにおけるサプライヤd2の組付先情報が「資材b」を示しているので、資材特定部140は、資材dを特定し、資材dを供給するサプライヤd2を特定する。ここで、資材テーブル74dにおけるサプライヤd2の組付先情報で示される「資材b」は、サプライヤb2によって生産されるとする。
【0134】
また、資材特定部140は、特定された「資材d」が組付先情報に示されている資材テーブル74の資材を特定する。このとき、好ましくは、資材特定部140は、特定されたサプライヤd2で生産される「資材d」が組付先情報に示されている資材テーブル74の資材を特定する。
図12に示すように、資材テーブル74fにおけるサプライヤf2の組付先情報が「資材d」を示しているので、資材特定部140は、資材fを特定し、資材fを供給するサプライヤf2を特定する。ここで、資材テーブル74fにおけるサプライヤf2の組付先情報で示される「資材d」は、サプライヤd2によって生産されるとする。
【0135】
なお、
図12の例において、特定されたサプライヤf2によって供給される「資材f」が組付先情報に示されている資材テーブル74は、存在しないものとする。したがって、資材特定部140は、特定された「資材f」が最小部品であると判定する。
【0136】
次に、資材特定部140は、S414の処理で、上記で特定されたサプライヤa1,b2,c1,d2,e1,f2それぞれについて、対応する資材テーブル74において変化点情報が登録されているかを判定する。そして、資材特定部140は、対応する変化点情報が登録されているサプライヤを特定する。具体的には、資材特定部140は、サプライヤa1について、対応する資材テーブル74aには、サプライヤa1に対応する変化点情報は登録されていないと判定する。したがって、資材特定部140は、サプライヤa1を特定しない。
【0137】
また、資材特定部140は、サプライヤb2について、対応する資材テーブル74bには、サプライヤb2に対応する変化点情報は登録されていないと判定する。したがって、資材特定部140は、サプライヤb2を特定しない。また、資材特定部140は、サプライヤc1について、対応する資材テーブル74cには、サプライヤc1に対応する変化点情報は登録されていないと判定する。したがって、資材特定部140は、サプライヤc1を特定しない。また、資材特定部140は、サプライヤd2について、対応する資材テーブル74dには、サプライヤd2に対応する変化点情報は登録されていないと判定する。したがって、資材特定部140は、サプライヤd2を特定しない。
【0138】
また、資材特定部140は、サプライヤe1について、対応する資材テーブル74eには、サプライヤe1に対応する変化点情報e11が登録されていると判定する。したがって、資材特定部140は、サプライヤe1を特定する。また、資材特定部140は、サプライヤf2について、対応する資材テーブル74fには、サプライヤf2に対応する変化点情報は登録されていないと判定する。したがって、資材特定部140は、サプライヤf2を特定しない。
【0139】
上記のように、資材特定部140は、S414の処理で、サプライヤa1,b2,c1,d2,e1,f2のうちのサプライヤe1を特定する。そして、権限制御部150は、S416の処理で、サプライヤe1の変化点情報e11へのアクセス権限を、メーカに付与する。
【0140】
上述したように、実施の形態4にかかる情報管理システム1では、記憶部50は、資材と当該資材が組み付けられて構成される他の資材とを対応付けるように、資材情報70を記憶している。そして、実施の形態4にかかる情報管理システム1は、この資材情報70を用いて、不具合に関する資材を特定するように構成されている。このような構成により、不具合の原因となった資材(部品)が特定されていない場合であっても、不具合の原因となった可能性のある資材(部品)を、容易に特定することが可能となる。すなわち、不具合の原因となった生産工程が特定されていれば、その生産工程で扱われているユニット品が特定でき、さらに、資材情報70の資材テーブル74の組付先情報から、ユニット品を構成する資材(部品)を特定することができる。したがって、不具合の原因となった可能性のある資材(部品)を、容易に特定することが可能となる。
【0141】
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述した複数の実施の形態のそれぞれは、互いに適用可能である。例えば、実施の形態4の特徴は、実施の形態1に適用してもよい。この場合、
図10に例示された資材テーブル74に格納される機密情報は、変化点情報でなくてもよい。この場合、資材テーブル74の全ての会社IDに対応する機密情報の欄には、何らかの情報が必ず格納され得る。
【0142】
また、上述したフローチャートの各ステップの順序は、適宜、変更可能である。また、フローチャートの各ステップの1つ以上は、省略されてもよい。例えば、
図5に示したフローチャートにおいて、S128の処理は、なくてもよい。また、
図7に示したフローチャートにおいて、S210~S214の処理の数は、緊急度の段階の数(3つ)に応じて3つとなっているが、これに限定されない。S210~S214の処理の数は、緊急度の段階の数に応じて、適宜、変更可能である。例えば、緊急度の段階の数が4つであれば、S210~S214の処理の数を、4つとしてもよい。
【0143】
また、上述した実施の形態1及び実施の形態2において、権限制御部150は、機密度に応じて、段階的に機密情報へのアクセス権限をメーカに付与するとしたが、このような構成に限られない。権限制御部150は、機密度によらないで、一度に全ての機密情報へのアクセス権限を、メーカに付与してもよい。しかしながら、機密度に応じて、段階的に機密情報へのアクセス権限をメーカに付与することによって、機密情報の保護を適切に行うことが可能となる。
【0144】
また、上述した実施の形態1及び実施の形態2において、アクセス権限が付与される段階は、機密情報の機密度に対応しているが、このような構成に限られない。例えば、アクセス権限が付与される段階は、機密情報が生成された日時に対応してもよい。この場合、実施の形態2において、権限制御部150は、緊急度が低い場合は新しい機密情報のみに対してアクセス権限を付与し、緊急度が高い場合は新しい機密情報だけでなく古い機密情報に対してもアクセス権限を付与してもよい。また、実施の形態2の特徴を実施の形態3に適用した場合、権限制御部150は、緊急度が低い場合は変化点情報のみに対してアクセス権限を付与し、緊急度が高い場合は変化点情報だけでなく変化前情報に対してもアクセス権限を付与してもよい。
【0145】
また、上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0146】
1 情報管理システム
2 ネットワーク
10 生産品メーカ装置
20 サプライヤ装置
30 運送会社装置
50 記憶部
52 運送情報
60 生産品メーカ情報
70 資材情報
72 資材テーブル
74 資材テーブル
100 情報管理装置
110 情報取得部
112 情報格納部
120 アクセス処理部
130 不具合通知受信部
140 資材特定部
150 権限制御部
160 原因調査状況取得部
170 代替判定部
210 緊急度取得部