(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】画面生成方法、画面生成装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20240910BHJP
H04L 65/403 20220101ALI20240910BHJP
【FI】
H04L12/28 200D
H04L65/403
(21)【出願番号】P 2021022331
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】藤森 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】永井 数樹
(72)【発明者】
【氏名】田村 優季
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-134850(JP,A)
【文献】特開2017-028659(JP,A)
【文献】特開2015-008381(JP,A)
【文献】特開2017-092845(JP,A)
【文献】特開2006-295587(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0173939(US,A1)
【文献】国際公開第2015/033762(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-12/66,13/00,41/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末のそれぞれに優先度を設定し、
前記複数の端末のそれぞれから、通信リンクを介して画像を表す画像データを受信し、
前記優先度の設定に応じて、前記優先度を通知する優先度通知を前記複数の端末の少なくとも何れかに送信することにより、前記優先度に相関するように前記画像データのトラフィックを制御し、
複数の前記画像データに基づいて、複数の前記画像を含む表示画面を生成し、及び、
前記通信リンクの切断が発生する場合、前記切断の発生から一定時間、前記優先度の変更を待機する
ことを含む画面生成方法。
【請求項2】
前記通信リンクを確立した順番に応じて、前記優先度を設定する、請求項1に記載の画面生成方法。
【請求項3】
前記複数の端末からの要求に応じて、前記優先度を設定する、請求項1に記載の画面生成方法。
【請求項4】
前記要求から一定時間、他の前記要求を無視する、請求項3に記載の画面生成方法。
【請求項5】
前記複数の端末のうち、高い前記優先度を設定される端末の数を1に制限する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の画面生成方法。
【請求項6】
前記優先度に応じて、前記表示画面における複数の前記画像のレイアウトを決定する、請求項1乃至5の何れか1項に記載の画面生成方法。
【請求項7】
複数の端末のそれぞれから、通信リンクを介して画像を表す画像データを受信する通信インターフェイスと、
前記複数の端末のそれぞれに優先度を設定し、前記優先度の設定に応じて、前記優先度を通知する優先度通知を前記複数の端末の少なくとも何れかに送信することにより、前記優先度に相関するように前記画像データのトラフィックを制御する処理回路と、
複数の前記画像データに基づいて、複数の前記画像を含む表示画面を生成する画面生成回路と、を備え、
前記処理回路は、前記通信リンクの切断が発生する場合、前記切断の発生から一定時間、前記優先度の変更を待機する、画面生成装置。
【請求項8】
複数の端末のそれぞれから、通信リンクを介して画像を表す画像データを受信する通信インターフェイスと、
前記複数の端末のそれぞれに優先度を設定し、前記優先度の設定に応じて、前記優先度を通知する優先度通知を前記複数の端末の少なくとも何れかに送信することにより、前記優先度に相関するように前記画像データのトラフィックを制御する処理回路と、
複数の前記画像データに基づいて、複数の前記画像を含む表示画面を生成する画面生成回路と、
前記表示画面を表示する表示機器と、を備え、
前記処理回路は、前記通信リンクの切断が発生する場合、前記切断の発生から一定時間、前記優先度の変更を待機する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面生成方法、画面生成装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コンテンツデータの優先度及び通信ネットワークの可用帯域に応じて、コンテンツデータの品質を決定し、決定された品質でコンテンツデータを端末に送信する制御システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、通信ネットワークが安定しない状況において、既に決定されたパラメーターが変更される可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様は、複数の端末のそれぞれに優先度を設定し、前記複数の端末のそれぞれから、通信リンクを介して画像を表す画像データを受信し、前記優先度の設定に応じて、前記優先度を通知する優先度通知を前記複数の端末の少なくとも何れかに送信することにより、前記優先度に相関するように前記画像データのトラフィックを制御し、複数の前記画像データに基づいて、複数の前記画像を含む表示画面を生成し、及び、前記通信リンクの切断が発生する場合、前記切断の発生から一定時間、前記優先度の変更を待機することを含む画面生成方法である。
【0006】
他の一態様は、複数の端末のそれぞれから、通信リンクを介して画像を表す画像データを受信する通信インターフェイスと、前記複数の端末のそれぞれに優先度を設定し、前記優先度の設定に応じて、前記優先度を通知する優先度通知を前記複数の端末の少なくとも何れかに送信することにより、前記優先度に相関するように前記画像データのトラフィックを制御する処理回路と、複数の前記画像データに基づいて、複数の前記画像を含む表示画面を生成する画面生成回路と、を備え、前記処理回路は、前記通信リンクの切断が発生する場合、前記切断の発生から一定時間、前記優先度の変更を待機する、画面生成装置である。
【0007】
他の一態様は、複数の端末のそれぞれから、通信リンクを介して画像を表す画像データを受信する通信インターフェイスと、前記複数の端末のそれぞれに優先度を設定し、前記優先度の設定に応じて、前記優先度を通知する優先度通知を前記複数の端末の少なくとも何れかに送信することにより、前記優先度に相関するように前記画像データのトラフィックを制御する処理回路と、複数の前記画像データに基づいて、複数の前記画像を含む表示画面を生成する画面生成回路と、前記表示画面を表示する表示機器と、を備え、前記処理回路は、前記通信リンクの切断が発生する場合、前記切断の発生から一定時間、前記優先度の変更を待機する、表示装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る表示システムを説明する模式図。
【
図2】実施形態に係る表示システムを説明するブロック図。
【
図7】実施形態に係る画面生成方法を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図面においては、同一又は類似の要素には同一又は類似の符号をそれぞれ付して、重複する説明を省略する場合がある。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するためのシステム、このシステムに用いられる装置や方法を例示するものである。本発明の技術的思想は、各装置の種類及び構成、ネットワークトポロジー、一連の処理等を下記のものに特定するものでない。
【0010】
図1に示すように、実施形態に係る表示システムは、複数の端末10a,10b,10c,10dと、表示装置20とを備える。表示装置20は、本実施形態において、スクリーン30に光を投写することにより映像31を表示するプロジェクターである。表示装置20は、フラットパネルディスプレイ装置等の他の表示装置であってもよい。フラットパネルディスプレイ装置として、例えば、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置等を採用可能である。
【0011】
複数の端末10a~10dのそれぞれは、画像を表す画像データを表示装置20に供給する機能を有するコンピューター装置である。
図1に示す例において、端末10a~10dの数は4であるが、2以上であればよい。以下、特に区別しない場合において、端末10a~10dのうちの何れかを単に「端末10」という。本実施形態において、各端末10は、ラップトップ型コンピューターである。各端末10は、別種類のパーソナルコンピューター(PC)、タブレット端末、スマートフォン、マイクロコントローラー等、他のコンピューター装置であってもよい。即ち、端末10は、例えば他のPCに接続されることにより、PCから出力される画像データを、無線により表示装置20に送信する、所謂USBドングルのような小型装置であってもよい。
【0012】
図2に示すように、表示装置20は、例えば、入力機器21、表示機器22、制御回路23及び画面生成装置50を備える。入力機器21は、ユーザーによる操作を検出し、ユーザーによる操作に応じた信号を制御回路23に出力する。入力機器21として、例えば、プッシュボタン、タッチセンサー、ポインティングデバイス、マイクロフォン等、種々の入力装置が採用可能である。入力機器21は、無線又は有線のリモートコントローラーを含み得る。
【0013】
表示機器22は、例えば、光源と、複数の画素を有する液晶パネル等の表示素子と、レンズ、ミラー等を含む光学系とを備える。制御回路23は、画面生成装置50から出力される画像データに基づいて表示素子を駆動する駆動信号を生成する。表示素子は、駆動信号に応じて、光源から発せられた光を変調する。表示機器22は、制御回路23による制御に応じて、表示素子を経由した光を、光学系を用いてスクリーン30に投写することにより、画像データに基づく映像31を表示する。このように、表示機器22は、端末10から取得される画像を表示し得る。
【0014】
制御回路23は、表示装置20の動作に必要な演算を処理する処理装置と、表示装置20の動作に必要な一連の処理を示すプログラムや各種データを記憶する記憶装置とを有する。処理装置として、例えば、中央演算処理装置(CPU)、デジタルシグナルプロセッサー(DSP)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)等の種々の論理演算回路を採用可能である。記憶装置として、例えば半導体メモリー等のコンピューターにより読み取り可能な記憶媒体を採用可能である。記憶装置は、不揮発性の補助記憶装置に限るものでなく、レジスターやキャッシュメモリー等の揮発性の主記憶装置を含み得る。処理装置及び記憶装置のそれぞれは、一体のハードウェアから構成されてもよく、別個の複数のハードウェアから構成されてもよい。
【0015】
画面生成装置50は、通信インターフェイス(I/F)51及び制御器52を備える。制御器52は、処理回路53、記憶回路54及び画面生成回路55を有する。画面生成装置50は、複数の端末10a~10dから取得される複数の画像を含む画面を生成することにより、表示機器22によって映像31として表示する。本実施形態において、画面生成装置50は、表示装置20の一部を構成するが、例えばワイヤレスディスプレイアダプター等の表示装置20に対して脱着可能なデバイスであってもよい。
【0016】
通信I/F51は、処理回路53による制御に応じて、端末10a~10dのそれぞれとの間に通信リンクを確立することにより、端末10と通信可能に接続する。通信I/F51は、端末10a~10dのそれぞれから、通信リンクを介して画像を表す画像データを受信する。通信リンクは、有線、無線を問わず、有線及び無線の組み合わせであってもよい。即ち、通信I/F51は、端末10に直接的に接続されてもよく、他の通信装置を介して端末に間接的に接続されてもよい。通信I/F51は、例えば、信号を送受信するアンテナ、通信リンクにおいて伝送される信号を処理する回路、通信用ケーブルのプラグが差し込まれるレセプタクルを含み得る。
【0017】
処理回路53は、画面生成装置50の動作に必要な演算を処理する、コンピューターの処理装置を構成する。処理回路53は、例えば、記憶回路54に記憶される制御プログラムを実行することにより、実施形態に記載される表示装置20の各種機能を実現する。処理回路53の少なくとも一部を構成する処理装置として、例えば、CPU、DSP、PLD、ASIC等の種々の論理演算回路を採用可能である。処理回路53は、一体のハードウェアから構成されてもよく、別個の複数のハードウェアから構成されてもよい。
【0018】
記憶回路54は、画面生成装置50の動作に必要な一連の処理を示す制御プログラムや各種データを記憶する、コンピューターにより読み取り可能な記憶媒体である。記憶回路54として、例えば半導体メモリーを採用可能である。記憶回路54は、不揮発性の補助記憶装置に限るものでなく、レジスターやキャッシュメモリー等の揮発性の主記憶装置を含み得る。記憶回路54の少なくとも一部は、処理回路53の一部により構成されてもよい。記憶回路54は、一体のハードウェアから構成されてもよく、別個の複数のハードウェアから構成されてもよい。
【0019】
処理回路53は、所定の条件に応じて、端末10a~10dのそれぞれに優先度を設定する。処理回路53は、例えば、通信リンクを確立した順番に応じて、端末10a~10dのそれぞれに優先度を設定する。即ち、記憶回路54は、処理回路53により設定される優先度と、優先度に対応する端末10を識別する識別子とを優先度情報として記憶する。例えば、端末10aとの間に通信リンクが確立され、端末10aの次に端末10bとの間に通信リンクが確立される場合、処理回路53は、端末10aに端末10bより高い優先度を設定する。反対に、処理回路53は、通信リンクの確立が遅い端末10に高い優先度を設定するようにしてもよい。或いは、処理回路53は、通信リンクの確立から所定時間が経過することに応じて優先度を設定するようにしてもよい。
【0020】
処理回路53は、端末10a~10dのからの要求に応じて、端末10a~10dのそれぞれに優先度を設定するようにしてもよい。例えば、端末10aから優先度を高くする旨を要求する要求信号を受信する場合、処理回路53は、端末10aに高い優先度を、端末10b~10dに端末10aより低い優先度を設定する。この場合、表示装置20に対する操作が不要であり、端末10a~10dの操作により優先度を設定できる。一方、通信リンクを確立する順番に応じて優先度を設定する場合、端末10a~10dに対する専用の操作が不要である。
【0021】
処理回路53は、優先度の設定に応じて、対応する優先度を通知するための信号である優先度通知を、通信I/F51を介して端末10a~10dの少なくとも何れかに送信する。これにより、処理回路53は、画像データの通信量、即ちトラフィックが優先度に相関するように、端末10a~10dを制御する。言い換えると、処理回路53は、優先度に相関するように画像データのトラフィックを制御する。例えば、端末10bより高い優先度を有する端末10aの画像データのトラフィックが、端末10bの画像データのトラフィックより大きくするために、処理回路53は、優先度通知を各端末10に送信する。
【0022】
画面生成回路55は、処理回路53による制御に応じて、表示機器22により表示される画面を表す画面データを生成する。画面生成回路55は、通信I/F51を介して端末10a~10dから入力される複数の画像データに基づいて画面データを生成する。画面生成回路55は、逐次、生成する画面データを、制御回路23を介して表示機器22に出力する。画面生成回路55は、レンダリングエンジン、グラフィックスメモリー等を含み得る。画面生成回路55は、処理回路53の一部を構成する回路として機能してもよい。
【0023】
例えば
図3に示すように、画面生成回路55は、通信I/F51によって受信される複数の画像データに基づいて、複数の画像を含む表示画面61を生成する。
図3に示す例では、表示画面61において、端末10a~10dからの各画像データにより表される4つ画像が2×2のマトリックス状に配列される。a~dの文字は、端末10a~10dからそれぞれ取得される画像であることを表現している。各画像データの映像品質は、例えば分割画面相当である。画面生成回路55は、表示画面61を表す画面データを表示機器22に出力する。これにより、表示機器22は、表示画面61を表示する。
【0024】
図2に示すように、端末10は、例えば、通信部11、制御部12、入力部13及び表示部14を備える。通信部11は、制御部12による制御に応じて、表示装置20との間に通信リンクを確立することにより、表示装置20と通信可能に接続する。通信部11は、例えば、無線信号を送受信するアンテナ、通信用ケーブルのプラグが差し込まれるレセプタクル、通信リンクにおいて伝送される信号を処理する回路等を含み得る。通信部11は、制御部12による制御に応じて、画像を示す画像データを表示装置20に送信する。
【0025】
制御部12は、例えばCPU等の処理装置と、半導体メモリー等の記憶装置とを有する。制御部12は、端末10の動作に必要な演算を処理する。制御部12は、例えば、記憶装置に記憶されるプログラムを実行することにより、実施形態に記載される端末10の各種機能を実現する。制御部12の記憶装置は、例えば、端末10の動作に必要な一連の処理のプログラムや各種データを記憶する。制御部12は、一体のハードウェアから構成されてもよく、別個の複数のハードウェアから構成されてもよい。
【0026】
入力部13は、ユーザーの操作を受け付け、ユーザーの操作に応じた信号を制御部12に出力する入力装置である。入力部13は、例えば、キーボード、各種スイッチ、ポインティングデバイス等を含み得る。表示部14は、例えばフラットパネルディスプレイである。入力部13及び表示部14は、互いに一体的に構成されるタッチパネルディスプレイであってもよい。例えば、画像データの送信は、表示画面61への参加を要求する旨の、入力部13に対するユーザーの操作に応じて開始される。
【0027】
制御部12は、通信部11を介して表示装置20に画像データを送信する。制御部12は、表示装置20から送信される優先度通知に応じて、画像の映像品質を定義する画像データのパラメーターを決定する。画像データの映像品質及びトラフィックは、互いに相関する。例えば、端末10aが高い優先度を通知される場合、画像が他と比べて高い映像品質を有するように画像データのパラメーターを決定する。例えば、映像品質は、全画面相当の高、分割画面相当の中、縮小画面相当の低の3段階に分けられる。これにより、端末10aの画像データのトラフィックは、他の画像データのトラフィックより大きくなる。
【0028】
制御部12は、画像データのパラメーターとして、圧縮率、フレームレート及び解像度の3種類のパラメーターのうち少なくとも何れか1種類のパラメーターを決定する。制御部12は、決定されたパラメーターを有する画像データを生成し、通信部11を介して表示装置20に送信する。或いは、制御部12は、優先度通知に基づいて、例えば動画形式から静止画形式のように、画像データの形式を変更するようにしてもよい。このように、表示装置20は、優先度通知を送信することにより、優先度に相関するように、端末10の画像データの映像品質を制御し、画像データのトラフィックを制御する。
【0029】
例えば、端末10a~10dからの要求に応じて、端末10a~10dの優先度が設定されるモードにおいて、何れの端末10からも要求がない場合、表示装置20は、端末10a~10dに対して互いに同一の優先度を設定する。具体的には、処理回路53は、端末10a~10dのそれぞれとの通信リンクの確立に応じて、記憶回路54に基準の優先度を設定する。この場合、端末10a~10dは、互いに同一のパラメーターを有する画像データを生成し、表示装置20に送信する。これにより、表示装置20は、
図3に示すように、互いに同一の映像品質を有する複数の画像を含む表示画面61を表示する。
【0030】
ここで、端末10aが、入力部13に対するユーザーの操作に応じて、要求信号を表示
装置20に送信することにより、優先度を高くすることを要求する場合を仮定する。処理
回路53は、端末10aからの要求に応じて、端末10aの基準の優先度を高い優先度に
変更することにより、端末10aの優先度を端末10b~10dの優先度よりも高く設定
する。なお、処理回路53は、要求信号が受信された時点から一定時間、他の要求信号を
破棄することにより、端末10a~10dの各ユーザーによる複数の要求が衝突すること
を防止する機能を有してもよい。即ち、処理回路53は、ある要求から一定時間、他の要
求を無視し得る。また、他の要求信号を破棄せずに記憶をしておき、一定時間の経過後に
記憶した要求信号を実施することにより、端末10a~10dの各ユーザーによる複数の
要求が衝突することを防止する機能を有してもいい。即ち、処理回路53は、ある要求か
ら一定時間の経過後に、次の要求を実行し得る。
【0031】
処理回路53は、端末10aの優先度の設定に応じて、端末10aに高い優先度が設定されたことを通知する優先度通知を、少なくとも端末10aに送信する。端末10aの制御部12は、優先度通知の受信に応じて、画像の映像品質が基準より高く変化するように画像データのパラメーターを決定する。制御部12は、決定されたパラメーターを有する画像データを表示装置20に送信する。これにより、端末10aの画像データのトラフィックは、高い優先度に相関するように大きくなる。
【0032】
図4に示すように、画面生成回路55は、記憶回路54に記憶される優先度情報と、通信I/F51に受信される画像データとに基づいて、端末10aの画像が他の端末10b~10dの画像より大きく表示される表示画面61を生成する。即ち、端末10の優先度は、表示画面61におけるサイズに相関する。このように、画面生成回路55は、端末10a~10dの優先度に応じて、表示画面61における複数の画像のレイアウトを決定する。このため、画像のレイアウトに応じて最適化された映像品質を有する表示画面61を生成できる。
【0033】
処理回路53は、端末10a~10dのうち、最も高い優先度を設定される端末10の数を1に制限するようにしてもよい。例えば、高い優先度を設定される端末の数として1が設定され、端末10aに既に高い優先度が設定された場合、処理回路53は、端末10bから優先度を高くする旨の要求を受けたとしても要求を拒否する。このような場合、処理回路53は、高い優先度を設定される端末10の数が上限に達しているなど、要求を拒否する理由を示すメッセージを端末10bに送信するようにしてもよい。
【0034】
更に、処理回路53は、基準より低い優先度が設定されたこと通知する優先度通知を他の端末10b~10dに送信するようにしてもよい。端末10b~10dの各制御部12は、優先度通知の受信に応じて、画像の映像品質が基準より低く変化するように画像データのパラメーターを決定する。各制御部12は、決定されたパラメーターを有する画像データを表示装置20に送信する。これにより、端末10b~10dの各画像データのトラフィックは、低い優先度に相関するように小さくなる。これにより、画面生成装置50は、トラフィックの増大によるネットワーク帯域の逼迫を防止し、帯域の使用効率を向上することができる。更に、画面生成回路55等の処理を効率化することにより表示装置20の処理負荷を軽減できる。
【0035】
例えば、端末10a~10dと表示装置20との間の通信リンクに無線リンクが含まれるなど、通信状態が不安定になる可能性がある状況において、ネットワーク障害等により通信リンクの切断が発生した場合を仮定する。この場合、再接続処理により、再度自動的に通信リンクが確立され、画像データの送受信が再開され得る。但し、切断の発生毎に優先度情報が変化するのでは、レイアウトや映像品質が頻繁に変更される可能性があり、ユーザーに不利益が生じる可能性がある。
【0036】
そこで、処理回路53は、端末10a~10dとの間に通信リンクの切断が発生する場
合、切断の発生から一定時間、優先度の変更を待機する。具体的には、処理回路53は、
通信I/F51と端末10との間の通信速度が閾値未満になる場合において、通信リンク
の切断が発生したと判断する。処理回路53は、通信リンクの切断が発生した時点から一
定時間、記憶回路54に記憶される優先度情報を変更しない。一定時間は、例えば数秒か
ら数分の範囲などから任意に決定され得る。これにより、画面生成装置50は、一旦設定
された優先度が、ユーザーの意図にかかわらず変更されることを防止できる。
【0037】
なお、処理回路53は、入力機器21に対するユーザーの操作に応じて、端末10a~10dのそれぞれに優先度を設定するようにしてもよい。例えば、ユーザーは、端末10a~10dの各画像のうち特定の端末10の画像を拡大する旨の操作を入力機器21に対して行う。これにより、端末10の優先度は、端末10の画像の拡大に連動して高い優先度に変更される。更に、入力機器21による優先度の設定は、端末10a~10dからの要求より優先されるようにしてもよい。
【0038】
例えば
図5に示すように、端末10a及び端末10bが表示装置20に接続される場合、端末10a及び端末10bのそれぞれから画像データが送信されることにより、互いに同一サイズの2つの画像を含む表示画面61が表示される。入力機器21は、端末10aの画像のサイズを大きくする旨のユーザーによる操作を検出する。処理回路53は、端末10aの優先度を端末10bの優先度より高くし、優先度通知を端末10aに送信する。
【0039】
図6に示すように、画面生成装置50は、入力機器21により検出される操作に応じて、端末10aの画像が端末10bの画像より大きく表示される表示画面61を生成する。端末10aは、優先度通知に応じて、向上された映像品質を有する画像データを表示装置20に送信する。このため、表示画面61において、端末10aの画像の映像品質の悪化を抑制できる。
【0040】
加えて、表示装置20は、優先度が低下したことを通知する優先度通知を端末10bに送信することにより、低下された映像品質を有する画像データを端末10bから受信する。即ち、端末10bの画像データのトラフィックは、端末10aの画像データのトラフィックより小さい。このように、表示装置20は、トラフィックの増大によりネットワークの帯域が逼迫することを防止し、帯域の使用効率を向上することができる。
【0041】
或いは、処理回路53は、端末10a~10dに予め設定される優先度クラスを端末10a~10dから取得し、取得した優先度クラスに応じて優先度を設定するようにしてもよい。例えば、端末10aに「発表者」、端末10bに「一般」という優先度クラスが予め設定される。処理回路53は、例えば通信リンクの確立時に、端末10a及び端末10bのそれぞれから、優先度クラスを示すクラス情報を取得する。これにより、処理回路53は、端末10aの優先度を端末10bの優先度より高くし、優先度通知を端末10a及び端末10bに送信する。処理回路53は、「発表者」の優先度クラスを設定された端末10aからの要求を他より優先的に処理するようにしてもよい。
【0042】
図7のフローチャートを参照して、画面生成装置50による画面生成方法の一例を説明する。
図7に示す一連の処理は、所定の周期で繰り返し実行され得る。
【0043】
先ず、ステップS1において、処理回路53は、端末10a~10dに優先度を設定する所定の条件を満たす場合、端末10a~10dに設定される優先度を変更するか否かを判定する。上述の通り、所定の条件として、例えば、端末10a~10dからの要求信号を受信することや、端末10a~10dとの間の通信リンクが確立されること等を採用可能である。
【0044】
具体的には、処理回路53は、記憶回路54に記憶される優先度情報に基づいて、優先
度を変更するか否かを判定する。例えば、高い優先度を設定される端末の数として1が設
定され、未だ高い優先度を設定された端末10がない場合、端末10から優先度を高くす
る旨の要求に対して許可を与え、端末10の優先度を変更すると判断する。一方、高い優
先度を設定される端末の数として1が設定され、既に端末10aに高い優先度が設定され
ている場合、処理回路53は、他の端末10からの優先度を高くする旨の要求を無視する
。このように、処理回路53は、優先度を変更すると判断する場合、ステップS2に処理
を進め、優先度を変更すると判断しない場合、ステップS5に処理を進める。
【0045】
ステップS2において、処理回路53は、所定の条件に応じて、記憶回路54に記憶される優先度情報を更新することにより、端末10a~10dのそれぞれに優先度を設定する。ステップS3において、処理回路53は、優先度を通知する優先度通知を、端末10a~10dのそれぞれに送信する。ステップS4において、画面生成装置50は、優先度情報に基づいて、表示画面61における複数の画像のレイアウトを変更する。
【0046】
ステップS5において、処理回路53は、端末10a~10dとの間に通信リンクの切断が発生するか否かを判断する。処理回路53は、切断が発生したと判断する場合、ステップS6に処理を進め、切断が発生したと判断しない場合、処理を終了する。
【0047】
ステップS6において、処理回路53は、切断の発生から一定時間待機する。即ち、処理回路53は、次のステップS1の処理に進むことないがため、通信リンクの再接続処理等が行われる場合であっても、通信リンクの切断が発生した時点から一定時間、優先度の変更を待機する。
【0048】
上述の通り、画面生成装置50によれば、通信リンクの切断から一定時間、優先度の変更を待機する。このため、一旦設定された優先度がユーザーの意図にかかわらず変更されることを防止できる。また、画面生成装置50によれば、各画像データのトラフィックは、低い優先度に相関するように小さくなる。これにより、画面生成装置50は、端末10優先度に相関するように画像データのトラフィックを制御する。このため、トラフィックの増大によりネットワークの帯域が逼迫することを防止し、帯域の使用効率を向上することができる。
【0049】
以上のように実施形態を説明したが、本発明はこれらの開示に限定されるものではない。各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成に置換されてもよく、また、本発明の技術的範囲内において、各実施形態における任意の構成が省略されたり追加されたりしてもよい。これらの開示から当業者には様々な代替の実施形態が明らかになる。
【0050】
例えば、端末10a~10dに優先度を設定するための所定の条件は、要求信号の受信や通信リンクの確立に限るものではない。処理回路53は、例えば、マウスカーソルの移動等の画像の変化、音声の変化、入力部13に対する操作等を検出することにより、優先度を変更すると判断するようにしてもよい。
【0051】
その他、上述の各構成を相互に応用した構成等、本発明は以上に記載しない様々な実施形態を含むことは勿論である。本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0052】
10,10a~10d…端末、20…表示装置、21…入力機器、22…表示機器、23…制御回路、50…画面生成装置、51…通信I/F、52…制御器、53…処理回路、54…記憶回路、55…画面生成回路、61…表示画面。