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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】搬送システム及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021022726
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124849
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕太郎
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-234048(JP,A)
【文献】特開2016-037343(JP,A)
【文献】特開2011-105469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ロボットを用いて物体を搬送する搬送システムであって、
前記搬送ロボットは、
前記物体を載置する天板と、
前記物体を前記天板に載置し又は前記天板から取り除くように、前記物体を水平方向に移動させるアーム部と、
前記天板に配置され、前記物体が前記天板の所定位置に到達したことを検出するセンサと、
前記アーム部の動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記センサの検出結果に基づいて前記天板に前記物体を載置する、又は、前記センサの検出結果に基づいて前記天板から前記物体を取り除き、
前記天板には、複数の前記センサが、前記物体を移動させる方向に沿って配置されており、
前記制御手段は、
複数の前記センサそれぞれの検出結果を確認しながら前記天板に前記物体を載置し、又は、複数の前記センサそれぞれの検出結果を確認しながら前記天板から前記物体を取り除き、
前記搬送システムは、
前記物体を収容するラックを更に備え、
前記制御手段は、
前記物体を前記ラックから前記天板に移載する場合、前記ラック側に配置された前記センサから順番に検出結果を確認し、前記物体を前記天板から前記ラックに移載する場合、前記ラック側とは反対側に配置された前記センサから順番に検出結果を確認し、
前記物体の底面には、前記物体が移動する方向に沿って複数の溝が設けられ、
前記物体を前記ラックから前記天板に移載する場合、前記アーム部と係合する溝が天板側の溝からの順で変更され、かつ、前記溝に係合した前記アーム部が前記物体を前記ラックから引き出し、前記物体を前記天板から前記ラックに移載する場合、前記アーム部と係合する溝がラック側の溝からの順で変更され、かつ、前記溝に係合した前記アーム部が前記物体を前記ラックに押し入れ、
前記制御手段は、前記センサの検出結果に基づいて、前記アーム部と係合する溝を変更する
搬送システム。
【請求項2】
前記センサは、フォトリフレクタである、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
搬送ロボットを用いて物体を搬送する搬送方法であって、
前記搬送ロボットは、
前記物体を載置する天板と、
前記物体を前記天板に載置し又は前記天板から取り除くように、前記物体を水平方向に移動させるアーム部と、
前記天板に配置され、前記物体が前記天板の所定位置に到達したことを検出するセンサと、
を備え、
前記搬送方法は、
前記センサの検出結果に基づいて前記天板に前記物体を載置し、又は、前記センサの検出結果に基づいて前記天板から前記物体を取り除く制御ステップ、
を含み、
前記天板には、複数の前記センサが、前記物体を移動させる方向に沿って配置されており、
前記制御ステップは、
複数の前記センサそれぞれの検出結果を確認しながら前記天板に前記物体を載置する、又は、複数の前記センサそれぞれの検出結果を確認しながら前記天板から前記物体を取り除き、
前記物体を、前記物体を収容するラックから前記天板に移載する場合、前記ラック側に配置された前記センサから順番に検出結果を確認し、前記物体を前記天板から前記ラックに移載する場合、前記ラック側とは反対側に配置された前記センサから順番に検出結果を確認し、
前記物体の底面には、前記物体が移動する方向に沿って複数の溝が設けられ、
前記物体を前記ラックから前記天板に移載する場合、前記アーム部と係合する溝が天板側の溝からの順で変更され、かつ、前記溝に係合した前記アーム部が前記物体を前記ラックから引き出し、前記物体を前記天板から前記ラックに移載する場合、前記アーム部と係合する溝がラック側の溝からの順で変更され、かつ、前記溝に係合した前記アーム部が前記物体を前記ラックに押し入れ、
前記制御ステップは、前記センサの検出結果に基づいて、前記アーム部と係合する溝を変更する
搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送システム及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、カートと無人搬送機とを連結させ、搬送物を水平方向に移動させることを可能とする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-091770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような技術では、搬送物の落下などを抑制するため、より正確に搬送物を移動させることが望まれている。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、搬送物を落下させるリスクを低減できる搬送システム及び搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態における搬送システムは、搬送ロボットを用いて物体を搬送する搬送システムであって、
前記搬送ロボットは、
前記物体を載置する天板と、
前記物体を前記天板に載置し又は前記天板から取り除くように、前記物体を水平方向に移動させるアーム部と、
前記天板に配置され、前記物体が前記天板の所定位置に到達したことを検出するセンサと、
前記アーム部の動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記センサの検出結果に基づいて前記天板に前記物体を載置し、又は、前記センサの検出結果に基づいて前記天板から前記物体を取り除く。
【0007】
本実施の形態における搬送方法は、搬送ロボットを用いて物体を搬送する搬送方法であって、
前記搬送ロボットは、
前記物体を載置する天板と、
前記物体を前記天板に載置し又は前記天板から取り除くように、前記物体を水平方向に移動させるアーム部と、
前記天板に配置され、前記物体が前記天板の所定位置に到達したことを検出するセンサと、
を備え、
前記搬送方法は、
前記センサの検出結果に基づいて前記天板に前記物体を載置し、又は、前記センサの検出結果に基づいて前記天板から前記物体を取り除くステップ、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、搬送物を落下させるリスクを低減することができる搬送システム及び搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態にかかる搬送ロボットの構成を示す斜視図である。
図2】実施形態にかかる搬送ロボットの構成を示す側面図である。
図3】実施形態にかかる搬送ロボットの機能を示すブロック図である。
図4】搬送ロボットがアームを収縮させた状態を示す模式平面図である。
図5】搬送ロボットがアームを伸長させた状態を示す模式平面図である。
図6】搬送ロボットがアームを伸長させた後、突起部を上側に向けた状態を示す模式平面図である。
図7】ラックと、ラックに収容された搬送対象の物体とを示す模式図である。
図8】搬送ロボットが搬送する物体の斜視図である。
図9】実施形態にかかる搬送ロボットが物体を取り出す前の状態を示す模式側面図である。
図10】実施形態にかかる搬送ロボットが、物体とアーム部とを係合させた状態を示す模式側面図である。
図11】実施形態にかかる搬送ロボットが物体を天板の所定位置まで移動させた状態を示す模式側面図である。
図12】実施形態にかかる搬送ロボットが物体を天板に載置した状態を示す模式側面図である。
図13】搬送ロボットが搬送する物体の形状を例示する模式底面図である。
図14】実施形態にかかる搬送ロボットの天板に複数のセンサが配置されている状態を示す模式平面図である。
図15】実施形態にかかる搬送方法の流れを例示するフローチャートである。
図16】実施形態にかかる搬送ロボットが物体を引き出す前の状態を示す模式平面図である。
図17】実施形態にかかる搬送ロボットがセンサ150aの検出位置まで物体を移動させた状態を示す模式平面図である。
図18】実施形態にかかる搬送ロボットがセンサ150bの検出位置まで物体を移動させた状態を示す模式平面図である。
図19】実施形態にかかる搬送ロボットがセンサ150cの検出位置まで物体を移動させた状態を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0011】
以下、図面を参照して実施形態にかかる搬送システムについて説明する。実施形態にかかる搬送システムは、搬送ロボット10を有している。搬送システムは、搬送ロボット10が物体を搬送する搬送システムである。搬送システムは、搬送ロボットが搬送した物体を格納するラックを更に備えていてもよい。
【0012】
尚、搬送システムには、搬送ロボット10の走行を制御するサーバが備えられていてもよいが、搬送ロボット10が自ら搬送ルートを生成して自律移動を行ってもよい。サーバを含まない、搬送ロボット10内で処理が完結したシステムも、実施形態にかかる搬送システムには含まれ得る。
【0013】
図1は、実施形態にかかる搬送システムが有する搬送ロボット10の概略的構成を示す斜視図である。図2は、搬送ロボット10の概略的構成を示す側面図である。図3は、搬送ロボット10の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【0014】
搬送ロボット10は、移動可能な移動部110と、上下方向へ伸縮する伸縮部120と、載置された物体を支持するための天板130と、アーム部140と、制御部100と、センサ150と、無線通信部160とを備えている。制御部100は、移動部110、伸縮部120及びアーム部140の制御を含む、搬送ロボット10の制御を行う。
【0015】
移動部110は、ロボット本体111と、ロボット本体に回転可能に設けられた左右一対の駆動車輪112及び前後一対の従動車輪113、各駆動車輪112を回転駆動する一対のモータ114と、を有している。各モータ114は、減速機などを介して、各駆動車輪112を回転させる。各モータ114は、制御部100からの制御信号に応じて、各駆動車輪112を回転させることで、ロボット本体111の前進移動、後進移動、及び回転を可能にする。これにより、ロボット本体111は、任意の位置に移動することができる。尚、上記移動部110の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、移動部110の駆動車輪112及び従動車輪113の数は任意でよく、ロボット本体111を任意の位置に移動させることができれば任意の構成が適用可能である。
【0016】
伸縮部120は、上下方向へ伸縮する伸縮機構である。伸縮部120は、テレスコピック型の伸縮機構として構成されていてもよい。伸縮部120の上端部には、天板130が設けられており、伸縮部120の動作により、天板130が上昇又は下降する。伸縮部120は、モータなどの第1駆動装置121を備えており、第1駆動装置121の駆動により伸縮する。すなわち、第1駆動装置121の駆動により、天板130が上昇又は下降する。第1駆動装置121は、制御部100からの制御信号に応じて駆動する。尚、搬送ロボット10において、伸縮部120の代わりに、ロボット本体111の上側に設けられた天板130の高さを制御する公知の任意の機構が用いられてもよい。
【0017】
天板130は、伸縮部120の上端に設けられている。天板130は、モータなどの駆動装置により昇降する。天板130は、搬送ロボット10により搬送される物体を載せるために使用される。搬送のため、搬送ロボット10は、物体を天板130で支持したまま、物体とともに移動する。これにより、搬送ロボット10は、物体を搬送する。
【0018】
天板130は、物体を載置する。天板130は、例えば、上面(載置面)となる板材と下面となる板材とで構成されており、上面と下面との間に、アーム部140を収める空間を有していてもよい。天板130の形状は、例えば、平らな円盤状であるが、他の任意の形状であってもよい。天板130には、アーム部140の動線に沿って切り欠きが設けられていてもよい。
【0019】
天板130には、搬送対象である物体を天板130に載置し又は天板130から取り除くように、当該物体を水平方向に移動させるアーム部140が取り付けられている。アーム部140は、軸に沿って伸縮可能な軸部141と、突起部142とを有している。突起部142は、軸部141から軸部141とは異なる方向に延び、物体の底面に設けられた溝と係合する。突起部142は、軸部141の先端で軸部141と垂直方向に延びていてもよい。すなわち、アーム部140は、L字形状を有していてもよい。
【0020】
また、アーム部140は、制御部100からの制御信号に応じて、アーム部140の水平方向(すなわち、軸部141に沿った方向、さらに換言するとアームの長手方向)の伸縮を行う第2駆動装置143が設けられている。第2駆動装置143は、軸部141を回転軸としてアーム部140を回転させる機能を更に有していてもよい。第2駆動装置143は、例えば、モータ及びリニアガイドを含むが、第2駆動装置143として、これらの動作を行うための公知の任意の機構が用いられてもよい。アーム部140の伸縮機構は、ガイドレール機構には限られない。
【0021】
ここで、アーム部140の移動について図4~6に示す。図4は、アーム部140が収縮した状態を示す模式平面図である。図5は、アーム部140が伸長した状態を示す模式平面図である。図6は、アーム部140を伸長させた後、アーム部140を回転させて突起部142を上向きにした状態を示す模式平面図である。
【0022】
このように、アーム部140は、水平方向に伸縮可能である。また、上述の通り、アーム部140は、軸部141を回転軸として、突起部142を回転可能であってもよい。尚、搬送ロボット10は、アーム部140の突起部142の回転角度の異常を検出する機能を更に有していてもよい。
【0023】
図1~4に戻って、天板130にはセンサ150が配置されている。センサ150の数は、複数であってもよい。センサ150は、物体が天板130の所定位置に到達したことを検出する。センサ150は、例えば、光を用いて物体を検出してもよい。センサ150は、例えば、フォトリフレクタであり、物体によって反射された光を受光することにより物体を検出してもよい。また、センサ150は、物体の底面に取り付けられたRFID(Radio Frequency Identifier)を読み取ることによって、物体を検出してもよい。搬送ロボット10は、センサ150の検出結果に基づいて、センサ150が配置された位置まで物体が移動したことを確認できる。
【0024】
無線通信部160は、必要に応じてサーバ又は他のロボットなどと通信するために、無線通信する回路であり、例えば、無線送受信回路及びアンテナを含む。尚、搬送ロボット10が他の機器と通信を行わない場合には、無線通信部160が省略されてもよい。
【0025】
制御部100は、搬送ロボット10を制御する装置であり、プロセッサ1001、メモリ1002、及びインタフェース(IF)1003を備える。プロセッサ1001、メモリ1002、及びインタフェース1003は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0026】
インタフェース1003は、移動部110、伸縮部120、アーム部140、無線通信部160などの他の装置と通信するために使用される入出力回路である。
【0027】
メモリ1002は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリは、プロセッサにより実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)、及び搬送ロボットの各種処理に用いるデータなどを格納するために使用される。
【0028】
プロセッサ1001は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。プロセッサ1001は、複数のプロセッサを含んでもよい。このように、制御部100は、コンピュータとして機能する装置である。
【0029】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0030】
次に、制御部100の処理について説明する。制御部100は、移動部110の各モータ114に制御信号を送信することで、各駆動車輪112の回転を制御し、ロボット本体111を任意の位置に移動させることができる。
【0031】
尚、制御部100は、駆動車輪112に設けられた回転センサにより検出された駆動車輪112の回転情報などに基づいて、フィードバック制御、ロバスト制御等の周知の制御を行うことで、搬送ロボット10の移動を制御してもよい。また、制御部100は、搬送ロボット10に設けられたカメラや超音波センサなどの距離センサにより検出された距離情報、移動環境の地図情報に基づいて、移動部110を制御することで、搬送ロボット10を自律的に移動させてもよい。
【0032】
また、制御部100は、伸縮部120の第1駆動装置121に対して制御信号を送信することで、天板130の高さを制御することができる。
【0033】
制御部100は、第2駆動装置143に対して制御信号を送信することで、アーム部140の水平方向の伸縮を制御することができる。ここで、制御部100は、センサ150の検出結果に基づいて天板130に物体を載置し、又は、センサ150の検出結果に基づいて天板130から物体を取り除く。制御部100は、センサ150の検出結果を確認しながら、物体を移動させてもよい。尚、センサ150の検出結果に基づき物体を移動させる方法の詳細については後述する。
【0034】
ここで、搬送ロボット10が搬送対象とする物体について具体的に説明する。図7は、ラック80と、ラック80に収容された搬送対象の物体90とを示す模式図である。尚、図7では、ラック80の正面に位置する搬送ロボット10も図示されている。また、図8は、物体90の正面、底面、及び側面を示す斜視図である。図7に示す様に、搬送ロボット10は、ラック80の物体90を天板130に移載する際、又は、天板130に置かれた物体90をラック80に移載する際、ラック80に近接した位置に移動する。より詳細には、例えば、搬送ロボット10は、ラック80の正面、かつ、ラック80の対のレール81a、81bの中間地点に移動する。
【0035】
ラック80は、物体90の両サイドを支持する対のレール81a、81bを有する。対のレール81a、81bは、同じ高さに平行に設けられている。ラック80に収納された物体90は、物体90の一方のサイドがレール81aにより支持され、他方のサイドがレール81bに支持される。レール81a、81bは、いずれも、ラック80の正面から背面にわたって設けられている。
【0036】
物体90の両サイドには、例えば、図8に示すようにつば91が設けられており、つば91がレール81a、81bに下から支持されることにより、ラック80において物体90が支持される。尚、つば91は、物体90の両サイドに正面から背面にわたって設けられている。図8に示した例では、つば91は、物体90のサイドの上部に設けられているが、例えば下部に設けられてもよく、必ずしも上部でなくてもよい。また、物体90の底面をレール81a、81bが支持する場合には、必ずしもつば91が物体90に設けられていなくてもよい。
【0037】
このように、ラック80は、物体90の両サイドをレール81a、81bにより下から支持する。そして、物体90は、レール81a、81bに沿って、ラック80内で、前後方向に移動可能である。すなわち、物体90をラック80の背面に向かって押し込むことにより、物体90はラック80に収納される。逆に、物体90をラック80の正面に向かって引き出すことにより、物体90をラック80から取り出すことができる。
【0038】
図8に示すように、物体90の底面には、アーム部140の突起部142を引っ掛けるための溝92が所定の位置に形成されている。溝は、例えば、物体90の引き出し方向を軸方向とする半円筒形状であってもよい。尚、物体90は、例えば、直方体形状の容器であるが、これに限らず任意の物体でよい。容器としての物体90の中には、他の任意の物体を収納することができる。
【0039】
次に、図9から図11を用いて、制御部100が、物体90を天板130に載置する動作について説明する。図9から図11は、ラック80に収納された物体90を天板130に移載する動作を示す模式側面図である。
【0040】
図9に示すように、まず、制御部100は、アーム部140を天板130から所定の長さ分だけ伸長させて、物体90の底面の溝92へとアーム部140の突起部142を移動する。図9は、搬送ロボット10が物体90を取り出す前の状態を示す模式側面図である。尚、搬送ロボット10は、物体90の溝92の位置を検知するカメラなどのセンサを備え、センサによる検出結果に基づいて、アーム部140を伸長させる長さを決定してもよい。
【0041】
このとき、突起部142の突起の方向は、水平方向であってもよい。次に、図10に示すように、制御部100は、アーム部140の軸部141を回転軸として突起部142を回転させる。具体的には、制御部100は、突起部142が上側を向くように突起部142を回転させる。図10は、搬送ロボット10が物体90とアーム部140とを係合させた状態を示す模式側面図である。これにより、突起部142が、物体90の溝92に入る。尚、制御部100は、突起部142が上を向いた状態でアーム部140を伸長させた後、天板130を上昇させることにより、突起部142を溝92に入れてもよい。
【0042】
そして、制御部100は、溝92に引っかかったアーム部140を収縮させる。これにより、物体90が、ラック80から引き出される。
【0043】
ここで、搬送ロボット10は、まず、図11に示すように、物体90をセンサ150の検出位置まで移動させる。図11は、搬送ロボット10が物体90を天板130の所定位置まで移動させた状態を示す模式側面図である。そして、搬送ロボット10の制御部100は、センサ150の検出結果を確認する。センサ150が、物体90を検出しなかった場合、物体90の引き出しを適切に行えていないと考えられる。このような場合、物体90の引き出し動作を継続すると、搬送ロボット10は、物体90を落下させてしまうおそれがある。例えば、溝92とアーム部140が十分に係合していない場合、搬送ロボット10は、センサ150の検出位置まで物体90を移動させられない可能性がある。尚、溝92とアーム部140が係合しない原因として、溝92が破損しているケースや、溝92に異物が入ってケースが考えられる。
【0044】
センサ150の検出結果を確認した後、搬送ロボット10は、図12に示すように、物体90をさらに移動させる。図12は、搬送ロボット10が物体90を天板130に載置した状態を示す模式側面図である。一方、センサ150によって物体90が検出されなかった場合、搬送ロボット10は、リトライ動作を行う。例えば、搬送ロボット10は、センサ等を用いて溝92の位置を再度検知し、アーム部140を伸縮させて物体90の引き出しを行う。尚、搬送ロボット10は、リトライ動作の代わりに、引き出し処理を終了したり、アラーム音を出力したりしてもよい。
【0045】
ところで、物体90の溝92の数は、図8に示したように、一つであってもよいが、図13に示すように複数であってもよい。図13は、物体90の形状を例示する模式底面図である。具体的には、垂直な方向、すなわち物体90の移動方向に並んだ複数の溝92を有している。この場合、搬送ロボット10の制御部100は、ラック80に収納された物体90を天板130に移動させる場合、天板130側の溝92から順にアーム部140の突起部142を引っ掛けることにより、ラック80からの引き出し動作を繰り返してもよい。同様に、搬送ロボット10の制御部100は、天板130上の物体90をラック80に移動させる場合、ラック80側の溝から順にアーム部140の突起部142を引っ掛けることにより、ラック80への押し入れ動作を繰り返してもよい。このような構成によれば、アーム部140の長さを短くすることができる。
【0046】
また、天板130には、複数のセンサ150が配置されていてもよい。図14は、搬送ロボット10の天板130に複数のセンサ150a、150b、及び150cが配置されている状態を示す模式平面図である。複数のセンサ150a、150b、150cは、物体90を移動させる方向に沿って配置されている。センサ150の数は、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。隣接するセンサ150の間の距離は、物体90の隣接する溝92の間の距離と一致していてもよい。制御部100は、複数のセンサ150a、150b及び150cそれぞれの検出結果を確認しながら天板130に物体90を載置する。また、制御部100は、複数のセンサ150a、150b及び150cそれぞれの検出結果を確認しながら天板130から物体を取り除く。
【0047】
図15は、実施形態にかかる搬送方法の流れを例示するフローチャートである。図15は、ラック80から、複数のセンサ150a、150b及び150cが配置された天板130へ物体90を移載する動作の流れを示している。尚、搬送ロボット10は、ラック80の正面の所定位置に予め移動しているものとする。図16は、搬送ロボット10が、物体90が収容されたラック80の正面に移動した後の状態を示している。つまり、図16は、搬送ロボット10が物体90を引き出す前の状態を示す模式平面図である。
【0048】
まず、搬送ロボット10の制御部100は、アーム部140を伸縮させて、物体90をセンサ150aの検出位置まで移動させる(ステップS101)。図17は、センサ150aの検出位置まで物体90を移動させた状態を示す模式平面図である。
【0049】
次に、制御部100は、センサ150aの検出結果を確認し、センサ150aの検出結果の有無を判定する(ステップS102)。センサ150aによって物体90が検出されていない場合(ステップS102のNo)、制御部100は、ステップS101の処理に戻る。尚、制御部100は、ステップS101の処理に戻る代わりに、引き出し処理を終了したり、アラーム音を出力したりしてもよい。
【0050】
センサ150aによって物体90が検出された場合(ステップS102のYes)、制御部100は、センサ150aに隣接するセンサ150bの検出位置まで物体90を更に移動させる(ステップS103)。図18は、センサ150bの検出範囲まで物体90を移動させた状態を示す模式平面図である。
【0051】
ここで、搬送ロボット10は、アーム部140と係合させる溝92を、ステップS101から変更してもよい。また、搬送ロボット10は、ステップS101と同一の溝を使用し、アーム部140を更に収縮させてもよい。次に、制御部100は、センサ150bの検出結果を確認し、検出結果の有無を判定する(ステップS104)。
【0052】
センサ150bによって物体90が検出されなかった場合(ステップS104のNo)、制御部100は、ステップS102と同様に、ステップS103の処理に戻る。
【0053】
センサ150bによって物体90が検出された場合(ステップS104のYes)、制御部100は、ステップS103と同様に、センサ150cの検出位置まで物体90を移動させる(ステップS105)。図19は、センサ150cの検出位置まで物体90を移動させた状態を示す模式平面図である。次に、制御部100は、センサ150cの検出結果を確認し、検出結果の有無を判定する(ステップS106)。
【0054】
センサ150cによって物体90が検出されなかった場合(ステップS106のNo)、制御部100は、ステップS102及びステップS104と同様に、ステップS105の処理に戻る。一方、センサ150cによって物体90が検出された場合(ステップS106のYes)、制御部100は、物体90の引き出し処理を終了する。
【0055】
以上の動作により、物体90が、ラック80から天板130へ載置される。搬送ロボット10は、ラック80側に配置されたセンサ150aから順番に、複数のセンサ150a、150b及び150cの検出結果を確認している。
【0056】
一方、物体90を天板130からラック80に移載する場合、制御部100は、まず、図18に示されるように、センサ150cによって検出されない位置まで物体90を移動させる。そして、センサ150cによって物体90が検出されなくなった場合、制御部100は、図17に示されるように、センサ150bによって検出されない位置まで物体90を移動させる。そして、センサ150bによって物体90が検出されなくなった場合、制御部100は、図16に示されるように、物体90をラック80に押し入れる。最後に、制御部100は、センサ150aで物体90が検出されなくなったことを確認する。制御部100は、ラック80と反対側に配置されたセンサ150cから順番に、複数のセンサ150a、150b及び150cの検出結果を確認している。
【0057】
最後に、実施形態にかかる搬送システムが奏する効果について詳細に説明する。突起部を有するアーム部を用いて、溝が形成された物体をラックに出し入れすることが可能である。ここで、溝が破損している場合や、溝に異物が入っている場合には、物体の出し入れを正常に完了することができないおそれがある。例えば、溝に突起部が入っていない状態で物体の引き出しを行うと、物体を落下させてしまうおそれがあった。
【0058】
実施形態にかかる搬送ロボットは、天板に配置されたセンサの検出結果に基づいて物体を移動させることにより、物体を落下させるリスクを低減することができる。また、複数のセンサを物体の移動方向に沿って配置した場合、実施形態にかかる搬送システムは、物体の移動をより正確に確認し、物体を落下させるリスクを更に低減することができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 搬送ロボット
100 制御部
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 インタフェース
110 移動部
111 ロボット本体
112 駆動車輪
113 従動車輪
114 モータ
120 伸縮部
121 第1駆動装置
130 天板
140 アーム部
141 軸部
142 突起部
143 第2駆動装置
150、150a、150b、150c センサ
160 無線通信部
80 ラック
81a、81b レール
90 物体
92 溝
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