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特許7552422情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240910BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G01N21/892 A
G03G21/00 386
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021025086
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022127128
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】源田 大輔
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-177525(JP,A)
【文献】特開2005-205722(JP,A)
【文献】特開2015-106076(JP,A)
【文献】特開2020-098178(JP,A)
【文献】特開2006-072568(JP,A)
【文献】特開2015-165296(JP,A)
【文献】特開2014-016437(JP,A)
【文献】特開2017-227621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G01N 21/892
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録媒体に画像を形成する画像形成装置について保守の実施を促すためのアラートを生成するための情報処理装置であって、
前記記録媒体から読み取った検査画像に発生した欠陥の欠陥レベルを算出し、算出した欠陥レベルを欠陥レベル履歴として時系列で保存する欠陥情報作成/保持部と、
前記画像形成装置に対する保守の実施を検知し、前記保守の実施を検知した際の欠陥レベルを前記欠陥情報作成/保持部に保存した欠陥レベル履歴から抽出し、抽出した欠陥レベルに基づいて欠陥レベル閾値を算出して保持する保守情報作成/保持部と、
前記欠陥情報作成/保持部で算出された前記欠陥レベルと、前記保守情報作成/保持部に保持された欠陥レベル閾値とを比較し、前記欠陥レベルが前記欠陥レベル閾値よりも画像品質が劣る範囲にある場合に前記アラートを生成するアラート生成部と、
前記検査画像の欠陥を検出する欠陥検出部と、
前記欠陥情報作成/保持部で作成した欠陥情報を示す検査レポートを表示する表示部と、
前記表示部の表示を制御する表示制御部とを備え、
前記欠陥情報作成/保持部は、前記欠陥検出部が検出した各欠陥の特徴量を抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて前記各欠陥の欠陥レベルを算出し、算出した欠陥レベルを前記特徴量毎に欠陥レベル履歴として時系列で保存し、
前記保守情報作成/保持部は、前記画像形成装置を構成する各部品に対する保守の実施を個別に検知し、前記各特徴量を有する欠陥と、前記各部品のうち前記各欠陥の発生を引き起こす要因となる部品と、前記部品毎に算出した前記欠陥レベル閾値とを関連付けて保持し、
前記アラート生成部は、前記欠陥毎に前記アラートを生成し、
前記表示制御部は、前記アラート生成部において前記欠陥レベルが前記欠陥レベル閾値よりも画像品質が劣る範囲にあると判断した欠陥を、他の欠陥と異なる表示として前記表示部に表示させる
情報処理装置。
【請求項2】
前記保守情報作成/保持部は、前記欠陥の欠陥レベルの履歴において保守を実施していな場合の欠陥レベルよりも画像品質が劣る範囲に前記欠陥レベル閾値を設定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記保守情報作成/保持部は、前記保守の実施を検知する毎に、前記欠陥レベル閾値を更新する
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記アラート生成部において前記欠陥レベルが前記欠陥レベル閾値よりも画像品質が劣る範囲にあると判断した欠陥に関連付けて前記保守情報作成/保持部に保持された部品に関する情報を、前記表示部に表示させる
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記保守情報作成/保持部は、前記各部品と、前記画像形成装置のユーザーによる前記各部品の保守の可否とを関連付けて保持し、
前記表示制御部は、前記アラート生成部において前記欠陥レベルが前記欠陥レベル閾値よりも画像品質が劣る範囲にあると判断した欠陥を、前記ユーザーによる各部品の保守の可否によって異なる表示として前記表示部に表示させる
請求項1~4のうちの何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記保守情報作成/保持部は、前記各部品と、前記各部品に対する保守の実施を最後に検知してからの前記画像形成装置による画像形成枚数の閾値とを関連付けて保持し、
前記アラート生成部は、前記各部品に対して最後に保守を実施してからの画像形成枚数が、前記保守情報作成/保持部に保持された画像形成枚数の閾値を超えた場合に、前記アラートを生成する
請求項1~5のうちの何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記アラート生成部によるアラートの生成のオン/オフを設定するための操作部を備えた
請求項1~のうちの何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記保守情報作成/保持部は、画像の種類別に前記欠陥レベル閾値を保持する
請求項1~のうちの何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、前記記録媒体から前記検査画像を読み取る画像読取装置を含む
請求項1~のうちの何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
シート状の記録媒体に画像を形成する画像形成装置について保守の実施を促すためのアラートを生成するための情報処理プログラムであって、
欠陥検出部に対し、前記記録媒体から読み取った検査画像の欠陥を検出させ、
欠陥情報作成/保持部に対し、前記欠陥検出部が検出した各欠陥の特徴量を抽出させ、抽出した前記特徴量に基づいて前記各欠陥の欠陥レベルを算出させ、算出した欠陥レベルを前記特徴量毎に欠陥レベル履歴として時系列で保存させ、
保守情報作成/保持部に対し、前記画像形成装置を構成する各部品に対する保守の実施を個別に検知させ、前記保守の実施を検知した際の欠陥レベルを前記欠陥情報作成/保持部に保存した欠陥レベル履歴から抽出させ、抽出させた欠陥レベルに基づいて欠陥レベル閾値を算出させ、前記各特徴量を有する欠陥と、前記各部品のうち前記各欠陥の発生を引き起こす要因となる部品と、前記部品毎に算出した前記欠陥レベル閾値とを関連付けて保持させ、
アラート生成部に対し、前記欠陥情報作成/保持部で算出された前記欠陥レベルと、前記保守情報作成/保持部に保持された欠陥レベル閾値とを比較させ、前記欠陥レベルが前記欠陥レベル閾値よりも画像品質が劣る範囲にある場合に前記アラートを生成させ、
表示制御部に対し、前記アラート生成部において前記欠陥レベルが前記欠陥レベル閾値よりも画像品質が劣る範囲にあると判断した欠陥を、他の欠陥と異なる表示として表示部に表示させる
情報処理プログラム。
【請求項11】
シート状の記録媒体に画像を形成する画像形成装置について保守の実施を促すためのアラートを生成するための情報処理方法であって、
欠陥検出部が、前記記録媒体から読み取った検査画像の欠陥を検出し、
欠陥情報作成/保持部が、前記欠陥検出部が検出した各欠陥の特徴量を抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて前記各欠陥の欠陥レベルを算出し、算出した欠陥レベルを前記特徴量毎に欠陥レベル履歴として時系列で保存し、
保守情報作成/保持部が、前記画像形成装置を構成する各部品に対する保守の実施を個別に検知し、前記保守の実施を検知した際の欠陥レベルを前記欠陥情報作成/保持部に保存した欠陥レベル履歴から抽出し、抽出した欠陥レベルに基づいて欠陥レベル閾値を算出し、前記各特徴量を有する欠陥と、前記各部品のうち前記各欠陥の発生を引き起こす要因となる部品と、前記部品毎に算出した前記欠陥レベル閾値とを関連付けて保持し、
アラート生成部が、前記欠陥情報作成/保持部で算出された前記欠陥レベルと、前記保守情報作成/保持部に保持された欠陥レベル閾値とを比較し、前記欠陥レベルが前記欠陥レベル閾値よりも画像品質が劣る範囲にある場合に前記アラートを生成し、
表示制御部が、前記アラート生成部において前記欠陥レベルが前記欠陥レベル閾値よりも画像品質が劣る範囲にあると判断した欠陥を、他の欠陥と異なる表示として表示部に表示させる
情報処理方法。
【請求項12】
請求項1~のうちの何れか1項に記載の情報処理装置と、
記録媒体に前記検査画像を形成するための画像形成装置と、
前記画像形成装置で画像を形成した前記記録媒体から前記検査画像を読み取る画像読取装置と、
前記情報処理装置の前記アラート生成部で生成したアラートを報知する端末装置とを備えた
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の記録媒体に画像を形成する画像形成装置の中には、画像形成装置のユーザーやサービスエンジニアに対して自動的に画像形成装置の構成を構成する部品の保守を要請する機能を備えたものがある。このような技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には「障害発生有りとする判定日を含む所定の期間ΔT4分、単位枚数当たりのトナー消費量データを抽出し、当該抽出した平均値が、保守判定指標生成部34で算出したしきい値以上であれば、監視対象の画像形成装置10が写真画像を中心として出力していると判断して、障害予測通知部40において、監視対象の画像形成装置10を管理するユーザーに障害発生を通知すると共に、サービスエンジニアによる保守を要請する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-49759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像の形成精度に対する要求の度合いは、ユーザー毎に異なり、ある画像形成装置のユーザーにとっては不具合(障害発生)が有ると判断された画像であっても、他の画像形成装置のユーザーにとっては不具合(障害発生)が無いと判断される場合もある。しかしながら、上述した構成では、監視対象となる全ての画像形成装置の障害発生を、同一のしきい値に基づいて判断している。このため、ある画像形成装置のユーザーは、保守を要請する頻度が過剰であると感じる一方、他の画像形成装置のユーザーは、保守を要請する頻度が不足であると感じる場合がある。
【0005】
そこで本発明は、各画像形成装置に適するタイミングで、画像形成装置の保守の実施を要請することが可能な情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明は、シート状の記録媒体に画像を形成する画像形成装置について保守の実施を促すためのアラートを生成するための情報処理装置であって、前記記録媒体から読み取った検査画像に発生した欠陥の欠陥レベルを算出し、算出した欠陥レベルを欠陥レベル履歴として時系列で保存する欠陥情報作成/保持部と、前記画像形成装置に対する保守の実施を検知し、前記保守の実施を検知した際の欠陥レベルを前記欠陥情報作成/保持部に保存した欠陥レベル履歴から抽出し、抽出した欠陥レベルに基づいて欠陥レベル閾値を算出して保持する保守情報作成/保持部と、前記欠陥情報作成/保持部で算出された前記欠陥レベルと、前記保守情報作成/保持部に保持された欠陥レベル閾値とを比較し、前記欠陥レベルが前記欠陥レベル閾値よりも画像品質が劣る範囲にある場合に前記アラートを生成するアラート生成部とを備えた情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各画像形成装置に適するタイミングで、画像形成装置の保守の実施を要請することが可能な情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る情報処理装置を有する画像形成システムの構成を示す概略図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置を有する画像形成システムのブロック図である。
図3】実施形態に係る情報処理プログラムに基づく検査画像の表示を示す図(その1)である。
図4】実施形態に係る情報処理プログラムに基づく検査画像の表示を示す図(その2)である。
図5】本発明の情報処理プログラムに基づいて作成される欠陥情報[Tb1]の一例を示す図である。
図6】本発明の情報処理プログラムに基づいて保存される欠陥レベルの履歴を示す図(その1)である。
図7】本発明の情報処理プログラムに基づいて保存される欠陥レベルの履歴を示す図(その2)である。
図8】実施形態に係る情報処理装置が有する保守情報[Tb2]を示す図である。
図9】本発明の情報処理プログラムに基づいて実施される情報処理方法を示すフローチャート(その1)である。
図10】本発明の情報処理プログラムに基づいて実施される情報処理方法を示すフローチャート(その2)である。
図11】本発明の情報処理プログラムに基づいて作成される表示画像を示す図(その1)である。
図12】本発明の情報処理プログラムに基づいて作成される表示画像を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および画像形成システムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
≪画像形成システム≫
図1は、実施形態に係る情報処理装置1を有する画像形成システムの構成を示す概略図である。この図に示す画像形成システムは、例えば情報処理装置1と、情報処理装置1と通信可能な画像形成装置2およびサービス端末装置3とを有する。以下、画像形成装置2、情報処理装置1、サービス端末装置3の順に構成を説明する。
【0011】
<画像形成装置2>
画像形成装置2は、本体装置100、リレーユニット200、画像読取装置300、パージユニット400、およびフィニッシャー500を備えたものである。
【0012】
[本体装置100]
本体装置100は、シート状の記録媒体Sに画像を形成する装置である。このような本体装置100は、ここでは一例としてトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であることするが、これに限定されることはなく、例えばインクジェット方式のような他の方式の装置であってもよい。
【0013】
このような本体装置100は、操作部101、表示部102、および制御部103を備えている。また電子写真方式の本体装置100であれば、画像形成ユニット104、転写ベルト105、定着部106、および媒体供給部107を備え、さらにこれらの駆動を制御するための駆動制御部100aを有する。以下、本体装置100の各構成部品を説明する。
【0014】
-操作部101、表示部102、および制御部103-
操作部101、表示部102、および制御部103は、この画像形成装置2の制御装置2aを構成するものとなっている。このうち操作部101は、例えばこの画像形成装置2を用いて実施されるジョブの設定を入力する部分である。この操作部101は、表示部102と一体に設けたタッチパネルであってもよく、表示部102と共に操作パネルを構成する。
【0015】
また表示部102は、操作部101での操作の内容を表示する。またこの表示部102は、画像形成装置2で形成された画像や、その他の画像を表示する。
【0016】
制御部103は、操作部101での操作、および本体装置100に接続された情報処理装置1からの受信信号に基づいて、本体装置100の各部を制御し、さらにリレーユニット200、画像読取装置300、パージユニット400、およびフィニッシャー500の各部の動作を制御する。このような制御部103は、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアである。計算機は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備える。
【0017】
-画像形成ユニット104-
画像形成ユニット104は、各色のトナー像を形成するためのものであって、各色に対応して設けられている。各画像形成ユニット104は、それぞれが感光体ドラム104a、および露光部104bを備え、またここでの図示を省略した帯電部、現像部、およびその他の部品を備えている。
【0018】
このうち感光体ドラム104aは、トナー像が形成される像担持体の1つであって、駆動モーターによって回転するドラム状であり、ドラム状の側周表面を像担持面としている。このような感光体ドラム104aを有する各画像形成ユニット104は、感光体ドラム104aの軸方向を平行にして配置される。
【0019】
このような感光体ドラム104aの周囲に、露光部104b、およびここでの図示を省略した帯電部および現像部、クリーニングユニットが、感光体ドラム104aの軸方向にわったって配置されている。
【0020】
露光部104bは、帯電部によって帯電させた感光体ドラム104aの像担持面に、露光走査によって静電潜像を形成する。そしてここでの図示を省略した現像部は、静電潜像が形成された感光体ドラム104aの像担持面に帯電させたトナーを供給することにより、感光体ドラム104aの像担持面に各色のトナー画像を形成する。
【0021】
-転写ベルト105-
転写ベルト105は、画像形成ユニット104と並列して配置されている。この転写ベルト105は、回転する無端ベルトとして構成され、その外周面を像担持面としている。このような転写ベルト105は、画像形成ユニット104の各感光体ドラム104aの回転方向とは逆方向に回転し、像担持面31aが感光体ドラム104aの全てに順次接触する状態で配置されている。これにより感光体ドラム104aのトナー画像は、転写ベルト105の像担持面に転写される。
【0022】
また、転写ベルト105は、次に説明する媒体供給部107から搬送された記録媒体Sに対して、像担持面を接触させる状態で配置されている。これにより、転写ベルト105の像担持面のトナー画像が、記録媒体Sに転写される。
【0023】
-定着部106-
定着部106は、次に説明する媒体供給部107から搬送された記録媒体Sの搬送方向に対して、転写ベルト105の下流側に配置されている。この定着部106は、転写ベルト105からトナー画像が転写された記録媒体Sを加熱した状態でニップして搬送し、記録媒体Sに転写されたトナー像を記録媒体Sに定着させる。また、トナー像を定着させた記録媒体Sをリレーユニット200に搬送する。このような定着部106は、記録媒体Sをニップするための加熱ローラーおよび加圧ローラーなどの各部品を備えている。
【0024】
-媒体供給部107-
媒体供給部107は、大量の記録媒体Sを収容することが可能であり、収容した記録媒体Sを転写ベルト105に対して順次に供給する。
【0025】
[リレーユニット200]
リレーユニット200は、例えば本体装置100の制御部103からの指示にしたがって、本体装置100で画像形成された記録媒体Sの搬送速度を変換し、次の画像読取装置300に記録媒体Sを送り込む装置である。このリレーユニット200は、記録媒体Sの搬送速度を変換するための駆動制御部200aを有する。
【0026】
[画像読取装置300]
画像読取装置300は、本体装置100の制御部103からの指示にしたがって、本体装置100において記録媒体Sの主面に形成された画像を読み取り、読み取ることで得た検査画像の画像データを情報処理装置1に送信する。情報処理装置1への検査画像の送信は、制御装置2aを介して実施してもよい。
【0027】
このような画像読取装置300は、記録媒体Sの主面を撮像するための機械要素部分であり、記録媒体Sの搬送方向[FD]に対して垂直な方向に撮像素子を配列したスキャナ301と、スキャナ301での画像読み取りの駆動を制御する駆動制御部300aとを有する。なお、駆動制御部300aは、読み取った画像の良否判定を実施する構成であってもよい。
【0028】
[パージユニット400]
パージユニット400は、画像読取装置300の駆動制御部300aでの判定結果、または次に説明する情報処理装置1からの指示に基づいて、画像読取装置300を通過した記録媒体Sの搬送経路を調整する。すなわちパージユニット400は、画像読取装置300の駆動制御部300aまたは情報処理装置1において、検査画像に欠陥が有ると判断された記録媒体Sの搬送経路を変更し、廃棄用トレー401に排出する。また、その他の記録媒体Sは、次のフィニッシャー500に搬送する。このようなパージユニット400は、搬送経路を変更の駆動を制御する駆動制御部400aを有する。
【0029】
[フィニッシャー500]
フィニッシャー500は、本体装置100の制御部103からの指示にしたがって、パージユニット400から搬送された記録媒体Sに対して、必要に応じた仕上げ処理を施してトレー501に排出する。仕上げ処理は、例えばスジ付け、スリット形成、ミシン目形成などである。このようなフィニッシャー500は、仕上げ処理のための駆動を制御する駆動制御部500aを備える。
【0030】
<情報処理装置1>
図2は、実施形態に係る情報処理装置1を有する画像形成システムのブロック図であって、特に情報処理装置1の構成を説明するためのブロック図となっている。以下、先の図1および図2と、必要に応じた他の図に基づいて、情報処理装置1の構成を説明する。
【0031】
情報処理装置1は、画像形成装置2で形成した画像に関する検査画像[Dp]に関する画像データの処理を行ない、その結果に基づいて画像形成装置2の保守の実施を促すためのアラートの発生を制御する。このような情報処理装置1は、例えば図示したように画像形成装置2と接続可能なものであるか、または画像形成装置2と一体に形成されたものであってもよく、その機能の少なくとも一部がクラウド上のサーバーに設定された機能であってもよい。
【0032】
情報処理装置1は、相互に接続された操作部10、表示部20、および制御部30を備える。このうち操作部10は、この情報処理装置1で実施される情報処理の設定を入力する部分であって、以降に説明するアラート生成部36によるアラートの生成のオン/オフを設定する。
【0033】
この操作部10は、次に説明する表示部20と一体に設けたタッチパネルであってもよく、表示部20とは別に設けた操作パネルであってもよい。
【0034】
また表示部20は、操作部10での操作の内容を表示する。またこの表示部20は、以降に説明する制御部30からの指示に基づいて、検査画像[Dp]、検査レポート、およびアラートを表示する。なお、このような操作部10および表示部20は、制御部30を備えた情報処理装置1との間でデータの受け渡しのための通信が可能なパーソナルコンピューターや他の外部装置のものであってもよい。
【0035】
また制御部30は、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアであって、ここでの図示を省略したCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)やHDD(hard disk drive)のような不揮発性の記憶部を備える。
【0036】
このような制御部30は、各種の画像および各種のプログラムを不揮発性の記憶部に保存し、保存されたプログラムに基づく処理を実行する。不揮発性の記憶部が保持する各種のプログラムは、本実施形態において特徴的な画像に生じた欠陥を修復するための保守の実施を促すためのアラートの生成プログラムを含む。この情報処理プログラムの詳細は、以降の情報処理方法において説明する。
【0037】
不揮発性の記憶部が保持する各種のプログラムを実行する各機能部は、欠陥検出部31、欠陥情報作成/保持部32、保守情報作成/保持部33、表示制御部34、保守情報検索部35、およびアラート生成部36である。これらの各機能部の少なくとも一部、例えば保守情報作成/保持部33、保守情報検索部35、およびアラート生成部36などは、クラウド上のサーバーに設定された機能部であってもよい。以下に、これらの各機能部を説明する。
【0038】
[欠陥検出部31]
欠陥検出部31は、記録媒体Sから読み取った検査画像[Dp]の欠陥を検出する。検査画像[Dp]は、画像形成装置2の本体装置100において記録媒体Sに形成した画像を、画像読取装置300で読み取ったデータである。この欠陥検出部31は、画像形成装置2において形成された画像を画像読取装置300で読み取ることによって得られた検査画像[Dp]と、欠陥のない基準画像のとの比較によって、検査画像[Dp]に発生した欠陥を検出する。
【0039】
[欠陥情報作成/保持部32]
欠陥情報作成/保持部32は、欠陥検出部31で検出した全ての結果についての欠陥情報を作成し、作成した欠陥情報を保持する。
【0040】
図3は、実施形態に係る情報処理プログラムに基づく検査画像[Dp]の表示を示す図(その1)である。また図4は、実施形態に係る情報処理プログラムに基づく検査画像[Dp]の表示を示す図(その2)である。検査画像[Dp]は、画像領域1001aと、画像領域1001aよりも一回り大きい撮像領域1001bを有する。画像領域1001aは、本体装置100(図1参照)において画像が形成される領域である。ここでは一例として、画像領域1001aに、単色の下地とアルファベットとが形成されている場合を示した。
【0041】
これらの図に示すように、検査画像[Dp]には、画像形成装置2を構成する各装置の部品の劣化や汚れに起因して、様々な欠陥[d1]~[d6]が生じる場合がある。これらの欠陥[d1]~「d6」は、スジ、帯、あるいはムラとも言われる方向成分を有する欠陥や、ホタルと称されるトナー濃度が薄い点状の欠陥や、斑点と称される不要部にトナーが印刷される欠陥のような点状の欠陥などである。方向成分を有する欠陥は、検査画像[Dp]上の一方向に連続するアドレスにおいて連続的に発生している欠陥である。検査画像[Dp]上の一方向とは、記録媒体Sの搬送方向[FD]であるか、またはこれに対する垂直方向[CD]の何れかである。
【0042】
これらの欠陥[d1]~「d6」は、画像形成装置2を構成する各装置の部品ごとに、特徴的な欠陥の特徴量を有する。例えば方向成分を有する欠陥[d1],[d2],[d4],[d6]であれば、欠陥の特徴量は、欠陥の位置、欠陥の延設方向、欠陥の延設方向の長さ、欠陥の延設方向と垂直な方向の幅、欠陥の強度、および発生サイクルを含む。また点状の欠陥[d3],[d5]の場合、欠陥の特徴量は、欠陥の位置、欠陥のサイズ、欠陥の強度、および発生サイクルを含む。
【0043】
なお、欠陥の強度とは、基準画像に対する検査画像の差分の大きさであることとする。また特徴量のうち、欠陥の位置は、例えば、欠陥[d1],[d6]のように、画像領域1001aの外の撮像領域1001bに生じているものもあり、撮像領域1001bも欠陥の位置範囲に含む。
【0044】
また図4の欠陥[d2]にみられるように、欠陥の発生サイクルは、複数の検査画像[Dp]にわたって検知される場合が多い。このため、欠陥情報作成/保持部32は、複数の検査画像[Dp]にわたって、欠陥[d1]~[d6]の特徴量を抽出する。
【0045】
また欠陥情報作成/保持部32は、各欠陥に対して抽出した特徴量を過去の情報に基づいて分類して識別するための欠陥識別情報を有することとする。欠陥検出部31は、欠陥識別情報を参照し、抽出した特徴量に識別情報(例えば識別番号)を付与する。
【0046】
さらに欠陥情報作成/保持部32は、各欠陥の発生位置の目印となるマークを、各欠陥に対して付与する。欠陥情報作成/保持部32は、図3および図4に示すように、検査画像[Dp]について検出された各欠陥[d1]~[d6]に対して、その発生位置の目印となるマーク[M1]~[M6]を付与する。付与するマーク[M1]~[M6]は、例えば点状の欠陥[d3],[d5]であれば、これらを個別に囲むマーク[M3],[M5]を付与する。また、方向成分を有する欠陥[d1],[d2],[d4],[d6]であれば、欠陥の端部に方向成分を有する各マーク[M1],[M2],[M4],[M6]を付与する。
【0047】
また欠陥情報作成/保持部32は、検査画像[Dp]に発生した各欠陥に関する欠陥情報を作成する。図5は、本発明の情報処理プログラムに基づいて作成される欠陥情報[Tb1]の一例を示す図である。
【0048】
この図に示すように、欠陥情報作成/保持部32は、欠陥検出部31が、ある検査画像[Dp]の検査において検出した全ての欠陥についての欠陥情報[Tb1-1]~[Tb1-6]を作成する。欠陥情報[Tb1-1]~[Tb1-6]は、各欠陥[d1]~[d6]の識別情報と、各欠陥[d1]~[d6]に対して抽出された特徴量(特徴量の識別番号)、およびマーク[M1]~[M6]に関する情報である。マーク[M1]~[M6]に関する情報は、検査画像[Dp]における各マーク[M1]~[M6]のアドレス情報を含む。
【0049】
また欠陥情報作成/保持部32は、これらの欠陥情報[Tb1-1]~[Tb1-6]を、検査画像[Dp]に対応する欠陥情報[Tb1]として保存する。
【0050】
また欠陥情報作成/保持部32は、検査画像[Dp]について検出された各特徴量の欠陥について欠陥レベルを算出し、算出した欠陥レベルを各特徴量の欠陥レベルの履歴として時系列で保持する。ここで欠陥レベルとは、画像品質レベルに相当する数値であって、例えば画像における欠陥の視認性の高さを示す。このような欠陥レベルは、上述したように欠陥の特徴量を決定する各値のうち視認性に影響する値によって構成される任意単位の値である。
【0051】
例えば、方向成分を有する欠陥[d1],[d2],[d4],[d6]の欠陥レベルは、欠陥の延設方向の長さ、欠陥の延設方向と垂直な方向の幅、欠陥の強度、発生量、および発生サイクルなどに基づいて決定される。また点状の欠陥[d3],[d5]の欠陥レベルは、欠陥のサイズ、欠陥の強度、および発生量などに基づいて決定される。このような欠陥情報作成/保持部32は、欠陥の特徴量毎に欠陥レベルを算出し、算出した欠陥レベルを、欠陥レベルの履歴として欠陥の特徴量毎に時系列で保存する。
【0052】
図6および図7は、本発明の情報処理プログラムに基づいて保存される欠陥レベルの履歴を示す図(その1)および(その2)である。これらの図に示すように、欠陥情報作成/保持部32は、欠陥の特徴量毎に欠陥レベルを算出して欠陥レベル(任意単位)を時系列で保存する。
【0053】
例えば図6は、特徴量として方向成分を含む欠陥(例えばスジ、帯、あるいはムラなど)の欠陥レベルの履歴を示しており、数値が小さいほど欠陥が多く、画像品質が悪いことを示している。また図7は、特徴量として方向成分を含まない点状の欠陥の欠陥レベルの履歴を示しており、数値が大きいほど欠陥の発生数が多く、画像品質が悪いことを示している。なお、欠陥情報作成/保持部32は、欠陥の特徴量毎、および画像の種類毎に、上述した欠陥レベルを算出して欠陥レベル(任意単位)を時系列で保存することが好ましい。画像の種類とは、例えば写真や絵のようないわゆる画像であるか、文字などのテキストであるかの2種類、またはさらに特別に設定された種類の画像を含む三種類以上であってもよい。
【0054】
以上のような欠陥情報作成/保持部32による欠陥情報[Tb1]の作成および欠陥レベルの保存のタイミングについては、以降の情報処理方法において詳細に説明する。
【0055】
[保守情報作成/保持部33]
保守情報作成/保持部33は、画像形成装置2または次に説明するサービス端末装置3からの情報に基づいて、画像形成装置2を構成する各部品に対する保守の実施を検知し、また保守を実施した部品に関する保守情報を作成して保持する。ここで、各部品に対する保守の実施とは、主として部品の交換であることとするが、部品によってはクリーニング処理や電圧補正などであってもよく、1つの部品に対して複数種類の保守を対応付けてもよい。
【0056】
図8は、実施形態に係る情報処理装置1が有する保守情報[Tb2]を示す図である。この図に示すように、保守情報[Tb2]は、(1)欠陥の特徴量、(2)部品、(3)欠陥レベル閾値[Th1]、(4)形成枚数閾値[n]、および(5)ユーザー保守の可否を関連付けた情報である。これらの情報は、次の通りである。
【0057】
(1)欠陥の特徴量は、検査画像[Dp]に発生すると予測される欠陥の特徴量であって、例えば欠陥検出部31において付与される特徴量の識別情報であることとする。
【0058】
(2)部品は、画像形成装置2を構成する部品のうち、各特徴量を有する欠陥の発生要因であると推定される部品であって、その部品を備えた装置情報も含む。図1を参照すると、画像形成装置2を構成する部品は、例えば、本体装置100に設けられた感光体ドラム104a、転写ベルト105、さらには画像形成ユニット104を構成する他の部品、定着部106の他、画像の調整を行うための各種のセンサーを含む。また、画像形成装置2を構成する部品は、画像読取装置300に設けたスキャナ301や、さらには撮像用の照明光の照射装置も含む。なお、一つの部品が、複数の欠陥の特徴量に対して関連付けさされている場合もある。
【0059】
(3)欠陥レベル閾値[Th1]は、各部品の保守を実施した際の欠陥レベルから算出した値であり、欠陥レベルの履歴(図6図7)に基づいて更新される情報であることとする。このような欠陥レベル閾値[Th1]は、各欠陥の欠陥レベルの履歴において保守を実施していな場合の欠陥レベルよりも画像品質が劣る範囲で設定される。
【0060】
例えば、(2)部品として、スキャナ301に対する保守の実施を検知した場合、保守情報作成/保持部33は、スキャナ301に関連付けされた(1)欠陥の特徴量(001)についての欠陥レベルの履歴(例えば図6)を参照する。そして欠陥レベルの履歴から、スキャナに対して保守の実施を検知した最新の時点[T1]においての欠陥レベル[L1]を抽出する。次に、スキャナに対する保守の実施を検知した最新の時点[T1]より前の欠陥レベルの履歴のうちから、欠陥レベル[L1]よりも画像品質が良好な範囲で、最も画像品質が悪い欠陥レベル[L2]を抽出する。その後、欠陥レベル[L1]と欠陥レベル[L2]との中間の値を、欠陥レベル閾値[Th1]として算出する。
【0061】
保守情報作成/保持部33は、保守を実施した部品に関連付けて記憶されたた欠陥レベル閾値[Th1]を、新たに算出した欠陥レベル閾値[Th1]に更新して保持する(図8)。なお、欠陥レベル閾値[Th1]の初期値は、各画像形成装置2に対して予め設定された欠陥レベル閾値[Th]であってよい。
【0062】
以上の欠陥レベル閾値[Th1]は、あくまでも一例であり、例えば各部品について保守を実施した最新の時点[T1]における欠陥レベル[L1]を、新たな欠陥レベル閾値[Th1]としてもよい。また、保守を実施した最新の時点[T1]における欠陥レベル[L1]と、その前に保守を実施した時点における欠陥レベルとの中間値を、新たな欠陥レベル閾値[Th1]としてもよい。
【0063】
また、保守情報作成/保持部33は、欠陥の特徴量毎、および画像の種類(写真などの画像またはテキスト)毎に、上述した欠陥レベル閾値[Th1]を算出して保持することとする。
【0064】
(4)形成枚数閾値[n]は、部品毎に設定された値であって、各部品について保守を実施してから次に同じ部品の保守を実施するまでの画像の形成枚数の許容枚数である。
【0065】
(5)ユーザー保守の可否は、各部品について、画像形成装置2のユーザーが保守を実施できるか否かを示す情報であり、一例としてユーザーによる保守の実施が可能であれば[1]、不可能であれば[0]を付与する。
【0066】
なお、1つの部品に対して複数種類の保守が対応付けられている場合には、各保守に(3)欠陥レベル閾値、(4)形成枚数閾値、および(5)ユーザー保守の可否が対応付けされていることとする。
【0067】
以上のような保守情報作成/保持部33による(3)欠陥レベル閾値[Th1]の算出および、保持している(3)欠陥レベル閾値[Th1]の更新のタイミングについては、以降の情報処理方法において詳細に説明する。
【0068】
[表示制御部34]
表示制御部34は、表示部20に表示する検査画像[Dp]に対して、欠陥情報作成/保持部32で付与したマーク[M1]~[M6]を表示させる。また表示制御部34は、以降に説明するアラート生成部36においてアラートが生成された場合に、表示部20に対してアラートを表示させる。アラートの生成要因となった部品の情報を表示部20に表示させる。この際、表示制御部34は、画像形成装置2のユーザーによる各部品の保守の可否によって、異なる表示として各部品に関する情報を、表示部20に表示させる。
【0069】
さらに表示制御部34は、表示部20に対して、マーク[M1]~[M6]のうち、アラートを生成する要因となった欠陥に付与したマークを、他のマークと異なるように表示させることとし、例えば強調して表示させる。以上のような表示制御部34による表示制御の手順は、以降の情報処理方法において詳細に説明する。
【0070】
[保守情報検索部35]
保守情報検索部35は、保守情報作成/保持部33が有する保守情報[Tb2](図8)内を検索し、欠陥情報作成/保持部32において欠陥レベルを算出した各特徴量に関連付けされた欠陥レベル閾値[Th1]と、形成枚数閾値[n]とを抽出する。保守情報検索部35は、画像形成装置2から取得した情報に基づいて、欠陥レベルを算出した際の形成画像の種類(写真などの画像またはテキスト)に応じて、欠陥レベル閾値[Th1]と、形成枚数閾値[n]とを抽出する。
【0071】
[アラート生成部36]
アラート生成部36は、欠陥情報作成/保持部32が算出した欠陥レベルと、保守情報検索部35で抽出した欠陥レベル閾値[Th1]とを比較する。その結果、算出した欠陥レベルが、抽出した欠陥レベル閾値[Th1]よりも画像品質が劣る範囲にある場合には、部品の保守を促すためのアラートを生成し、画像形成装置2および次に説明するサービス端末装置3にアラートを送信する。またアラート生成部36は、アラートの送信と共に、アラートの生成要因となった部品の情報を、画像形成装置2およびサービス端末装置3に送信する。
【0072】
またアラート生成部36は、画像形成装置2から取得した画像の形成枚数の情報に基づき、各部品の保守を実施してからのそれぞれの画像の形成枚数を積算して算出する。そして、各部品について算出した形成枚数と、保守情報作成/保持部33が有する保守情報[Tb2](図8)内の各部品の形成枚数閾値[n]とを比較する。その結果、算出した形成枚数が保守情報[Tb2]に保持された形成枚数閾値[n]を超えている場合には、該当する部品に対する保守の実施を促すためのアラートを生成し、画像形成装置2および次に説明するサービス端末装置3にアラートを送信する。
【0073】
<サービス端末装置3>
サービス端末装置3は、画像形成装置2のサービス担当者が保持する端末装置であって、表示部などの報知手段を備えたものである。
【0074】
≪情報処理方法≫
次に、上述した画像形成システムが備える情報処理装置1によって実施される情報処理方法を説明する。図9は、本発明の情報処理プログラムに基づいて実施される情報処理方法を示すフローチャート(その1)である。また図10は、本発明の情報処理プログラムに基づいて実施される情報処理方法を示すフローチャート(その2)である。これらのフローチャートは、図1図8を用いて説明した情報処理装置1が有する情報処理プログラムによって実施される情報処理方法の手順を示している。以下、図9および図10のフローチャートに沿って、先の図1図8および必要に応じた他の図を参照しつつ、実施形態の画像処理方法を説明する。
【0075】
[ステップS001]
先ず図9のステップS001において、保守情報作成/保持部33は、画像形成装置2を構成する何れかの部品について保守を実施したか否かを判断する。この際、保守情報作成/保持部33は、画像形成装置2またはサービス端末装置3から、画像形成装置2を構成する何れかの部品について保守を実施したことを示す情報を受信した場合に、保守を実施した(YES)と判断し、次のステップS002に進む。保守情報作成/保持部33は、保守を実施した(YES)と判断するまで、この判断を繰り返す。
【0076】
[ステップS002]
ステップS002において、保守情報作成/保持部33は、保守情報[Tb2]に保持された部品の欠陥レベル閾値[Th1]を更新する。この際、保守情報作成/保持部33は、保守を実施した部品に関連付けされた特徴量(図8参照)を有する全ての欠陥について、保守を実施した時点においての欠陥レベルを抽出する。欠陥レベルの抽出は、欠陥情報作成/保持部32に保持された欠陥レベルの履歴(例えば図6)を参照して実施する。次に、抽出した欠陥レベル[L1]と、過去の欠陥レベルの履歴とに基づいて、欠陥レベル閾値[Th1]を算出し、保守情報[Tb2](図8参照)に保持されている該当する部品の欠陥レベル閾値[Th1]を、算出した値に更新する。
【0077】
なお、更新する欠陥レベル閾値[Th1]は、部品の保守を実施した時点[T1]の直前に画像形成装置2において形成していた画像が、写真や絵のようないわゆる画像であれば、画像に対応する欠陥レベル閾値[Th1]を更新する。また、形成していた画像が、文字などのテキストである場合には、テキストに対応する欠陥レベル閾値[Th1]を更新する。
【0078】
以上の処理は、繰り返し実施されることとする。
【0079】
[ステップS101]
一方、図10に示すステップS101において、欠陥検出部31は、画像形成装置2から検査画像[Dp]を取得したか否かの判断を実施する。ここで取得する検査画像[Dp]は、画像形成装置2が有する画像読取装置300が、記録媒体Sから読み取った画像であって、画像形成装置2の制御部103から情報処理装置1に送信された情報である。欠陥検出部31は、検査画像[Dp]を取得した(YES)と判断した場合に、次のステップS102に進む。
【0080】
[ステップS102]
ステップS102において、欠陥検出部31は、取得した検査画像[Dp]について、欠陥検出処理を実施する。この場合、欠陥検出部31は、取得した検査画像[Dp]と、基準画像とを比較することで、検査画像[Dp]に生じている欠陥を検出する。この基準画像は、例えば検査画像[Dp]と共に画像形成装置2の制御部103から取得した画像であるか、または外部装置から取得した画像であることとする。
【0081】
[ステップS103]
ステップS103において、欠陥情報作成/保持部32は、ステップS102で検出した全ての欠陥[d1]~[d6]についての欠陥情報[Tb1-1]~[Tb1-6](図5参照)を作成する。この際、欠陥情報作成/保持部32は、ステップS102において検出した各欠陥[d1]~[d6]の識別情報に対して、欠陥[d1]~[d6]の特徴量を抽出する。また、各欠陥[d1]~[d6]の発生位置の目印となるマーク[M1]~[M6]を、各欠陥[d1]~[d6]に対して付与する。
【0082】
欠陥情報作成/保持部32は、検査画像[Dp]を取得した画像形成装置2の識別情報と共に、欠陥[d1]~[d6]の特徴量と、付与したマーク[M1]~[M6]を関連付けた欠陥情報[Tb1-1]~[Tb1-6]を作成する。そして、これらの欠陥情報[Tb1-1]~[Tb1-6]を、検査画像[Dp]に対応する欠陥情報[Tb1]として保存する。
【0083】
[ステップS104]
ステップS104において、欠陥情報作成/保持部32は、検査画像[Dp]について検出された各特徴量の欠陥について欠陥レベルを算出する。また算出した欠陥レベルを、欠陥レベルの履歴として時系列で保持する(図6図7参照)。
【0084】
[ステップS105]
ステップS105において、保守情報検索部35は、は、検査画像[Dp]に対応する欠陥情報[Tb1]内に、欠陥情報があるか否かの判断を実施する。そして、欠陥情報がある(YES)と判断した場合には、ステップS106に進む。一方、欠陥情報がない(NO)と判断した場合には、ステップS109に進む。
【0085】
[ステップS106]
ステップS106において、保守情報検索部35は、保守情報作成/保持部33が有する保守情報[Tb2](図8)内を検索する。そして、検査画像[Dp]に対応する欠陥情報[Tb1]内に保持された欠陥の特徴量に対して関連付けされた部品の欠陥レベル閾値[Th1]と、形成枚数閾値[n]とを、保守情報[Tb2]内から抽出する。
【0086】
[ステップS107]
ステップS107において、アラート生成部36は、ステップS104で欠陥情報作成/保持部32が算出した欠陥レベルと、ステップS106で保守情報検索部35が抽出した欠陥レベル閾値[Th1]とを比較する。その結果、算出した欠陥レベルが、抽出した欠陥レベル閾値[Th1]内である(YES)と判断した場合には、ステップS107aに進む。一方、算出した欠陥レベルが、抽出した欠陥レベル閾値[Th1]内ではない(NO)と判断した場合には、ステップS108に進む。
【0087】
[ステップS107a]
ステップS107aにおいて、アラート生成部36は、形成枚数によるアラートがオンとなっているか否かを判断する。形成枚数によるアラートのオン/オフは、例えば画像形成装置2の操作部101によって設定され、情報処理装置1に送信された情報であることとする。アラート生成部36は、オンとなっている(YES)と判断した場合には、ステップS107bに進む。一方、オンとなっていない(NO)と判断した場合には、ステップS109に進む。
【0088】
[ステップS107b]
ステップS108bにおいて、アラート生成部36は、画像形成装置2から取得した形成枚数に関する情報に基づいて、各部品の保守を実施してからのそれぞれの形成枚数を積算して算出する。ステップS106において保守情報検索部35が抽出した部品の形成枚数閾値[n]と、対応する部品について算出した形成枚数とを比較する。その結果、算出した形成枚数が抽出した形成枚数閾値[n]の範囲内である(YES)と判断した場合には、ステップS109に進む。一方、算出した形成枚数が抽出した形成枚数閾値[n]の範囲内ではない(NO)と判断した場合には、ステップS108に進む。
【0089】
[ステップS108]
ステップS108において、アラート生成部36は、該当する部品の保守の実施を促すためのアラートを生成し、画像形成装置2および次に説明するサービス端末装置3にアラートを送信する。その後、ステップS109に進む。
【0090】
[ステップS109]
ステップS109において、表示制御部34は、ステップS103において、欠陥情報作成/保持部32が保存した欠陥情報[Tb1]に基づいて、検査画像[Dp]の検査結果に関する検査レポートを表示部20に表示させる。この際、表示制御部34は、検査画像[Dp]に欠陥が検出された場合には、各欠陥に対してマーク[M1]~[M6]を付与した表示画面1001を表示部20に表示させる(図3および図4参照)。
【0091】
また表示制御部34は、ステップS107aおよびステップS107bにおけるアラート生成部36の判断に基づいて、各欠陥に対して付与されたマーク[M1]~[M6]のうち、保守の実施を促すためのアラートを生成する要因となった欠陥に対して付与されたマークを、他のマークと区別して表示させる。
【0092】
図11および図12は、本発明の情報処理プログラムに基づいて作成される表示画像を示す図(その1)および(その2)であって、表示制御部34による制御によって表示部20に表示される検査レポートの表示例を示している。これらの図に示すように表示制御部34は、例えば、アラートを生成する要因となった欠陥に対して付与されたマーク(ここでは一例としてマーク[M1],[M6])を点滅させて表示部20にさせる。また点滅に替えて、表示を大きくしたり、輝度を高くしたり、表示色を変えてもよい。
【0093】
なお、表示部20に表示させた検査レポートは、操作部10での操作により、所定の特徴量の欠陥のみが表示されるように表示の切り替えが可能であってもよい。
【0094】
≪実施形態の効果≫
以上説明した実施形態によれば、画像形成装置2において実際に各部品の保守を実施した際の欠陥レベルの履歴に基づいて、保守の実施を促すためのアラートが生成される。これにより、画像形成装置2のユーザーに対して、保守の頻度が過剰または不足であると感じさせることなく、各画像形成装置2に適するタイミングで保守の実施を要請することが可能となる。
【0095】
なお、以上説明した実施形態においては、画像形成装置2の各部品の保守の履歴に基づいてアラートを生成する構成としたが、画像形成装置2を操作するオペレーター毎に実際に各部品の保守を実施した際の欠陥レベルの履歴に基づいて、保守の実施を促すためのアラートを生成する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…情報処理装置
2…画像形成装置
3…サービス端末装置
10…操作部
20…表示部
31…欠陥検出部
32…欠陥情報作成/保持部
33…保守情報作成/保持部
34…表示制御部
36…アラート生成部
S…記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12