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特許7552430情報処理装置、情報処理方法、及び、システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、システム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240910BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20240910BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20240910BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/06
B60N2/20
B60N2/22
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021027664
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022129101
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波多野 博康
(72)【発明者】
【氏名】加藤 竜規
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-062694(JP,A)
【文献】特開2006-347389(JP,A)
【文献】特開2008-308135(JP,A)
【文献】特開2016-199267(JP,A)
【文献】特開平11-011191(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0282754(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102019209740(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 2/90
A47C 1/00 - A47C 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の各シート上の物体を検出するセンサの出力、前記車両による前記車両の電子キーの検出状態、及び前記車両の機能の起動状態受信することと、
前記受信した検出状態及び起動状態に基づいて、前記車両により前記電子キーが検出されていないか否か、及び、前記車両の機能が停止されているか否かを判定することと、
前記車両により前記電子キーが検出され、または、前記車両の機能が停止されていないと判定される場合に、許可するシートアレンジに関する情報をユーザ端末に送信せず、
前記車両により前記電子キーが検出されず、かつ、前記車両の機能が停止されていると判定される場合に、前記センサの出力に基づいて、前記許可するシートアレンジに関する情報を前記ユーザ端末に送信することと、
を実行する制御部を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記センサの出力と、前記許可するシートアレンジとの関係を記憶する記憶部を更に備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記物体が検出されていないシートを作動可能なシートとし、前記物体が検出されたシートを作動できないシートとして、前記許可するシートアレンジに関する情報を生成する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
何れかのシートで前記物体が検出された場合に、全てのシートを作動できないシートとして、前記許可するシートアレンジに関する情報を生成する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記許可するシートアレンジに関する情報を前記ユーザ端末に送信した後、シートアレンジのリクエストに関する情報を前記ユーザ端末から受信すると、前記リクエストに応じたシートアレンジを実施する指令を前記車両に送信する、
請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記車両においてシートアレンジの実施中に、前記センサの出力を受信し、
前記センサの出力に基づいて、前記シートアレンジに伴って作動するシートに物体が存在すると判定した場合に、前記シートアレンジを停止させる指令を前記車両に送信する、
請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記車両においてシートアレンジの実施中に、前記センサの出力を受信し、
前記センサの出力に基づいて、何れかのシートに物体が存在すると判定した場合に、当該物体が存在するシートの作動を禁止する指令を前記車両に送信する、
請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記センサの出力として、カメラにより撮像された画像データを受信する、
請求項1から7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記センサの出力として、シートにかかる圧力に応じた出力をする着座センサの出力を受信する、
請求項1から8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
車両の各シート上の物体を検出するセンサの出力、前記車両による前記車両の電子キーの検出状態、及び前記車両の機能の起動状態受信することと、
前記受信した検出状態及び起動状態に基づいて、前記車両により前記電子キーが検出されていないか否か、及び、前記車両の機能が停止されているか否かを判定することと、
前記車両により前記電子キーが検出され、または、前記車両の機能が停止されていないと判定される場合に、許可するシートアレンジに関する情報をユーザ端末に送信せず、
前記車両により前記電子キーが検出されず、かつ、前記車両の機能が停止されていると判定される場合に、前記センサの出力に基づいて、前記許可するシートアレンジに関する情報を前記ユーザ端末に送信することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータが、
前記センサの出力と、記憶部に記憶された前記センサの出力と前記許可するシートアレンジとの関係と、に基づいて、前記許可するシートアレンジに関する情報を前記ユーザ端末に送信する、
請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータが、
前記物体が検出されていないシートを作動可能なシートとし、前記物体が検出されたシートを作動できないシートとして、前記許可するシートアレンジに関する情報を生成する、
請求項10または11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータが、
何れかのシートで前記物体が検出された場合に、全てのシートを作動できないシートとして、前記許可するシートアレンジに関する情報を生成する、
請求項10または11に記載の情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータが、
前記許可するシートアレンジに関する情報を前記ユーザ端末に送信した後、シートアレンジのリクエストに関する情報を前記ユーザ端末から受信すると、前記リクエストに応じたシートアレンジを実施する指令を前記車両に送信する、
請求項10から12の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータが、
前記車両においてシートアレンジの実施中に、前記センサの出力を受信し、
前記センサの出力に基づいて、前記シートアレンジに伴って作動するシートに物体が存在すると判定した場合に、前記シートアレンジを停止させる指令を前記車両に送信する、
請求項10から12の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータが、
前記車両においてシートアレンジの実施中に、前記センサの出力を受信し、
前記センサの出力に基づいて、何れかのシートに物体が存在すると判定した場合に、当該物体が存在するシートの作動を禁止する指令を前記車両に送信する、
請求項10から12の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
コンピュータが、
前記センサの出力として、カメラにより撮像された画像データを受信する、
請求項10から16の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項18】
コンピュータが、
前記センサの出力として、シートにかかる圧力に応じた出力をする着座センサの出力を受信する、
請求項10から17の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項19】
各シート上の物体を検出するセンサを有する車両と、サーバと、を備えるシステムであって、
前記車両は、前記センサの出力、前記車両による前記車両の電子キーの検出状態、及び前記車両の機能の起動状態を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、
前記送信されたセンサの出力、検出状態及び起動状態を受信し、
前記受信した検出状態及び起動状態に基づいて、前記車両により前記電子キーが検出されていないか否か、及び、前記車両の機能が停止されているか否かを判定し、
前記車両により前記電子キーが検出され、または、前記車両の機能が停止されていないと判定される場合に、許可するシートアレンジに関する情報をユーザ端末に送信せず、
前記車両により前記電子キーが検出されず、かつ、前記車両の機能が停止されていると判定される場合に、前記センサの出力に基づいて、前記許可するシートアレンジに関する情報を前記ユーザ端末に送信する
ステム。
【請求項20】
前記サーバは、
前記センサの出力と、前記許可するシートアレンジとの関係を記憶する記憶部を更に備える、
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザがタッチパネルで選択したシートアレンジを実現するための操作レバー等を操作順に発光させることで、ユーザが操作レバー等の位置を知らなくても光によって操作すべき操作レバー等を知ることができる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-143347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、遠隔操作で車両のシートアレンジを実施するときに物体がシートに接触することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
車両の各シート上の物体を検出するセンサの出力を取得することと、
前記センサの出力に基づいて、許可するシートアレンジに関する情報をユーザ端末に送信することと、
を実行する制御部を備える情報処理装置である。
【0006】
本開示の他の態様の一つは、
コンピュータが、
車両の各シート上の物体を検出するセンサの出力を取得することと、
前記センサの出力に基づいて、許可するシートアレンジに関する情報をユーザ端末に送信することと、
を実行する情報処理方法である。
【0007】
本開示の他の態様の一つは、
各シート上の物体を検出するセンサを有する車両と、
前記センサの出力に基づいて、許可するシートアレンジに関する情報をユーザ端末に送信するサーバと、
を備えるシステムである。
【0008】
また、本開示の他の態様は、上記の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、そのプログラムを非一時的に記憶した記憶媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、遠隔操作で車両のシートアレンジを実施するときに物体がシートに接触することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
図2】実施形態に係るシステムを構成する車両、ユーザ端末、及び、センタサーバのそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3】センタサーバの機能構成を例示した図である。
図4】車両の機能構成を例示した図である。
図5】ユーザ端末の機能構成を例示した図である。
図6】現時点のシート状態に応じてディスプレイに表示される画像の一例である。
図7】シートを格納するのか、または、復帰するのかを選択する画像の一例である。
図8】PINコードの入力を求める画像の一例である。
図9】作動確認画像の一例を示した図である。
図10】完了画像の一例を示した図である。
図11】シートの作動を停止したときに表示される画像の一例である。
図12】システムの全体の処理を示すシーケンス図である。
図13】実施形態に係るセンタサーバの処理のフローチャートである。
図14図13のステップS112において実行されるシートアレンジ処理のフローチャートである。
図15】実施形態に係る車両の処理のフローチャートである。
図16】実施形態に係るユーザ端末の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の態様の一つである情報処理装置は、制御部を備える。制御部は、車両の各シート上の物体を検出するセンサの出力を取得することと、前記センサの出力に基づいて、許可するシートアレンジに関する情報をユーザ端末に送信することと、を実行する。
【0012】
シート上の物体は、例えば人または物である。物は、例えば、ユーザの荷物である。センサは、例えば、シートにかかる圧力を検出するセンサであってもよく、人または物などを撮像するイメージセンサであってもよい。また、シートの背もたれを水平状態になるまで前方または後方に倒した場合に、この背もたれの上の物体をセンサにより検出してもよい。例えば、格納したシートの上に荷物が載っていることを検出してもよい。センサは、1つのシートごとに物体を検出してもよく、複数のシートごとに物体を検出してもよい。
【0013】
ここで、シート上に物体が存在している場合にシートアレンジを実施すると、シート上の物体がシートに接触したりシートに挟まれたりする虞がある。そこで、センサの出力に基づいて許可するシートアレンジに関する情報をユーザ端末に送信する。許可するシートアレンジは、物体とシートとの接触を抑制し得るシートアレンジである。このような情報をユーザ端末に送信することにより、ユーザは、物体とシートとの接触を抑制し得る態様のシートアレンジを選択することができる。したがって、遠隔操作で車両のシートアレンジを実施するときに物体がシートに接触することを抑制できる。
【0014】
なお、シートアレンジには、一又は複数のシートの位置を前後または左右に移動させること、一又は複数のシートを床下若しくは他のシートの下に格納すること、一又は複数のシートを床下若しくは他のシートの下から復帰させること、一又は複数のシートの背もたれを前方向又は後ろ方向に倒すこと、一又は複数のシートの背もたれを倒した状態から復帰させること、一又は複数のシートの座面の角度を変更することなどを含む。
【0015】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。また、以下の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るシステム1の概略構成を示す図である。システム1は、遠隔
操作で車両10のシートアレンジを実施するシステムである。遠隔操作によるシートアレンジは、例えば、所定の条件が成立しているときに実行される。所定の条件は、車両10が駐車されたことが分かる条件である。例えば、運転者が車両10の機能を停止して車両10から離れたことを検知した場合に所定の条件が成立したと判断される。ここで、所定の条件が成立した場合であっても、車内に人が存在している場合もある。例えば、ユーザが車内に人がいるにもかかわらず、それを忘れて駐車して車両10から離れてしまう場合がある。このような場合に、遠隔操作でシートアレンジを実施すると、車内に残された人が動いているシートに接触する虞がある。
【0017】
そこで、センタサーバ30は、物体が存在するシートがシートアレンジの実施中に動かないように、許可するシートアレンジに関する情報を生成する。そして、許可するシートアレンジに関する情報をユーザ端末20へ送信する。ユーザ端末20では、ユーザが、許可するシートアレンジの中から、何れかのシートアレンジを選択し、ユーザが選択したシートアレンジをユーザ端末20からセンタサーバ30へ送信する。そして、センタサーバ30は、ユーザ端末20から受信したシートアレンジを実施する指令を生成して、車両10へ送信する。この指令を受信した車両10では、受信した指令に対応したシートアレンジを実施する。また、センタサーバ30は、シートアレンジの実施中に車内で人が検出された場合には、シート10Aを停止させるか又は元に戻す。
【0018】
図1の例では、システム1は、車両10、ユーザ端末20、及び、センタサーバ30を含む。ユーザ端末20はユーザが所持する携帯端末である。また、車両10は、ユーザ端末20に関連付いた車両である。車両10、ユーザ端末20、及び、センタサーバ30は、ネットワークN1によって相互に接続されている。なお、ネットワークN1は、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網でありWAN(Wide Area Network)やその他の通信網が採用されてもよい。また、ネットワークN1は、携帯電話等の電話通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。さらに、車両10は、近距離無線通信等を含むネットワークN2を介して、ユーザ端末20に接続される。図1には、例示的に1台の車両10を図示しているが、車両10は複数存在し得る。また、車両10の数に応じてユーザ及びユーザ端末20も複数存在し得る。
【0019】
図2に基づいて、車両10、ユーザ端末20、及び、センタサーバ30のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態に係るシステム1を構成する車両10、ユーザ端末20、及び、センタサーバ30のそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0020】
センタサーバ30は、一般的なコンピュータの構成を有している。センタサーバ30は、プロセッサ31、主記憶部32、補助記憶部33、及び、通信部34を有する。これらは、バスにより相互に接続される。
【0021】
プロセッサ31は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ31は、センタサーバ30を制御し、様々な情報処理の
演算を行う。主記憶部32は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。補助記憶部33は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハー
ドディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、リムーバブルメディア等である。補
助記憶部33には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。補助記憶部33に格納されたプログラムをプロセッサ31が主記憶部32の作業領域にロードして実行し、このプログラムの実行を通じて各構成部等が制御される。これにより、所定の目的に合致した機能をセンタサーバ30が実現する。主記憶部32および補助記憶部33は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。なお、センタサーバ30は、単一のコンピュータであってもよいし、複数台のコ
ンピュータが連携したものであってもよい。また、補助記憶部33に格納される情報は、主記憶部32に格納されてもよい。また、主記憶部32に格納される情報は、補助記憶部33に格納されてもよい。なお、プロセッサ31は、本開示に係る制御部の一例である。また、主記憶部32及び補助記憶部33は、本開示に係る記憶部の一例である。
【0022】
通信部34は、ネットワークN1経由で車両10、及び、ユーザ端末20と通信を行う手段である。通信部34は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路である。LANインターフェースボードや無線通信回路は、ネットワークN1に接続される。
【0023】
なお、センタサーバ30で実行される一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0024】
次に、ユーザ端末20について説明する。ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、個人情報端末、ウェアラブルコンピュータ(スマートウォッチ等)、パーソナルコンピュータ(Personal Computer、PC)といった小型のコンピュータである。ユーザ端末20は、プロセッサ21、主記憶部22、補助記憶部23、入力部24、ディスプレイ25、通信部26、及び、位置情報センサ27を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ21、主記憶部22、補助記憶部23については、センタサーバ30のプロセッサ31、主記憶部32、補助記憶部33と同様であるため、説明を省略する。
【0025】
入力部24は、ユーザが行った入力操作を受け付ける手段であり、例えば、タッチパネル、マウス、キーボード、または、押しボタン等である。ディスプレイ25は、ユーザに対して情報を提示する手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、または、EL(Electroluminescence)パネル等である。入力部24及びディスプレイ25は、
1つのタッチパネルディスプレイとして構成してもよい。
【0026】
通信部26は、ユーザ端末20をネットワークN1またはネットワークN2に接続するための通信手段である。通信部26は、例えば、移動体通信サービス(例えば、5G(5th Generation)、4G(4th Generation)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の電話通信網)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録
商標)等の無線通信網を利用して、ネットワークN1またはネットワークN2経由で他の装置(例えば車両10またはセンタサーバ30等)と通信を行うための回路である。
【0027】
位置情報センサ27は、ユーザ端末20の位置情報(例えば緯度、経度)を取得する。位置情報センサ27は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信部、無線L
AN通信部等である。
【0028】
次に、車両10について説明する。車両10は、プロセッサ11、主記憶部12、補助記憶部13、シートアクチュエータ14、着座センサ15、通信部16、施解錠部17、IGスイッチ18、及び、カメラ19、を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ11、主記憶部12、補助記憶部13、及び、通信部16については、ユーザ端末20のプロセッサ21、主記憶部22、補助記憶部23、及び、通信部26と同様であるため、説明を省略する。
【0029】
シートアクチュエータ14は、シート10Aを動かすためのアクチュエータであり、典型的には電動モータである。シートアクチュエータ14は、シート10A毎に設けられる。また、1つのシートに複数のシートアクチュエータ14を設けることもできる。複数のシートアクチュエータ14は、夫々独立して制御することができる。なお、シートアクチ
ュエータ14によりシート10Aを動かすことを、シート10Aを作動させるともいう。シート10Aを作動させることには、シート10Aを前後または左右に移動させること、シート10Aを床下若しくは他のシート10Aの下に格納すること、シート10Aを床下若しくは他のシート10Aの下から復帰させること、シート10Aの背もたれを前方向又は後ろ方向に倒すこと、シート10Aの背もたれを倒した状態から復帰させること、シート10Aの座面の角度を変更することなどを含む。
【0030】
着座センサ15は、シート10Aに物体が載っていることを検出するセンサである。着座センサ15は、例えば、圧力に応じて抵抗値が変化する圧力センサ又は歪みセンサであってもよい。着座センサ15は、シート10Aの座面または背もたれに設けられる。また、着座センサ15は、シート10A毎に設けられる。
【0031】
施解錠部17は、車両10のドアの施解錠を行う。IGスイッチ18は、ユーザが押すことで車両10を起動させたり、または、車両10の機能を停止させたりするためのスイッチである。カメラ19は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサま
たはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像
素子を用いて撮影を行う。撮影により得られる画像は、静止画または動画の何れであってもよい。カメラ19は、車室内に設けられており、車室内を撮影するように配置される。
【0032】
次に、センタサーバ30の機能について説明する。図3は、センタサーバ30の機能構成を例示した図である。センタサーバ30は、機能構成要素として、制御部301、及び、車両情報DB311を備える。センタサーバ30のプロセッサ31は、主記憶部32上のコンピュータプログラムにより、制御部301の処理を実行する。
【0033】
車両情報DB311は、プロセッサ31によって実行されるデータベース管理システム(Database Management System、DBMS)のプログラムが、補助記憶部33に記憶されるデータを管理することで構築される。車両情報DB311は、例えば、リレーショナルデータベースである。
【0034】
なお、制御部301の処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0035】
制御部301は、車両10に関する情報(以下、車両情報ともいう。)を取得する。車両情報は、車両10とユーザ端末20とを紐付けるための情報である。車両情報には、車両10に固有な識別子である車両ID、ユーザに固有な識別子であるユーザID、及び、ユーザ端末20に固有な識別子であるユーザ端末IDが格納されている。この情報は、予めユーザがユーザ端末20を利用してセンタサーバ30に登録しておく。また、車両情報には、車両10のシート10Aの配置に関する情報、及び、各シート10Aがどのように作動するのかが分かる情報が含まれる。また、車両情報には、選択し得るシートアレンジに関する情報が含まれていてもよい。制御部301は、車両情報を取得すると、車両情報DB311に格納する。
【0036】
制御部301は、所定の条件が成立しているときに、遠隔操作で車両10のシートアレンジを実施する。なお、所定の条件は、例えば、車両10の機能が停止している状態(シャットダウンされている状態)であること、及び、ユーザが車両10から離れていることである。このような状態であれば、車両10は駐車状態であるといえる。制御部301は、後述するスマートキー101Aの機能を利用して、車内に後述する電子キー201Aが存在するか否か判定する。電子キー201Aが車内に存在しなければ、ユーザが電子キー201Aを持って車両10を降りたと考えられる。また、制御部301は、車両10の起動状態を取得する。すなわち、ユーザがIGスイッチ18を押すことで車両10をシャッ
トダウンしたか否かを取得する。車両10が駐車状態であれば、ユーザがすぐには車両10を運転しないと考えられる。
【0037】
制御部301は、車両10から送信される、電子キー201Aの検出状態及び車両10の起動状態に基づいて、所定条件が成立しているか否か判定する。すなわち、車両10によって電子キー201Aが検出され、且つ、車両10の機能が停止されている状態(シャットダウンされている状態)であれば、所定の条件が成立していると判定される。電子キー201Aの検出状態及び車両10の起動状態は、車両10から所定の間隔で送信されてもよく、電子キー201Aの検出状態または車両10の起動状態が変化したときに送信されてもよい。
【0038】
なお、本実施形態においては、所定の条件が成立しているか否かを電子キー201Aの検出状態、及び、車両10の起動状態に基づいて判定しているが、所定の条件はこれらに限らない。例えば、電子キー201Aの検出状態に代えて、ドアロックの状態を条件としてもよい。すなわち、車両の外からドアがロックされ、且つ、車両10がシャットダウンされている状態であれば、所定の条件が成立していると判定してもよい。また、例えば、車両10がシャットダウンされており、且つ、ドアが1回開閉された場合には、運転者が車両から降りたと考えられるので、所定の条件が成立していると判定してもよい。
【0039】
また、制御部301は、ユーザ端末20からの要求に応じて、車両10から現時点でのシート状態を取得する。現時点でのシート状態は、現時点でシート10Aがどのような態様で配置されているのかを示す情報である。制御部301は、ユーザ端末20から現時点でのシート10Aの状態を確認するための要求(以下、現状確認要求ともいう。)を受信する。現状確認要求を受信した制御部301は、現時点でのシート状態に関する情報、着座センサ15の出力、及び、カメラ19の出力を送信するように、車両10に対して指令を送信する。
【0040】
制御部301は、この指令に応答した車両10から、現時点のシート状態に関する情報、着座センサ15の出力、及び、カメラ19の出力を受信する。着座センサ15の出力またはカメラ19の少なくとも一方の出力に基づいて、各シート10Aに物体(人または物を含む)が載っているか否か判定する。例えば、着座センサ15の出力が、シート10Aに人が座っているときの出力と等しければ、このシート10Aに人が座っていると判定できる。また、例えば、カメラ19により撮像された画像データを画像処理することにより、各シート10Aに物体が載っているか否か判定してもよい。
【0041】
制御部301は、例えば、物体が載っていないシート10Aを移動できるシート10Aとし、物体が載っているシート10Aを移動できないシート10Aとして、各シート10Aについて移動できるか否か判定する。そして、判定結果を現時点でのシートの状態に関する情報と共にユーザ端末20へ送信する。このときに、制御部301は、例えば、現時点でのシート状態をユーザ端末20のディスプレイ25に表示させ、さらに、移動できるシート10Aが選択可能なように、ユーザ端末20に対して情報を送信する。なお、別法として、何れかのシート10Aに物体が載っていると判定された場合には、全てのシート10Aの作動を禁止してもよい。このようにすることで、物体がシート10Aと接触することをより確実に抑制できる。
【0042】
また、物体が存在するシート10Aと、許可できるシートアレンジとの関係は、予め補助記憶部33に記憶させておいてもよい。例えば、何れかのシート10A上に物体が存在する場合には、許可できるシートアレンジはないことを記憶しておいてもよい。また、別法として、例えば、物体が存在するシート10Aの作動を禁止するように補助記憶部33に記憶させておいてもよい。更に、別法として、例えば、物体が存在するシート10A、
及び、その隣のシート10Aの作動を禁止するように補助記憶部33に記憶させておいてもよい。
【0043】
また、制御部301は、ユーザ端末20からシートアレンジを実施する要求を受信する。このシートアレンジを実施する要求には、移動させるシート10Aに関する情報、及び、シート10Aを移動させるときの移動方向に関する情報などが含まれる。なお、このときに、制御部301は、正規のユーザからの依頼であるのかを確認するために、ユーザ端末20にパスワードまたはPINコードの入力を求めてもよい。
【0044】
シートアレンジを実施する要求を受信すると、制御部301は、シートアレンジを実施する指令を生成して車両10へ送信する。シートアレンジを実施する指令は、ユーザ端末20から受信したシートアレンジを実施する要求に基づいて生成される。車両10においてシートアレンジが完了すると、車両10から完了報告が送信される。制御部301は、車両10から完了報告を受信すると、シートアレンジが完了したことをユーザ端末20のディスプレイ25に表示させるための指令を生成してユーザ端末20へ送信する。
【0045】
また、制御部301は、シートアレンジを実施する指令を車両10へ送信した後に、車両10からカメラ19の出力を受信する。そして、制御部301は、カメラ19の出力に基づいて、シート10A上に物体が存在するか否か判定する。このときには、車内に人が存在するか否か判定してもよい。そして、シート10A上に物体が存在すると判定した場合には、シートアレンジを停止させるための指令を生成して車両10へ送信する。また、シートアレンジを停止させたことに関する情報を生成して、ユーザ端末20へ送信する。この情報には、車内に人が存在することをユーザに知らせるための情報が含まれていてもよい。また、カメラ19に代えて、または、カメラ19と共に、着座センサ15の出力に基づいて、シート10A上に物体が存在するか否か判定してもよい。このようにして、シートの作動中に物体が見つかった場合には、すぐにシートの作動を停止する。これにより、安全性能をより高めることができる。
【0046】
次に、車両10の機能について説明する。図4は、車両10の機能構成を例示した図である。車両10は、機能構成要素として、制御部101を備える。車両10のプロセッサ11は、主記憶部12上のコンピュータプログラムにより、制御部101の処理を実行する。ただし、制御部101の処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。
【0047】
制御部101は、ユーザ端末20からの信号に基づいて施解錠部17を操作することによりドアの施解錠を行うスマートキー101Aの機能を有する。制御部101は、このスマートキー101Aの機能を利用して、後述する電子キー201Aと近距離無線通信を行う。そして、例えば、スマートキー101Aが電子キー201Aと通信できているか否かに関する情報、または、電子キー201Aからの電波の強度に関する情報を、電子キー201Aの検出状態としてセンタサーバ30に送信する。
【0048】
また、制御部101は、着座センサ15の検出値、電子キー201Aの検出状態、カメラ19の検出値、車両10の起動状態、及び、シート10Aの状態を所定の間隔でセンタサーバ30へ送信する。なお、これらの情報の送信は、状態に変化があったときに限ってもよい。また、これらの情報の送信は、センタサーバ30からの要求に応じて行ってもよい。
【0049】
着座センサ15の検出値は、シート10A上に物体が存在するか否かに関連する情報である。電子キー201Aの検出状態は、スマートキー101Aと電子キー201Aとの通信状態を示しており、車内に電子キー201Aを持ったユーザが存在するか否かを判断可能な情報である。カメラ19の検出値は、車内に人または物が存在するか否かを判断可能
な情報である。車両10の起動状態は、車両10が起動しているのか、または、機能を停止しているのかを判断可能な情報である。車両10の起動状態は、例えば、ユーザがIGスイッチ18を押すことにより変化する。
【0050】
シート10Aの状態は、例えば、背もたれが格納状態であるか、または、復帰状態であるかの何れかを示す情報であってもよい。格納状態は、背もたれを座面に当たるまで車両前方に向かって倒した状態をいう。背もたれを格納状態にすることで、荷物スペースを拡大できる。また、3列シートの場合には、2列目のシート10Aを格納状態とすることにより、3列目のシート10Aへのアクセスが容易になる。復帰状態は、背もたれが起きている状態であり、シート10Aに人が座ることが可能である状態をいう。シート10Aの状態は、例えば、過去のシートアクチュエータ14の作動履歴を補助記憶部13に記憶しておき、この作動履歴に基づいてシート10Aの状態を求めてもよい。別法として、シート10Aの可動部にセンサを取り付けておき、センサの検出値に基づいてシート10Aの状態を検出してもよい。
【0051】
また、制御部301は、通信部16を介してセンタサーバ30から指令を受信すると、その指令に応じた処理を実行する。制御部101は、センタサーバ30からシートアレンジを実施する指令を受信した場合に、シートアクチュエータ14を作動させてシート10Aの状態を変更する。
【0052】
また、制御部101は、センタサーバ30からの指令に基づいてシートアクチュエータ14を作動させているときに、カメラ19の検出値をセンタサーバ30へ送信する。カメラ19の検出値は、所定の時間毎にセンタサーバ30へ送信してもよく、検出値が変化したときにセンタサーバ30へ送信してもよい。カメラ19の検出値をセンタサーバ30へ送信した後に、センタサーバ30からシート10Aの移動を停止させる指令を受信した場合には、制御部101がシートアクチュエータ14を停止させる。制御部101は、シートアクチュエータ14を停止させた場合に、シートアクチュエータ14を停止させたことをセンタサーバ30へ通知してもよい。
【0053】
次に、ユーザ端末20の機能について説明する。図5は、ユーザ端末20の機能構成を例示した図である。ユーザ端末20は、機能構成要素として、制御部201を備える。ユーザ端末20のプロセッサ21は、主記憶部22上のコンピュータプログラムにより、制御部201の処理を実行する。ただし、制御部201の処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。制御部201は、スマートキーシステムの電子キー201Aの機能を有する。なお、別法として、ユーザ端末20とは別に電子キーの機能を持つ端末をユーザが所持していてもよい。制御部201(電子キー201A)は、車両10のスマートキー101Aとの通信を確立して、車両10の施解錠を行わせる。
【0054】
また、制御部201は、センタサーバ30に対して、現状確認要求を送信する。制御部201は、例えば、入力部24にシートアレンジを実施するためのアプリケーションソフトウェアを起動する入力があった場合(例えば、ディスプレイ25に表示されているアプリケーションソフトウェアのアイコンをタップした場合)に、シート10Aの状態を確認するための要求である現状確認要求をセンタサーバ30へ送信する。
【0055】
制御部201は、センタサーバ30から、現時点のシート状態に関する情報を受信すると、現時点のシート状態に応じた画像をディスプレイ25に表示させる。図6は、現時点のシート状態に応じてディスプレイ25に表示される画像の一例である。ここでは、夫々のシート10Aが格納状態であるのか復帰状態であるのかが分かるような表示がされる。また、移動できるシート10Aと、移動できないシート10Aとが分かるような表示がされる。例えば、移動できないシート10Aは、その旨が記載されたり、バツ印が記載され
たり、または、グレーアウトされたりしてもよい。図6に示した例では、後列の右端のシート10Aにバツ印が付けられている。これにより、このシート10A上には物体が存在しており、選択できないことが示されている。
【0056】
制御部201は、ディスプレイ25に表示されているシート10Aをユーザが選択した(タップした)場合に、そのシート10Aを格納するのか、または、復帰するのかを選択する画像に切り替える。図7は、シート10Aを格納するのか、または、復帰するのかを選択する画像の一例である。図7に示した例は、ユーザが後列の左端のシート10Aをタップした場合を示しており、このタップしたシート10Aが分かるように、このシート10Aの部分に色を付けている。「格納」及び「復帰」の文言と共に表示されるボタンは、シート10Aの格納または復帰を選択するためのボタンである。ユーザが「格納」または「復帰」のボタンをタップすると、制御部201は、ディスプレイ25に例えばPINコードの入力を求める画像を表示させる。
【0057】
図8は、PINコードの入力を求める画像の一例である。ユーザは、PINコードに対応する数字が示されたボタンをタップすることにより、PINコードを入力する。ユーザがPINコードを入力すると、制御部201は、センタサーバ30へPINコードを送信する。センタサーバ30においてPINコードが認証されると、センタサーバ30からPINコードの認証に関する情報を受信する。なお、別法として、制御部201が認証を行ってもよい。この場合、認証に必要となる情報を予めセンタサーバ30から受信しておく。
【0058】
PINコードの認証に関する情報を受信すると、制御部201は、ディスプレイ25に作動確認画像を表示させる。図9は、作動確認画像の一例を示した図である。この画像は、シートアレンジを実施してもよいかユーザに最終的な確認をするために表示される。例えば、「シートを作動します。よろしいですか?」などの文言と共に、「はい」及び「いいえ」のボタンを表示させる。ユーザが、「はい」のボタンをタップすると、制御部201は、センタサーバ30へ、シートアレンジの実施の依頼に関する情報を送信する。なお、ユーザが「いいえ」のボタンを押した場合には、制御部201は、図6または図7に示した画像を表示させる。
【0059】
また、車両10においてシートアレンジが完了すると、センタサーバ30からユーザ端末20に完了報告が送信される。この完了報告を受信すると、制御部201は、ディスプレイ25に完了画像を表示させる。図10は、完了画像の一例を示した図である。例えば、「シート作動が正常に完了しました。」などの文言と「OK」のボタンが表示される。ユーザが「OK」のボタンをタップすると、制御部201は、ディスプレイ25に現時点のシート状態を示した画像を表示させる。
【0060】
一方、シートアレンジを実施しているときに、シートの作動が停止した場合には、シートの作動を停止したことをユーザに通知する。図11は、シートの作動を停止したときに表示される画像の一例である。例えば、「シート作動を停止しました。」などの文言と「OK」のボタンが表示される。ユーザが「OK」のボタンをタップすると、制御部201は、例えば、図6または図7の画像を表示させる。なお、シート10Aの作動を停止した場合には、その理由を併記してもよい。シート10Aの作動を停止した理由は、センタサーバ30から送信される。例えば、「車内に人がいます。」などの文言を表示してもよい。
【0061】
次に、システム1の全体の処理について説明する。図12は、システム1の全体の処理を示すシーケンス図である。図12に示した車両10及びユーザ端末20は、予め紐付けされてセンタサーバ30に登録されている。ユーザ端末20において、ユーザが所定のア
プリケーションソフトウェアを起動させると、ユーザ端末20からセンタサーバ30へ、現状確認要求が送信される(S11)。また、車両10からセンタサーバ30へは、所定時間毎に車両10に関する情報が送信される(S12)。ここでいう車両10に関する情報には、現時点のシート状態に関する情報、着座センサ15の出力、カメラ19の出力、電子キー201Aの検出状態及び車両10の起動状態などが含まれる。なお、図12では、車両10からセンタサーバ30へ所定時間毎に車両10に関する情報が送信されているが、別法として、ユーザ端末20から現状確認要求を受信したセンタサーバ30からの要求に応じて、車両10がセンタサーバ30へ車両10に関する情報を送信してもよい。
【0062】
センタサーバ30は、車両10に関する情報に基づいて、現状情報を生成して(S13)、ユーザ端末20へ送信する(S14)。現状情報には、現時点でのシート状態に関する情報と、作動可能なシート10A及び作動できないシート10Aに関する情報が含まれる。ユーザがユーザ端末20に作動させるシート10Aを入力すると(S15)、ユーザ端末20がユーザに対してPINコードの入力を求める。PINコードを入力すると認証情報が生成され(S16)、認証情報がセンタサーバ30へ送信される(S17)。認証情報を受信したセンタサーバ30では、PINコードの照合による認証が行われる(S18)。ユーザの認証が完了すると、認証の完了に関する情報がセンタサーバ30からユーザ端末20へ送信される(S19)。
【0063】
ユーザ端末20では、シート10Aを作動させてもよいかユーザに確認するための画像が表示され(S20)、ユーザが作動させてもよいことを示す入力を行うと、シートアレンジを実施する要求がユーザ端末20からセンタサーバ30へ送信される(S21)。この要求には、移動させるシート10Aに関する情報が含まれる。この要求を受信したセンタサーバ30は、シートアレンジを実施する指令を生成し(S22)、車両10へ送信する(S23)。
【0064】
指令を受信した車両10では、シートアレンジが実施される(S24)。車両10では、シートアクチュエータ14を作動させることにより、シートアレンジが実施される。シートアレンジが完了すると、車両10からセンタサーバ30へ完了報告が送信される(S25)。完了報告は、センタサーバ30からユーザ端末20へ転送される(S26)。完了報告を受信したユーザ端末20は、ディスプレイ25にシートアレンジが完了したことを示す画像を表示させる(S27)。
【0065】
次に、センタサーバ30における処理について説明する。図13は、本実施形態に係るセンタサーバ30の処理のフローチャートである。図13に示した処理は、センタサーバ30において、各車両10について所定の時間毎に繰り返し実行される。なお、車両情報DB311には、必要な情報が格納されているものとして説明する。
【0066】
ステップS101において制御部301は、車両10から情報を取得する。このときに取得される情報は、所定の条件に関する情報、現時点のシート状態に関する情報、着座センサ15の出力、及び、カメラ19の出力を含む。
【0067】
ステップS102において制御部301は、所定の条件が成立しているか否か判定する。例えば、制御部301は、車両10がシャットダウンされており、且つ、電子キー201Aとスマートキー101Aとの通信が確立されていないか否か判定する。ステップS102で肯定判定された場合にはステップS103へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0068】
ステップS103において制御部301は、ユーザ端末20から現状確認要求を受信したか否か判定する。ステップS103で肯定判定された場合にはステップS104へ進み
、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0069】
ステップS104において制御部301は、現状情報を生成する。現状情報には、現時点でのシート状態に関する情報と、作動可能なシート10A及び作動できないシート10Aに関する情報が含まれる。そして、ステップS105において制御部301は、現状情報をユーザ端末20へ送信する。
【0070】
ステップS106において制御部301は、ユーザ端末20から認証情報を受信したか否か判定する。ステップS106で肯定判定された場合にはステップS107へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。なお、制御部301は、ユーザ端末20から認証情報を所定時間受信しなかった場合に、否定判定してもよい。
【0071】
ステップS107において制御部301は、認証処理を実施する。制御部301は、ユーザがユーザ端末20に入力したPINコードと、補助記憶部33に予め登録されているPINコードとを比較する。そして、ステップS108において制御部301は、PINコードが一致したか否か判定する。ステップS108で肯定判定された場合にはステップS110へ進み、否定判定された場合にはステップS109へ進む。
【0072】
ステップS109において制御部301は、認証に失敗したことをユーザ端末20へ通知する。この通知には、認証に失敗したことをユーザ端末20のディスプレイ25に表示させる情報を含むことができる。一方、ステップS110において制御部301は、認証に成功したことを示す認証情報をユーザ端末20へ送信する。
【0073】
ステップS111において制御部301は、シートアレンジ要求をユーザ端末20から受信したか否か判定する。所定時間待ってもユーザ端末20からシートアレンジ要求を受信しない場合には否定判定される。ステップS111で肯定判定された場合にはステップS112へ進んでシートアレンジ処理を実行する。シートアレンジ処理については後述する。一方、ステップS111で否定判定された場合には、本ルーチンを終了させる。
【0074】
図14は、図13のステップS112において実行されるシートアレンジ処理のフローチャートである。ステップS201において制御部301は、シートアレンジ指令を生成する。シートアレンジ指令は、シートアレンジを実施する指令であり、作動するシート10Aに関する情報を含む。ステップS202において制御部301は、シートアレンジ指令を車両10へ送信する。
【0075】
ステップS203において制御部301は、車両10から情報を取得する。ここで取得する情報には、現時点でのシート状態に関する情報、シートアレンジが完了したことを示す情報(完了報告)、着座センサ15の検出値及びカメラ19の検出値が含まれる。ステップS204において制御部301は、車両10においてシートアレンジを実施中であるか否か判定する。例えば、完了報告を受信していない場合には、シートアレンジが実施中であると判定される。別法として、制御部301は、現時点でのシート状態が、ステップS202で送信した指令に応じた状態でない場合に、シートアレンジが実施中であると判定してもよい。ステップS204で肯定判定された場合にはステップS206へ進み、否定判定された場合にはステップS205へ進む。
【0076】
ステップS205において制御部301は、完了報告をユーザ端末20へ送信する。この完了報告は、ユーザ端末20のディスプレイ25に完了画像を表示させるために送信される。完了画像は、図10に示した画像であり、シートアレンジが完了したことを示す画像である。
【0077】
ステップS206において制御部301は、車内に人が存在しているか否か判定する。制御部301は、カメラ19により撮像された画像データを解析することで、車内に人が存在しているか否か判定する。ステップS206で肯定判定された場合にはステップS207へ進み、否定判定された場合にはステップS203へ戻る。
【0078】
ステップS207において制御部301は、シート停止指令を生成する。シート停止指令は、車両10のシート10Aの作動を停止させるための指令である。車内に人がいる場合には、シート10Aの作動を停止させることにより、シート10Aと人との接触を抑制する。ステップS208において制御部301は、シート停止指令を車両10へ送信する。
【0079】
また、ステップS209において制御部301は、失敗情報をユーザ端末20へ送信する。失敗情報は、シートアレンジに失敗したことを通知するための情報である。失敗情報には、シートアレンジ失敗画像をディスプレイ25に表示させるための指令が含まれる。シートアレンジ失敗画像は、図11に示した画像であり、シートアレンジに失敗したことを示す画像である。この指令を送信することにより、ユーザ端末20へシートアレンジに失敗したことを通知している。その後、本ルーチンを終了させる。これにより、図13に示したルーチンも終了する。
【0080】
次に、車両10における処理について説明する。図15は、本実施形態に係る車両10の処理のフローチャートである。図15に示した処理は、車両10において、所定の時間毎に繰り返し実行される。
【0081】
ステップS301において制御部101は、車両10に関する情報を取得する。ここで取得する情報は、図13のステップS101においてセンタサーバ30が受信する情報に対応する情報である。すなわち、制御部101は、電子キー201Aの検出状態、車両10の起動状態、現時点のシート状態に関する情報、着座センサ15の出力、及び、カメラ19の出力を取得する。
【0082】
ステップS302において制御部101は、取得した車両10に関する情報をセンタサーバ30へ送信する。ステップS303において制御部101は、センタサーバ30からシートアレンジ指令を受信したか否か判定する。このシートアレンジ指令は、図14のステップS202においてセンタサーバ30から送信される。ステップS303で肯定判定された場合にはステップS304へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0083】
ステップS304において制御部101は、シート10Aを作動させるようにシートアクチュエータ14の作動を開始させる。このときには、シートアレンジ指令にて移動が指示されているシート10Aに対応するシートアクチュエータ14を作動させる。
【0084】
ステップS305において制御部101は、シートアレンジが完了したか否か判定する。すなわち、制御部101は、シートアレンジ指令に含まれるシート状態と、現時点でのシート状態とが等しいか否か判定する。例えば、シート10Aにシートの状態を検出するセンサが備わる場合には、センサの検出値に基づいてシート状態を検出する。別法として、シートアクチュエータ14を通る電流を検出することで、シート10Aの作動が完了したか否かを判定することができる。さらに、別法として、シートアクチュエータ14の作動開始から所定時間が経過した場合に、シートアレンジが完了したと判定してもよい。ステップS305で肯定判定された場合にはステップS306へ進み、否定判定された場合にはステップS307へ進む。
【0085】
ステップS306において制御部101は、完了報告をセンタサーバ30へ送信する。完了報告は、シートアレンジが完了したことを示す情報である。完了報告は、図14のステップS203においてセンタサーバ30により受信される。一方、ステップS307において制御部101は、センタサーバ30からシート停止指令を受信したか否か判定する。シート停止指令は、図14のステップS208においてセンタサーバ30から送信される。ステップS307で肯定判定された場合にはステップS308へ進み、否定判定された場合にはステップS305へ戻る。
【0086】
ステップS308において制御部101は、シートアクチュエータ14を停止させる。そして、ステップS309において制御部101は、シート停止情報をセンタサーバ30へ送信する。シート停止情報は、シート10Aの作動を停止したことを示す情報である。なお、ステップS309の処理は省略することができる。
【0087】
次に、ユーザ端末20の処理について説明する。図16は、本実施形態に係るユーザ端末20の処理のフローチャートである。図16に示した処理は、ユーザ端末20において、所定の時間毎に繰り返し実行される。
【0088】
ステップS401において制御部201は、シートアレンジを要求するためのアプリケーションソフトウェアがユーザによって起動されたか否か判定する。ユーザがディスプレイ25に表示されている所定のアイコンをタップすると、シートアレンジを要求するためのアプリケーションソフトウェアが起動される。ステップS401で肯定判定された場合にはステップS402へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0089】
ステップS402において制御部201は、現状確認要求をセンタサーバ30へ送信する。この要求には、ユーザ端末20の識別情報が紐付けされている。ステップS403において制御部201は、センタサーバ30から現状情報を受信する。このときには、図13のステップS105においてセンタサーバ30から送信される現状情報が受信される。ステップS404において制御部201は、現時点のシート状態に応じた画像をディスプレイ25に表示させる。ここでは、図6に示した画像が表示される。
【0090】
ステップS405において制御部201は、ユーザが選択したシート10Aに関する情報を取得する。ユーザがシート10Aを選択すると図7に示した画像が表示される。このとき制御部201は、選択したシートで「格納」又は「復帰」の何れが選択されているのかを併せて取得する。ステップS406において制御部201は、ユーザに対してPINコードの入力を求める画像をディスプレイ25に表示させる。このときには、図8に示した画像が表示される。そして、ステップS407において制御部201は、ユーザが入力したPINコードを取得する。
【0091】
ステップS408において制御部201は、PINコードを含む認証情報をセンタサーバ30へ送信する。認証情報は、ユーザ端末20の識別情報が紐付けされている。認証情報は、図13のステップS106においてセンタサーバ30が受信する。ステップS409において制御部201は、認証に成功したか否か判定する。図13のステップS110においてセンタサーバ30から認証情報が送信された場合には、本ステップS409において肯定判定される。一方、図13のステップS109においてセンタサーバ30から認証に失敗したことに関する情報が送信された場合には、本ステップS409において否定判定される。ステップS409において肯定判定された場合にはステップS410へ進み、否定判定された場合にはステップS406へ戻る。なお、制御部201は、ステップS406へ戻る前に認証に失敗したことをディスプレイ25に表示してもよい。
【0092】
ステップS410において制御部201は、ディスプレイ25に作動確認画像を表示さ
せる。このときに制御部201は、図9に示した画像をディスプレイ25に表示させる。ステップS411において制御部201は、ユーザが「はい」のボタンをタップしたか否か判定する。ステップS411において肯定判定された場合にはステップS412へ進み、否定判定された場合にはステップS404へ戻る。
【0093】
ステップS412において制御部201は、センタサーバ30へシートアレンジ要求を送信する。このときに送信されるシートアレンジ要求は、図13のステップS111においてセンタサーバ30が受信する。ステップS413において制御部201は、センタサーバ30から失敗情報を受信したか否か判定する。失敗情報は、図14のステップS209においてセンタサーバ30から送信される情報である。ステップS413で肯定判定された場合にはステップS416へ進み、否定判定された場合にはステップS414へ進む。ステップS416において制御部201は、シートアレンジ失敗画像をディスプレイ25に表示させる。シートアレンジ失敗画像は図11に示した画像である。
【0094】
ステップS414において制御部201は、センタサーバ30から完了報告を受信したか否か判定する。この完了報告は、図13のステップS205においてセンタサーバ30から送信される情報である。ステップS414で肯定判定された場合にはステップS415へ進み、否定判定された場合にはステップS413へ戻る。ステップS415において制御部201は、完了画像をディスプレイ25に表示させる。完了画像は図10に示した画像である。
【0095】
以上説明したように本実施形態によれば、遠隔操作で車両10のシートアレンジを実施するときに、物体が載っているシート10Aを作動させないようにするので、動いているシート10Aと、人または物とが接触したり、シート10Aに物が挟まれたりすることを抑制できる。また、シートアレンジを実施している途中でシート10A上に物体が検出された場合には、シート10Aの作動を停止させることにより、作動中のシート10Aに人または物が接触することを抑制できる。
【0096】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0097】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0098】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。例えば、センタサーバ30の機能の一部または全部を車両10が有していてもよい。
【0099】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気
カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0100】
1 システム
10 車両
10A シート
20 ユーザ端末
30 センタサーバ
31 プロセッサ
32 主記憶部
33 補助記憶部
34 通信部
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