(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ペダル装置
(51)【国際特許分類】
G05G 5/03 20080401AFI20240910BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20240910BHJP
G05G 5/05 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G05G5/03 A
G05G1/30 E
G05G5/05
(21)【出願番号】P 2021029094
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰久
(72)【発明者】
【氏名】柳田 悦豪
(72)【発明者】
【氏名】北斗 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 高生
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/153204(WO,A1)
【文献】米国特許第6298746(US,B1)
【文献】特開2017-53796(JP,A)
【文献】実開昭64-52816(JP,U)
【文献】特表2017-506597(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0040408(US,A1)
【文献】特開2001-294058(JP,A)
【文献】特開2014-84091(JP,A)
【文献】米国特許第4888997(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 5/03
G05G 1/30
G05G 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるペダル装置において、
車体(2)に取り付けられるハウジング(10)と、
前記ハウジングに対して回転可能に設けられるペダルパッド(30)と、
所定の板ばね(51)を有する複数の弾性部材を含んで構成され、前記ペダルパッドのうち運転者に踏まれる面とは反対側の空間に配置されて前記運転者が前記ペダルパッドに印加する踏力に対する反力を発生させる反力発生機構(50、501、502)と、を備え、
前記所定の板ばねは、板厚方向に荷重を受けて弾性変形する部材であり、平板状であるか或いは平板の板厚または板幅の少なくとも一方が除変した形状とされており、荷重が印加されていない状態で長手方向に直線状であるか或いは湾曲した形状とされており、長手方向一端が前記ハウジングまたは前記車体に固定され、長手方向の他端が自由端となっており、
複数の前記弾性部材のうち前記所定の板ばねを除く前記弾性部材(60~63)は、前記所定の板ばねの長手方向の他端に直列配置されており、且つ、前記ペダルパッドに設けられた当接ピン(91)または前記ペダルパッドに連結する連結ロッド(90)または前記ペダルパッドと、前記所定の板ばねの長手方向の他端との間に配置されており、
前記所定の板ばねは、前記ペダルパッドに前記運転者の踏力が印加されていない初期位置から前記ペダルパッドに運転者の踏力が印加されて前記ペダルパッドが最も回転した最大回転位置に移行するまで撓み量が規制されることなく、複数の前記弾性部材のうち前記所定の板ばねを除く前記弾性部材は、前記初期位置から前記最大回転位置の途中で撓み量が規制される構成となっている、ペダル装置。
【請求項2】
前記反力発生機構は、前記所定の板ばねを除く少なくとも1つの前記弾性部材の一端を係止する第1ホルダ(71)と、前記所定の板ばねを除く少なくとも1つの前記弾性部材の他端を係止する第2ホルダ(72)とを有している、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記反力発生機構は、前記第1ホルダまたは前記第2ホルダの一方に設けられるストッパ(74、72b、733b、732a、712a)を有しており、
前記ストッパは、前記所定の板ばねを除く少なくとも1つの前記弾性部材が撓んだときに前記第1ホルダまたは前記第2ホルダの他方に当接することで前記弾性部材の撓み量を規制するものである、請求項2に記載のペダル装置。
【請求項4】
前記第1ホルダと前記第2ホルダとは、前記第1ホルダと前記第2ホルダとが互いに向かい合う方向に直線状に相対移動するためのガイド面(71a、72a)を有している、請求項2または3に記載のペダル装置。
【請求項5】
前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの一方は、底面を有する円筒状の部材であり、
前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの他方は、前記円筒状の部材の内側に配置される円柱状の部材である、請求項4に記載のペダル装置。
【請求項6】
前記第1ホルダまたは前記第2ホルダは、前記所定の板ばねを除く少なくとも1つの前記弾性部材としてのコイルばねが径方向に移動することを規制する規制部(721)を有する、請求項2ないし5のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項7】
前記反力発生機構を構成する複数の前記弾性部材のうち前記所定の板ばねを除く前記弾性部材は、コイルばね(61、62、63)であり、
前記反力発生機構は、前記第1ホルダと前記第2ホルダとの間に複数の前記コイルばねを配置する場合、所定のコイルばねと他のコイルばねとの間にばね座(73)を有する、請求項2ないし6のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項8】
前記ばね座は、複数の前記コイルばねが径方向に移動することを規制する規制部(78、79、81、82)を有する、請求項7に記載のペダル装置。
【請求項9】
前記所定のコイルばねの直径と、前記他のコイルばねの直径とは異なっている、請求項7または8に記載のペダル装置。
【請求項10】
前記ばね座は、円筒状のばね座筒部(731)と、前記ばね座筒部の軸芯方向の一端から径方向外側に拡がるように設けられるフランジ部(733)と、前記ばね座筒部の軸芯方向の他端に設けられるばね座底部(732)とを有する、請求項7ないし9のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項11】
前記ばね座筒部のうち径方向内側の内壁面(731b)と、径方向外側の外壁面(731a)とは、複数の前記コイルばねの径方向の動きを規制しつつ、複数の前記コイルばねが軸芯方向に撓むように案内するガイド面として機能する、請求項10に記載のペダル装置。
【請求項12】
前記ばね座の有する前記フランジ部のうち径方向外側の外壁面(733a)は、径方向外側に凸の曲面とされており、
前記第1ホルダまたは前記第2ホルダのうち円筒状の部材の径方向内側の内壁面(71a)と、前記ばね座の有する前記フランジ部のうち径方向外側の外壁面との間には所定の隙間(G1)が設けられている、請求項10または11に記載のペダル装置。
【請求項13】
前記反力発生機構は、前記所定の板ばね(511、512、513)の長手方向の一端または他端に、別の板ばね(511、512、513)の一端または他端が配置される構成である、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項14】
前記所定の板ばねまたは前記別の板ばねが撓んだ状態で当接可能な位置に設けられ、前記所定の板ばねおよび前記別の板ばねの少なくとも1つの撓み量を規制する当接ピン(91~99)を備えている、請求項13に記載のペダル装置。
【請求項15】
前記反力発生機構を構成する複数の前記弾性部材は、板ばねまたはコイルばねで構成され、直列配置されている、請求項1ないし14のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項16】
前記反力発生機構は、前記ハウジングの内側に配置されている、請求項1ないし15のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記車体のうち車室内のフロア(2)またはダッシュパネルに対し、ねじ(3)により固定される、請求項1ないし16のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項18】
前記所定の板ばねの長手方向の一方の端部は、前記ペダルパッドの回転軸よりも車室内のフロア側またはダッシュパネル側の領域に配置されている、請求項1ないし17のいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項19】
前記所定の板ばねの長手方向の一方の端部は、前記ハウジングのうち車室内のフロアまたはダッシュパネル側の部位に取り付けられるか、或いは車室内の前記フロアまたは前記ダッシュパネルに取り付けられる、請求項1ないし18のいずれか1つに記載のペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、アクセルペダル装置またはブレーキペダル装置などとして用いられるペダル装置が知られている。
特許文献1には、ブレーキペダル装置が備えるペダルパッドに印加される運転者の踏力に対して反力を発生させる反力発生機構に関する技術が開示されている。なお、特許文献1では、反力発生機構はペダルシミュレータと呼ばれている。特許文献1に記載の反力発生機構は、複数のコイルばねが同軸に配置され、且つ、径方向に重なるように配置される構成となっている。また、この反力発生機構は、所定のコイルばねの端部に、ばね座と呼ばれる部材を介して、別のコイルばねの端部が設置される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の反力発生機構は、ペダルパッドに印加される運転者の踏力に対して大きな反力を発生させる場合、複数のコイルばねの外径および線径を大きくしなければならない。そのため、特許文献1に記載の反力発生機構をペダル装置に用いると、ペダルパッドのうち運転者に踏まれる面とは反対側の領域に反力発生機構を設置するための大きな空間が必要となり、ペダル装置の体格が大型化するといった問題がある。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、反力発生機構を備えたペダル装置において、体格を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、車両に搭載されるペダル装置において、ハウジング(10)、ペダルパッド(30)および反力発生機構(50、501、502)を備える。ハウジングは、車体(2)に取り付けられる。ペダルパッドは、ハウジングに対して回転可能に設けられる。反力発生機構は、所定の板ばね(51)を有する複数の弾性部材を含んで構成され、ペダルパッドのうち運転者に踏まれる面とは反対側の空間に配置されて運転者がペダルパッドに印加する踏力に対する反力を発生させる。
所定の板ばねは、板厚方向に荷重を受けて弾性変形する部材であり、平板状であるか或いは平板の板厚または板幅の少なくとも一方が除変した形状とされており、荷重が印加されていない状態で長手方向に直線状であるか或いは湾曲した形状とされている。また、所定の板ばねは、長手方向一端がハウジングまたは車体に固定され、長手方向の他端が自由端となっている。
反力発生機構を構成する複数の弾性部材のうち所定の板ばねを除く少なくとも1つの弾性部材(60~63)は、所定の板ばねの長手方向の一端または他端に直列配置されており、且つ、ペダルパッドに設けられた当接ピン(91)またはペダルパッドに連結する連結ロッド(90)またはペダルパッドと、所定の板ばねの長手方向の他端との間に配置されている。
所定の板ばねは、ペダルパッドに運転者の踏力が印加されていない初期位置からペダルパッドに運転者の踏力が印加されてペダルパッドが最も回転した最大回転位置に移行するまで撓み量が規制されることなく、複数の弾性部材のうち所定の板ばねを除く弾性部材は、初期位置から最大回転位置の途中で撓み量が規制される構成となっている。
【0007】
これによれば、例えば、仮に、反力発生機構の弾性部材をコイルばねのみで構成した場合、「コイルばねの線径×巻き数」と「撓み量」とを合わせた空間が必要となる。それに対し、反力発生機構の弾性部材に板ばねを用いた場合、「板ばねの板厚」と「撓み量」とを合わせた空間があればよい。そのため、コイルばねを設置するために必要な空間に比べて、板ばねを設置するために必要な空間は小さいものとなる。したがって、請求項1に係る発明のペダル装置は、反力発生機構の弾性部材に板ばねを用いることで、ペダルパッドのうち運転者に踏まれる面とは反対側の空間を小さくすることが可能となる。その結果、このペダル装置は、体格を小型化することができる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るペダル装置の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るペダル装置においてハウジングカバーを取り外した状態の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るペダル装置においてペダル回転軸に垂直な断面図である。
【
図4】第1実施形態に係るペダル装置においてペダルパッドが回転した状態を示す断面図である。
【
図7】第1実施形態に係るペダル装置において反力発生機構の動作を説明するための説明図である。
【
図8】第1実施形態に係るペダル装置において反力発生機構の動作を説明するための説明図である。
【
図9】第1実施形態に係るペダル装置において反力発生機構の動作を説明するための説明図である。
【
図10】第1実施形態に係るペダル装置における踏力特性を示すグラフである。
【
図11】第2実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図13】第3実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図14】第4実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図15】第5実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図17】第6実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図18】第7実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図19】第8実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図20】第9実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図21】第10実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図22】第11実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図23】第12実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図24】第13実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図25】第14実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図26】第15実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図27】第16実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図28】第17実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【
図29】第18実施形態に係るペダル装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1~
図10を参照しつつ説明する。ペダル装置1は、車両に搭載され、運転者の踏力により踏み込み操作されるアクセルペダル装置またはブレーキペダル装置などとして用いられる。また、ペダル装置1には、オルガン式およびペンダント式のものがある。
【0012】
本実施形態では、ペダル装置1の一例として、ブレーキバイワイヤシステムに使用されるブレーキペダル装置について説明する。ブレーキバイワイヤシステムとは、ペダル装置1のセンサから出力される電気信号に基づき電子制御装置の駆動制御によりマスターシリンダで液圧を発生させ、その液圧によりブレーキ回路を介して各車輪のブレーキパッドを駆動して車両を制動するシステムである。
【0013】
図1~
図5に示すように、ペダル装置1は、ハウジング10、シャフト20、ペダルパッド30、センサユニット40および反力発生機構50などを備えたオルガン式のペダル装置1である。オルガン式のペダル装置1とは、ペダルパッド30のうち運転者に踏まれる部位が回転中心(以下、「回転軸CL」という)に対して車両搭載時の天地方向における上方に配置される構成のものをいう。
【0014】
図3に示すように、ハウジング10は、車体の一部に取り付けられる。詳細には、ハウジング10は、車両の車室内のフロア2またはダッシュパネルなど対してねじ3により取り付けられる。なお、ダッシュパネルは、車両のエンジンルーム等の車室外と車室内とを区切る隔壁であり、バルクヘッドと呼ばれることもある。
【0015】
図1および
図2に示すように、ハウジング10は、ハウジング本体11とハウジングカバー12を有している。
図4に示すように、ハウジング10は、最大回転位置まで移動したペダルパッド30の裏面と車体との間の領域に設けられる。
図3~
図5に示すように、ハウジング本体11の内側には、反力発生機構50およびセンサユニット40などが設けられる空間が形成されている。また、
図5に示すように、ハウジング本体11には、シャフト20を回転可能に支持するためのシャフト受部13が設けられている。一方、
図1に示すハウジングカバー12は、ハウジング本体11の側面に設けられ、ハウジング本体11の内側に形成される空間の側面開口部を塞いでいる。
【0016】
図5に示すように、シャフト20は、ハウジング本体11に設けられたシャフト受部13に回転可能に支持されている。詳細には、ハウジング本体11に設けられたシャフト受部13には、シャフト20を支持するための円筒状の軸受14が取り付けられており、シャフト20は、その軸受14に支持されている。したがって、シャフト20は、シャフト受部13の中心(すなわち、軸受14の中心)を回転軸CLとして回転可能である。なお、シャフト20は、ハウジング本体11に設けられたシャフト受部13のみに支持されており、ハウジングカバー12には支持されていない。
【0017】
図1、
図2および
図5に示すように、シャフト20は、例えば円柱状の金属を複数回折り曲げた形状とされており、軸部21、固定部22および連結部23を有している。軸部21は、シャフト受部13の中心線(すなわちシャフト20の回転軸CL)と平行に延び、シャフト受部13に配置される部位である。固定部22は、ペダルパッド30に対して回転不能に固定される部位である。本実施形態では、固定部22は、ペダルパッド30のうち運転者からの踏力を受ける面とは反対側の面(以下、「ペダルパッド30の裏面」という)に設けられた固定金具24に固定されている。連結部23は、軸部21と固定部22とを連結する部位である。
【0018】
ペダルパッド30は、例えば金属または樹脂などにより板状に形成され、フロア2に対して斜めに配置される。具体的には、ペダルパッド30は、その上端部が車両前方となり、下端部が車両後方となるように斜めに配置される。そして、ペダルパッド30のうち上側の部位には、運転者に踏まれる部位として厚肉部31が設けられている。厚肉部31は回転軸CLに対して車両搭載時の天地方向における上方に配置されている。なお、ペダルパッド30は、図に示した配置に限らず、例えば、フロア2に対して略垂直に配置してもよい。
【0019】
上述したように、ペダルパッド30の裏面とシャフト20の固定部22とは、固定金具24によって固定されている。そのため、ペダルパッド30は、シャフト20と同一の回転軸CL周りに所定角度範囲内で回転動作する。すなわち、ペダルパッド30の回転軸CLとシャフト20の回転軸CLとは同一である。
【0020】
図1~
図3は、ペダルパッド30に対して運転者の踏力が印加されていない状態を示している。一方、
図4は、ペダルパッド30に対して運転者の踏力が印加され、ペダルパッド30がその踏力を受けて回転した状態を示している。このように、ペダルパッド30は、厚肉部31に印加される運転者の踏力の増加に応じて、回転軸CLより車両前方の部位がフロア2側またはダッシュパネル側に回転移動する。また、ペダルパッド30は、厚肉部31に印加される運転者の踏力の減少に応じて、回転軸CLより車両前方の部位が上側または運転者側に回転移動する。
【0021】
運転者が踏み込み操作したペダルパッド30の操作量(すなわち、ペダルパッド30の回転角度)は、シャフト20の回転角度と同一である。そのペダルパッド30およびシャフト20の回転角度は、シャフト20の回転軸CL上または回転軸CLの周りに設けられたセンサユニット40により直接検出される。なお、以下の説明では、ペダルパッド30およびシャフト20の回転角度を「ペダル回転角」という。
【0022】
図5に示すように、センサユニット40は、シャフト20に設けられる回動部41と、ハウジング10に設けられて回動部41の位相に応じた信号を出力する信号出力部45とを有している。回動部41は、例えば、磁石およびヨークなどにより円筒状に形成された磁気回路42とその磁気回路42を保持する保持部43などを含んで構成されている。回動部41は、シャフト20の端部に対してボルト44などにより固定され、シャフト20と共に回転する。したがって、回動部41の回転中心と、シャフト20の回転軸CLとは同一である。回動部41を構成する磁気回路42は、シャフト20の回転軸CLを交差するように磁束が流れる磁界を形成する。
【0023】
一方、信号出力部45は、1個または複数個のホールIC46と、そのホールIC46をモールドするセンサ保持部47などを含んで構成されている。ホールIC46は、ホール素子と、そのホール素子の出力する信号の増幅などを行う集積回路を有している。ホールIC46は、ホール素子の感磁面を通過する磁束密度に応じた電気信号を出力する。シャフト20と共に回動部41が回転軸CL周りに回転すると、ホールIC46の有するホール素子の感磁面を通過する磁束密度が変化する。そのため、信号出力部45は、ペダルパッド30およびシャフト20の回転角度(すなわち、ペダル回転角)に応じた電気信号を出力する。
【0024】
ハウジング10のうちシャフト20の一端側に対応する位置には、信号出力部45を設置するための開口部15が設けられている。一方、信号出力部45のセンサ保持部47には、ハウジング10に設けられた開口部15の内壁面に嵌合する突起48が設けられている。ハウジング10に設けられた開口部15の内壁面に対し、信号出力部45のセンサ保持部47に設けられた突起48の外壁面が嵌合することで、信号出力部45のセンサ中心とシャフト20の回転軸CLとは同軸上に組み付けられる。
【0025】
図1~
図4に示すように、ペダルパッド30の最小回転位置と最大回転位置はそれぞれ、全閉ストッパ32および全開ストッパ33により規定される。全閉ストッパ32と全開ストッパ33はいずれも樹脂またはゴムにより形成され、ペダルパッド30の裏面に接触する面が、ペダルパッド30側に凸の曲面状となっている。
【0026】
全閉ストッパ32は、ハウジング10のうちペダルパッド30およびシャフト20の回転軸CLより車両後方側の部位に設けられている。具体的には、全閉ストッパ32は、ハウジング10のうち車両後方側の部位において、車両後方かつ斜め上方を向く壁面18に埋め込まれている。
図1~
図3に示すように、全閉ストッパ32は、ペダルパッド30に運転者の踏力が印加されないときにペダルパッド30の裏面に接触し、ペダルパッド30の最小回転位置を規定する。
【0027】
全開ストッパ33は、ハウジング10のうちペダルパッド30およびシャフト20の回転軸CLより車両前方側の部位に設けられている。具体的には、全開ストッパ33は、ハウジング10のうち車両前方側の壁面の上端部19に設けられている。詳細には、全開ストッパ33は、ハウジング10のうち車両前方側の部位において、車両後方かつ斜め上方を向く壁面に埋め込まれている。
図4に示すように、全開ストッパ33は、ペダルパッド30に印加される運転者の踏力が増加したときにペダルパッド30の裏面に接触し、ペダルパッド30の最大回転位置を規定する。
【0028】
図3および
図4に示すように、ペダルパッド30のうち運転者に踏まれる面とは反対側の領域には、運転者がペダルパッド30に印加する踏力に対する反力を発生させる反力発生機構50が設けられている。ペダル装置1は、反力発生機構50を備えることにより、ペダルパッド30とマスターシリンダとの機械的な接続を廃止した場合でも、ペダルパッド30とマスターシリンダとが接続している場合と同様の反力を得ることが可能である。
【0029】
反力発生機構50は、所定の板ばね51を含む複数の弾性部材を含んで構成され、ハウジング10の内側に設けられている。具体的に、本実施形態では、反力発生機構50は、板ばね51、第1コイルばね61、第2コイルばね62、第1ホルダ71、第2ホルダ72およびばね座73などより構成されている。
【0030】
板ばね51は、平板状に形成され、板厚方向に荷重を受けて弾性変形する部材である。板ばね51は、荷重を受けていない状態で、長手方向がフロア2側に凸の湾曲した形状とされている。板ばね51の湾曲部は、長手方向の中央位置よりもペダルパッド30の回転軸CL側の領域に設けられている。板ばね51は、長手方向が回転軸CLに垂直な仮想平面に沿って配置されている。すなわち、板ばね51の長手方向とペダルパッド30の長手方向とはいずれも回転軸CLに垂直な仮想平面に沿って配置されている。ペダルパッド30は、運転者から踏力を受けると回転軸CLに垂直な仮想平面に沿って回転する。そして、板ばね51は、板厚方向に荷重を受けると、回転軸CLに垂直な仮想平面に沿って撓む。このように、板ばね51は、最大回転位置まで移動したペダルパッド30の裏面と車体との間の限られた領域に設けられたハウジング10の空間内で、出来る限り大きく弾性変形可能な形状および配置とされている。
【0031】
板ばね51の長手方向の一方の端部は、ペダルパッド30の回転軸CLに対して車室内のフロア2側またはダッシュパネル側の領域に配置されている。そして、板ばね51の長手方向の一方の端部は、ハウジング10のうち車室内のフロア2側またはダッシュパネル側の部位に設けられた固定台16に取り付けられる。具体的には、ハウジング10の固定台16の上に板ばね51の長手方向の一方の端部が設置され、その上に、ねじ穴を有するナット部材25が設置される。板ばね51の端部と固定台16には、それぞれ穴が設けられている。固定台16のうちフロア2側の面から固定台16の穴にボルト26が挿入され、そのボルトが板ばね51の穴を挿通してナット部材25のねじ穴に螺合する。これにより、板ばね51の長手方向の一方の端部は、ハウジング10の固定台16に固定される。
【0032】
なお、本実施形態では、板ばね51の一方の端部をハウジング10に取り付ける構成について説明したが、これに限らず、板ばね51の一方の端部を車室内のフロア2またはダッシュパネルに直接固定する構成としてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、板ばね51の形状を平板状として説明したが、これに限らず、後述する第5実施形態で説明するように、例えば、平板の板厚または板幅の少なくとも一方が除変した形状としてもよい。また、本実施形態では、板ばね51の形状を長手方向に湾曲した形状として説明したが、これに限らず、後述する第2実施形態などで説明するように、例えば、荷重が印加されていない状態で長手方向に直線状としてもよい。
【0034】
板ばね51の長手方向の他方の端部には、反力発生機構50を構成する第1コイルばね61、第2コイルばね62、第1ホルダ71、第2ホルダ72およびばね座73などが設けられている。すなわち、本実施形態では、反力発生機構50を構成する所定の板ばね51と、その所定の板ばね51を除く弾性部材(すなわち、第1コイルばね61および第2コイルばね62)とが直列配置されている構成である。なお、本明細書において、直列配置とは、所定の板ばね51の一端または他端に、所定の板ばね51を除く弾性部材が配置されることをいう。
【0035】
具体的には、板ばね51の長手方向の他方の端部に第1ホルダ71が固定されており、その第1ホルダ71の内側に、第1コイルばね61、ばね座73、第2コイルばね62、第2ホルダ72がこの順に設けられている。
【0036】
図6に示すように、第1ホルダ71は、有底筒状に形成され、円筒状の筒部711、および、その筒部711のうち板ばね51側の端部に設けられる底部712を有している。第1ホルダ71の底部712は、板ばね51の長手方向の他方の端部に対し、例えばボルトまたはリベットなどにより固定されている。
【0037】
第1コイルばね61は、第1ホルダ71の内側に設けられている。第1コイルばね61は、軸芯方向の一端が第1ホルダ71の底部712に係止され、軸芯方向の他端がばね座73のフランジ部733に係止されている。
【0038】
ばね座73は、円筒状のばね座筒部731と、そのばね座筒部731のうち板ばね51側の端部に設けられるばね座底部732と、ばね座筒部731のうちペダルパッド30側の端部から径方向外側に拡がるように設けられるフランジ部733とを有している。ばね座筒部731は、第1コイルばね61の内側に設けられている。ばね座73の有するフランジ部733のうち径方向外側の外壁面733aは径方向外側に凸の曲面とされている。そして、その外壁面733aと、第1ホルダ71の筒部711のうち径方向内側の内壁面71aとの間には、所定の隙間G1が設けられている。そのため、ばね座73は、第1ホルダ71の内側で軸芯方向に往復移動可能である。
【0039】
ばね座筒部731のうち径方向外側の外壁面731aは、第1コイルばね61の径方向の動きを規制しつつ、第1コイルばね61が軸芯方向に撓むように案内するガイド面として機能する。また、ばね座筒部731のうち径方向内側の内壁面731bは、第2コイルばね62の径方向の動きを規制しつつ、第2コイルばね62が軸芯方向に撓むように案内するガイド面として機能する。
【0040】
第2コイルばね62は、ばね座筒部731の内側に設けられている。第2コイルばね62は、軸芯方向の一端がばね座底部732に係止され、軸芯方向の他端が第2ホルダ72に係止されている。第2コイルばね62の直径は、第1コイルばね61の直径よりも小さく形成されている。具体的には、第2コイルばね62の直径は、ばね座筒部731の内径よりも小さく形成されている。
【0041】
第2ホルダ72は、円柱状に形成され、第1ホルダ71の筒部711の内側に設けられている。第1ホルダ71の筒部711のうち径方向内側の内壁面71aと、第2ホルダ72のうち径方向外側の外壁面72aとは摺接している。第1ホルダ71の筒部711のうち径方向内側の内壁面71aと、第2ホルダ72のうち径方向外側の外壁面72aとは、第1ホルダ71の底部712と第2ホルダ72とが互いに向かい合う方向に直線状に相対移動するためのガイド面として機能する。
【0042】
第2ホルダ72のうちばね座73側の面には、第2コイルばね62の端部を係止する係止溝721が設けられている。第2コイルばね62のうち第2ホルダ72側の端部は、その係止溝721に係止され、径方向の移動が規制されている。すなわち、第2ホルダ72のうちばね座73側の面に設けられた係止溝721は、第2コイルばね62の径方向の移動を規制する規制部として機能する。
【0043】
第2ホルダ72とペダルパッド30とは、連結ロッド90により連結されている。第2ホルダ72のうちペダルパッド30側の面には、連結ロッド90の一端を回転可能に接続する接続溝722が設けられている。連結ロッド90の一端は、第2ホルダ72に設けられた接続溝722に接続されている。一方、
図3および
図4に示すように、連結ロッド90の他端は、ペダルパッド30に設けられた接続部34に対して回転可能に接続されている。
【0044】
図6に示すように、ばね座底部732のうち板ばね51側の面732aと、第1ホルダ71の底部712のうちばね座73側の面712aとは、第1コイルばね61が収縮したときに当接可能である。そのため、ばね座底部732のうち板ばね51側の面732aと、第1ホルダ71の底部712のうちばね座73側の面712aは、第1コイルばね61の撓み量を規制するストッパとして機能する。
【0045】
また、ばね座73のフランジ部733のうち第2ホルダ72側の面733bと、第2ホルダ72のうちばね座73側の面72bとは、第2コイルばね62が収縮したときに当接可能である。そのため、ばね座73のフランジ部733のうち第2ホルダ72側の面733bと、第2ホルダ72のうちばね座73側の面72bは、第2コイルばね62の撓み量を規制するストッパとして機能する。
【0046】
上述したペダル装置1の構成において、運転者がペダルパッド30に踏力を印加し、ペダルパッド30がフロア2側またはダッシュパネル側に回転するときの反力発生機構50の動作について、
図7~
図9および
図4を参照して説明する。なお、
図8は反力発生機構50の動作の一例であり、反力発生機構50は
図8とは異なる動作をする場合もあるので、それも合わせて説明する。
【0047】
図7は、ペダルパッド30に対して運転者の踏力が印加されていない状態を示している。この状態で、第1コイルばね61と第2コイルばね62は軸芯方向に伸びている。この状態から、運転者がペダルパッド30に踏力を印加すると、第1コイルばね61と第2コイルばね62が軸芯方向に縮み、板ばね51も第1ホルダ71などを固定する部位がフロア2側またはダッシュパネル側に近づくように撓む。
【0048】
次に、
図8に示すように、運転者がペダルパッド30に印加する踏力を次第に大きくしてゆくと、複数の弾性部材のうちばね定数の最も小さい第2コイルばね62の収縮量が最も大きくなり、ばね座73のフランジ部733のうち第2ホルダ72側の面733bと、第2ホルダ72のうちばね座73側の面72bとが当接する。これにより、第2コイルばね62の撓み量が規制される。
なお、
図8では、ばね座73のフランジ部733のうち第2ホルダ72側の面733bと、第2ホルダ72のうちばね座73側の面72bとが当接している状態を示しているが、これに限らない。図示は省略するが、ばね座73のフランジ部733のうち第2ホルダ72側の面733bと、第2ホルダ72のうちばね座73側の面72bとの隙間に比べて、ばね座底部732のうち板ばね51側の面732aと、第1ホルダ71の底部712のうちばね座73側の面712aとの隙間が小さい場合には、ばね座底部732のうち板ばね51側の面732aと、第1ホルダ71の底部712のうちばね座73側の面712aとが先に当接する場合もある。この場合、第1コイルばね61の撓み量が規制される。
【0049】
続いて、
図9に示すように、運転者がペダルパッド30に印加する踏力を大きくしてゆくと、複数の弾性部材のうち第1コイルばね61の収縮量も大きくなり、ばね座底部732のうち板ばね51側の面732aと、第1ホルダ71の底部712のうちばね座73側の面712aとが当接する。これにより、第1コイルばね61の撓み量が規制される。
【0050】
さらに、
図4に示すように、運転者がペダルパッド30に印加する踏力をさらに大きくしてゆくと、複数の弾性部材のうち板ばね51の撓み量も大きくなり、板ばね51はハウジング10のうちフロア2側またはダッシュパネル側の部位に近づくように撓む。そして、ペダルパッド30の裏面と全開ストッパ33とが当接する。これにより、ペダルパッド30の最大回転位置が規定されると共に、板ばね51の撓み量が規制される。
【0051】
図10は、第1実施形態に係るペダル装置1において、ペダルパッド30のストローク量(以下、「ペダルストローク」という)に対する運転者の踏力の一例を示したものである。
【0052】
ペダルストロークが0~θ1までは、反力発生機構50が有する全ての弾性部材(すなわち、板ばね51と第1コイルばね61と第2コイルばね62)が撓む。そのため、ペダルストロークが0~θ1のときの踏力の増加率は比較的小さいものとなる。ペダルストロークがθ1のとき、
図8に示したように、ばね座73のフランジ部733のうち第2ホルダ72側の面733bと、第2ホルダ72のうちばね座73側の面72bとが当接し、第2コイルばね62の撓み量が規制される。
なお、上述したように、
図8に示した状態に限らず、ばね座底部732のうち板ばね51側の面732aと、第1ホルダ71の底部712のうちばね座73側の面712aとが先に当接する場合もある。この場合、第1コイルばね61の撓み量が規制される。
したがって、第1コイルばね61と第2コイルばね62のどちらか一方のばねの撓み量が規制される。
【0053】
ペダルストロークがθ1からθ2までは、反力発生機構50が有する複数の弾性部材のうち板ばね51と、第1コイルばね61または第2コイルばね62のうち撓み量の規制されていない方のコイルばねが撓む。ばね3個の直列配置から、ばね2個の直列配置に変わると、踏力の増加率は大きくなる。そのため、ペダルストロークがθ1~θ2のときの踏力の増加率は、ペダルストロークが0~θ1のときの踏力の増加率に比べて大きくなる。ペダルストロークがθ2のとき、
図9に示したように、ばね座底部732のうち板ばね51側の面732aと、第1ホルダ71の底部712のうちばね座73側の面712aとが当接し、第1コイルばね61の撓み量が規制される。
【0054】
ペダルストロークがθ2からθ3までは、反力発生機構50が有する複数の弾性部材のうち板ばね51のみが撓む。そのため、ペダルストロークがθ2~θ3のときの踏力の増加率は、ペダルストロークがθ1~θ2のときの踏力の増加率に比べて大きくなる。すなわち、本実施形態では、反力発生機構50に板ばね51を使うことで、ペダルストロークがθ2~θ3の区間で高いばね定数を得ることができる。ペダルストロークがθ3のとき、
図4に示したように、ペダルパッド30の裏面と全開ストッパ33とが当接し、ペダルパッド30の最大回転位置が規定されると共に、板ばね51の撓み量が規制される。
【0055】
以上説明した第1実施形態のペダル装置1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態のペダル装置1が備える反力発生機構50は、所定の板ばね51を有する複数の弾性部材を含んで構成されている。
これによれば、例えば、仮に、反力発生機構50の弾性部材をコイルばねのみで構成した場合、「コイルばねの線径×巻き数」と「撓み量」とを合わせた空間が必要となる。それに対し、反力発生機構50の弾性部材に板ばね51を用いた場合、「板ばね51の板厚」と「撓み量」とを合わせた空間があればよい。そのため、コイルばねを設置するために必要な空間に比べて、板ばね51を設置するために必要な空間は小さいものとなる。したがって、ペダル装置1は、反力発生機構50の弾性部材に板ばね51を用いることで、ペダルパッド30のうち運転者に踏まれる面とは反対側の空間を小さくすることが可能となる。その結果、このペダル装置1は、体格を小型化することができる。
【0056】
(2)第1実施形態では、反力発生機構50の有する板ばね51は、平板状であり、荷重が印加されていない状態で長手方向に湾曲した形状である。なお、板ばね51の形状は、平板の板厚または板幅の少なくとも一方が除変した形状としてもよく、荷重が印加されていない状態で長手方向に直線状としてもよい。
これによれば、板ばね51の形状を変えることで、狙った踏力特性を得ることができる。
【0057】
(3)第1実施形態では、反力発生機構50を構成する複数の弾性部材のうち所定の板ばね51を除く弾性部材(すなわち、第1コイルばね61および第2コイルばね62)は、所定の板ばね51の長手方向の他端に直列配置されている。
これによれば、反力発生機構50を構成する複数の弾性部材を直列配置にすることで、ペダルの踏み心地を良くすることができる。
【0058】
(4)第1実施形態では、反力発生機構50は、第1コイルばね61の軸芯方向の一端を係止する第1ホルダ71と、第2コイルばね62の軸芯方向の他端を係止する第2ホルダ72とを有している。
これによれば、第1コイルばね61の軸芯方向の一端に第1ホルダ71を配置し、第2コイルばね62の軸芯方向の他端に第2ホルダ72を配置することで、その第1ホルダ71と第2ホルダ72により、第1コイルばね61と第2コイルばね62を押すことができる。
【0059】
(5)第1実施形態では、反力発生機構50は、第1ホルダ71とばね座73と第2ホルダ72にそれぞれストッパとして機能する部位を有している。具体的には、ばね座底部732のうち板ばね51側の面732aと、第1ホルダ71の底部712のうちばね座73側の面712aは、第1コイルばね61の撓み量を規制するストッパとして機能する。また、ばね座73のフランジ部733のうち第2ホルダ72側の面733bと、第2ホルダ72のうちばね座73側の面72bは、第2コイルばね62の撓み量を規制するストッパとして機能する。
これによれば、第1コイルばね61および第2コイルばね62のたわみ量を調節できるので、狙った踏力特性を得ることができる。
【0060】
(6)第1実施形態では、第1ホルダ71と第2ホルダ72とは、第1ホルダ71と第2ホルダ72とが互いに向かい合う方向に直線状に相対移動するためのガイド面として機能する部位を有している。具体的には、第1ホルダ71の筒部711のうち径方向内側の内壁面71aと、第2ホルダ72のうち径方向外側の外壁面72aとは、第1ホルダ71と第2ホルダ72とが互いに向かい合う方向に直線状に相対移動するためのガイド面として機能する。
これによれば、所定の板ばね51が撓み、第1ホルダ71と第2ホルダ72との間に配置した第1、第2コイルばね61、62の軸芯とペダルパッド30との角度が変化した場合でも、その第1、第2コイルばね61、62を直動できるため、狙った踏力特性を得ることができる。
【0061】
(7)第1実施形態では、第1ホルダ71は、底部712を有する円筒状の部材である。また、第2ホルダ72は、第1ホルダ71の筒部711の内側に配置される円柱状の部材である。
これによれば、第1ホルダ71は円筒状の部材であり、第2ホルダ72は円柱状の部材であるので、いずれも周方向の向きが無く、組付けやすい。
【0062】
(8)第1実施形態では、第2ホルダ72は、第2コイルばね62が径方向に移動することを規制する規制部として機能する部位を有している。具体的には、第2ホルダ72のうちばね座73側の面72bに設けられた係止溝721は、第2コイルばね62の径方向の位置ずれを規制する規制部として機能する。
これによれば、第2コイルばね62が径方向に位置ずれすることが防がれるので、狙った踏力特性を得ることができる。
【0063】
(9)第1実施形態では、反力発生機構50を構成する複数の弾性部材のうち所定の板ばね51を除く弾性部材は、第1コイルばね61と第2コイルばね62である。
これによれば、所定の板ばね51を除く弾性部材として、コイルばねが例示される。
【0064】
(10)第1実施形態では、反力発生機構50は、第1ホルダ71と第2ホルダ72との間に複数のコイルばねを配置する場合、第1コイルばね61と第2コイルばね62との間にばね座73を有する。
これによれば、第1コイルばね61と第2コイルばね62との間にばね座73を配置することで、その第1コイルばね61と第2コイルばね62とを直列配置することができる。
【0065】
(11)第1実施形態では、第1コイルばね61の直径と、第2コイルばね62の直径とは異なっている。
これによれば、第1コイルばね61と第2コイルばね62とを径方向に重ねた状態で配置することができる。
【0066】
(12)第1実施形態では、ばね座73は、円筒状のばね座筒部731と、ばね座筒部731の軸芯方向の一端から径方向外側に拡がるように設けられるフランジ部733と、ばね座筒部731の軸芯方向の他端に設けられるばね座底部732とを有する。
これによれば、ばね座73のフランジ部733と第1ホルダ71との間に第1コイルばね61を配置し、ばね座底部732と第2ホルダ72との間に第2コイルばね62を配置することで、第1コイルばね61と第2コイルばね62それぞれの最大撓み量を調整することが可能である。これにより、複数の屈曲点を有する踏力特性を得ることができる。
【0067】
(13)第1実施形態では、ばね座筒部731のうち径方向内側の内壁面731bと、径方向外側の外壁面731aとは、複数のコイルばね(すなわち第1コイルばね61と第2コイルばね62)の径方向の動きを規制しつつ、複数のコイルばねが軸芯方向に撓むように案内するガイド面として機能する。
これによれば、複数のコイルばねがいずれも軸芯方向に撓むため、狙った踏力特性を得ることができる。
【0068】
(14)第1実施形態では、ばね座73の有するフランジ部733のうち径方向外側の外壁面733aは径方向外側に凸の曲面とされており、その外壁面733aと、第1ホルダ71の筒部711の内壁面71aとの間には所定の隙間G1が設けられている。
これによれば、板ばね51が撓んだ場合でも、第1ホルダ71の筒部711の内壁面71aとばね座73のフランジ部733の外壁面733aとの摩擦が大きくなることが防がれるため、狙った踏力特性を得ることができる。
【0069】
(15)第1実施形態では、反力発生機構50は、ハウジング10の内側に配置されている。
これによれば、ハウジング10の外部から反力発生機構50に異物が侵入することを抑制することができる。
【0070】
(16)第1実施形態では、ハウジング10は、車体のうち車室内のフロア2またはダッシュパネルに対し、ねじ3により固定される。
これによれば、車体のうち車室内のフロア2またはダッシュパネルにハウジング10を確実に固定し、動かないようにできる。
【0071】
(17)第1実施形態では、板ばね51の長手方向の一方の端部は、ペダルパッド30の回転軸CLよりも車室内のフロア2側またはダッシュパネル側の領域に配置されている。
これによれば、板ばね51は、その一方の端部から他方の端部に亘り、ペダルパッド30のうち運転者に踏まれる面とは反対側の空間に配置される。そのため、反力発生機構50に板ばね51を用いることで、ペダルパッド30のうち運転者に踏まれる面とは反対側の空間を小さくすることが可能となる。したがって、このペダル装置1は、体格を小型化することができる。
【0072】
(18)第1実施形態では、所定の板ばね51の一方の端部は、ハウジング10のうち車室内のフロア2またはダッシュパネル側の部位に取り付けられるか或いは車室内のフロア2またはダッシュパネルに取り付けられる。
これによれば、所定の板ばね51の一方の端部を、ハウジング10を介して車体で支持するか、或いは、車体で直接支持する構成となるため、板ばね51の取り付け部に関する剛性を高くすることができる。
【0073】
(第2~第18実施形態)
第2~第18実施形態は、第1実施形態に対して反力発生機構50の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。なお、第2~第18実施形態で参照する図では、ペダル装置1の各構成を簡略化して示している。
【0074】
(第2実施形態)
図11に示すように、第2実施形態のペダル装置1も、ハウジング10、シャフト20、ペダルパッド30、センサユニットおよび反力発生機構50などを備えている。
【0075】
ハウジング10は、車室内のフロアまたはダッシュパネルなどに取り付けられる。なお、
図11では、ハウジング10の一部のみを簡略化して表示している。このことは、後述する第3~第18実施形態で参照する図においても同じである。
【0076】
シャフト20の有するシャフト軸部21は、ハウジング10のシャフト受部13に回転可能に支持されている。そして、ペダルパッド30は、長手方向の一方の端部がシャフト20に固定されているものとする。そのため、ペダルパッド30は、シャフト受部13の中心を回転軸CLとして回転可能である。また、ペダルパッド30の長手方向の他方の端部には、運転者に踏まれる部位として厚肉部31が設けられている。
【0077】
図11では、運転者の踏力が印加されていない状態のペダルパッド30を紙面水平に記載しているが、これは模式的に示したものである。例えば、ペダル装置1がオルガン式である場合、ペダルパッド30は、運転者に踏まれる厚肉部31が回転軸CLに対して車両搭載時の天地方向における上方に配置される。また、例えば、ペダル装置1がペンダント式である場合、ペダルパッド30は、運転者に踏まれる厚肉部31が回転軸CLに対して車両搭載時の天地方向における下方に配置される。このことも、後述する第3~第18実施形態で参照する図においても同じである。
【0078】
なお、ペダルパッド30およびシャフト20の回転角度(すなわち、ペダル回転角)は、図示しないセンサユニットにより検出される。センサユニットは、ペダル回転角に応じた電気信号を車両の電子制御装置に出力する。
【0079】
ペダルパッド30のうち運転者に踏まれる面とは反対側の領域には反力発生機構50が設けられている。反力発生機構50は、運転者がペダルパッド30に印加する踏力に対する反力を発生させる。第2実施形態では、反力発生機構50は、板ばね51および弾性部材60などより構成されている。
【0080】
第2実施形態では、板ばね51は、長手方向の一方の端部から他方の端部に亘り板厚が一定とされており、荷重を受けていない状態で長手方向に直線状とされている。また、
図12に示すように、板ばね51は、長手方向に垂直な断面が矩形状であり、板厚方向の一方側から他方側に亘り板幅が一定とされている。
【0081】
図11に示すように、板ばね51の長手方向の一方の端部は、ペダルパッド30の回転軸CLよりも車室内のフロア側またはダッシュパネル側の領域に配置されている。そして、板ばね51の長手方向の一方の端部は、ハウジング10のうち車室内のフロア側またはダッシュパネル側の部位に設けられた固定台16に対しボルト26などにより取り付けられる。
なお、
図11では、板ばね51の一方の端部をハウジング10の固定台16に取り付ける構成を示しているが、これに限らず、板ばね51の一方の端部を車室内のフロアまたはダッシュパネルに直接固定してもよい。このことは、後述する第3~第18実施形態でも同じである。
【0082】
板ばね51の長手方向の他方の端部には、反力発生機構50の一部を構成する弾性部材60が設けられている。すなわち、第2実施形態でも、反力発生機構50は、所定の板ばね51と、その所定の板ばね51を除く弾性部材60とが直列配置されている構成である。弾性部材60として、コイルばねなどが例示される。なお、弾性部材60は、1個のコイルばねに限らず、例えば、第1実施形態に説明したような複数のコイルばね、ホルダ、およびばね座などを組み合わせたものとしてもよい。弾性部材60は、ペダルパッド30に設けられた当接ピン91に当接している。なお、当接ピン91に代えて、第1実施形態で説明した連結ロッド90を設けてもよい。
【0083】
第2実施形態においても、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、ペダルパッド30から当接ピン91を経由して弾性部材60と板ばね51に荷重が印加される。これにより、弾性部材60が軸芯方向に縮むと共に、板ばね51も弾性部材60を固定する部位がフロア側またはダッシュパネル側に近づくように撓む。これにより、第2実施形態のペダル装置1も、板ばね51と弾性部材60により、狙った踏力特性を得ることができる。
以上説明した第2実施形態のペダル装置1も、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0084】
(第3実施形態)
図13に示すように、第3実施形態では、反力発生機構50を構成する板ばね51と弾性部材60が並列配置されている構成である。なお、本明細書において、並列配置とは、所定の板ばね51がハウジング10または車体に固定される部位と、その所定の板ばね51を除く弾性部材60がハウジング10または車体に固定される部位とが異なるように配置されることをいう。
【0085】
板ばね51の長手方向の一方の端部は、ペダルパッド30の回転軸CLよりも車室内のフロア側またはダッシュパネル側の領域に配置されている。そして、板ばね51の長手方向の一方の端部は、ハウジング10の固定台16にボルト26などにより取り付けられる。板ばね51の長手方向の他方の端部は、ペダルパッド30に設けられた第1当接ピン91に当接している。
【0086】
弾性部材60のうち軸芯方向の一方の端部は、ハウジング10のうち固定台16とは別の部位101に取り付けられる。弾性部材60のうち軸芯方向の他方の端部は、ペダルパッド30に設けられた第2当接ピン92に当接している。
【0087】
第3実施形態の構成において運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、ペダルパッド30から第1当接ピン91を経由して板ばね51に荷重が印加されると共に、ペダルパッド30から第2当接ピン92を経由して弾性部材60にも荷重が印加される。これにより、板ばね51がフロア側またはダッシュパネル側に近づくように撓むと共に、弾性部材60も軸芯方向に縮む。これにより、第3実施形態のペダル装置1も、板ばね51と弾性部材60により、狙った踏力特性を得ることができる。
【0088】
以上説明した第3実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。また、第3実施形態では、反力発生機構50を構成する板ばね51と弾性部材60とを並列配置にすることで、板ばね51と弾性部材60を配置しやすくなる。
【0089】
(第4実施形態)
図14に示すように、第4実施形態は、前記第2実施形態に対して反力発生機構50を構成する板ばね51と弾性部材60の取付方法を変更したものである。なお、第4実施形態においても、反力発生機構50を構成する板ばね51と弾性部材60とは直列配置されている構成である。
【0090】
板ばね51の長手方向の一方の端部のうちペダルパッド30とは反対側の面に、反力発生機構50の一部を構成する弾性部材60が設けられている。弾性部材60は、軸芯方向の一端が板ばね51に接続されている。また、弾性部材60は、軸芯方向の他端がハウジング10に設けられた当接ピン93に当接している。
板ばね51の長手方向の他方の端部は、ペダルパッド30のうち回転軸CLから遠い部位に設けられた取付部35に対してボルト27などにより固定されている。
【0091】
第4実施形態においても、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、ペダルパッド30から板ばね51と弾性部材60に荷重が印加される。これにより、板ばね51がフロア側またはダッシュパネル側に近づくように撓むと共に、弾性部材60も軸芯方向に縮む。これにより、第4実施形態のペダル装置1も、板ばね51と弾性部材60により、狙った踏力特性を得ることができる。
以上説明した第4実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0092】
(第5実施形態)
図15に示すように、第5実施形態は、前記第2実施形態に対して反力発生機構50を構成する板ばね51の形状を変更したものである。板ばね51は、長手方向の一方の端部から他方の端部に亘り板厚が徐変する形状とされている。また、
図16に示すように、板ばね51は、長手方向に垂直な断面が台形状であり、すなわち、板厚方向の一方側から他方側に亘り板幅が徐変する形状とされている。これにより、第5実施形態のペダル装置1も、形状を変化させた板ばね51と弾性部材60により、狙った踏力特性を得ることができる。
以上説明した第5実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0093】
(第6実施形態)
図17に示すように、第6実施形態は、前記第2実施形態に対して反力発生機構50を構成する板ばね51の形状を変更したものである。板ばね51は、荷重を受けていない状態で、長手方向がフロア側に凸の湾曲した形状とされている。板ばね51は、ペダルパッド30のうち運転者に踏まれる面とは反対側の空間の大きさおよび形状に合わせるように、種々の形状を採用することが可能である。そして、第6実施形態のペダル装置1も、湾曲させた板ばね51と弾性部材60により、狙った踏力特性を得ることができる。
以上説明した第6実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0094】
(第7実施形態)
図18に示すように、第7実施形態は、前記第2実施形態に対して反力発生機構50の構成の一部を変更したものである。第7実施形態では、反力発生機構50は、板ばね51、コイルばね63、第1ホルダ71および第2ホルダ72などより構成されている。
【0095】
板ばね51の長手方向の一方の端部は、ハウジング10の固定台16にボルト26などにより取り付けられている。板ばね51の長手方向の他方の端部には、第1ホルダ71、コイルばね63、第2ホルダ72がこの順に設けられている。
【0096】
第1ホルダ71は、例えば円盤状に形成され、板ばね51の長手方向の他方の端部に固定されている。コイルばね63は、軸芯方向の一端が第1ホルダ71に係止され、軸芯方向の他端が第2ホルダ72に係止されている。第2ホルダ72は、例えば円盤状に形成されている。第2ホルダ72は、ペダルパッド30に設けられた当接ピン91に当接している。
【0097】
また、第2ホルダ72は、ストッパ74を有している。ストッパ74は、第2ホルダ72のうち第1ホルダ71側の面から第1ホルダ71側に延びている。ストッパ74は、コイルばねが撓んだときに第1ホルダ71に当接することでコイルばね63の撓み量を規制することが可能である。
【0098】
第7実施形態においても、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、ペダルパッド30から当接ピン91を経由してコイルばね63と板ばね51に荷重が印加される。これにより、コイルばね63が軸芯方向に縮むと共に、板ばね51も第1ホルダ71などを固定する部位がフロア側またはダッシュパネル側に近づくように撓む。そして、ペダルストロークが所定の大きさになると、ストッパ74と第1ホルダ71とが当接し、コイルばね63の撓み量が規制される。その後、ペダルストロークがさらに大きくなると、板ばね51のみが撓む。これにより、第7実施形態のペダル装置1も、板ばね51とコイルばね63により狙った踏力特性を得ることができる。
以上説明した第7実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0099】
(第8実施形態)
図19に示すように、第8実施形態も、前記第2実施形態に対して反力発生機構50の構成を変更したものである。第8実施形態でも、反力発生機構50は、板ばね51、コイルばね63、第1ホルダ71および第2ホルダ72などより構成されている。
【0100】
板ばね51の長手方向の一方の端部は、ハウジング10の固定台16にボルト26などにより取り付けられている。板ばね51の長手方向の他方の端部には、第1ホルダ71、コイルばね63、第2ホルダ72がこの順に設けられている。
【0101】
第1ホルダ71は、有底筒状に形成され、円筒状の筒部711、および、その筒部711のうち板ばね51側の端部に設けられる底部712を有している。第1ホルダ71の底部712は、板ばね51の長手方向の他方の端部に対し図示しないボルトまたはリベットなどにより固定されている。
【0102】
コイルばね63は、軸芯方向の一端が第1ホルダ71に係止され、軸芯方向の他端が第2ホルダ72に係止されている。
【0103】
第2ホルダ72は、円柱状に形成され、第1ホルダ71の筒部711の内側に設けられている。第1ホルダ71の筒部711のうち径方向内側の内壁面71aと、第2ホルダ72のうち径方向外側の外壁面72aとは摺接している。第1ホルダ71の筒部711のうち径方向内側の内壁面71aと、第2ホルダ72のうち径方向外側の外壁面72aとは、第1ホルダ71の底部712と第2ホルダ72とが互いに向かい合う方向に直線状に相対移動するためのガイド面として機能する。
【0104】
また、第8実施形態では、第1ホルダ71は、コイルばね63の軸芯方向の一端が径方向に位置ずれすることを規制する第1規制部75を有している。第1規制部75は、コイルばね63の軸芯方向の一端の外側を囲うように設けられている。
また、第2ホルダ72は、コイルばね63の軸芯方向の他端が径方向に位置ずれすることを規制する第2規制部76を有している。第2規制部76は、コイルばね63の軸芯方向の他端の内側に設けられている。これにより、第8実施形態のペダル装置1も、コイルばね63が径方向に位置ずれすることが規制されるので、そのコイルばね63と板ばね51により狙った踏力特性を得ることができる。
以上説明した第8実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0105】
(第9実施形態)
図20に示すように、第9実施形態は、反力発生機構50を複数の板ばねにより構成したものである。第9実施形態では、反力発生機構50は、第1板ばね511、第2板ばね512、第3板ばね513などより構成されている。なお、反力発生機構50を構成する板ばねの数は、3個に限らず、2個または4個以上としてもよい。
【0106】
第1板ばね511の長手方向の一方の端部は、ハウジング10の固定台16にボルト26などにより固定されている。第1板ばね511の長手方向の他方の端部と、第2板ばね512の長手方向の一方の端部とは、第1締結ボルト52などにより締結されている。第2板ばね512の長手方向の他方の端部と、第3板ばね513の長手方向の一方の端部とは、第2締結ボルト53などにより締結されている。第3板ばね513の長手方向の他方の端部は、ペダルパッド30に設けられた当接ピン91に当接している。
【0107】
ハウジング10の内側には、第1締結ボルト52に対応する位置に第1下当接ピン94が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第1締結ボルト52と第1下当接ピン94には所定の間隔があけられている。
また、ハウジング10の内側には、第2締結ボルト53に対応する位置に第2下当接ピン95が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第2締結ボルト53と第2下当接ピン95には所定の間隔があけられている。第1締結ボルト52と第1下当接ピン94との間隔に比べて、第2締結ボルト53と第2下当接ピン95との間隔は大きく設定されている。
【0108】
第9実施形態の構成において、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、ペダルパッド30から当接ピン91を経由して第1~第3板ばね511、512、513に荷重が印加される。これにより、第1板ばね511の長手方向の一方の端部(すなわち、第1板ばね511のうち固定台16に固定されている部位)を固定端として、第1~第3板ばね511、512、513は、フロア側またはダッシュパネル側に近づくように撓む。
【0109】
そして、ペダルストロークが所定の大きさになると、第1締結ボルト52と第1下当接ピン94とが当接し、第1板ばね511の撓み量が規制される。その後、ペダルストロークがさらに大きくなると、第2板ばね512と第3板ばね513が撓む。そして、第2締結ボルト53と第2下当接ピン95とが当接すると、第2板ばね512の撓み量が規制される。その後、ペダルストロークがさらに大きくなると、第3板ばね513のみが撓む。これにより、第9実施形態のペダル装置1は、複数の板ばね51を直列配置することで、高いばね定数で狙った踏力特性を得ることができる。さらに、第9実施形態のペダル装置1は、複数の板ばね511、512の撓み量を規制する下当接ピン94、95を備えている。そのため、複数の板ばね511、512の撓み量を規定することで、ペダルストロークの途中でばね特性を変えることが可能となり、狙った踏力特性を得ることができる。
以上説明した第9実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0110】
(第10実施形態)
図21に示すように、第10実施形態も、反力発生機構50を複数の板ばねにより構成したものである。ただし、第10実施形態は、第9実施形態で説明した第1板ばね511、第2板ばね512、第3板ばね513の配置が長手方向において逆となっている。
【0111】
第1板ばね511の長手方向の一方の端部は、ペダルパッド30のうち回転軸CLから遠い部位に設けられた取付部35に対してボルト27などにより固定されている。第1板ばね511の長手方向の他方の端部と、第2板ばね512の長手方向の一方の端部とは、第1締結ボルト52などにより締結されている。第2板ばね512の長手方向の他方の端部と、第3板ばね513の長手方向の一方の端部とは、第2締結ボルト53などにより締結されている。第3板ばね513の長手方向の他方の端部は、ハウジング10に設けられた下当接ピン94に当接している。
【0112】
ペダルパッド30の裏面には、第1締結ボルト52に対応する位置に第1上当接ピン97が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第1締結ボルト52と第1上当接ピン97には所定の間隔があけられている。
また、ペダルパッド30の裏面には、第2締結ボルト53に対応する位置に第2上当接ピン98が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第2締結ボルト53と第2上当接ピン98には所定の間隔があけられている。第1締結ボルト52と第1上当接ピン97との間隔に比べて、第2締結ボルト53と第2上当接ピン98との間隔は大きく設定されている。
【0113】
第10実施形態の構成において、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、ペダルパッド30か第1~第3板ばね511、512、513に荷重が印加される。これにより、第1板ばね511の長手方向の一方の端部(すなわち、第1板ばね511のうちペダルパッド30の取付部35に固定されている部位)を固定端として、第1~第3板ばね511、512、513は、フロア側またはダッシュパネル側に近づくように撓む。
【0114】
そして、ペダルストロークが所定の大きさになると、第1締結ボルト52と第1上当接ピン97とが当接し、第1板ばね511の撓み量が規制される。その後、ペダルストロークがさらに大きくなると、第2板ばね512と第3板ばね513が撓む。そして、第2締結ボルト53と第2上当接ピン98とが当接すると、第2板ばね512の撓み量が規制される。その後、ペダルストロークがさらに大きくなると、第3板ばね513のみが撓む。これにより、第10実施形態のペダル装置1も、複数の板ばね511、512、513を直列配置することで、高いばね定数で狙った踏力特性を得ることができる。また、第10実施形態のペダル装置1も、複数の板ばね511、512の撓み量を規制する上当接ピン97、98を備えている。そのため、複数の板ばね511、512の撓み量を規定することで、ペダルストロークの途中でばね特性を変えることが可能となり、狙った踏力特性を得ることができる。
以上説明した第10実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0115】
(第11実施形態)
図22に示すように、第11実施形態も、反力発生機構50を複数の板ばねにより構成したものである。第11実施形態では、反力発生機構50を構成する第1板ばね511、第2板ばね512、第3板ばね513はいずれも、ペダルパッド30の回転軸CL側に凸の湾曲した形状とされている。そして、第1板ばね511の湾曲部の内側に第2板ばね512の湾曲部が配置されており、その第2板ばね512の湾曲部の内側に第3板ばね513の湾曲部が配置されている。なお、反力発生機構50を構成する板ばねの数は、3個に限らず、2個または4個以上としてもよい。
【0116】
第1~第3板ばね511、512、513の長手方向の一方の端部は、ハウジング10のうち車室内のフロア側またはダッシュパネル側の部位にボルト26などにより固定されている。
【0117】
ペダルパッド30の裏面には、第1板ばね511に対応する位置に第1上当接ピン97が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第1板ばね511と第1上当接ピン97とは接している。
【0118】
また、ペダルパッド30の裏面には、第2板ばね512に対応する位置に第2上当接ピン98が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第2板ばね512と第2上当接ピン98には所定の間隔があけられている。
【0119】
また、ペダルパッド30の裏面には、第3板ばね513に対応する位置に第3上当接ピン99が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第3板ばね513と第3上当接ピン99には所定の間隔があけられている。第2板ばね512と第2上当接ピン98との間隔に比べて、第3板ばね513と第3上当接ピン99との間隔は大きく設定されている。
【0120】
第11実施形態の構成において、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、ペダルパッド30から第1上当接ピン97を経由して第1板ばね511に荷重が印加される。これにより、第1板ばね511は、湾曲部の曲率半径が小さくなり、湾曲部よりもペダルパッド30側の部位がフロア側またはダッシュパネル側に近づくように撓む。
【0121】
そして、ペダルストロークが所定の大きさになると、第2板ばね512と第2上当接ピン98とが当接する。そこからペダルストロークがさらに大きくなると、第1板ばね511と第2板ばね512が撓む。
【0122】
その後、ペダルストロークが前記所定の大きさよりも大きい別の所定の大きさになると、第3板ばね513と第3上当接ピン99とが当接する。そして、そこからペダルストロークがさらに大きくなると、第1板ばね511と第2板ばね512と第3板ばね513が撓む。これにより、第11実施形態のペダル装置1も、反力発生機構50に複数の板ばねを用いることで、高いばね定数で狙った踏力特性を得ることができる。
【0123】
また、第11実施形態のペダル装置1は、複数の板ばね511、512、513に対して所定のペダルストロークで当接する複数の上当接ピン97、98、99を備えている。そのため、ペダルパッド30の回転角の増加に伴って、第1~第3板ばね511、512、513が順に反力をペダルパッド30に印加する。したがって、ペダルストロークの途中でばね特性を変えることが可能となり、狙った踏力特性を得ることができる。
【0124】
また、第11実施形態のペダル装置1は、所定の板ばねの湾曲部の内側に別の板ばねの湾曲部を配置することで、複数の板ばね511、512、513を近づけて配置することが可能となり、ペダル装置1の体格を小さくすることができる。
以上説明した第11実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0125】
(第12実施形態)
図23に示すように、第12実施形態も、反力発生機構50を複数の板ばねにより構成したものである。第12実施形態では、反力発生機構50を構成する第1板ばね511、第2板ばね512、第3板ばね513は、ペダルパッド30の回転軸CLを囲うように湾曲した形状とされている。そして、第1板ばね511の湾曲部の内側に第2板ばね512の湾曲部が配置されており、その第2板ばね512の湾曲部の内側に第3板ばね513の湾曲部が配置されている。なお、反力発生機構50を構成する板ばねの数は、3個に限らず、2個または4個以上としてもよい。
【0126】
第1~第3板ばね511、512、513の長手方向の一方の端部は、ペダルパッド30のうち回転軸CL側の端部に固定されている。
【0127】
ハウジング10には、第1板ばね511に対応する位置に第1下当接ピン94が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第1板ばね511と第1下当接ピン94とは接している。
【0128】
また、ハウジング10には、第2板ばね512に対応する位置に第2下当接ピン95が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第2板ばね512と第2下当接ピン95には所定の間隔があけられている。
【0129】
また、ハウジング10には、第3板ばね513に対応する位置に第3下当接ピン96が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第3板ばね513と第3下当接ピン96には所定の間隔があけられている。第2板ばね512と第2下当接ピン95との間隔に比べて、第3板ばね513と第3下当接ピン96との間隔は大きく設定されている。
【0130】
第12実施形態の構成において、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、第1下当接ピン94に当接している第1板ばね511に対してペダルパッド30から荷重が印加される。これにより、第1板ばね511は、湾曲部の曲率半径が小さくなるように撓む。
【0131】
そして、ペダルストロークが所定の大きさになると、第2板ばね512と第2下当接ピン95とが当接する。そこからペダルストロークがさらに大きくなると、第1板ばね511と第2板ばね512が撓む。
【0132】
その後、ペダルストロークが前記所定の大きさよりも大きい別の所定の大きさになると、第3板ばね513と第3下当接ピン96とが当接する。そして、そこからペダルストロークがさらに大きくなると、第1板ばね511と第2板ばね512と第3板ばね513が撓む。これにより、第12実施形態のペダル装置1も、反力発生機構50に複数の板ばね511、512、513を用いることで、高いばね定数で狙った踏力特性を得ることができる。
【0133】
また、第12実施形態のペダル装置1も、複数の板ばね511、512、513に対して所定のペダルストロークで当接する複数の下当接ピン94、95、96を備えている。そのため、ペダルパッド30の回転角の増加に伴って、第1~第3板ばね511、512、513が順に反力をペダルパッド30に印加する。したがって、ペダルストロークの途中でばね特性を変えることが可能となり、狙った踏力特性を得ることができる。
【0134】
また、第12実施形態のペダル装置1も、所定の板ばねの湾曲部の内側に別の板ばねの湾曲部を配置することで、複数の板ばね511、512、513を近づけて配置することが可能となり、ペダル装置1の体格を小さくすることができる。
以上説明した第12実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0135】
(第13実施形態)
図24に示すように、第13実施形態は、反力発生機構50を構成する板ばね51とコイルばね63とが並列配置されている構成である。
【0136】
板ばね51の長手方向の一方の端部は、ハウジング10の固定台16にボルト26などにより取り付けられる。板ばね51の長手方向の他方の端部は、ペダルパッド30に設けられた第1当接ピン91に当接している。
【0137】
コイルばね63のうち軸芯方向の一方の端部は、ハウジング10のうち固定台16とは別の部位に係止されている。コイルばね63のうち軸芯方向の他方の端部にはホルダ77が設けられている。ホルダ77は、ストッパ74を有している。ストッパ74は、ホルダ77からハウジング10側に延びている。ストッパ74は、コイルばね63が撓んだときにハウジング10に当接することでコイルばね63の撓み量を規制することが可能である。
ペダルパッド30のうちホルダ77に対応する部位には、第2当接ピン92が設けられている。第2当接ピン92とホルダ77には所定の間隔があけられている。
【0138】
第13実施形態の構成において運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、ペダルパッド30から第1当接ピン91を経由して板ばね51に荷重が印加される。これにより、板ばね51は第1当接ピン91側の部位がフロア側またはダッシュパネル側に近づくように撓む。そして、ペダルストロークが所定の大きさになると、第2当接ピン92とホルダ77とが当接する。その後、ペダルストロークがさらに大きくなると、板ばね51とコイルばね63が撓む。そして、ストッパ74とハウジング10が当接すると、コイルばね63の撓み量が規制されると共に、ペダルパッド30の最大回転位置が規定される。これにより、第13実施形態のペダル装置1も、板ばね51とコイルばね63により、狙った踏力特性を得ることができる。
【0139】
以上説明した第13実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。また、第13実施形態では、板ばね51とコイルばね63を並列配置にすることで、それらを配置しやすくなる。
【0140】
なお、上記第13実施形態の変形例として、図示は省略するが、第1当接ピン91と板ばね51に間隔があけられていて、第2当接ピン92とホルダ77が当接しているというパターンもあり得る。その場合、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、コイルばね63が先に撓み、その後、第1当接ピン91と板ばね51とが当接すると、板ばね51とコイルばね63が撓む。第13実施形態の変形例も、板ばね51とコイルばね63により、狙った踏力特性を得ることができる。
【0141】
(第14実施形態)
図25に示すように、第14実施形態は、前記第13実施形態に対し、反力発生機構50を構成する板ばね51とコイルばね63とが固定される部位を変更したものである。
【0142】
板ばね51の長手方向の一方の端部は、ペダルパッド30に設けられた取付部35に対してボルト27などにより固定されている。板ばね51の長手方向の他方の端部は、ハウジング10に設けられた第1下当接ピン94に当接している。
【0143】
コイルばね63のうち軸芯方向の一方の端部は、ペダルパッド30のうち取付部35よりも回転軸CLから遠い部位に係止されている。コイルばね63のうち軸芯方向の他方の端部にはホルダ77が設けられている。ホルダ77は、ストッパ74を有している。ストッパ74は、ホルダ77からペダルパッド30側に延びている。ストッパ74は、コイルばね63が撓んだときにペダルパッド30に当接することでコイルばね63の撓み量を規制するものである。
ハウジング10のうちホルダ77に対応する部位には、第2下当接ピン95が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第2下当接ピン95とホルダ77には所定の間隔があけられている。
【0144】
第14実施形態の構成において運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、ペダルパッド30の取付部35に固定された板ばね51に荷重が印加され、板ばね51が撓む。そして、ペダルストロークが所定の大きさになると、第2下当接ピン95とホルダ77とが当接する。その後、ペダルストロークがさらに大きくなると、板ばね51とコイルばね63が撓む。そして、ストッパ74とペダルパッド30が当接すると、コイルばね63の撓み量が規制される共に、ペダルパッド30の最大回転位置が規定される。これにより、第14実施形態のペダル装置1も、板ばね51とコイルばね63により、狙った踏力特性を得ることができる。
【0145】
以上説明した第14実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。また、第14実施形態では、板ばね51とコイルばね63を並列配置にすることで、それらを配置しやすくなる。
【0146】
なお、上記第14実施形態の変形例として、図示は省略するが、第1下当接ピン94と板ばね51に間隔があけられていて、第2下当接ピン95とホルダ77が当接しているというパターンもあり得る。その場合、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、コイルばね63が先に撓み、その後、第1下当接ピン94と板ばね51とが当接すると、板ばね51とコイルばね63が撓む。第14実施形態の変形例も、板ばね51とコイルばね63により、狙った踏力特性を得ることができる。
【0147】
(第15実施形態)
図26に示すように、第15実施形態は、反力発生機構50を構成する複数の弾性部材を直列配置と並列配置の両方で配置した構成である。第15実施形態のペダル装置1は、第1反力発生機構501と第2反力発生機構502とを有している。第1反力発生機構501と第2反力発生機構502とは並列配置されている。
【0148】
第1反力発生機構501は、前記第7実施形態と同様に、板ばね51、コイルばね63、第1ホルダ71および第2ホルダ72などを有している。第1反力発生機構501が有する板ばね51とコイルばね63とは直列配置されている。ペダルパッド30の裏面には、第1反力発生機構501が有する第2ホルダ72に対応する位置に第1当接ピン91が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第1反力発生機構501が有する第2ホルダ72と第1当接ピン91とは接している。
【0149】
なお、前記第7実施形態では第2ホルダ72にストッパ74が設けられていたが、この第15実施形態の第1反力発生機構501では、第1ホルダ71にストッパ74が設けられている。ストッパ74は、コイルばね63が撓んだときに第2ホルダ72に当接することでコイルばね63の撓み量を規制するものである。なお、ストッパ74は第2ホルダ72に設けられていてもよい。
【0150】
一方、第2反力発生機構502は、第1反力構成機構に対してペダルパッド30の回転軸CLから遠い位置に設けられている。第2反力発生機構502は、ハウジング10側から第1コイルばね61、第1ホルダ71、第2コイルばね62および第2ホルダ72をこの順に有している。第1コイルばね61の軸芯方向の一端はハウジング10に係止され、その他端は第1ホルダ71に係止されている。第2コイルばね62の軸芯方向の一端は第1ホルダ71に係止され、その他端は第2ホルダ72に係止されている。すなわち、第2反力発生機構502の有する第1コイルばね61と第2コイルばね62とは直列配置されている。
【0151】
ペダルパッド30の裏面には、第2反力発生機構502が有する第2ホルダ72に対応する位置に第2当接ピン92が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第2当接ピン92と第2ホルダ72には所定の間隔があけられている。
運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、第1反力発生機構501の有するコイルばね63が先に撓み、その後、第2当接ピン92と第2反力発生機構502とが当接すると、第1反力発生機構501の有するコイルばね63と第2反力発生機構502の有するコイルばね61、62が撓む。
【0152】
以上説明した第15実施形態のペダル装置1のように、反力発生機構50を構成する複数の弾性部材は、板ばねまたはコイルばねのどちらを用いてもよく、直列配置および並列配置の両方で配置することができる。そして、第15実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0153】
なお、上記第15実施形態の変形例として、図示は省略するが、第1反力発生機構501と第1当接ピン91に間隔があけられており、第2反力発生機構502と第2当接ピン92が接触しているパターンもあり得る。その場合、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、第2反力発生機構502の有するコイルばね61、62が先に撓み、その後、第1当接ピン91と第1反力発生機構501とが当接すると、第1反力発生機構501の有するコイルばね63と第2反力発生機構502の有するコイルばね61、62が撓む。第15実施形態の変形例も、第1反力発生機構501と第2反力発生機構502により、狙った踏力特性を得ることができる。
【0154】
(第16実施形態)
図27に示すように、第16実施形態も、反力発生機構50を構成する複数の弾性部材を直列配置と並列配置の両方で配置した構成である。第16実施形態のペダル装置1も、第1反力発生機構501と第2反力発生機構502とを有している。第1反力発生機構501と第2反力発生機構502とは並列配置されている。
【0155】
第1反力発生機構501は、前記第7実施形態と同様に、板ばね51、コイルばね63、第1ホルダ71および第2ホルダ72などを有している。第1反力発生機構501が有する板ばね51とコイルばね63とは直列配置されている。ペダルパッド30の裏面には、第1反力発生機構501が有する第2ホルダ72に対応する位置に第1当接ピン91が設けられている。運転者の踏力がペダルパッド30に印加されていない状態で、第1反力発生機構501が有する第2ホルダ72と第1当接ピン91とは接している。
【0156】
一方、第2反力発生機構502も、前記第7実施形態と同様に、板ばね51、コイルばね63、第1ホルダ71および第2ホルダ72などを有している。第2反力発生機構502が有する板ばね51とコイルばね63も直列配置されている。ペダルパッド30の裏面には、第2反力発生機構502が有する第2ホルダ72に対応する位置に第2当接ピン92が設けられている。第2当接ピン92と第2ホルダ72には所定の間隔があけられている。
運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、第1反力発生機構501の有するコイルばね63が先に撓み、その後、第2当接ピン92と第2反力発生機構502とが当接すると、第1反力発生機構501の有するコイルばね63と第2反力発生機構502の有するコイルばね63が撓む。
【0157】
以上説明した第16実施形態のペダル装置1のように、反力発生機構50を構成する複数の弾性部材は、板ばねまたはコイルばねのどちらを用いてもよく、直列配置および並列配置の両方で配置することができる。そして、第16実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0158】
なお、上記第16実施形態の変形例として、図示は省略するが、第1反力発生機構501と第1当接ピン91に間隔があけられており、第2反力発生機構502と第2当接ピン92が接触しているパターンもあり得る。その場合、運転者がペダルパッド30を踏み込み操作すると、第2反力発生機構502の有するコイルばね63が先に撓み、その後、第1当接ピン91と第1反力発生機構501とが当接すると、第1反力発生機構501の有するコイルばね63と第2反力発生機構502の有するコイルばね63が撓む。第16実施形態の変形例も、第1反力発生機構501と第2反力発生機構502により、狙った踏力特性を得ることができる。
【0159】
(第17実施形態)
図28に示すように、第17実施形態では、反力発生機構50は、板ばね51、第1コイルばね61、第2コイルばね62、第1ホルダ71、第2ホルダ72およびばね座73などより構成されている。
【0160】
板ばね51の長手方向の一方の端部は、ハウジング10の固定台16にボルト26などにより取り付けられている。板ばね51の長手方向の他方の端部には、第1ホルダ71、第1コイルばね61、ばね座73、第2コイルばね62、第2ホルダ72がこの順に設けられている。
【0161】
第1ホルダ71は、例えば円柱状に形成され、板ばね51の長手方向の他方の端部に対し図示しないボルトまたはリベットなどにより固定されている。
【0162】
第1コイルばね61は、軸芯方向の一端が第1ホルダ71に係止され、軸芯方向の他端がばね座73に係止されている。
【0163】
第2コイルばね62は、軸芯方向の一端がばね座73に係止され、軸芯方向の他端が第2ホルダ72に係止されている。第2ホルダ72のうちペダルパッド30側の面は、ペダルパッド30に設けられた当接ピン91に当接している。
【0164】
ばね座73は、例えば円柱状に形成され、第1コイルばね61と第2コイルばね62との間に配置されている。ばね座73は、第1コイルばね61の軸芯方向の他端の内側に設けられる第1突部78を有している。第1突部78は、第1コイルばね61の軸芯方向の他端が径方向に位置ずれすることを規制する「規制部」として機能する。また、第1突部78は、第1ホルダ71と当接することで、第1コイルばね61のたわみ量を規制する役割も持っている。
【0165】
また、ばね座73は、第2コイルばね62の軸芯方向の一端の内側に設けられる第2突部79を有している。第2突部79は、第2コイルばね62の軸芯方向の一端が径方向に位置ずれすることを規制する「規制部」として機能する。また、第2突部79は、第2ホルダ72と当接することで、第2コイルばね62のたわみ量を規制する役割も持っている。
【0166】
これにより、第17実施形態のペダル装置1も、第1コイルばね61と第2コイルばね62が径方向に位置ずれすることが規制されるので、その第1コイルばね61と第2コイルばね62と板ばね51により狙った踏力特性を得ることができる。
【0167】
以上説明した第17実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0168】
(第18実施形態)
図29に示すように、第18実施形態は、前記第17実施形態の変形例である。第18実施形態でも、反力発生機構50は、板ばね51、第1コイルばね61、第2コイルばね62、第1ホルダ71、第2ホルダ72およびばね座73などより構成されている。
【0169】
板ばね51の長手方向の一方の端部は、ハウジング10の固定台16にボルト26などにより取り付けられている。板ばね51の長手方向の他方の端部には、第1ホルダ71、第1コイルばね61、ばね座73、第2コイルばね62、第2ホルダ72がこの順に設けられている。第1ホルダ71、第1コイルばね61、第2コイルばね62の構成は前記第17実施形態と同一である。
【0170】
ばね座73は、例えば円柱状に形成され、第1コイルばね61と第2コイルばね62との間に配置されている。ばね座73は、第1コイルばね61の軸芯方向の他端の外側を囲うように設けられる第1環状突部81を有している。第1環状突部81は、第1コイルばね61の軸芯方向の他端が径方向に位置ずれすることを規制する「規制部」として機能する。また、第1環状突部81は、第1ホルダ71と当接することで、第1コイルばね61のたわみ量を規制する役割も持っている。
【0171】
また、ばね座73は、第2コイルばね62の軸芯方向の一端の外側を囲うように設けられる第2環状突部82を有している。第2環状突部82は、第2コイルばね62の軸芯方向の一端が径方向に位置ずれすることを規制する「規制部」として機能する。また、第2環状突部82は、第2ホルダ72と当接することで、第2コイルばね62のたわみ量を規制する役割も持っている。
【0172】
これにより、第18実施形態のペダル装置1も、第1コイルばね61と第2コイルばね62が径方向に位置ずれすることが規制されるので、その第1コイルばね61と第2コイルばね62と板ばね51により狙った踏力特性を得ることができる。
【0173】
以上説明した第18実施形態のペダル装置1も、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0174】
(他の実施形態)
(1)上記第1実施形態では、ペダル装置1の一例として、オルガン式のブレーキペダル装置について説明したが、これに限らず、ペダル装置1は、例えば、ペンダント式のブレーキペダル装置、オルガン式のアクセルペダル装置、またはペンダント式のアクセルペダル装置などとしてもよい。
【0175】
なお、オルガン式のペダル装置1とは、上述したようにペダルパッド30のうち運転者に踏まれる部位が回転軸CLに対して車両搭載時の天地方向における上方に配置される構成のものをいう。オルガン式のペダル装置1は、ペンダント式のペダル装置1に比べて、反力発生機構50を搭載できる空間が狭く、体格の小型化が求められるため、反力発生機構50を構成する弾性部材に板ばね51を使用することが有効である。
【0176】
一方、ペンダント式のペダル装置1とは、ペダルパッド30のうち運転者に踏まれる部位が回転軸CLに対して車両搭載時の天地方向における下方に配置される構成のものをいう。ペンダント式のペダル装置1においても、反力発生機構50を構成する弾性部材に板ばね51を使用することで、ペダル装置1の体格を小型化することができる。
【0177】
(2)上記各実施形態では、ペダル装置1の一例として、ペダルパッド30とマスターシリンダとが機械的に接続されていないものについて説明したが、これに限らず、ペダル装置1はペダルパッド30とマスターシリンダとが機械的に接続されたものであってもよい。
【0178】
(3)上記各実施形態では、ペダル装置1の回転軸周りにセンサユニット40を設けたが、これに限らず、センサユニット40は、例えばペダルパッド30またはそれに連動する部材(例えば反力発生機構50など)に設けてもよい。
【0179】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0180】
1 ペダル装置
2 フロア(車体)
10 ハウジング
30 ペダルパッド
50 反力発生機構
51 板ばね