(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】燃料電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240910BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
(21)【出願番号】P 2021031511
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 哲也
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/004031(WO,A1)
【文献】特開2011-233278(JP,A)
【文献】特開2009-266634(JP,A)
【文献】特開2019-087491(JP,A)
【文献】特開2013-069634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックを駆動する複数の補機と、前記複数の補機を取付けるフレームと、を備えた燃料電池モジュールの製造方法であって、
前記フレームは、前記フレームの対向する一対の上梁と、前記一対の上梁同士をわたすように、前記一対の上梁に対して固定された固定梁を備え、
前記製造方法は、
前記フレームの対向する一対の上梁同士をわたすように、前記一対の上梁に対して着脱自在となる中間梁材を準備する工程と、
前記複数の補機のうち特定の補機
として、前記燃料電池スタックに冷却水を圧送するウォーターポンプを、
前記固定梁に固定されるブラケットを介して、前記中間梁材に取付けたサブアッシーを作製する工程と、
前記
ウォーターポンプを除く前記複数の補機を取付けた前記フレームに、前記
ウォーターポンプが吊下げられるように、前記サブアッシーの前記中間梁材を前記一対の上梁に取付ける
とともに、前記固定梁に前記ブラケットを取付ける工程と、を少なくとも含む
、ことを特徴とする燃料電池モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記
取付ける工程の後、前記フレームの上部に、前記燃料電池スタックを取付けることを特徴とする請求項
1に記載の燃料電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池モジュールの製造方法に関し、特に、燃料電池スタックに冷却水を供給するウォーターポンプを備える燃料電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃料電池システムとして、たとえば、特許文献1には、燃料電池スタックに冷却水を圧送するウォーターポンプを備える燃料電池システムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池スタックと、燃料電池スタックを駆動するための複数の補機とを、フレームに取付けることにより、燃料電池モジュールを製造しようすることが想定される。しかしながら、フレームにこれらの機器を効率良く取付けることは、容易ではない。
【0005】
このような点を鑑みて、本発明として、燃料電池スタックと、燃料電池スタックを駆動する複数の補機と、をフレームに効率よく取付けることができる燃料電池モジュールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決すべく、本発明に係る燃料電池モジュールの製造方法は、燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックを駆動する複数の補機と、前記複数の補機を取付けるフレームと、を備えた燃料電池モジュールの製造方法であって、前記フレームの対向する一対の上梁同士をわたすように、前記一対の上梁に対して着脱自在となる中間梁材を準備する工程と、前記中間梁材に、前記複数の補機のうち特定の補機を取付けたサブアッシーを作製する工程と、前記特定の補機を除く前記複数の補機を取付けた前記フレームに、前記特定の補機が吊下げられるように、前記サブアッシーの前記中間梁材を前記一対の上梁に取付ける工程と、を少なくとも含むことを特徴としている。
【0007】
このように構成された燃料電池モジュールの製造方法では、たとえば、特定の補機をフレームに取付ける際、フレームの対向する一対の上梁同士をわたすように、一対の上梁に対して着脱自在となる中間梁材を準備する。次に、中間梁材に、複数の補機のうち特定の補機を取付けたサブアッシーを作製する。
【0008】
特定の補機をフレームに取付ける際には、作業者は、サブアッシーの中間梁材を把持して、特定の補機を除く複数の補機を取付けたフレームに、特定の補機が吊下げられるように、サブアッシーの中間梁材を一対の上梁に取付ける。これにより、特定の補機を、フレームの所定の位置に配置することができる。このように、本発明によれば、作業スペースの確保が難しいフレーム内において、特定の補機をフレームに直接取付けることなく、中間梁材を介して、特定の補機をフレームに取付けるため、特定の補機の取付け作業が容易となる。
【0009】
好ましい態様としては、前記フレームは、前記一対の上梁同士をわたすように、前記一対の上梁に対して固定された固定梁を備え、前記サブアッシーを作製する工程において、前記固定梁に固定されるブラケットを介して、前記中間梁材に前記特定の補機を取付け、前記一対の上梁に取付ける工程において、前記固定梁に前記ブラケットを取付ける。
【0010】
この構成によれば、フレームは、一対の上梁同士をわたすように、一対の上梁に対して固定された固定梁を備え、この固定梁を中間梁材と並んでフレームに配置することができる。ここで、サブアッシーを作製する工程では、ブラケットを介して、中間梁材に特定の補機を取付け、一対の上梁に取付ける工程では、固定梁にブラケットを取付けるとともに、サブアッシーの中間梁材を一対の上梁に取付けることができる。これにより、ブラケットを介して特定の補機を安定した姿勢で、フレームに取付けることができるため、サブアッシーの取付け作業が容易となる。
【0011】
より好ましい態様としては、前記一対の上梁に取付ける工程の後、前記フレームの上部に、前記燃料電池スタックを取付ける。この構成によれば、特定の補機をフレームの一対の上梁に吊下げて取付けたあと、燃料電池スタックをフレームの上部に取付けるため、燃料電池スタックの取付け作業が簡易にできる。フレーム内に複数の補機を収容することができるため、燃料電池モジュールのスペース効率を高め、モジュールの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、燃料電池スタックと、燃料電池スタックを駆動する複数の補機と、をフレームに効率よく取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る燃料電池モジュールの製造方法を実施するための燃料電池モジュールの斜視図である。
【
図2】
図1の燃料電池モジュールを構成する燃料電池システムの概略系統図である。
【
図3】
図1に示す燃料電池モジュールを別方向から視た斜視図である。
【
図4】
図1に示す燃料電池モジュールを別方向から視た斜視図である。
【
図5】
図1に示す燃料電池モジュールを別方向から視た斜視図である。
【
図6】
図1に示す燃料電池モジュールの製造方法のフロー図である。
【
図7】
図1に示すフレームの上部の分解状態の斜視図である。
【
図9】
図1に示す燃料電池モジュールから燃料電池スタックを外した状態のフレーム上部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る燃料電池モジュールの製造方法の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る燃料電池モジュールの製造方法を実施するための燃料電池モジュールについて説明する。
図1は、燃料電池モジュールの斜視図である。
【0015】
燃料電池モジュール1は、
図1に示すように、燃料電池スタック1Aと、燃料電池スタック1Aを駆動させる複数の補機(後述する)と、燃料電池スタック1Aおよび複数の補機を取付けるフレーム10と、を備える。フレーム10は、複数の補機のうち、特定の補機、たとえば小型で重量の大きいウォーターポンプなどの補機を内部空間に収容するとともに、この特定の補機を上部等に取付けるものである。フレーム10の詳細については後述する。
【0016】
ここで、本実施形態の製造方法を実施するための燃料電池モジュール1を備える燃料電池システム100について、
図2を参照して説明する。
図2は、燃料電池モジュール1を含む燃料電池システムの概略系統図である。
図2に示すように、燃料電池システム100は、燃料電池スタック1Aを含む燃料電池モジュール1、および水素タンク等の他の機器等から構成される。
【0017】
燃料電池スタック1Aの燃料電池セルは、イオン透過性の電解質膜と、該電解質膜を挟持するアノード側触媒層(アノード電極)およびカソード側触媒層(カソード電極)とからなる膜電極接合体(MEA)を備えている。MEAの両側には、燃料ガスである水素ガス、酸化剤ガスであるエアを供給するとともに電気化学反応によって生じた電気を集電するためのガス拡散層(GDL)が形成されている。GDLが両側に配置された膜電極接合体は、MEGAと称され、MEGAは、一対のセパレータにより挟持されている。ここで、MEGAが燃料電池の発電部であり、ガス拡散層がない場合には、MEAが燃料電池の発電部となる。
【0018】
燃料電池スタック1Aは、これを駆動する複数の補機に接続されており、
図2に示すように、これらの補機は、エア供給系20、水素ガス供給系30、冷却系40、および制御系50を構成している。複数の補機のうち、後述するいくつかの補機は、フレーム10内に収容されるように、フレーム10に取付けられている。
【0019】
エア供給系20は、燃料電池スタック1Aを構成する各セルのカソード電極にエアを供給し、各燃料電池セルで電気化学反応に供された後のオフガスを燃料電池スタック1Aから排出するものである。エア供給系20には、燃料電池スタック1Aの上流側から、エアクリーナ21、エアコンプレッサ22、およびインタクーラ23等が設けられ、燃料電池スタック1Aの下流側には、マフラ28等が設けられている。
【0020】
エアクリーナ21は、大気中から取込むエア中の塵埃を除去する。エアコンプレッサ22は、エアクリーナ21を介して導入されたエアを圧縮し、圧縮されたエアをインタクーラ23へ圧送する。インタクーラ23は、エアコンプレッサ22から圧送されて導入されたエアを通過させるときに、例えば冷媒との熱交換によって冷却し、燃料電池スタック1A(のカソード電極)に供給する。本実施形態の燃料電池モジュール1では、燃料電池スタック1Aの補機として、エアコンプレッサ22およびインタクーラ23が、フレーム10に固定されている。
【0021】
水素ガス供給系30は、燃料電池スタック1Aを構成する各セルのアノード電極に水素ガスを供給し、各燃料電池セルで電気化学反応に供された後のオフガスを燃料電池スタック1Aから排出するものである。水素ガス供給系30は、燃料電池スタック1Aの上流側から、水素ガス供給源31、および水素ガス供給装置33を備え、燃料電池スタック1Aの下流側には、気液分離器37を備えている。水素ガス供給系30は、気液分離器37を通過した水素ガスを上流側に循環させる水素ガスポンプ38を備えている。
【0022】
水素ガス供給装置33は、燃料電池スタック1Aに水素ガスを供給するインジェクタ等を備えている。気液分離器37は、オフガスに含まれる生成水を分離し、生成水を分離した水素ガスは水素ガスポンプ38に送られ、生成水はマフラ28に送られる。水素ガスポンプ38は、気液分離器37で分離された水素ガスを圧送して、水素ガス供給流路へ循環させる。本実施形態の燃料電池モジュール1では、燃料電池スタック1Aの補機として、水素ガスポンプ38等が、フレーム10内に搭載されている。
【0023】
冷却系40は、燃料電池スタック1Aを冷却する冷却水が循環している循環系である。なお、冷却系40の冷却水を、後述するコンバータ54等が集約された高電圧機器や、エアコンプレッサ22のモータ等を冷却する別の冷却系に供給して、補機の一部を冷却するように、冷却経路を設けてもよい。
【0024】
冷却系40は、循環系であり、ウォーターポンプ42、熱交換器43、三方弁(ロータリバルブ)45、イオン交換器47、および供給タンク48が設けられている。ウォーターポンプ42は、熱交換器43で冷却された冷却水を燃料電池スタック1Aに圧送する。熱交換器43は、燃料電池スタック1Aから排出される冷却水を冷却する。イオン交換器47は、燃料電池スタック1Aを冷却する冷却水からイオンを除去する機能を有しており、バイパス通路に設けられている。三方弁45は、燃料電池スタック1Aから排出された冷却水を、熱交換器43またはイオン交換器47に分流する。供給タンク48は、冷却系40に補給用の冷却水を収容しており、冷却水の不足時に、冷却系40に補給用の冷却水が供給される。本実施形態では、燃料電池スタック1Aの補機として、ウォーターポンプ42および三方弁45等が、フレーム10内に固定されている。
【0025】
エア供給系20、水素ガス供給系30、冷却系40の各機器(補機等)は、可撓性を有した配管7で接続されており、バルブを介して、これらを流れる流体の流量、圧力等が制御されている。なお、
図1では、複数の配管のうち、一部の配管7が示されている。
【0026】
制御系50は、燃料電池スタック1Aの駆動等を制御するものである。制御系50は、制御装置51、PCU53、コンバータ54を備えており、中継ボックス55を介して、バッテリまたは負荷などの外部機器52に電力が供給可能となっている。制御装置51は、上述したバルブ、後述するPCU(パワーコントロールユニット)53を制御する。外部機器52の1つであるバッテリは、燃料電池スタック1Aで発電された電力を蓄電する。PCU53は、制御装置51の制御に応じて中継ボックス55を介して外部機器52に電力を供給する。コンバータ54は、高電圧機器に含まれており、燃料電池スタック1Aの出力電圧を昇圧して、PCU53に電力を供給する。これらの補機は、ケーブル6を介して電気的に接続されている。なお、
図1では、複数のケーブルのうち、一部のケーブル6が示されている。
【0027】
ここで、上述した燃料電池スタック1A、ウォーターポンプ42などの小型で重量の大きい特定の補機を含む複数の補機を取付けるフレーム10について、
図1、
図3から
図9を参照して詳細に説明する。フレーム10に取付ける複数の補機は、上述したように、エアコンプレッサ22、インタクーラ23、水素ガス供給装置33、水素ガスポンプ38、ウォーターポンプ42、三方弁45、PCU53、高電圧機器、中継ボックス55等であり、これらの複数の補機は、フレーム10内に収容されている。しかしながら、これらの補機に限定されるものではなく、エアクリーナ21、熱交換器43、その他のバルブ等がさらに取付けされていてもよい。
【0028】
フレーム10は、基本的には金属製の溝型鋼材やアングル材、パイプ材、板材等で構成され、溶接や連結ボルトで接合あるいは連結されている。本実施形態では、
図1等において、フレーム10のA方向から視た側面は、下梁11A、柱11B、上梁11C、および柱11Dで形成され、斜材11E等で補強されている。下梁11Aに対して、上梁11Cは平行でなく、右上がりに傾斜した状態で、柱11Bおよび柱11D等に連結されている。これらの部材は、その周辺に取付けられる補機の形状や、連結ボルト等に合わせて幅広の部位が形成されている。
【0029】
フレーム10のB方向から視た側面は、
図3等に示されるように、下梁12A、柱12B、上梁12C、および柱11Bで形成され、斜材12E等で補強されている。フレーム10のC方向から視た側面は、
図4等に示されるように、下梁13A、柱13B、上梁13C、および柱12Bで形成され、斜材13Eで補強されている。フレーム10のD方向から視た側面は、
図1等に示されるように、側板(エンドプレート)14A、柱11D、上梁14C、および柱13B(
図4参照)で形成されている。側板14Aは、大小の直径の配管、ケーブル等が貫通するための貫通孔が形成されている。各側面を構成する部材は、それぞれボルト等で連結されているが、溶接等で接合したものでもよい。
【0030】
本実施形態では、フレーム10は、下梁11A、下梁12A、下梁13Aと、側板14Aで下部10aを形成し、上梁11C、上梁12C、上梁13Cと、側板14Aで上部10bを形成している。フレーム10の下部10aには、複数の補機のうちいくつかの補機が、直接的または間接的に取付けられている。フレーム10の上部10bには、燃料電池スタック1Aが、上部10bに載置するように取付けられている。このようにして、フレーム10内に配置された複数の補機と、フレーム10の上部10bに載置された燃料電池スタック1Aとは、配管7やケーブル6等で接続されることで、複数の補機で燃料電池スタック1Aを駆動させることができる。
【0031】
前記した燃料電池モジュール1によれば、燃料電池スタック1Aにエア供給系20からエアガスが供給され、水素ガス供給系30から水素ガスが供給され、燃料電池スタック1A内のMEGAまたはMEAの発電部での電気化学反応によって発電される。発電された電力は、中継ボックス55を介して外部機器52に供給される。また、燃料電池スタック1Aは、冷却系40で冷却され所定の温度範囲に制御される。このようにして、
図2に示される燃料電池スタック1Aは、複数の補機で駆動され、発電した電力は、中継ボックス55を介して外部機器52に提供される。
【0032】
このように構成された燃料電池モジュール1では、複数の補機は、フレーム10に取付けられて一体化しており、モジュール自体の小型化のために、クリアランスの少ない状態で取付けられており、組み立て性の向上やスペース効率を高めるための工夫がなされている。ここで、フレーム10内に複数の補機を取付ける場合、いくつかの補機はフレーム10の下部10aに比較的に簡単に取付けることができる。しかしながら、フレーム10の上部10bに、少なくとも1つの補機を吊下げた状態で、取付けようとした場合、フレーム10内の作業スペースが確保し難いため、その取付け作業は簡単ではない。そこで、本実施形態の製造方法では、このような場合でも、以下に示す工程により、組み立て性を向上でき、容易に製造することができる。
【0033】
以下に、燃料電池モジュール1の製造方法について説明する。
図6に示すように、本実施形態では、準備工程S1において、中間梁材15およびブラケット17を準備する。
図7に示すように、中間梁材15は、フレーム10の対向する一対の上梁11C、13C同士をわたすように、一対の上梁11C、13Cに対して着脱自在となる部材である。なお、
図7は、中間梁材15にブラケット17を介してウォーターポンプ42を取付けたサブアッシー16の状態を示している。中間梁材15の両端には、上梁11C、13Cの締結孔13dに位置合わせして、ボルトで固定する固定孔15aが形成されている。
【0034】
本実施形態では、上梁11C、13Cの締結孔13dには、フレーム10の内部側にウエルドナット(図示せず)が固着されており、固定孔15aおよび締結孔13dにボルトを挿通したのち、ボルトをウエルドナットに螺着することで、中間梁材15を取付けることができる。
【0035】
図7に示すように、準備するブラケット17は、平面視で三角形状に形成され、先端の突出部には締結孔17aが形成され、底辺部分が後述するように中間梁材15に片持ち状態にボルト等で固定される部分となる。
【0036】
次に、
図6に示すように、サブアッシー作製工程S2を行う。この工程では、
図7に示すように、中間梁材15に、複数の補機のうち特定の補機であるウォーターポンプ42を、ブラケット17を介して取付けることにより、サブアッシー16を作製する。本実施形態では、中間梁材15にブラケット17をボルトで片持ち状態に固定し、ブラケット17の下方にウォーターポンプ42を吊下げた状態で固定する。
【0037】
次に、
図6に示すように、サブアッシー取付け工程S3を行う。ここで、フレーム10は、
図7等に示すように、外枠の一部である一対の上梁11C、13C同士をわたすように、一対の上梁11Cと上梁13Cに固定された固定梁18を、さらに備えている。固定梁18は、中間梁材15をフレーム10に取付けた状態で、中間梁材15と並んで配置される。本実施形態では、固定梁18には、ブラケット17の締結孔17aと締結される長孔状の固定孔18aが形成されている。
【0038】
本実施形態では、特定の補機であるウォーターポンプ42を除く複数の補機を取付けたフレーム10に、ウォーターポンプ42が吊下げられるように、サブアッシー16の中間梁材15を一対の上梁11C、13Cに取付ける。具体的には、上梁11Cと上梁13Cは対向する一対の上梁であり、中間梁材15が上梁11C、上梁13C同士をわたすように、上梁11Cと上梁13Cに着脱自在にボルトで取付ける。なお、この工程より前に、フレーム10内において、ウォーターポンプ42を除く複数の補機をフレーム10に取付けておく。
【0039】
より具体的には、作業者は、サブアッシー16の中間梁材15を把持し、対向する一対の上梁11C、13Cの上方からフレーム10にサブアッシー16を配置する。このとき、中間梁材15の固定孔15aと上梁11C、13Cの締結孔13dとを位置合わせし、ブラケット17の先端を固定梁18に潜り込ませ、ブラケット17の締結孔17aと、固定梁18の長孔状の固定孔18aとが対向するように位置合わせする。
【0040】
このようにして、位置合わせした状態で、中間梁材15の固定孔15aと各上梁11C、13Cの締結孔13dとにボルトを挿通し、中間梁材15と各上梁11C、13Cを固定する。同様に、ブラケット17の締結孔17aと、固定梁18の長孔状の固定孔18aとにボルトを挿通し、ブラケット17と固定梁18とを固定する。
【0041】
サブアッシー16は、ウォーターポンプ42を吊下げた状態で一体化されているため、突出している中間梁材15を用いて取付け作業を行うことができる。このため、ウォーターポンプ42を単体の取付け作業に比べて、作業効率が良い。さらに、サブアッシー16の中間梁材15を一対の上梁11C、13Cに取付けた状態で、ウォーターポンプ42を、フレーム10の所定の位置に配置することができる。ブラケット17の先端と固定梁18とを固定することで、片持ち状態のブラケット17の両端が支持されるため、ウォーターポンプ42の姿勢が安定する。これにより、サブアッシー16の取付け作業が容易となる。
【0042】
なお、中間梁材15は、上梁11C、13Cに着脱自在に取付けられているため、ウォーターポンプ42の点検時などには、ウォーターポンプ42をサブアッシー16とともにフレーム10から容易に取出すことができる。
【0043】
最後に、
図6に示すように、スタック取付け工程S4を行う。この工程では、
図9に示す状態から、フレーム10の上部10bに、燃料電池スタック1A等を取付ける。その後、フレーム10内に配置された複数の補機と、フレーム10の上部10bに載置された燃料電池スタック1Aを、配管7やケーブル6等で接続し、
図1に示す燃料電池モジュール1を得ることができる。
【0044】
このようにして、ウォーターポンプ42をフレーム10の一対の上梁11C、13Cに吊下げて取付けたあと、燃料電池スタック1Aをフレーム10の上部10bに取付けるため、燃料電池スタックの取付け作業が簡易にできる。フレーム10内に複数の補機を収容することができるため、燃料電池モジュール1のスペース効率を高め、モジュールの小型化を図ることができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0046】
たとえば、一対の上梁に取付ける工程の後、フレームの上部に、燃料電池スタックを取付ける例を示したが、燃料電池スタックはフレームの上部でなく、横方向に並べて取付けるようにしてもよい。小型で重量の大きい補機としてウォーターポンプの例を示したが、これに限られるものでなく、他の複数の補機に適用することができる。
【0047】
この他にも、本実施形態では、ブラケットを介して、中間梁材にウォーターポンプを取付けたが、ウォーターポンプの姿勢が安定するのであれば、ウォーターポンプを中間梁材に直接取付けてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1:燃料電池モジュール、1A:燃料電池スタック、10:フレーム、11C、13C:一対の上梁、15:中間梁材、16:サブアッシー、17:ブラケット、18:固定梁、42:ウォーターポンプ(特定の補機)