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特許7552443情報処理方法、プログラム、および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/1396 20220101AFI20240910BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240910BHJP
【FI】
H04L67/1396
G06Q10/04
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021034367
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134888
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 宏樹
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-020672(JP,A)
【文献】特開2011-175006(JP,A)
【文献】特開2017-073062(JP,A)
【文献】特開2016-095582(JP,A)
【文献】特開2004-171444(JP,A)
【文献】特開2020-123028(JP,A)
【文献】衣笠 雄気 YUKI KINUGASA,センサ情報から得られる個人の行動履歴を用いた近未来の忙しさ予測 Busyness Forecast at Near Future That Uses Behavior of Individual Obtained from Sensor,情報処理学会研究報告 平成22年度 5 [CD-ROM] ,日本,一般社団法人情報処理学会,2011年02月15日,Vol.2011-GN-78, No.7
【文献】吉澤 政洋 Masahiro YOSHIZAWA,知識共有への抵抗感を低減する相互支援システムの実装および評価 Implementation and Evaluation of Manual Assistance System to Alleviate Employee's Unwillingness to Share their Knowledge,電気学会研究会資料 The Papers of Technical Meeting on Information Oriented Industrial System,IEE Japan,日本,社団法人電気学会 The Institute of Electrical Engineers of Japan,2009年07月30日,pp.11-16
【文献】伊勢崎 隆司 Takashi ISEZAKI,情報提示に対するQoE向上のための情報提示モデルの検討 A Study on Information Presentation Model for QoE Improvement,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.114 No.500 IEICE Technical Report,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2015年02月26日,第114巻,pp.185-190
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00-67/75
H04L 51/04-51/046
G06Q 10/04-10/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターによって実行される情報処理方法であって、
ユーザーの行動を規定する行動情報を取得するステップを含み、前記ユーザーは、忙しさの予測対象であり、
行動情報に対応する忙しさの指標の予測値を特定するためのモジュールにアクセスするステップをさらに含み、前記忙しさの指標は、前記行動情報に対応するタイミングにおける忙しさを規定し、
前記モジュールへの前記ユーザーの行動情報の適用の結果として、前記ユーザーの行動情報に対応する、前記ユーザーの忙しさの指標の予測値を取得するステップと、
取得された前記忙しさの指標の予測値を出力するステップと、をさらに含み、
前記忙しさの指標の予測値を取得するステップは、前記ユーザーに向けて送信されるメッセージの入力のために操作される情報処理装置において所与の条件が成立したことに応じて実行され、
前記所与の条件は、前記情報処理装置において、前記ユーザーに向けて送信されるメッセージの入力操作が検出されたことを含む、情報処理方法。
【請求項2】
コンピューターによって実行される情報処理方法であって、
ユーザーの行動を規定する行動情報を取得するステップを含み、前記ユーザーは、忙しさの予測対象であり、
行動情報に対応する忙しさの指標の予測値を特定するためのモジュールにアクセスするステップをさらに含み、前記忙しさの指標は、前記行動情報に対応するタイミングにおける忙しさを規定し、
前記モジュールへの前記ユーザーの行動情報の適用の結果として、前記ユーザーの行動情報に対応する、前記ユーザーの忙しさの指標の予測値を取得するステップと、
取得された前記忙しさの指標の予測値を出力するステップと、
作成中の前記ユーザーに向けたメッセージについて予定されている送信元に関する情報を取得するステップと、をさらに含み、
前記モジュールは、行動情報に加えて送信元に関する情報にさらに対応する、忙しさの指標の予測値を特定し、
前記忙しさの指標の予測値を取得するステップは、前記ユーザーの行動情報および前記送信元に関する情報に対応する、前記ユーザーの忙しさの指標の予測値を取得することを含む、情報処理方法。
【請求項3】
前記モジュールは、行動情報を入力されることに応じて忙しさの指標の予測値を推定結果として出力するように訓練された予測モデルを含む、請求項1または請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記モジュールは、行動情報と忙しさの指標の予測値とを互いに関連付ける情報を含む、請求項1請求項3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記ユーザーの識別情報を取得するステップをさらに含み、
前記モジュールは、行動情報に加えて識別情報に対応する、忙しさの指標の予測値を特定し、
前記忙しさの指標の予測値を取得するステップは、前記ユーザーの行動情報および前記ユーザーの識別情報に対応する、前記ユーザーの忙しさの指標の予測値を取得することを含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記忙しさの指標の予測値を出力するステップは、前記忙しさの指標の予測値を、忙しさの程度を表す文字列、色、および、アバターの表情、ならびに、前記ユーザーが前記メッセージの受信から返信までに要する時間の予測値、のうち少なくとも1つとして表示することを含む、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
コンピューターによって実行される、ユーザーの忙しさの指標の予測値を出力する予測モデルを訓練するための情報処理方法であって、
忙しさの指標に対応付けされた行動情報を含む学習用データセットを取得するステップを含み、前記忙しさの指標は、前記行動情報によって規定される行動に対応するタイミングにおける忙しさを規定し、
前記学習用データセットの前記行動情報が前記予測モデルに入力されることによって出力される予測結果が、前記学習用データセットの前記忙しさの指標に近づくように、前記予測モデルの機械学習を実行するステップをさらに含み、
前記忙しさの指標は、メッセージの受信から当該メッセージへの返信までの時間を含み、
前記学習用データセットは、前記忙しさの指標に対応付けされた、メッセージの送信元に関する情報をさらに含み、
前記予測モデルの機械学習を実行するステップは、前記学習用データセットの前記行動情報と前記送信元に関する情報とが前記予測モデルに入力されることによって出力される忙しさの指標の予測値が、前記学習用データセットの前記忙しさの指標に近づくように、前記予測モデルの機械学習を実行することを含む、情報処理方法。
【請求項8】
前記学習用データセットは、前記忙しさの指標に対応付けされた識別情報をさらに含み、
前記識別情報は、各ユーザーを識別し、
前記予測モデルの機械学習を実行するステップは、前記学習用データセットの前記行動情報が前記予測モデルに入力されることによって出力される忙しさの指標の予測値が、前記学習用データセットの前記忙しさの指標に近づくように、前記予測モデルの機械学習を実行することを含む、請求項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記送信元に関する情報は、前記送信元および前記送信元の属性のうち少なくとも1つを含む、請求項または請求項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記忙しさの指標は、メッセージの受信から返信までの時間を表す、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記行動情報は、前記ユーザーによるデバイスの操作態様に基づく、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記デバイスは、キーボードを含み、
前記行動情報は、キーボードにおける単位時間あたりのタイプ数を含む、請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記デバイスは、ポインティングデバイスを含み、
前記行動情報は、ポインティングデバイスによるポインターの単位時間あたりの移動距離を含む、請求項11または請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記行動情報は、センサーによって検出される前記ユーザーの状態に基づく、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記センサーは、視線センサーを含み、
前記行動情報は、前記ユーザーが前記コンピューターのディスプレイに視線を向けているか否か、および、前記ユーザーが前記コンピューターのディスプレイに視線を向けている単位時間あたりの時間、のうち少なくとも1つを含む、請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記行動情報は、コラボレーションツールにおける、前記ユーザーの参加または不参加を表す情報を含む、請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
コンピューターのプロセッサーによって実行されることにより、前記コンピューターに、請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の情報処理方法を実施させる、プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムを格納するメモリーと、
前記メモリーに格納されたプログラムを実行するプロセッサーとを備える、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、プログラム、および情報処理装置に関し、特に、ユーザーの忙しさの度合いに関する情報を提供するための情報処理方法、プログラム、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ソーシャルネットワーク上などの、ネットワークを介したユーザー同士の交流が盛んになっている。このような傾向は、リモートワークの浸透によって加速している。
【0003】
ネットワーク上では、ユーザーの状態は、他のユーザーに直接見える状況は少ない。このような特性から、ネットワーク上のユーザーとの交流(チャットでの質問など)に適したタイミングを判断するための技術が求められている。
【0004】
特開2007-4781号公報(特許文献1)は、ユーザーへのメール通知のタイミングを制御する技術を開示している。当該技術において、情報通知装置は、時間帯とユーザーの場所との組合せ毎に、ユーザーがメール受信から所与の時間内にメールに反応するか否かに基づいた反応確率(反応履歴)を算出し、そして、当該反応確率、ならびに、現在の時刻およびユーザーの現在の場所に基づいて、当該ユーザーに対してメールを通知するか否かを決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-4781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術は、メールの通知対象のユーザーに適したタイミングで当該ユーザー宛のメールを通知するとしても、専ら当該ユーザーへのサービスの提供に利用されるのであって、当該ユーザーの忙しさを予測するための情報を他のユーザーに提供するものではない。
【0007】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、あるユーザーの忙しさを他のユーザーがリアルタイムで予測するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に従うと、コンピューターによって実行される情報処理方法が提供される。情報処理方法は、ユーザーの行動を規定する行動情報を取得するステップを含み、ユーザーは、忙しさの予測対象であり、行動情報に対応する忙しさの指標の予測値を特定するためのモジュールにアクセスするステップをさらに含み、忙しさの指標は、行動情報に対応するタイミングにおける忙しさを規定し、モジュールへのユーザーの行動情報の適用の結果として、ユーザーの行動情報に対応する、ユーザーの忙しさの指標の予測値を取得するステップと、取得された忙しさの指標の予測値を出力するステップと、をさらに含む。
【0009】
好ましくは、モジュールは、行動情報を入力されることに応じて忙しさの指標の予測値を推定結果として出力するように訓練された予測モデルを含む。
【0010】
好ましくは、モジュールは、行動情報と忙しさの指標の予測値とを互いに関連付ける情報を含む。
【0011】
好ましくは、忙しさの指標の予測値を取得するステップは、ユーザーに向けて送信されるメッセージの入力のために操作される情報処理装置において所与の条件が成立したことに応じて実行され、所与の条件は、情報処理装置において、ユーザーに向けて送信されるメッセージの入力操作が検出されたことを含む。
【0012】
好ましくは、情報処理方法は、ユーザーの識別情報を取得するステップをさらに含み、モジュールは、行動情報に加えて識別情報に対応する、忙しさの指標の予測値を特定し、忙しさの指標の予測値を取得するステップは、ユーザーの行動情報およびユーザーの識別情報に対応する、ユーザーの忙しさの指標の予測値を取得することを含む。
【0013】
好ましくは、情報処理装置は、作成中のユーザーに向けたメッセージについて予定されている送信元に関する情報を取得するステップをさらに実行させ、モジュールは、行動情報に加えて送信元に関する情報にさらに対応する、忙しさの指標の予測値を特定し、忙しさの指標の予測値を取得するステップは、ユーザーの行動情報および送信元に関する情報に対応する、ユーザーの忙しさの指標の予測値を取得することを含む。
【0014】
好ましくは、忙しさの指標の予測値を出力するステップは、忙しさの指標の予測値を、忙しさの程度を表す文字列、色、および、アバターの表情、ならびに、ユーザーがメッセージの受信から返信までに要する時間の予測値、のうち少なくとも1つとして表示することを含む。
【0015】
本開示の他の局面に従うと、コンピューターによって実行される、ユーザーの忙しさの指標の予測値を出力する予測モデルを訓練するための情報処理方法が提供される。情報処理方法は、忙しさの指標に対応付けされた行動情報を含む学習用データセットを取得するステップを含み、忙しさの指標は、行動情報によって規定される行動に対応するタイミングにおける忙しさを規定し、学習用データセットの行動情報が予測モデルに入力されることによって出力される予測結果が、学習用データセットの忙しさの指標に近づくように、予測モデルの機械学習を実行するステップをさらに含む。
【0016】
好ましくは、学習用データセットは、忙しさの指標に対応付けされた識別情報をさらに含み、識別情報は、各ユーザーを識別し、予測モデルの機械学習を実行するステップは、学習用データセットの行動情報および識別情報が予測モデルに入力されることによって出力される忙しさの指標の予測値が、学習用データセットの忙しさの指標に近づくように、予測モデルの機械学習を実行することを含む。
【0017】
好ましくは、忙しさの指標は、メッセージの受信から当該メッセージへの返信までの時間を含み、学習用データセットは、忙しさの指標に対応付けされた、メッセージの送信元に関する情報をさらに含み、予測モデルの機械学習を実行するステップは、学習用データセットの行動情報と送信元に関する情報とが予測モデルに入力されることによって出力される忙しさの指標の予測値が、学習用データセットの忙しさの指標に近づくように、予測モデルの機械学習を実行することを含む。
【0018】
好ましくは、送信元に関する情報は、送信元および送信元の属性のうち少なくとも1つを含む。
【0019】
好ましくは、忙しさの指標は、メッセージの受信から返信までの時間を表す。
好ましくは、行動情報は、ユーザーによるデバイスの操作態様に基づく。
【0020】
好ましくは、デバイスは、キーボードを含み、行動情報は、キーボードにおける単位時間あたりのタイプ数を含む。
【0021】
好ましくは、デバイスは、ポインティングデバイスを含み、行動情報は、ポインティングデバイスによるポインターの単位時間あたりの移動距離を含む。
【0022】
好ましくは、行動情報は、センサーによって検出されるユーザーの状態に基づく。
好ましくは、センサーは、視線センサーを含み、行動情報は、ユーザーがコンピューターのディスプレイに視線を向けているか否か、および、ユーザーがコンピューターのディスプレイに視線を向けている単位時間あたりの時間、のうち少なくとも1つを含む。
【0023】
好ましくは、行動情報は、コラボレーションツールにおける、ユーザーの参加または不参加を表す情報を含む。
【0024】
本開示のさらに他の局面に従うと、コンピューターのプロセッサーによって実行されることにより、コンピューターに、上記情報処理方法を実施させるプログラムが提供される。
【0025】
本開示のさらに他の局面に従うと、上記プログラムを格納するメモリーと、メモリーに格納されたプログラムを実行するプロセッサーとを備える、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、ユーザーの行動を規定する行動情報に対応するタイミングにおける、当該ユーザーの忙しさを規定する指標(忙しさの指標)の予測値が取得される。これにより、あるユーザーのある時点の忙しさの指標の予測値が、その時点の当該ユーザーの行動情報に基づいて取得され、他のユーザーに提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】忙しさの指標の予測値の表示の一例を示す図である。
図2】情報処理装置100のハードウェア構成を示す図である。
図3】サーバー200のハードウェア構成を示す図である。
図4】情報処理装置100においてユーザーの忙しさの指標の予測値を表示するための情報処理システムの機能構成の一例を示す図である。
図5】予測モデルの機械学習のための情報の流れを概略的に説明するための図である。
図6】サーバー200において予測モデル210の機械学習のために実行される処理のフローチャートである。
図7】情報処理装置100Aにおける予測値の提供のために実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照しつつ、本開示の一実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0029】
[1.予測値の表示例]
図1は、情報処理装置によって表示される、忙しさの指標の予測値の表示の一例を示す図である。
【0030】
図1の画面10は、2件のメッセージ11,12、および、メッセージ編集欄13を含む。メッセージ11,12のそれぞれは、チャットツールのあるスレッドに投稿されたメッセージである。メッセージ編集欄13は、メッセージ12に返信するメッセージの入力を開始する操作(たとえば、メッセージ12に関連して表示される「返信」ボタンのクリック)が行われたことにより表示され、入力欄13Aと、送信ボタン13Bと、表示欄13Cとを含む。すなわち、メッセージ編集欄13は、メッセージ12を投稿したユーザー(図1の例では、「Ken」と称される)に送信されるメッセージを編集するために表示される。表示欄13Cは、文字列「Kenの予測レスポンス時間:45分」を含む。
【0031】
文字列「Kenの予測レスポンス時間:45分」の中の「45分」は、ユーザー「Ken」について取得された、忙しさの指標の予測値を表す。当該予測値は、予測対象のユーザーが現時点でメッセージを受信してから当該メッセージに返信するまでに要する時間の予測値を表す。
【0032】
情報処理装置は、予測値の表示として、予測値の数値そのものを表示する必要はない。情報処理装置は、予測値の代わりに、または、予測値とともに、予測値から取得される忙しさの程度を表す情報(文字列、色、アバターの表情、など)を表示してもよい。
【0033】
忙しさの程度は、たとえば、予め定められた閾値によって予測値を分類する2以上のグループのうち、上記ユーザーの予測値が分類されるグループを特定することによって特定される。一例では、予測値は、以下のグループ(1)~(4)に分類され得る。グループ(1)が最も忙しい状態に対応し、グループ(2)はグループ(1)の次に忙しい状態に対応し、グループ(3)はグループ(2)の次に忙しい状態に対応し、グループ(1)は最も忙しくない状態に対応する。
【0034】
・グループ(1):2時間以上
・グループ(2):30分以上2時間未満
・グループ(3):5分以上30分未満
・グループ(4):5分未満
たとえば、情報処理装置は、忙しさの程度を文字列で表現する場合、予測値がグループ(1)に分類される場合には「非常に忙しい」を、予測値がグループ(2)に分類される場合には「忙しい」を、予測値がグループ(3)に分類される場合には「少し忙しい」を、そして、予測値がグループ(4)に分類される場合には「通常」を、表示してもよい。
【0035】
情報処理装置は、忙しさの程度を色で表現する場合、予測値が分類されるグループが対応する時間が長いほど、濃い色で情報(たとえば、予測値そのものでもよいし、円などの図形であってもよい)を表示してもよい。
【0036】
情報処理装置は、忙しさの程度をアバターの表情で表現する場合、予測値がグループ(1)に分類される場合には「激しく泣く」表情で、予測値がグループ(2)に分類される場合には「泣く」表情(「激しく泣く」表情よりも穏やかな表情)を、予測値がグループ(3)に分類される場合には「汗をかいている」表情を、そして、予測値がグループ(4)に分類される場合には「笑顔」の表情を、表示してもよい。
【0037】
情報処理装置は、忙しさの程度の予測値の表示を、チャットツールでのメッセージ作成以外にも、ショートメッセージサービス、電子メール、ウェブメール、または、ソーシャルネットワーキングサービスなどの、他の形態のツールでのメッセージ作成において実行してもよい。
【0038】
図1の例では、既に表示されているメッセージ(メッセージ12)に対して返信するメッセージの入力において、予測値が表示されている。なお、情報処理装置は、新たに作成するメッセージの入力において、予測値を表示してもよい。このときに表示される予測値は、新たに作成されるメッセージにおいて送信先に指定されたユーザーについての予測値である。
【0039】
[2.ハードウェア構成]
本実施の形態では、情報処理装置は、サーバーと協働することによって、予測値を表示する。以下に、情報処理装置とサーバーのそれぞれのハードウェア構成を説明する。
【0040】
(情報処理装置)
図2は、情報処理装置100のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置100は、スマートフォンなどの携帯端末であってもよいし、パーソナルコンピューターなどの備え付けの端末であってもよい。
【0041】
図2に示されるように、情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ストレージ103、ディスプレイ104、キーボード105、マウス106、NIC(Network Interface Card)107、および、カメラ108を含む。図2に示された各要素は、内部バスによって互いに接続されている。
【0042】
CPU101は、情報処理装置100の動作を制御する。RAM102は、CPU101における処理実行時のワークエリアとして機能する。ストレージ103は、CPU101が実行する各種のプログラムおよびプログラムの実行に利用されるデータを格納する不揮発性記憶装置である。ストレージ103は、たとえば、フラッシュEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、および/または、SSD(Solid State Drive)によって実現される。
【0043】
本開示にかかるプログラムは、コンピューターのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。上記モジュールを含まないプログラムも、本開示にかかるプログラムに含まれ得る。
【0044】
本開示にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本開示にかかるプログラムに含まれ得る。
【0045】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0046】
ディスプレイ104は、「情報処理装置100のディスプレイ」の一例であり、CPU101によって実行されるプログラムの処理結果を示す画像を表示する。情報処理装置100は、情報処理装置100の外部のディスプレイに上記画像を表示させてもよい。この場合、当該外部のディスプレイが「情報処理装置100のディスプレイ」の他の例である。
【0047】
キーボード105は、1以上のキーを有するハードウェア資源によって実現される。情報処理装置100は、キーボード105として、ハードウェア資源の代わりに、または、ハードウェア資源に加えて、ソフトウェアキーボードを実現する要素を含んでいても良い。
【0048】
マウス106は、ポインティングデバイスの一例である。情報処理装置100では、マウス106が操作されることにより、ディスプレイに表示される画面におけるポインターが移動され得る。
【0049】
NIC107は、情報処理装置100をネットワークを介して他の装置(後述する、サーバー200等)と通信させる通信インターフェースである。
【0050】
(サーバー)
図3は、サーバー200のハードウェア構成を示す図である。サーバー200は、たとえば汎用のコンピューターによって実現される。
【0051】
図3に示されるように、サーバー200は、CPU201、RAM202、ストレージ203、ディスプレイ204、入力装置205、および、NIC207を含む。図3に示された各要素は、内部バスによって互いに接続されている。
【0052】
CPU201は、サーバー200の動作を制御する。RAM202は、CPU201における処理実行時のワークエリアとして機能する。ストレージ203は、CPU201が実行する各種のプログラムおよびプログラムの実行に利用されるデータを格納する不揮発性記憶装置である。
【0053】
ディスプレイ204は、液晶ディスプレイ等の表示装置によって実現される。入力装置205は、キーボードおよび/またはマウスなどの汎用の入力装置によって実現される。NIC207は、サーバー200をネットワークを介して他の装置(情報処理装置100等)と通信させる通信インターフェースである。
【0054】
[3.機能構成]
図4は、情報処理装置100においてユーザーの忙しさの指標の予測値を表示するための情報処理システムの機能構成の一例を示す図である。図4に示された情報処理システムは、情報処理装置100Aと、情報処理装置100Bと、サーバー200とを含む。情報処理装置100Aおよび情報処理装置100Bのそれぞれは、図2に示された情報処理装置100によって実現され得る。
【0055】
情報処理装置100Aと情報処理装置100Bとは、チャットツールを介して、互いにメッセージを送受信する。サーバー200は、情報処理装置100Aおよび情報処理装置100Bに、上記予測値などの情報を提供する。以下、それぞれの機能構成を説明する。
【0056】
(情報処理装置100)
情報処理装置100(情報処理装置100Aおよび情報処理装置100Bのそれぞれ)は、その機能として、忙しさ予測部110、チャットツール150、および、コラボレーションツール160を含む。忙しさ予測部110は、忙しさの指標の予測値を表示するための種々の機能を含み、たとえば、CPU101が所与のプログラムを実行することによって実現される。忙しさ予測部110の詳細な機能は後述される。
【0057】
チャットツール150は、チャットツールを利用したメッセージの送受信のための機能を有し、たとえば、CPU101がチャットツール用のアプリケーションプログラムを実行することによって実現される。コラボレーションツール160は、ウェブ会議システムなどのコラボレーションツールを利用したコミュニケーションのための機能を有し、たとえば、CPU101がコラボレーションアプリケーション用のプログラムを実行することによって実現される。プログラムは、情報処理装置100にインストールされていてもよいし、情報処理装置100とは異なる装置にインストールされていてもよい。
【0058】
忙しさ予測部110は、チャットツール150におけるメッセージの送受信を検出する。また、忙しさ予測部110は、その機能として、行動情報取得部120、レスポンス時間検出部130、および、予測レスポンス時間表示部140を含む。
【0059】
行動情報取得部120は、キーボード105等のデバイスから操作情報を取得することにより、情報処理装置100のユーザーの行動情報(ユーザーの行動を規定する情報)を生成する。より具体的には、行動情報取得部120では、検出部121は、キーボード105から取得した操作情報を利用して、単位時間あたりの、ユーザーによるキーボード105のタイプ数を生成する。検出部122は、マウス106から取得した操作情報を利用して、単位時間あたりの、ユーザーがマウス106を利用してポインターを移動させた距離を生成する。「情報処理装置100のユーザー」とは、たとえば、情報処理装置100の利用のために、情報処理装置100において実行される少なくとも1つのアプリケーションプログラムに対してログインしているユーザーである。
【0060】
行動情報取得部120は、カメラ108等のセンサーによって検出されるユーザーの状態を取得することにより、情報処理装置100のユーザーの行動情報(ユーザーの行動を規定する情報)を生成する。より具体的には、行動情報取得部120では、検出部123は、カメラ108からの画像を利用して、ユーザーの視線が向けられた位置と特定し、これにより、現時点でユーザーがディスプレイ104に視線を向けているか否か、および/または、単位時間あたりの、ユーザーがディスプレイ104に視線を向けていた時間、を示す情報を生成する。この意味において、検出部123を構成するプログラム要素(ソフトウェア要素)は、視線センサーの一例である。なお、視線センサーは、独立したハードウェア要素によって実現されてもよく、または、ハードウェア要素とソフトウェア要素との協働によって実現されてもよい。
【0061】
また、行動情報取得部120では、検出部124は、コラボレーションツール160におけるユーザーのログイン状態(ログインしているか、ログアウトしているか、等)を取得し、これにより、コラボレーションツールにおけるユーザーの参加または不参加を表す情報を生成する。
【0062】
以上より、検出部121~124では、以下にA1~A5で示される5種類の情報が生成され得る。これらの5種類のそれぞれは、行動情報の一例である。
【0063】
A1:単位時間あたりの、ユーザーによるキーボード105のタイプ数
A2:単位時間あたりの、ユーザーがマウス106を利用してポインターを移動させた距離
A3:ユーザーがディスプレイ104に視線を向けているか否か
A4:単位時間あたりの、ユーザーがディスプレイ104に視線を向けていた時間
A5:コラボレーションツールにおけるユーザーの参加(または不参加)
上記5種類のうち、A1、A2、およびA4は、一定時間ごとに算出され、算出された最新の値が、忙しさの指標の予測値の取得に利用され得る。たとえば、A1について、情報処理装置100は、10秒ごとに、最新の10秒間にキーボード105において検出されたタイピング操作の数を利用して「単位時間あたりの、ユーザーによるキーボード105のタイプ数」を生成してもよい。そして、情報処理装置100は、最新の「単位時間あたりの、ユーザーによるキーボード105のタイプ数」を、上記予測値の取得に利用してもよい。
【0064】
レスポンス時間検出部130は、情報処理装置100において、ユーザーがチャットツール150でメッセージを受信してから当該メッセージへの返信を送信するまでの時間を表す情報(レスポンス時間)を生成する。
【0065】
ユーザーは、忙しいときには、メッセージを受信してから当該メッセージへの返信を送信するまでに長時間を要し、さほど忙しくないときには、当該メッセージへの返信を送信するまでにさほど時間を要しない、ということが想定される。この意味において、レスポンス時間(メッセージの受信から返信までの時間)は、ユーザーの忙しさの指標の一例と言える。
【0066】
ユーザーは、忙しいときには、受信したメッセージへの返信が短く(返信に含まれる内容が少ない)なり、さほど忙しくないときには、当該メッセージへの返信の内容を長く(返信に含まれる内容が多い)することができる、ということが想定される。この意味において、返信メッセージの長さは、ユーザーの忙しさの指標の他の例と言える。
【0067】
予測レスポンス時間表示部140は、情報処理装置100が取得した忙しさの指標の予測値を出力する機能を有する。一例では、忙しさ予測部110は、チャットツール用のアプリケーションのプラグインとして実現されてもよく、予測レスポンス時間表示部140は、チャットツール150に忙しさの指標の予測値を出力してもよい。この場合、チャットツール150は、図2に表示欄13Cとして示されたように、ディスプレイ104に予測値を表示する。
【0068】
(サーバー200)
サーバー200は、その機能として、予測モデル210、学習エンジン220、および、分析エンジン230を含む。
【0069】
予測モデル210は、ユーザーの行動情報の入力に応じて、当該行動情報に対応するタイミングでの、忙しさの指標の予測値を出力する。予測モデル210は、CPU201によって実行される(所与のアルゴリズムに従った機械学習モデルを実現するための)プログラム、および、当該プログラムに適用されるパラメータを含む。当該プログラムおよびプログラムは、ストレージ203に格納されていてもよいし、CPU201がアクセス可能なサーバー200外の記憶装置に格納されていてもよい。
【0070】
学習エンジン220は、学習用データセットを利用し、機械学習アルゴリズムに従って、予測モデル210の機械学習処理を実行する。これにより、予測モデル210は更新され得る。学習エンジン220は、たとえば、CPU201が所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0071】
分析エンジン230は、ユーザーの行動情報を予測モデル210に適用することにより、当該行動情報に対応するタイミングでの、忙しさの指標の予測値を取得する。分析エンジン230は、たとえば、CPU201が所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0072】
[4.予測値の取得の概略]
図4を参照して、情報処理装置100による予測値の取得態様の一例を説明する。この説明では、情報処理装置100Aにおいて、情報処理装置100Bのユーザーに向けたメッセージの入力操作がなされている場面を想定する。
【0073】
情報処理装置100Aでは、忙しさ予測部110は、チャットツール150の状態を監視し、メッセージを入力する操作がなされた場合であって、当該メッセージの送信先が選択されている場合、サーバー200に向けて、当該送信先であるユーザーについて、忙しさの指標の予測値の要求を送信する(予測値要求)。一例では、当該要求は、送信先であるユーザー(情報処理装置100Bのユーザー)の識別情報を含んでいてもよい。
【0074】
サーバー200の分析エンジン230は、情報処理装置100Aからの予測値要求に応じて、情報処理装置100Bから、上記ユーザーの行動情報を取得する。サーバー200には、上記ユーザーの識別情報と情報処理装置100Bとを関連付ける情報が格納されていてもよく、分析エンジン230は、当該情報を参照することによって、上記識別情報に対応する装置として情報処理装置100Bを特定し、情報処理装置100Bに行動情報を要求してもよい。情報処理装置100Bは、サーバー200からの要求に応じて、サーバー200に向けて行動情報を送信してもよい。
【0075】
送信される行動情報は、たとえば、上記A1~A5のうち1種類以上を含む。
分析エンジン230は、行動情報を取得すると、当該行動情報を予測モデル210に適用することにより、忙しさの指標の予測値を取得する。
【0076】
一例では、「単位時間あたりの、ユーザーによるキーボード105のタイプ数」が大きいほど、予測結果である忙しさの指標の予測値は、ユーザーがより忙しいこと(たとえば、より長いレスポンス時間)を表す。
【0077】
一例では、「単位時間あたりの、ユーザーがマウス106を利用してポインターを移動させた距離」が長いほど、予測結果である忙しさの指標の予測値は、ユーザーがより忙しいことを表す。
【0078】
一例では、「ユーザーがディスプレイ104に視線を向けているか否か」について、「ディスプレイ104に視線を向けている」場合には、「ディスプレイ104に視線を向けている」場合よりも、予測結果である忙しさの指標の予測値は、ユーザーがより忙しいことを表す。
【0079】
一例では、「単位時間あたりの、ユーザーがディスプレイ104に視線を向けていた時間」が長いほど、予測結果である忙しさの指標の予測値は、ユーザーがより忙しいことを表す。
【0080】
一例では、「コラボレーションツールにおけるユーザーの参加(または不参加)」について、「不参加」の場合よりも「参加」の場合の方が、予測結果である忙しさの指標の予測値は、ユーザーがより忙しいことを表す。一方、ユーザーは、忙しさを理由にコラボレーションツールに参加出来ない場合もあり得る。したがって、「参加」の場合よりも「不参加」の場合の方が、予測結果である忙しさの指標の予測値が、ユーザーがより忙しいことを表す場合もあり得る。
【0081】
そして、分析エンジン230は、上記のように取得された忙しさの指標の予測値を、情報処理装置100Aに向けて送信する。
【0082】
情報処理装置100Aでは、分析エンジン230から送信された忙しさの指標の予測値を、予測レスポンス時間表示部140が出力する。
【0083】
図1を参照して説明された例では、忙しさの予測対象は、情報処理装置100Aにおいて作成中のメッセージの送信先(情報処理装置100Bのユーザー)である。なお、忙しさの予測対象は1人に限定されない。たとえば、情報処理装置100Aは、メッセージの入力において、送信先の候補のリストをプルダウンメニューで表示するときに、当該リスト中の送信先のそれぞれについて、忙しさの指標の予測値を取得して表示してもよい。
【0084】
分析エンジン230は、情報処理装置100Aからの予測値要求に応じて、予測対象のユーザーの行動情報を取得し、当該行動情報を予測モデル210に適用して、当該予測対象のユーザーについての忙しさの指標の予測値を取得する。なお、予測値の取得は、予測値要求をトリガーとする必要はない。分析エンジン230は、たとえば一定時間ごとに、1以上のユーザーのそれぞれの行動情報を取得し、そして、1以上のユーザーのそれぞれについて、忙しさの指標の予測値を取得してもよい。
【0085】
[5.予測モデルの機械学習の概略]
図5は、予測モデルの機械学習のための情報の流れを概略的に説明するための図である。図5には、図4に示されたのと同じ機能構成が示されている。
【0086】
情報処理装置100(情報処理装置100Aおよび情報処理装置100Bのそれぞれ)は、学習用データセットを生成し、生成した学習用データセットをサーバー200に提供する。情報処理装置100における学習用データセットの生成は、図6を参照して後述される。
【0087】
サーバー200の学習エンジン220は、提供された学習用データセットを利用して、予測モデル210の機械学習を実行する。
【0088】
情報処理装置100からサーバー200への学習用データセットの提供は、情報処理装置100において返信メッセージが送信されるたびに実施されてもよいし、情報処理装置100において所与の数の学習用データセットを生成した時点で実施されてもよいし、一定の期間の経過ごとに実施されてもよい。
【0089】
[6.処理の流れ(予測モデルの最適化)]
図6は、サーバー200において予測モデル210の機械学習のために実行される処理のフローチャートである。以下、図6に示された情報処理装置100およびサーバー200のそれぞれの処理の内容を説明する。
【0090】
情報処理装置100は、ステップS100にて、チャットツール150でメッセージを受信したか否かを判断する。
【0091】
情報処理装置100は、ステップS102にて、その時点での「行動情報」を、所与の記憶領域(たとえば、ストレージ103内)に格納する。行動情報とは、たとえば上記A1~A5の中の1種類以上の情報である。
【0092】
情報処理装置100は、ステップS104にて、タイマーを開始する。
情報処理装置100は、ステップS106にて、ステップS100において受信したと判断したメッセージの返信が送信されたか否かを判断する。情報処理装置100は、返信が送信されたと判断するまで、たとえば一定時間ごとにステップS106の制御を繰り返し(ステップS106にてNO)、返信が送信されたと判断すると(ステップS106にてYES)、ステップS108へ制御を進める。
【0093】
情報処理装置100は、ステップS108にて、ステップS102にて開始させたタイマーを終了させる。
【0094】
情報処理装置100は、ステップS110にて、ステップS104にて開始させてからステップS108にて終了させるまでのタイマーの計時時間を、「レスポンス時間」として取得し、当該「レスポンス時間」を所与の記憶領域に格納する。
【0095】
情報処理装置100は、ステップS112にて、ステップS102にて格納した「行動情報」を、ステップS110にて格納した「レスポンス時間」でラベル付けすることによって、学習用データセットを生成し、当該学習用データセットをサーバー200へ送信する。本明細書では、「ラベル付け」は、2種類以上のデータ同士の「対応付け」の一例を意味する。その後、情報処理装置100は、ステップS100へ制御を戻す。
【0096】
サーバー200では、情報処理装置100から学習用データセットを受信したことに応じて、図6に示された処理が開始される。図6におけるサーバー200の処理は、たとえば、学習エンジン220の機能として実現される。
【0097】
サーバー200は、ステップS200にて、情報処理装置100から送信される学習用データセットを受信する。
【0098】
サーバー200は、ステップS202にて、ステップS200にて受信した学習用データセットを利用して、予測モデル210の機械学習を実行し、これにより、予測モデル210(のパラメータ)を更新する。すなわち、学習用データセットの行動情報が予測モデル210に入力されることによって出力される予測結果が学習用データセットの「レスポンス時間」(忙しさの指標)に近づくように、予測モデル210が更新される。その後、サーバー200は、ステップS200へ制御を戻す。
【0099】
[7.処理の流れ(予測値の提供)]
図7は、情報処理装置100Aにおける予測値の提供のために実行される処理のフローチャートである。図7の例では、情報処理装置100Bのユーザーに送信するメッセージを作成する情報処理装置100Aのユーザーに向けて、予測値が提供される。以下、図7に示された、情報処理装置100A、サーバー200、および、情報処理装置100Bのそれぞれの処理の内容を説明する。
【0100】
情報処理装置100Aは、ステップS120にて、情報処理装置100Bのユーザーに送信するメッセージを作成する操作がなされたか否かを判断する。操作の一例は、メッセージの宛先として情報処理装置100Bのユーザーを指定する情報を入力する操作であってもよいし、情報処理装置100Bのユーザーからのメッセージに対する返信を指定する操作(返信ボタンのクリック)であってもよい。情報処理装置100Aは、上記操作がなされたと判断するまではたとえば一定時間ごとにステップS120の制御を繰り返し(ステップS120にてNO)、上記操作がなされたと判断すると(ステップS120にてYES)、ステップS122へ制御を進める。
【0101】
情報処理装置100Aは、ステップS122にて、情報処理装置100Bのユーザーに関する予測値要求を、サーバー200に向けて送信する。
【0102】
図7におけるサーバー200の処理は、たとえば、分析エンジン230の機能として実現される。
【0103】
サーバー200は、ステップS220にて、情報処理装置100Aからの予測値要求を取得し、ステップS222にて、情報処理装置100Bのユーザーの行動情報の要求を情報処理装置100Bに向けて送信する。
【0104】
情報処理装置100Bは、ステップS130にて、サーバー200からの要求を取得し、ステップS132にて、情報処理装置100Bのユーザーの行動情報を生成し、ステップS134にて、生成された行動情報をサーバー200に向けて送信する。
【0105】
サーバー200は、ステップS224にて、情報処理装置100Bからの行動情報を取得し、ステップS226にて、予測モデル210に当該行動情報を適用することにより、当該行動情報に対応する予測値(たとえば、レスポンス時間)を取得する。取得された予測値は、情報処理装置100Bに関する予測値である。そして、サーバー200は、ステップS228にて、当該予測値を情報処理装置100Aに向けて送信する。
【0106】
情報処理装置100Aは、ステップS124にて、サーバー200から送信された、情報処理装置100Bに関する予測値を取得する。そして、情報処理装置100Aは、ステップS126にて、取得した予測値を表示する。
【0107】
[8.変形例]
上述の実施の形態において想定される変形例の一部を、以下に説明する。
【0108】
(1)モジュールの形態
図4等に示された例では、予測モデル210が、予測値の取得に利用されるモジュールの一例として説明された。なお、予測値の取得に利用されるのは、機械学習モデルである必要はない。すなわち、「忙しさの指標」の予測値と「行動情報」とを関連付ける関連情報(テーブル等)が情報処理装置100のストレージ103に格納されていてもよく、情報処理装置100は、予測値取得用のモジュールとして当該関連情報を利用してもよい。より具体的には、情報処理装置100は、当該関連情報を参照することによって、予測対象のユーザーの行動情報に対応する予測値を取得してもよい。
【0109】
(2)忙しさの指標の予測値を取得するために利用される情報
上述の実施の形態では、忙しさの指標の予測値を取得するために、行動情報が利用されていた。すなわち、予測モデル210の機械学習に利用される学習用データセットは、行動情報が忙しさの指標でラベル付けされることによって生成され、そして、予測モデル210に行動情報が提供されることにより忙しさの指標の予測値が取得された。
【0110】
この点について、忙しさの指標の予測値を取得するために、行動情報の他に、レスポンス時間の生成に利用されるメッセージの送信元に関する情報が利用されてもよい。
【0111】
より具体的には、予測モデル210の機械学習に利用される学習要求データセットは、行動情報に加えて、メッセージの送信元に関する情報が、忙しさの指標でラベル付けされることによって生成されてもよい。さらに具体的には、情報処理装置100は、図6のステップS102において、行動情報に加えて、ステップS100において受信したと判断されたメッセージの送信元に関する情報を、所与の記憶領域に格納してもよい。そして、情報処理装置100は、図6のステップS112において、ステップS102において格納された行動情報とメッセージの送信元に関する情報とを、レスポンス時間(忙しさの指標)でラベル付けすることによって学習用データセットを生成してもよい。
【0112】
メッセージの送信元に関する情報は、送信元のユーザーそのものを識別する情報であってもよいし、送信元のユーザーの属性(組織における役職、性別、使用言語、年齢、など)であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。情報処理装置100には、チャットツール150に関連するデータとして、各ユーザーの属性が登録されていてもよい。情報処理装置100は、ステップS102にて、当該データを参照することにより、送信元の属性を取得してもよい。
【0113】
また、情報処理装置100は、予測値を取得するために、メッセージの送信先となるユーザーの行動情報に加えて、メッセージの送信元となるユーザーに関する情報を予測モデル210に適用することによって、予測値を取得してもよい。
【0114】
予測用のモジュールとして上述の関連情報が利用される場合には、関連情報は、忙しさの指標の予測値を、送信先となるユーザーに関する情報と行動情報とに関連付けて格納していてもよい。情報処理装置100は、関連情報を参照することにより、送信先となるユーザーに関する情報および行動情報に対応する予測値を取得してもいお。
【0115】
(3)ユーザーごとのモジュール
予測値の取得に利用されるモジュールは、ユーザーごとに設定されてもよい。
【0116】
たとえば、学習用データセットには、忙しさの指標だけでなくユーザーの識別情報によってもラベル付けされていてもよく、予測モデル210は、識別情報ごとに生成および機械学習されてもよい。また、上述の関連情報は、識別情報ごとに準備されていてもよい。
【0117】
(4)ハードウェア資源における機能の配置
以上説明された本実施の形態では、サーバー200が、予測モデル210、学習エンジン220、および、分析エンジン230を含む。
【0118】
一方、各情報処理装置100は、分析エンジン230を含んでいてもよい。たとえば、各情報処理装置100では、分析エンジン230用のアプリケーションプログラムがインストールされていてもよく、CPU101が当該アプリケーションプログラムを実行することによって、分析エンジン230が実現されてもよい。
【0119】
各情報処理装置100は、学習エンジン220および予測モデル210を含んでいてもよい。たとえば、各情報処理装置100では、学習エンジン220用のアプリケーションプログラムがインストールされていてもよく、CPU101が当該アプリケーションプログラムを実行することによって、学習エンジン220が実現されてもよい。また、各情報処理装置100では、予測モデル210を実現するためのプログラムがインストールされ、そして、予測モデル210を規定するパラメーターが格納されていてもよい。CPU101が当該パラメーターを利用して当該プログラムを実行することによてい、予測モデル210が実現されてもよい。この場合、定期的に、および/または、所与の条件(ユーザーまたはシステム管理者による指示など)が成立したときに、複数の情報処理装置100の間で、予測モデル210に利用されるパラメーターを整合させるための処理(ある情報処理装置100から他の情報処理装置100へのパラメーターの通知、など)が実行されてもよい。
【0120】
(5)行動情報に対応するタイミング
以上説明した「予測値」は、当該「予測値」の取得に利用される「行動情報」と同じタイミングに対応している。すなわち、予測値取得用のモジュールは、ある時点の「行動情報」を入力されると、ユーザーがその時点でメッセージを受信した場合に受信から返信までに要する時間の予測値を出力する。
【0121】
なお、「予測値」は、当該「予測値」の取得に利用される「行動情報」とは異なるタイミングに対応していてもよい。すなわち、予測値取得用のモジュールは、ある時点の「行動情報」を入力されると、ユーザーがその時点から一定時間後(たとえば、1分後)にメッセージを受信した場合に受信から返信までに要する時間の予測値を出力してもよい。予測値取得用のモジュールが機械学習モデルによって実現される場合、当該機械学習モデルの機械学習に利用される学習用データセットでは、所与のタイミングの行動情報が、当該所与のタイミングから一定時間後に受信されたメッセージについての「忙しさの指標」によってラベル付けされていてもよい。
【0122】
情報処理システムでは、「予測値」として、上記2種類の予測値(行動情報と同じタイミングに対応する予測値、および、行動情報から一定時間後に対応する予測値)の双方が提供されてもよい。これにより、双方の予測値を見た者は、あるユーザーにメッセージを送信しようとしたときに、その時点で送信した方が良いのか、一定時間後に送信した方が良いのかを判断し得る。
【0123】
たとえば、「行動情報と同じタイミングに対応する予測値」の方が「行動情報から一定時間後に対応する予測値」よりも、ユーザーがより忙しいことを示す場合、双方の予測値を見た者は、当該ユーザーへのメッセージの送信を一定時間後に延期することによって、メッセージの送信タイミングを、ユーザーにおいてより忙しさの度合いが低いタイミングへと調整し得る。
【0124】
(6)予測値が出力されるタイミング
情報処理装置100は、当該情報処理装置100においてあるユーザーに向けたメッセージの作成中に、当該ユーザーの忙しさの指標の予測値を取得して表示する。予測値の取得および表示のタイミングは、メッセージの作成を開始したとき(たとえば、チャットシステムにおいてあるユーザーからのメッセージに関する「返信ボタン」を送信したとき)であってもよいし、メッセージを構成するテキストの入力を開始したときであってもよいし、メッセージの送信先として上記あるユーザーが指定されたとき(電子メールにおいてメッセージの送信先に上記ユーザーのアドレスを入力または選択したとき)であってもよい。また、情報処理装置100は、上記ユーザーに向けたメッセージの作成中、一定時間ごとに予測値を取得し、予測値の表示を更新してもよい。
【0125】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0126】
10 画面、11,12 メッセージ、13 メッセージ編集欄、13A 入力欄、13B 送信ボタン、13C 表示欄、100,100A,100B 情報処理装置、102,202 RAM、103,203 ストレージ、104,204 ディスプレイ、105 キーボード、106 マウス、108 カメラ、110 忙しさ予測部、120 行動情報取得部、121~124 検出部、130 レスポンス時間検出部、140 予測レスポンス時間表示部、150 チャットツール、160 コラボレーションツール、200 サーバー、205 入力装置、210 予測モデル、220 学習エンジン、230 分析エンジン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7