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  • 特許-破砕機の微粒子回収ホッパー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】破砕機の微粒子回収ホッパー
(51)【国際特許分類】
   B02C 23/00 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
B02C23/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021040198
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139700
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】白尾 亮司
(72)【発明者】
【氏名】牟田 真秀
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-121086(JP,A)
【文献】特開昭50-105449(JP,A)
【文献】特開昭50-79868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0056889(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103506318(CN,A)
【文献】特開2006-231125(JP,A)
【文献】特開2002-219447(JP,A)
【文献】実開昭51-119668(JP,U)
【文献】特開2017-176913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C23/00-23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕機の排出口と下方の下流設備の間であって排出口側に上面開口と、下流設備側に下面開口を配置して内部中心を前記破砕機で破砕した砕石が通過する筒状本体を備え、
前記筒状本体は、内壁に前記下面開口から前記上面開口に向けて螺旋状に形成された微粒子回収通路を有し、
前記微粒子回収通路は、前記内部中心側の側面に破砕工程で発生した微粒子を吸い込む吸い込み口と、下面に前記吸い込み口から回収される前記微粒子よりも粒径の大きい粗粉を前記筒状本体の内部へ戻す落とし口を有し、
前記微粒子回収通路を負圧にして前記微粒子を前記吸い込み口から吸引して遠心分離すると共に、前記落とし口から前記筒状本体内へ戻される前記粗粉を前記砕石と共に前記下流設備へ排出することを特徴とする破砕機の微粒子回収ホッパー。
【請求項2】
請求項1に記載された破砕機の微粒子回収ホッパーであって、
前記吸い込み口及び落とし口は、前記下面開口から前記上面開口に向けて設置数を少なくしたことを特徴とする破砕機の微粒子回収ホッパー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された破砕機の微粒子回収ホッパーであって、
前記微粒子回収通路は、上端が前記筒状本体の前記上面開口側の吸引口に接続し、下端が前記筒状本体の前記下面開口側の外気取込口に接続し、前記吸引口に吸引部を接続して吸引し通路内を負圧にすることを特徴とする破砕機の微粒子回収ホッパー。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載された破砕機の微粒子回収ホッパーであって、
前記落とし口は、前記吸い込み口よりも開口面積を小さく設定したことを特徴とする破砕機の微粒子回収ホッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕機による原料の破砕時に発生する微粒子を回収する破砕機の微粒子回収ホッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石、セメント、石灰石、スラグ、その他の無機材料などの原料を所定の粒径に破砕する破砕機が利用されている。破砕機で破砕された砕石は下流設備に排出される。このとき、破砕機出口と下流設備の間の乗り継ぎ部分から発生する微粒子(微粉ともいう)によって以下の問題が生じている。
・破砕機より下流設備へと排出される際に、乗り継ぎ部分から微粒子が多く発塵し漏れ出して周囲環境を悪化させてしまう。
・砕石の篩い分け時に微粒子が篩に付着して目詰まりを起こし、篩い分けの効率を下げてしまう。
・運搬設備であるベルトコンベアの回転部に微粒子が付着するとベルト蛇行等の問題に繋がり、メンテナンス性が悪化する。
・コンクリートに使用する砕石に微粒子が付着していると、そのコンクリートの品質に影響を与えてしまう。
【0003】
そこで従来の微粒子回収対策として特許文献1には、ブロアでダクトを経由して粉塵を回収する背景技術が開示されている。しかしながらブロアを設置すると微粒子よりも粗い粉体(粗粉)は、製品としての価値があっても回収されてしまうため生産量が減ってしまう。またバグフィルタのメンテナンスに時間がかかり稼働効率が悪化するなどの問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-87592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、破砕機と下流設備の間で発生する微粒子のみを効率的に回収できる破砕機の微粒子回収ホッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、破砕機の排出口と下方の下流設備の間であって排出口側に上面開口と、下流設備側に下面開口を配置して内部中心を前記破砕機で破砕した砕石が通過する筒状本体を備え、
前記筒状本体は、内壁に前記下面開口から前記上面開口に向けて螺旋状に形成された微粒子回収通路を有し、
前記微粒子回収通路は、前記内部中心側の側面に破砕工程で発生した微粒子を吸い込む吸い込み口と、下面に前記吸い込み口から回収される前記微粒子よりも粒径の大きい粗粉を前記筒状本体の内部へ戻す落とし口を有し、
前記微粒子回収通路を負圧にして前記微粒子を前記吸い込み口から吸引して遠心分離すると共に、前記落とし口から前記筒状本体内へ戻される前記粗粉を前記砕石と共に前記下流設備へ排出することを特徴とする破砕機の微粒子回収ホッパーを提供することにある。
上記第1の手段によれば、破砕時及び砕石の排出時に効率良く微粒子を回収できる。また微粒子回収通路に回収した微粒子が螺旋状の通路を通過する際に遠心分離によって粗粉と分離でき、粗粉を落とし口から通路外に排除して砕石と共に下流設備へ排出できる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記吸い込み口及び落とし口は、前記下面開口から前記上面開口に向けて設置数を少なくしたことを特徴とする破砕機の微粒子回収ホッパーを提供することにある。
上記第2の手段によれば、微粒子回収通路の負圧の強い箇所の設置数を少なくし、負圧の弱い箇所の設置数を多くすることにより、筒状本体内部の長手方向に沿って均等に微粒子を回収することができる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、前記微粒子回収通路は、上端が前記筒状本体の前記上面開口側の吸引口に接続し、下端が前記筒状本体の前記下面開口側の外気取込口に接続し、前記吸引口に吸引部を接続して吸引し通路内を負圧にすることを特徴とする破砕機の微粒子回収ホッパーを提供することにある。
上記第3の手段によれば、螺旋状の微粒子回収通路内で微粒子を遠心分離し易くなり、重力に逆らって回収できる。また負圧の弱い微粒子回収通路の落とし口から重力により通路を転がり落ちる粗粉を容易に排出し易くできる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第1ないし第3のいずれか1の手段において、前記落とし口は、前記吸い込み口よりも開口面積を小さく設定したことを特徴とする破砕機の微粒子回収ホッパーを提供することにある。
上記第4の手段によれば、落とし口よりも吸い込み口からの微粒子の吸い込み量を多くして、落とし口から排出される粗粉の妨げとならないようにできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、破砕機と下流設備の間で発生する微粒子を遠心分離によって粗粉と分離でき微粒子のみを効率的に回収できる。また分離した微粒子中に含まれる粗粉を通路から筒状本体内部へ容易に戻すことができ、砕石と共に下流設備に排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の破砕機の微粒子回収ホッパーの構成概略図である。
図2】本発明の破砕機の微粒子回収ホッパーの軸心を通る側方から見た断面図である。
図3図2のA-A面で切断した断面図である。
図4図2のB-B面で切断した断面図である。
図5図2のC-C面で切断した断面図である。
図6図2中、円で囲った微粒子回収通路断面と吸い込み口と落とし口を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の破砕機の微粒子回収ホッパーの実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0013】
[破砕機の微粒子回収ホッパー10]
図1は、本発明の破砕機の微粒子回収ホッパーの構成概略図である。図2は本発明の破砕機の微粒子回収ホッパーの軸心を通る側方から見た断面図である。図3図2のA-A面で切断した断面図である(上面図)。図4図2のB-B面で切断した断面図である。図5図2のC-C面で切断した断面図である。図6図2の微粒子回収通路断面と吸い込み口と落とし口を拡大した図である。
図1に示すように本発明の破砕機の微粒子回収ホッパー10は、破砕機1の排出口と下方の下流設備2の間であって排出口側に上面開口と、下流設備2側に下面開口を配置して内部中心を前記破砕機1で破砕した砕石が通過する筒状本体12を備え、前記筒状本体12は、内壁に前記下面開口から前記上面開口に向けて螺旋状に形成された微粒子回収通路14を有し、前記微粒子回収通路14は、前記内部中心側の側面に破砕工程で発生した微粒子を吸い込む吸い込み口16と、下面に前記吸い込み口16から回収される前記微粒子よりも粒径の大きい粗粉を前記筒状本体12の内部へ戻す落とし口18を有し、前記微粒子回収通路14を負圧にして前記微粒子を前記吸い込み口16から吸引して遠心分離すると共に、前記落とし口18から前記筒状本体12内へ戻される前記粗粉を前記砕石と共に前記下流設備2へ排出している。本実施形態では下流設備の一例としてベルトコンベアを用いて以下説明する。
【0014】
(筒状本体12)
筒状本体12は、破砕機1の排出口とほぼ同等の上面開口及び下面開口を有する筒体である。筒状本体12の上面開口は、破砕機1の排出口に接続し、下面開口は下流設備であるベルトコンベアの搬送面上に配置し、内部中心を砕石が通過する。
【0015】
(微粒子回収通路14)
筒状本体12の内壁には微粒子回収通路14を設けている。微粒子回収通路14は、筒状本体12の上面開口側で筒状本体12を貫通する吸引口12aに接続し、筒状本体12の下面開口側で筒状本体12を貫通する外気取込口12bに接続している。
吸引口12aは吸引部20に接続し、外気取込口12bは外気を吸い込むために開放された開口である。
吸引部20は、微粒子回収通路14を吸引して通路内を負圧にする吸引ファン20aと、微粒子回収通路14から吸引した微粒子を回収するバグフィルタ20bからなる。この他、吸引部20は、微粒子回収通路14を吸引して微粒子を分離できる構成であれば良く、この他にもサイクロン式集塵機などを適用することができる。
微粒子回収通路14は、筒状本体12の長手方向に沿って螺旋状に筒状本体12の内壁に設けている。本実施形態の微粒子回収通路14は、通路断面が矩形であり(図6参照)、筒状本体12の内壁に沿って上下方向に螺旋状に3周回させている。このような微粒子回収通路14は、筒状本体12の側面視で通路下面が所定角度に傾斜する構成を採用している。
【0016】
(吸い込み口16)
断面矩形の微粒子回収通路14の筒状本体12の中心側の側面には、微粒子の吸い込み口16を設けている。吸い込み口16は通路側面の上下方向に複数開口(図2,6では縦方向に3個)し、通路の平面視で放射状にほぼ均等に配置している。そして吸い込み口16は、微粒子回収通路14の下方で設置数を最も多く配置してあり、筒状本体12の下面開口側から上面開口側に向けて通路の上方に行くほど徐々に設置数が少なくなるように配置している。
【0017】
(落とし口18)
断面矩形の微粒子回収通路14の底面には、微粒子よりも粒径の大きい粗粉を通路外の筒状本体12へ戻す落とし口18を設けている。落とし口18は、通路の幅方向に複数開口(図2,6では横方向に3個)し、吸い込み口16と同様に、通路の平面視で放射状にほぼ均等に配置している。そして落とし口18は、微粒子回収通路14の下方で設置数を最も多く配置してあり(図5では16箇所)、筒状本体12の下面開口側から上面開口側に向けて通路の上方に行くほど徐々に設置数が少なくなるように配置(図4では8箇所、図3では0箇所)している。
吸い込み口16と落とし口18は、開口断面積が異なり、吸い込み口16の断面積が落とし口18よりも大きくなるように設定している。一例として図6に示す吸い込み口16は円形であり、落とし口18は吸い込み口16よりも小さい矩形に形成している。
なお微粒子回収通路14の上面は、砕石などが通路内に入らないように開口を設けていない。
【0018】
[作用]
上記構成による本発明の破砕機の微粒子回収ホッパー10の作用について以下説明する。
破砕機1により原料が破砕される際、及び破砕機1から砕石が排出される際に発塵する。破砕機の微粒子回収ホッパー10は、筒状本体12の上面開口側に設けた吸引口12aに接続する吸引部20により吸引して、外気取込口12bから外気を取り込む。筒状本体12の内部を砕石が通過するときに、微粒子回収通路14は負圧になっており吸い込み口16から微粒子を吸い込む。微粒子回収通路14は、外気取込口12b側よりも吸引口12a側の方が吸引部20に近く負圧が強くなっているが、微粒子回収通路14の吸い込み口16の設置数が外気取込口12b側のほうが多く、吸引口12a側のほうが少なくなるように設置しているため、筒状本体12内部の微粒子をほぼ均等に吸い込むことができる。
微粒子回収通路14内に吸い込まれた微粒子は、微粒子よりも粒径の大きい粗粉も含まれているが、微粒子は螺旋状の通路内を移動するときに遠心分離によって筒状本体12の内壁側に押し出されて分離し、粗粉は微粒子の進行方向に逆らって通路の斜面を重力により下方へ落下移動する。分離した粗粉は通路の下方へ転がりながら通路底面に設けた落とし口18から筒状本体12の内部へ戻されて、砕石と共に下流設備へ排出できる。
微粒子回収通路14は、筒状本体12の下面開口側に吸い込み口16を多く設置しているため、通路下方から吸い込まれる微粒子は、螺旋状の通路を上方へ移動する過程で遠心分離によって分離し易くなる。また筒状本体12の下面開口側に落とし口18を多く設置しているため、負圧の弱い通路下方側から粗粉を通路外へ排出し易くなる。
粗粉と分離した微粒子は吸引口12aから吸引部20へ吸い込まれてバグフィルタ20bで微粒子のみ分離回収できる。また落とし口18よりも大きい粒径の粗粉は、傾斜した微粒子回収通路14を転がり落ちて最下端の外気取込口12bより排出できる。
【0019】
このような本発明によれば、破砕機と下流設備の間で発生する微粒子を遠心分離によって粗粉と分離でき微粒子のみを効率的に回収できる。また分離した微粒子中に含まれる粗粉を通路から筒状本体内部へ容易に戻すことができ、砕石と共に下流設備に排出できる。
なお、微粒子回収通路は、可撓性のパイプに吸い込み口及び落とし口を穿孔して筒状本体の内壁に螺旋状に配置する構成であっても良い。
また吸い込み口及び落とし口の開口面積は任意に設定変更可能であり、その場合には、開口面積の異なる種々の微粒子回収通路14の側面及び底面(螺旋状の板材)を用意して着脱できる構成にしても良い。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 破砕機
2 下流設備
10 破砕機の微粒子回収ホッパー
12 筒状本体
12a 吸引口
12b 外気取込口
14 微粒子回収通路
16 吸い込み口
18 落とし口
20 吸引部
20a 吸引ファン
20b バグフィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6