(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】導光板、表示装置、入力装置、および、表示装置を備えた機器
(51)【国際特許分類】
G02B 30/26 20200101AFI20240910BHJP
G02B 30/10 20200101ALI20240910BHJP
G02B 30/33 20200101ALI20240910BHJP
G02B 30/56 20200101ALI20240910BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20240910BHJP
G03B 35/18 20210101ALI20240910BHJP
H04N 13/302 20180101ALI20240910BHJP
【FI】
G02B30/26
G02B30/10
G02B30/33
G02B30/56
G02B6/00 301
G03B35/18
H04N13/302
(21)【出願番号】P 2021040828
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】田上 靖宏
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-18194(JP,A)
【文献】特表2020-507798(JP,A)
【文献】特開2019-139159(JP,A)
【文献】特開2018-81272(JP,A)
【文献】特開2016-130832(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0268327(US,A1)
【文献】特開2018-22067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00-30/60
G03B 35/18
G02B 6/00
G02B 5/00
G09F 13/18
H04N 13/302
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の像を実像または虚像として空間に表示する導光板であって、
マトリックス状に並んだ複数のセルを含み、
各セルは、前記導光板に入射した光を複数の方向に偏向して出射する複数の偏向部を含み、
前記像の中間階調の線または面を構成する複数の点を表示するために、第1角度範囲に光を偏向する第1偏向部を含み、前記第1角度範囲に隣接する第2角度範囲に光を偏向する第2偏向部を含まない第1セルと、前記第1偏向部を含まず、前記第2偏向部を含む第2セルとが周期的に配置された、導光板。
【請求項2】
前記第1セルは、前記第2角度範囲に隣接する第3角度範囲に光を偏向する第3偏向部を含み、前記第2セルは、前記第3偏向部を含まない、請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記第1セルと前記第2セルとが交互に並ぶ、請求項1または2に記載の導光板。
【請求項4】
前記第1セルおよび前記第2セルは、前記第2角度範囲に隣接する第3角度範囲に光を偏向する第3偏向部を含まず、かつ、前記第3角度範囲に隣接する第4角度範囲に光を偏向する第4偏向部を含まず、
前記第3偏向部を含み、前記第1偏向部、前記第2偏向部、及び前記第4偏向部を含まない第3セルと、前記第4偏向部を含み、前記第1偏向部ないし前記第3偏向部を含まない第4セルと、をさらに含み、
前記第1セルないし前記第4セルは周期的に配置された、請求項1に記載の導光板。
【請求項5】
前記複数の偏向部は、長さおよび高さの少なくとも一方が他と異なる偏向部を少なくとも1つ含む、請求項1に記載の導光板。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の導光板と、
前記導光板への入射光を照射する光源と、を備える表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置と、
物体を検知するセンサ部と、を備えた入力装置。
【請求項8】
請求項6に記載の表示装置を備えた機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を表示する導光板等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、立体画像を表示する導光板および光デバイスとして、例えば、特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1の光デバイス1Aは、光源2から入射された光を導光して出射面12から出射する導光板10と、導光板10に配置され、導光された光を光路偏向して出射させることにより空間上に画像を結像させる複数の光路偏向部20とを備える(
図1)。光路偏向部20は、導光された光を光路偏向して出射させることにより空間上に面画像FIを結像させる面画像用光路偏向部群21と、導光された光を光路偏向して出射させることにより空間上に輪郭画像BIを結像させる輪郭画像用光路偏向部群24とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の光デバイス1Aには以下のような点で改善の余地がある。以下、具体的に説明する。
【0006】
特許文献1の
図1は、空間上に立体画像Iが結像された様子を示す。図中、立体画像Iに3つの面画像FIが記載されている。その3つの面画像FIに階調差を作り出す場合に、面画像FIの一部に対応する、導光板上の面画像用光路偏向部群21の一部を使用しない(間引く)方法が考えらえる。その構成を
図16および
図17により説明する。
【0007】
図16は、従来の導光板100において、すべての光路偏向部群200から光が出射される様子を示す図である。図示するとおり、すべての光路偏向部群200から光が出射され、空中で像が結像される。このときの階調を100階調とする。
【0008】
図17は、従来の導光板100において、光を出射する光路偏向部群200と光を出射しない光路偏向部群200とが交互に配置された様子を示す図である。
図17に記載された構成は、
図16に示す構成(100階調)の50%の50階調を作り出すことを目的として検討された構成である。図中の破線は、間引かれた光路偏向部群200に対応し、光が出射されていない様子を模式的に示す。
図17に記載された構成を採用した場合、一部の光路偏向部群200から出射された光は空中で結像しなくなり、観察者がどこから見ても発光点が固定される。そうすると、本来空間上に見えるべき像が、飛び出し量0の位置、つまり、導光板100上に位置するように見える。
【0009】
さらに、特許文献1の
図1に記載された3つの面画像FIに階調差を作り出す方法として、特許文献1の
図13に記載されるようなプリズムの長さ(または、高さ)を調整する方法も考えられる。そのことを
図18により説明する。
【0010】
図18は、光路偏向部群を構成する、異なる長さを有する三角柱のプリズムの概略上面図である。図示するように、プリズム1000、1001、及び1002は、その順に長さが4L、2L、Lであり、幅はいずれもWであるものとする。プリズム1000が作り出す階調を100階調とする。このとき、プリズム1001は、長さが2Lであるため、プリズム1000と比較して明るさが50%減となり、50階調となる。プリズム1002は、長さがLであるため、プリズム1000と比較して明るさが25%減となり、25階調となる。
【0011】
しかしながら、そもそもプリズムには加工限界があり、50μmより小さくすることは困難である。そのため、4L=100μmとした場合、長さ2L未満のプリズム(つまり、プリズム1002)を作製することは困難である。そのような加工限界を考慮して4L=200μmと設計することも考えられるが、その場合、光路偏向部群のサイズが大きくなり、結果として光デバイスの解像度が低下する。そのため、単にプリズムの形状を変更するだけでは、加工限界または解像度の低下といった問題に直面する。
【0012】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、階調表現が向上した立体画像を空間に表示する導光板等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る導光板は、所定の像を実像または虚像として空間に表示する導光板であって、マトリックス状に並んだ複数のセルを含み、各セルは、前記導光板に入射した光を複数の方向に偏向して出射する複数の偏向部を含み、前記像の中間階調の線または面を構成する複数の点を表示するために、第1角度範囲に光を偏向する第1偏向部を含み、前記第1角度範囲に隣接する第2角度範囲に光を偏向する第2偏向部を含まない第1セルと、前記第1偏向部を含まず、前記第2偏向部を含む第2セルとが周期的に配置された構成である。
【0014】
前記構成を備えることにより、本発明の一態様に係る導光板は、空中での結像点を減らすことができる。これにより、本発明の一態様に係る導光板は、立体感を保ちつつ、階調表現が向上した立体画像を空中に表示することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る導光板では、前記第1セルは、前記第2角度範囲に隣接する第3角度範囲に光を偏向する第3偏向部を含み、前記第2セルは、前記第3偏向部を含まない構成であってよい。
【0016】
また、本発明の一態様に係る導光板は、前記第1セルと前記第2セルとが交互に並ぶ構成であってよい。
【0017】
前記各構成を備えることにより、本発明の一態様に係る導光板は、立体感を保ちつつ、階調表現が向上した立体画像を空中に表示することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る導光板では、前記第1セルおよび前記第2セルは、前記第2角度範囲に隣接する第3角度範囲に光を偏向する第3偏向部を含まず、かつ、前記第3角度範囲に隣接する第4角度範囲に光を偏向する第4偏向部を含まず、前記第3偏向部を含み、前記第1偏向部、前記第2偏向部、及び前記第4偏向部を含まない第3セルと、前記第4偏向部を含み、前記第1偏向部ないし前記第3偏向部を含まない第4セルと、をさらに含、前記第1セルないし前記第4セルは周期的に配置された構成であってよい。
【0019】
前記構成を備えることにより、本発明の一態様に係る導光板は、さらに階調を低減することができる。これにより、本発明の一態様に係る導光板は、立体感を保ちつつ、さらに階調表現が向上した立体画像を空中に表示することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る導光板では、前記複数の偏向部は、長さおよび高さの少なくとも一方が他と異なる偏向部を少なくとも1つ含む構成であってよい。
【0021】
前記構成を備えることにより、本発明の一態様に係る導光板は、偏光部の形状を介して、階調表現がさらに豊富な立体画像を空中に表示することができる。
【0022】
本発明の一態様に係る表示装置は、前記何れかに記載の導光板と、前記導光板への入射光を照射する光源と、を備える構成であってよい。
【0023】
本発明の一態様に係る入力装置は、前記表示装置と、物体を検知するセンサ部と、を備える構成であってよい。
【0024】
本発明の一態様に係る機器は、前記表示装置を備えた構成であってよい。
【0025】
前記構成を備えることにより、本発明の一態様に係る表示装置、入力装置、及び機器は、階調表現が向上した立体画像を空間に表示することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、階調表現が向上した立体画像を空間に表示する導光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態に係る光デバイスの構成を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る光デバイスの構成を示す断面図である。
【
図3】本実施形態に係る光デバイスにより立体画像を結像させるための構成を示す平面図である。
【
図4】本実施形態に係る光デバイスによって結像された立体画像の一例を示す正面図である。
【
図5】本実施形態に係る光デバイスにおける導光板に形成されたプリズムの一例の構成を斜視図である。
【
図6】光路偏向部群の使用例及び配列例を示す図である。
【
図7】複数の光路偏向部から出た光が空中で結像する様子を示す図である。
【
図10】導光板を用いて空間に表示された、階調表現が向上した立体画像の一例を示す。
【
図11】100階調を想定したときの、導光板上の発光イメージを示す図である。
【
図12】50階調を想定したときの、導光板上の発光イメージを示す図である。
【
図13】50階調を想定したときの、導光板上の発光イメージを示す図である。
【
図14】25階調を想定したときの、導光板上の発光イメージを示す図である。
【
図15】25階調を想定したときの、導光板上の発光イメージを示す図である。
【
図16】従来の導光板において、すべての光路偏向部群から光が出射される様子を示す図である。
【
図17】従来の導光板において、光を出射する光路偏向部群と光を出射しない光路偏向部群とが交互に配置された様子を示す図である。
【
図18】光路偏向部群を構成する、異なる長さを有する三角柱のプリズムの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一側面に係る実施形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0029】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態を
図1等に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0030】
(光デバイスの構成)
図1は、光デバイス1Aの構成を示す斜視図である。
図2は、光デバイス1Aの構成を示す断面図である。本実施の形態に係る光デバイス1Aの構成を、
図1及び
図2に基づいて説明する。
【0031】
図1に示すように、光デバイス1Aは、光源2と、光源2から入射された光を導光して出射面12から出射する導光板10と、導光板10に配置された複数の光路偏向部21(複数のセル)とを備えている。複数の光路偏向部21は、複数の光路偏向部群21a・21b・21c…(複数の偏向部)から構成されており、導光された光を光路偏向して出射させることにより空間上に立体画像Iを結像させる。
【0032】
光源2は、複数の発光ダイオード(LED)2aにより構成されており、各発光ダイオード(LED)2aから出射された光は、入射光調節部3にて調整されて、導光板10の入射面11に入射する。本実施の形態では、光源2は、複数から構成されているが、単数から構成されてよい。
【0033】
入射光調節部3は、発光ダイオード(LED)2aに対して1対1に対応するように複数のレンズ3aを備えている。各レンズ3aは、対応する発光ダイオード(LED)2aの出射光の光軸に沿う方向の後述するxy平面の光の広がりを小さくしたり、大きくしたり、変化しないようにしたりする。この結果、レンズ3aは、発光ダイオード(LED)2aからの出射光を平行光に近づけたり、導光板10の内部において全域に導光したりする。導光板10によって導かれる光の広がり角は、5°以下であってよく、好ましくは1°未満である。導光板10内のxy面内における光の広がり角を小さくするための他の構成として、例えば、x軸方向に所定幅より小さい開口を持つマスクを入射光調節部3に有していてもよい。
【0034】
本実施の形態では、
図2に示すように、発光ダイオード(LED)2aの出射光の光軸は、出射面12に対して角度θをなしている。例えば、発光ダイオード(LED)2aの出射光の光軸と出射面12とがなす狭角である角度θは約20°である。この結果、導光板10への入射光が平行光に近い場合でも、入射光の光軸がy軸に平行である場合と比べて、出射面12と裏面13とで反射を繰り返しながら導光板10内を導光する光量を増やすことができる。したがって、入射光の光軸がy軸に平行である場合と比べて、光路偏向部20に入射する光量を増やすことができる。
【0035】
導光板10は、透明で屈折率が比較的に高い樹脂材料で成形される。導光板10を形成する材料としては、例えばポリカーボネート樹脂(PC)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)ガラス等を使用することができる。
【0036】
導光板10は、光源2からの光が入射される入射面11と、導光板10の表面である光を出射する出射面12と、光路偏向部21が形成されている裏面13とを有している。
【0037】
本実施の形態では、導光板10の出射面12から光が出射され、その出射された光によって、空間中に立体画像Iが結像される。立体画像Iは、観察者によって立体的に認識される。立体画像Iとは、導光板10の出射面12とは異なる位置に存在するように認識される像をいう。立体画像Iは、例えば、導光板10の出射面12から離れた位置に認識される2次元像も含む。つまり、立体画像Iは、立体的な形状として認識される像だけでなく、光デバイス1Aとは異なる位置に認識される2次元的な形状の像も含む概念である。本実施の形態においては、立体画像Iは出射面12よりもz軸プラス側に位置する実像として説明するが、立体画像Iは出射面12よりもz軸マイナス側に位置する虚像である場合もある。
【0038】
本実施の形態の説明において、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を用いる場合がある。本実施の形態では、z軸方向を、出射面12に垂直な方向で定めると共に、裏面13から出射面12への向きをz軸プラス方向と定める。また、y軸方向を、入射面11に垂直な方向と定めると共に、導光板10内を光が進む方向をy軸プラス方向と定める。x軸は、y軸とz軸に垂直な方向で定めると共に、
図1において左の側面から右の側面への方向をx軸プラス方向と定める。xy平面に平行な面のことをxy面、yz平面に平行な面のことをyz面、xz平面に平行な面のことをxz面と称する場合もある。
【0039】
導光板10の裏面13には、導光板10内を導光された光を光路偏向して出射させることにより空間上に像としての立体画像Iを結像させる複数の光路偏向部21が形成されている。複数の光路偏向部21は、互いに異なる位置にxy面内において、2次元的に、例えばマトリクス状に配置される。光路偏向部21は、例えばプリズムにより構成される。
【0040】
図2において、光源2から出射した光は、入射光調節部3を介して導光板10の入射面11から入射する。導光板10に入射した光は、導光板10の出射面12と裏面13との間を全反射して導光される。そして、光路偏向部21によって、全反射条件が破られ、光の光路が特定の向きに偏向されて出射面12から光が出射する。
【0041】
以下、光路偏向部21の構成及び機能について説明する。
【0042】
光デバイス1Aにより立体画像Iを結像させる構成を、
図1、
図3、及び
図4に基づいて説明する。
図3は、光デバイス1Aにより立体画像Iを結像させるための構成を示す平面図である。
図4は、光デバイス1Aによって結像された立体画像Iの一例を示す正面図である。
【0043】
図1に示すように、例えば、光デバイス1Aにてxz面に平行な立体画像結像面に、立体画像Iとして、例えば面画像FIからなる斜め線入りリングマークを結像する場合を考える(
図4)。
【0044】
光デバイス1Aでは、導光板10内を伝播する光のyz面内における広がりが大きい方が好ましい。そこで、入射光調節部3は、光源2からの光のxy面内における広がり角を小さくしない。すなわち、入射光調節部3は、光源2からの光のyz面内における広がり角に実質的に影響を与えない。
【0045】
例えば、入射光調節部3が有するレンズ3aは、xy面内で曲率を持ち、yz面内で曲率を実質的に持たない凸状のシリンドリカルレンズとすることができる。このシリンドリカルレンズは、例えば、両面が凸レンズからなっている。
【0046】
導光板10の裏面13には、光路偏向部群21として機能する複数の光路偏向部群21a・21b・21c…が配置されている。複数の光路偏向部群21a・21b・21c…は、それぞれx軸に平行な方向に沿って設けられた複数のプリズムから形成されている。例えば、光路偏向部群21aは、複数のプリズムP21aから構成されている。同様に、光路偏向部群21bは、複数のプリズムP21bから構成されている。光路偏向部群21cは、複数のプリズムP21cから構成されている。
【0047】
例えばプリズムP21aは、入射した光を光路偏向してxy面内に平行な方向に広げて、出射面12から出射させる。プリズムP21aによって出射面12から出射した光束は、立体画像結像面と実質的に線で交差する。
図1及び
図3に示すように、プリズムP21aによって出射面12から2つの光束が出射する。出射した2つの光束は、立体画像結像面と線31a
1及び線31a
2で交差する。
図1に示すように、光路偏向部群21aに含まれるいずれのプリズムP21aも、他のプリズムP21aと同様に、立体画像結像面と線31a
1及び線31a
2で交差する光束を出射面12から出射させる。線31a
1及び線31a
2は、実質的にxy面に平行な面内にあり、立体画像Iの一部を結像する。このように、光路偏向部群21aに属する複数のプリズムP21aからの光によって、線31a
1及び線31a
2の線画像LIが結像される。線31a
1及び線31a
2の像を結像する光は、x軸方向に沿って異なる位置に設けられた光路偏向部群21aにおける少なくとも2つのプリズムP21a・P21aによって提供されていればよい。
【0048】
光路偏向部群21aに属する複数のプリズムP21aはそれぞれ、プリズムP21aそれぞれに入射した光を、出射面12に平行な面内で、線31a1及び線31a2の像に応じた強度分布を有するようにx軸方向に広げて、出射面12から出射させる。これにより、光路偏向部群21aに属し、x軸方向に沿って配置された複数のプリズムP21aからの光が、線31a1及び線31a2の像に結像する光になる。
【0049】
同様に、
図1に示すように、光路偏向部群21bに属する複数のプリズムP21bはそれぞれ、入射した光を光路偏向してxy面内に平行な方向に広げて、3つの光束を出射面12から出射させる。出射面12から出射した3つの光束は、立体画像結像面と線31b
1、線31b
2及び線31b
3で交差する。そして、光路偏向部群21bに含まれるいずれのプリズムP21bも、他のプリズムP21bと同様に、立体画像結像面と線31b
1・31b
2・31b
3で交差する光束を出射面12から出射させる。このように、光路偏向部群21bに属する複数のプリズムP21bはそれぞれ、プリズムP21bに入射した光を、出射面12に平行な面内で、線31b
1・31b
2・31b
3の像に応じた強度分布を有するようにx軸方向に広げて、出射面12から出射させる。これにより、光路偏向部群21bに属し、x軸方向に沿って配置された複数のプリズムP21bからの光が、線31b
1・31b
2・31b
3の像に結像する光になる。線31b
1・31b
2・31b
3は、実質的にxy面に平行な面内にあり、立体画像Iの一部を結像する。
【0050】
ここで、線31b1・31b2・31b3の結像位置と、線31a1・31a2の結像位置とは、立体画像結像面内においてz軸方向の位置が異なる。
【0051】
同様に、
図1に示すように、光路偏向部群21cに属する複数のプリズムP21cはそれぞれ、入射した光を光路偏向してxy面内に平行な方向に広げて、2つの光束を出射面12から出射させる。出射面12から出射した2つの光束は、立体画像結像面と線31c
1及び線31c
2で交差する。そして、光路偏向部群21cに含まれるいずれのプリズムP21cも、他のプリズムP21cと同様に、立体画像結像面と線31c
1・31c
2で交差する光束を出射面12から出射させる。このように、光路偏向部群21cに属する複数のプリズムP21cはそれぞれ、プリズムP21cに入射した光を、出射面12に平行な面内で、線31c
1・31c
2の像に応じた強度分布を有するようにx軸方向に広げて、出射面12から出射させる。これにより、光路偏向部群21cに属し、x軸方向に沿って配置された複数のプリズムP21cからの光が、線31c
1・31c
2の像に結像する光になる。線31c
1・31c
2は、実質的にxy面に平行な面内にあり、立体画像Iの一部を結像する。
【0052】
ここで、線31c1・31c2の結像位置と、線31b1・31b2・31b3の結像位置と、線31a1・31a2の結像位置とは、立体画像結像面内においてz軸方向の位置がそれぞれ異なる。
【0053】
図1においては、前述したように、線31c
1・31c
2の結像位置と、線31b
1・31b
2・31b
3の結像位置と、線31a
1・31a
2の結像位置とは、立体画像結像面内においてz軸方向の位置がそれぞれ異なっており、それぞれが離れて視認される。しかしながら、実際には、光路偏向部群21a・21b・21cは、光路偏向部群21a・21b・21c…のより多くの第1光路偏向部群により構成され、光路偏向部群21a・21b・21cのy軸方向の間隔を狭めることができる。或いは、光路偏向部群21a・21b・21cのy軸方向の間隔が離れていても、各プリズムP21a・P21b・P21cの光路偏向角度を調節することによって、線31a
1・31a
2の結像位置と線31b
1・31b
2・31b
3の結像位置と線31c
1・31c
2の結像位置との各位置をz軸方向において互い近づけることができる。その結果、
図4に示すように、立体画像Iとして、斜め線入りリングマークの面画像FIが視認されることになる。
【0054】
このように、光デバイス1Aは、2次元的に配置された光路偏向部群21a・21b・21c…の各複数のプリズムP21a・P21b・21cからの光束の集まりによって、光束を面画像FIに結像して観察者側の空間に提供できる。そのため、観察者は、y軸方向に沿う広い位置範囲から面画像FIからなる立体画像Iを認識することができる。
【0055】
(光路偏向部群の形状)
面画像FIを結像するための光路偏向部群21a・21b・21c…のプリズムP21a・P21b・P21c…の形状を、
図5に基づいて説明する。
【0056】
図5は、光デバイス1Aにおける導光板10に形成されたプリズムP21aの一例の構成を斜視図である。
【0057】
図示するように、光路偏向部群21aのプリズムP21aは、例えば、概ね、断面形状が山形のリングの一部を切り取った形状をしており、反射面f1・f2・f3・f4・f5を有している。これら反射面f1・f2・f3・f4・f5は、光を光路偏向する偏向面として機能する光学面の一例であり、互いに異なる方向を向く曲面からなっている。前述したように、発光ダイオード(LED)2aの光軸を導光板10の出射面12に対してyz面内で角度θだけ傾けて設けている。そのため、導光板10への入射光が平行光に近い場合でも、入射光の光軸がy軸に平行である場合と比べて、出射面12と裏面13とで反射を繰り返しながら導光板10内を導光する光量を増やすことができる。したがって、入射光の光軸がy軸に平行である場合と比べて、反射面f1・f2・f3・f4・f5に入射する光量を増やすことができる。
【0058】
反射面f1は、導光板10を導光する光L1に対して平行な方向において円弧状に湾曲する上り傾斜面となっており、反射面f1に入射した光L1を、該反射面f1の入射位置に応じて、出射面12から異なる出射角で出射させる。この結果、反射面f1は、該反射面f1に入射した光L1を、
図2に示すように、立体画像Iのうちの例えば辺31の範囲に広げる。辺31は、y軸に平行な辺である。反射面f1からの反射光は、辺31が存在する方向に向かい、反射面f1から辺31が存在しない方向に向かう光は実質的に存在しない。したがって、反射面f1から反射光は、yz面内において、反射面f1から辺31に向かう角度にのみ実質的に反射光を分布させる。このように、yz面内において、反射面f1は、入射した光を角度方向に強度変調して出射する。反射面f1は曲面であるので、反射面f1への入射光である光L1が平行光である場合でも、像を描画する線を結像するための光を提供することができる。
【0059】
図5に示すように、反射面f2・f3は、プリズムP21aにおいて、断面形状が山形のドーナツ形状において反射面f1を挟んで円弧上に延びており、それぞれ、反射面f1と同様に、途中まで、山の斜面を上る傾斜面となっている。これにより、該反射面f2・f3に入射した光L1を反射して、
図1に示すように、該反射した光を立体画像Iの線31a
1及び線31a
2の範囲に広げる。
図1に示すように、立体画像Iの線31a
1及び線31a
2の間は、反射面f1の存在により線が存在しない状態を形成する。
【0060】
図5に示すように、さらに、反射面f4・f5は、反射面f4・f5の途中に形成された変曲線を経て形成された上り傾斜面からなっている。この反射面f4・f5の存在により、
図1に示すように、例えば、立体画像Iの線31c
1及び線31c
2を結像することができる。
【0061】
このように、例えば、プリズムP21aを反射面f1~f5の形状とすることにより、立体画像Iにおける面画像FIの基になる線31、線31a1・31a2、線31b1・31b2・31b3、及び線31c1・31c2を結像することができる。
【0062】
(光路偏向部群の使用例及び配列例)
以下では、光路偏向部群21a・21b・21c…の使用例及び配列例を
図6に基づいて説明する。
【0063】
図6は、光路偏向部群21a・21b・21c…の使用例及び配列例を示す図である。
図6に示すように、例えば、光路偏向部群21a・21b・21cとして、三角柱のプリズムP21a・P21b・P21cをそれぞれ3行2列のマトリクス状であって、かつやや隙間を有するように配設する構成が例示される。この構成は一例であって、当然に他の構成を採用することができる。例えば、光路偏向部群21a・21b・21cとして、三角柱のプリズムP21a・P21b・P21cをそれぞれ3行3列のマトリクス状とすることもできる。
【0064】
(階調表現を向上させる導光板の構成)
次に、階調表現を向上させる導光板10の詳細な構成を
図7等により説明する。
【0065】
図7は、複数の光路偏向部21から出た光が空中で結像する様子を示す図である。説明の便宜のため、
図16も参照しつつ説明する。
図16では、すべての光路偏向部群200から光が出射され、空中で像が結像される。このときの階調を100階調とする。
図7に記載の構成は、
図16に示す構成の50%の50階調を作り出すことを目的として設計された構成である。
図7において、実線は光が出射されている様子を示し、破線は光が出射されていない様子を模式的に示す。
【0066】
導光板10は、マトリックス状に並んだ複数の光路偏向部21を含む。
図7は、その一断面を示す。複数の光路偏向部21はそれぞれ、導光板10に入射した光を複数の方向に偏向して出射する複数の光路偏向部群21a・21b・21c…(不図示)を含む。ここで、複数の光路偏向部21のうち、隣り合う第1の光路偏向部21および第2の光路偏向部21に注目して説明する。
【0067】
第1の光路偏向部21は、立体画像の中間階調の線または面を構成する複数の点を表示するために、第1角度範囲に光を偏向する第1のプリズムを含む。第1の光路偏向部21は、第1角度範囲に隣接する第2角度範囲に光を偏向する第2のプリズムを含まない。また、第1の光路偏向部21は、第2角度範囲に隣接する第3角度範囲に光を偏向する第3のプリズムを含む。第2の光路偏向部21は、第1のプリズムは含まず、第2のプリズムを含み、第3のプリズムは含まない。
【0068】
第1角度範囲と第2角度範囲との差は、6度以内が望ましく、さらに3度以内が望ましい。一般成人の両眼の間隔を約6cmとすると、50cm離れた位置と両眼とのなす角度が6.8度のため、その6.8度以下とするためである。3度以内としたのは、6度の50%である3度にすることにより、距離が離れたとしても、また目の間隔が小さくなっても適用できるようにするためである。以上については、第2角度範囲と第3角度範囲、またそれ以降における角度範囲の差についても同様と考えてよい。
【0069】
図7に記載の導光板10では、このように構成された第1の光路偏向部21と第2の光路偏向部21が周期的に交互に配置されている。このように構成された導光板10から光が出射される様子を
図8に示す。
【0070】
図8は、
図7の要部を説明する図である。
図8は、4つの光偏向部21P、光偏向部21Q、光偏向部21R、及び光偏向部21Sを拡大して示す。
【0071】
光偏向部21Pは、R1、R3、R5、R7で参照される方向に光を偏向する。つまり、光偏向部21Pは、R1、R3、R5、R7で参照される方向に光を偏向する複数のプリズムを含む。しかしながら、光偏向部21Pは、R2、R4、R6、R8、及びR10で参照される方向には光を偏向しない。つまり、光偏向部21Pは、R2、R4、R6、R8、及びR10で参照される方向に光を偏向するプリズムを含まない。
【0072】
光偏向部21Qは、R2、R4、R6、R8、及びR10で参照される方向に光を偏向する。つまり、光偏向部21Qは、R2、R4、R6、R8、及びR10で参照される方向に光を偏向する複数のプリズムを含む。しかしながら、光偏向部21Qは、R1、R3、R5、R7、及びR9で参照される方向に光を偏向しない。つまり、光偏向部21Qは、R1、R3、R5、R7、及びR9で参照される方向に光を偏向するプリズムを含まない。
【0073】
光偏向部21Rは、R1、R3、R5、R7で参照される方向に光を偏向する。つまり、光偏向部21Rは、R1、R3、R5、R7で参照される方向に光を偏向する複数のプリズムを含む。しかしながら、光偏向部21Rは、R2、R4、R6、R8、及びR10で参照される方向には光を偏向しない。つまり、光偏向部21Rは、R2、R4、R6、R8、及びR10で参照される方向に光を偏向するプリズムを含まない。
【0074】
光偏向部21Sは、R2、R4、R6、及びR8で参照される方向に光を偏向する。つまり、光偏向部21Sは、R2、R4、R6、及びR8で参照される方向に光を偏向する複数のプリズムを含む。しかしながら、光偏向部21Sは、R1、R3、R5、R7で参照される方向に光を偏向しない。つまり、光偏向部21Sは、R1、R3、R5、R7で参照される方向に光を偏向するプリズムを含まない。このことを
図9によりさらに説明する。
【0075】
図9は、導光板10上の発光イメージを示す図である。導光板10では、複数の光路偏向部21がマトリックス状に並んでいる。
図9の上図では、特定の方向(方向A)に偏向する光路偏向部の位置に印が付けられている。方向Aとは、
図8を参照して説明した、R1、R3、R5、R7、及びR9で参照される方向と考えてよい。
図9の下図では、特定の方向(方向B)に偏向する光路偏向部の位置に印が付けられている。方向Bとは、
図8を参照して説明した、R2、R4、R6、R8、及びR10で参照される方向と考えてよい。このように、複数の光路偏向部21はそれぞれ、視野角が少しずつ変わるたびに、プリズムの抜き方(間引き方)を変えている。その結果、方向Aと方向Bとで導光板10上の発光イメージが変化する。
【0076】
前記の構成を備えることにより、
図7に示すように、導光板10は、所定の像を空間に表示しつつ、空中での結像点を50%に減らしている。その結果、導光板10は、
図16に示す構成(100階調)の50%の50階調を作り出すことができる。このようにして、導光板10は、従来よりも階調表現を向上させている。その一例を
図10に示す。
【0077】
図10は、導光板10を用いて空間に表示された、階調表現が向上した立体画像の一例を示す。図示するように、空間に表示された立体画像は、立体感を保ったまま、各面に階調をつけている。さらに、導光板10では、視野角が少しずつ変わるたびに、プリズムの抜き方(間引き方)を変えている。これにより、導光板10は、加工する点数を軽減し、加工時間を短縮できるというさらなる効果も奏することができる。
【0078】
〔実施の形態2(50階調)〕
次に、本発明の実施形態2を説明する。説明の便宜上、前記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。このことは、後述する他の実施形態についても同様である。
【0079】
50階調を作り出す構成を
図11等により説明する。
図11は、100階調を想定したときの、導光板10上の発光イメージを示す図である。
図12は、50階調を想定したときの、導光板10上の発光イメージを示す図である。
図11、12には、複数の光路偏向部21がマトリックス状に並べられている。
【0080】
図11に示すように、100階調を想定したときには、光路偏向部21はそれぞれ、特定の方向に限定されることなく光を偏向する。そのため、
図11では、マトリックス状に並んだすべての光路偏向部21に印が付けられている。
【0081】
一方、50階調を想定したときには、
図9を参照して説明したように、光路偏向部21はそれぞれ、R1、R3、R5、R7で参照される方向、または、R2、R4、R6、R8、及びR10で参照される方向というように、特定の方向に光を偏向する。そのため、
図12の上図(配置A)と下図(配置B)とでは付けられる印の位置が互いに相違する。
【0082】
より具体的に説明する。
図12には、一例として8行×8列のマトリックスが記載されている。マトリックスにおける光路偏向部21の位置を(行番号、列番号)で表現すると、例えば、配置Aでは(1、1)および(2、2)に印が付けられている。配置Bでは(1、2)および(2、1)に印が付けられている。マトリックスの他の位置での説明は省略するが、図示するように、
図12の上図(配置A)と下図(配置B)とでは付けられる印の位置が交互である。配置A、配置Bを交互の関係とすることにより、導光板10は、空中での結像点を50%に減らし、
図11に示す構成(100階調)の50%の50階調を作り出している。
【0083】
50階調を作り出す他の構成を
図13により説明する。
図13は、50階調を想定したときの、導光板10上の発光イメージを示す図である。
【0084】
図12の配置A、Bとは異なり、
図13では、配置Aでは(1、1)および(2、1)に印が付けられている。配置Bでは(1、2)および(2、2)に印が付けられている。つまり、
図13の上図(配置A)と下図(配置B)とでは付けられる印の位置が交互である。マトリックスの他の位置での説明は省略するが、図示するように、配置A、配置Bを交互の位置関係とすることにより、導光板10は、空中での結像点を50%に減らし、
図11に示す構成(100階調)の50%の50階調を作り出している。
【0085】
このように、
図12、
図13の構成により、導光板10は、所定の像を空間に表示しつつ、
図11に示す構成(100階調)の50%の50階調を作り出すことができる。このようにして、導光板10は、従来よりも階調表現を向上させている。なお、図示していないが、
図11に示す構成(100階調)の50%の50階調を作り出すために、配置Aでは(1、2)および(2、2)に印が付けられ、配置Bでは(1、1)および(2、1)に印が付けられる、といった構成も採用することができる。
【0086】
〔実施の形態3(25階調)〕
次に、25階調を作り出す構成を
図14、
図15により説明する。
図14および
図15はそれぞれ、25階調を想定したときの、導光板10上の発光イメージを示す図である。
図14および
図15には、複数の光路偏向部21がマトリックス状に並べられている。以下の説明においても、マトリックスにおける光路偏向部21の位置を(行番号、列番号)で表現する。
【0087】
最初に、複数の光路偏向部21のうち、第1の光路偏向部21~第4の光路偏向部21に注目する。
【0088】
第1の光路偏向部21は、立体画像の中間階調の線または面を構成する複数の点を表示するために、第1角度範囲に光を偏向する第1のプリズムを含む。第1の光路偏向部21は、第1角度範囲に隣接する第2角度範囲に光を偏向する第2のプリズムを含まない。第2の光路偏向部21は、第1のプリズムは含まず、第2のプリズムを含む。
【0089】
さらに、第1の光路偏向部21および第2の光路偏向部21は、第2角度範囲に隣接する第3角度範囲に光を偏向する第3のプリズムを含まず、かつ、第3角度範囲に隣接する第4角度範囲に光を偏向する第4のプリズムを含まない。
【0090】
そして、導光板10は、第3のプリズムを含み、第1のプリズム、第2のプリズム、及び第4のプリズムを含まない第3の光路偏向部21と、第4のプリズムを含み、第1のプリズムないし第3のプリズムを含まない第4の光路偏向部21と、をさらに含む。
【0091】
このように構成された第1の光路偏向部21ないし第4の光路偏向部21が、導光板10上で周期的に配置されている。
【0092】
図14には、配置A~Dが示されており、配置A~Dの(1、1)、(1、2)、(2、1)、及び(2、2)に注目して説明する。配置Aでは、(1、1)のみに印が付けられている。配置Bでは(1、2)のみに印が付けられている。配置Cでは(2、1)のみに印が付けられている。配置Dでは(2、2)のみに印が付けられている。マトリックスの他の位置での説明は省略するが、図示するように、
図14の配置A~Dでは、付けられる印の位置が周期的に変化する。
【0093】
このように、複数の光路偏向部21はそれぞれ、視野角が少しずつ変わるたびに、プリズムの抜き方(間引き方)を変えている。これは、例えば、配置AではR1、R5の方向のみに、配置BではR2、R6の方向のみに、配置CではR3、R7の方向のみに、配置DではR4、R8の方向のみにそれぞれ光を偏向する、という構成である。
【0094】
前記の構成を備えることにより、導光板10は、所定の像を空間に表示しつつ、空中での結像点を25%に減らしている。その結果、導光板10は、
図11に示す構成(100階調)の25%の25階調を作り出すことができる。
【0095】
図14の配置A~Dとは異なり、
図15では、配置Aでは(1、1)に、配置Bでは(2、1)に、配置Cでは(1、2)に、配置Dでは(2、2)に、それぞれ印が付けられている。このようにプリズムの抜き方(間引き方)を変えることによっても、導光板10は、
図11に示す構成(100階調)の25%の25階調を作り出すことができる。
【0096】
〔実施の形態4(バリエーション)〕
本実施形態では、50%、25%以外の、さらに豊富な階調表現を作り出す構成を説明する。
【0097】
図12~
図15を参照して説明した前記の実施形態では、「2×2」をマトリックスの一単位として扱った。しかしながら、例えば「3×3」をマトリックスの一単位として扱う場合には、9(3×3)段階の階調表現を作り出すことができる。また、「3×2」をマトリックスの一単位として扱う場合には、6(3×2)段階の階調表現を作り出すこともできる。また、「2×2」を一単位として扱う場合であっても、75階調を作り出すこともできる。
【0098】
このように、本実施形態では、他の実施形態と同様に、視野角が少しずつ変わるたびに、光路偏向部21それぞれにおけるプリズムの抜き方(間引き方)を変える。これにより、階調表現が向上した立体画像を空間に表示する導光板を実現することができる。
【0099】
さらに、前記の種々の実施形態と共に、光路偏向部21に含まれるプリズムは、その長さおよび高さの少なくとも一方が他と異なるプリズムを少なくとも1つ含んでもよい。
図18を参照して説明したように、例えば、プリズムの長さを半分にすると、明るさが50%減となり、階調が50%となる。同様に、プリズムの高さ(つまり、幅)を半分にすると、明るさが50%減となり、階調が50%となる。
【0100】
そこで、例えば、
図12の構成により50階調を作り出したうえで全てのプリズムの長さを半分にすると、明るさが半減することから、25階調を作り出すことができる。同様に、
図14の構成により25階調を作り出したうえで全てのプリズムの長さを半分にすると、明るさが半減することから、階調も半減する。
【0101】
このように、視野角が少しずつ変わるたびに、光路偏向部21それぞれにおけるプリズムの抜き方(間引き方)を変え、さらに、プリズムの長さおよび高さの少なくとも一方を変える構成も組み合わせて採用することができる。そのとき、プリズムを長さ50μmまで短くし、その後でプリズムの高さを低くする(プリズムの幅を狭める)、といった構成も採用することができる。このような構成を採用することにより、さらに階調表現が向上した立体画像を空間に表示する導光板を提供することができる。
【0102】
〔表示装置、入力装置、アミューズメント機器等への適用〕
各実施形態に係る導光板10と、導光板10への入射光を照射する光源(発光ダイオード等)と、を備える表示装置も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0103】
また、前記の表示装置と、空間上に結像した立体画像Iに近接する、あるいは、立体画像Iの近くに存在する物体(人の指など)を検知するセンサ部50(
図1参照)とを備えた入力装置も本発明の技術的範囲に含まれる。そのようなセンサ部50は、所定の検出位置に物体が位置した場合に物体の存在を検出する限定反射センサ等の周知のセンサであってよい。
【0104】
また、前記の表示装置を備えた各種の機器も本発明の技術的範囲に含まれる。そのような装置としては、例えば、アミューズメント機器(パチンコ・パチスロ・ゲームセンター・カジノなどで使用される装置、機械)、玩具、車載、または家電等が挙げられる。
【0105】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1A 光デバイス
2 光源
3 入射光調節部
3a レンズ
10 導光板
11 入射面
12 出射面
13 裏面
21 光路偏向部
21、21a、21a・21b・21c、21b、21c、200 光路偏向部群
21P、21Q、21R、21S 光偏向部
50 センサ部