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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】推力発生装置
(51)【国際特許分類】
   B64C 11/34 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
B64C11/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021043986
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2021147039
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020047054
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 浩保
(72)【発明者】
【氏名】郡司 大輔
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04362467(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼の推力を発生させる第1モータと、
前記回転翼のピッチ角を変化させる回転運動を発生させる第2モータと、
前記第2モータの回転運動を直線運動に変換する第1変換部と、
前記第1変換部で変換された直線運動を回転運動に変換する第2変換部と、
前記回転翼を支持するとともに、前記第2変換部の少なくとも一部を収容するハブと、
を備え
前記ハブは、
前記第2変換部の少なくとも一部を収容する収容部を有するケースと、
前記ケースに固定されて前記収容部を塞ぐ中蓋と、
前記ケースおよび前記中蓋の少なくとも一方に係止され、前記中蓋を覆う外蓋と、を備え、
前記ケースおよび中蓋のうち前記外蓋が係止される部材と、前記外蓋とのうち、一方が嵌合溝を有し、他方が前記嵌合溝に係合される係止爪を有し、
前記嵌合溝に前記係止爪が係合されることで、前記外蓋が前記ケースおよび前記中蓋の少なくとも一方に係止され、
前記中蓋は、前記外蓋に対向する面に円柱状の突起部を有し、
前記嵌合溝は、前記突起部の外周面に形成された環状溝であり、
前記外蓋は、前記環状溝に係合される少なくとも3つの前記係止爪を有することを特徴とする推力発生装置。
【請求項2】
前記外蓋の前記中蓋に対する移動を制限する移動制限部をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の推力発生装置。
【請求項3】
前記移動制限部は、
前記ケースおよび中蓋のうち前記外蓋が係止される部材と、前記外蓋とのうち、一方に形成された凸部と、他方に形成され前記凸部に嵌合する凹部と、を備えることを特徴とする請求項に記載の推力発生装置。
【請求項4】
前記凸部および前記凹部は、それぞれ放射状に等間隔に形成されていることを特徴とする請求項に記載の推力発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧を用いることなく、電動でプロペラ(回転翼)の回転軸に対する取付角度であるピッチを可変にする技術としては、例えば、特許文献1に開示がある。この技術では、回転主軸が中空状に形成され、この回転主軸内に操作ロッドが軸線方向にのみ移動可能に同心状に配設され、その操作ロッドの下端に固着されたアームが、リンクおよびレバー機構を介して羽根の各支持軸に連結されている。そして、操作ロッドを軸線方向に往復移動させることによって、リンクおよびレバー機構を介して各羽根の取付角度が変化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-87037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロペラのピッチを可変にする可変ピッチ機構には高精度の制御が求められるため、埃や雨などの影響を避けなければならない。
そこで、本発明は、機能部品への埃や雨などの影響を適切に防ぐことができる推力発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る推力発生装置によれば、回転翼の推力を発生させる第1モータと、前記回転翼のピッチ角を変化させる回転運動を発生させる第2モータと、前記第2モータの回転運動を直線運動に変換する第1変換部と、前記第1変換部で変換された直線運動を回転運動に変換する第2変換部と、前記回転翼を支持するとともに、前記第2変換部の少なくとも一部を収容するハブと、を備え、前記ハブは、前記第2変換部の少なくとも一部を収容する収容部を有するケースと、前記ケースに固定されて前記収容部を塞ぐ中蓋と、前記ケースおよび前記中蓋の少なくとも一方に係止され、前記中蓋を覆う外蓋と、を備える。
【0006】
このように、ケースに中蓋を固定して収容部を塞ぐとともに、ケースまたは中蓋に外蓋を取り付け、外蓋によって中蓋を覆うことで、ケース内の機能部品が埃や雨などの影響を受けることを適切に防止することができる。また、外蓋は、ケースまたは中蓋に係止する構成であり、摩擦力を利用することなく取り付けが可能である。したがって、ネジなどの摩擦力を利用した固定部材を用いて外蓋を取り付けた場合に発生し得る当該固定部材の緩みの問題を回避することができ、外蓋を安定して取り付けることができる。
【0007】
また、上記の推力発生装置において、前記ケースおよび中蓋のうち前記外蓋が係止される部材と、前記外蓋とのうち、一方が嵌合溝を有し、他方が前記嵌合溝に係合される係止爪を有し、前記嵌合溝に前記係止爪が係合されることで、前記外蓋が前記ケースおよび前記中蓋の少なくとも一方に係止されていてもよい。
このように、溝形状と爪形状との嵌め合いを利用することで、摩擦力を利用せずに、外蓋を正しい位置に容易に取り付けることができる。
【0008】
さらに、上記の推力発生装置において、前記中蓋は、前記外蓋に対向する面に円柱状の突起部を有し、前記嵌合溝は、前記突起部の外周面に形成された環状溝であり、前記外蓋は、前記環状溝に係合される少なくとも3つの前記係止爪を有していてもよい。
この場合、外蓋をケースに固定された中蓋に押し付けることで、外蓋を中蓋に容易に取り付けることができる。また、環状溝に少なくとも3つの係止爪を係合させるので、外蓋を中蓋の正しい位置に安定して取り付けることができる。
【0009】
また、上記の推力発生装置は、前記外蓋の前記中蓋に対する移動を制限する移動制限部をさらに備えていてもよい。
この場合、外蓋を正しく位置決め固定することができる。
【0010】
さらに、上記の推力発生装置において、前記移動制限部は、前記ケースおよび中蓋のうち前記外蓋が係止される部材と、前記外蓋とのうち、一方に形成された凸部と、他方に形成され前記凸部に嵌合する凹部と、を備えていてもよい。
このように、凸形状と凹形状との嵌め合いを利用することで、摩擦力を利用せずに、外蓋を位置決め固定することができる。
【0011】
また、上記の推力発生装置において、前記凸部および前記凹部は、それぞれ放射状に等間隔に形成されていてもよい。
この場合、外蓋の中蓋に対する移動(回転を含む)を容易かつ適切に制限することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一つの態様によれば、機能部品への埃や雨などの影響を適切に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)は、実施形態に係る推力発生装置に回転翼を取り付けた状態を示す斜視図、図1(b)および図1(c)は、実施形態に係る推力発生装置に取り付けられた回転翼のピッチ角を変化させた状態を示す側面図である。
図2図2は、図1(a)の推力発生装置を回転軸の一端側から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
図3図3は、図1(a)に示す推力発生装置を回転軸の他端側から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
図4図4(a)は、図2に示す推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図、図4(b)は、図3に示す推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図である。
図5図5(a)は、実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、図5(b)は、図5(a)のA-A線に沿って切断した断面図である。
図6図6(a)は、実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、図6(b)は、図6(a)のB-B線に沿って切断した断面図である。
図7図7(a)は、実施形態に係る推力発生装置の推力発生用モータの構成を示す平面図、図7(b)は、図7(a)のC-C線に沿って切断した断面図である。
図8図8(a)は、図6のピッチ可変用モータ、回転伝達部および回転直動変換部の構成を示す斜視図、図8(b)は、図8(a)の回転直動変換部を支持する支持部材および直動案内部を除去した構成を示す斜視図である。
図9図9は、図8(a)のピッチ可変用モータ、回転伝達部および回転直動変換部の構成を示す平面図である。
図10図10(a)は、図9のD-D線に沿って切断した断面図、図10(b)は、図9のE-E線に沿って切断した断面図である。
図11図11(a)は、図1(b)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図、図11(b)は、図1(c)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図である。
図12図12は、ハブの分解斜視図である。
図13図13は、外蓋の構成を示すハブの分解斜視図である。
図14図14(a)は、ハブの平面図、図14(b)は、図14(a)のF-F断面図である。
図15図15(a)は、図14(a)のG-G断面図、図15(b)は、図14(a)のH-H断面図である。
図16図16は、変形例を示す斜視図である。
図17図17は、図16に示した変形例の断面図である。
図18図18は、図16に示した変形例の他の断面図である。
図19図19は、図16に示した変形例の展開斜視図である。
図20図20は、図16に示した変形例のエクステンションと、ハブケースと、ハブ取り付け用ボルトを示す展開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。また、以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺および形状などを異ならせることがある。
【0015】
以下の説明では、推力発生装置で駆動される回転翼が3枚の場合を例にとるが、推力発生装置で駆動される回転翼は、必ずしも3枚に限定されることなく、N(Nは正の整数)枚であればよい。
図1(a)は、実施形態に係る推力発生装置に回転翼を取り付けた状態を示す斜視図、図1(b)および図1(c)は、実施形態に係る推力発生装置に取り付けられた回転翼のピッチ角を変化させた状態を示す側面図、図2および図3は、図1(a)の推力発生装置の構成を分解して示す斜視図、図4(a)および図4(b)は、図2および図3の推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図である。
【0016】
図1(a)、図1(b)および図1(c)において、推力発生装置1は、回転翼H1~H3を電動で駆動する。回転翼H1~H3は、グリップP1~P3をそれぞれ介して推力発生装置1に装着される。グリップP1~P3は、推力発生装置1から水平方向に放射状に延びるように回転翼H1~H3を支持する。推力発生装置1は、装着面1Aを介して飛翔体に装着される。推力発生装置1が装着された飛翔体は、例えば、モータで飛行するマルチコプター、飛行機、回転翼機および飛行機能を備える自動車などの飛行可能な機体または車体である。
【0017】
図1(a)、図1(b)、図1(c)、図2図3図4(a)および図4(b)に示すように、推力発生装置1は、推力発生用モータ2(第1モータ)、ピッチ可変用モータ5(第2モータ)、回転伝達部6、回転直動変換部(第1変換部)7、直動回転変換部(第2変換部)8、エクステンション9およびハブ10を備える。推力発生用モータ2は、ステータ2A、ロータ2Bおよびフレーム2Cを備える。また、ロータ2Bは内径側にロータ軸4および中空部3A、3Bを備える。
【0018】
推力発生用モータ2は、回転翼H1~H3の推力Fを発生させる。ステータ2Aは、電磁鋼鈑と巻線により構成され、ロータ2Bの外側に位置する。ステータ2Aは、フレーム2Cに固定されている。推力発生用モータ2の装着面1Aは、フレーム2Cに設けることができる。装着面1Aは、回転伝達部6をフレーム2C内に挿入可能な開口1Bを備える。支持部1Cは、フレーム2Cの外枠から内側に向かって放射状に延びる。フレーム2Cの内径部は円筒形状であり、軸受U1を介してロータ軸4を回転自在に支持する。フレーム2Cは、例えばジュラルミンなどの合金で形成することができる。
【0019】
ロータ2Bの内径側にはロータ軸4が形成されている。ロータ軸4は、軸受U1を介してフレーム2Cに回転自在に支持されており、回転軸S0の軸回りに回転する。中空部3A、3Bは、推力発生用モータ2内に位置する。また、中空部3Aは、ロータ2Bの円周方向に沿ってロータ2Bとロータ軸4の間に位置する。中空部3Bは、ロータ軸4の軸方向に沿ってロータ軸4内径側に位置する。
【0020】
ピッチ可変用モータ5は、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を変化させる回転運動を発生させる。ピッチ可変用モータ5は、フレーム2Cに固定される。ピッチ可変用モータ5の少なくとも一部は、推力発生用モータ2内に収容される。このとき、ピッチ可変用モータ5は、中空部3Aに位置することができる。ピッチ可変用モータ5の回転軸は、推力発生用モータ2の回転軸S0と並列に位置することができる。
【0021】
回転伝達部6は、ピッチ可変用モータ5で発生された回転運動を推力発生用モータ2の回転軸S0に対して垂直方向に伝える。すなわち、ピッチ可変用モータ5の回転軸と、推力発生用モータ2の回転軸S0は平行な異なる軸であり、回転伝達部6によりピッチ可変用モータ5で発生された回転運動を、推力発生用モータ2の回転軸S0の軸上に伝達する。回転伝達部6は、フレーム2Cに固定される。回転伝達部6の少なくとも一部は、推力発生用モータ2内に収容される。
【0022】
回転直動変換部7は、ピッチ可変用モータ5で発生され、回転伝達部6を介して伝えられた回転運動を、回転軸S0の軸方向の直線運動に変換する。回転直動変換部7の少なくとも一部は、推力発生用モータ2内に収容される。このとき、回転直動変換部7の少なくとも一部は、回転軸S0の軸方向に沿って回転翼H1~H3側に突出させることができる。回転直動変換部7は、フレーム2Cに固定される。
【0023】
直動回転変換部8は、回転直動変換部7で変換された直線運動を、各支持軸M1~M3の軸回りの回転運動に変換する。直動回転変換部8は、推力発生用モータ2の外部に位置する。
【0024】
エクステンション9は、回転軸S0の軸方向において、推力発生用モータ2と回転翼H1~H3との間の間隔を保つためのスペーサである。エクステンション9は、回転翼H1~H3が推力発生用モータ2に衝突するのを防止する。エクステンション9は、ロータ2Bの端面に固定される。
【0025】
ハブ10は、直動回転変換部8を収容するとともに、グリップP1~P3がハブ10から突出した状態でグリップP1~P3を支持する。ハブ10は、エクステンション9を介して、ロータ2Bの端面に固定される。すなわち、ハブ10は、ロータ2Bを介して回転軸S0の軸回りに回転可能な状態でフレーム2Cに支持される。ハブ10は、グリップP1~P3を介し、回転軸S0の軸方向に対して垂直方向に回転翼H1~H3を支持する。
【0026】
推力発生用モータ2が動作すると、ロータ2Bが回転軸S0を中心に回転することで、回転翼H1~H3が回転する。そして、各回転翼H1~H3の回転R1~R3に伴って回転翼H1~H3の推力Fが発生する。
【0027】
ここで、ピッチ可変用モータ5、回転伝達部6および回転直動変換部7は、フレーム2Cに固定される。このため、ロータ2Bが回転しても、ピッチ可変用モータ5、回転伝達部6および回転直動変換部7は、回転軸S0の軸回りに回転しない。
【0028】
また、ピッチ可変用モータ5が動作すると、各回転翼H1~H3は、各支持軸M1~M3の軸回りに回転し、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化する。このとき、ピッチ可変用モータ5の回転運動は、回転伝達部6を介して回転直動変換部7に伝えられる。そして、ピッチ可変用モータ5の回転運動は、回転直動変換部7によって、回転軸S0の軸方向の直線運動に変換される。そして、回転直動変換部7で変換された直線運動は、直動回転変換部8によって、各支持軸M1~M3の軸回りの3つの回転運動に変換される。そして、各支持軸M1~M3の回転運動は、グリップP1~P3をそれぞれ介し、各回転翼H1~H3に伝えられ、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化される。
【0029】
ここで、推力発生装置1は、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を可変とすることにより、推力を変化させることができる。また、推力発生装置1は、ピッチ角θ1~θ3を可変とすることにより、推力変化の応答速度を早めることで飛翔体の安定性を向上させることが可能となるとともに、ブレード長(回転翼H1~H3の長さ)を長くすることなく、飛翔体に必要な推力を確保することができ、推力発生装置1の大型化および重量増を抑制することができる。また、各状況で必要な推力は固定ピッチと比較した場合、推力発生用モータ2の低い回転数で発生できるので、回転数に依存する騒音を抑制することができる。
【0030】
また、推力発生装置1は、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を電動で可変とすることにより、油圧を用いる必要がなくなる。このため、油の給排を制御する油圧制御ユニットおよび回転体に対してオイルシールを行うための複雑な回転シール機構を設ける必要がなくなり、推力発生装置1の大型化を抑制することが可能となるとともに、推力発生装置1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0031】
さらに、回転直動変換部7の少なくとも一部を、推力発生用モータ2内に収容することにより、回転軸S0の軸方向において推力発生用モータ2からの回転直動変換部7の突出量を減らすことができる。このため、推力発生用モータ2で回転翼H1~H3の推進力を発生させ、ピッチ可変用モータ5で回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を可変とした場合においても、回転軸S0の軸方向に推力発生装置1をコンパクト化することが可能となる。
【0032】
さらに、回転直動変換部7の少なくとも一部を、中空部3B内に収容することにより、推力発生用モータ2を回転軸S0の軸方向に大型化することなく、回転直動変換部7の少なくとも一部を推力発生用モータ2内に収容することができ、回転軸S0の軸方向に推力発生装置1をコンパクト化することが可能となる。
【0033】
さらに、ピッチ可変用モータ5で発生された回転運動を、回転伝達部6を介して伝えることにより、推力発生用モータ2の回転軸S0とピッチ可変用モータ5の回転軸を並列に配置することが可能となり、ピッチ可変用モータ5を推力発生用モータ2内に収容することが可能となる。
【0034】
さらに、直動回転変換部8をハブ10内に収容することにより、回転軸S0の軸方向に推力発生装置1をコンパクト化することが可能となるとともに、直動回転変換部8が外部に露出するのを防止することが可能となる。
【0035】
以下、回転伝達部6、回転直動変換部7および直動回転変換部8の構成および動作について、より具体的に説明する。
図5(a)および図6(a)は、実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、図5(b)は、図5(a)のA-A線に沿って切断した断面図、図6(b)は、図6(a)のB-B線に沿って切断した断面図、図7(a)は、実施形態に係る推力発生装置の推力発生用モータの構成を示す平面図、図7(b)は、図7(a)のC-C線に沿って切断した断面図である。
【0036】
図7(a)および図7(b)において、ロータ2Bは、軸受U1を介し、回転軸S0の軸回りに回転可能な状態でフレーム2Cにて支持されている。また、推力発生用モータ2内において、ロータ2Bとロータ軸4の間には中空部3Aが設けられ、ロータ軸4内には中空部3Bが設けられている。
【0037】
また、図2図3図5(a)、図5(b)、図6(a)および図6(b)において、回転伝達部6は、歯車G1~G3および支持部材BJ1~BJ3を備える。歯車G1~G3は、ピッチ可変用モータ5の回転運動を回転直動変換部7に伝える。歯車G1は、ボールねじ軸7Fの一端に取り付けられる。歯車G3は、ピッチ可変用モータ5の回転軸に取り付けられる。歯車G2は、歯車G1と歯車G3の間で歯車G1、G3と噛み合う位置に設けられる。
【0038】
フレーム2Cは、支持部材BJ1を介し、歯車G1およびボールねじ軸7Fが回転可能な状態で歯車G1および回転直動変換部7を支持する。また、フレーム2Cは、支持部材BJ3を介し、歯車G3およびピッチ可変用モータ5の回転軸を回転可能な状態で支持する。また、フレーム2Cは、支持部材BJ1、BJ2を介し、歯車G2を回転可能な状態で支持する。このとき、歯車G2は、支持部材BJ1、BJ2で挟み込まれた状態で、歯車G1、G3と噛み合う位置に配置される。歯車G1~G3の材料は例えば炭素鋼であり、支持部材BJ1~BJ3の材料は、例えば、アルミ合金である。なお、回転伝達部の機構として、歯車の代わりにベルトを用いてもよい。
【0039】
回転直動変換部7の回転直動変換機構として、ボールねじを用いることができる。回転直動変換部7の回転直動変換機構として、すべりねじを用いるようにしてもよい。回転直動変換部7は、直動伝達軸7D、直動案内部7E、ボールねじ軸7Fおよびボールねじナット7Gを備える。
【0040】
直動案内部7Eは、回転軸S0に沿って直線運動する方向にボールねじナット7Gおよび直動伝達軸7Dを案内する。このとき、直動案内部7Eは、ボールねじ軸7Fの回転に伴ってボールねじナット7Gが回転運動するのを規制する。直動案内部7Eは、支持部材BJ1から突出する形状である。直動案内部7Eは、支持部材BJ1と一体的に設けることができる。
【0041】
ボールねじ軸7Fは、軸受U2を介し、回転可能な状態で支持部材BJ1にて支持されている。ボールねじ軸7Fは、転動体を介してボールねじナット7Gと螺合した状態で歯車G1とともに回転し、ボールねじナット7Gを直線運動させる。
【0042】
ボールねじナット7Gは、ボールねじ軸7Fの回転運動に伴って直線運動し、その直線運動を直動伝達軸7Dに伝える。
【0043】
直動伝達軸7Dは、ボールねじナット7Gの直線運動を直動回転変換部8に伝える。直動伝達軸7Dは、ボールねじナット7Gに固定され、直動伝達軸7Dの先端は、軸受U3の内輪に挿入される。直動伝達軸7Dは、ボールねじナット7Gおよびボールねじ軸7Fの一部を内包する形状である。
【0044】
直動回転変換部8の直動回転変換機構として、ラックピニオンを用いることができる。直動回転変換部8は、直動体11、ラックA1~A3、ケース21、支持軸M1~M3、軸受E1~E3、アダプタD1~D3およびピニオンB1~B3を備える。
【0045】
直動体11は、軸受U3を介し、直動伝達軸7Dの軸回りに回転可能な状態で支持される。このとき、直動体11は、直動伝達軸7Dとともに、回転軸S0の軸方向に沿って直線運動可能である。
【0046】
ラックA1~A3は、直動体11にて支持される。各ラックA1~A3は、ピニオンB1~B3とそれぞれ噛み合った状態で直動体11とともに直線運動し、ピニオンB1~B3をそれぞれ回転運動させる。
【0047】
各支持軸M1~M3は、推力発生装置1から水平方向に放射状に突出するようにグリップP1~P3をそれぞれ支持する。各支持軸M1~M3は、軸受E1~E3をそれぞれ介し、各支持軸M1~M3の軸回りに回転可能な状態でケース21にて保持される。グリップP1と支持軸M1は一体的に設け、グリップP2と支持軸M2は一体的に設け、グリップP3と支持軸M3は一体的に設けることができる。グリップP1~P3と支持軸M1~E3の材料は、例えば、ジュラルミンである。グリップP1~P3と支持軸M1~E3の耐久性を増大させるため、グリップP1~P3と支持軸M1~E3の材料として、例えば、チタンを用いてもよい。
【0048】
各ピニオンB1~B3は、各支持軸M1~M3にそれぞれ固定される。各ピニオンB1~B3は、各ラックA1~A3の直線運動に伴って回転運動し、その回転運動を各支持軸M1~M3に伝える。ピニオンB1~B3およびラックA1~A3の材料は、例えば、クロムモリブデン鋼である。
【0049】
ケース21は、ハブ10の一部として用いることができる。ケース21は、直動体11、ラックA1~A3、支持軸M1~M3、軸受E1~E3、アダプタD1~D3およびピニオンB1~B3を収容する。ケース21は、エクステンション9を介してロータ2Bの端面に固定される。また、ケース21は、回転軸S0の軸回りの回転時に回転翼H1~H3にかかる遠心力に対抗して各支持軸M1~M3を支持することができる。
【0050】
各アダプタD1~D3は、支持軸M1~M3と軸受E1~E3との間に設けられ、支持軸M1~M3にてそれぞれ支持される。各アダプタD1~D3の内周面は、支持軸M1~M3の外周面に沿うように形成され、各アダプタD1~D3の外周面は、軸受E1~E3の内周面に沿うように形成される。これにより、各アダプタD1~D3は、各支持軸M1~M3の径の変化に対応しつつ、各軸受E1~E3の内周側で各支持軸M1~M3を支持させることができる。ケース21およびアダプタD1~D3の材料は、例えば、ジュラルミンである。各軸受U3、E1~E3は、例えば、複列アンギュラ玉軸受を用いることができる。
【0051】
エクステンション9は、フランジ9Aを備える。フランジ9Aは、エクステンション9と一体的に設けることができる。エクステンション9は、フランジ9Aを介し、ロータ2Bの端面に取り付け可能である。ここで、ボルトJ6にてフランジ9Aをロータ2Bにねじ止めすることで、エクステンション9をロータ2Bに固定することができる。エクステンション9およびフランジ9Aの材料は、例えば、ジュラルミンである。
【0052】
ピッチ可変用モータ5が回転すると、ピッチ可変用モータ5の回転運動に伴って歯車G1~G3が回転する。そして、歯車G1の回転運動に伴ってボールねじ軸7Fが回転し、ボールねじ軸7Fの回転運動に伴って、ボールねじナット7Gとともに直動伝達軸7Dが直線運動する。このとき、ボールねじナット7Gおよび直動伝達軸7Dの運動は、直動案内部7Eにて案内され、推力発生装置1内において、回転軸S0の軸方向に沿った直線運動に制限される。
【0053】
直動伝達軸7Dの直線運動は、直動体11に伝えられ、直動伝達軸7Dの直線運動に伴って、直動体11とともに各ラックA1~A3が直線運動する。このとき、各ラックA1~A3は、ピニオンB1~B3とそれぞれ噛み合った状態で直線運動し、各ピニオンB1~B3を回転させる。各ピニオンB1~B3の回転運動に伴って、各支持軸M1~M3がそれぞれの軸回りに回転する。そして、各支持軸M1~M3の回転運動は、グリップP1~P3をそれぞれ介し、各回転翼H1~H3に伝えられ、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化される。
【0054】
ここで、回転直動変換部7の回転直動変換機構としてボールねじを用いることにより、すべりねじを用いた場合に比べて、ピッチ可変に必要な駆動トルクを低減することができ、ピッチ可変用モータ5の省電力化を図ることができる。
また、直動回転変換部8の直動回転変換機構として、ラックピニオンを用いることにより、各ラックA1~A3の長手方向を直動体11の直動方向に揃えることが可能となるとともに、各ピニオンB1~B3の円周方向を各支持軸M1~M3の円周方向に揃えることが可能となる。このため、3個のラックピニオンの配置をコンパクトにまとめることができ、各回転翼H1~H3に対応して3個のラックピニオンを設けた場合においても、ハブ10の大型化を抑制しつつ、直動回転変換部8をハブ10内に収容することが可能となる。
【0055】
以下、回転伝達部6および回転直動変換部7の構成および動作について、さらに具体的に説明する。
図8(a)は、図6のピッチ可変用モータ、回転伝達部および回転直動変換部の構成を示す斜視図、図8(b)は、図8(a)の回転直動変換部を支持する支持部材および直動案内部を除去した構成を示す斜視図、図9は、図8(a)のピッチ可変用モータ、回転伝達部および回転直動変換部の構成を示す平面図、図10(a)は、図9のD-D線に沿って切断した断面図、図10(b)は、図9のE-E線に沿って切断した断面図である。
【0056】
図8(a)、図8(b)、図9図10(a)および図10(b)において、支持部材BJ1は、ボルトJ1によりフレーム2Cに固定することができる。ボルトJ1は、例えば、支持部材BJ1の四隅に配置することができる。支持部材BJ2は、支持部材BJ1との間に歯車G2を挟み込んだ状態で、ボルトJ2と支柱31により支持部材BJ1に固定する。ボルトJ2は、例えば、支持部材BJ2の両端に配置することができる。歯車G2の両軸端は、軸受を介して支持部材BJ1およびBJ2に対し回転自在に支持される。支持部材BJ3は、ボルトJ3によりフレーム2Cに固定することができる。ボルトJ3は、例えば、支持部材BJ3の端部の2か所に配置することができる。また、支持部材BJ3は、ボルトJ4によりピッチ可変用モータ5を固定することができる。
【0057】
ボールねじナット7Gは、フランジ7Aを備える。フランジ7Aは、円筒を平行な二平面で切り取った形状であり、直動案内部7Eの開口部にフランジ7Aの突出部が配置される。フランジ7Aは、ボールねじナット7Gと一体的に設けることができる。
直動伝達軸7Dは、フランジ7Bおよび案内面7Cを備える。案内面7Cは、摺動部材7Hを備える。フランジ7Bおよび案内面7Cは、円筒を平行な二平面で切り取った形状であり、直動案内部7Eの開口部にフランジ7Bが配置される。
【0058】
フランジ7Bの平坦面と案内面7Cは一体の平面であってもよい。この平坦面は、互いに反対方向を向く2つの面であってもよい。フランジ7A、7Bの突出部には、ボルトJ5を挿入可能な領域を設けることができる。フランジ7A、7Bが重なった状態で、ボルトJ5にてフランジ7Aをフランジ7Bに固定することにより、直動伝達軸7Dをボールねじナット7Gに固定することができる。
【0059】
また、フランジ7Bの平坦面または案内面7Cには、摺動部材7Hを挿入可能な凹部を設けることができる。そして、その凹部に摺動部材7Hを挿入し、接着剤などでフランジ7Bに固定することができる。このとき、摺動部材7Hは、平坦面から突出する。摺動部材7Hの材料は、例えば、樹脂である。
【0060】
一方、直動案内部7Eの内側には、フランジ7A、7Bおよび案内面7Cの平坦面と対向する平面を設けることができる。そして、直動伝達軸7Dの直線運動に伴って摺動部材7Hが直動案内部7Eの平面を摺動することにより、直動伝達軸7Dの運動を回転軸S0の軸方向に制限することができる。
【0061】
ここで、フランジ7A、7Bの外周部の一部および案内面7Cに平坦面を設けるとともに、ボルトJ5を挿入可能な突出部をフランジ7A、7Bに設け、突出部を直動案内部7Eの開口部に配置することにより、直動案内部7Eの外径を小さくすることができ、推力発生用モータ2内のロータ軸4の径の増大を抑制しつつ、回転直動変換部7をロータ軸4内に収納することが可能となる。
【0062】
以下、直動回転変換部8の構成および動作について、さらに具体的に説明する。
図11(a)は、図1(b)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図、図11(b)は、図1(c)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図、図12は、図1(b)のハブの構成を分解して示す斜視図である。
図11(a)、図11(b)および図12において、直動回転変換部8は、その直動方向の移動範囲を制限するため、ベース13、リフトガイドT1~T3およびナットS1~S3を備える。ベース13は、直動伝達軸7Dの先端を通過可能な開口14を備える。直動体11は、開口12、開口V1~V3および面Z1~Z3を備える。ハブ10は、ケース21、外蓋22および中蓋23を備える。ケース21は、収容部21A、中空部Q1~Q3、開口21Bおよび開口K1~K3(開口K3は不図示)を備える。中蓋23は、貫通孔23Aを備える。
【0063】
各面Z1~Z3は、直動体11が回転軸S0の軸回りに3回の回転対称となる位置に設けられる。3回の回転対称では、回転軸S0の軸回りに直動体11を120°だけ回転させる度に、回転後の形状を回転前の形状に重ねることができる。各面Z1~Z3は、ラックA1~A3をそれぞれ支持可能である。このとき、各面Z1~Z3は、各ラックA1~A3の歯がピニオンB1~B3の歯の方向を向く位置で各ラックA1~A3を支持する。
開口12には軸受U3が挿入され、さらに軸受U3の内輪には直動伝達軸7Dが挿入される。各開口V1~V3は、リフトガイドT1~T3をそれぞれ挿入可能である。
【0064】
直動体11は、軸受U3の外輪で支持され、直動伝達軸7Dの先端はナット15により軸受U3の内輪に固定される。軸受U3の外輪は、例えば、C型留め輪16にて直動体11に取り付けることができる。
【0065】
ベース13は、リフトガイドT1~T3を直立した状態で支持する。リフトガイドT1~T3は、ベース13と一体的に設けることができる。ベース13の平面形状は、直動体11の平面形状と等しくすることができる。各開口V1~V3の位置は、リフトガイドT1~T3の位置に対応させることができる。
【0066】
開口21Bは、ラックA1~A3が取り付けられた直動体11をベース13とともに収容部21Aに挿入可能である。各開口K1~K3は、各支持軸M1~M3をケース21内に挿入可能である。
【0067】
収容部21Aは、ラックA1~A3が取り付けられた直動体11をベース13とともにケース21内に収容する。収容部21Aは、例えば、ケース21内に設けられた中空部または凹部である。収容部21Aの平面形状は、ベース13の平面形状に対応させることができる。このとき、収容部21Aの平面形状は、回転軸S0の軸回りに3回の回転対称とすることができる。
【0068】
一方、各支持軸M1~M3を挿入可能な開口K1~K3は、収容部21Aの外側の円周面に沿って配置することができる。このとき、支持軸M1、ピニオンB1、軸受E1およびアダプタD1を挿入可能な中空部Q1と、支持軸M2、ピニオンB2、軸受E2およびアダプタD2を挿入可能な中空部Q2と、支持軸M3、ピニオンB3、軸受E3およびアダプタD3を挿入可能な中空部Q3をケース21に設けることができる。各中空部Q1~Q3には、開口21Bを介し、支持軸M1~M3、ピニオンB1~B3、軸受E1~E3およびアダプタD1~D3をそれぞれ挿入可能である。
【0069】
リフトガイドT1~T3の先端は、貫通孔23Aを介して中蓋23の外側に突出する。そして、リフトガイドT1~T3の先端が中蓋23の外側に突出した状態で、ナットS1~S3が各リフトガイドT1~T3の先端に装着されることで、収容部21A内にベース13を配置することができる。
【0070】
中蓋23は、ケース21にて支持される。中蓋23は、ボルトJ7にてケース21に固定することができる。ケース21には複数の取付穴21Cが設けられており、中蓋23には、ケース21の取付穴21Cに対応する複数の取付穴23Bが設けられている。中蓋23は、取付穴23Bおよび取付穴21Cに通したボルトJ7にてケース21に固定することができる。
外蓋22は、中蓋23をカバーする。外蓋22は、中蓋23に固定することができる。中蓋23の材料は、例えば、ジュラルミン、外蓋22の材料は、例えば、樹脂である。外蓋22および中蓋の具体的構成については、後で詳述する。
【0071】
直動伝達軸7Dの直線運動に伴って、直動体11とともに各ラックA1~A3が直線運動する。このとき、直動体11の運動は、リフトガイドT1~T3にて案内されるとともに、直動体11の直動方向の移動範囲が、ベース13およびナットS1~S3にて制限される。各ラックA1~A3の直線運動に伴ってピニオンB1~B3がそれぞれ回転運動し、ピニオンB1~B3の回転運動に伴って、各支持軸M1~M3がそれぞれの軸回りに回転する。そして、各支持軸M1~M3の回転運動に伴って各回転翼H1~H3が回転し、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化される。例えば、直動体11が図11(a)の位置にあるときは、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が図1(b)に示すように設定され、直動体11が図11(b)の位置にあるときは、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が図1(c)に示すように設定される。
【0072】
ここで、回転軸S0の軸回りに3回の回転対称となる位置に各面Z1~Z3を設け、ラックA1~A3を各面Z1~Z3に配置することにより、1個の直動体11を直線運動させることで、3個の各支持軸M1~M3の軸回りの3個の回転運動を発生させることができる。このため、直動回転変換部8をハブ10内に収容することを可能としつつ、3枚の回転翼H1~H3のピッチを可変とすることができる。
【0073】
以下、外蓋22および中蓋23の具体的構成と、外蓋22の取り付け方法について詳細に説明する。
図12に示すように、中蓋23は、外蓋22に対向する面の中央に突設された円柱状の突起部23Cを備える。突起部23Cの外周面には、全周にわたって嵌合溝(環状溝)23Dが形成されている。また、中蓋23の外蓋22に対向する面には、中蓋23の中心から放射状に等間隔に複数の凸部23Eが形成されている。本実施形態では、中蓋23は、3つの凸部23Eを有する。
【0074】
さらに、中蓋23には、上述したように、ボルトJ7を取り付けるための複数の取付穴23Bが形成されている。取付穴23Bは、ボルトJ7の頭部が埋没する深さの座ぐり部を有する。中蓋23は、ボルトJ7によってケース21に固定されることで、ケース21内に設けられた収容部21Aを塞ぐことができる。
【0075】
また、図12に示すように、外蓋22は、ドーム状の蓋部22Aと、蓋部22Aの周縁部に形成されたフランジ部22Bと、を備える。
図13に示すように、蓋部22Aの内表面には、中蓋23の嵌合溝23Dに係合する複数の係止爪22Cと、中蓋23の複数の凸部23Eにそれぞれ嵌合する複数の凹部22Dと、が設けられている。本実施形態では、外蓋22は、3つの係止爪22Cと、3つの凹部22Dと、を有する。ここで、3つの係止爪22Cは、円形に等間隔に配置されている。
【0076】
図14(a)は、ケース21、外蓋22および中蓋23を組み立てたハブ10を外蓋22側から見た図である。また、図14(b)は、図14(a)のF-F線に沿って切断した断面図、図15(a)は、図14(a)のG-G線に沿って切断した断面図、図15(b)は、図14(a)のH-H線に沿って切断した断面図である。なお、図14(b)、図15(a)および図15(b)における上下方向は、ハブ10の取り付け状態における上下方向(鉛直方向)に対応している。
図14(b)に示すように、外蓋22は、係止爪22Cが中蓋23の突起部23Cに形成された嵌合溝23Dに係合されることで、中蓋23に係止される。
【0077】
このように、中蓋23を覆うように外蓋22を取り付けることで、ケース21内部に埃や雨などが侵入することを適切に防止することができる。ケース21内の収容部21Aには、直動回転変換部8が収容されている。直動回転変換部8は、回転直動変換部7で変換された直線運動を、各支持軸M1~M3の軸回りの3つの回転運動に変換する機能部品であり、高精度の制御が求められる。ケース21に中蓋23を固定し、中蓋23によって収容部21Aを塞ぐとともに、中蓋23に外蓋22を取り付け、外蓋22によって中蓋23を覆うことで、ケース21内の機能部品が埃や雨などの影響を受けることを適切に防止することができる。
【0078】
また、中蓋23を覆うように外蓋22を取り付けることで、外蓋22を取り付けない状態において中蓋23の外側に露出するリフトガイドT1~T3の先端やナットS1~S3、ボルトJ7が、埃や雨などの影響を受けることを防止することができる。したがって、これらの部材が埃や雨に晒されて劣化するのを防止することができる。また、仮に何らかの要因によりナットS1~S3やボルトJ7が緩んだ場合であっても、外蓋22を取り付けていることで、推力発生装置1が装着された飛翔体の飛行中にナットS1~S3やボルトJ7が落下するのを防止することができる。
【0079】
さらに、外蓋22は中蓋23に係止される構成であるため、摩擦力を利用することなく外蓋22を取り付けることができる。ネジなどの摩擦力を利用した固定部材は、さまざまな要因により緩みが発生し得る。外蓋22を、摩擦力を利用せずに中蓋23に取り付け可能な構造とすることで、外蓋22を安定して中蓋23に取り付けることができる。
具体的には、中蓋23は嵌合溝23D、外蓋22は係止爪22Cをそれぞれ備えており、中蓋23の溝形状と外蓋22の爪形状とを嵌め合わせることで、外蓋22が中蓋23に係止される構成となっている。したがって、摩擦力を利用せずに、中蓋23の正しい位置に外蓋22を容易に取り付けることができる。
【0080】
また、環状の嵌合溝23Dに3つの係止爪22Cを係合させるため、外蓋22を中蓋23に安定して係止させることができる。また、環状の嵌合溝23Dに係止爪22Cを係合させる構成であるため、外蓋22をケース21に固定された中蓋23に押し付けることで、外蓋22を中蓋23に容易に取り付けることができる。
なお、係止爪22Cの数は3つに限定されるものではなく、任意の数であってよい。ただし、係止爪22Cは、3つ以上である方が、外蓋22を安定して係止させることができるため、好ましい。
【0081】
ところで、本実施形態のように、嵌合溝23Dが環状溝である場合、係止爪22Cと嵌合溝23Dとを係合させるだけでは、外蓋22が中蓋23に対して回転してしまい位置決め固定することができない。
そこで、本実施形態では、図13に示すように、中蓋23の外蓋22に対向する面に凸部23E、外蓋22の中蓋23に対向する面に凹部22Dを設け、図15(a)に示すように凸部23Eと凹部22Dとを嵌合させる。凸部23Eおよび凹部22Dは放射状に設けられているため、凸部23Eと凹部22Dとを嵌合させることで、外蓋22の中蓋23に対する回転は制限(規制)される。
このように、摩擦力を利用せずに中蓋23の正しい位置に外蓋22を位置決め固定することができる。
【0082】
また、中蓋23および外蓋22の外形(平面形状)は、凸部23Eおよび凹部22Dの形成位置を認識可能な形状とすることができる。
図14(a)に示すように、中蓋23の外蓋22に当接する面の平面形状と、外蓋22の中蓋23に当接する面の平面形状とは同一であって、外蓋22を回転軸S0の軸回りに120°ずつ回転させる度に、回転後の外蓋22の形状がケース21に固定された中蓋23の形状に重なるようになっている。中蓋23および外蓋22の平面形状は、単純な円形状ではなく、放射状に等間隔に形成された3つの凸部23Eおよび凹部22Dに対してそれぞれ直交する3つの辺を有する形状である。
【0083】
つまり、回転軸S0を中心とする仮想の円の接線に平行な上記3つの辺に対して直交する方向に、それぞれ凸部23Eまたは凹部22Dが形成されていると認識することができる。
このように、中蓋23および外蓋22の外形から、凸部23Eおよび凹部22Dの形成位置を認識することができる。これにより、外蓋22の内側に形成された凹部22Dの位置を直接確認しながら外蓋22を中蓋23に取り付けるといった手間を省くことができる。このように、中蓋23の正しい位置に外蓋22を容易に取り付けることができる。
【0084】
なお、外蓋22のフランジ部22Bの中蓋23と対向する面には、図13に示すように、切欠部22Eが形成されていてもよい。切欠部22Eは、フランジ部22Bの周縁部において、凹部22Dの近傍に設けることができる。この切欠部22Eは、図14(b)に示すように、外蓋22が中蓋23に取り付けた状態において、中蓋23と外蓋22との間に僅かな隙間を形成する。
この隙間に工具(例えばマイナスドライバーなど)を差し込むことで、外蓋22を中蓋23から容易に取り外すことができる。上記の構成は、外蓋22の中蓋23に当接する面の大きさが、中蓋23の外蓋22に当接する面の大きさ以下である場合に有効である。
【0085】
さらに、図15(b)に示すように、外蓋22が中蓋23に取り付けた状態において、外蓋22のフランジ部22Bが、中蓋23の取付穴23Bを塞ぐようにしてもよい。取付穴23Bに形成された座ぐり部(本実施形態では、皿座ぐり)は、ボルトJ7の頭部を完全に収容するため、外蓋22のフランジ部22Bを、中蓋23の取付穴23Bが形成された面に当接させることで、ボルトJ7が挿入された取付穴23Bの開口は、外蓋22のフランジ部22Bによって蓋がされる。
このように、中蓋23がボルトJ7によってケース21に固定されている場合、中蓋23に外蓋22を取り付けるだけで、ボルトJ7が外蓋22によって抜けなくなる構造(抜け止め保持する構造)としてもよい。これにより、工具や緩み防止剤などを必要とせずにボルトJ7の脱落を防止することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、外蓋22を中蓋23に取り付ける場合について説明したが、外蓋22は、中蓋23を覆うように取り付けられていればよく、例えばケース21に取り付けられていてもよい。この場合、外蓋22に設けた係止爪をケース21に設けた嵌合溝に係合させることで、外蓋22をケース21に係止させる構成であってもよい。また、外蓋22は、中蓋23とケース21の両方に係止されていてもよい。
また、本実施形態では、外蓋22に係止爪を設ける場合について説明したが、中蓋23または/およびケース21に係止爪を設け、外蓋22に嵌合溝を設けてもよい。
【0087】
さらに、本実施形態では、溝形状と爪形状との嵌め合わせを利用して外蓋22を取り付ける場合について説明したが、外蓋22の取り付け方法は上記に限定されるものではなく、ネジなどの摩擦力を利用しない取り付け方法であればよい。例えば、凸球部と凹球部との嵌め合わせなどを利用することもできる。
【0088】
また、本実施形態では、外蓋22の中蓋23に対する移動(回転を含む)を制限する移動制限部として、外蓋22に形成された凹部22Dと、中蓋23に形成された凸部23Eとを備える場合について説明したが、外蓋22に凸部を設け、中蓋23に凹部を設けてもよい。また、移動制限部は、外蓋22の中蓋23に対する移動を制限する構成であればよく、例えば、外蓋22およびケース21のいずれか一方に凸部を設け、他方に当該凸部に嵌合する凹部を設けてもよい。
【0089】
さらに、本実施形態では、移動制限部が、凸形状と凹形状との嵌め合いを利用した構成である場合について説明したが、上記構成に限定されるものではない。移動制限部は、摩擦力を利用せずに外蓋22の中蓋23に対する移動を制限し、外蓋22の位置決め固定をすることができる構成であればよい。また、移動制限部は必ずしも設ける必要はない。
【0090】
また、本実施形態では、中蓋23に形成された取付穴23Bが、ボルトJ7の頭部を収容する座ぐり部を有する場合について説明したが、ボルトJ7を締結した場合に、ボルトJ7の頭部が中蓋23の表面から突出する構成であってもよい。この場合、外蓋22のフランジ部22Bに、ボルトJ7の頭部を収容可能な凹部を形成し、外蓋22を中蓋23に取り付けた際に当該凹部によってボルトJ7を抜け止め保持するようにしてもよい。
【0091】
上記の実施形態においては、回転翼H1~H3は推力発生装置1の真下(鉛直方向下側)に配置され、推力発生装置1は飛翔体の機体の下部に装着されるが、回転翼H1~H3は推力発生装置1の真上(鉛直方向上側)に配置され、推力発生装置1は飛翔体の機体の上部に装着されてもよい。
【0092】
<変形例>
上記した実施形態では、エクステンション9がフランジ9Aを有していたが、エクステンション9はフランジ9Aを有さなくてもよい。つまり、エクステンション9に大きな負荷が作用しない場合には、フランジ9Aを省略することにより、エクステンション9とロータ2Bとの間の固定を上記した実施形態より簡略化してもよい。エクステンションがフランジ9Aを有さない構成について、図16図20を参照して説明する。図16図20において、上記した実施形態と同様な部品や構成には同様の符号をつける。本変形例では、エクステンションに符号109を付ける。
【0093】
図16図4(b)に対応する図である。図17図5(b)に対応する図である。図18図6(b)に対応する図である。
図19は、図3に示した部品のうち、推力発生用モータ2のロータ2Bと、エクステンション109と、ハブ10のケース21と、ハブ取り付け用ボルトJ10とを示している。図19では、ケース21から外蓋22と中蓋23が取り外されている。尚、ボルトJ10は実際には3本あるが、図19には1本しか示されていない。
【0094】
図19に示すように、ケース21の収容部21Aの底部21Eには、ボルトJ10を通すための孔21Fが形成されている。尚、孔21Fは実際には3つあるが、図19には1つしか示されていない。3つの孔21Fは、エクステンション109の下端面9Cに形成された3つの孔9Dに対応する孔である。3つの孔9Dは、エクステンション109の周方向に等間隔で形成されている(つまり、周方向に120度間隔で形成されている)。3つの孔9Dは、貫通孔である。3本のボルトJ10が3つの孔21Fと3つの孔9Dを通過し、ロータ2Bの端面2B1に形成された3つの雌ネジ孔2B2に螺合することにより、ケース21がエクステンション109を介して推力発生用モータ2に(より具体的にはロータ2B)に固定される。
【0095】
図19に示すように、エクステンション109の下端面9Cには、3つの孔9Dの間に、3つのピン孔9Fが形成されている。ピン孔9Fは貫通孔ではなく、所定の深さを有する孔である。ピン孔9Fには位置決め用ピンJ11(図20)が挿入される。ピン孔9Fに挿入された位置決め用ピンJ11は、エクステンション109の下端面9Cから所定の高さだけ突出する。位置決め用ピンJ11の突出部分は、ケース21に形成された孔(図示せず)に嵌合する。この嵌合により、エクステンション109がケース21に対して位置決めされる。
【0096】
また、エクステンション109の内周面には、図17及び図18に示すようにピン溝9Gが形成されている。ピン溝9Gは、3つのピン孔9Fの間に、3つ形成されている。ピン溝9Gは、エクステンション109の上端面(下端面9Cとは反対側の面)から所定の長さを有する溝である。ピン溝9Gには位置決め用ピンJ12(図20)が嵌合される。ピン溝9Gに嵌合された位置決め用ピンJ12は、エクステンション109の上端面から所定の高さだけ突出する。位置決め用ピンJ12の突出部分は、図19に示すロータ2Bの端面2B1に形成された孔2B5に嵌合する。この嵌合により、エクステンション109がロータ2Bに対して位置決めされる。
なお、上記した実施形態のようにエクステンション109がフランジ9Aを有する構成である場合にも、図5および図6に示すように、エクステンション109とケース21との位置決めに位置決め用ピンJ11、エクステンション109とロータ2Bとの位置決めに位置決め用ピンJ12がそれぞれ用いられる。
【0097】
ケース21の収容部21Aは、ケース21の内部に形成された中空空間(中空部)であり、ボルトJ10は収容部21Aから推力発生用モータ2に延びている。図17及び図19から分かるように、ケース21(ハブ10)はボルトJ10により推力発生用モータ2に固定される。尚、推力発生用モータ2はボルトJ10によりハブ10に固定されていると表現することもできる。
ボルトJ10の頭部は、ケース21の内部に位置している。つまりハブ10を固定するボルトJ10は、推力発生装置1の外面に位置していない(外部に露出していない)。従って、ボルトJ10が埃や雨などに晒される可能性は低い。よって、ボルトJ10に対する外部環境の影響を低減できる。
【0098】
図20は、エクステンション109と、ハブ10のケース21と、ハブ取り付け用ボルトJ10と、位置決めピンJ11と、位置決めピンJ12とを示している。エクステンション109はほぼ円筒形状を有している。尚、図20のエクステンション109とハブケース21の位置関係は、図19のエクステンション109とハブケース21の位置関係と上下が逆である。
【0099】
図17図19および図20に示すように、本変形例では、エクステンション109はボルトJ10によりロータ2Bに固定される。本変形例では、エクステンション109はフランジ9Aを有さないので、エクステンション109の形状を簡素化できる。従って、エクステンション109の製造工程も簡素化できる。また、フランジ9Aがないので、フランジ9Aをロータ2Bに固定するためのボルトJ6(図5(b))が不要になる。
本変形例においてもハブ10は、ケース21の内部のボルトJ10によりロータ2Bに固定されている。従って、ボルトJ10が埃や雨などに晒される可能性は低い。よって、ボルトJ10に対する外部環境の影響を低減できる。
【0100】
尚、上記した実施形態及び変形例では、ロータ2Bとハブ10の間にエクステンション9、109を設けたが、エクステンション9、109を設けなくてもよい場合もある。例えば、回転翼H1~H3の形状や大きさによっては(あるいは、ロータ2Bの端面の形状やケース21の形状によっては)、エクステンション9、109が無くても回転翼H1~H3が推力発生用モータ2に接触・衝突しない場合がある。そのような場合には、エクステンション9、109を省略してもよい。エクステンション9、109が省略された構成であっても、ハブ10をロータ2Bに固定するボルトJ10がケース21の内部に位置する構成は変わらない。
【符号の説明】
【0101】
1…推力発生装置、H1~H3…回転翼、P1~P3…グリップ、2…推力発生用モータ、2A…ステータ、2B…ロータ、2C…フレーム、3A、3B…中空部、4…ロータ軸、5…ピッチ可変用モータ、6…回転伝達部、7…回転直動変換部、8…直動回転変換部、9…エクステンション、22…外蓋、22A…蓋部、22B…フランジ部、22C…係止爪、22D…凹部、22E…切欠部、23…中蓋、23B…取付穴、23C…突起部、23D…嵌合溝、23E…凸部
図1
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