(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】呼気収集器具、および、呼気収集装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/22 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G01N1/22 C
(21)【出願番号】P 2021048188
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-12-29
(31)【優先権主張番号】P 2020067234
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 秀樹
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-107341(JP,A)
【文献】特開2017-142082(JP,A)
【文献】特開平9-58699(JP,A)
【文献】特開2003-166914(JP,A)
【文献】特開2014-157039(JP,A)
【文献】特開2002-257695(JP,A)
【文献】特開2002-243730(JP,A)
【文献】米国特許第5913232(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0187113(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/08 - 5/097
G01N 1/00 - 1/44
G01N 33/48 - 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気が収容される本体空間を有し、収容される呼気によって体積変化が可能な袋状の本体部材と、
前記本体空間に連通する吸い込み空間と外部に連通する吸い込み口とを有し、流れる呼気によって体積変化が可能な筒状の吸い込み部材と、
前記本体空間に連通する排出空間と外部に連通する排出口とを有し、流れる呼気によって体積変化が可能な筒状の排出部材と、
前記吸い込み部材の外部に配置され、前記吸い込み空間の体積の増加を規制可能にする吸い込み側補助部材と、
を備え、
前記本体部材、前記吸い込み部材、および、前記排出部材は、前記呼気の検出を行うセンサを被毒させるシロキサンガス、塩素ガス、および、硫化ガスを含まず、
前記吸い込み部材は、前記吸い込み側補助部材における前記吸い込み空間側の面および前記吸い込み口側の面を覆う、
呼気収集器具。
【請求項2】
前記吸い込み部材に対して、前記吸い込み口側から挿入される筒状の導入管を備え、
前記導入管は、前記筒状の全周に亘って前記吸い込み部材の内壁面に当接する、
請求項1に記載の呼気収集器具。
【請求項3】
前記吸い込み側補助部材は、弾性体である、
請求項1または請求項2に記載の呼気収集器具。
【請求項4】
前記吸い込み側補助部材は、シリコーンからなる、
請求項3に記載の呼気収集器具。
【請求項5】
前記吸い込み部材は、前記吸い込み側補助部材の全面を覆う、
請求項1または請求項4に記載の呼気収集器具。
【請求項6】
前記吸い込み部材と前記排出部材とは、前記本体部材を介して対向する位置に配置され、
前記吸い込み空間の軸と前記排出空間の軸とは、一致する、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の呼気収集器具。
【請求項7】
前記本体部材は、プリーツ状である、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の呼気収集器具。
【請求項8】
前記排出部材における前記排出空間と外部との連通と非連通とを切り替える封止用部材を備える、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の呼気収集器具。
【請求項9】
前記本体部材、前記吸い込み部材、および前記排出部材は1つの収容袋で構成される、
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の呼気収集器具。
【請求項10】
前記本体部材に配置された個体識別用部材を備える、
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の呼気収集器具。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の呼気収集器具と、
前記呼気収集器具が収容される筐体と、
を備える、
呼気収集装置。
【請求項12】
前記筐体は、
前記本体部材が収容される第1収容空間と、
前記吸い込み部材が収容され、前記第1収容空間および外部に連通する第2収容空間と、
前記排出部材が収容され、前記第1収容空間および外部に連通する第3収容空間と、
を備える、
請求項11に記載の呼気収集装置。
【請求項13】
前記第3収容空間の外部への連通口の開放量を調整する蓋部材を備える、
請求項12に記載の呼気収集装置。
【請求項14】
前記筐体に配置された個体識別用部材を備える、
請求項11乃至請求項13のいずれかに記載の呼気収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼気を収集する呼気収集器具および呼気収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、呼気採取袋が記載されている。特許文献1に示すように、呼気採取袋は、本体部、吸込管ガイド部、排出管ガイド部を備える。本体部、吸込管ガイド部、および、排出管ガイド部は、シート材によって一体形成されている。吸い込み管ガイド部および排出管ガイド部は、本体部に連通する。
【0003】
呼気を採集するときおよび採取した呼気を外部の気体成分検出装置に供給するとき、吸込管ガイド部には、吸込管が挿入される。そして、この吸込管を介して、呼気の採取、外部の気体成分検出装置への呼気の供給が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すような構造の呼気採取袋に対して、吸込管および排出管とシート材との間の隙間を塞ごうとすると、シリコーンゴム等の弾性体を用いる必要がある。ここで、気体成分検出装置のセンサが特定のセンサであると、弾性体から発生するガスによって、センサが被毒してしまい、センサの性能は劣化してしまう。
【0006】
したがって、本発明の目的は、成分検出用のセンサの被毒を抑制できる呼気収集器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の呼気収集器具は、本体部材、吸い込み部材、排出部材、および、吸い込み側補助部材を備える。
【0008】
本体部材は、呼気が収容される本体空間を有し、収容される呼気によって体積変化が可能な袋状である。吸い込み部材は、本体空間に連通する吸い込み空間と外部に連通する吸い込み口とを有し、流れる呼気によって体積変化が可能な筒状である。排出部材は、本体空間に連通する排出空間と外部に連通する排出口とを有し、流れる呼気によって体積変化が可能な筒状である。吸い込み側補助部材は、吸い込み部材の外部に配置され、吸い込み空間の体積の増加を規制可能にする。本体部材、吸い込み部材、および、排出部材は、呼気の検出を行うセンサを被毒させるシロキサンガス、塩素ガス、および、硫化ガスを含まない。吸い込み部材は、吸い込み側補助部材における吸い込み空間側の面および吸い込み口側の面を覆う。
【0009】
この構成では、吸い込み口側からセンサに呼気を供給するときに、吸い込み側補助部材から発生するガス(例えば被毒ガス)がセンサに供給されることが抑制される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、成分検出用のセンサの被毒を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(A)、
図1(B)、
図1(C)は、第1の実施形態に係る呼気収集器具の斜視図である。
【
図2】
図2は、呼気収集器具の平面図、側面図、および、正面図を示す。
【
図3】
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)、
図3(D)は、第1の実施形態に係る呼気収集器具の吸い込み部材の部分を示す拡大図である。
【
図4】
図4(A)、
図4(B)は、本発明の第2の実施形態に係る呼気収集器具の二面図である。
【
図5】
図5(A)、
図5(B)は、本発明の第3の実施形態に係る呼気収集器具の斜視図である。
【
図6】
図6は、第4の実施形態に係る呼気収集装置における筐体への呼気収集器具の装着状態を示す平面断面図である。
【
図7】
図7(A)は、第4の実施形態に係る呼気収集装置における筐体の外観斜視図であり、
図7(B)は、第4の実施形態に係る呼気収集装置における筐体の断面斜視図である。
【
図8】
図8(A)は、第5の実施形態に係る呼気収集装置の排出口付近の形状を拡大した二面図であり、
図8(B)は、第5の実施形態に係る呼気収集装置の蓋部材の三面図である。
【
図9】
図9(A)、
図9(B)、
図9(C)、
図9(D)は、排出量の調整を行うための排出量調整用部材と蓋部材との位置関係を示す図である。
【
図10】
図10は、呼気収集器具の外形形状の派生例の一例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る呼気収集器具および呼気収集装置が使用される気体成分検出装置の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、個体識別情報が付与された呼気収集器具を備える呼気収集装置の構成を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る呼気収集器具について、図を参照して説明する。
図1(A)、
図1(B)、
図1(C)は、第1の実施形態に係る呼気収集器具の斜視図である。
図1(A)は、呼気が収集されていない状態を示し、
図1(B)は、呼気が収集されている状態を示し、
図1(C)は、実際の使用状態(呼気収容状態)を示す。
図2は、第1の実施形態に係る呼気収集器具の三面図である。
図2は、呼気収集器具の平面図、側面図、および、正面図を示す。
【0013】
図1(A)、
図1(B)、
図1(C)、
図2に示すように、呼気収集器具10は、収容袋11、および、吸い込み側補助部材12を備える。
【0014】
収容袋11は、本体部材111、吸い込み部材112、および、排出部材113を備える。収容袋11は、呼気成分を分析する機器(気体成分検出装置)に接続され、収容袋11内に収容される呼気を分析するために用いられる。収容袋11は、呼気成分を分析する機器に含まれる成分検出センサに成分に対して作用しない材料からなる。
【0015】
成分検出センサに対して作用しない材料とは、例えば、成分検出センサが半導体センサである場合、シロキサン(シロキサンガス)等によって半導体センサが被毒しうるが、このような被毒を生じさせない材料であり、例えば、フッ化ビニル樹脂等である。上記成分検出センサを被毒させうるガスは、シロキサンガス以外には、塩素ガス、硫化ガス、メチルメルカプタン、フレオンガス等が挙げられる。
【0016】
また、収容袋11は、可撓性を有し、折り畳み等によって外形形状を小さくできる。
【0017】
本体部材111は、膜体によって形成される袋状であり、袋状を形成する膜体に覆われる内側に、本体空間111Sを有する。本体空間111Sは、収容される呼気の量によって体積変化が可能である。
【0018】
より具体的には、本体部材111は、例えば、
図1(A)、
図2に示すように、呼気が収容されていない状態で平面視して矩形になり、本体空間111Sの体積は、略0である。一方、呼気が収容された状態では、本体空間111Sの体積が大きくなり、本体部材111は、例えば、
図1(B)、
図1(C)に示すように、筒状になる。
【0019】
排出部材113は、膜体によって形成される筒状であり、筒状を形成する膜体に覆われる内側に、排出空間113Sを有する。排出部材113における本体部材111への接続端(排出空間113Sが本体空間111Sに連通する側の端)と反対側の端部は、呼気収集器具10の排出口10opである。排出空間113Sは、流れる呼気の量(排出される呼気の量)によって体積変化が可能である。
【0020】
より具体的には、排出部材113は、例えば、
図1(A)、
図2に示すように、本体空間111Sに呼気が収容されていない状態で平面視して矩形になり、排出空間113Sの体積は、略0である。一方、本体空間111Sから呼気が排出されるときには、排出空間113Sの体積が大きくなり、排出部材113は、例えば、
図1(B)、
図1(C)に示すように、筒状になる。
【0021】
吸い込み部材112は、膜体によって形成される筒状であり、筒状を形成する膜体に覆われる内側に、吸い込み空間112Sを有する。吸い込み部材112における本体部材111への接続端(吸い込み空間112Sが本体空間111Sに連通する側の端)と反対側の端部は、呼気収集器具10の吸込口10ipである。
【0022】
吸い込み部材112における吸い込み側補助部材12が配置されていない部分では、吸い込み空間112Sの体積は、流れる呼気の量(排出される呼気の量)によって変化可能である。一方、吸い込み部材112における吸い込み側補助部材12が配置されている部分では、吸い込み空間112Sの体積の変化(増加)は、吸い込み側補助部材12によって抑制される。
【0023】
より具体的には、吸い込み部材112は、例えば、
図1(A)、
図2に示すように、本体空間111Sに呼気が収容されていない状態、呼気の吸い込み、および、外部への呼気の供給がされてない状態では、吸い込み部材112における吸い込み側補助部材12が配置されていない部分は、例えば、
図1(A)、
図2に示すように、平面視して矩形になり、吸い込み空間112Sの体積は、略0である。
【0024】
一方、呼気の吸い込み、および、外部への呼気の供給がされているときには、吸い込み部材112における吸い込み側補助部材12が配置されていない部分では、吸い込み空間112Sの体積は大きくなり、この部分は、例えば、
図1(B)、
図1(C)に示すように、筒状になる。
【0025】
しかしながら、吸い込み部材112における吸い込み側補助部材12が配置されている部分は、吸い込み側補助部材12によって形状が規制されている。
【0026】
より具体的には、吸い込み側補助部材12は、弾性を有する円環形であり、円柱状の中空部120を有する。例えば、吸い込み側補助部材12の弾性は、後述のように吸込口10ipに導入管13を挿入する際に、吸い込み部材112を導入管13の周面に押しつけられる程度の弾性である。具体的には、吸い込み側補助部材12は、例えば、シリコーンゴムからなる。
【0027】
吸い込み部材112は、吸い込み側補助部材12の中空部120を挿通するように配置される。ここで、中空部120の定常状態(外力が掛かっていない状態)における断面積は、吸い込み部材112の最大の流路断面積よりも小さい。これにより、吸い込み部材112の流路断面積は、吸い込み側補助部材12の中空部120の断面積の大きさと略同じに規制される。そして、吸い込み部材112から呼気が吸い込まれたり、吸い込み部材112から外部に呼気が供給される際には、この呼気の流れによる内側からの圧力では、吸い込み側補助部材12の形状は変化しない。
【0028】
これにより、吸い込み部材112における吸い込み側補助部材12が配置されている部分は、呼気の吸い込み、外部への供給状態によらず、吸い込み側補助部材12によって、形状(流路断面積)が一定に維持されている。
【0029】
さらに、吸い込み部材112には、筒状の導入管13が挿入される。この際、導入管13の先端にある導入孔130は、例えば、
図1(C)に示すように、本体部材111の本体空間111Sまで挿入され、導入管13における導入孔130側の先端と反対側の端部は、吸い込み部材112の外部に露出している。使用者は、この導入管13を介して、収容袋11に呼気を注入する。なお、使用者は、この導入管13を用いずに直接吸い込み部材112に呼気を吹き込むことで収容袋11に呼気を注入してもよい。
【0030】
導入管13は、外力によって殆ど形状変化しない材料からなる。ここで、導入管13の流路断面積は、吸い込み側補助部材12の中空部120の最小断面積よりも大きい。これにより、吸い込み部材112は、吸い込み側補助部材12によって、導入管13の周面に当接するように押しつけられる。この付勢力は、呼気の外部への供給時に、導入管13と吸い込み部材112との間に呼気が入り込まないように設定されている。
【0031】
これにより、収集した呼気を導入管13を介して、気体成分検出装置2(
図11参照)に供給する際に、吸い込み側補助部材12が発生するガス(被毒ガス)は、呼気に混ざらない。具体的には、例えば、吸い込み側補助部材12がシリコーンゴムからなる場合、シリコーンゴムは、半導体センサを被毒させうるガス(シロキサン等)を発生させる。しかしながら、呼気収集器具10の構成を備えることによって、シロキサン等の被毒ガスは、呼気に混ざらず、気体成分検出装置2に供給されない。
【0032】
また、呼気収集器具10は、次の特徴を有する。
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)、
図3(D)は、第1の実施形態に係る呼気収集器具の吸い込み部材の部分を示す拡大図である。
図3(A)は、平面図であり、
図3(B)は、正面図であり、
図3(C)は、B-B断面図(平面断面図)であり、
図3(D)は、A-A断面図(正面断面図)である。
【0033】
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)、
図3(D)に示すように、吸い込み側補助部材12は、円柱形の中空部120を有する円環形の筒状である。吸い込み側補助部材12は、円環の軸方向の一方端に主面121を有し、他方端に主面122を有する。主面121と主面122とは、円環形であり、対向している。また、吸い込み側補助部材12は、円筒形の内周面123と外周面124とを有する。内周面123と外周面124とは、主面121と主面122とに繋がっている。
【0034】
吸い込み側補助部材12は、吸い込み部材112の外側に配置され、吸い込み部材112は、吸い込み側補助部材12の中空部120に挿通している。この際、主面121は、呼気収集器具10の吸込口10ip側に配置され、主面122は、本体部材111側に配置される。
【0035】
吸い込み部材112は、吸い込み側補助部材12の全体を覆っている。より具体的には、吸い込み部材112は、外面が、吸い込み側補助部材12における主面121、主面122、内周面123、および、外周面124に当接する側になるように、吸い込み側補助部材12を覆っている。言い換えれば、吸い込み部材112は、内周面123から主面122、外周面124に折り返されている。
【0036】
この構成によって、吸い込み部材112の吸い込み空間112Sは、吸い込み側補助部材12から空間的に隔離される。これにより、吸い込み側補助部材12から被毒ガスが発生しても、吸い込み部材112の外面に覆われた空間内に閉じ込められる。したがって、呼気収集器具10は、被毒ガスが気体成分検出装置2に供給されることをさらに確実に抑制できる。
【0037】
なお、吸い込み側補助部材12は、少なくとも内周面123および主面121が吸い込み部材112に覆われていれば、呼気の成分に作用する気体等の吸い込み空間112Sへの混入は、抑制できる。言い換えれば、吸い込み部材112は、少なくとも内周面123から主面122に折り返されていればよい。
【0038】
また、呼気収集器具10は、次に示す各作用効果も奏することが可能である。導入管13の径を変化させることによって、年齢、性別等、肺活量に応じて、呼気の吸い込み用の流路断面積を調整できる。そして、いずれの流路断面積であっても、弾性を有する吸い込み側補助部材12によって、吸い込み部材112が導入管13の外周面に当接して押しつけられる構造を実現できる。これにより、不要な呼気の漏洩、被毒ガスの呼気への混入および気体成分検出装置2への供給は抑制される。
【0039】
また、
図1(A)、
図1(B)、
図1(C)、
図2に示すように、吸い込み側補助部材12によって規制される吸い込み部材112の最小の流路断面積は、排出部材113の流路断面積よりも大きい。これにより、呼気収集器具10は、終末呼気を、効果的に、より確実に収容できる。
【0040】
また、
図1(A)、
図1(B)、
図1(C)、
図2に示すように、吸い込み部材112は、本体部材111の一方端に接続し、排出部材113は、本体部材111の一方端に対向する他方端に接続する。さらに、吸い込み部材112の吸い込み空間112Sの中心軸と、排出部材113の排出空間113Sの中心軸とは、一致する。これにより、呼気収集器具10は、呼気の吸い込みを効率的に行うことができる。
【0041】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る呼気収集器具について、図を参照して説明する。
図4(A)、
図4(B)は、本発明の第2の実施形態に係る呼気収集器具の二面図である。
図4(A)、
図4(B)は、平面図と側面図とを示す。
図4(A)は、排出空間113Sが封止されていない状態を示し、
図4(B)は、排出空間113Sが封止されている状態を示す。
【0042】
図4(A)、
図4(B)に示すように、第2の実施形態に係る呼気収集器具10Aは、第1の実施形態に係る呼気収集器具10に対して、封止用部材141と封止用部材142とを備える点で異なる。呼気収集器具10Aの他の構成は、呼気収集器具10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0043】
封止用部材141と封止用部材142とは、例えば、一対のマジックテープ(登録商標)等からなり、重ね合わせることで、互いに固定される。封止用部材141は、排出部材113に取り付けられている。封止用部材142は、本体部材111に取り付けられている。
【0044】
図4(A)に示すように、呼気の吸い込みのときには、封止用部材141は、封止用部材142に固定されていない。これにより、本体空間111Sと排出口10opとは、排出空間113Sを介して連通し、排出部材113は、収集に余剰な呼気を、排出できる。
【0045】
図4(B)に示すように、呼気の吸い込みが完了した後には、封止用部材141は、封止用部材142に固定される。この際、排出部材113は、流路の途中で折り曲げられる。これにより、本体空間111Sと排出口10opとは、実質的に非連通状態となり、呼気収集器具10Aは、排出部材113の排出空間113Sを介して排出口10opから外部に呼気が漏洩することを抑制できる。
【0046】
これにより、呼気収集器具10Aは、呼気収集器具10と同様の作用効果を奏するとともに、呼気の不要な漏洩をさらに抑制でき、効率的な呼気収集を実現できる。
【0047】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る呼気収集器具について、図を参照して説明する。
図5(A)、
図5(B)は、本発明の第3の実施形態に係る呼気収集器具の斜視図である。
図5(A)は、呼気が収集されていない状態を示し、
図5(B)は、呼気が収集されている状態を示す。
【0048】
図5(A)、
図5(B)に示すように、第3の実施形態に係る呼気収集器具10Bは、第1の実施形態に係る呼気収集器具10に対して、本体部材111Bを備える点で異なる。呼気収集器具10Bの他の構成は、呼気収集器具10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0049】
本体部材111Bは、プリーツ部1111を備える。
図5(A)、
図5(B)に示すように、プリーツ部1111は、呼気が収容されていない状態で、互いに連続する複数の膜体が部分的に重なるように折り曲げられた構造である。
【0050】
このような構成では、
図5(A)に示すように、呼気が収容されていない状態では、本体部材111Bは、プリーツ部1111を備えていない構造(
図1(A)に示す本体部材111)と略同じ大きさである。そして、
図5(B)に示すように、呼気が収容される状態では、本体部材111Bは、プリーツ部1111による折り曲げ箇所の分だけ大きくなる。したがって、本体部材111Bの本体空間111BSは、本体部材111の本体空間111Sよりも大きくなる。
【0051】
これにより、呼気収集器具10Bは、未使用時の形状が大きくなることを抑制しながら、収容する呼気の量を大きくできる。なお、プリーツ部1111のプリーツ形状は
図5(A)、
図5(B)に図示したものに限らず、様々な形状が採用し得る。
【0052】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る呼気収集装置について、図を参照して説明する。
図6は、第4の実施形態に係る呼気収集装置における筐体への呼気収集器具の装着状態を示す平面断面図である。
図7(A)は、第4の実施形態に係る呼気収集装置における筐体の外観斜視図であり、
図7(B)は、第4の実施形態に係る呼気収集装置における筐体の断面斜視図である。
【0053】
図6、
図7(A)、および、
図7(B)に示すように、呼気収集装置1は、呼気収集器具10C、および、筐体15を備える。呼気収集器具10Cは、第1の実施形態に係る呼気収集器具10に対して、排出部材113Cに固定用部材12Xを装着する点でことなる。呼気収集器具10Cの他の構成は、呼気収集器具10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0054】
固定用部材12Xは、中空部を有する円環形の筒状である。排出部材113は、固定用部材12Xの中空部を挿通しており、固定用部材12Xに固定されている。固定用部材12Xは、呼気に対して作用する気体等を発生しない材料からなる。または、固定用部材12Xが、呼気に対して作用する気体等を発生する材料であれば、固定用部材12Xは、吸い込み部材112側の吸い込み側補助部材12と同様に、排出部材113によって覆われていればよい。この構成によって、排出部材113は、一定の流路断面積を有する排出空間113Sを定常的に維持できる。
【0055】
筐体15は、円柱形の第1収容空間151、円柱状の第2収容空間152、および、円柱状の第3収容空間153を有する。第2収容空間152および第3収容空間153は、第1収容空間151に連通する。筐体15は、通常使用時に想定される程度の外力では殆ど変形しない材料からなる。
【0056】
より具体的には、第2収容空間152は、それぞれが円柱形の空間1521、および、空間1522を有する。空間1521の径は、空間1522の径よりも大きい。空間1521と空間1522とは、連通する。空間1521は、筐体15の外部に連通し、空間1522は、第1収容空間151に連通する。第3収容空間153は、それぞれが円柱形の空間1531、空間1532、および、空間1533を有する。空間1531の径は、空間1532の径、および、空間1533の径よりも大きい。空間1531と空間1532とは連通し、空間1531と空間1533とは連通する。空間1532は、第1収容空間151に連通し、空間1533は、筐体15の外部に連通する。
【0057】
図6に示すように、呼気収集器具10Cの本体部材111は、筐体15の第1収容空間151に収容される。第1収容空間151の体積は、本体部材111の本体空間111Sの最大体積よりも大きいことが好ましい。これにより、呼気収集器具10Cの呼気の収容能力は、筐体15によって低下しない。
【0058】
呼気収集器具10Cの吸い込み部材112における吸い込み側補助部材12が装着されている部分は、筐体15の第2収容空間152における空間1521に収容される。吸い込み側補助部材12は、空間1521と空間1522との段差に当接するようにして、筐体15に保持される。
【0059】
呼気収集器具10Cの排出部材113Cにおける固定用部材12Xが装着されている部分は、筐体15の第3収容空間153における空間1531に収容される。固定用部材12Xは、空間1531と空間1532との段差に当接するようにして、筐体15に保持される。
【0060】
呼気収集器具の収容袋は、一般論として、呼気を収容後、外力によって栓が抜けたり、袋が傷む場合がある。また、この外力による影響を最小限にするために、呼気収集器具で呼気を収容した後は、できるだけ早く気体成分検出装置にて呼気の成分を計測する必要があった。
【0061】
一方、本実施形態では、このような構成によって、呼気収集器具10Cは、筐体15の内部に収容される。そして、筐体15は、外力によって殆ど変化しない。したがって、呼気収集器具10Cが外力によって変形することは抑制される。これにより、外力による呼気収集器具10Cからの不要な呼気の漏洩は、抑制される。
【0062】
筐体15は、外圧から袋部材を守るのに十分な硬度を有していることが好ましい。例えば、筐体15は、外気を遮断できる金属製のケース部材や、収容袋よりも厚みが大きい樹脂製のケース部材等を用いることが好ましい。樹脂製のケース部材を用いる場合は、内面を金属箔でコーティングしたものを用いることが好ましい。
【0063】
また、呼気収集装置1は、
図7(A)に示すように、蓋部材159を備えることが好ましい。蓋部材159は、栓部材1591と取り付け補助板1592とを備える。取り付け補助板1592は、平板状である。栓部材1591は、円柱形である。栓部材1591は、取り付け補助板1592の平板面から突出する形状である。第3収容空間153を封止する際、栓部材1591が第3収容空間153の空間1533に挿嵌される。
【0064】
これにより、呼気収集装置1は、呼気収集器具10Cを操作することなく、呼気収集器具10Cの排出口10opと外部とを非連通状態にすることができる。すなわち、呼気収集器具10Cに収容された呼気の排出口10opからの不要な漏洩を抑制できる。
【0065】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る呼気収集装置について、図を参照して説明する。
図8(A)は、第5の実施形態に係る呼気収集装置の排出口付近の形状を拡大した二面図である。
図8(A)は、上面図と側面図とを示す。
図8(B)は、第5の実施形態に係る呼気収集装置の蓋部材の三面図である。
図8(B)は、上面図、側面断面図、および、下面図を示す。
【0066】
第5の実施形態に係る呼気収集装置は、第4の実施形態に係る呼気収集装置に対して、排出量調整用部材154および蓋部材155を備える点で異なる。第5の実施形態に係る呼気収集装置の他の構成は、第4の実施形態に係る呼気収集装置と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0067】
呼気収集装置は、上述の
図6、
図7(A)、
図7(B)に示す筐体15の第3収容空間153の外部への開口部に、排出量調整用部材154を備える。排出量調整用部材154は、円筒形であり、中空部1540を備える。中空部1540の一方の端部は、第3収容空間153に連通する。中空部1540の他方の端部は、開放している。排出量調整用部材154の外周面には、螺旋状の凸部1541が備えられている。
【0068】
蓋部材155は、対向する主面Fuと主面Fdと、外周面を有する円柱である。蓋部材155は、主面Fdから凹む円柱状の中空部1550を有する。蓋部材155は、中空部1550を形成する内壁面から凹む螺旋状の凹部1552を有する。
【0069】
蓋部材155は、中空部1550の底付近と、主面Fd側の外部とを連通する連通孔1551を有する。連通孔1551の流路断面積は、排出量調整用部材154の中空部1540の流路断面積よりも小さい。
【0070】
このような構成を備えることによって、第5の実施形態に係る呼気収集装置は、次に示すように、排出量を調整する。
図9(A)、
図9(B)、
図9(C)、
図9(D)は、排出量の調整を行うための排出量調整用部材と蓋部材との位置関係を示す図である。
【0071】
図9(B)、
図9(C)、
図9(D)に示すように、排出量調整用部材154の凸部1541と蓋部材155の凹部1552とが螺合することにより、蓋部材155は、排出量調整用部材154に装着される。そして、その螺合量によって、蓋部材155が排出量調整用部材154を覆う深さは、調整される。
【0072】
図9(A)の場合、蓋部材155は、排出量調整用部材154に装着されていない。この場合、呼気は、排出量調整用部材154の中空部1540から外部に直接排出される。したがって、呼気収集装置としての排出量は、排出量調整用部材154の中空部1540の流路断面積による。
【0073】
図9(B)の場合、蓋部材155は、排出量調整用部材154に装着されている。この際、連通孔1551の中空部1550側の開口面は、排出量調整用部材154の外周面に重なっていない。したがって、呼気収集装置としての排出量は、連通孔1551の流路断面積による。
【0074】
図9(C)の場合、蓋部材155は、排出量調整用部材154に装着されている。この際、連通孔1551の中空部1550側の開口面の一部は、排出量調整用部材154の外周面に重なっており、他の一部は重なっていない。したがって、呼気収集装置としての排出量は、連通孔1551の中空部1550側の開口面における排出量調整用部材154に重なっていない部分の断面積による。
【0075】
図9(D)の場合、蓋部材155は、排出量調整用部材154に装着されている。この際、連通孔1551の中空部1550側の開口面は、排出量調整用部材154の外周面に重なっている。したがって、呼気収集装置としての排出口は封止される。
【0076】
このように、第5の実施形態に係る呼気収集装置は、第4の実施形態に係る呼気収集装置1と同様の作用効果を奏するとともに、排出量を容易に調整できる。
【0077】
(呼気収集器具の外形形状の派生例)
図10は、呼気収集器具の外形形状の派生例の一例を示す平面図である。
図10に示す呼気収集器具10Dは、収容袋11Dを備える。収容袋11Dは、第1の実施形態に係る収容袋11に対して、本体部材111Dの形状において異なる。収容袋11Dの他の構成は、収容袋11と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0078】
本体部材111Dは、平面視して楕円形である。このような構成であっても、呼気収集器具10Dは、呼気収集器具10と同様の作用効果を奏することができる。なお、本体部材111Dの形状は、楕円に限らず、円形、長円形、R面取り等がされた矩形、多角形等、他の形状であってもよい。
【0079】
(呼気収集器具および呼気収集装置の使用例)
図11は、本発明の実施形態に係る呼気収集器具および呼気収集装置が使用される気体成分検出装置の構成を示す図である。なお、
図11は、気体成分検出装置の一例を、機能ブロック等を用いて模式的に示している。
【0080】
図11に示すように、気体成分検出装置2は、第1流路21、および、カラム30を備える。さらに、気体成分検出装置2は、第2流路22、第3流路23、第4流路24、第5流路25、第6流路26、センサデバイス40、成分検出部43、ブロア51、フィルタ52、投入容器60、弁231、および、駆動部510を備える。
【0081】
第1流路21、第2流路22、第3流路23、第4流路24、第5流路25、および、第6流路26は、径が一定の管状である。
【0082】
第1流路21の一方端は、センサデバイス40に接続し、第1流路21の他方端は、カラム30に接続する。第2流路22の一方端は、カラム30に接続し、第2流路22の他方端は、ブロア51の吐出口に接続する。
【0083】
第3流路23の一方端は、第2流路22に接続し、第3流路23の他方端は、投入容器60に接続する。弁231は、第3流路23に設けられている。弁231の開閉によって、第2流路22と投入容器60との連通状態は、制御される。
【0084】
第4流路24の一方端は、センサデバイス40に接続し、第4流路24の他方端は、排出口240である。
【0085】
第5流路25の一方端は、ブロア51の吸込口に接続し、第5流路25の他方端は、フィルタ52に接続する。第6流路26の一方端は、フィルタ52に接続し、第6流路26の他方端は、キャリアガス取込口260に接続する。
【0086】
カラム30は、管状であり、内壁面に吸着体または担体が配置されている。カラム30は、可撓性を有する材料からなり、被検出気体と反応しない材料からなる。
【0087】
センサデバイス40は、キャビティ41、および、半導体センサ42を備える。キャビティ41は、センサデバイス40の筐体によって形成された空間であり、流入口411と流出口412とを備える。流入口411は、第1流路21に連通し、流出口412は、第4流路24に連通する。
【0088】
半導体センサ42は、検出面420を有する。半導体センサ42は、検出面420がキャビティ41内で露出するように、センサデバイス40の筐体に配置される。半導体センサ42は、検出面420に接触した気体の成分の濃度に応じた強度の電圧を、出力端子421から出力する。
【0089】
成分検出部43は、半導体センサ42の出力電圧を用いて、被検出気体の成分、および、その濃度を検出する。
【0090】
ブロア51は、流体を一方向に搬送する装置であり、例えば、圧電体を用いたブロアである。圧電体を用いたブロアとすることで、ブロア51を小型化できる。ブロア51には、駆動部510が接続されている。駆動部510は、ブロア51に駆動電力を供給する。ブロア51は、この駆動電力によって駆動し、吸込口から吐出口へ流体を搬送する。
【0091】
フィルタ52が、気体清浄化フィルタであり、例えば、空気に含まれる塵、微粒子等の不純物を濾過する。
【0092】
投入容器60は、被検出気体を収容する。この投入容器60が、上述の各種の呼気収集器具あるいは呼気収集装置によって実現される。そして、呼気収集器具の吸込口10ipが第3流路23に連通する。例えば、導入管13が、第3流路23を形成する管状体に挿嵌される。導入管13を管状体に挿嵌するかわりに、気体成分検出装置2側に設けられた導入管を呼気収集器具の吸込口10ipに挿嵌してもよい。このように、導入管を気体成分検出装置2側に設けられた場合において、吸い込み側補助部材12が気体成分検出装置2側に設けられた導入管に押し付けることができるので、気体成分検出装置2内において呼気が流出(漏出)することが抑制される。
【0093】
(気体成分検出装置2における被検出気体の搬送および成分の検出方法)
上記構成において、ブロア51を駆動し、弁231を開放する。これにより、キャリアガスの元となる空気は、キャリアガス取込口260から第6流路26に流入し、フィルタ52で濾過される。これにより、キャリアガスが生成される。キャリアガスは、フィルタ52から第5流路25に搬送され、ブロア51に吸入される。ブロア51は、キャリアガスを、第2流路22に吐出する。
【0094】
第2流路22にキャリアガスが流れると、投入容器60から第3流路23を介して、被検出気体が第2流路22に流れ込む。これにより、被検出気体は、キャリアガスに混合し、被検出気体が混合したキャリアガス(以下、説明の便宜上、混合ガスと称する。)は、第2流路22からカラム30に搬送される。
【0095】
カラム30に搬入された混合ガスは、成分毎に異なる速度で搬送される。カラム30を搬送された混合ガスは、第1流路21に搬入される。
【0096】
第1流路21を流れた混合ガスは、流入口411からキャビティ41内に流入し、流出口412から第4流路24を介して、排出口240から排出される。この際、混合ガスが、キャビティ41内において、半導体センサ42の検出面420に接触することで、被検出気体の成分は検出される。
【0097】
この際、上述のように、成分毎にカラム30での流速が異なることで、半導体センサ42は、被検出気体の複数の成分を個別に検出できる。
【0098】
(望ましい収容袋の使用形態)
呼気収集器具の収容袋は、典型的には一般的な樹脂製の袋であるので、一定時間が経過すると、収容袋に収容したガス(呼気)は、徐々に外へ透過し、抜けてしまう。このため、収容袋に収容したガス(呼気)は、基本的には、収容袋に収容した後すぐに気体成分検出装置で測定する必要がある。したがって、一定時間経過後も誤差のない測定を可能にするために、収容袋は、外装を例えば金属箔等でコート処理された樹脂袋を用いることが好ましい。
【0099】
(使用回数のカウント)
呼気収集器具の収容袋は、繰り返し使用すると内面等に汚れが生じてきたり、気体成分検出装置への着脱の際の摩擦による摩耗で劣化したりする。これにより、収容袋は定期的に交換する必要がある。したがって、収容袋を何回使用したかカウントできることが好ましい。
【0100】
図12は、個体識別情報が付与された呼気収集器具を備える呼気収集装置の構成を示す平面断面図である。
図12に示す呼気収集器具10Eは、
図6に示した呼気収集器具10Cに対して、個体識別用部材119を備える点で異なる。呼気収集器具10Eの他の構成は、呼気収集器具10Cと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0101】
図12に示すように、収容袋からなる呼気収集器具10Eには、個体識別用部材119が配置される。個体識別用部材119は、例えば、バーコードが印刷されたシールであり、呼気収集器具10Eにおける本体部材111の外面に貼り付けられる。
【0102】
個体識別用部材119は、バーコードに換えて半導体IDチップやRFIDタグ等の他のID部材を用いてもよい。また、個体識別用部材119は、呼気収集装置1の筐体15に配置してもよい。
【0103】
これにより、呼気収集器具10Eを何回使用したかカウントでき、適切な使用回数で呼気収集器具10Eを交換できる。
【0104】
なお、上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることが可能であり、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0105】
1:呼気収集装置
2:気体成分検出装置
10、10A、10B、10C、10D、10E:呼気収集器具
10ip:吸込口
10op:排出口
11、11D:収容袋
12:吸い込み側補助部材
12X:固定用部材
13:導入管
15:筐体
21:第1流路
22:第2流路
23:第3流路
24:第4流路
25:第5流路
26:第6流路
30:カラム
40:センサデバイス
41:キャビティ
42:半導体センサ
43:成分検出部
51:ブロア
52:フィルタ
60:投入容器
111、111B、111D:本体部材
111BS、111S:本体空間
112:吸い込み部材
112S:吸い込み空間
113、113C:排出部材
113S:排出空間
119:個体識別用部材
120:中空部
121:主面
122:主面
123:内周面
124:外周面
130:導入孔
141:封止用部材
142:封止用部材
151:第1収容空間
152:第2収容空間
153:第3収容空間
154:排出量調整用部材
155、159:蓋部材
231:弁
240:排出口
260:キャリアガス取込口
411:流入口
412:流出口
420:検出面
421:出力端子
510:駆動部
1111:プリーツ部
1521、1522:空間
1531、1532、1533:空間
1540:中空部
1541:凸部
1550:中空部
1551:連通孔
1552:凹部
1591:栓部材
1592:取り付け補助板