(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】車両用エアバッグ保持構造
(51)【国際特許分類】
B60R 21/20 20110101AFI20240910BHJP
【FI】
B60R21/20
(21)【出願番号】P 2021051873
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】水戸 隆世
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 義尚
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-147530(JP,A)
【文献】特開2019-182186(JP,A)
【文献】特開2020-142682(JP,A)
【文献】特開2012-126366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0291120(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
B62D 25/14-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルの前方に車幅方向に延びるよう設けられたステアリングサポートメンバを利用してエアバッグユニットを保持する車両用エアバッグ保持構造において、
前記インストルメントパネルの下部に形成されて所定のグローブボックスが設置されるグローブボックス用開口部と、
前記インストルメントパネルのうち前記グローブボックス用開口部の側部それぞれに沿って形成され該側部から該グローブボックス用開口部の内側に延びている一対の段差形状部と、
前記インストルメントパネルのうち前記グローブボックス用開口部の上縁に沿って形成され車両後方に突出している凸形状部と、
前記ステアリングサポートメンバから下方に延びて前記インストルメントパネルの前記一対の段差形状部それぞれに接続される一対のサイドステーと、
前記ステアリングサポートメンバの前記一対のサイドステーの間から車両後方に延びて前記インストルメントパネルの前記凸形状部に接続されるセンタステーと、
前記ステアリングサポートメンバの前記一対のサイドステーの間に設置されて前記エアバッグユニットが接続される1または複数の保持ブラケットを備えることを特徴とする車両用エアバッグ保持構造。
【請求項2】
前記1または複数の保持ブラケットのうち少なくとも1つは、車幅方向において前記センタステーに重なる範囲に設置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用エアバッグ保持構造。
【請求項3】
前記1または複数の保持ブラケットのうち少なくとも1つは、前記一対のサイドステーの一方に隣接して設置され、または前記ステアリングサポートメンバの長手方向において該一対のサイドステーの一方に重なる範囲に設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用エアバッグ保持構造。
【請求項4】
前記センタステーは、
前記ステアリングサポートメンバから車両後方に延びる基部と、
前記基部の車幅方向の側縁それぞれから上方に延びている一対の側壁とを有し、
前記保持ブラケットは、前記ステアリングサポートメンバのうち前記センタステーの前記一対の側壁の間の範囲に設置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用エアバッグ保持構造。
【請求項5】
前記センタステーは、
前記ステアリングサポートメンバから車両後方に延びる基部と、
前記基部の車幅方向の側縁それぞれから下方に延びている一対の側壁とを有し、
前記1または複数の保持ブラケットのうち少なくとも1つは、前記センタステーの基部と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用エアバッグ保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エアバッグ保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のエアバッグ装置、特に助手席用エアバッグ装置は、インストルメントパネルの前方に設けられているステアリングサポートメンバに専用のブラケット等を介して固定することが多い。例えば、特許文献1の技術では、
図4に記載されているように、エアバッグユニット7を、ステアリングサポートメンバに相当するP-Pメンバ2にケースブラケット9dおよびブラケット14を利用して固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、
図6に記載されているように、エアバッグ膨張時の力がケースブラケット9dおよびブラケット14に加わる。これらケースブラケット9dおよびブラケット14は、
図5に記載されているように、P-Pメンバ2とエアバッグケース9の底部9aとにかけ渡されていて、荷重の程度によっては変形が懸念される。このようなブラケット類の変形は、エアバッグの設定通りの展開を阻害するおそれがあるため、防止する必要がある。しかしながら、例えばブラケット類の肉厚化などの手法は、安易に採用すると重量増加やレイアウトの自由度減少につながってしまう。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、簡潔な構造でエアバッグユニットの保持力の向上が可能な車両用エアバッグ保持構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用エアバッグ保持構造の代表的な構成は、車両のインストルメントパネルの前方に車幅方向に延びるよう設けられたステアリングサポートメンバを利用してエアバッグユニットを保持する車両用エアバッグ保持構造において、インストルメントパネルの下部に形成されて所定のグローブボックスが設置されるグローブボックス用開口部と、インストルメントパネルのうちグローブボックス用開口部の側部それぞれに沿って形成され側部からグローブボックス用開口部の内側に延びている一対の段差形状部と、インストルメントパネルのうちグローブボックス用開口部の上縁に沿って形成され車両後方に突出している凸形状部と、ステアリングサポートメンバから下方に延びてインストルメントパネルの一対の段差形状部それぞれに接続される一対のサイドステーと、ステアリングサポートメンバの一対のサイドステーの間から車両後方に延びてインストルメントパネルの凸形状部に接続されるセンタステーと、ステアリングサポートメンバの一対のサイドステーの間に設置されてエアバッグユニットが接続される1または複数の保持ブラケットを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡潔な構造でエアバッグユニットの保持力の向上が可能な車両用エアバッグ保持構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例に係る車両用エアバッグ保持構造の概要を示す図である。
【
図2】
図1(b)のステアリングサポートメンバの概要を示す斜視図である。
【
図3】
図1(b)の保持構造のA-A断面図である。
【
図5】
図2(a)のステアリングサポートメンバを各方向から見た図である。
【
図6】
図5(a)のセンタステーと保持ブラケットとを拡大した斜視図である。
【
図7】
図6のセンタステーの変形例を示す図である。
【
図8】
図5に対応して変形例のセンタステーを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る車両用エアバッグ保持構造は、車両のインストルメントパネルの前方に車幅方向に延びるよう設けられたステアリングサポートメンバを利用してエアバッグユニットを保持する車両用エアバッグ保持構造において、インストルメントパネルの下部に形成されて所定のグローブボックスが設置されるグローブボックス用開口部と、インストルメントパネルのうちグローブボックス用開口部の側部それぞれに沿って形成され側部からグローブボックス用開口部の内側に延びている一対の段差形状部と、インストルメントパネルのうちグローブボックス用開口部の上縁に沿って形成され車両後方に突出している凸形状部と、ステアリングサポートメンバから下方に延びてインストルメントパネルの一対の段差形状部それぞれに接続される一対のサイドステーと、ステアリングサポートメンバの一対のサイドステーの間から車両後方に延びてインストルメントパネルの凸形状部に接続されるセンタステーと、ステアリングサポートメンバの一対のサイドステーの間に設置されてエアバッグユニットが接続される1または複数の保持ブラケットを備えることを特徴とする車両用エアバッグ保持構造。
【0010】
上記構成によれば、サイドステーおよびセンタステーによって、ステアリングサポートメンバと、インストルメントパネルのうちグローブボックス用開口部の周囲に形成された剛性の高い一対の段差形状部および凸形状部とを接続することができる。これによって、エアバッグユニットを、より高い剛性の構造体を構築して保持することができる。特に、エアバッグユニットの展開時の荷重をステアリングサポートメンバおよびインストルメントパネルに広く分散させ、これら構造体に変形を起こさせることなく、エアバッグを設定通りに展開させることが可能になる。
【0011】
上記の1または複数の保持ブラケットのうち少なくとも1つは、車幅方向においてセンタステーに重なる範囲に設置される。
【0012】
上記構成によれば、保持ブラケットからセンタステーへと荷重を効率よく分散させることで、ステアリングサポートメンバ等からなる構造物に変形を起こさせることなく、エアバッグを設定通りに展開させることが可能になる。
【0013】
上記の1または複数の保持ブラケットのうち少なくとも1つは、一対のサイドステーの一方に隣接して設置され、またはステアリングサポートメンバの長手方向において一対のサイドステーの一方に重なる範囲に設置される。
【0014】
上記構成によって、保持ブラケットからサイドステーへと、エアバッグの展開時の荷重を効率よく伝達することが可能になる。特に、サイドステーを通じて、ステアリングサポートメンバとインストルメントパネルとで荷重を広く分散させで受けることができ、これら構造体に変形を起こさせることなく、エアバッグを設定通りに展開させることが可能になる。
【0015】
上記のセンタステーは、ステアリングサポートメンバから車両後方に延びる基部と、基部の車幅方向の側縁それぞれから上方に延びている一対の側壁とを有し、保持ブラケットは、ステアリングサポートメンバのうちセンタステーの一対の側壁の間の範囲に設置されている。
【0016】
上記構成によれば、保持部ブラケットからセンタステーおよびインストルメントパネルへと、さらに荷重を伝達させて分散させることが可能になる。
【0017】
上記のセンタステーは、ステアリングサポートメンバから車両後方に延びる基部と、基部の車幅方向の側縁それぞれから下方に延びている一対の側壁とを有し、1または複数の保持ブラケットのうち少なくとも1つは、センタステーの基部と一体に形成されている。
【0018】
上記構成によれば、保持ブラケットとセンタステーとを一体化して1つの部品にすることで、より簡潔な構造で、エアバッグからの荷重をインストルメントパネル等に伝達し分散させることが可能になる。
【実施例】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施例に係る車両用エアバッグ保持構造(保持構造100)の概要を示す図である。
図1(a)は、当該保持構造100に含まれるインストルメントパネル102を車両後方から見た図である。以下、
図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で例示する。
【0021】
本実施例の車両用エアバッグ保持構造(保持構造100)は、助手席用として実施されている。エアバッグユニット106は、インストルメントパネル102のうち、助手席の前方上部のカバー部材108の内側に設置される。また、助手席の範囲におけるインストルメントパネル102の下方には、グローブボックス110が設置される。
【0022】
図1(b)は、
図1(a)のカバー部材108およびグローブボックス110を取り外した図である。エアバッグユニット106は、袋状のエアバッグクッション(図示省略)を矩形のケース112に収容し、ケース112がインストルメントパネル102の上部の開口した範囲に位置するようにして設置される。ケース112およびカバー部材108(
図1(a)参照)は、エアバッグクッションの展開時に開裂する構成になっている。
【0023】
エアバッグユニット106は、インストルメントパネル102の前方に設けられたステアリングサポートメンバ104を利用して保持される。ステアリングサポートメンバ104は、複数のステーおよびブラケットを備えている。例えば、インストルメントパネル102の下部にはグローブボックス110を設置するグローブボックス用開口部116が形成されていて、ステアリングサポートメンバ104はグローブボックス用開口部116の内側上部に位置するようにセンタステー120を備えている。
【0024】
図2は、
図1(b)のステアリングサポートメンバ104の概要を示す斜視図である。
図2(a)は、
図1(b)のステアリングサポートメンバ104を後方上側から見た斜視図である。ステアリングサポートメンバ104は、車幅方向に長尺なパイプ状のA-Aパイプ118を中心に構成されている。エアバッグユニット106は、後述する支持ステー114a、114bを保持ブラケット124a、124bに締結等することで設置される。
【0025】
A-Aパイプ118には、インストルメントパネル102と接合する部材として、サイドステー122a、122bおよびセンタステー120が設けられている。一対のサイドステー122a、122bは、A-Aパイプ118の長手方向、すなわち車幅方向に間隔をあけて、A-Aパイプ118から下方に延びるよう設置されている。サイドステー122aは、インストルメントパネル102のグローブボックス用開口部116の側部(段差形状部136a、136b(
図1(b)参照))に接続される。
【0026】
センタステー120は、A-Aパイプ118のうち、一対のサイドステー122a、122bの間から車両後方に延びるよう設けられている。センタステー120には、先端側の下面にストライカ126が設置されている。ストライカ126は、U字状の部材であって、グローブボックス110がツメ等を利用して着脱可能に嵌合する。
【0027】
図2(b)は、
図2(b)のステアリングサポートメンバ104を反対側から見た斜視図である。エアバッグユニット106は、ステアリングサポートメンバ104のうち、サイドステー122a、
122bの間にて、ケース112の左右両脇から延びる支持ステー114a、114bを使用して設置される。
【0028】
図3は、
図1(b)の保持構造100のA-A断面図である。図
3では、カバー部材108およびグローブボックス110も設置している。インストルメントパネル102には、グローブボックス用開口部116の上縁に沿って、車両後方に凸状に突出した凸形状部132が設けられている。凸形状部132の前側には、センタステー120との接続に利用されるピン134およびボス状の固定部135が設けられている。センタステー120は、複数の貫通孔等が設けられていて、貫通孔それぞれにピン134および固定部135が挿し込まれたうえ、ボルト137を固定部135に締結するなどして、凸形状部132に接続および固定される。
【0029】
図4は、
図1(b)の保持構造100の各断面図である。
図4(a)は、
図1(a)の保持構造100のB-B断面図である。
図4(a)ではサイドステー122a、122bを代表してサイドステー122bを示しているが、サイドステー122a、122bは同様の構成であるため、サイドステー122bについての説明はサイドステー122aにも当てはまる。
【0030】
サイドステー122bは、車幅方向から見て、A-Aパイプ118から後方に延びるセンタステー120に直交するように、A-Aパイプ118から下方に延びている。そして、サイドステー122bは、インストルメントパネル102のグローブボックス用開口部116の側部に形成された段差形状部136aの上下方向の中段の部分にボルト138を利用して締結される。
【0031】
図4(b)は、
図1(a)の保持構造100のC-C断面図である。サイドステー122a、122bが締結される段差形状部136a、136bは、インストルメントパネル102のうち、グローブボックス用開口部116の側部の内壁140a、140bそれぞれに沿って形成されていて、当該内壁140a、140bからグローブボックス用開口部116の内側に屈曲して延びている。サイドステー122a、122bは、段差形状部の前側に重なり、段差形状部136a、136bにボルト138によって締結される。
【0032】
図4(a)では、エアバッグユニット106は、支持ステー114bを介して、保持ブラケット124bによってステアリングサポートメンバ104上に支えられている。また、前述した
図3では、エアバッグユニット106は、支持ステー114aを介して、保持ブラケット124aによってステアリングサポートメンバ104上に支えられている。本実施例では、エアバッグユニット106から加わる荷重は、保持ブラケット124a、124b、センタステー120およびサイドステー122a、122bを介して、ステアリングサポートメンバ104からインストルメントパネル102に分散させることが可能になっている。
【0033】
図5は、
図2(a)のステアリングサポートメンバ104を各方向から見た図である。
図5(a)は、
図2(a)のステアリングサポートメンバ104を車両後方から見た図である。保持ブラケット124a、124bは、車両後方から見て、車幅方向の側壁が下方に延びたコ字形状になっている。保持ブラケット124a、124bは、ステアリングサポートメンバ104のうち、一対のサイドステー122a、122bの間に設置されている。
【0034】
車幅方向右側の保持ブラケット124bは、A-Aパイプ118上においてサイドステー122bに隣接して設置されている。よって、保持ブラケット124bからサイドステー122bへと、エアバッグユニット106の展開時の荷重を効率よく伝達することが可能になっている。特に、サイドステー122bを通じて、ステアリングサポートメンバ104からインストルメントパネル102とで荷重を広く分散させで受けることができ、これら構造体に変形を起こさせることなく、エアバッグユニット106を設定通りに展開させることが可能になる。
【0035】
なお、他の例として、保持ブラケット124bは、A-Aパイプ118の長手方向において、サイドステー122bに一部または全部が重なる範囲に設置することも可能である。この構成によっても、保持ブラケット124bからサイドステー122bへと、エアバッグユニット106の展開時の荷重を効率よく伝達することが可能になる。
【0036】
図5(b)は、
図2(b)のステアリングサポートメンバ104を車両上方から見た図である。車幅方向左側の保持ブラケット124aは、車幅方向において、A-Aパイプ118のうちセンタステー120の上方に重なる範囲に設置される。
図3(a)に図示したように、センタステー120はインストルメントパネル102の凸形状部132に接続される。これら構成によれば、保持ブラケット124aからセンタステー120、さらにはインストルメントパネル102へと荷重を効率よく分散させることで、ステアリングサポートメンバ104等からなる構造物に変形を起こさせることなく、エアバッグユニット106を設定通りに展開させることが可能になる。
【0037】
これらのように、本実施例によれば、サイドステー122a、122bおよびセンタステー120によって、ステアリングサポートメンバ104と、インストルメントパネル102のうちグローブボックス用開口部116の周囲に形成された剛性の高い一対の段差形状部136a、136bおよび凸形状部132とを接続することで、より高い剛性の構造体を構築してエアバッグユニット106を支えることができる。これによって、エアバッグユニット106の展開時の荷重をステアリングサポートメンバ104およびインストルメントパネル102に広く分散させ、これら構造体に変形を起こさせることなく、エアバッグユニット106を設定通りに展開させることが可能になる。
【0038】
図6は、
図5(a)のセンタステー120と保持ブラケット124aとを拡大した斜視図である。センタステー120は、ステアリングサポートメンバ104から車両後方に延びる基部128と、基部128の車幅方向の側縁それぞれから上方に延びた一対の側壁130a、130bを有している。保持ブラケット124aは、A-Aパイプ118のうちセンタステー120の側壁130a、130bの間の範囲に設置されている。
【0039】
上記構成によれば、保持ブラケット124aからセンタステー120およびインストルメントパネル102(
図3参照)へと、荷重を効率よく伝達させて分散させることが可能になる。特に、保持ブラケット124aの下方および側方を囲うようにセンタステー120が存在していることで、エアバッグユニット106からの荷重を保持ブラケット124aおよびセンタステー120によって効率よく受け、インストルメントパネル102にも分散することができる。これによって、ステアリングサポートメンバ104およびインストルメントパネル102の破損や変形を防ぎ、エアバッグユニット106の正常な展開を担保することができる。
【0040】
(変形例)
図7は、
図6のセンタステー120の変形例(センタステー200)を示す図である。
図7以降では、上記実施例にて既に説明した構成要素と同じものには同じ符号を付していて、これによって既出の構成要素については説明を省略する。また、以下の説明において、既に説明した構成要素と同じ名称のものについては、例え異なる符号を付していても、特に明記しない場合は同じ機能を有しているものとする。
【0041】
上記のセンタステー200は、ステアリングサポートメンバ104から車両後方に延びる基部202と、基部202の車幅方向の側縁それぞれから下方に延びた一対の側壁204a、204bを有している。そして、当該センタステー200では、基部202のうちA-Aパイプ118に接合している根本側の範囲が、保持ブラケット206として機能する構成となっている。保持ブラケット206は、保持ブラケット124a(
図6参照)と同様に、ボルト締結等によってエアバッグユニット106をA-Aパイプ118上に支えることができる。
【0042】
図8は、
図5に対応して変形例のセンタステー200を示した図である。本変形例では、センタステー200と一体に設けられた保持ブラケット206を利用して、エアバッグユニット106を支えることができる。本変形例においても、エアバッグユニット106からの荷重を保持ブラケット206およびセンタステー200によって効率よく受け、さらにセンタステー200から固定部135等を通じてインストルメントパネル102にも分散することが可能になる。
【0043】
本変形例であれば、センタステー200と保持ブラケット206とを一体化して1つの部品にすることで、より簡潔な構造を達成してコスト削減を行いつつ、エアバッグユニット106からの荷重をインストルメントパネル102等に効率よく伝達し分散させることが可能である。
【0044】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、車両用エアバッグ保持構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
100…保持構造、102…インストルメントパネル、104…ステアリングサポートメンバ、106…エアバッグユニット、108…カバー部材、110…グローブボックス、112…ケース、114a、114b…支持ステー、116…グローブボックス用開口部、118…A-Aパイプ、120…センタステー、122a、122b…サイドステー、124a、124b…保持ブラケット、126…ストライカ、128…基部、130a、130b…側壁、132…凸形状部、134…ピン、135…固定部、136a、136b…段差形状部、137…ボルト、138…ボルト、140a、140b…内壁、200…センタステー、202…基部、204a、204b…側壁、206…保持ブラケット