(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】リニアガイド
(51)【国際特許分類】
F16C 29/06 20060101AFI20240910BHJP
F16C 33/66 20060101ALI20240910BHJP
F16N 31/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
F16C29/06
F16C33/66 Z
F16N31/00 A
(21)【出願番号】P 2021053611
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 匠
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040389(JP,A)
【文献】特開平09-053637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/06
F16C 33/66
F16N 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右両側面にレール側軌道面が形成される案内レールと、該案内レールを跨ぐようにスライド自在に係合するスライダと、潤滑剤を含浸可能な潤滑剤供給部材を有し、前記スライダの軸方向の端部に取り付けられた潤滑ユニットと、を備えるリニアガイドであって、
前記潤滑剤供給部材は、前記案内レールの上面及び前記レール側軌道面を含む前記左右両側面に対向するように、略コ字状に形成され、
前記潤滑剤供給部材は、前記案内レールの上方位置に形成され
、上方に開放する第1の凹部と、前記案内レールの左右両側面位置に形成され
、前記案内レールと反対側に開放する一対の第2の凹部と、前記案内レールの
前記レール側軌道面に摺接可能な突部と、を備え、
前記潤滑ユニットは、
前記第1の凹部の前記スライダの上下方向への移動を許容し、前記第1の凹部を前記スライダの幅方向外方に押圧するように、前記第1の凹部内に配置される上部押圧手段と、
前記一対の第2の凹部の前記スライダの幅方向への移動を許容し、前記一対の第2の凹部を前記スライダの下方向にそれぞれ押圧するように、前記一対の第2の凹部内に配置される一対の側面押圧手段と、
を備えることを特徴とするリニアガイド。
【請求項2】
前記潤滑ユニットは、前記潤滑剤供給部材と、該潤滑剤供給部材を収容するケースと、を備え、
前記上部押圧手段、及び前記一対の側面押圧手段は、前記ケースの内部に設けられることを特徴とする請求項1に記載のリニアガイド。
【請求項3】
前記上部押圧手段は、前記第1の凹部の幅より外径が大きい第1の円筒部であり、
前記一対の側面押圧手段は、前記一対の第2の凹部の幅以下の外径を有する第2の円筒部であり、
前記第2の円筒部は、前記第2の凹部に対して、前記第2の凹部の幅と前記第2の円筒部の外径との差の1/2より大きく下方にオフセットしていることを特徴とする請求項1または2に記載のリニアガイド。
【請求項4】
前記上部押圧手段、及び前記一対の側面押圧手段を構成する前記第1及び第2の円筒部の先端側縁部には、面取り部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のリニアガイド。
【請求項5】
前記上部押圧手段の下面は、水平方向に切り欠かれた平面部を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のリニアガイド。
【請求項6】
前記側面押圧手段の幅方向側面は、鉛直方向に切り欠かれた平面部を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のリニアガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアガイドに関し、より詳細には、長期間に亘って潤滑剤を案内レール、スライダ、及び転動体の接触部に供給することができるリニアガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リニアガイドは、軸方向に延びる案内レールと、案内レールに相対移動可能に跨架されたスライダと、を備え、案内レール及びスライダに形成された転動体転動溝間を循環する複数の転動体(ボール)を介して、スライダが案内レール上を軸方向に相対移動する。このようなリニアガイドは、各種生産設備の直線移動機構に多用されている。このリニアガイドを、長期間に亘って安定して使用するためには、転動体転動溝及びボールに十分な量の潤滑剤を供給して、潤滑状態を良好に維持することが重要である。
【0003】
特許文献1には、潤滑剤を含有する多孔質の潤滑剤供給部材をケース内に収容してスライダの端部に取り付け、案内レールの転動体転動溝に接触する潤滑剤供給部材から潤滑剤を供給するようにした直動案内軸受装置が記載されている。
また、特許文献2では、エンドキャップの外側面に、エンドキャップに近い側から、補強板、潤滑剤含有部材及びサイドシールが重ね合わせた状態で固定されている。潤滑剤含有部材は、エンドキャップに合わせたコ字形状に形成されていて、その連結部に上部を開放して形成された貫通孔に、その内径よりも外径が大きいリング状部材を嵌め込むことにより、貫通孔が押し広げられ、両袖部を案内レールに押しつけている。また、両袖部の外側面側を開放した貫通孔にそれぞれ、リング状部材が嵌め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-46529号公報
【文献】特開平09-112551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の潤滑ユニット100では、
図15(a)に示すように、潤滑剤を含有する潤滑剤供給部材101は、円筒部104が一体に形成されたケース103に収納されている。また、潤滑剤供給部材101は、上部に形成された凹部102にケース103の円筒部104が嵌め込まれて、潤滑剤供給部材101の上端部をスライダの幅方向外方に押圧変形させると共に、潤滑剤供給部材101の摺動部105の裏面が、ケース103の両側面に設けられた押圧部106で押圧されて、案内レール107の転動体転動溝108に押し付けられて、潤滑剤を供給するようになっている。
【0006】
しかしながら、
図15(b)に示すように、長期間の使用に伴って潤滑剤供給部材101に含浸した潤滑剤量が減ると、潤滑剤供給部材101の寸法が、図中破線で示す状態から図中実線で示すように小さくなり、円筒部104及び押圧部106による押圧力が低下し、潤滑剤供給部材101と案内レール107の転動体転動溝108との接触状態が変化して十分な潤滑状態を保てなくなる虞がある。特に、潤滑剤供給部材101の潤滑剤含有量が非常に多いと、潤滑剤の減少による潤滑剤供給部材101の寸法変化が大きく、上記した不具合が生じる可能性が高くなる。
【0007】
また、
図16(a)に示すような従来の潤滑ユニット200では、潤滑剤供給部材201は、上部に形成された略U字形の上溝202と、両側面に形成された略U字形の一対の横溝203と、案内レール206の転動体転動溝207に摺接する摺動部208と、を備える。上溝202には、上部リング204が設置され、一対の横溝203には、それぞれ側面リング205が設置され、側面リング205には、不図示のサイドシール及び潤滑ユニット200をスライダに固定するための不図示のねじが挿通されている。このため、側面リング205と案内レール206との相対位置は、不図示の転動体を介して固定となる。
【0008】
この場合も、
図16(b)に示すように、長期間の使用により潤滑剤供給部材201に含浸した潤滑剤量が低減すると、潤滑剤供給部材201の寸法が、図中破線で示す状態から図中実線で示すように小さくなる。その際、側面リング205の位置が固定されているため、潤滑剤供給部材201は、側面リング205に向かって矢印方向に変形する。この結果、潤滑剤供給部材201の摺動部208と案内レール206の転動体転動溝207との接触状態が変化して十分な潤滑状態を保てなくなる虞がある。
【0009】
また、特許文献2では、潤滑剤含有部材は、連結部の貫通孔に嵌め込まれたリング状部材で押圧されるとともに、両袖部の2個のリング状部材で位置が固定されている。潤滑剤含有部材の油が減ると、潤滑剤含有部材の寸法は小さくなる。この時、両袖部の2個のリング状部材で位置が固定されているため、潤滑剤含有部材は、案内レールの転動体転動溝から離れる方向に変形してしまう。この変形に伴って、潤滑剤含有部材は、案内レールの転動体転動溝への接触状態が変化してしまう。よって、潤滑剤の塗布状態が不安定になり、潤滑状態を保てなくなるおそれがある。
【0010】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、潤滑ユニットが長期間に亘って安定して潤滑剤を供給することができるリニアガイドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 案内レールと、該案内レールを跨ぐようにスライド自在に係合するスライダと、潤滑剤を含浸可能な潤滑剤供給部材を有し、前記スライダの軸方向の端部に取り付けられた潤滑ユニットと、を備えるリニアガイドであって、
前記潤滑剤供給部材は、前記案内レールの上方位置に形成された第1の凹部と、前記案内レールの左右両側面位置に形成された一対の第2の凹部と、前記案内レールのレール側軌道面に摺接可能な突部と、を備え、
前記潤滑ユニットは、
前記第1の凹部の前記スライダの上下方向への移動を許容し、前記第1の凹部を前記スライダの幅方向外方に押圧するように、前記第1の凹部内に配置される上部押圧手段と、
前記一対の第2の凹部の前記スライダの幅方向への移動を許容し、前記一対の第2の凹部を前記スライダの下方向にそれぞれ押圧するように、前記一対の第2の凹部内に配置される一対の側面押圧手段と、
を備えることを特徴とするリニアガイド。
(2) 前記潤滑ユニットは、前記潤滑剤供給部材と、該潤滑剤供給部材を収容するケースと、を備え、
前記上部押圧手段、及び前記一対の側面押圧手段は、前記ケースの内部に設けられることを特徴とする(1)に記載のリニアガイド。
(3) 前記上部押圧手段は、前記第1の凹部の幅より外径が大きい第1の円筒部であり、
前記一対の側面押圧手段は、前記一対の第2の凹部の幅以下の外径を有する第2の円筒部であり、
前記第2の円筒部は、前記第2の凹部に対して、前記第2の凹部の幅と前記第2の円筒部の外径との差の1/2より大きく下方にオフセットしていることを特徴とする(1)または(2)に記載のリニアガイド。
(4) 前記上部押圧手段、及び前記一対の側面押圧手段を構成する前記第1及び第2の円筒部の先端側縁部には、面取り部が設けられていることを特徴とする(3)に記載のリニアガイド。
(5) 前記上部押圧手段の下面は、水平方向に切り欠かれた平面部を有することを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載のリニアガイド。
(6) 前記側面押圧手段の幅方向側面は、鉛直方向に切り欠かれた平面部を有することを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載のリニアガイド。
【発明の効果】
【0012】
本発明のリニアガイドによれば、潤滑剤を含浸可能な潤滑剤供給部材は、案内レールの上方位置に形成された第1の凹部と、案内レールの左右両側面位置に形成された一対の第2の凹部と、案内レールのレール側軌道面に摺接可能な突部と、を備える。また、潤滑ユニットは、第1の凹部のスライダの上下方向への移動を許容し、第1の凹部をスライダの幅方向外方に押圧するように、第1の凹部内に配置される上部押圧手段と、一対の第2の凹部のスライダの幅方向への移動を許容し、一対の第2の凹部をスライダの下方向にそれぞれ押圧するように、一対の第2の凹部内に配置される一対の側面押圧手段と、を備える。これにより、長期間の使用に伴って含浸した潤滑剤量が少なくなり、潤滑剤供給部材の寸法が小さくなっても、第1の凹部が、上部押圧手段によりスライダの幅方向外方に押圧され、また、一対の第2の凹部が、一対の側面押圧手段によりスライダの下方向にそれぞれ押圧されているので、潤滑剤供給部材の突部がレール側軌道面を押し付ける力が確保される。したがって、潤滑ユニットが長期間に亘って安定して潤滑剤を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図2に示すスライダの一部分解斜視図である。
【
図4】
図3に示す潤滑ユニットの潤滑剤供給部材及びケースの分解斜視図である。
【
図5】(a)は、潤滑剤供給部材がケースに収容された状態を示す側面図であり、(b)は、ケースに収容される潤滑剤供給部材の凹部とケースの円筒部との寸法関係を説明するための側面図である。
【
図7】ケースの円筒部との干渉による押圧方向及び変位方向を示す潤滑剤供給部材の側面図である。
【
図8】(a)は、
図6のX1-X1線断面図、(b)は、
図7のX2-X2線断面図であり、(c)は、
図6のY1-Y1線断面図、(d)は、
図7のY2-Y2線断面図である。
【
図9】第1実施形態の潤滑ユニットにおいて、含有潤滑剤の低減による潤滑剤供給部材の変形状態を示す側面図である。
【
図11】第2実施形態の潤滑ユニットの潤滑剤供給部材及びケースの斜視図である。
【
図12】
図11に示す潤滑ユニットの潤滑剤供給部材及びケースの分解斜視図である。
【
図13】本発明の変形例の潤滑ユニットに係る潤滑剤供給部材がケースに収容された状態を示す側面図である。
【
図14】本発明の他の変形例の潤滑ユニットに係る潤滑剤供給部材がケースに収容された状態を示す側面図である。
【
図15】(a)は、従来の潤滑ユニットの側面図であり、(b)は、潤滑剤供給部材が含有潤滑剤の低減により変形する状態を示す側面図である。
【
図16】(a)は、従来の他の潤滑ユニットの側面図であり、(b)は、潤滑剤供給部材が含有潤滑剤の低減により変形する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施形態に係るリニアガイドを図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、スライダの上下方向、幅方向とは、長手方向を水平にして配置された案内レールに組み付けられたスライダの状態における方向をそれぞれ表しており、スライダの幅方向は、案内レールの長手方向及びスライダの上下方向に垂直な方向であり、左右方向とも言う。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態のリニアガイド10は、直線状の案内レール20と、案内レール20を跨ぐように組み付けられ、不図示の複数の転動体(ボール)を介してスライド自在に係合するスライダ30と、を備えている。
【0016】
案内レール20の両側面23には、断面略半円形または断面ゴシックアーチ形状のレール側軌道面21が軸方向に形成され、案内レール20の上面24と両側面23とが交差する稜線部には、断面略1/4円弧状のレール側軌道面22が軸方向に形成されている。
【0017】
スライダ30は、
図2及び
図3に示すように、スライダ本体31と、スライダ本体31の軸方向両端部に取り付けられたエンドキャップ32と、各エンドキャップ32の更に軸方向端部に取り付けられた潤滑ユニット33と、からなる。
【0018】
スライダ本体31は、略コ字状に形成されており、両袖部の内側面に、案内レール20のレール側軌道面21、22に対向する不図示のスライダ側軌道面を有するとともに、転動体戻し路を有している。また、略コ字状に形成されたエンドキャップ32は、スライダ本体31のスライダ側軌道面及び転動体戻し路を連通させる不図示の湾曲路を有しており、レール側軌道面21、22、スライダ側軌道面、転動体戻し路、及び両端部の湾曲路で、転動体循環路を形成している。転動体循環路内には、複数のボールが転動自在に装填されている。
【0019】
図3及び
図4を参照して、潤滑ユニット33は、合成樹脂製のケース40と、ケース40内に収容される潤滑剤供給部材50と、サイドシール60と、を備える。
【0020】
サイドシール60は、エンドキャップ32の外形に合わせた略コ字形状の鋼板であり、その両袖部62には、取付ネジ用の貫通孔61が形成されるとともに、それら両袖部62を連結する連結部63には、グリースニップル用の貫通孔64が形成されている。サイドシール60と案内レール20とは非接触であり、コ字部の内側には、スライダ30と案内レール20との間の隙間をシールするため、ニトリルゴムやグリースを含有したポリウレタンゴムなどの弾性体65が設けられている。
【0021】
潤滑剤供給部材50は、案内レール20の上面24及びレール側軌道面21、22を含む両側面23に対向するように、略コ字状に成形される。潤滑剤供給部材50は、ゴムや合成樹脂等の多孔質体、繊維交絡体などで形成されて、潤滑剤を含浸する。潤滑剤としては、鉱油、合成油、グリースなどを用いることができる。合成樹脂としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを用いることができる。繊維交絡体としては、羊毛フェルト、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維などを用いることができる。
【0022】
潤滑剤供給部材50の潤滑剤含浸量は、長期間の使用の観点から、70重量%以上であることが好ましい。また、潤滑剤含浸量の上限は、潤滑剤供給部材50の強度を考慮して85重量%以下であることが好ましい。例えば、本実施形態の一例として、潤滑剤供給部材50は、重量比率を15:85とする、ポリエチレンと鉱油とを混合して成形したものが挙げられる。
【0023】
潤滑剤供給部材50のコ字状部の両側面内側には、案内レール20のレール側軌道面21に摺接して潤滑剤を供給するための略半円形の突部51が突設されている。また、コ字状部の両側面と上面との内隅部には、案内レール20のレール側軌道面22に摺接して潤滑剤を供給するための1/4円弧状の突部52が突設されている。
【0024】
さらに、潤滑剤供給部材50の上端部略中央には、上方に開放する第1の凹部53が形成されている。また、潤滑剤供給部材50の両外側面には、側方に開放する略コの字形の第2の凹部54が形成されている。第1の凹部53は、幅方向に対向する互いに平行な2つの平面を持って略コの字形に形成され、第2の凹部54は、上下方向に対向する互いに平行な2つの平面を持った略コの字形に形成され、該2つの平面と鉛直面との隅部54aは曲面形状とされている。
【0025】
なお、
図4に示すように、突部51、52の厚み方向の端面縁部には、それぞれ面取り部51a,52aが形成されている。リニアガイド10のスライダ30は、機械装置への組付け作業の際に、案内レール20から取り外され、再度、案内レール20に取付ける場合がある。その際、潤滑剤供給部材50の突部51、52の端面縁部が、案内レール20のレール側軌道面21,22の端面のエッジと干渉する可能性があるが、上記面取り部51a,52aを設けることで、上記干渉が防止されて、組付け作業性を向上することができる。
【0026】
ケース40は、ポリアセタールやポリアミドなどの硬質樹脂を射出成形して製作されており、エンドキャップ32と略同一サイズの略コ字状に形成されている。ケース40は、収容される潤滑剤供給部材50の外周部を覆う外周壁41と、潤滑剤供給部材50の軸方向端面を覆う端壁42と、によって潤滑剤供給部材50を収納するための収納部43を形成している。
【0027】
収納部43内の上部で、左右方向略中央部には、上部押圧手段である第1の円筒部44が、外周壁41及び端壁42に連続して形成されている。また、収納部43内の左右両側で、高さ方向略中央部には、側面押圧手段である第2の円筒部45が、外周壁41及び端壁42に連続して左右対称に形成されている。また、第2の円筒部45には、潤滑ユニット33をスライダ本体31にねじ固定するためのねじ挿通孔47が設けられている。
なお、ケース40は、鋼、アルミニウムなどの金属材料を、切削加工やプレス加工して製作したものであってもよい。
【0028】
そして、
図5に示すように、潤滑剤供給部材50の第1の凹部53にケース40の第1の円筒部44を嵌め込むと共に、一対の第2の凹部54に、それぞれ第2の円筒部45を嵌め込んで、ケース40の収納部43内に潤滑剤供給部材50を収納する。
【0029】
このように、ケース40は、潤滑剤供給部材50を収納することで、取り扱い中に、潤滑剤供給部材50が損傷するのを防止できる。特に、潤滑剤供給部材50の潤滑剤含浸量が70重量%以上になると、その分、樹脂の量が少なくなり、潤滑剤供給部材50の強度が低下するため、ケース40の使用は有効である。
【0030】
また、
図5(b)に示すように、第1の円筒部44の外径D3(
図8(a)参照)は、第1の凹部53の内幅(左右幅)D1より大きく設定されているので、第1の円筒部44と第1の凹部53とは、片面当たりT1だけ干渉する。即ち、第1の円筒部44は、締め代T1(=(D3-D1)/2)で第1の凹部53に圧入される。円筒部44と凹部53との締め代T1は、0.1~0.5mm程度に設定されている。
【0031】
一方、第2の円筒部45と第2の凹部54とは、下側でのみ締め代T2で干渉し、上側には、隙間T3が形成される。即ち、第2の円筒部45は、締め代T2で、第2の凹部54を下方に押圧する一方、第2の凹部54の上面からは、隙間T3だけ逃げている。このため、本実施形態では、第2の円筒部45の外径D3´(
図8(c)参照)は、第2の凹部54の内幅(上下幅)D1´以下に設定されており、第2の円筒部45は、第2の凹部54に対して、第2の凹部54の内幅D1´と第2の円筒部45の外径D3´との差の1/2より大きく下方にオフセットしている。
図5(b)中、寸法T4は、第2の凹部54の上下方向中間位置と、第2の円筒部45の中心とのオフセット量(T4>(D1´-D3´)/2)を表している。また、円筒部45と凹部54との締め代T2は、0.1~0.5mm程度に設定されている。また、締め代T2と隙間T3とは、T3≧T2であればよく、T3はT2と同じか僅かに大きい程度が好ましい。
例えば、本実施形態の一例として、潤滑剤供給部材50の第1の凹部53には、第1の円筒部44が締め代T1=0.3mmで圧入され、第2の凹部54には、第2の円筒部45が締め代T2=0.2mm、隙間T3=0.2mmで配置される。
【0032】
なお、第1の円筒部44は、第1の凹部53に対して幅方向の押圧力を作用させるが、上下方向への移動は許容され、拘束されない。また、第2の円筒部45は、第2の凹部54に対して下方向の押圧力を作用させるが、幅方向への移動は許容され、拘束されない。
また、本実施形態では、第1の円筒部44及び第2の円筒部45は、ケース40の外周壁41と連続して設けられているため、第1の円筒部44の外径D3及び第2の円筒部45の外径D3´は、それぞれ対向する円弧面によって与えられるものとする。
【0033】
第1の凹部53に第1の円筒部44が締め代T1で圧入されることで、第1の凹部53には、
図7に示すように、第1の凹部53の内幅を広げる方向(矢印A方向)の押圧力が作用し、この結果、
図5(a)に示すように、左右方向中央部が上に凸となるように変形し、それに伴って、左右の袖部55も互いに左右方向に近づくように変形する。
また、第2の円筒部45が締め代T2で第2の凹部54の下面を押圧することで、第2の凹部54の下面には、第2の凹部54の内幅を広げる方向(矢印B方向)の押圧力が作用し、左右の袖部55の下部は、互いに左右方向に近づくように変形する。
【0034】
したがって、第1及び第2の円筒部44、45と、第1及び第2の凹部53、54との干渉によって、潤滑剤供給部材50の上側の突部52は、幅方向(矢印C方向)及び下方(矢印D方向)に変位して、案内レール20のレール側軌道面22を斜め下方に押し付ける。また、潤滑剤供給部材50の下側の突部51は、幅方向(矢印C方向)及び上方(矢印D方向)に変位して、案内レール20のレール側軌道面21を斜め上方に押し付ける。
【0035】
従って、潤滑剤供給部材50の突部51,52により、レール側軌道面21,22へ潤滑剤が確実に供給される。レール側軌道面21,22に対する突部51,52の押圧力は、第1及び第2の凹部53,54と、第1及び第2の円筒部44,45の寸法で調整される。
【0036】
図8に示すように、ケース40において、第1及び第2の円筒部44,45の外径D3、D3´は、第1及び第2の凹部53,54の内幅D1、D1´より大きくなっている。従って、潤滑剤供給部材50をケース40内に収容すると、第1の円筒部44と第1の凹部53との締め代T1は、となり、第2の円筒部45と第2の凹部54との締め代T2は、(D3´-D1´)/2となる。
【0037】
このため、第1の凹部53の平面状の両側面に第1の円筒部44は締め代T1で圧入され、第1の凹部53の接触した部分は、応力を緩和するために潤滑剤を放出し、スライダの幅方向において収縮する。また、第2の凹部54の平面状の下面を第2の円筒部45は締め代T2で押圧するので、第2の凹部54の接触した部分は、応力を緩和するために潤滑剤を放出し、スライダの上下方向において収縮する。したがって、潤滑剤供給部材50は、スライダの上下方向及び幅方向においてケース40に拘束されているので、潤滑剤供給部材50の姿勢を安定することができる。
このため、第1の凹部53の平面状の下面及び第2の凹部54の平面状の側面は、拘束されていないが、第1の凹部53及び第2の凹部54の接触した部分により、潤滑剤供給部材50が収縮した場合でも、潤滑剤供給部材50の姿勢をさらに安定することができる。
【0038】
また、第1の円筒部44には、
図8(a)に示すように、円筒部44の先端側縁部、具体的には、円筒部44の先端側縁部の幅方向2箇所に、角度aの面取り部46が設けられている。このため、円筒部44の先端側縁部の距離D2は、第1の凹部53の内幅D1より小さくなっているので、第1の円筒部44を第1の凹部53に装着しやすい。
【0039】
また、第2の円筒部45にも、
図8(c)に示すように、円筒部45の先端側縁部、具体的には、円筒部45の先端縁部の上下方向2箇所に、角度a´の面取り部46が設けられている。第2の円筒部45の外径D3´は、第2の凹部54の内幅D1´以下に設定されているが、第2の円筒部45の下面と、第2の凹部54との間には締め代T2が発生しているので、面取り部46を設けることで、第2の円筒部45を第2の凹部54に装着しやすい。なお、円筒部45の先端側縁部の距離D2´は、第2の凹部54の内幅D1´より小さくなる。
【0040】
これにより、潤滑剤供給部材50のケース40への装着が容易になる。面取り角度a、a´は、15~45°が好ましく、また、面取り量D3-D2、D3´-D2´は、0.5~2mm程度とするのが好ましい。
本実施形態のケース40では、面取り角度a、a´=30°、面取り量D3-D2、D3´-D2´=1mmとした。
【0041】
また、本実施形態のケース40は、
図5(a)に示すように、円筒形の第1の円筒部44の下面が水平方向に切り欠かれて、平面部48が設けられている。これにより、案内レール20の上面24と第1の円筒部44の下面である平面部48との間の距離が大きくなり、上面24と平面部48との間に配置される潤滑剤供給部材50の幅Sを広くすることができ、潤滑剤供給部材50の強度が向上する。また、潤滑剤の含有量を多くしても、潤滑剤供給部材50の変形や破断の虞が低減し、取り扱いが容易になる。
【0042】
このように構成されたリニアガイド10では、案内レール20上をスライダ30が移動すると、スライダ30内のボールは、転動体循環路内を繰り返し循環移動する。このとき、潤滑剤供給部材50の突部51,52は、案内レール20のレール側軌道面21,22の一部と摺接し、潤滑剤供給部材50が含浸する潤滑剤が滲み出して、レール側軌道面21、22及びボールに自動的に供給する。これにより、リニアガイド10は、長期間に亘って安定した滑らかな作動が行われる。
【0043】
また、リニアガイド10が長期間使用されると、潤滑剤供給部材50に含浸されている潤滑剤が減少し、
図9に示すように、潤滑剤供給部材50の寸法が、図中破線で示す状態から図中実線で示すようにほぼ均等に小さくなる。
【0044】
この寸法変化により、第1の凹部53の幅寸法、及び第2の凹部54の上下寸法も小さくなる。第1の凹部53には第1の円筒部44が圧入されているので、第1の凹部53の幅寸法は変化せず、第1の円筒部44による第1の凹部53の押圧力が増大する。これにより、左右の袖部55は互いに左右方向に近づくようにさらに変形するため、第2の凹部54の上下寸法の収縮と相俟って、第2の凹部54の上面は第2の円筒部45に向かって変位しようとする。ただし、本実施形態では、収縮前に設定された、第2の凹部54の上面と第2の円筒部45との間の隙間T3によって、収縮後も、第2の凹部54の上面と第2の円筒部45との間は、小さな隙間を維持するか、或いは、小さな締め代で押圧され、また、第2の凹部54の下面と第2の円筒部45との間も締め代が確保される。
【0045】
したがって、潤滑剤供給部材50が収縮した場合でも、潤滑剤供給部材50の1/4円弧状の突部52は、案内レール20のレール側軌道面22に接触して、レール側軌道面22を斜め下方に押圧する力を維持する。また、略半円形の突部51は、案内レール20のレール側軌道面21に接触して、レール側軌道面21を斜め上方に押圧する力を維持する。即ち、潤滑剤供給部材50の寸法変化があっても、潤滑剤供給部材50から潤滑剤が長期に渡って安定して供給される。
【0046】
また、潤滑剤供給部材50の寸法が小さくなると、第2の凹部54の隅部54aにも応力が作用するが、隅部54aは曲面形状に形成されているので、該応力集中が緩和される。
【0047】
特に、本実施形態の潤滑剤供給部材50は、潤滑剤の含有量を85重量%と高く設定したので、潤滑剤の減少量、即ち、寸法変化(減少)も大きくなるので、本発明の効果が顕著となる。
【0048】
また、
図10は、レール側軌道面と潤滑剤供給部材の突部との接触状態を示す要部拡大図である。本実施形態の潤滑ユニット33では、レール側軌道面21,22と潤滑剤供給部材50の突部51,52との接触領域を、図中、強調線Fで示す、ボールとの接触部近傍に限定している。具体的には、潤滑剤供給部材50の突部51,52の半径R1を、レール側軌道面21,22の半径R2よりも僅かに小さく、半径R2の95~99%としている。或いは、潤滑剤供給部材50の突部51,52に部分的な突起を設けて、該突起のみをレール側軌道面21,22に接触させるようにしてもよい。
【0049】
これにより、ボールとの接触部近傍以外の部分は、潤滑剤供給部材50との間に、0.1~0.5mm程度の隙間が形成されて接触することがなく、潤滑剤供給部材50との摺動抵抗が低減されて、駆動用モータの消費エネルギを削減できる。また、レール側軌道面21,22との接触部以外の部分は、厳密な寸法管理が不要となるので、潤滑剤供給部材50の製作が容易になる。なお、略半円形のレール側軌道面21の下フランクと、ボールと、の間には数十μmの隙間があり、ボールと接触しないので、この部分も潤滑剤供給部材50の突部51,52と接触しない。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のリニアガイド10によれば、潤滑剤を含浸可能な潤滑剤供給部材50を有し、スライダ30の軸方向の端部に取り付けられた潤滑ユニット33を備える。そして、潤滑剤供給部材50は、案内レール20の上方位置に形成された第1の凹部53と、案内レール20の左右両側面位置に形成された一対の第2の凹部54と、レール側軌道面21,22に摺接可能な突部51,52と、を備える。また、潤滑ユニット33は、第1の凹部53のスライダ30の上下方向への移動を許容し、第1の凹部53をスライダ30の幅方向外方に押圧するように、第1の凹部53内に配置される第1の円筒部44と、一対の第2の凹部54のスライダ30の幅方向への移動を許容し、一対の第2の凹部54をスライダ30の下方向にそれぞれ押圧するように、一対の第2の凹部54内に配置される一対の第2の円筒部45と、を備える。これにより、長期間の使用に伴って含浸した潤滑剤量が少なくなり、潤滑剤供給部材50の寸法が小さくなっても、第1の凹部53が、第1の円筒部44によりスライダ30の幅方向外方に押圧され、また、一対の第2の凹部54が、一対の第2の円筒部45によりスライダ30の下方向にそれぞれ押圧されているので、潤滑剤供給部材50の突部51,52が、レール側軌道面21,22を押し付ける力が確保され、長期間に亘って潤滑剤の供給が維持される。
【0051】
また、潤滑ユニット33は、潤滑剤供給部材50と、潤滑剤供給部材50を収容するケース40と、を備え、第1の円筒部44、及び一対の第2の円筒部45は、ケース40の内部に設けられるので、ケース40と円筒部44,45とを別部品で構成する場合と比較して、部品点数を削減でき、また、潤滑剤供給部材50を保護することができる。
【0052】
また、第1の円筒部44の外径D3は、第1の凹部53の幅D1より大きいので、円筒部44により第1の凹部53を、幅方向に押圧することができる。
また、一対の第2の円筒部45の外径D3´は、一対の第2の凹部54の幅D1´より大きく、第2の円筒部34は、第2の凹部54に対して、第2の凹部54の幅D1´と第2の円筒部45の外径D3´との差の1/2より大きく下方にオフセットしているので、一対の第2の円筒部45により一対の第2の凹部54を、下方向に押圧することができる。
【0053】
また、第1の円筒部44、及び一対の第2の円筒部45の先端側縁部には、面取り部46が設けられているので、第1の円筒部44、及び一対の第2の円筒部45を、容易に第1の凹部53及び一対の第2の凹部54に組み込むことができる。
【0054】
また、潤滑剤供給部材50は、70重量%以上の潤滑剤を含浸するので、長期間に亘って潤滑剤を安定して供給できる。
【0055】
また、第1の円筒部44の下面は、水平方向に切り欠かれた平面部48を有するので、案内レール20の上面24と平面部48との間に配置される潤滑剤供給部材50の幅Sを広くすることができ、潤滑剤供給部材50の強度を向上することができる。
【0056】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態の潤滑ユニットの潤滑剤供給部材及びケースの斜視図、
図12は、潤滑剤供給部材及びケースの分解斜視図である。本実施形態の潤滑ユニット33Aでは、第1実施形態のケース40の代わりに、押圧プレート40Aが用いられている。それ以外の部分は、第1実施形態の潤滑ユニット33と同様であるので、同一部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
【0057】
本実施形態の押圧プレート40Aも、ポリアセタールやポリアミドなどの硬質樹脂を射出成形して製作されており、エンドキャップ32と略同一サイズの略コ字状に形成されている。なお、押圧プレート40Aは、鋼、アルミニウムなどの金属材料を、切削加工やプレス加工して制作したものであってもよい。
【0058】
本実施形態の押圧プレート40Aは、第1実施形態のケース40が備える外周壁41を有しておらず、エンドキャップ32と略同一サイズの略コ字状に形成され板部42Aと、潤滑剤供給部材50の第1及び第2の凹部53,54に対応する位置に、板部42Aから突出形成された上部押圧手段である第1の円筒部44と、側面押圧手段である一対の第2の円筒部45と、から構成されている。
【0059】
潤滑剤供給部材50は、第1及び第2の凹部53,54に、それぞれ第1及び第2の円筒部44,45を嵌め込み、板部42Aに密着させて組み付けられる。本実施形態の潤滑ユニット33Aによると、外周壁41の分だけ潤滑剤供給部材50の体積を増加させることができ、潤滑剤供給部材50は、より多くの潤滑剤を保持できる。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0060】
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、
図13に示す変形例のように、円筒形の第2の円筒部45の幅方向側面が鉛直方向に切り欠かれて、平面部49が設けられてもよい。これにより、案内レール20の側面23と第2の円筒部45の平面部49との間の距離が大きくなり、側面23と平面部49との間に配置される潤滑剤供給部材50の幅Tを広くすることができ、潤滑剤供給部材50の強度がさらに向上する。これにより、潤滑剤の含有量を多くしても、潤滑剤供給部材50の変形や破断の虞が低減し、取り扱いが容易になる。
【0061】
また、
図14に示す他の変形例のように、第1の円筒部44の幅方向両側面に、鉛直方向に沿って切り欠かれた他の平面部44aが形成されてもよく、また、第2の円筒部45の上下方向両側面に、水平方向に沿って切り欠かれた他の平面部45aが形成されてもよい。これにより、潤滑剤供給部材50が収縮した場合でも、潤滑剤供給部材50の姿勢を安定させることができる。
なお、
図13及び
図14に示す構成は、第1及び第2実施形態のいずれにも適用できるものであり、また、両方を組み合わせて適用することもできる。
【符号の説明】
【0062】
10 リニアガイド
20 案内レール
21,22 レール側軌道面
30 スライダ
33,33A 潤滑ユニット
40 ケース
40A 押圧プレート
44 第1の円筒部(上部押圧手段)
45 第2の円筒部(側面押圧手段)
46 面取り部
50 潤滑剤供給部材
51,52 突部
53 第1の凹部
54 第2の凹部
D1、D1´ 内幅(第1の凹部の左右幅、第2の凹部の上下幅)
D3、D3´ 外径