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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】スクロール型圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20240910BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
F04C18/02 311B
F04C29/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021053848
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150993
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】橋本 友次
(72)【発明者】
【氏名】山下 秀晴
(72)【発明者】
【氏名】本田 和也
(72)【発明者】
【氏名】中島 昭洋
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-355736(JP,A)
【文献】国際公開第2018/056152(WO,A1)
【文献】特開2018-013211(JP,A)
【文献】特開2018-013210(JP,A)
【文献】特開2004-293507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0102956(US,A1)
【文献】特開平04-143477(JP,A)
【文献】特開2002-202074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
F04C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
固定スクロールと、
前記固定スクロールに対して公転する旋回スクロールと、
前記固定スクロールと共に前記旋回スクロールを収容する圧縮ハウジングと、
前記圧縮ハウジングと共に前記固定スクロールが有する鍔を挟むように前記圧縮ハウジングの反対側に配置される吐出ハウジングと、
前記鍔と前記圧縮ハウジングとにより挟まれて前記鍔と前記圧縮ハウジングとの間を封止する、板厚を有した枠状のガスケットと、
前記圧縮ハウジング、前記鍔、及び前記吐出ハウジングを貫通し、前記圧縮ハウジング、前記固定スクロール、及び前記吐出ハウジングを前記回転軸の軸線方向に固定する複数のボルトと、を有するスクロール型圧縮機であって、
前記鍔及び前記圧縮ハウジングの各々は、前記ガスケットが接触するガスケット接触面と、前記鍔と前記圧縮ハウジングとを互いに接触させて前記ボルトの軸力を受ける金属接触面と、を有し、
前記鍔及び前記圧縮ハウジングの少なくとも一方は、前記ガスケット接触面よりも前記軸線方向に突出する突出部を有し、当該突出部の前記軸線方向の先端面に前記金属接触面が設けられており、
前記金属接触面は、前記ガスケットの外周縁より外側又は前記ガスケットの内周縁より内側に設けられ、
前記ガスケットは、板厚方向の一面から他面に向けて飛び出すビードを有し、
前記ビードは、前記ボルトの締め付けによって前記鍔の前記ガスケット接触面と前記圧縮ハウジングの前記ガスケット接触面との間において押し潰されることを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項2】
前記圧縮ハウジング、前記固定スクロール、及び前記吐出ハウジングの各々は前記ボルトが挿通されるボルト挿通孔を複数有し、
前記突出部の前記金属接触面に前記ボルト挿通孔が開口している請求項1に記載のスクロール型圧縮機。
【請求項3】
前記ボルト挿通孔は前記ガスケットの外周縁よりも外側に配置されている請求項に記載のスクロール型圧縮機。
【請求項4】
前記固定スクロールと前記吐出ハウジングとの間に挟まれて前記固定スクロールと前記吐出ハウジングとの間を封止する吐出用ガスケットを有し、
前記固定スクロール及び前記吐出ハウジングは、前記吐出用ガスケットが接触する吐出用ガスケット接触面を有し、
前記固定スクロールは、前記吐出用ガスケット接触面よりも前記軸線方向に前記吐出ハウジングに向けて突出する吐出用突出部を有し、当該吐出用突出部には前記吐出ハウジングに接触して、前記ボルトの軸力を受ける吐出用金属接触面が配置されている請求項1~請求項のうちいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のスクロール型圧縮機の外郭は、リアハウジング、フロントハウジング及びモータハウジングがボルトによって結合されて形成されている。リアハウジングには、基板と渦巻部とよりなる固定スクロールが一体的に形成されている。
【0003】
リアハウジングとフロントハウジングで囲まれた空間内には基板と渦巻部とよりなる旋回スクロールとしての可動スクロールが収納されている。可動スクロールの渦巻部は、固定スクロールの渦巻部と噛み合わせた状態とされている。また、可動スクロールの渦巻部の先端面は固定スクロールの基板との間にクリアランスを有するとともに、固定スクロールの渦巻部の先端面は可動スクロールの基板との間にクリアランスを有する。つまり、スクロール型圧縮機は、固定スクロールと可動スクロールとの間にクリアランスを有する。
【0004】
リアハウジングとフロントハウジングの接合面間には、ガスケットシールが介在されている。このガスケットシールは、接合面の形状をした鉄板から形成されている。ガスケットシールのシール面には、連続の突条が設けられている。ガスケットシールの4隅にはリアハウジング、フロントハウジング及びモータハウジングを結合するためのボルトが挿通される孔が複数形成されている。
【0005】
ガスケットシールは、スクロール型圧縮機の組み立てに際して、リアハンジングとフロントハウジングの接合面間に介挿された後、複数のボルトで締め付けられる。この締め付けによって、突条がある程度潰されながら圧着力が保留されることによって、十分な密封作用が発揮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-202074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ボルトの締め付け加減がばらつくと、固定スクロールと旋回スクロールとの間のクリアランスがばらついてしまい、スクロール型圧縮機の性能がばらついてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するためのスクロール型圧縮機は、回転軸と、固定スクロールと、前記固定スクロールに対して公転する旋回スクロールと、前記固定スクロールと共に前記旋回スクロールを収容する圧縮ハウジングと、前記圧縮ハウジングと共に前記固定スクロールが有する鍔を挟むように前記圧縮ハウジングの反対側に配置される吐出ハウジングと、前記鍔と前記圧縮ハウジングとにより挟まれて前記鍔と前記圧縮ハウジングとの間を封止するガスケットと、前記圧縮ハウジング、前記固定スクロール、及び前記吐出ハウジングを前記回転軸の軸線方向に固定する複数のボルトと、を有するスクロール型圧縮機であって、前記鍔及び前記圧縮ハウジングの各々は、前記ガスケットが接触するガスケット接触面と、前記鍔と前記圧縮ハウジングとを互いに接触させて前記ボルトの軸力を受ける金属接触面と、を有し、前記鍔及び前記圧縮ハウジングの少なくとも一方は、前記ガスケット接触面よりも前記軸線方向に突出する突出部を有し、当該突出部に前記金属接触面が配置されていることを要旨とする。
【0009】
これによれば、複数のボルトによる締め付けによって、固定スクロールと圧縮ハウジングとは互いに近付いた状態で固定されている。鍔のガスケット接触面と圧縮ハウジングのガスケット接触面との間に配置されたガスケットは、両方のガスケット接触面に接触しつつ、ある程度潰されている。
【0010】
鍔のガスケット接触面と圧縮ハウジングのガスケット接触面とは、少なくとも一方のガスケット接触面から突出する突出部によって軸線方向へ離れている。ガスケット接触面からの突出部の突出量は一定であるため、ガスケット接触面間の距離も一定になる。そして、各ボルトの軸力は、金属接触面が受けるため、軸力がばらついても、ガスケット接触面間の距離は一定に維持される。その結果、固定スクロールと旋回スクロールとのクリアランスは一定に維持されるため、スクロール型圧縮機の性能のばらつきを抑制できる。
【0011】
スクロール型圧縮機について、前記圧縮ハウジング、前記固定スクロール、及び前記吐出ハウジングの各々は前記ボルトが挿通されるボルト挿通孔を複数有し、前記突出部の前記金属接触面に前記ボルト挿通孔が開口していてもよい。
【0012】
これによれば、突出部の金属接触面を、ボルト挿通孔の周囲に形成できる。ボルト挿通孔は、圧縮ハウジング、固定スクロール、及び吐出ハウジングをボルトによって固定するときに必要な箇所であり、スクロール型圧縮機に既存の構成である。この既存の構成を有効利用して突出部及び金属接触面を設けたため、スクロール型圧縮機の大型化を抑制しながら、スクロール型圧縮機の性能のばらつきを抑制できる。
【0013】
スクロール型圧縮機について、前記ボルト挿通孔は前記ガスケットの外周縁よりも外側に配置されていてもよい。
これによれば、ボルト挿通孔の気密性を確保する必要がないため、スクロール型圧縮機の部品点数が増加しない。
【0014】
スクロール型圧縮機について、前記固定スクロールと前記吐出ハウジングとの間に挟まれて前記固定スクロールと前記吐出ハウジングとの間を封止する吐出用ガスケットを有し、前記固定スクロール及び前記吐出ハウジングは、前記吐出用ガスケットが接触する吐出用ガスケット接触面を有し、前記固定スクロールは、前記吐出用ガスケット接触面よりも前記軸線方向に前記吐出ハウジングに向けて突出する吐出用突出部を有し、当該吐出用突出部には前記吐出ハウジングに接触して、前記ボルトの軸力を受ける吐出用金属接触面が配置されていてもよい。
【0015】
これによれば、吐出ハウジングをボルトによって固定するため、吐出ハウジングにもボルトの軸力が作用する。このとき、吐出用金属接触面によってボルトの軸力を受けることができるため、ボルトの軸力による吐出ハウジングの変形を抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、性能のばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態のスクロール型圧縮機を示す断面図。
図2】鍔及びガスケットを示す図。
図3】ガスケットを示す部分拡大断面図。
図4】鍔及び吐出用ガスケットを示す図。
図5】鍔、ガスケット、及び室形成周壁部を示す斜視図。
図6】(a)はガスケット及び吐出用ガスケットを挟み込んだ状態を示す断面図、(b)はガスケット及び吐出用ガスケットの拡大図。
図7】ガスケット及び吐出用ガスケットを挟み込む前の状態を示す断面図。
図8】別例を示す断面図。
図9】別例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、スクロール型圧縮機を具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。本実施形態のスクロール型圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
図1に示すように、スクロール型圧縮機10は、四角筒状のハウジング11と、ハウジング11内に収容される回転軸12と、回転軸12を回転させる電動モータ20と、回転軸12の回転によって駆動する圧縮機構40と、を有する。
【0019】
ハウジング11は、モータハウジング13と、圧縮ハウジング15と、吐出ハウジング24と、固定スクロール41の鍔42aと、インバータカバー36と、から構成される。モータハウジング13と、圧縮ハウジング15と、吐出ハウジング24と、固定スクロール41の鍔42aとは、複数本のボルト38によって固定されている。
【0020】
スクロール型圧縮機10は、圧縮ハウジング15と鍔42aとの間に挟まれたガスケット35と、吐出ハウジング24と鍔42aとの間に挟まれた吐出用ガスケット61と、を有する。
【0021】
モータハウジング13は、板状の端壁13aと、端壁13aの外周縁から四角筒状に延在する周壁13bと、周壁13bに設けられた吸入ポート13cと、端壁13aに設けられたボス部13dとを有する。周壁13bの軸線方向は、回転軸12の軸線方向に一致する。
【0022】
吸入ポート13cは、流体としての冷媒をハウジング11の内部に吸入するために設けられている。吸入ポート13cは、周壁13bに配置されている。ボス部13dは、端壁13aの内面からハウジング11内に向けて円筒状に飛び出している。周壁13bの先端面は、圧縮ハウジング15に接触している。周壁13bの四隅には第1ボルト挿通孔13eが設けられている。各第1ボルト挿通孔13eは、周壁13bの先端面から凹設されている。モータハウジング13の第1ボルト挿通孔13eは雌ねじを有する。
【0023】
圧縮ハウジング15は、周壁13bの先端面と固定スクロール41の鍔42aとの間に挟まれている。圧縮ハウジング15は、円筒状の軸支部16と、軸支部16の外周面から径方向に延びるフランジ17と、フランジ17の外周縁から四角筒状に延びる室形成周壁部18とを有する。
【0024】
軸支部16は、中央部に小径孔16aと、小径孔16aより大径の大径孔16bと、を有する。小径孔16aは、大径孔16bよりも端壁13a寄りに配置されている。
圧縮ハウジング15は、大径孔16bが開口する軸支部16の端面に対向面15aを有する。圧縮ハウジング15は、対向面15aから突出する自転阻止ピン15bを4本有する。自転阻止ピン15bは、大径孔16bの周囲に等間隔おきに配置されている。
【0025】
図2及び図5の2点鎖線に示すように、回転軸12の軸線方向から圧縮ハウジング15を見て、室形成周壁部18の内面は円形状であるとともに、室形成周壁部18の外面は四角形状である。この室形成周壁部18の先端面18aは、鍔42aのガスケット接触面70と共にガスケット35を挟む。ガスケット35は、鍔42aと圧縮ハウジング15とにより挟まれて鍔42aと圧縮ハウジング15との間を封止する。また、室形成周壁部18の四隅には、先端面18aに開口する第2ボルト挿通孔18bが形成されている。第2ボルト挿通孔18bは、室形成周壁部18を貫通する。
【0026】
ガスケット35は、無端枠状である。ガスケット35は、四角形の四隅が凹む形状である。ガスケット35は第1ビード35aを有する。第1ビード35aは、ガスケット35の板厚方向の一面から他面に向けて飛び出す突条である。第1ビード35aは、ガスケット35の全周に亘って設けられた無端状である。
【0027】
図3に示すように、ガスケット35は第2ビード35bを有する。第2ビード35bは、ガスケット35の板厚方向の一面から他面に向けて飛び出す円筒状である。ガスケット35の板厚方向の一面から他面に向けた第2ビード35bの飛び出し量は、第1ビード35aの飛び出し量より少ない。図3では、第1ビード35aと第2ビード35bの飛び出し量を分かりやすくするため、補助線Hを記載している。
【0028】
図1に示すように、モータハウジング13と圧縮ハウジング15は、ハウジング11内にモータ室23を画成する。したがって、スクロール型圧縮機10はモータ室23を有する。電動モータ20は、モータ室23に収容されている。ハウジング11の内部であるモータ室23内には、図示しない外部冷媒回路から吸入ポート13cを経由して冷媒が吸入される。したがって、モータ室23は吸入圧領域である。
【0029】
電動モータ20は、ステータ21と、ステータ21の内側に配置されるロータ22と、を有する。ロータ22は、回転軸12と一体に回転する。ステータ21は、ロータ22を取り囲んでいる。
【0030】
回転軸12の軸線方向の第1端部は、ボス部13d内に挿入されている。ボス部13dの内周面と回転軸12の第1端部の周面との間には、軸受14が設けられている。回転軸12の第1端部は、軸受14を介してモータハウジング13に支持されている。
【0031】
回転軸12の第2端部は、小径孔16a及び大径孔16bに挿入されている。回転軸12の第2端部の端面12aは、軸支部16の内側に位置している。回転軸12の第2端部の周面と、小径孔16aでの圧縮ハウジング15の内周面との間には軸受19が設けられている。回転軸12は、軸受19を介して圧縮ハウジング15に回転可能に支持されている。
【0032】
吐出ハウジング24は、室形成凹部25と、油分離室26と、吐出ポート27と、排出孔28と、を有する。
図4及び図5の2点鎖線に示すように、回転軸12の軸線方向から吐出ハウジング24を見て、吐出ハウジング24の内面は円形状であるとともに、吐出ハウジング24の外面は四角形状である。吐出ハウジング24は、鍔42a側の端面24aを有する。端面24aは、鍔42aの吐出用ガスケット接触面74とともに吐出用ガスケット61を挟み込む。吐出用ガスケット61は、固定スクロール41と吐出ハウジング24との間に挟まれて固定スクロール41と吐出ハウジング24との間を封止する。また、吐出ハウジング24の四隅には、端面24aに開口する第3ボルト挿通孔24bが形成されている。第3ボルト挿通孔24bは、吐出ハウジング24を貫通する。
【0033】
吐出用ガスケット61は、無端枠状である。吐出用ガスケット61は、四角形の四隅が凹む形状である。吐出用ガスケット61は第1ビード61aを有する。第1ビード61aは、吐出用ガスケット61の板厚方向の一面から他面に向けて飛び出す突条である。第1ビード61aは、吐出用ガスケット61の全周に亘って設けられた無端状である。
【0034】
吐出用ガスケット61は第2ビード61bを有する。第2ビード61bは、吐出用ガスケット61の板厚方向の一面から他面に向けて飛び出す円筒状である。吐出用ガスケット61の板厚方向の一面から他面に向けた第2ビード61bの飛び出し量は、第1ビード61aの飛び出し量より少ない。
【0035】
図1に示すように、室形成凹部25は、吐出ハウジング24の端面24aから凹む。室形成凹部25と固定基板42とによって囲まれた空間に吐出室30が画成されている。したがって、スクロール型圧縮機10は吐出室30を有する。
【0036】
吐出ポート27は図示しない外部冷媒回路と接続されている。油分離室26は、吐出ポート27に接続されている。油分離室26には、油分離筒31が設けられている。排出孔28は、吐出室30と油分離室26とを接続する。
【0037】
インバータカバー36は、モータハウジング13の端壁13aに取り付けられている。インバータカバー36とモータハウジング13の端壁13aとによって画成された空間にはインバータ装置37が収容されている。スクロール型圧縮機10は、インバータ装置37を有する。このインバータ装置37は、電動モータ20を駆動させる。
【0038】
圧縮機構40は、前記した固定スクロール41と、固定スクロール41に対向配置された旋回スクロール51と、を有する。固定スクロール41及び旋回スクロール51は、圧縮ハウジング15の軸支部16を間に挟んでモータ室23とは反対側に配置されている。
【0039】
固定スクロール41は、前記した鍔42aを有する固定基板42と、固定基板42から起立する固定渦巻壁43と、固定外周壁44と、吐出孔45と、を有する。したがって、固定スクロール41は鍔42aを有する。
【0040】
図2及び図4に示すように、固定基板42は四角板状である。鍔42aは、固定基板42の外周部位であって、固定基板42のうち、固定渦巻壁43及び固定外周壁44よりも外周側の部位である。言い換えると、鍔42aは、固定基板42のうち、室形成周壁部18の先端面18aに対向する部位である。鍔42aの四隅には、第4ボルト挿通孔42bが形成されている。第4ボルト挿通孔42bは、鍔42aを板厚方向に貫通する。吐出孔45は、固定基板42の中央に配置されている。吐出孔45は、円孔状である。また、吐出孔45は、固定基板42を板厚方向に貫通している。固定基板42における旋回スクロール51とは反対側の端面には、吐出孔45を開閉する吐出弁機構45aが取り付けられている。
【0041】
鍔42aは、圧縮ハウジング15の室形成周壁部18の先端面18aと、吐出ハウジング24の端面24aによって挟まれている。したがって、吐出ハウジング24は、圧縮ハウジング15と共に固定スクロール41が有する鍔42aを挟むように圧縮ハウジング15の反対側に配置されている。
【0042】
図1に示すように、吐出ハウジング24の第3ボルト挿通孔24bと、鍔42aの第4ボルト挿通孔42bと、室形成周壁部18の第2ボルト挿通孔18bと、周壁13bの第1ボルト挿通孔13eにはボルト38が挿通されている。ボルト38は第1ボルト挿通孔13eの雌ねじに螺子込まれている。その結果、吐出ハウジング24と、吐出用ガスケット61と、固定スクロール41と、ガスケット35と、圧縮ハウジング15と、モータハウジング13とが回転軸12の軸線方向に互いに接触して固定されている。したがって、スクロール型圧縮機10は、圧縮ハウジング15、鍔42a、及び吐出ハウジング24を回転軸12の軸線方向に固定する複数のボルト38を有する。
【0043】
ハウジング11内において、固定スクロール41と、圧縮ハウジング15の軸支部16と、室形成周壁部18との間に収容室Sが画成されている。この収容室Sに旋回スクロール51が旋回可能に収容されている。したがって、圧縮ハウジング15は、固定スクロール41と共に旋回スクロール51を収容する。
【0044】
固定渦巻壁43は、固定基板42から旋回スクロール51に向けて起立している。固定外周壁44は、固定基板42の外周部から円筒状に起立している。固定外周壁44は、固定渦巻壁43を囲繞している。固定外周壁44には図示しない導入凹部が形成されている。
【0045】
旋回スクロール51は、旋回基板52と、旋回渦巻壁53と、ボス部54と、4つの凹部55と、を有する。
旋回基板52は、円板状である。旋回基板52は、固定基板42に対向している。旋回渦巻壁53は、旋回基板52から固定基板42に向けて起立している。旋回渦巻壁53は、固定渦巻壁43と噛み合っている。旋回渦巻壁53は、固定外周壁44の内側に位置している。固定渦巻壁43の先端面と旋回基板52との間にクリアランスが確保されているとともに、旋回渦巻壁53の先端面と固定基板42との間にはクリアランスが確保されている。したがって、スクロール型圧縮機10は、固定スクロール41と旋回スクロール51との間に、回転軸12の軸線方向へのクリアランスを有する。固定渦巻壁43と旋回渦巻壁53との噛み合いによって複数の圧縮室46が画成されている。
【0046】
図1に示すように、ボス部54は、旋回基板52における固定基板42とは反対側から円筒状に飛び出している。ボス部54の軸線方向は、回転軸12の軸線方向に一致している。
【0047】
4つの凹部55は、旋回基板52におけるボス部54の周囲に配置されている。4つの凹部55は、回転軸12の周方向に等間隔おきに配置されている。各凹部55の内側には環状のリング部材55aが装着されている。リング部材55aの外周面は、凹部55の内周面に接触している。各凹部55のリング部材55aの内側には、圧縮ハウジング15から突出した自転阻止ピン15bが挿入されている。
【0048】
回転軸12の端面12aには偏心軸47が配置されている。偏心軸47は回転軸12の軸線L1に対して偏心した位置から旋回スクロール51に向けて突出する。偏心軸47の軸線方向は、回転軸12の軸線方向に一致している。偏心軸47は、ボス部54内に挿入されている。偏心軸47の外周面にはブッシュ49が嵌合されている。ブッシュ49にはバランスウェイト48が一体化されている。バランスウェイト48は、圧縮ハウジング15の大径孔16b内に収容されている。旋回スクロール51は、ブッシュ49及び軸受50を介して偏心軸47と相対回転可能に偏心軸47に支持されている。
【0049】
スクロール型圧縮機10は、油分離室26と、大径孔16bとを繋ぐ油供給通路39を備える。油供給通路39は、第1端が油分離室26に接続されるとともに、第2端が大径孔16bに接続されている。油供給通路39は、吐出ハウジング24、吐出用ガスケット61の第2ビード61b、鍔42a、ガスケット35の第2ビード35b及び圧縮ハウジング15を通っている。
【0050】
上記構成のスクロール型圧縮機10では、回転軸12の回転は、偏心軸47、ブッシュ49、及び軸受50を介して旋回スクロール51に伝達される。このとき、各自転阻止ピン15bと各リング部材55aの内周面とが接触することにより、旋回スクロール51の自転が阻止されて、旋回スクロール51は固定スクロール41に対して公転する。これにより、旋回スクロール51は、旋回渦巻壁53が固定渦巻壁43に接触しながら公転し、圧縮室46の容積が減少する。本実施形態では、自転阻止ピン15bとリング部材55aを含む凹部55とから自転阻止機構が構成されている。
【0051】
そして、吸入ポート13cを通じてモータ室23に吸入された冷媒は、圧縮ハウジング15の外周側及び固定スクロール41の導入凹部を経由して圧縮室46における最外周部分に吸入される。圧縮室46における最外周部分に吸入された冷媒は、旋回スクロール51の公転により圧縮室46内で圧縮される。
【0052】
圧縮室46で圧縮された冷媒は、吐出孔45から吐出弁機構45aを経て吐出室30へ吐出される。吐出室30へ吐出された冷媒は、排出孔28を通って油分離室26へ排出される。油分離室26へ排出された冷媒に含まれる潤滑油は、油分離筒31により冷媒から分離される。
【0053】
潤滑油の分離された冷媒が油分離筒31内に流入し、吐出ポート27から外部冷媒回路へ吐出される。外部冷媒回路に吐出された冷媒は、吸入ポート13cを経てモータ室23へ還流する。一方で、油分離筒31により冷媒から分離された潤滑油は、油分離室26から油供給通路39を経由して大径孔16b内に供給される。
【0054】
次に、ガスケット35及び吐出用ガスケット61を挟み込む構造について説明する。なお、図5は、固定基板42及び鍔42aのみを示すため、固定渦巻壁43、固定外周壁44、及び吐出弁機構45aの図示を省略している。
【0055】
図2図5図6(a)及び図6(b)に示すように、鍔42aは、ガスケット接触面70と、突出部71と、突出部71に配置された金属接触面72と、を有する。
ガスケット接触面70は、圧縮ハウジング15の先端面18aと共にガスケット35を挟む面である。このため、ガスケット接触面70には、ガスケット35が接触するといえる。鍔42aのガスケット接触面70は、鍔42aの厚み方向の両面のうち、旋回基板52に対向する面である。ガスケット接触面70は、鍔42aの四隅を除いて設けられている。
【0056】
突出部71は、鍔42aの四隅から室形成周壁部18に向けて柱状に突出する。鍔42aを板厚方向から見た場合、隣り合う突出部71間の距離は全て同じである。このため、四つの突出部71は等間隔おきに鍔42aに配置されている。
【0057】
各突出部71には第4ボルト挿通孔42bが開口している。つまり、突出部71の金属接触面72に第4ボルト挿通孔42bが開口している。金属接触面72は、突出部71の先端面において、第4ボルト挿通孔42bを囲むように設けられている。各金属接触面72は平坦面である。ガスケット接触面70から金属接触面72までの寸法Mは、四つの金属接触面72で同じである。つまり、四つの金属接触面72は全てガスケット接触面70から同じ距離離れた位置にある。
【0058】
図7に、ボルト38によって固定スクロール41と圧縮ハウジング15を固定する前の状態を示す。つまり、金属接触面72が先端面18aに接触する前の状態である。寸法Mは挟み込まれる前のガスケット35の厚さより小さい。
【0059】
図6(b)に示すように、鍔42aの各金属接触面72は、室形成周壁部18の先端面18aに接触している。金属接触面72と先端面18aとの接触により、ガスケット接触面70と先端面18aとは回転軸12の軸線方向に離れている。ガスケット35は、ガスケット接触面70と先端面18aとの間に挟まれている。したがって、室形成周壁部18の先端面18aのうち、金属接触面72との接触箇所は、鍔42aに対する金属接触面であり、それ以外はガスケット接触面である。よって、鍔42a及び圧縮ハウジング15の各々は、ガスケット35が接触するガスケット接触面と、鍔42aと圧縮ハウジング15とを互いに接触させる金属接触面と、を有する。また、鍔42aは、ガスケット接触面70よりも、回転軸12の軸線方向に突出する突出部71を有するとともに、この突出部71に金属接触面72が配置されている。
【0060】
ガスケット35の第1ビード35aは、ガスケット接触面70に接触している。ガスケット35は、第1ビード35aがある程度の押し潰し量で潰されるように挟まれている。ガスケット35の第2ビード35bは、油供給通路39を囲む状態でガスケット接触面70に接触している。鍔42aの第4ボルト挿通孔42bは、ガスケット35の外周縁よりも外側に配置されている。
【0061】
図4図5図6(a)及び図6(b)に示すように、固定スクロール41は、板厚方向の吐出ハウジング24側に吐出用ガスケット接触面74と、吐出用突出部75と、吐出用突出部75に配置された吐出用金属接触面76と、を有する。
【0062】
吐出用突出部75は、鍔42aの四隅から吐出ハウジング24に向けて柱状に突出する。つまり、固定スクロール41は、吐出用ガスケット接触面74よりも、回転軸12の軸線方向に沿って吐出ハウジング24に向けて突出する吐出用突出部75を有する。固定スクロール41は、吐出用突出部75に吐出用金属接触面76を有する。鍔42aを板厚方向から見た場合、隣り合う吐出用突出部75間の距離は全て同じである。このため、四つの吐出用突出部75は等間隔おきに鍔42aに配置されている。
【0063】
各吐出用突出部75には第4ボルト挿通孔42bが開口している。つまり、第4ボルト挿通孔42bは、吐出用突出部75の吐出用金属接触面76に開口している。吐出用金属接触面76は、吐出用突出部75の先端面において、第4ボルト挿通孔42bを囲むように設けられている。吐出用金属接触面76は平坦面である。吐出用ガスケット接触面74から吐出用金属接触面76までの寸法Mは、四つの吐出用金属接触面76で同じである。つまり、四つの吐出用金属接触面76は全て吐出用ガスケット接触面74から同じ距離離れた位置にある。
【0064】
図7に示すように、寸法Mは挟み込まれる前の吐出用ガスケット61の厚さより小さい。
図6(b)に示すように、鍔42aの各吐出用金属接触面76は、吐出ハウジング24の端面24aに接触している。吐出用金属接触面76と端面24aとの接触により、吐出用ガスケット接触面74と端面24aとは回転軸12の軸線方向に離れている。吐出用ガスケット61は、吐出用ガスケット接触面74と端面24aとの間に挟まれている。したがって、吐出ハウジング24の端面24aのうち、吐出用金属接触面76との接触箇所は、鍔42aに対する金属接触面であり、それ以外は吐出用ガスケット接触面74である。
【0065】
吐出用ガスケット61の第1ビード61aは、吐出用ガスケット接触面74に向けて突出している。吐出用ガスケット61は、第1ビード61aがある程度の押し潰し量で潰されるように挟み込まれている。吐出用ガスケット61の第2ビード61bは、油供給通路39を囲む状態で吐出用ガスケット接触面74に接触している。
【0066】
上記実施形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)複数のボルト38による締め付けによって、鍔42aと圧縮ハウジング15の室形成周壁部18とは互いに近付いた状態で固定されている。ガスケット接触面70と室形成周壁部18の先端面18aとの間に配置されたガスケット35は、ガスケット接触面70と先端面18aに接触しつつ、ある程度潰されている。ガスケット接触面70と先端面18aとは、突出部71によって回転軸12の軸線方向へ一定距離離れている。そして、各ボルト38の軸力は、金属接触面72及び先端面18aが受けるため、軸力がばらついても、ガスケット接触面70と先端面18aとの距離は一定に維持される。その結果、固定渦巻壁43の先端面と旋回基板52とのクリアランスと、旋回渦巻壁53の先端面と固定基板42とのクリアランス、つまり固定スクロール41と旋回スクロール51のクリアランスは一定に維持される。このため、スクロール型圧縮機10の性能のばらつきを抑制できる。
【0067】
(2)吐出ハウジング24と、鍔42aと、圧縮ハウジング15を貫通したボルト38は、モータハウジング13に螺子込まれている。このため、吐出ハウジング24、鍔42a、圧縮ハウジング15、及びモータハウジング13は、回転軸12の軸線方向に互いに押し付け合って固定されている。よって、ハウジング11の振動を抑制できる。このようなハウジング11では、ボルト38の軸力のばらつきが発生しやすい。しかし、鍔42aに突出部71を設け、金属接触面72を室形成周壁部18の先端面18aに接触させることで、ボルト38の軸力のばらつきを原因としたスクロール型圧縮機10の性能の低下を抑制できる。したがって、スクロール型圧縮機10は、振動を抑制しつつ、性能の低下を抑制できる。
【0068】
(3)突出部71は、鍔42aの四隅に等間隔おきに配置されている。このため、四つの金属接触面72によってガスケット接触面70と先端面18aとの間隔を全体に亘って一定に維持しやすい。このため、ガスケット35を全周に亘って一定に押し潰すことができる。
【0069】
(4)突出部71を鍔42aのガスケット接触面70から突出させた。鍔42aは四角板状であるため、筒状の室形成周壁部18に比べて加工がしやすく、突出部71を形成しやすい。
【0070】
(5)金属接触面72を第4ボルト挿通孔42bの周囲に設けた。このため、金属接触面72によって、ボルト38の軸力を受けやすい。
(6)突出部71の金属接触面72を第4ボルト挿通孔42bの周囲に形成した。第4ボルト挿通孔42bは、圧縮ハウジング15、鍔42a、モータハウジング13、及び吐出ハウジング24をボルト38によって固定するときに必要な箇所であり、スクロール型圧縮機10に既存の構成である。この既存の構成を有効利用して突出部71及び金属接触面72を設けたため、スクロール型圧縮機10の大型化を抑制しながら性能のばらつきを抑制できる。
【0071】
(7)第4ボルト挿通孔42bはガスケット35の外周縁よりも外側に配置されている。このため、第4ボルト挿通孔42bの気密性を確保する必要がないため、スクロール型圧縮機10の部品点数の増加がない。
【0072】
(8)吐出ハウジング24と鍔42aとの間に吐出用ガスケット61を挟み込んだ。鍔42aに、吐出用ガスケット接触面74から吐出ハウジング24に向けて突出して、ボルト38の軸力を受ける吐出用突出部75を設けた。そして、吐出用突出部75に、吐出ハウジング24の端面24aに接触する吐出用金属接触面76を設けた。吐出ハウジング24はボルト38によって固定されるため、吐出ハウジング24にもボルト38の軸力が作用する。このとき、吐出用金属接触面76がボルト38の軸力を受けるため、ボルト38の軸力による吐出ハウジング24の変形を抑制できる。
【0073】
(9)突出部71及び金属接触面72は、鍔42aの四隅に設けられている。突出部71及び金属接触面72を、ガスケット35全体を外周側から囲むように設ける場合と比べると、突出部71及び金属接触面72の機能を損なうことなく鍔42aの小型化を図ることができる。
【0074】
(10)スクロール型圧縮機10の性能のばらつきを抑制する突出部71及び金属接触面72と、吐出ハウジング24の変形を抑制する吐出用突出部75及び吐出用金属接触面76を鍔42aに設けた。固定スクロール41の鍔42aを加工するだけで、スクロール型圧縮機10の性能のばらつきを抑制する効果と、吐出ハウジング24の変形を抑制する効果を発揮させることができる。
【0075】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図8に示すように、室形成周壁部18の先端面18aの四隅から鍔42aに向けて突出する突出部77を設けてもよい。そして、室形成周壁部18の先端面18aにガスケット接触面78を設けるとともに、突出部77に金属接触面79を設ける。この場合、鍔42aには突出部71は形成されず、鍔42aの四隅において、室形成周壁部18から突出する突出部77の金属接触面79が接触する箇所が金属接触面42cとなる。また、鍔42aにおいて、金属接触面42c以外がガスケット接触面42dとなる。
【0076】
図9に示すように、鍔42aに突出部71及び金属接触面72を設けるとともに、室形成周壁部18の先端面18aにも突出部77と、ガスケット接触面78と、金属接触面79を設けてもよい。
【0077】
そして、鍔42aのガスケット接触面70と、室形成周壁部18のガスケット接触面78との間にガスケット35を挟み込む。また、鍔42aの金属接触面72と、室形成周壁部18の金属接触面79とを接触させる。
【0078】
○ 鍔42aの吐出用突出部75及び吐出用金属接触面76は無くてもよい。
○ 鍔42aの第4ボルト挿通孔42bは、鍔42aのうちガスケット35の内周縁よりも内側に設けられていてもよい。この場合、第4ボルト挿通孔42bの周囲は、Oリングやガスケット35の一部に設けたハーフビードによって気密性が確保される。
【0079】
○ 突出部71及び金属接触面72を設ける位置を変更してもよい。その一例として、突出部71をガスケット35の内周縁より内側に設けてもよい。この場合、第4ボルト挿通孔42bの周囲は、ガスケット接触面70と同じ面上に位置する。
【0080】
○ 突出部71は、ガスケット35を囲む環状であってもよい。この場合、金属接触面72もガスケット35を囲む環状になる。
○ ガスケット35の全周に亘って延びるビードを第1ビード35a以外に備えていてもよい。
【0081】
○ ガスケット35は、第1ビード35aが鍔42aのガスケット接触面70に接触するように配置されたが、第1ビード35aが室形成周壁部18の先端面18aに接触するように配置されてもよい。
【0082】
○ 吐出用ガスケット61は、第1ビード61aが鍔42aのガスケット接触面70に接触するように配置されたが、第1ビード61aが吐出ハウジング24の端面24aに接触するように配置されてもよい。
【0083】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記ハウジングは、吐出圧領域と収容室とを接続する油供給通路を有し、前記ガスケットは前記油供給通路の気密性を確保するハーフビードを有する。
【符号の説明】
【0084】
10…スクロール型圧縮機、12…回転軸、15…圧縮ハウジング、18a…ガスケット接触面及び金属接触面を含む先端面、18b…第2ボルト挿通孔、24…吐出ハウジング、24a…吐出用ガスケット接触面としての端面、24b…第3ボルト挿通孔、35…ガスケット、38…ボルト、41…固定スクロール、42a…鍔、42b…第4ボルト挿通孔、42c…金属接触面、42d…ガスケット接触面、51…旋回スクロール、61…吐出用ガスケット、70…ガスケット接触面、71…突出部、72…金属接触面、74…吐出用ガスケット接触面、75…吐出用突出部、76…吐出用金属接触面、77…突出部、78…ガスケット接触面、79…金属接触面。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
図9