(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】施工支援システムおよび施工支援方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240910BHJP
E02F 3/43 20060101ALI20240910BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F3/43 C
E02F9/26 B
(21)【出願番号】P 2021079728
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2024-03-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高木 徳雄
(72)【発明者】
【氏名】関口 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】酒井 満
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09824490(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0011609(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0133128(US,A1)
【文献】国際公開第2019/124549(WO,A1)
【文献】特開2001-317941(JP,A)
【文献】特表2020-509272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00 - 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械による施工対象領域における地中の埋設物の空間占有態様を認識する埋設物認識要素と、
前記埋設物認識要素により認識された前記埋設物の空間占有態様に基づき、前記埋設物の上方から覆うように地中に延在している第1基準閉曲面を認識する第1基準面認識要素と、
前記施工対象領域の地表から下方に離間し、かつ、前記第1基準閉曲面から水平方向に離間して地中に延在している第2基準閉曲面を認識する第2基準面認識要素と、
前記第1基準閉曲面および前記第2基準閉曲面が複合された結果としての、前記作業機械による前記施工対象領域の施工を支援するための施工支援情報を生成する施工支援情報生成要素と、
を備えている施工支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、前記第1基準面認識要素により認識された、
隣り合う前記第1基準閉曲面が複合された結果としての、連続性を有する単一の第1基準閉曲面を認識することにより前記施工支援情報を生成する
施工支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、前記第1基準閉曲面の
隣り合う方向と、前記作業機械または当該作業機械を構成する作業機構の前記施工対象領域における動作方向と、のなす角度に応じて、曲率の変化態様が異なる前記単一の第1基準閉曲面を認識することにより前記施工支援情報を生成する
施工支援システム。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、
隣り合う前記第1基準閉曲面および前記第2基準閉曲面が複合された結果としての、連続性を有する単一の複合基準閉曲面を認識することにより前記施工支援情報を生成する
施工支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、前記第1基準閉曲面および前記第2基準閉曲面の
隣り合う方向と、前記作業機械または当該作業機械を構成する作業機構の前記施工対象領域における動作方向と、のなす角度に応じて、曲率の変化態様が異なる前記複合基準閉曲面を認識することにより前記施工支援情報を生成する
施工支援システム。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、前記施工支援情報を制御装置に送信することにより、前記制御装置に前記作業機械の動作を制御させる
施工支援システム。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項に記載の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、前記施工支援情報またはこれに応じた施工支援画像を操作装置に送信することにより、前記操作装置を構成する出力インターフェースに前記施工支援画像を出力させる
施工支援システム。
【請求項8】
作業機械による施工対象領域における地中の埋設物の空間占有態様を認識する埋設物認識過程と、
前記埋設物認識過程において認識された前記埋設物の空間占有態様に基づき、前記埋設物の上方から覆うように地中に延在している第1基準閉曲面を認識する第1基準面認識過程と、
前記施工対象領域の地表から下方に離間し、かつ、前記第1基準閉曲面から水平方向に離間して地中に延在している第2基準閉曲面を認識する第2基準面認識過程と、
前記第1基準閉曲面および前記第2基準閉曲面が複合された結果としての、前記作業機械による前記施工対象領域の施工を支援するための施工支援情報を生成する施工支援情報生成過程と、
を含んでいる施工支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械によって地中を掘削中に、地中の埋設物を誤って損傷することを防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス管、水道管、電力ケーブル、通信ケーブルなどの地中の埋設物に標識体を設置することを必要とせずに、掘削作業車によって地中を掘削中に、当該埋設物を誤って損傷することを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、地上座標系における地中の埋設物の位置データと、車体座標系における作業車の特定部位の計測座標データが地上座標系の座標データに変換された結果と、に基づき、埋設物と特定部位との離間距離が求められる。そして、当該離間距離が設定距離以下になった場合に、特定部位の接触による埋設物の損傷を回避させるための特定動作が実行される。
【0003】
同じく、掘削作業機によって地中を掘削中に、地中の埋設物を誤って損傷することを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、作業機の3次元位置情報に応じて埋設物情報が検索され、作業機から所定の範囲内に埋設物が存在する場合、作業機の3次元位置情報が計算される。そして、この3次元位置情報と埋設物情報とをもとに作業機から所定範囲内に埋設物が存在すると判定された場合、作業機の稼動が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-096811号公報
【文献】特開2008-216143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、地中に埋設物が存在する領域のみならず埋設物が存在しない周辺領域も作業機械による施工対象であるにもかかわらず、埋設物が存在しない領域に関する施工情報が不足または欠如している状況では、当該作業機械による施工効率が低下する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、地中に埋設物が存在する領域およびその周辺領域を対象とした作業機械による施工を支援することができるシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の施工支援システムは、
作業機械による施工対象領域における地中の埋設物の空間占有態様を認識する埋設物認識要素と、
前記埋設物認識要素により認識された前記埋設物の空間占有態様に基づき、前記埋設物の上方から覆うように地中に延在している第1基準閉曲面を認識する第1基準面認識要素と、
前記施工対象領域の地表から下方に離間し、かつ、前記第1基準閉曲面から水平方向に離間して地中に延在している第2基準閉曲面を認識する第2基準面認識要素と、
前記第1基準閉曲面および前記第2基準閉曲面が複合された結果としての、前記作業機械による前記施工対象領域の施工を支援するための施工支援情報を生成する施工支援情報生成要素と、
を備えている。
【0008】
当該構成の施工支援システムによれば、施工対象領域における作業機械と埋設物との干渉を回避する必要がある第1施工対象領域(第1基準閉曲面(例:地中埋設物の上方に離間する閉平面)に対応する領域)と、作業機械による埋設物との干渉可能性がないものの地表を基準とした施工が必要である第2施工対象領域(第2基準閉曲面(例:地中埋設物の下面と同一平面上にある、当該埋設物の脇にある閉平面)に対応する領域)との相対配置態様または混在態様が総合勘案された形で施工支援情報が生成される。このため、当該施工支援情報が当該作業機械による施工に利用されることにより、施工対象領域における第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に鑑みて作業機械による適当な施工が可能になる。「閉曲面」とは、閉曲線により囲まれた平面および曲面を包含する概念である。
【0009】
本発明の構成要素が情報(またはデータ)を「認識する」とは、当該情報を受信、読み取りまたは検索等により取得すること、基礎となるデータまたは信号に対して演算処理を実行することにより当該情報を決定、測定、同定、推定、予測等することなど、当該情報を後続の演算処理の実行に際して利用可能な形態で準備するあらゆる処理を包含する概念である。
【0010】
前記構成の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、前記第1基準面認識要素により認識された、隣り合う前記第1基準閉曲面が複合された結果としての、連続性を有する単一の第1基準閉曲面を認識することにより前記施工支援情報を生成する
ことが好ましい。
【0011】
当該構成の施工支援システムによれば、隣り合う第1基準閉曲面が複合される際に、当該第1基準閉曲面の間隙に存在する地中空間が補間されることにより、当該間隙における施工基準が定義または明確化された形で施工支援情報が生成される。このため、当該施工支援情報が作業機械による施工に利用されることにより、第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に鑑みて作業機械による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【0012】
前記構成の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、前記第1基準閉曲面の隣り合う方向と、前記作業機械または当該作業機械を構成する作業機構の前記施工対象領域における動作方向と、のなす角度に応じて、曲率の変化態様が異なる前記単一の第1基準閉曲面を認識することにより前記施工支援情報を生成する
ことが好ましい。
【0013】
当該構成の施工支援システムによれば、隣り合う第1基準閉曲面に対応する隣り合う第1施工対象領域の相対配置態様に加えて、作業機械または作業機構の動作特性が勘案された形で施工支援情報が生成される。このため、当該施工支援情報が利用されることにより、第1施工対象領域および第2 施工対象領域の相対配置態様または混在態様に加えて、作業機械または作業機構の動作特性に鑑みて、当該作業機械による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【0014】
前記構成の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、隣り合う前記第1基準閉曲面および前記第2基準閉曲面が複合された結果としての、連続性を有する単一の複合基準閉曲面を認識することにより前記施工支援情報を生成する
ことが好ましい。
【0015】
当該構成の施工支援システムによれば、隣り合う第1基準閉曲面および第2基準閉曲面が複合される際に、当該第1基準閉曲面および当該第2基準閉曲面の間隙に存在する地中空間が補間されることにより、当該間隙における施工基準が定義または明確化された形で施工支援情報が生成される。このため、当該施工支援情報が作業機械による施工に利用されることにより、第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に鑑みて作業機械による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【0016】
前記構成の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、前記第1基準閉曲面および前記第2基準閉曲面の隣り合う方向と、前記作業機械または当該作業機械を構成する作業機構の前記施工対象領域における動作方向と、のなす角度に応じて、曲率の変化態様が異なる前記複合基準閉曲面を認識することにより前記施工支援情報を生成する
ことが好ましい。
【0017】
当該構成の施工支援システムによれば、隣り合う第1基準閉曲面および第2基準閉曲面のそれぞれに対応する隣り合う第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様に加えて、作業機械または作業機構の動作特性が勘案された形で施工支援情報が生成される。このため、当該施工支援情報が利用されることにより、第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に加えて、作業機械または作業機構の動作特性に鑑みて、当該作業機械による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【0018】
前記構成の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、前記施工支援情報を制御装置に送信することにより、前記制御装置に前記作業機械の動作を制御させる
ことが好ましい。
【0019】
当該構成の施工支援システムによれば、施工支援情報が制御装置による作業機械の動作の制御に利用されることにより、(当該制御に要する演算処理負荷の軽減を図りながら、)第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に鑑みて作業機械による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【0020】
前記構成の施工支援システムにおいて、
前記施工支援情報生成要素が、前記施工支援情報またはこれに応じた施工支援画像を操作装置(実機操作装置・遠隔操作装置)に送信することにより、前記操作装置を構成する出力インターフェースに前記施工支援画像を出力させる
ことが好ましい。
【0021】
当該構成の施工支援システムによれば、施工支援情報に応じた施工支援画像が操作装置を構成する出力インターフェースに出力されることにより、オペレータによる当該操作装置を通じた作業機械の操作が支援される。これにより、(当該施工支援画像の出力制御に要する演算処理負荷の軽減を図りながら、)第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に鑑みて作業機械による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】施工支援システム(施工支援システム)の機能に関する説明図。
【
図6B】第1および第2基準閉曲面の認識処理に関する説明図。
【
図6C】複合基準閉曲面の認識処理に関する説明図。
【
図7】作業機械による施工支援情報を用いた施工例に関する説明図。
【
図8】複合された基準閉曲面の認識処理の他の実施形態に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(施工支援システムの構成)
図1に示されている施工支援システムは、遠隔操作装置20および作業機械40のそれぞれと相互にネットワーク通信可能に構成されている施工支援サーバ10により構成されている。施工支援システムが、施工支援サーバ10と、遠隔操作装置20および/または作業機械40と、により構成されていてもよい。施工支援サーバ10および遠隔操作装置20の相互通信ネットワークと、施工支援サーバ10および作業機械40の相互通信ネットワークと、は同一であってもよく相違していてもよい。
【0024】
(施工支援サーバの構成)
施工支援サーバ10は、データベース102と、埋設物認識要素120と、第1基準面認識要素121と、第2基準面認識要素122と、施工支援情報生成要素124と、を備えている。データベース102は、撮像画像データのほか、施工対象領域のそれぞれの地中の埋設物の空間占有態様等を記憶保持する。データベース102は、施工支援サーバ10とは別個のデータベースサーバにより構成されていてもよい。施工支援サーバ10の各構成要素は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった後述の演算処理を実行する。
【0025】
(遠隔操作装置の構成)
遠隔操作装置20は、遠隔制御装置200と、遠隔入力インターフェース210と、遠隔出力インターフェース220と、を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0026】
遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211を備えている。遠隔出力インターフェース220は、遠隔画像出力装置221と、遠隔音響出力装置222と、遠隔無線通信機器224と、を備えている。
【0027】
遠隔操作機構211には、走行用操作装置と、旋回用操作装置と、ブーム用操作装置と、アーム用操作装置と、バケット用操作装置と、が含まれている。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械40の下部走行体410を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械40の旋回機構430を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械40のブームシリンダ442を動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械40のアームシリンダ444を動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械40のバケットシリンダ446を動かすために操作される。
【0028】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、
図2に示されているように、オペレータが着座するためのシートStの周囲に配置されている。シートStは、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態であるが、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、オペレータが着座できる任意の形態の着座部であってもよい。
【0029】
シートStの前方に左右のクローラに応じた左右走行レバー2110が左右横並びに配置されている。一つの操作レバーが複数の操作レバーを兼ねていてもよい。例えば、
図2に示されているシートStの左側フレームの前方に設けられている左側操作レバー2111が、前後方向に操作された場合にアームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合に旋回レバーとして機能してもよい。同様に、
図2に示されているシートStの右側フレームの前方に設けられている右側操作レバー2112が、前後方向に操作された場合にブームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合にバケットレバーとして機能してもよい。レバーパターンは、オペレータの操作指示によって任意に変更されてもよい。
【0030】
遠隔画像出力装置221は、例えば
図2に示されているように、シートStの前方、左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置された略矩形状の画面を有する中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212により構成されている。中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面(画像表示領域)の形状およびサイズは同じであってもよく相違していてもよい。遠隔画像出力装置221は、単一の湾曲したまたは湾曲可能な画像出力装置、シートStの前方を囲むように配置される2つまたは4つ以上の画像出力装置により構成されていてもよい。
【0031】
図2に示されているように、中央遠隔画像出力装置2210の画面および左側遠隔画像出力装置2211の画面が傾斜角度θ1(例えば、120°≦θ1≦150°)をなすように、左側遠隔画像出力装置2211の右縁が、中央遠隔画像出力装置2210の左縁に隣接している。
図2に示されているように、中央遠隔画像出力装置2210の画面および右側遠隔画像出力装置2212の画面が傾斜角度θ2(例えば、120°≦θ2≦150°)をなすように、右側遠隔画像出力装置2212の左縁が、中央遠隔画像出力装置2210の右縁に隣接している。当該傾斜角度θ1およびθ2は同じであっても相違していてもよい。
【0032】
中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面は、鉛直方向に対して平行であってもよく、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のうち少なくとも1つの画像出力装置が、複数に分割された画像出力装置により構成されていてもよい。例えば、中央遠隔画像出力装置2210が、略矩形状の画面を有する上下に隣接する画像出力装置により構成されていてもよい。
【0033】
遠隔音響出力装置222は、一または複数のスピーカーにより構成され、例えば
図2に示されているように、シートStの後方、左アームレスト後部および右アームレスト後部のそれぞれに配置された中央音響出力装置2220、左側音響出力装置2221および右側音響出力装置2222により構成されている。中央音響出力装置2220、左側音響出力装置2221および右側音響出力装置2222のそれぞれの仕様は同じであってもよく相違していてもよい。
【0034】
(作業機械の構成)
作業機械40は、実機制御装置400と、実機入力インターフェース41と、実機出力インターフェース42と、作業機構440と、を備えている。実機制御装置400の構成要素のそれぞれは、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0035】
作業機械40は、例えばクローラショベル(建設機械)であり、
図3に示されているように、クローラ式の下部走行体410と、下部走行体410に旋回機構430を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体420と、を備えている。上部旋回体420の前方左側部にはキャブ424(運転室)が設けられている。上部旋回体420の前方中央部には作業機構440が設けられている。
【0036】
実機入力インターフェース41は、実機操作機構411と、実機撮像装置412と、測位装置414と、を備えている。実機操作機構411は、キャブ424の内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ424に設けられている。実機撮像装置412は、例えばキャブ424の内部に設置され、フロントウィンドウおよび左右サイドウィンドウ越しに作業機構440の少なくとも一部を含む環境を撮像する。フロントウィンドウおよびサイドウィンドウのうち一部または全部が省略されていてもよい。測位装置414は、GPSおよび必要に応じてジャイロセンサ等により構成されている。
【0037】
実機出力インターフェース42は、実機無線通信機器422を備えている。
【0038】
図3に示されているように、作業機構としての作業アタッチメント440は、上部旋回体420に起伏可能に装着されているブーム441と、ブーム441の先端に回動可能に連結されているアーム443と、アーム443の先端に回動可能に連結されているバケット445と、を備えている。作業機構440には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ442、アームシリンダ444およびバケットシリンダ446が装着されている。
【0039】
ブームシリンダ442は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム441を起伏方向に回動させるように当該ブーム441と上部旋回体420との間に介在する。アームシリンダ444は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム443をブーム441に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム443と当該ブーム441との間に介在する。バケットシリンダ446は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット445をアーム443に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット445と当該アーム443との間に介在する。
【0040】
(機能)
前記構成の施工支援システムおよび撮像機能制御システムの機能について
図4に示されているフローチャートを用いて説明する。当該フローチャートにおいて「C●」というブロックは、記載の簡略のために用いられ、データの送信および/または受信を意味し、当該データの送信および/または受信を条件として分岐方向の処理が実行される条件分岐を意味している。
【0041】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により、遠隔無線通信機器224を通じて、施工支援サーバ10に対して地上状況確認要求が送信される(
図4/STEP210)。オペレータにより遠隔入力インターフェース210を通じた第1指定操作の有無が判定され、当該判定結果が肯定的である場合に地上状況確認要求が送信されてもよい。「第1指定操作」は、例えば、オペレータが遠隔操作を意図する作業機械40を指定するための遠隔入力インターフェース210におけるタップなどの操作である。
【0042】
施工支援サーバ10において、地上状況確認要求が受信された場合、第1基準面認識要素121により当該地上状況確認要求が該当する作業機械40に対して送信される(
図4/C10)。
【0043】
作業機械40において、実機無線通信機器422を通じて地上状況確認要求が受信された場合(
図4/C40)、実機制御装置400が実機撮像装置412を通じて撮像画像を取得され、かつ、実機無線通信機器422を通じて、当該画像処理が施された撮像画像データが遠隔操作装置10に対して送信される(
図4/STEP410)。
【0044】
施工支援サーバ10において、第1基準面認識要素121により撮像画像データが受信された場合(
図4/C11)、第2基準面認識要素122により撮像画像に応じた環境画像データが遠隔操作装置20に対して送信される(
図4/STEP110)。環境画像データは、撮像画像データそのもののほか、撮像画像に基づいて生成された模擬的な環境画像を表わす画像データである。
【0045】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器224を通じて環境画像データが受信された場合(
図4/C21)、遠隔制御装置200により、環境画像データに応じた環境画像が遠隔画像出力装置221に出力される(
図4/STEP212)。
【0046】
これにより、例えば、
図5に示されているように、キャブ424を画定する窓枠を通じて、キャブ424の前方において、作業機構440の一部であるブーム441、アーム443および施工対象領域における(バケット445による作業対象である)瓦礫または土砂の山が映り込んでいる環境画像が遠隔画像出力装置221に出力される。
【0047】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により、遠隔無線通信機器224を通じて、施工支援サーバ10に対して地中状況確認要求が送信される(
図4/STEP220)。オペレータにより遠隔入力インターフェース210を通じた第2指定操作の有無が判定され、当該判定結果が肯定的である場合に地中状況確認要求が送信されてもよい。「第2指定操作」は、例えば、オペレータが遠隔操作を意図する作業機械40を指定するための遠隔入力インターフェース210におけるタップなどの操作である。第2指定操作は、第1指定操作と同一の操作であってもよいし異なる操作であってもよい。
【0048】
施工支援サーバ10において、地中状況確認要求が受信された場合(
図4/C20)、埋設物認識要素120により、当該地中状況確認要求に係る施工対象領域における地中の埋設物の空間占有態様が認識される(
図4/STEP120)。これにより、例えば、
図6Aに示されているように、上下方向に重ならずに水平方向に離間し、略同じ地中深さ位置で延在する2つの円管状の埋設物E1およびE2の地中における空間占有態様が認識される。
【0049】
施工対象領域は、例えばその境界を表わす世界座標系の座標値(X(経度),Y(緯度))の集合により特定される。施工対象領域は、施工支援サーバ10と遠隔操作装置20またはその操作対象である作業機械40との通信に基づき、例えば、遠隔操作装置20および/または作業機械40を識別するための識別子に基づき、データベース102が検索されることにより認識される。埋設物の空間占有態様は、例えばその外表面を表わす世界座標系の座標値(X(経度),Y(緯度),Z(海抜高さまたは地表からの距離))の集合により特定される。地中の埋設物の空間占有態は、例えば、地中探査機により測定され、当該測定結果がデーベース102にあらかじめ登録されている。地中の埋設物の空間占有態は、例えば、施工対象領域に基づき、データベース102が検索されることにより認識される。
【0050】
続いて、埋設物認識要素120により認識された埋設物の空間占有態様に基づき、第1基準面認識要素121により、当該埋設物の上方から覆うように地中に延在している第1基準閉曲面が認識される(
図4/STEP121)。
【0051】
これにより、例えば、
図6Bに示されているように、地中の埋設物E1およびE2のそれぞれの上端から上方に第1指定距離d1だけ離間した深さ位置で地中において延在する第1基準閉曲面S11およびS12が認識される。第1指定領域d1は、データベース102に記憶保持されている施工対象領域における施工計画により定義されていてもよい。
【0052】
第1基準閉曲面S11、S12は、Bezier(ベジエ)曲面および/またはNURBS(非一様有理Bスプライン)曲面などの複数の制御点により定義される曲面として定義されていてもよい。当該曲面は連続性(G1連続性、G2連続性またはG3連続性)を有する曲面として定義されていてもよい。例えば、第1基準閉曲面S11、S12がベジエ三角形曲面によって定義される場合、ベジエ三角形曲面の制御ネットの定義域が水平面に張られた三角形メッシュにより定義され、地中の埋設物E1、E2の上端から上方に第1指定距離d1だけ離間した点が制御点とされたうえで、三角パッチの連続性が確保されるように第1基準閉曲面S11、S12が定義される。
【0053】
さらに、施工対象領域の地表から下方に離間し、かつ、第1基準面認識要素121により認識された第1基準閉曲面から水平方向に離間して(上下方向に重ならず)地中に延在している第2基準閉曲面が第2基準面認識要素122により認識される(
図4/STEP122)。
【0054】
これにより、例えば、
図6Bに示されているように、地表から下方に第2指定距離d2だけ離間した深さ位置で地中において延在する第2基準閉曲面S21およびS22が認識される。第2指定距離d2は、データベース102に記憶保持されている施工対象領域における施工計画により定義されていてもよい。第2指定距離d2は、埋設物E1、E2の下端と同じ深さ位置に第2基準閉曲面S21、S22が認識されるように定義されていてもよい。
【0055】
第2基準閉曲面S21、S22は、第1基準閉曲面S11、S12と同様に、Bezier(ベジエ)曲面および/またはNURBS(非一様有理Bスプライン)曲面などの複数の制御点により定義される曲面として定義されていてもよい。当該曲面は連続性(G1連続性、G2連続性またはG3連続性)を有する曲面として定義されていてもよい。例えば、第2基準閉曲面S21、S22がベジエ三角形曲面によって定義される場合、ベジエ三角形曲面の制御ネットの定義域が水平面に張られた三角形メッシュにより定義され、地表から下方に第2指定距離d2だけ離間した点が制御点とされたうえで、三角パッチの連続性が確保されるように第2基準閉曲面S21、S22が定義される。
【0056】
そして、施工支援情報生成要素124により、第1基準閉曲面および前記第2基準閉曲面が複合された結果としての施工支援情報が生成され、かつ、遠隔操作装置20に対して送信される(
図4/STEP124)。
【0057】
これにより、例えば、
図6Cに示されているように、第1基準閉曲面S11、S12および第1基準閉曲面S21、S22に基づいて単一の複合基準閉曲面CSが定義され、当該単一の複合基準閉曲面の延在態様を表わす情報またはデータが施工支援情報として生成される。具体的には、隣接する第1基準閉曲面S11およびS12が、補間曲面S00により連続的に接続または複合されることにより単一の新たな第1基準閉曲面として定義される。また、当該新たな第1基準閉曲面(=S11+S00+S12)およびこれに隣接する第2基準閉曲面S21、S22が、補間曲面S01、S02により連続的に接続または複合されることにより単一の複合基準閉曲面CSとして定義される。補間曲面S00、S01およびS02は、Bezier曲面および/またはNURBS曲面などの複数の制御点により定義される曲面として定義されていてもよい。
【0058】
第1基準閉曲面S11およびこれに隣接する第2基準閉曲面S21が、補間曲面S01により連続的に接続されることにより第1複合基準閉曲面が定義され、第1基準閉曲面S12およびこれに隣接する第2基準閉曲面S22が、補間曲面S02により連続的に接続されることにより第2複合基準閉曲面が定義され、第1複合基準閉曲面(S11+S01+S21)および第2複合基準閉曲面(S12+S02+S22)が、補間曲面S00により連続的に接続または複合されることにより単一の複合基準閉曲面CSが定義されてもよい。
【0059】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器224を通じて施工支援情報が受信された場合(
図4/C22)、遠隔制御装置200により、施工支援情報に応じた施工支援画像が遠隔画像出力装置221に出力される(
図4/STEP222)。
【0060】
これにより、例えば、
図5に示されているように、施工対象領域における複合基準閉曲面CSの延在態様を表わす施工支援画像が、環境画像に重畳された形で遠隔画像出力装置221に出力される。施工支援情報により表わされる複合基準閉曲面CSの延在態様が世界座標系で定義されているので、複合基準閉曲面CSの延在態様が環境画像座標系に座標変換される。この座標変換のため、作業機械40の世界座標系における座標値がGPS等を用いて測定され、実機撮像装置412の実機座標系(上部旋回体420に対して位置および姿勢が固定された座標系)が、遠隔制御装置200を構成する記憶装置および/またはデータベース102に記憶保持されていてもよい。オペレータは、遠隔画像出力装置221に出力された環境画像およびこれに重畳された施工支援画像を見ながら、バケット445を動かすように遠隔操作機構211を構成する操作レバーを操作することができる。
【0061】
そのほか、
図7に示されているように、作業機械40、埋設物E1、E2および複合基準閉曲面CSのそれぞれの空間占有態様を表わす3次元モデル画像が施工支援画像として遠隔画像出力装置221に出力されてもよい。施工支援情報により表わされる複合基準閉曲面CSの延在態様が世界座標系で定義されているので、作業機械40の世界座標系における座標値がGPS等を用いて測定され、遠隔制御装置200を構成する記憶装置および/またはデータベース102に記憶保持されていてもよい。
【0062】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により遠隔操作機構211の操作態様が認識され、かつ、遠隔無線通信機器224を通じて、当該操作態様に応じた遠隔操作指令が遠隔操作支援サーバ10に対して送信される(
図4/STEP220)。
【0063】
遠隔操作支援サーバ10において、第2支援処理要素122により当該遠隔操作指令が受信された場合、第1支援処理要素121により、当該遠隔操作指令が作業機械40に対して送信される(
図4/C14)。
【0064】
作業機械40において、実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて操作指令が受信された場合(
図4/C44)、作業機構440等の動作が制御される(
図4/STEP414)。例えば、バケット445により作業機械40の前方の施工対象領域の土を掘り起こしてすくい、上部旋回体410を旋回させたうえで施工対象領域の外にバケット445から土を落とす作業が実行される。
【0065】
(作用効果)
当該構成の施工支援システムによれば、施工対象領域における作業機械40と埋設物E1、E2との干渉を回避する必要がある第1施工対象領域(第1基準閉曲面S11、S12に対応する領域)と、作業機械40による埋設物との干渉可能性がないものの地表を基準とした施工が必要である第2施工対象領域(第2基準閉曲面E21、E22に対応する領域)との相対配置態様または混在態様が総合勘案された形で施工支援情報が生成される(
図6A、
図6Bおよび
図6C参照)。このため、当該施工支援情報が当該作業機械40による施工に利用されることにより、施工対象領域における第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に鑑みて作業機械40による適当な施工が可能になる(
図5および
図7参照)。
【0066】
複数の埋設物E1、E2のそれぞれに対応する、隣接する第1基準閉曲面S11、S12が複合された結果としての、連続性(G1、G2またはG3連続性)を有する単一の新たな第1基準閉曲面(=S11+S00+S12)が認識される(
図6C参照)。
【0067】
当該構成の採用により、隣接する第1基準閉曲面S11およびS12が複合される際に、当該第1基準閉曲面S11およびS12の間隙に存在する地中空間が補間曲面S00によって補間されることにより、当該間隙における施工基準が定義または明確化された形で施工支援情報が生成される。このため、当該施工支援情報が作業機械による施工に利用されることにより、第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に鑑みて作業機械40による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【0068】
隣接する第1基準閉曲面S11(もしくはS12または(S11+S00+S12))および第2基準閉曲面S21(もしくはS22またはS21およびS22)が複合された結果としての、連続性(G1、G2またはG3連続性)を有する単一の複合基準閉曲面CSが認識されたうえで施工支援情報が生成される(
図6C参照)。
【0069】
当該構成の採用により、隣接する第1基準閉曲面S11(もしくはS12、または(S11+S00+S12))および第2基準閉曲面S21(もしくはS22、またはS21およびS22)が複合される際に、第1基準閉曲面および第2基準閉曲面の間隙に存在する地中空間が補間曲面S01(もしくはS02、またはS01およびS02)によって補間されることにより、当該間隙における施工基準が定義または明確化された形で施工支援情報が生成される。このため、当該施工支援情報が作業機械による施工に利用されることにより、第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に鑑みて作業機械40による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【0070】
(本発明の他の実施形態)
前記実施形態では、施工支援システムが施工支援サーバ10により構成されていたが、他の実施形態として遠隔操作装置20および/または作業機械40により構成されていてもよい。すなわち、埋設物認識要素120、第1基準面認識要素121、第2基準面認識要素122および/または施工支援情報生成要素124が、遠隔制御装置200および/または実機制御装置400により構成されていてもよい。
【0071】
前記実施形態では、第1基準閉曲面および第2基準閉曲面が複合された複合基準閉曲面CSが認識されることにより施工支援情報が生成されたが(
図6C参照)、他の実施形態として、複合基準閉曲面CSの認識処理が省略され、第1基準閉曲面および第2基準閉曲面のそれぞれの空間占有態様のみに応じた施工支援情報が生成されてもよい。前記実施形態では、隣接する少なくとも2つの第1基準閉曲面S11、S12が複合された結果としての単一の新たな第1基準閉曲面(=S11+S00+S12)が認識されたが(
図6C参照)、他の実施形態として当該単一の新たな第1基準閉曲面の認識処理が省略されてもよい。
【0072】
前記実施形態では、オペレータによる遠隔操作装置20を構成する遠隔操作機構211の操作を通じて作業機械40の動作が制御されていたが、他の実施形態としてキャブ424に搭乗したオペレータによる実機操作機構411の操作を通じて作業機械40の動作が制御されてもよい。この場合、施工支援サーバ10から施工支援情報が該当する作業機械40に送信され(
図4/STEP122参照)、実機出力インターフェース42を構成する、キャブ424の内部に配置された実機画像出力装置に施工支援画像が出力されてもよい(
図5および
図7参照)。また、遠隔操作装置20が省略されてもよい。
【0073】
施工支援情報生成要素124が、施工支援情報を作業機械40または実機制御装置400に送信することにより、当該実機制御装置に作業機械40の動作を制御させてもよい。第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に鑑みて、動作が自動制御される作業機械40による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【0074】
施工支援情報生成要素124が、少なくとも2つの第1基準閉曲面の隣接方向と、作業機械40の作業機構440またはバゲット445の施工対象領域における動作方向と、のなす角度θに応じて、曲率の変化態様が異なる新たな第1基準閉曲面を認識することにより施工支援情報を生成してもよい。
【0075】
例えば、
図8に示されているように、施工対象領域のx-z平面に平行な地中断面において、複数の埋設物E1~E5のそれぞれに対応する複数の第1基準閉曲面S11~S15が認識された状況について考える。この状況で、作業機構440の施工対象領域における動作方向(バケット445を動かす方向)がx方向である場合(θ=0°である場合)、
図8に一点鎖線で示されているようにx方向について曲率変化(累積値)が比較的小さい単一の第1基準閉曲面CCS1が認識される。その一方、この状況で、作業機構440の施工対象領域における動作方向がy方向である場合(θ=90°である場合)、
図8に二点鎖線で示されているようにx方向について曲率変化(累積値)が比較的大きい単一の第1基準閉曲面CCS2が認識される。この実施例では、単一の第1基準閉曲面の曲率変化の累積値がθ(0°≦θ≦90°)の増加関数になるように、当該単一の第1基準閉曲面が定義されている。当該θの関数として、増加関数のほか、減少関数または増減する関数が採用されてもよい。
【0076】
当該構成の施工支援システムによれば、隣接する第1基準閉曲面S11~S15に対応する隣接する第1施工対象領域の相対配置態様に加えて、作業機械40または作業機構440の動作特性が勘案された形で施工支援情報が生成される。このため、当該施工支援情報が利用されることにより、第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に加えて、作業機械40または作業機構440の動作特性に鑑みて、当該作業機械40による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【0077】
施工支援情報生成要素124が、第1基準閉曲面および第2基準閉曲面の隣接方向と、作業機械40の施工対象領域における動作方向と、のなす角度に応じて、曲率の変化態様が異なる複合基準閉曲面を認識することにより施工支援情報を生成してもよい。
【0078】
当該構成の施工支援システムによれば、隣接する第1基準閉曲面および第2基準閉曲面のそれぞれに対応する隣接する第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様に加えて、作業機械40または作業機構440の動作特性が勘案された形で施工支援情報が生成される。このため、当該施工支援情報が利用されることにより、第1施工対象領域および第2施工対象領域の相対配置態様または混在態様に加えて、作業機械40または作業機構440の動作特性に鑑みて、当該作業機械40による適当なまたは効率的な施工が可能になる。
【符号の説明】
【0079】
10‥施工支援サーバ、20‥遠隔操作装置、40‥作業機械、102‥データベース、120‥埋設物認識要素、121‥第1基準面認識要素、122‥第2基準面認識要素、124‥施工支援情報生成要素、200‥遠隔制御装置、210‥遠隔入力インターフェース、211‥遠隔操作機構、220‥遠隔出力インターフェース、221‥遠隔画像出力装置、222‥遠隔音響出力装置、400‥実機制御装置、410‥実機入力インターフェース、420‥実機出力インターフェース、424‥キャブ(運転室)、440‥作業機構、445‥バケット(作業部)、CS‥複合基準閉曲面、E1、E2‥埋設物、S00、S01、S02‥補間曲面、S11、S12‥第1基準閉曲面、S21、S22‥第2基準閉曲面。