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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20240910BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B60H1/00 103Z
B60H1/00 102H
B60H1/00 103L
B60H1/00 103D
F02D29/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021080433
(22)【出願日】2021-05-11
(65)【公開番号】P2022174554
(43)【公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 功司
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳司
(72)【発明者】
【氏名】松島 仁
(72)【発明者】
【氏名】小林 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】宅島 皇
(72)【発明者】
【氏名】尾原 光俊
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-186962(JP,A)
【文献】特開平04-356214(JP,A)
【文献】特開2009-255917(JP,A)
【文献】特開2009-208619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00-3/06
F02D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に向けて空気を流通させる空調ケーシング(11)と、
前記空調ケーシング内に配置され、走行用エンジン(81)の冷却水を熱源として空気流を加熱する加熱用熱交換器(14)と、を備え、
前記空調ケーシングには、前記加熱用熱交換器をバイパスして前記車室内に向けて空気を流通させるバイパス流路(17)が設けられている車両用空調装置であって、
前記空調ケーシングのうち前記加熱用熱交換器を通過する風量を第1風量とし、前記空調ケーシングのうち前記バイパス流路を流れる風量を第2風量とし、前記第1風量と前記第2風量とを加算した風量を第3風量とした場合において、前記空調ケーシングに対して変位が自在に支持されて、前記第3風量のうち前記第1風量が占める比率を前記変位によって調整するエアミックスドア(15)と、
使用者から前記エアミックスドアを変位させるための操作を受ける操作部(41)と、
前記操作部が前記使用者から前記操作を受ける際に前記操作部が前記使用者から受けた操作力を前記エアミックスドアに伝達して前記エアミックスドアを前記変位させる伝達機構(41a、41b)と、
前記エアミックスドアの位置を検出するドア位置検出部(32)と、
前記ドア位置検出部によって検出される前記エアミックスドアの位置に基づいて、前記車室内の暖房性能を確保するために前記走行用エンジンをオンさせることを要求するエンジンオン要求信号を出力する制御部(30a)と、を備え、
前記制御部は、前記ドア位置検出部の検出位置に基づいて前記比率が第1閾値(h1)よりも大きく、かつ前記第1閾値よりも大きい第2閾値(h2)よりも小さいと判定した場合において、前記制御部は、前記冷却水の温度を検出する水温センサ(34)の検出温度に基づいて、前記冷却水の温度が第1基準値(TW1ON)よりも低いと判定したとき、前記エンジンオン要求信号を出力し、
前記第1基準値よりも大きい基準値を第2基準値(TW1OFF)とした場合において、
前記制御部は、前記ドア位置検出部の検出位置に基づいて前記比率が前記第1閾値よりも大きく、かつ前記第2閾値よりも小さいと判定した場合に、前記水温センサの検出温度に基づいて前記冷却水の温度が前記第2基準値よりも高いと判定したとき、前記エンジンオン要求信号を出力することを停止し、
前記第2基準値よりも大きい基準値を第3基準値(TW2ON)とした場合において、
前記制御部は、前記ドア位置検出部の検出位置に基づいて前記比率が前記第2閾値以上であると判定し、かつ前記水温センサの検出温度に基づいて前記冷却水の温度が前記第3基準値よりも低いと判定したとき、前記エンジンオン要求信号を出力する車両用空調装置。
【請求項2】
前記第1基準値は、車室外の空気温度が高くなるほど、小さくなるように設定されている請求項に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記第3基準値は、前記車室外の空気温度が高くなるほど、小さくなるように設定されている請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記第3基準値よりも大きい基準値を第4基準値(TW2OFF)とした場合において、
前記制御部は、前記ドア位置検出部の検出位置に基づいて前記比率が前記第2閾値以上であると判定し、かつ前記水温センサの検出温度に基づいて前記冷却水の温度が前記第4基準値よりも高いと判定したとき、前記エンジンオン要求信号を出力することを停止する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記ドア位置検出部は、前記使用者から操作された前記操作部の操作状態を検出することにより、前記エアミックスドアの位置を検出する請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、ハイブリット自動車に適用される車両用空調装置では、車両の停車時等に走行用エンジンを停止させて燃料の単位容量あたりの走行距離を長くすることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-283829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の車両用空調装置では、車両の停車時等に走行用エンジンを停止させるため、燃料の単位容量あたりの走行距離を長くすることができる。しかし、エンジンの冷却水を熱源として利用して車室内の暖房を行う。このため、走行用エンジンの停止によって冷却水温度が低下して必要な暖房効果が得られなくなる。
【0005】
そこで、暖房効果と燃料の単位容量あたりの走行距離の確保とを両立するため、車両用空調装置の目標吹き出し温度TAOに応じて、エアミックスドアによってマックスホットモードに設定する制御や送風機による送風量を低下させる制御を持つ車両用空調装置が考えられる。マックスホットモードは、エアミックスドアによって加熱用熱交換器の空気入口を全開して、かつバイパス通路の空気入口を全閉するモードである。
【0006】
しかし、エアミックスドアの開度や送風機の送風量を使用者による操作部へのマニュアル操作によって調整するメカマニュアルの室内空調ユニットを備える車両用空調装置の場合に、エアミックスドアの開度や送風機の風量を自動的に制御することができない。
【0007】
このため、必要な暖房効果を得るためには、空調風の温度コントロール用に常に冷却水の温度を高い温度に維持する必要がある。したがって、走行用エンジンをオンさせるオン時間が増えて、燃料の単位容量あたりの走行距離が短くなる問題が生じている。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、エアミックスドアの位置に基づいて、車室内の暖房性能を確保するために走行用エンジンをオンさせることを要求するエンジンオン要求信号を出力する車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内に向けて空気を流通させる空調ケーシング(11)と、
空調ケーシング内に配置され、走行用エンジン(81)の冷却水を熱源として空気流を加熱する加熱用熱交換器(14)と、を備え、
空調ケーシングには、加熱用熱交換器をバイパスして車室内に向けて空気を流通させるバイパス流路(17)が設けられている車両用空調装置であって、
空調ケーシングのうち加熱用熱交換器を通過する風量を第1風量とし、空調ケーシングのうちバイパス流路を流れる風量を第2風量とし、第1風量と第2風量とを加算した風量を第3風量とした場合において、空調ケーシングに対して変位が自在に支持されて、第3風量のうち第1風量が占める比率を変位によって調整するエアミックスドア(15)と、
使用者からエアミックスドアを変位させるための操作を受ける操作部(41)と、
操作部が使用者から操作を受ける際に操作部が使用者から受けた操作力をエアミックスドアに伝達してエアミックスドアを変位させる伝達機構(41a、41b)と、
エアミックスドアの位置を検出するドア位置検出部(32)と、
ドア位置検出部によって検出されるエアミックスドアの位置に基づいて、車室内の暖房性能を確保するために走行用エンジンをオンさせることを要求するエンジンオン要求信号を出力する制御部(30a)と、を備え、
制御部は、ドア位置検出部の検出位置に基づいて比率が第1閾値(h1)よりも大きく、かつ第1閾値よりも大きい第2閾値(h2)よりも小さいと判定した場合において、制御部は、冷却水の温度を検出する水温センサ(34)の検出温度に基づいて、冷却水の温度が第1基準値(TW1ON)よりも低いと判定したとき、エンジンオン要求信号を出力し、
第1基準値よりも大きい基準値を第2基準値(TW1OFF)とした場合において、
制御部は、ドア位置検出部の検出位置に基づいて比率が第1閾値よりも大きく、かつ第2閾値よりも小さいと判定した場合に、水温センサの検出温度に基づいて冷却水の温度が第2基準値よりも高いと判定したとき、エンジンオン要求信号を出力することを停止し、
第2基準値よりも大きい基準値を第3基準値(TW2ON)とした場合において、
制御部は、ドア位置検出部の検出位置に基づいて比率が第2閾値以上であると判定し、かつ水温センサの検出温度に基づいて冷却水の温度が第3基準値よりも低いと判定したとき、エンジンオン要求信号を出力する
したがって、エアミックスドアの位置に基づいて、車室内の暖房性能を確保するために走行用エンジンをオンさせることを要求するエンジンオン要求信号を出力する車両用空調装置を提供することができる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態における車両用空調装置の室内空調ユニットの内部構成および電気的構成を示す図である。
図2図1の内外気切換ドア、エアミックスドア、吹出口切換ドアを開閉するために使用者から操作されるダイヤル操作部を示す正面図であり、特にエアミックスドアの回転位置の説明を補助するための図である。
図3図1の演算処理部における暖房性能確保処理の詳細を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態における図1の演算処理部が暖房性能確保処理を実行する際にエンジンON要求フラグ、エンジンOFF要求フラグを算出する場合に用いられるエンジン冷却水の基準値と車室外の空気温度との関係を示す図である。
図5図1の演算処理部が暖房性能確保処理を実行する際にエンジンON要求フラグを算出するためのエンジン冷却水の基準値とエンジンOFF要求フラグを算出するためのエンジン冷却水の基準値との関係を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態における演算処理部が暖房性能確保処理を実行する際にエンジンON要求フラグ、エンジンOFF要求フラグを算出する場合に用いられるエンジン冷却水の基準値と車室外の空気温度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0013】
(第1実施形態)
図1図2等に本発明の車両用空調装置がハイブリット自動車に適用された第1実施形態を示す。本実施形態の車両用空調装置は、室内空調ユニット10を備える。室内空調ユニット10は、自動車の車室内のうち車両進行方向前側においてインストルメントパネルの下側に配置されている。
【0014】
室内空調ユニット10は、空調ケーシング11、羽根車12、エバポレータ13、加熱用熱交換器14、エアミックスドア15、内外気切換ドア16a、吹出口切換ドア16d、16cを備える。
【0015】
空調ケーシング11には、羽根車12の回転によって生じる空気流を車室内の使用者側に向けて流通させる空気流路が形成されている。空調ケーシング11には、車室外から外気を導入する外気導入口11a、および車室内から内気を導入する内気導入口11bが設けられている。空調ケーシング11には、デフロスタ吹出口11c、フェイス吹出口11d、およびフット吹出口11eが設けられている。
【0016】
内外気切換ドア16aは、外気導入口11a、および内気導入口11bのうち少なくとも一方を開閉する。内外気切換ドア16aは、リンク機構40aおよびワイヤー40bを介してダイヤル操作部40に連結されている。
【0017】
リンク機構40aおよびワイヤー40bは、使用者がダイヤル操作部40を操作する際に使用者がダイヤル操作部40に与える操作力を内外気切換ドア16aに伝える伝達機構を構成する。
【0018】
ダイヤル操作部40は、図2に示すように、車室内のインストルメントパネル1に配置されている。ダイヤル操作部40は、インストルメントパネル1に対して回転自在に支持されている。
ダイヤル操作部40は、使用者によって操作されて回転して使用者から受ける回転力(すなわち、操作力)を内外気切換ドア16aへリンク機構40aおよびワイヤー40bを介して与える。
【0019】
このため、使用者によるダイヤル操作部40への操作によって、外気導入口11aを開けて内気導入口11bを閉じた外気導入モードと、外気導入口11aを閉じて内気導入口11bを開ける内気導入モードとを切り替えることができる。
【0020】
羽根車12は、空調ケーシング11内に配置されている。羽根車12は、ブロワモータ12aによって回転されて、外気導入口11a或いは内気導入口11bから導入した空気を空調ケーシング11内に吹き出す。
【0021】
図2のダイヤル操作部43は、ダイヤル操作部40の中央側に配置されている。ダイヤル操作部43は、インストルメントパネル1に対して回転自在に支持されている。
【0022】
ダイヤル操作部43は、図示しない複数の抵抗素子とともに、バッテリからブロワモータ12aに流れる駆動電流を調整する電流調整回路を構成する。ダイヤル操作部43は、使用者によって操作されることにより回転して、OFF、第1レベル、第2レベル、第3レベル、第4レベルのうちいずれか一つをブロワモータ12aの作動状態として設定する。
【0023】
OFFは、バッテリからブロワモータ12aに駆動電流が流れることを停止した状態である。第1レベル、第2レベル、第3レベル、第4レベルは、それぞれ、バッテリからブロワモータ12aに流れる駆動電流のレベルである。
【0024】
図2中の「0」はOFFを示し、「1」は第1レベルを示し、「2」は第2レベルを示し、「3」は第3レベルを示し、「4」は第4レベルを示している。
【0025】
すなわち、ダイヤル操作部43は、使用者によって操作されることにより回転して、ブロワモータ12aの回転数、ひいては羽根車12からの送風される送風量を5段階に切り換える役割を果たす。
【0026】
ここで、第4レベルは、第3レベルに比べて大きいレベルである。第3レベルは、第2レベルに比べて大きいレベルである。第3レベルは、第2レベルに比べて大きいレベルである。第2レベルは、第1レベルに比べて大きいレベルである。
【0027】
エバポレータ13は、コンプレッサ20、放熱器21、減圧器22とともに、冷媒を循環させる冷凍サイクルを構成する。エバポレータ13は、空調ケーシング11内において、羽根車12に対して空気流れ下流側に配置されている。エバポレータ13は、羽根車12から吹き出される空気を冷媒によって冷却する。
【0028】
加熱用熱交換器14は、空調ケーシング11内において、エバポレータ13に対して空気流れ下流側に配置されている。加熱用熱交換器14は、走行用エンジン81の冷却水によってエバポレータ13を通過した空気を加熱する。
【0029】
空調ケーシング11内には、羽根車12から吹き出される空気流を加熱用熱交換器14をバイパスして流通させるバイパス流路17が設けられている。エアミックスドア15は、空調ケーシング11に対して回転自在に支持されて、その回転によって、エバポレータ13から吹き出される風量のうち加熱用熱交換器14を通過する風量とバイパス流路17を通過する風量との比率を調整する。
【0030】
エアミックスドア15は、その回転によって、デフロスタ吹出口11c、フェイス吹出口11d、およびフット吹出口11eのそれぞれから車室内に吹き出される空気温度を調整する。エアミックスドア15は、リンク機構41aおよびワイヤー41bを介してダイヤル操作部41に連結されている。
【0031】
リンク機構41aおよびワイヤー41bは、使用者がダイヤル操作部41を操作する際に使用者がダイヤル操作部41に与える回転力(すなわち、操作力)をエアミックスドア15に伝える伝達機構を構成する。
【0032】
以下、説明の便宜上、エバポレータ13から加熱用熱交換器14に流れる風量を第1風量とし、エバポレータ13からバイパス流路17に流れる風量を第2風量とし、第1風量よび第2風量を足した風量を第3風量とする。
【0033】
ダイヤル操作部41は、使用者から操作されて回転して使用者から受ける回転力(すなわち、操作力)をワイヤー41bおよびリンク機構41aを介してエアミックスドア15に伝える。このため、エアミックスドア15が回転することにより、第3風量のうち第2風量が占める比率Rdを調整する。
【0034】
本実施形態では、エアミックスドア15として、板状のドア本体の端部に配置される支持部を備える片持ちドアが用いられている。
【0035】
デフロスタ吹出口11c、フェイス吹出口11dは、吹出口切換ドア16dによって開閉される。フット吹出口11eは、吹出口切換ドア16cによって開閉される。吹出口切換ドア16d、16cは、リンク機構42aおよびワイヤー42bを介してダイヤル操作部42に連結されている。
リンク機構42aおよびワイヤー42bは、使用者がダイヤル操作部42を操作する際に使用者がダイヤル操作部42に与える回転力(すなわち、操作力)を吹出口切換ドア16c、16dに伝える伝達機構を構成する。
【0036】
ダイヤル操作部42は、使用者から操作されて回転して使用者から受ける回転力(すなわち、操作力)をワイヤー42bおよびリンク機構42aを介して吹出口切換ドア16d、16cのそれぞれに与える。
【0037】
このため、吹出口切換ドア16d、16cが回転することにより、フェイスモード、フットモード、バイレベルモード、フットデフモード、デフロスタモードのうち1つの吹出口モードを実施する。
【0038】
本実施形態では、ダイヤル操作部40、41、42、およびダイヤル操作部43は、図2に示すように、インストルメントパネル1において並べて配置されている。
【0039】
本実施形態では、ダイヤル操作部42の中央側には、使用者からの操作によってコンプレッサ20をオン、オフさせるA/Cスイッチが設けられている。ダイヤル操作部41には、使用者からの操作によってデフロスタヒーターをオン、オフさせるスイッチが設けられている。デフロスタヒーターは、リアガラスを防曇するためのヒータである。
【0040】
本実施形態の車両用空調装置の電気的構成について図1図3図4を参照して説明する。
【0041】
本実施形態の車両用空調装置は、エアコンECU30を備える。エアコンECU30は、演算処理部30aおよび記録部30bを備える電子制御装置である。演算処理部30aは、マイクロコンピュータによって構成されている制御部である。記録部30bは、ROM、RAM、フラッシュメモリ等によって構成されている。
【0042】
演算処理部30aは、センサ31、33からの出力信号に基づいて、コンプレッサ20を制御する。演算処理部30aは、図3のコンピュータプログラムに沿って、暖房性能確保処理を実行する。
演算処理部30aは、暖房性能確保処理を実行する際に、センサ31、34の出力信号、ダイヤル位置検出部32、35の出力信号に基づいて、走行用エンジン81をオンさせることを要求するエンジンオン要求信号をエンジンECU80に出力する。
【0043】
エンジンECU80は、マイクロコンピュータやメモリ等によって構成され、走行用エンジン81を制御する。走行用エンジン81は、自動車の駆動輪に駆動力を与える。走行用エンジン81は、走行用電動機82とともに自動車の走行用駆動源を構成する。
【0044】
ROMには、暖房性能確保処理を実行するためのコンピュータプログラム、図4のTW1ON、TW1OFFが記憶されている。
【0045】
TW1ONは、エンジン要求フラグとしてエンジンON要求フラグを算出するために用いられるエンジン冷却水温度の第1基準値である。TW1OFFは、エンジン要求フラグとしてエンジンOFF要求フラグを算出するために用いられるエンジン冷却水温度の第2基準値である。TW1ONは、TW1OFFに比べて小さい値に設定されている。
【0046】
本実施形態では、TW1ON、TW1OFFは、それぞれ、図4に示すように、外気温度が上がるほど、小さくなるように設定されている。図4は、エンジン冷却水温度を縦軸とし、外気温度を横軸として、TW1ON、TW1OFFを示すグラフである。
【0047】
演算処理部30aがエンジンON要求フラグ、エンジンOFF要求フラグを算出する際に、図5に示すように、ヒステリシス特性を有するようにTW1ON、TW1OFFが算出されている。
【0048】
具体的には、エンジン冷却水温度がTW1ONよりも小さくなると、演算処理部30aは、エンジンON要求フラグをエンジン要求フラグとして算出する。エンジン冷却水温度がTW1OFFよりも大きくなると、演算処理部30aは、エンジンOFF要求フラグをエンジン要求フラグとして算出する。
【0049】
エンジンON要求フラグは、演算処理部30aがエンジンECU80に対して走行用エンジン81をオンさせることを要求することを決める際に用いられるフラグである。エンジンOFF要求フラグは、演算処理部30aがエンジンECU80に対して走行用エンジン81をオンさせる要求を停止することを決める際に用いられるフラグである。
【0050】
図1のセンサ31は、車室外の空気温度(すなわち、外気温TAM)を検出温度として検出する外気温度センサである。センサ33は、エバポレータ13から吹き出される空気温度を検出する温度センサである。ダイヤル位置検出部32は、エアミックスドア15の位置を検出するドア位置検出部である。
【0051】
本実施形態のダイヤル位置検出部32は、ダイヤル操作部41の回転位置(すなわち、ダイヤル操作部41の操作状態)を検出することによりエアミックスドア15の位置を検出位置として求める。具体的には、ダイヤル位置検出部32は、エアミックスドア15がMAXHOT領域、中間領域、MAXCOOL領域のいずれに位置するかを検出する。
【0052】
なお、図2中の「MH」はMAXHOT領域を意味し、「中間」は中間領域を意味し、「MC」はMAXCOOL領域を意味する。
【0053】
以下説明の便宜上、空調ケーシング11内においてエバポレータ13から加熱用熱交換器14に流れる風量を第1風量とし、エバポレータ13からバイパス流路17に流れる風量を第2風量とし、第1風量と第2風量とを足した風量を第3風量とする。第3風量のうち第1風量が占める比率を比率hdとする。
【0054】
MAXHOT領域は、比率hdが閾値h2(すなわち、第2閾値)よりも大きくなるエアミックスドア15の位置である。MAXCOOL領域は、比率hdが閾値h1(すなわち、第1閾値)未満になるエアミックスドア15の位置である。中間領域は、比率hdが閾値h1以上であり、かつ閾値h2以下となるエアミックスドア15の位置である。閾値h2は、閾値h1よりも大きくなるように設定されている。
【0055】
ダイヤル位置検出部32は、ダイヤル操作部41の回転位置に基づいてオン、オフする第1スイッチと第2スイッチとを備える。このため、第1スイッチの出力信号と第2スイッチの出力信号との組み合わせが、ダイヤル操作部41の回転位置、ひいてはエアミックスドア15の位置を示すことになる。
【0056】
例えば、ダイヤル操作部41によってエアミックスドア15がMAXCOOL領域に設定されているとき、第1スイッチがオフし、第2スイッチがオフする。このため、エアミックスドア15がMAXCOOL領域に位置するとき、第1スイッチがオフし、第2スイッチがオフする。
ダイヤル操作部41によってエアミックスドア15が中間領域に設定されているとき、第1スイッチがオンし、第2スイッチがオフする。このため、エアミックスドア15が中間領域に位置するとき、第1スイッチがオンし、第2スイッチがオフする。
ダイヤル操作部41によってエアミックスドア15がMAXHOT領域に設定されているとき、第1スイッチがオンし、第2スイッチがオンする。このため、エアミックスドア15がMAXHOT領域に位置するとき、第1スイッチがオンし、第2スイッチがオンする。
【0057】
本実施形態のセンサ34は、走行用エンジン81の冷却水温度を検出温度として検出する水温センサである。
【0058】
ダイヤル位置検出部35は、ダイヤル操作部43の回転位置(すなわち、操作状態)を検出する。具体的には、ダイヤル操作部43は、ダイヤル操作部43の回転位置に基づいてオン、オフするスイッチを備える。
【0059】
例えば、ダイヤル操作部43がOFFに設定されているときスイッチがオフする。一方、ダイヤル操作部43が第1レベル、第2レベル、第3レベル、第4レベルのうちいずれか一つに設定されているときスイッチがオンする。すなわち、ブロワモータ12aがオンしているときスイッチがオンする一方、ブロワモータ12aがオフしているときスイッチがオフする。
【0060】
次に、本実施形態の室内空調ユニット10の作動について説明する。
【0061】
まず、ブロワモータ12aが回転して羽根車12に回転力を与える。したがって、羽根車12は、回転して、外気導入口11aおよび内気導入口11bのうちいずれかの導入口を通して導入した空気を空調ケーシング11内においてエバポレータ13に向けて吹き出す。
【0062】
エバポレータ13は、羽根車12から吹き出される空気を冷媒によって冷却する。このため、エバポレータ13から加熱用熱交換器14、バイパス流路17に向けて冷風が吹き出される。
【0063】
ここで、エアミックスドア15は、エバポレータ13から吹き出される風量のうち加熱用熱交換器14に流れる風量とバイパス流路17に流れる風量との比率を調整する。
【0064】
このとき、エバポレータ13から加熱用熱交換器14に流れる冷風は、エンジン冷却水によって加熱される。このため、加熱用熱交換器14から温風が吹き出される。
【0065】
一方、エバポレータ13から吹き出される冷風のうち加熱用熱交換器14に流れる冷風以外の残りの冷風は、バイパス流路17に流れる。したがって、加熱用熱交換器14から吹き出される温風とバイパス流路17を通過した冷風とは混合されてデフロスタ吹出口11c、フェイス吹出口11d、フット吹出口11eのいずれかの吹出口から車室内に吹き出される。
【0066】
演算処理部30aは、ダイヤル位置検出部35からの出力信号に基づいてブロワモータ12aがオンしていると判定したとき、暖房性能確保処理の実行を開始する。
【0067】
演算処理部30aは、図3のフローチャートにしたがって、暖房性能確保処理を繰り返し実行する。
【0068】
まず、演算処理部30aは、ステップS100において、センサ31で検出される外気温、ダイヤル位置検出部32で検出されるエアミックスドア15の位置、およびセンサ34で検出される走行用エンジン81の冷却水温度を読み込む。
【0069】
次に、演算処理部30aは、ステップS110において、センサ31、34で検出される外気温、冷却水温度とダイヤル位置検出部32で検出されるエアミックスドア15の位置に基づいてエンジン要求フラグを算出する。
【0070】
具体的には、演算処理部30aは、ダイヤル位置検出部32で検出されるエアミックスドア15の位置に基づいて、エアミックスドア15がMAXHOT領域、MAXCOOL領域、中間領域のうちいずれの領域に位置するのかを判定する。
【0071】
演算処理部30aは、エアミックスドア15がMAXHOT領域に位置すると判定したとき、エンジン要求フラグとしてエンジンON要求フラグを算出する。
【0072】
演算処理部30aは、エアミックスドア15がMAXCOOL領域に位置すると判定したとき、エンジン要求フラグとしてエンジンOFF要求フラグを算出する。
【0073】
演算処理部30aは、エアミックスドア15が中間領域に位置すると判定したとき、次の通り、冷却水温度、外気温度に基づいてエンジン要求フラグとして、エンジンON要求フラグ、或いはエンジンOFF要求フラグを算出する。
【0074】
すなわち、演算処理部30aは、冷却水温度がTW1ONよりも低いとき、エンジン要求フラグとしてエンジンON要求フラグを算出する。演算処理部30aは、冷却水温度がTW1OFFよりも高いとき、エンジン要求フラグとしてエンジンOFF要求フラグを算出する。TW1ON、TW1OFFは、それぞれ、センサ31で検出される外気温度が高くなるほど、小さくなるように設定されている。
【0075】
このように、エアミックスドア15の位置、エンジン冷却水温度、外気温度に基づいてエンジン要求フラグを算出する。
【0076】
次に、演算処理部30aは、ステップS120において、上記ステップS110で算出されるエンジン要求フラグがエンジンON要求フラグであるか否かを判定する。
【0077】
例えば、上記ステップS110で算出されるエンジン要求フラグがエンジンON要求フラグであるとき、演算処理部30aは、ステップS120において、YESと判定する。
【0078】
これに伴い、演算処理部30aは、ステップS120において、走行用エンジン81をオンさせることを要求するためのエンジンオン要求信号をエンジンECU80に出力する。これに伴い、エンジンECU80は、走行用エンジン81をオンさせる。
【0079】
このため、走行用エンジン81から加熱用熱交換器14に流れる冷却水温度が上昇する。したがって、加熱用熱交換器14から冷風に与えられる熱量が増大化する。よって、加熱用熱交換器14から吹き出される温風の温度が上昇する。これに伴い、デフロスタ吹出口11c、フェイス吹出口11d、およびフット吹出口11eから車室内に吹き出される温風の温度が上昇する。
【0080】
また、演算処理部30aは、上記ステップS110で算出されるエンジン要求フラグがエンジンOFF要求フラグであるときに、ステップS120において、NOと判定する。これに伴い、演算処理部30aは、エンジンオン要求信号をエンジンECU80に出力することを停止して、ステップS100に移行する。
【0081】
以上説明した本実施形態によれば、車両用空調装置は、車室内に向けて空気を流通させる空調ケーシング11内に配置され、走行用エンジン81の冷却水を熱源として空気流を加熱する加熱用熱交換器14を備える。
【0082】
空調ケーシング11のうち加熱用熱交換器14を通過する風量を第1風量とし、空調ケーシング11のうち加熱用熱交換器14をバイパスして流通させるバイパス流路17を流れる風量を第2風量とする。
【0083】
車両用空調装置は、第1風量と第2風量とを加算した風量を第3風量をとしたとき、第3風量のうち第1風量が占める比率hdを変位によって調整するエアミックスドア15を備える。
【0084】
車両用空調装置は、使用者からエアミックスドアを変位させるための操作を受けるダイヤル操作部41を備える。
【0085】
車両用空調装置は、ダイヤル操作部41が使用者から操作を受ける際にダイヤル操作部41が使用者から受けた操作力をエアミックスドア15に伝達してエアミックスドア15を変位させるリンク機構41aおよびワイヤー41bを備える。
【0086】
車両用空調装置は、ダイヤル操作部41の回転位置(すなわち、操作状態)を検出することにより、エアミックスドア15の位置を検出するダイヤル位置検出部32を備える。
演算処理部30aは、ダイヤル位置検出部32で検出されるエアミックスドア15の位置に基づいて、エアミックスドア15がMAXHOT領域に位置すると判定したとき、エンジン冷却水温度に関わらず、エンジンオン要求信号をエンジンECU80に出力する。
【0087】
このため、エンジンECU80は、演算処理部30aからのエンジンオン要求信号を受けると走行用エンジン81をオンさせる。これに伴って、走行用エンジン81から加熱用熱交換器14に流れるエンジン冷却水の温度を上昇させることができる。
【0088】
よって、加熱用熱交換器14から吹き出される温風の温度を上昇させることができる。したがって、フェイス吹出口11d、フット吹出口11eから車室内のうち使用者側に吹き出される空調風温度を上昇させることができる。以上により、車室内の暖房性能を確保することができる。
【0089】
このように構成される本実施形態では、次の(1)(2)(3)の効果が得られる。
【0090】
(1)演算処理部30aは、エアミックスドア15が中間領域に位置し、かつエンジンの冷却水温度がTW1ONよりも低いと判定したとき、エンジンオン要求信号をエンジンECU80に出力する。
【0091】
このため、エアミックスドア15が中間領域に位置する場合には、エンジン冷却水温度に基づき、必要に応じて、走行用エンジン81をオンさせることができる。これにより、車室内の暖房性能を確保しつつ、自動車において燃料(例えばガソリン、軽油など)の単位容量あたりの走行距離(すなわち、燃費)を長くすることができる。
【0092】
(2)演算処理部30aは、エアミックスドア15が中間領域に位置すると判定し、さらにエンジン冷却水温度がTW1OFFよりも高いと判定したとき、エンジンオン要求信号をエンジンECU80に出力することを停止する。
【0093】
このため、エアミックスドア15が中間領域に位置する場合には、エンジン冷却水温度に基づき、必要に応じて、走行用エンジン81をオフさせることが可能になる。これにより、自動車において燃料の単位容量あたりの走行距離を長くすることができる。
【0094】
(3)TW1ONは、センサ31で検出される外気温度が高くなるほど、小さくなるように設定されている。このため、走行用エンジン81をオンさせる頻度を小さくすることが可能になる。これにより、自動車において燃料の単位容量あたりの走行距離をより一層長くすることができる。
【0095】
(4)演算処理部30aは、エアミックスドア15がMAXCOOL領域に位置するとき、エンジン冷却水温度に関わらず、エンジンオン要求信号をエンジンECU80に出力することを停止する。これにより、自動車において燃料の単位容量あたりの走行距離をより一層長くすることができる。
【0096】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、演算処理部30aは、エアミックスドア15がMAXHOT領域に位置するとき、エンジン冷却水温度に関わらず、エンジンオン要求信号を出力する例について説明した。
【0097】
しかし、これに代えて、演算処理部30aがエンジン冷却水温度に応じて、エンジンオン要求信号を出力する本第2実施形態について図3図6を参照して説明する。
【0098】
本実施形態と上記第1実施形態とは、暖房性能確保処理が相違するだけで、ハードウェア構成が共通である。そこで、以下、本実施形態における演算処理部30aの暖房性能確保処理について説明する。
【0099】
演算処理部30aは、図3のフローチャートにしたがって、暖房性能確保処理を実行する。
【0100】
以下、説明の便宜上、TW1ON、TW1OFFよりも大きいエンジン冷却水の第3基準値をTW2ONとし、TW2ONよりも大きいエンジン冷却水の第4基準値をTW2OFFとする。
【0101】
まず、演算処理部30aは、上記第1実施形態と同様に、ステップS100において、センサ31、34の検出値、ダイヤル位置検出部32の検出値を読み込む。次に、演算処理部30aは、ステップS110において、センサ31、34のそれぞれの検出値、ダイヤル位置検出部32の検出値に基づいてエンジン要求フラグを算出する。
【0102】
具体的には、演算処理部30aは、エアミックスドア15がMAXHOT領域に位置すると判定し、かつエンジン冷却水温度がTW2ONよりも低いと判定したとき、エンジン要求フラグとしてエンジンON要求フラグを算出する。
演算処理部30aは、エアミックスドア15がMAXHOT領域に位置すると判定し、かつエンジン冷却水温度がTW2OFFよりも高いと判定したとき、エンジン要求フラグとしてエンジンOFF要求フラグを算出する。
【0103】
TW2ON、TW2OFFは、それぞれ、センサ31で検出される外気温が高くなるほど、低くなるように設定されている。
【0104】
演算処理部30aは、上記第1実施形態と同様に、エアミックスドア15がMAXCOOL領域に位置すると判定したとき、エンジン要求フラグとしてエンジンOFF要求フラグを算出する。
【0105】
演算処理部30aは、エアミックスドア15が中間領域に位置すると判定したとき、上記第1実施形態と同様に、エンジン冷却水温度、外気温度に基づいてエンジン要求フラグとしてエンジンON要求フラグ、或いはエンジンOFF要求フラグを算出する。
【0106】
次に、演算処理部30aは、ステップS120において、上記ステップS110で算出されるエンジン要求フラグがエンジンON要求フラグであるか否かを判定する。
【0107】
上記ステップS110で算出されるエンジン要求フラグがエンジンON要求フラグであるとき、演算処理部30aは、ステップS120において、YESと判定する。
【0108】
これに伴い、演算処理部30aは、ステップS120において、走行用エンジン81をオンさせることを要求するエンジンオン要求信号をエンジンECU80に出力する。これに伴い、エンジンECU80は、走行用エンジン81をオンさせる。
【0109】
このため、走行用エンジン81から加熱用熱交換器14に流れる冷却水温度が上昇する。したがって、加熱用熱交換器14から冷風に与えられる熱量が増大化する。よって、加熱用熱交換器14から吹き出される温風の温度が上昇する。これに伴い、フェイス吹出口11d、およびフット吹出口11eから車室内のうち座席側に吹き出される温風の温度が上昇する。
【0110】
また、演算処理部30aは、上記ステップS110で算出されるエンジン要求フラグがエンジンOFF要求フラグであるときに、ステップS120において、NOと判定する。
【0111】
これに伴い、演算処理部30aは、ステップS140において、エンジンECU80にエンジンオン要求信号を出力することを停止して、ステップS100に移行する。
【0112】
以上説明した本実施形態によれば、演算処理部30aは、上記第1実施形態と同様、エアミックスドア15が中間領域に位置し、かつエンジン冷却水温度がTW1ONよりも低いと判定したとき、エンジンオン要求信号をエンジンECU80に出力する。
【0113】
演算処理部30aは、エアミックスドア15が中間領域に位置し、かつエンジン冷却水温度がTW1OFFよりも高いと判定したとき、エンジンオン要求信号をエンジンECU80に出力することを停止する。
【0114】
以上により、上記第1実施形態と同様、車室内の暖房性能を確保しつつ、自動車において燃料(例えばガソリン、軽油など)の単位容量あたりの走行距離(すなわち、燃費)を長くすることができる。
【0115】
演算処理部30aは、エアミックスドア15がMAXHOT領域に位置し、かつエンジン冷却水温度がTW2ONよりも低いと判定したとき、エンジン要求オン信号をエンジンECU80に出力する。
【0116】
演算処理部30aは、エアミックスドア15がMAXHOT領域に位置し、かつエンジン冷却水温度がTW2OFFよりも高いと判定したとき、エンジン要求オン信号をエンジンECU80に出力することを停止する。
【0117】
以上により、車室内の暖房性能を確保しつつ、上記第1実施形態に比べて、自動車において燃料(例えばガソリン、軽油など)の単位容量あたりの走行距離(すなわち、燃費)を長くすることができる。
【0118】
(他の実施形態)
(1)上記第1、第2実施形態では、エアミックスドア15として、片持ちドアを用いた例について説明したが、これに限らず、各種のドアを用いてもよい。例えば、板状のドア本体の中央部に支持部を備えるバタフライドアを用いてもよい。或いは、加熱用熱交換器14を通過する風量とバイパス流路17を通過する風量との比率をスライド移動によって調整するスライドドアを用いてもよい。
【0119】
(2)上記第1、第2実施形態では、エアミックスドア15を変位させるために使用者によって操作されることにより回転する操作部としてのダイヤル操作部41を設けた例について説明した。しかし、これに代えて、エアミックスドア15を変位させるために使用者によって操作されることによりスライド移動する操作部を設けてもよい。
【0120】
(3)上記第1、第2実施形態では、使用者から操作されたダイヤル操作部41の回転位置(すなわち、操作状態)を検出することにより、エアミックスドア15の位置を検出するドア位置検出部としてのダイヤル位置検出部32を用いた例について説明した。
【0121】
しかし、これに代えて、エアミックスドア15の位置を直接検出するドア位置検出部を用いてもよい。
【0122】
(4)上記第1、第2実施形態では、走行用エンジンおよび走行用電動機を備えるハイブリット自動車に本発明の車両用空調装置を適用した例について説明した。しかし、これに代えて、走行用エンジンおよび走行用電動機のうち走行用エンジンのみを備える自動車に本発明の車両用空調装置を適用してもよい。
【0123】
(5)上記第1、第2実施形態では、エアミックスドア15が空調ケーシング11に対して回転自在に支持される例について説明した。しかし、これに代えて、エアミックスドア15が空調ケーシング11に対してスライド移動が可能に支持されるようにしてもよい。
【0124】
また、エアミックスドア15と同様に、内外気切換ドア16a、吹出口切換ドア16dについても、空調ケーシング11に対してスライド移動が可能に支持されるようにしてもよい。
【0125】
(6)上記第1、第2実施形態では、ダイヤル操作部43として、羽根車12からの送風される送風量を5段階に切り換える操作部を用いる例について説明した。しかし、これに代えて、ダイヤル操作部43として、羽根車12からの送風される送風量を5段階以外の多段階(例えば、2段階)に切り換える操作部を用いてよい。
(7)上記第1、第2実施形態では、ダイヤル位置検出部32を第1スイッチと第2スイッチとによって構成した例について説明した。しかし、これに代えて、第1スイッチと第2スイッチ以外の構成(例えば、ポテンショメータ)によってダイヤル位置検出部32を構成してもよい。
同様に、ダイヤル操作部43の回転位置に基づいてオン、オフするスイッチ以外の構成によってダイヤル位置検出部35を構成してもよい。
(8)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、センサから車両の外部環境情報(例えば車外の湿度)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。
【符号の説明】
【0126】
10 室内空調ユニット
11 空調ケーシング
14 加熱用熱交換器
15 エアミックスドア
32 センサ
41 ダイヤル操作部
41a リンク機構
41b ワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6