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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】乗用芝刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/64 20060101AFI20240910BHJP
   A01B 63/108 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A01D34/64 H
A01B63/108
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021106672
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2023005012
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕佑
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-024437(JP,A)
【文献】特開2021-069343(JP,A)
【文献】特開平05-184217(JP,A)
【文献】特許第2982257(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/412-34/90
A01D 43/06 -43/077
A01B 63/00 -63/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体と、
前記走行車体に設けられるモアユニットと、
前記モアユニットのデッキ部に設けられた所定の支点軸で前記モアユニットと回動可能に連結し、前記モアユニットを昇降させる昇降アームと、
前記モアユニットに設けられ、運転者の操作により動作するアクチュエータと、
前記モアユニットの前記デッキ部の前部に設けられ、前記アクチュエータによって回動する連結軸と、
前記連結軸に設けられたアーム部と、前記昇降アームの、前記支点軸から所定距離離れた引張り部位を連結する連結棒とを備え、
前記アクチュエータによる前記連結軸の回動によって前記アーム部を回動させて前記連結棒を移動させ、前記連結軸と前記昇降アームの引張り部位との距離を変化させることによって、前記モアユニットの姿勢を跳ね上げ姿勢にすることが出来、
前記連結棒は着脱可能であることを特徴とする乗用芝刈機。
【請求項2】
前記モアユニットにはその水平状態を維持するための水平機構が備えられており、
前記昇降アームは、前記モアユニットの前記支点軸に連結するとともに、前記水平機構を介して前記モアユニットに連結しており、
前記連結棒を前記モアユニットに装着して、前記アクチュエータによって前記連結軸を回動させて前記モアユニットを跳ね上げ姿勢にする場合は、前記昇降アームの、前記水平機構を介しての前記モアユニットへの連結を外す、請求項1記載の乗用芝刈機。
【請求項3】
前記デッキ部の前方に設けられた、補助輪を有する前輪部と、
前記デッキ部に装着され、前端が前記前輪部に連結された前輪アーム部を備え、
前記連結軸は前記前輪アーム部に所定の部材を介して連結されており、
前記連結棒を前記モアユニットから取り外し、前記昇降アームを、前記水平機構を介して前記モアユニットへ連結した場合は、前記アクチュエータを駆動して前記連結軸を回動させることによって、前記前輪アーム部を介して前記補助輪を上下移動させることが出来、前記モアユニットの地面に対する高さ調整が可能である、請求項2記載の乗用芝刈機。
【請求項4】
前記連結棒を固定出来る固定具が前記モアユニット上に設けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乗用芝刈機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は 乗用芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
運転席を備えた走行車体の前部の下方に芝刈装置を備えた乗用芝刈機において、作業時と非作業時の切替えのため、油圧シリンダにより芝刈装置を上下方向に昇降させる姿勢変化とは別に、メンテナンスのため、所定の回動支点を中心として回動可能に構成し、芝刈り装置を大きく回動させて跳ね上げ姿勢に変化させ、その状態を保持固定しながら芝刈り装置のメンテナンスを実行できる乗用芝刈機が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2982257号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成において、芝刈り装置を跳ね上げ姿勢に変化させてその姿勢を保持させておくためには、人力で跳ね上げ、その姿勢で保持しておく人と、保持した姿勢で固定させる作業を行う人が必要であり、一人で重い芝刈装置を跳ね上げ姿勢に保持させながらメンテナンスを行うことは困難であった。
【0005】
本発明はこのような従来の問題を考慮し、簡単に芝刈り装置を跳ね上げ姿勢にしてメンテナンスを行うことが可能な乗用芝刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
走行車体と、
前記走行車体に設けられるモアユニットと、
前記モアユニットのデッキ部に設けられた所定の支点軸で前記モアユニットと回動可能に連結し、前記モアユニットを昇降させる昇降アームと、
前記モアユニットに設けられ、運転者の操作により動作するアクチュエータと、
前記モアユニットのデッキ部の前部に設けられ、前記アクチュエータによって回動する連結軸と、
前記連結軸に設けられたアーム部と、前記昇降アームの、前記支点軸から所定距離離れた引張り部位を連結する連結棒とを備え、
前記アクチュエータによる前記連結軸の回動によって前記アーム部を回動させて前記連結棒を移動させ、前記連結軸と前記昇降アームの引張り部位との距離を変化させることによって、前記モアユニットの姿勢を跳ね上げ姿勢にすることが出来、
前記連結棒は着脱可能であることを特徴とする乗用芝刈機である。
【0007】
第1の本発明によって、連結軸の回動により昇降アームとデッキ部との間の距離を変化させることができるため、アクチュエータを操作して簡単にモアユニットを跳ね上げ姿勢にすることができる。
【0008】
第2の本発明は、
前記モアユニットにはその水平状態を維持するための水平機構が備えられており、
前記昇降アームは、前記モアユニットの前記支点軸に連結するとともに、前記水平機構を介して前記モアユニットに連結しており、
前記連結棒を前記モアユニットに装着して、前記アクチュエータによって前記連結軸を回動させて前記モアユニットを跳ね上げ姿勢にする場合は、前記昇降アームの、前記水平機構を介しての前記モアユニットへの連結を外す、第1の本発明の乗用芝刈機である。
【0009】
第2の本発明によって、連結軸の回動により昇降アームとデッキ部との間の距離を変化させることができるため、アクチュエータを操作して簡単にモアユニットを跳ね上げ姿勢にすることができる。
【0010】
第3の本発明は、
前記デッキ部の前方に設けられた、補助輪を有する前輪部と、
前記デッキ部に装着され、その前端が前記前輪部に連結された前輪アーム部を備え、
前記連結軸は前記前輪アーム部に所定の部材を介して連結されており、
前記連結棒を前記モアユニットから取り外し、前記昇降アームを、前記水平機構を介して前記モアユニットへ連結した場合は、前記アクチュエータを駆動して前記連結軸を回動させることによって、前記前輪アーム部を介して前記補助輪を上下移動させることが出来、前記モアユニットの地面に対する高さ調整が可能である、第2の本発明の乗用芝刈機である。
【0011】
第3の本発明によって、アクチュエータの機能を二面化し、モアユニットの姿勢変化と刈高さ調整の二つの機能を持たせることができるため、新たにアクチュエータを追加することなく、モアユニットを跳ね上げ姿勢へ変化させる操作を電動化できる。
【0012】
第4の本発明は、
前記連結棒を固定出来る固定具が前記モアユニット上に設けられている、第1乃至3のいずれかの本発明の乗用芝刈機である。
【0013】
第4の本発明によって、作業時や刈高さ調整時は連結棒を外す必要があるため、モアユニット上に連結棒の固定具を設けることで連結棒の紛失を防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、アクチュエータを操作して簡単にモアユニットを跳ね上げ姿勢にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における実施の形態にかかる乗用芝刈機の側面図
図2】同乗用芝刈機のモアユニットの斜視図
図3図2の下の部分の拡大図
図4図2の上の部分の拡大図
図5】同モアユニットのシリンダカバーを外した状態の右側前部の斜視図
図6】本発明における実施の形態にかかる乗用芝刈機の側面図であって、モアユニットを跳ね上げ姿勢にした状態図
図7】同上のモアユニットを跳ね上げ姿勢にしたときの、モアユニットの斜視図
図8】同上のモアユニットを跳ね上げ姿勢にしたときの、モアユニットの側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる乗用芝刈機である。以下では、芝刈機の進行方向を基準として、前後、左右、上下とする。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係る芝刈機は、走行車体2の前方の下方側にモアユニット1を備える。3は運転席、4、5はそれぞれ前輪、後輪である。また後方に刈り取った芝草を一時的に収容するコレクター6を備える。Gは地面である。
【0018】
図2以下にモアユニット1の構造などについて詳述する。
【0019】
すなわち、図2は、本実施の形態におけるモアユニット1の斜視図である。図3図2の左下の部分拡大図である。図2図3に示すように、モアユニット1は、デッキ部10と、草刈機構11と、前輪部12,12と、前輪アーム部13,13と、後アーム部14、14と、昇降アーム15、15とを備える。
【0020】
デッキ部10は、天面の下方側には草刈機構11の刈刃が収容され、天面の上方側には草刈機構11の動力部や、前輪アーム部13、後アーム部14、昇降アーム15等が外部に露出した状態で配置される。
【0021】
草刈機構11は、例えばモータ等の動力を備え、上記した走行車体2から供給される動力源によってモータが動作することで、刈刃が回転動作し、草を刈る。
【0022】
前輪部12は、デッキ部10の前方側に設けられ、草刈時に補助輪12aが地面Gに接することで、前輪アーム部13を支持する。また、前輪部12は、上下方向に沿う回動軸が回動自在に設けられる回動機構12bを備える。回動機構12bは、補助輪12aに連結され、走行車体2の進行方向への走行に従動して回動することで、補助輪12aの向きを進行方向へ向ける。
【0023】
前輪アーム部13は、デッキ部10の上方に設けられ、前方側の一端(前端側)が前輪部12と連結され、後方側の他端(後端側)が後アーム部14と連結される。また、前輪アーム部13は、走行車体2の左右方向に沿う揺動軸を有する第1連結支点18によってデッキ部10に対して揺動するようになっている。
【0024】
具体的には、第1連結支点18は、前輪部12および後アーム部14の間の後ろ寄りに寄せて配置される。
【0025】
後アーム部14は、前輪アーム部13の前後方向における後方延長線上に配置される。具体的には、後アーム部14は、回動連結部19において、前端側が前輪アーム部13の後端側と連結する。
【0026】
また、後アーム部14は、前端側より後方の第2連結支点20でデッキ部10と揺動可能に連結する。また、後アーム部14は、後端側が左右方向を回動軸として回動可能に昇降アーム15に連結される。これにより、後アーム部14は、前輪アーム部13の揺動に連動して揺動する。
【0027】
一方、昇降アーム15は、走行車体2に連結され、走行車体2の本体側シリンダ32から供給される動力によってデッキ部10を昇降する。具体的には、昇降アーム15は前端15aが支点軸22においてデッキ部10と回動可能に連結されるとともに、後方側の水平機構21を介して後アーム部14に対して回動可能に連結される。これにより、昇降アーム15の昇降に伴ってデッキ部10が昇降する。
【0028】
そして、昇降アーム15が昇降すると、デッキ部10の前方部と前輪アーム部13が持ち上がるとともに、前輪部12が地面Gから離れる。この時、前輪アーム部13および後アーム部14は、回動連結部19において上に凸となるような姿勢となる。
【0029】
一方、かかる状態から、昇降アーム15降下すると、まず、前輪部12が地面Gに接地する。そして、前輪部12が地面Gに接地すると同時に、前輪アーム部13および後アーム部14の凸形状が緩やかになっていく。
【0030】
そのようにして、デッキ部10の前側の高さがほぼ固定される。そして、デッキ部10の高さがほぼ固定された後、さらに昇降アーム15が降下した場合、水平機構21および昇降アーム15の前端15aのそれぞれが回動することで、降下によってデッキ部10に発生するエネルギーを逃がす。
【0031】
この時、水平機構21がネジ式の場合、ネジの締結度合いによってデッキ部10の地面Gに対する角度が決定する。
【0032】
ここに図2における16cは本発明の連結軸の一例である連結軸であって、デッキ部10の前部に回動可能に取り付けられている。後述するように刈高さシリンダ17によって回動する部材である。
【0033】
この連結軸16cの左右それぞれにプレート状のアーム部25が固定されている。図4に示すようにこのアーム部25の上端には連結棒26の先端26aが回動可能に連結されている。さらに、この連結棒26の後端26bは昇降アーム15の引張り部位15b(ピン31)に回動可能に連結されている。この引張り部位15bは昇降アーム15の前端15aにおいて、支点軸22から所定距離離れた位置にある。この連結棒26の先端26aと後端26bはそれぞれ取り外し可能になっている。
【0034】
なお、図4に示すように、連結棒26の後端26bには長孔26cが設けられており、この長孔26cに引張り部位15bであるピン31が挿入されて回動可能に連結されている。この構造によって連結棒26の取り外しが容易になる。また、デッキ部10の経年変化に対応するために、連結棒26の先端26aの構造を雄ねじと雌ねじの組合せ構造とすることで、連結棒26の長さを調整できるようにすることも望ましい(図示省略)。
【0035】
なお、図1乃至図3においては、昇降アーム15は連結棒26によって引っ張られてはいないが、図4においては昇降アーム15は連結棒26によって引っ張られている状態にある。
【0036】
次に、連結軸16cの回動の機構について説明する。すなわち、連結軸16cを一部に含むリンク機構16について図5を中心に説明する。図5図2のカバー24を外した状態を向こう側から見た斜視図である。リンク機構16はデッキ部10の前方左右それぞれに同じ構造のものが設けられており、それぞれ第1連結具16a、上記連結軸16c、ブラケット16b、第1連結金具16d、第1連結ボルト16e、第2連結金具16f、第2連結ボルト16g、第3連結金具16hで構成されている。これら部材のうち、第1連結金具16d、第1連結ボルト16e、第2連結金具16f、第2連結ボルト16g、第3連結金具16hが本発明の所定の部材の一例である。
【0037】
すなわち、刈高さシリンダ17側に、断面9の字型(上部は箱型、下部は板部)の第1連結具16aが設けられている。その下部の板部には連結軸16cが貫通している。この連結軸16cはデッキ部10の前部に左右に渡って装着され、左右のリンク機構16、16で共有されている。
【0038】
この連結軸16cの左右両端は、デッキ部10の左右それぞれにおいて、ブラケット16b、16bによって回動自在に軸支されている。
【0039】
連結軸16cの両端寄り位置には、それぞれ、第1連結金具16dが固定されている。さらに、第1連結金具16dには第1連結ボルト16eを介して、第2連結金具16fが回動可能に連結され、さらに、第2連結金具16fには第2連結ボルト16gを介して第3連結金具16hが回動可能に連結されている。
【0040】
この第3連結金具16hは、前輪アーム部13に固定されている。他方、前記第1連結具16aは刈高さシリンダ17のロッド17aの先端が回動可能に連結されている。すなわち、断面9の字型の上部の箱型の部分にロッド17aの先端が挿入され、箱型の部分の軸16a1に回動可能に連結されている。なお、171は刈高さシリンダ17を駆動するDCモータ、172はオイルタンクである。
【0041】
モータ171を所定量駆動すると、刈高さシリンダ17のロッド17aが所定位置まで伸縮する。その結果、ロッド17aの先端に連結されている箱型の部分の軸16a1が移動し、第1連結具16aが所定位置に回動して来る。この第1連結具16aは連結軸16cに固定されているので、連結軸16cは所定量回動する。このようにして連結軸16cは回動する。
【0042】
次に、メンテナンス時における動作を説明する。
【0043】
上記水平機構21は昇降アーム15側に固定されたブラケット部材21aと、後アーム部14側に固定された軸部材21bとを有し、軸部材21bの軸は取り外し可能である。
【0044】
いま、作業者がこの軸を外し、本体側シリンダ32を駆動することによって、図6図7に示すように昇降アーム15からデッキ部10が支点軸22を枢軸としてフリーに回動可能となる。
【0045】
その状態でスイッチ27(刈高さ調整スイッチ)(図1参照)によって、上記モータ171を所定量駆動すると、連結軸16cが矢印Aの方向に回動し、それによってアーム部25も反時計方向(図2参照)に回動する。その結果、連結棒26は前方へ移動する。その結果、連結棒26の後端26bに連結している昇降アームの引張り部位15bが前方へ引っ張られる。
【0046】
この引張り部位15bは昇降アーム15の回動軸である支点軸22から所定距離離れているので、引張りモーメントが発生し、その力は昇降アーム15と連結軸16cすなわちデッキ部10との間隔が縮まるように作用する(図8のH参照)。その結果、デッキ部10は図6に示すように自動的に跳ね上げ姿勢になる。そこで、フリップアップの角度の目安のため、図2のデッキ部10側の孔29と昇降アーム15の先端の孔28とが重なって状態でそこにピンを差し込でフリップアップの角度を確保しておく。このようにして簡単且つ安全にメンテナンスを行うことが出来る。またこのピンは、上述したように、取り外している軸部材21bの軸を兼用すると便利である。なお、後述のように、スイッチ27を操作すると前輪部12も所定量移動するが浮いているので問題はない。
【0047】
また、通常の草刈りを行う場合は、水平機構21のブラケット部材21aと軸部材21bとを連結して水平維持機能を発揮させ、他方、連結棒26を外し、図2のデッキ部10の左側前方の位置に設けられている固定具30に嵌めこんでおく。これによって失う心配がない。その位置は、フリップアップする際に 乗用芝刈機から降りて直ぐに取り出せて、且つ邪魔にならないので望ましい。
【0048】
次に草刈りを行う場合の高さの微調整について説明する。その場合は刈高さシリンダ17を用いて、デッキ部10の地面Gに対する高さを次のように調節する。
【0049】
刈高さ調整スイッチ27(図1参照)によって、モータ171を所定量駆動すると、上述したように、刈高さシリンダ17のロッド17aが所定位置まで伸縮する。その結果、ロッド17aの先端に連結されている箱型の部分の軸16a1が移動し、第1連結具16aが所定位置に回動して来る。この第1連結具16aは連結軸16cに固定されているので、連結軸16cは所定量回動する。その結果、連結軸16cの両端に固定されている第1連結金具16dが回動する。その回動によって、第1連結ボルト16eを介して、第2連結金具16fが回動する。その回動によって、第2連結ボルト16gを介して、第3連結金具16hが回動して所定の位置に移動する。その第3連結金具16hの回動移動によって、前輪アーム部13が移動する。
【0050】
例えば、刈高さシリンダ17のロッド17aが伸長すると、第1連結具16aが矢印Bに示すように回動する。その回動によって固定されている連結軸16cが矢印Aの方向に回動する。その回動によって、第1連結金具16dが下方に回動し、それにつれて第2連結金具16fが下方に引き下ろされ、第3連結金具16hも下方へ移動する。その結果、前輪アーム部13は下方に移動する。その結果、前輪部12、12も下方に移動することになる。
【0051】
ここで、連結軸16cはブラケット16bによってデッキ部10に軸支されており、上記各部材の回動によって、前輪部12が下方に移動するということは、前輪部12側を基準にすると、デッキ部10側が上昇移動するということになる。すなわち、前輪部12の下端が地面Gに接地しているとすると、デッキ部10の下端が地面Gに対して、高い位置をとることになって、刈り高さが高くなるということになる。
【0052】
逆に刈高さシリンダ17のロッド17aが縮小すると、逆回動によって、前輪アーム部13は上方へ移動することになり、地面Gに対して低い位置をとることになる。
【0053】
このように、刈高さシリンダ17はデッキ部10の刈高さを調整する役割と、メンテナンス時のフリップアップを電動駆動させる役割を兼ねており便利である。この刈高さシリンダ17は本発明のアクチュエータの一例である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、簡単に芝刈り装置を跳ね上げ姿勢にしてメンテナンスを行うことが可能であり、乗用芝刈機に有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 モアユニット
2 走行車体
4,5 前輪、後輪
10 デッキ部
11 草刈機構
12 前輪部
13 前輪アーム部
14 後アーム部
15 昇降アーム
15a 前端
15b 引張り部位(ピン31)
16 リンク機構
16c 連結軸
17 刈高さシリンダ(アクチュエータ)
171モータ
20 連結支点
21 水平機構
21aブラケット部材
21b軸部材
22 支点軸
25 アーム部
26 連結棒
26a 先端
26b 後端
27 刈高さ調整スイッチ
30 固定具

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8