(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G09F9/00 342
G09F9/00 313
G09F9/00 350Z
(21)【出願番号】P 2021111686
(22)【出願日】2021-07-05
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】金本 武夫
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-024961(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0027944(KR,A)
【文献】特開2016-156999(JP,A)
【文献】国際公開第2021/015125(WO,A1)
【文献】特開2020-181129(JP,A)
【文献】特開2020-160169(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0081953(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K35/00-37/20
B60R1/00-1/04
1/08-1/31
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H05K5/00-5/06
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有し、平板状のガラス部(21)と、
通電によって発光し、前記ガラス部
(21)の下面側に積層するように設けられる平板状の自発光部(20)と、
透光性を有し、前記ガラス部
(21)の下面と前記自発光部
(20)の上面とを接着している光学接着部(22)と、
前記自発光部
(20)の下面を支持するための筐体(24)と、
放熱性を有し、前記自発光部
(20)の下面と前記筐体
(24)の上面とを接着している放熱接着部(23)と、を含み、
前記筐体
(24)の上面と前記自発光部
(20)の下面とは、平行であり、
前記ガラス部
(21)の下面側には、複数の前記自発光部
(20)が互いに間隔をあけて設けられ、
前記筐体
(24)には、複数の前記自発光部
(20)にそれぞれ対向する平坦状の複数の対向面部(32)が設けられており、
少なくとも1つの前記対向面部
(32)は、積層方向において、他の前記対向面部
(32)と上面の位置が異なり、
前記積層方向において、複数の前記自発光部
(20)の下面と複数の前記自発光部
(20)の下面に対向する前記対向面部
(32)の上面との間隔は、複数の前記ガラス部
(21)の下面と複数の前記自発光部
(20)の下面と対向する前記対向面部
(32)の上面を除いた前記筐体
(24)の上面の一部との間隔
と、同じである表示装置。
【請求項2】
透光性を有し、平板状のガラス部(21)と、
通電によって発光し、前記ガラス部
(21)の下面側に積層するように設けられる平板状の自発光部(20)と、
透光性を有し、前記ガラス部
(21)の下面と前記自発光部
(20)の上面とを接着している光学接着部(22)と、
前記自発光部
(20)の下面を支持するための筐体(24)と、
放熱性を有し、前記自発光部
(20)の下面と前記筐体
(24)の上面とを接着している放熱接着部(23)と、を含み、
前記筐体
(24)の上面と前記自発光部
(20)の下面とは、平行であり、
積層方向において、前記ガラス部
(21)の下面のうち前記自発光部
(20)と対向しておらず、前記筐体
(24)の上面と対向している領域を、非対向領域(33)とし、
前記非対向領域
(33)の少なくとも一部の領域において、前記ガラス部
(21)の下面と前記筐体
(24)の上面との間隔は、前記自発光部
(20)の下面と前記自発光部
(20)の下面が対向している前記筐体(
24)の上面との間隔と同じである表示装置。
【請求項3】
透光性を有し、平板状のガラス部(21)と、
通電によって発光し、前記ガラス部
(21)の下面側に積層するように設けられる平板状の自発光部(20)と、
透光性を有し、前記ガラス部
(21)の下面と前記自発光部
(20)の上面とを接着している光学接着部(22)と、
前記自発光部(20)の下面を支持するための筐体(24)と、
放熱性を有し、前記自発光部
(20)の下面と前記筐体
(24)の上面とを接着している放熱接着部(23)と、を含み、
前記筐体
(24)の上面と前記自発光部
(20)の下面とは、平行であり、
前記放熱接着部
(23)の硬化後の硬度は、前記光学接着部
(22)の硬化後の硬度よりも高い表示装置。
【請求項4】
前記ガラス部
(21)の下面側には、複数の前記自発光部
(20)が互いに間隔をあけて設けられ、
前記筐体
(24)には、複数の前記自発光部
(20)にそれぞれ対向する平坦状の複数の対向面部(32)が設けられており、
少なくとも1つの前記対向面部
(32)は、他の前記対向面部
(32)と上面の位置が異なり、
複数の前記自発光部
(20)の下面と対向する前記対向面部(32)の上面を除いた前記筐体
(24)の上面または前記対向面部
(32)の上面と、複数の前記自発光部
(20)の下面とは、それぞれ間隔が同じである請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ガラス部
(21)の下面のうち前記自発光部
(20)と対向しておらず、前記筐体
(24)の上面と対向している領域を、非対向領域(33)とし、
前記非対向領域
(33)の少なくとも一部の領域と前記筐体
(24)の上面との間隔は、前記自発光部
(20)の下面と前記自発光部
(20)の下面が対向している前記筐体
(24)の上面との間隔と同じである請求項1または3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記放熱接着部
(23)の硬化後の硬度は、前記光学接着部
(22)の硬化後の硬度よりも高い請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項7】
前記ガラス部
(21)および前記筐体
(24)には、互いに係合して位置合わせをするための係合部(43)がそれぞれ設けられている請求項1~6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
前記係合部
(43)は、
前記ガラス部
(21)の下面側に設けられ、少なくとも一部が前記自発光部
(20)の側面に対向し、前記自発光部
(20)の側面を保護するためのガイド部(41)と、
前記筐体
(24)の上面側に設けられ、少なくとも一部が前記ガイド部
(41)の前記自発光部
(20)側とは反対側にて係合する案内部(42)と、を有する請求項7に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のディスプレイ装置は、キャビネット内にディスプレイパネルを収納し、ディスプレイパネルの前側には保護用のカバープレートが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1に記載の構造では、ガラスからなるカバープレートが端面から割れることに着目し、端面を接着剤で保護している。
【0005】
しかし、表示面にガラスを用いたディスプレイ製品では、ユーザが指で表示面をタッチ操作したり、ユーザの意図とは異なり鋭利な物体が表示面に接触したりすることで、端面ではなく表示面の接触部分から損傷するおそれがある。
【0006】
そこで、開示される目的は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、表示面の損傷を抑制することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0008】
ここに開示された表示装置は、透光性を有し、平板状のガラス部(21)と、通電によって発光し、ガラス部(21)の下面側に積層するように設けられる平板状の自発光部(20)と、透光性を有し、ガラス部(21)の下面と自発光部(20)の上面とを接着している光学接着部(22)と、自発光部(20)の下面を支持するための筐体(24)と、放熱性を有し、自発光部(20)の下面と筐体(24)の上面とを接着している放熱接着部(23)と、を含み、筐体(24)の上面と自発光部(20)の下面とは、平行であり、ガラス部(21)の下面側には、複数の自発光部(20)が互いに間隔をあけて設けられ、筐体(24)には、複数の自発光部(20)にそれぞれ対向する平坦状の複数の対向面部(32)が設けられており、少なくとも1つの対向面部(32)は、積層方向において、他の対向面部(32)と上面の位置が異なり、積層方向において、複数の自発光部(20)の下面と複数の自発光部(20)の下面に対向する対向面部(32)の上面との間隔は、複数のガラス部(21)の下面と複数の自発光部(20)の下面と対向する対向面部(32)の上面を除いた筐体(24)の上面の一部との間隔と、同じである表示装置である。
またここに開示された表示装置は、透光性を有し、平板状のガラス部(21)と、通電によって発光し、ガラス部(21)の下面側に積層するように設けられる平板状の自発光部(20)と、透光性を有し、ガラス部(21)の下面と自発光部(20)の上面とを接着している光学接着部(22)と、自発光部(20)の下面を支持するための筐体(24)と、放熱性を有し、自発光部(20)の下面と筐体(24)の上面とを接着している放熱接着部(23)と、を含み、筐体(24)の上面と自発光部(20)の下面とは、平行であり、積層方向において、ガラス部(21)の下面のうち自発光部(20)と対向しておらず、筐体(24)の上面と対向している領域を、非対向領域(33)とし、非対向領域(33)の少なくとも一部の領域において、ガラス部(21)の下面と筐体(24)の上面との間隔は、自発光部(20)の下面と自発光部(20)の下面が対向している筐体(24)の上面との間隔と同じである表示装置である。
さらに、ここに開示された表示装置は、透光性を有し、平板状のガラス部(21)と、通電によって発光し、ガラス部(21)の下面側に積層するように設けられる平板状の自発光部(20)と、透光性を有し、ガラス部(21)の下面と自発光部(20)の上面とを接着している光学接着部(22)と、自発光部(20)の下面を支持するための筐体(24)と、放熱性を有し、自発光部(20)の下面と筐体(24)の上面とを接着している放熱接着部(23)と、を含み、筐体(24)の上面と自発光部(20)の下面とは、平行であり、放熱接着部(23)の硬化後の硬度は、光学接着部(22)の硬化後の硬度よりも高い表示装置である。
【0009】
このような表示装置に従えば、自発光部が発光した光は、透光性を有する光学接着剤を介して、ガラス部を通過する。これによってガラス部の上面が表示面として機能する。また自発光部は、筐体によって支持され、放熱接着部によって自発光部の下面が筐体の上面に固着されている。放熱接着部によって、放熱性を確保しつつ、自発光部を固定することができる。
【0010】
さらに本件発明者は、ガラス部の上面に応力が作用した場合に、自発光部と筐体との隙間によってガラス部の損傷度合いに変化があることを見出した。そし筐体の上面と自発光部の下面とを平行にして、放熱接着部の厚みが一様の場合に、ガラス部の強度が向上することを見出した。したがって筐体の上面と自発光部の下面とを平行にすることで、ガラス部の表示面の損傷を抑制することができる。
【0011】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図6】
図5の切断面線VI-VIから見た組立て行程を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態を、複数の形態を用いて説明する。各実施形態で先行する実施形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付すか、または先行の参照符号に一文字追加し、重複する説明を略する場合がある。また各実施形態にて構成の一部を説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している実施形態と同様とする。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0014】
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に関して、
図1および
図2を用いて説明する。本実施形態の表示装置は、車両に搭載されて、例えば、コンビネーションメータ装置、またはセンターインフォメーションディスプレイ装置に適用されている。コンビネーションメータ装置では、例えば、車速、エンジン回転数、走行燃費、航続可能距離等の各種車両情報が表示される。また、センターインフォメーションディスプレイ装置では、例えば、カーナビゲーション装置、カーエアコン装置、およびカーオーディオ装置等にかかる各種装置情報が表示される。
【0015】
表示装置10は、自発光式の表示部として、例えば、有機ELパネル20が使用されている。表示装置10は、
図1および
図2に示すように、有機ELパネル20、カバーパネル21、光学粘着シート22、放熱接着部23および筐体24を備えており、これらの各部材が積層されている。
【0016】
カバーパネル21は、有機ELパネル20を保護するために設けられた透光性の平板状の部材である。カバーパネル21は、有機ELパネル20の視認側に設けられている。カバーパネル21の視認側は、上面側である。またカバーパネル21の視認側とは反対の反視認側は、カバーパネル21の下面側である。
図2では、上側が視認側であり、下側が反視認側である。以下、平板状の部材において、厚み方向の上側に位置する面を、上面といい、厚み方向の下側に位置する面を、下面ということがある。
【0017】
カバーパネル21は、ガラス材から形成されておりガラス部に相当する。カバーパネル21は、透光性を有するので、有機ELパネル20によって形成される画像が透過してユーザに視認されるようになっている。カバーパネル21の正面形状は、
図1に示すように、横長の長方形を成している。
【0018】
有機ELパネル20は、自発光部であって、通電によって発光する。有機ELパネル20は、表示面にマトリックス配置される複数の画素の発光によって、各種車両情報や各種装置情報等の画像を表示する。有機ELパネル20は、カバーパネル21の下面側、
図2では下側に積層するように配置されている。有機ELパネル20の「EL」は、Electro Luminescenceの略表示である。有機ELパネル20は、OLED(Organic Light Emitting Diode)とも表示される。
【0019】
有機ELパネル20は、自発光式の表示部であり、例えば、液晶式のパネルのようなバックライトを必要としないので、表示装置10の厚み寸法としては、薄く設定することができる。反面、有機ELパネル20は、自発光式であること、および、薄型に伴い内部熱密度が増大することにより、作動時にある程度の発熱を伴う。また有機ELパネル20は、フレキシブル性を有しており、湾曲および折曲げたりすることも可能となっている。
【0020】
有機ELパネル20は、図示しない制御基板を有している。制御基板は、有機ELパネル20の表示面における画像の表示状態を制御するようになっている。制御基板は、フレキシブル配線によって、有機ELパネル20に接続されている。制御基板は、フレキシブル配線が折り返されて、たとえば筐体24の外側に固定されている。
【0021】
カバーパネル21と有機ELパネル20との間には、透光性および弾性を有する光学粘着シート22が設けられて、カバーパネル21と有機ELパネル20とは接着されている。光学粘着シート22は、光学接着部として機能する。光学粘着シート22は、カバーパネル21の下面と有機ELパネル20の上面とを接着している。
【0022】
筐体24は、有機ELパネル20の下面側に配置され、有機ELパネル20を支持する。筐体24は、薄型化された有機ELパネル20の剛性を得るための金属製の骨格部材となっている。また筐体24は、金属製部材とすることで、有機ELパネル20、制御基板に対するヒートシンクの役割を果たす部材にもなっている。筐体24は、いわゆるバスタブ状であり、底部が有機ELパネル20を支持する部分となる。また筐体24は、側壁の先端部がカバーパネル21の下面を支持する部分となる。カバーパネル21の下面の外縁部と、筐体24の側壁の先端部とは、接着剤によって接合されている。接着剤としては、弾性を有する弾性接着剤を用いるのが好ましい。
【0023】
有機ELパネル20と筐体24との間には、放熱接着部23が介在している。放熱接着部23は、有機ELパネル20の下面と筐体24の上面とを接着している。放熱接着部23は、放熱性を有する。放熱接着部23は、空気よりも熱伝導率が大きく、本実施形態では光学粘着シート22よりも放熱性に優れる。放熱接着部23は、たとえば樹脂からなる接着材に熱伝導性物質を高充填した複合材料によって実現される。また放熱接着部23は、硬化前は液体状またはゲル状である。これによって有機ELパネル20と筐体24とを近接させた状態であっても、有機ELパネル20と筐体24との隙間に放熱接着部23を塗布して充填することができる。有機ELパネル20で発生される熱は、放熱接着部23を介して、筐体24から外部に放出されるようになっている。
【0024】
筐体24の上面と有機ELパネル20の下面とは、平行である。換言すると、放熱接着部23は、厚みが一様である。平行とは、略平行を含み、筐体24の上面と有機ELパネル20の下面との相対角度は1度未満が好ましい。
【0025】
放熱接着部23は、硬化後は硬い方が好ましい。放熱接着部23の硬化後の硬度は、本実施形態でぇあ、光学粘着シート22の硬化後の硬度よりも高い。硬化後の放熱接着部23のショア硬度は、A95以上が好ましい。A型硬度は、ISO(国際標準化機構)やデュロメータ(ショア)などに準拠した硬度に関する基準である。また放熱接着部23の厚みは、薄い方が好ましく、本実施形態では光学粘着シート22よりも厚みが小さい。放熱接着部23の厚みは、たとえば0.3mm以下、より好ましくは0.2mm以下に設定される。
【0026】
以上説明したように本実施形態の表示装置10は、有機ELパネル20が発光した光は、透光性を有する光学粘着シート22を介して、カバーパネル21を通過する。これによってカバーパネル21の上面が表示面として機能する。また有機ELパネル20は、筐体24によって支持され、放熱接着部23によって有機ELパネル20の下面が筐体24の上面に固着されている。放熱接着部23によって、放熱性を確保しつつ、有機ELパネル20を固定することができる。
【0027】
また本実施形態では、筐体24の上面と有機ELパネル20の下面とを平行に配置している。これによって放熱接着部23の厚みは一様となる。放熱接着部23の厚みが一様の場合、カバーパネル21の強度が向上する。したがってカバーパネル21の表示面の損傷を抑制することができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に関して、
図3および
図4を用いて説明する。本実施形態では、1つのカバーパネル21の下面側に、複数の有機ELパネル20Aが搭載されている点に特徴を有する。
【0029】
本実施形態では、
図3および
図4に示すように、有機ELパネル20Aは、複数、本実施形態では3つ設けられている。各有機ELパネル20Aは、ユーザ側から見た形状(表示面)が、それぞれ横長の四角形を成しており、複数の有機ELパネル20Aが長辺方向に並べられている。
【0030】
有機ELパネル20Aは、カバーパネル21の下面に、互いに間隔をあけて設けられている。そして少なくとも1つの有機ELパネル20Aは、他の有機ELパネル20Aと厚み寸法が異なる。本実施形態では、左右方向の中央に位置する有機ELパネル20Aは、他の有機ELパネル20Aよりも厚み寸法が大きい。
【0031】
中央の有機ELパネル20Aは、タッチパネル30をさらに有するので、厚み寸法が大きい。タッチパネル30を有するので、ユーザは、カバーパネル21に指などでタッチすることでタッチ操作をすることができる。タッチパネル30は、有機ELパネル20Aのカバーパネル21側にタッチセンサ用光学粘着シート31を介して設けられる。タッチパネル30は、ユーザの指によるタッチ操作に基づく静電容量の変化に応じて、指による操作状態を検出する静電容量式の検出部となっている。指による操作状態に応じて、車両の各種所定機器に対する作動条件の入力操作等ができるようになっている。タッチパネル30の下面には、光学粘着シート22を介して、有機ELパネル20Aが積層されている。
【0032】
図4に示すように、筐体24Aの上面側には、平坦状の複数、本実施形態では3つの対向面部32が設けられている。各有機ELパネル20Aは、各対向面部32に対向するように位置する。少なくとも1つの対向面部32は、他の対向面部32と積層方向、すなわち
図4の上下方向の上面の位置が異なる。
【0033】
そして複数の有機ELパネル20Aの下面と対向する対向面部32を除いた筐体24Aの上面または対向面部32の上面と、複数の有機ELパネル20Aの下面とは、それぞれ間隔T0が同じである。本実施形態では、3つの有機ELパネル20Aの下面が、3つの対向面部32にそれぞれ対向している。
【0034】
またカバーパネル21の下面のうち有機ELパネル20Aと対向しておらず、筐体24Aの上面と対向している領域を、非対向領域33とする。非対向領域33の少なくとも一部の領域と筐体24Aの上面との間隔T0は、有機ELパネル20Aの下面と非対向領域33に対向していない筐体24Aの上面との間隔T0と同じである。
【0035】
そして有機ELパネル20と筐体24Aとの間は、放熱接着部23によって充填されている。有機ELパネル20と筐体24Aとを接着するときに、予め筐体24Aに液体状の放熱接着部23を必要量だけ充填しておき、筐体24Aを組み付けることで硬化前の放熱接着部23を間隔に充填することができる。その後、放熱接着部23が硬化することで、有機ELパネル20と筐体24Aとを固着することができる。
【0036】
図4に示すように、比較例では、筐体24Aの上面が平坦状であるので、矢印で示す筐体24Aの上面から各有機ELパネル20Aの下面までの間隔T1~T3、およびカバーパネル21の下面までの間隔T4が異なる。これに対して、実施例では、筐体24Aの上面が平坦状でなく、凹凸がある形状である。これによって
図4にて矢印で示す筐体24Aの上面から各有機ELパネル20Aの下面までの間隔T0、およびカバーパネル21の下面までの間隔T0が同じである。また筐体24Aは、
図4に示すように、平板を曲げ加工することによって実現している。
【0037】
このように本実施形態では、複数の有機ELパネル20Aを有し、カバーパネル21の下面から有機ELパネル20Aの下面までの距離が異なる場合であっても、筐体24Aの上面と有機ELパネル20Aの下面とが同じになるように筐体24Aが構成されている。これによって前述の第1実施形態と同様に、放熱接着部23の厚みは一様となる。したがって複数の有機ELパネル20Aを有する構成であっても、カバーパネル21の損傷を抑制することができる。
【0038】
本実施形態では、筐体24Aは、平板を曲げ加工することによって実現しているが、このような構成に限るものではない。たとえば
図2に示す筐体24Aの上面に、先端面が平坦状の複数の台部を設けても良い。台座の上面が、対向面部32の上面に該当する。そして、少なくとも1つの台部は、他の台部と厚み寸法が異なるように構成する。これによって本実施形態と同様に、複数の有機ELパネル20Aの下面と対向する筐体24Aの上面または台部の先端面と、複数の有機ELパネル20Aの下面とは、それぞれ間隔が同じにすることができる。
【0039】
また本実施形態では、有機ELパネル20Aはタッチパネル30の有無で厚み寸法が異なっているが、厚み寸法が異なる要因は、このような要因に限るものではない。たとえば有機ELパネル20Aおよび光学粘着シート22の構成および材質などの違いによっても、カバーパネル21の下面から有機ELパネル20Aの下面までの厚み寸法が異なる場合がある。このような場合であっても、有機ELパネル20Aの下面から筐体24Aの上面までの距離が同じになるように筐体24Aの形状を選択することで、前述の作用および効果を奏することができる。
【0040】
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態に関して、
図5~
図7を用いて説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態の同様に、1つのカバーパネル21の下面側に、複数の有機ELパネル20Bが搭載されている。そしてカバーパネル21の下面側に、ガイド部41を有する点に特徴を有する。
【0041】
ガイド部41は、有機ELパネル20Bの側面を保護するために設けられる。ガイド部41は、カバーパネル21の下面側に突出するように設けられる。ガイド部41は、少なくとも一部が有機ELパネル20Bの側面に対向する。
図5および
図6に示すように、カバーパネル21の下面側に四角枠状のガイド部41が、複数の有機ELパネル20Bを囲むように設けられる。ガイド部41は有機ELパネル20Bを囲むように設けられるので、有機ELパネル20Bの側面に対して他の部材が接触することを防ぐことができる。
【0042】
ガイド部41は、筐体24Aに接触しても、機械的および電気的に問題のない強度の材料および形状が選択される。ガイド部41は、たとえば厚み1mm、高さ1mmに設定される。またガイド部41は、たとえば樹脂からなり、具体的にはPC(ポリカーボネート)からなる。
【0043】
図7に示すように、筐体24Aを組み付けるときには、筐体24Bと有機ELパネル20Bを備えるカバーパネル21を積層方向に近接させる。このときに、ガイド部41は筐体24Bの一部に接触、または近接して、筐体24Bの一部である案内部42が有機ELパネル20Bの側面に接触することを防止する。筐体24Bの案内部42は、
図7にてガイド部41に接触している部分である。案内部42は、筐体24Bの底部から突出するように設けられる。そして案内部42は、少なくとも一部がガイド部41の有機ELパネル20B側とは反対側にて係合する。案内部42は、筐体24の側壁の先端部とも言え、カバーパネル21の下面を支持する部分ともなる。
【0044】
したがって筐体24Bの案内部42とカバーパネル21のガイド部41は、互いに係合して位置合わせをするための係合部43として機能する。換言すると、ガイド部41が雄部であり、案内部42が雌部として、嵌合することで係合する位置関係にある。
【0045】
このように本実施形態では、係合部43として、カバーパネル21のガイド部41と、筐体24Bに案内部42とを含む。これによって組付け時に、有機ELパネル20Bと筐体24Bとが接触して、有機ELパネル20Bが損傷することを抑制することができる。
【0046】
本実施形態では、係合部43はガイド部41と案内部42によって実現されているが、このような構成に限るものではない。たとえばカバーパネル21および筐体24Bのいずれか一方にガイド用のピンを設け、いずれか他方にピンが挿通する穴部を形成して、ピンと穴部とによって係合部43を実現してもよい。このようなピンと穴部でも、両者の位置合わせが可能となる。またピンの位置は任意であり、たとえば隣接する有機ELパネル20Bの間に設けてもよい。
【0047】
(その他の実施形態)
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に何ら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0048】
前述の実施形態の構造は、あくまで例示であって、本開示の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0049】
前述の第1実施形態では、自発光式の表示部として、有機ELパネル20Bを代表例として説明したが、これに限定されることなく、他の蛍光表示管、無機ELディスプレイ等に適用してもよい。また表示装置10は車両で用いられているが、車両に搭載された状態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
10…表示装置 20…有機ELパネル(自発光部) 21…カバーパネル(ガラス部)
22…光学粘着シート(光学接着部) 23…放熱接着部 24…筐体
30…タッチパネル 31…タッチセンサ用光学粘着シート 32…対向面部
33…非対向領域 41…ガイド部 42…案内部 43…係合部