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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ケースおよび電気装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240910BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H05K7/20 N
H01L23/46 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021111691
(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公開番号】P2023008266
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】三浦 進一
(72)【発明者】
【氏名】森本 海
(72)【発明者】
【氏名】井村 仁史
(72)【発明者】
【氏名】孟 玉東
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-186633(JP,A)
【文献】特開2006-342367(JP,A)
【文献】特開2002-257490(JP,A)
【文献】特開2010-272870(JP,A)
【文献】特開2010-027963(JP,A)
【文献】特開2020-194695(JP,A)
【文献】特開2019-125716(JP,A)
【文献】特開2011-101001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/34 - 23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒の流れる流路(100)の形成されたケース(10)であって、
前記冷媒の供給される供給口(111)と、前記冷媒の排出される排出口(131)と、前記供給口と前記排出口とを連結して前記流路の一部を区画するように、底部(23)の下面(23b)から上面(23a)に向かって前記下面と前記上面の並ぶ並び方向で凹む凹部(30)と、を備える本体(20)と、
前記下面に第1主面(50a)が前記流路を囲むように接合されることで、前記凹部を閉塞して前記流路を形作るカバー(50)と、を有し、
前記カバーにおける前記流路の一部を区画する部位に、前記並び方向で前記第1主面の裏側の第2主面(50b)から前記第1主面に向かって凹むとともに、前記流路の延長方向に延びる延長部(60)が形成され、
前記延長部の前記延長方向の端部(66)が、前記流路に沿うとともに前記延長方向に直交する幅方向に延びており、
前記延長部が複数に分断され、
前記流路は、
一端に前記供給口の連結される第1流路(110)と、
前記供給口と前記排出口の並ぶ横方向で前記第1流路と並び、一端に前記排出口の連結される第3流路(130)と、
前記第1流路から前記第3流路に向かって折り返すように延びて、前記第1流路の他端と前記第3流路の他端とを連結する第2流路(120)と、を有し、
前記底部は、
前記流路に前記並び方向まわりの周方向で囲まれる中央壁部(35)と、前記流路を前記周方向で囲む外周壁部(40)と、を有し、
前記カバーが前記中央壁部と前記流路と前記外周壁部の一部を覆うように前記下面に取り付けられ、
複数に分断された前記延長部の前記端部のうちの少なくとも2つが前記第2流路に設けられ、
前記中央壁部は、前記供給口および前記排出口側の第1中央壁部(31)と、前記第2流路側の第2中央壁部(32)と、を有し、
前記第2中央壁部の前記横方向の最大幅が、前記第1中央壁部の前記横方向の最大幅より大きく、
前記第2中央壁部と前記カバーとが前記第2流路に沿って環状に接合されているケース。
【請求項2】
前記第2流路に設けられた前記端部のうちの2つが前記延長方向で対向している請求項に記載のケース。
【請求項3】
前記第2流路に設けられた前記端部のうちの2つの離間距離が、前記中央壁部の前記横方向の幅の平均よりも小さくなっている請求項またはに記載のケース。
【請求項4】
前記第2流路に設けられた前記端部のうちの2つの離間距離が、前記延長部の前記幅方向の幅の平均よりも小さくなっている請求項のいずれか1項に記載のケース。
【請求項5】
前記延長部を複数有し、
複数の前記延長部が前記幅方向で並んでいる請求項のいずれか1項に記載のケース。
【請求項6】
電気部品(15,16,17)と、前記電気部品を自身の内部空間(21)に収容したケース(10)と、を備え、冷媒が流れる流路(100)が前記ケースに形成された電気装置(1)であって、
前記ケースは、
前記冷媒の供給される供給口(111)と、前記冷媒の排出される排出口(131)と、前記供給口と前記排出口とを連結して前記流路の一部を区画するように、底部(23)の下面(23b)から上面(23a)に向かって前記下面と前記上面の並ぶ並び方向で凹む凹部(30)と、を備える本体(20)と、
前記下面に第1主面(50a)が前記流路を囲むように接合されることで、前記凹部を閉塞して前記流路を形作るカバー(50)と、を有し、
前記カバーにおける前記流路の一部を区画する部位に、前記並び方向で前記第1主面の裏側の第2主面(50b)から前記第1主面に向かって凹むとともに、前記流路の延長方向に延びる延長部(60)が形成され、
前記延長部の前記延長方向の端部(66)が、前記流路に沿うとともに前記延長方向に直交する幅方向に延びており、
前記延長部が複数に分断され、
前記流路は、
一端に前記供給口の連結される第1流路(110)と、
前記供給口と前記排出口の並ぶ横方向で前記第1流路と並び、一端に前記排出口の連結される第3流路(130)と、
前記第1流路から前記第3流路に向かって折り返すように延びて、前記第1流路の他端と前記第3流路の他端とを連結する第2流路(120)と、を有し、
前記底部は、
前記流路に前記並び方向まわりの周方向で囲まれる中央壁部(35)と、前記流路を前記周方向で囲む外周壁部(40)と、を有し、
前記カバーが前記中央壁部と前記流路と前記外周壁部の一部を覆うように前記下面に取り付けられ、
複数に分断された前記延長部の前記端部のうちの少なくとも2つが前記第2流路に設けられ、
前記中央壁部は、前記供給口および前記排出口側の第1中央壁部(31)と、前記第2流路側の第2中央壁部(32)と、を有し、
前記第2中央壁部の前記横方向の最大幅が、前記第1中央壁部の前記横方向の最大幅より大きく、
前記第2中央壁部と前記カバーとが前記第2流路に沿って環状に接合されている電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、ケースおよび電気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷媒が流れる流路を有するケースが開示されている。ケースは、流路を構成する側面のうち上面が開放された本体と、流路の開口部を覆うカバーとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-125716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流路を囲むようにカバーが本体に接合されている。冷媒からカバーに与えられる圧力によって、カバーが流路の幅方向で本体とカバーの並ぶ方向に変形する虞がある。
【0005】
そこで本開示の目的は、冷媒からカバーに与えられる圧力によってカバーが幅方向で並び方向に変形することの抑制されたケースや電気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によるケースは、
冷媒の流れる流路(100)の形成されたケース(10)であって、
冷媒の供給される供給口(111)と、冷媒の排出される排出口(131)と、供給口と排出口とを連結して流路の一部を区画するように、底部(23)の下面(23b)から上面(23a)に向かって下面と上面の並ぶ並び方向で凹む凹部(30)と、を備える本体(20)と、
下面に第1主面(50a)が流路を囲むように接合されることで、凹部を閉塞して流路を形作るカバー(50)と、を有し、
カバーにおける流路の一部を区画する部位に、並び方向で第1主面の裏側の第2主面(50b)から第1主面に向かって凹むとともに、流路の延長方向に延びる延長部(60)が形成され、
延長部の延長方向の端部(66)が、流路に沿うとともに延長方向に直交する幅方向に延びており、
延長部が複数に分断され、
流路は、
一端に供給口の連結される第1流路(110)と、
供給口と排出口の並ぶ横方向で第1流路と並び、一端に排出口の連結される第3流路(130)と、
第1流路から第3流路に向かって折り返すように延びて、第1流路の他端と第3流路の他端とを連結する第2流路(120)と、を有し、
底部は、
流路に並び方向まわりの周方向で囲まれる中央壁部(35)と、流路を周方向で囲む外周壁部(40)と、を有し、
カバーが中央壁部と流路と外周壁部の一部を覆うように下面に取り付けられ、
複数に分断された延長部の端部のうちの少なくとも2つが第2流路に設けられ、
中央壁部は、供給口および排出口側の第1中央壁部(31)と、第2流路側の第2中央壁部(32)と、を有し、
第2中央壁部の横方向の最大幅が、第1中央壁部の横方向の最大幅より大きく、
第2中央壁部とカバーとが第2流路に沿って環状に接合されている。
【0007】
上記ケースによれば、冷媒からカバーに与えられる圧力によってカバーが幅方向で並び方向に変形することが抑制される。
【0008】
本開示の一態様による電気装置は、
電気部品(15,16,17)と、電気部品を自身の内部空間(21)に収容したケース(10)と、を備え、冷媒が流れる流路(100)がケースに形成された電気装置(1)であって、
ケースは、
冷媒の供給される供給口(111)と、冷媒の排出される排出口(131)と、供給口と排出口とを連結して流路の一部を区画するように、底部(23)の下面(23b)から上面(23a)に向かって下面と上面の並ぶ並び方向で凹む凹部(30)と、を備える本体(20)と、
下面に第1主面(50a)が流路を囲むように接合されることで、凹部を閉塞して流路を形作るカバー(50)と、を有し、
カバーにおける流路の一部を区画する部位に、並び方向で第1主面の裏側の第2主面(50b)から第1主面に向かって凹むとともに、流路の延長方向に延びる延長部(60)が形成され、
延長部の延長方向の端部(66)が、流路に沿うとともに延長方向に直交する幅方向に延びており、
延長部が複数に分断され、
流路は、
一端に供給口の連結される第1流路(110)と、
供給口と排出口の並ぶ横方向で第1流路と並び、一端に排出口の連結される第3流路(130)と、
第1流路から第3流路に向かって折り返すように延びて、第1流路の他端と第3流路の他端とを連結する第2流路(120)と、を有し、
底部は、
流路に並び方向まわりの周方向で囲まれる中央壁部(35)と、流路を周方向で囲む外周壁部(40)と、を有し、
カバーが中央壁部と流路と外周壁部の一部を覆うように下面に取り付けられ、
複数に分断された延長部の端部のうちの少なくとも2つが第2流路に設けられ、
中央壁部は、供給口および排出口側の第1中央壁部(31)と、第2流路側の第2中央壁部(32)と、を有し、
第2中央壁部の横方向の最大幅が、第1中央壁部の横方向の最大幅より大きく、
第2中央壁部とカバーとが第2流路に沿って環状に接合されている。
【0009】
上記電気装置によれば、上記ケースと同様の効果を奏することができる。
【0010】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】開口部側から見た電力変換装置の平面図である。
図2図1のII-II線に沿う電力変換装置の断面図である。
図3】底部側から見た本体の平面図である。
図4】第2主面から見たカバーの平面図である。
図5】底部側から見た電力変換装置の平面図である。
図6図5のVI-VI線に沿う電力変換装置の断面図である。
図7】一部を拡大した底部側から見た電力変換装置の平面図である。
図8図7のVIII-VIII線に沿う電力変換装置の断面図である。
図9図7のIX-IX線に沿う電力変換装置の断面図である。
図10】端部間の離間距離と延長部および第2中央部の幅との関係を説明する電力変換装置の平面図である。
図11】第2実施形態を説明する底部側から見た電力変換装置の平面図である。
図12】第3実施形態を説明する底部側から見た電力変換装置の平面図である。
図13】第4実施形態を説明する底部側から見た電力変換装置の平面図である。
図14】構成群Aを説明する底部側から見た電力変換装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0013】
また、各実施形態で組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0014】
<第1実施形態>
図1に示す電力変換装置1は、駆動システムに含まれている。駆動システムは、例えば電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)、燃料電池車などの車両に搭載されている。駆動システムは、電力変換装置1に加えて、インバータ装置、バッテリ及びモータを有している。駆動システムは、モータを駆動して車両の駆動輪を駆動するシステムである。
【0015】
バッテリは、充放電可能な2次電池で構成された直流電圧源である。2次電池は、たとえばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池である。駆動システムは、バッテリとして高電圧バッテリ及び低電圧バッテリを有している。高電圧バッテリの電圧は例えば100Vであり、低電圧バッテリの電圧は例えば12Vである。高電圧バッテリは第1電源部と称されることがあり、低電圧バッテリは第2電源部と称されることがある。
【0016】
モータは、3相交流方式の回転電機である。モータは、3相としてU相、V相、W相を有している。モータは、車両の走行駆動源である電動機として機能する。モータは、回生時に発電機として機能する。
【0017】
インバータ装置は、高電圧バッテリとモータとの間で電力変換を行う。インバータ装置は、双方向の電力変換が可能になっている。インバータ装置は、高電圧バッテリからの直流電力を交流電力に変換してモータに供給する。また、インバータ装置は、モータにて発電された交流電力を直流電力に変換して高電圧バッテリに供給する。インバータ装置はインバータ回路及びコンデンサを有している。インバータ回路は、複数の半導体スイッチを含んで構成されている。コンデンサは、例えば平滑コンデンサであり、高電圧バッテリからインバータ回路に供給される直流電圧を平滑化する。
【0018】
電力変換装置1は、コンバータ装置である。電力変換装置1や後述するコンバータユニット15がDCDCコンバータと称されることがある。電力変換装置1は、双方向の電力変換が可能になっている。電力変換装置1は、直流電圧を異なる電圧の直流電圧に変換する。電力変換装置1は、高電圧バッテリと低電圧バッテリとの間で電力変換を行う。電力変換装置1は、高電圧バッテリからの直流電圧を降圧して低電圧バッテリに供給する。また、電力変換装置1は、インバータ装置と低電圧バッテリとの間で電力変換を行う。電力変換装置1は、インバータ装置からの直流電圧を降圧して低電圧バッテリに供給する。
【0019】
電力変換装置1は、コンバータ回路、コンデンサ及びリアクトルを有している。コンバータ回路は、複数の半導体スイッチを含んで構成されている。コンデンサは、例えばフィルタコンデンサであり、高電圧バッテリからの電源ノイズを除去する。リアクトルは、例えばコンバータ回路での半導体スイッチのスイッチング動作に伴って高電圧バッテリからの電圧を昇圧する。また、電力変換装置1は、コンバータ回路の制御を行う制御装置を有している。制御装置は、ECU等により構成されている。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。なお、制御装置はインバータ装置に含まれていてもよく、電力変換装置1とインバータ装置とで共通の制御装置が設けられていてもよい。
【0020】
次に、電力変換装置1の構造について、図1図2を参照しつつ説明する。
【0021】
図1図2に示すように、電力変換装置1は、コンバータユニット15、コンデンサユニット16、リアクトルユニット17、および、これらを収納するケース10を有している。ケース10はコンバータユニット15~リアクトルユニット17を収納する本体20と、本体20に取り付けられるカバー50とを有する。本体20とカバー50の詳細については後で説明する。
【0022】
なお、コンバータユニット15、コンデンサユニット16、および、リアクトルユニット17は電気部品に相当する。電力変換装置1は電気装置に相当する。ケース10は、コンバータケースと称されることがある。
【0023】
なお、図2では、コンバータユニット15及びリアクトルユニット17について断面ではなく側面を図示している。
【0024】
コンバータユニット15は、コンバータ回路の半導体スイッチを構成するスイッチング素子と、このスイッチング素子を保護する被覆樹脂とを有している。コンデンサユニット16は、フィルタコンデンサを構成するコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を保護するコンデンサケースとを有している。リアクトルユニット17は、リアクトルを構成するリアクトル素子と、このリアクトル素子を保護するリアクトルケースとを有している。
【0025】
<電力変換装置の機械的構成>
次に、電力変換装置1の機械的構成を説明する。以下において直交の関係にある3方向をx方向、y方向、z方向とする。なお、横方向はy方向に相当する。並び方向はz方向に相当する。また図面において「方向」の記載を省略している。
【0026】
図1および図2に示すように本体20は箱型形状を成している。本体20は底部23と側部24を有している。図2に示すように底部23はz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。
【0027】
底部23はz方向に並ぶ上面23aとその裏側の下面23bを有している。上面23aに側部24が連結されている。側部24は上面23aから遠ざかる態様で環状に起立している。側部24はx方向に離間して並ぶ第1側部24aおよび第3側部24cと、y方向に離間して並ぶ第2側部24bおよび第4側部24dを有している。第1側部24a~第4側部24dによって内部空間21が区画されている。さらに第1側部24a~第4側部24dそれぞれの上面23aから離間した端によってz方向に開口する開口部22が形成されている。
【0028】
図1および図2に示すようにこの内部空間21にコンバータユニット15、コンデンサユニット16、および、リアクトルユニット17それぞれが収納されている。
【0029】
コンデンサユニット16とリアクトルユニット17が内部空間21の第1側部24a側に収納されている。コンデンサユニット16とリアクトルユニット17がy方向に離間して並んでいる。コンデンサユニット16が第2側部24b側に収納されている。リアクトルユニット17が第4側部24d側に収納されている。
【0030】
またコンバータユニット15が内部空間21の第3側部24c側に収納されている。コンバータユニット15がリアクトルユニット17とx方向に離間して並んでいる。
【0031】
図2に示すように底部23には下面23bから上面23aに向かって凹む凹部30が形成されている。凹部30は後述の流路100の一部を区画している。凹部30とは本体20に冷媒を流すための窪みである。z方向の平面視で凹部30は略U字状形状を成している。
【0032】
図1~3に示すように凹部30は流路100の幅方向で側部24側に位置する第2内面30bと、第2内面30bと幅方向で対向する第1内面30aと、第1内面30aと第2内面30bを連結する連結面30cによって区画されている。なお、幅方向とは流路100に沿うとともに流路100の延長方向に直交する方向のことである。
【0033】
なお、延長方向は第1内面30aおよび第2内面30bにおける後述の供給口111から排出口131に向かって延びる方向に相当している。また延長方向とは冷媒の流れる流れ方向に相当している。
【0034】
以下、第1内面30aを備える底部23を中央壁部35と示す。第2内面30bを備える底部23を外周壁部40と示す。凹部30が中央壁部35の第1内面30aと外周壁部40の第2内面30bと連結面30cによって区画されている。
【0035】
また図3に示すように、底部23には連結面30cからz方向に遠ざかるように突出する隔壁70が形成されている。隔壁70については後で説明する。
【0036】
<カバー>
図2に示すようにカバー50はz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。カバー50はz方向に並ぶ第1主面50aとその裏側の第2主面50bを有している。
【0037】
第1主面50aが連結面30cに対向する態様で、カバー50が下面23bに設けられている。第1主面50aが連結面30cに対向する態様で、カバー50が中央壁部35の下面23bと外周壁部40の下面23bに取り付けられている。カバー50が中央壁部35の下面23bと外周壁部40の下面23bそれぞれに摩擦撹拌接合によって機械的に連結されている。
【0038】
より具体的に言えば、図5に示すように第1接合箇所33aから第2接合箇所33bの間でカバー50が中央壁部35に接合されている。さらに図5に示すように凹部30をz方向周りの周方向に囲むよう第2接合箇所33bから第7接合箇所33gを通って環状にカバー50が外周壁部40に接合されている。なお、上記した第1接合箇所33aでカバー50が後述の中央壁部35の第2中央壁部32に接合されている。
【0039】
そのために第1主面50a、第1内面30a、連結面30c、および、第2内面30bによって流路100が区画されている。z方向の平面視で流路100は略U字形状を成している。
【0040】
また図4図6に示すように、カバー50には第2主面50bから第1主面50aに向かって凹むとともに流路100の延長方向に延びる延長部60が形成されている。なお、延長部60はビードとも称される。延長部60の詳細については後で説明する。流
<流路>
以下流路100の具体的な形態について説明する。図1および図5に示すように流路100は第1流路110、第2流路120、および、第3流路130を有している。第1流路110、第2流路120、および、第3流路130は流路100の延長方向に順に並んでいる。
【0041】
図1および図5に示すように第1流路110と第3流路130はy方向に離間して並んでいる。
【0042】
第1流路110は第2側部24b側でx方向に沿って延びている。供給口111が第1流路110の第1側部24a側の一端に設けられている。
【0043】
第3流路130は第4側部24d側でx方向に沿って延びている。排出口131が第3流路130の第1側部24a側の一端に設けられている。
【0044】
第1流路110における供給口111から離間した側の他端と、第3流路130における排出口131から離間した側の他端との間に、第2流路120が接続されている。第2流路120は供給口111から排出口131に向かって折り返して延びている。z方向の平面視で第2流路120は略U字形状を成している。
【0045】
流路100の延長方向とは第1流路110と第3流路130においてはx方向に相当している。第2流路120においては第2中央壁部32の周りの周方向に相当している。
【0046】
なお、図面において第1流路110と第2流路120と第3流路130の境界を二点鎖線で示している。第1流路110と第2流路120の境界線は流路100の曲がり始めの位置に相当する。第2流路120と第3流路130の境界線は流路100の曲がり終わりの位置に相当する。
【0047】
そして冷媒は供給口111から第1流路110に供給される。冷媒は第1流路110を通った後、第2流路120に流される。冷媒は第2流路120を通った後、第3流路130に流される。そして第3流路130を通った冷媒が排出口131から排出される。
【0048】
なお、図面においては第2側部24b側に第1流路110が形成され、第4側部24d側に第3流路130が形成される形態を説明したが、第4側部24d側に第1流路110が形成され、第2側部24b側に第3流路130が形成されていてもよい。
【0049】
<中央壁>
図1および図5に示すようにこれまでに説明した中央壁部35は、第1流路110と第2流路120と第3流路130の間に設けられている。中央壁部35は第1流路110と第3流路130の間の第1中央壁部31と、第2流路120と第1中央壁部31に囲まれた第2中央壁部32を有する。第2中央壁部32は第1流路110と第2流路120と第3流路130それぞれに囲まれている。また図1および図5に示すように第2中央壁部32は略半円形状を成している。
【0050】
<隔壁>
これまでに説明したように、底部23には連結面30cからz方向に遠ざかるように突出する隔壁70が形成されている。図3および図5に示すように隔壁70は第1隔壁71と第2隔壁72を有する。
【0051】
第1隔壁71と第2隔壁72は流路100の延長方向に延びている。すなわちz方向の平面視において第1隔壁71と第2隔壁72は略U字形状を成している。
【0052】
第1隔壁71と第2隔壁72は幅方向に離間して並んでいる。第1隔壁71と第2隔壁72とが、第1内面30aから第2内面30bに向かって第1隔壁71、第2隔壁72の順に並んでいる。
【0053】
また図3および図5に示すように中央壁部35、第1隔壁71、第2隔壁72、および、外周壁部40によって流路100が3つに分流されている。以下説明を簡便とするために中央壁部35と第1隔壁71の間の分流経路を第1分流経路210と示す。第1隔壁71と第2隔壁72の間の分流経路を第2分流経路220と示す。第2隔壁72と外周壁部40の間の分流経路を第3分流経路230と示す。
【0054】
<延長部>
これまでに説明したようにカバー50に第2主面50bから第1主面50aに向かって凹むとともに流路100の延長方向に延びる延長部60が形成されている。そのために当然ながら延長部60は自身を形成する幅方向の両端に位置する端部66や延長方向の両端に位置する端部66によってカバー50の主部に連結されている。なお、カバー50の主部とはカバー50から延長部60を除いた部位のことである。以下カバー50の主部を単にカバー50と示す。また延長部60は図示しないが、延長方向に肉厚であってもよい。延長部60が所謂リブ形状を成していても良い。
【0055】
図4図6に示すように延長部60は幅方向に並ぶ第1延長部61と第2延長部62と第3延長部63を有している。第1延長部61~第3延長部63は第1内面30aから第2内面30bに向かって幅方向に離間する態様で順に並んでいる。なお、以下説明を簡便とするために、第1延長部61~第3延長部63に共通する構成を説明する場合にはこれらを区別せずに適宜、延長部60と示す。また延長部60は湾曲しているために弾性変形しやすくなっている。
【0056】
次に延長部60と流路100との位置関係を説明する。図5に示すように第1延長部61は供給口111側に位置する供給口側第1延長部61aと、排出口131側に位置する排出口側第1延長部61bとに分断されている。
【0057】
そして図5図7に示すように供給口側第1延長部61aが第1流路110の第1分流経路210と第2流路120の第1分流経路210に設けられている。
【0058】
排出口側第1延長部61bが第3流路130の第1分流経路210と第2流路120の第1分流経路210に設けられている。
【0059】
さらに供給口側第1延長部61aにおける第2流路120に設けられる部位がz方向周りの周方向で第2中央壁部32に沿って延びている。排出口側第1延長部61bにおける第2流路120に設けられる部位がz方向周りの周方向で第2中央壁部32に沿って延びている。なお、第2中央壁部32の中心線はz方向に延びている。供給口側第1延長部61aにおける第2流路120に設けられる部位と排出口側第1延長部61bにおける第2流路120に設けられる部位が、第2中央壁部32の中心線の周方向に延びている。
【0060】
図8に示すように供給口側第1延長部61aにおける第2流路120に設けられる部位の先端の第1端部64が幅方向に延びている。
【0061】
図9に示すように排出口側第1延長部61bにおける第2流路120に設けられる部位の先端の第2端部65が幅方向に延びている。
【0062】
また図7および図10に示すように第1端部64と第2端部65とが延長方向で対向している。上記したように第1接合箇所33aでカバー50が第2中央壁部32に接合されている。延長方向で第1端部64と第2端部65の間に第1接合箇所33aが位置している。
【0063】
より詳しく言えば、第1端部64と第2端部65の間の空隙の第2中央壁部32への投影領域内に第1接合箇所33aが位置している。なお、図面においては幅方向をw方向と示している。図面では「方向」を省略して記載している。
【0064】
また図10に示すように第1端部64と排出口側第1延長部61bの第2端部65の離間距離L1は、第1中央壁部31のy方向の幅の平均L2よりも小さくなっている。さらに第1端部64と第2端部65の離間距離L1は、第1延長部61の幅方向の幅の平均L3よりも小さくなっている。
【0065】
なお、本実施形態においては供給口側第1延長部61aと排出口側第1延長部61bそれぞれの幅の平均L3は等しくなっている。
【0066】
しかしながら供給口側第1延長部61aと排出口側第1延長部61bの一方の幅の平均L3が、供給口側第1延長部61aと排出口側第1延長部61bの他方の幅の平均L3よりも小さくなっていてもよい。その場合、供給口側第1延長部61aと排出口側第1延長部61bのうちの小さいほうの幅の平均L3よりも第1端部64と第2端部65の離間距離L1が小さくなっていてもよい。
【0067】
また図4図6に示すように第2延長部62は供給口側第2延長部62aと排出口側第2延長部62bとに分断されている。供給口側第2延長部62aが第1流路110の第2分流経路220に設けられている。排出口側第2延長部62bが第3流路130の第2分流経路220に設けられている。
【0068】
また図4図6に示すように第3延長部63は供給口側第3延長部63aと排出口側第3延長部63bとに分断されている。図5図7に示すように供給口側第3延長部63aが第1流路110の第3分流経路230に設けられている。排出口側第3延長部63bが第3流路130の第3分流経路230に設けられている。
【0069】
<電力変換装置の製造方法>
次に、電力変換装置1の製造方法を説明する。電力変換装置1を製造する工程には、ケース10を製造する工程と、ケース10の内部にコンバータユニット15等の電気部品を収容する工程とが含まれている。
【0070】
ケース10の製造工程において、まず始めに作業者は本体20およびカバー50を製造する。例えば本体20を鋳造によって製造する。カバー50をプレス加工によって製造する。
【0071】
カバー50を製造する際、作業者はカバー50に絞り加工を施すことによって第1延長部61~第3延長部63それぞれを成形する。
【0072】
具体的にはカバー50を成形したい形の凹みをもつ下側の金型(ダイ)に設け、凹みに沈み込む上側の金型(パンチ)を加圧しながら押し当てることによって第1延長部61~第3延長部63それぞれを成形する。
【0073】
本体20とカバー50を製造した後、ケース10の製造工程において、作業者は本体20にカバー50を仮で取り付ける仮付け工程を行う。
【0074】
この仮付け工程では、図6に示すように第1分流経路210~第3分流経路230を区画する部位それぞれに、対応する第1延長部61~第3延長部63それぞれが入り込むように、カバー50を本体20の下面23bに仮で取り付ける。
【0075】
次に接合工程を行う。この接合工程では、本体20とカバー50とを摩擦撹拌接合により固定する。摩擦撹拌接合は、高速回転する工具をカバー50に押し当てて、工具とカバー50との摩擦熱によりカバー50を底部23に接合する方法である。
【0076】
本実施形態においては、図5に示すように凹部30の周縁に沿って連続的に摩擦撹拌接合を行う。具体的に言えば、まず工具を第1接合箇所33aから第2接合箇所33bに向かってx方向に沿って動かす。その後、時計回りに第3接合箇所33c、第4接合箇所33d、第5接合箇所33e、第6接合箇所33f、第7接合箇所33gを通るように工具を一周分、一筆書きで動かす。これによって本体20とカバー50とを接合していく。なお、摩擦撹拌接合は、FSWと称されることがある。
【0077】
このようにしてケース10を製造する工程を終えた後、作業者はケース10の内部にコンバータユニット15等の電気部品を収容する工程を行う。ケース10の内部にコンバータユニット15等の電気部品を収容する工程では、ケース10の内部空間21にコンバータユニット15、コンデンサユニット16、および、リアクトルユニット17を収納する。
【0078】
z方向の平面視で第2流路120に重なるように、コンバータユニット15を第3側部24c側に収納する。z方向の平面視で第1流路110と第3流路130に重なるように、リアクトルユニット17を第1側部24aの第4側部24d側に収納する。z方向の平面視で外周壁部40と重なるように、コンデンサユニット16を第1側部24a側の第2側部24b側に収納する。
【0079】
なお、内部空間21中における電気部品の配置は上記の構成に限定されない。コンデンサユニット16がz方向の平面視で第1流路110~第3流路130の少なくとも1つと重なっている配置であってもよい。
【0080】
<冷媒の内圧>
これまでに説明したように、流路100には冷媒が流されている。冷媒は外部のポンプによって供給口111へ供給されている。そのためにポンプの駆動に伴って冷媒に脈動が生じることがある。また電気部品で発生した熱によって冷媒が線膨張することがある。
【0081】
これによって流路100に流れる冷媒の内圧が増大することがある。内圧とは流路100に流れる冷媒から底部23の流路100を区画する部位やカバー50に向かって法線方向に加わる圧力のことである。この内圧によってカバー50がz方向に底部23から離間するように膨張変形する。これによって特に上記した第1接合箇所33aでは、内圧によるカバー50の膨張変形を例えば3方向から受けて最も応力が過多になっている。
【0082】
<作用効果>
これに対して本実施形態では、カバー50に第2主面50bから第1主面50aに向かって凹むとともに流路100の延長方向に延びる延長部60が形成されている。延長部60は湾曲しているために弾性変形しやすくなっている。延長部60が対応する分流経路に入り込むようにしてカバー50が底部23に接合されている。
【0083】
第1分流経路210~第3分流経路230は幅方向に並ぶ中央壁部35、第1隔壁71、第2隔壁72、および、外周壁部40のうちの幅方向で隣合う2つによって区画されている。
【0084】
冷媒の内圧が増加するとカバー50がz方向に底部23から離間するように変形するが、その際延長部60が自身を区画する壁部などに当たる。これによってカバー50と底部23との接合部位にかかる応力が緩和されやすくなっている。例えばカバー50と第2中央壁部32との第1接合箇所33aに応力が集中することが抑制されやすくなっている。それに伴ってカバー50が第1接合箇所33aで底部23から離間するようにz方向に変形することが抑制されやすくなっている。
【0085】
また本実施形態においては、延長部60が自身を形成する幅方向の端に位置する端部や延長方向の端に位置する端部66によってカバー50と連結されている。延長方向の端に位置する端部66としては例えば第1端部64や第2端部65が挙げられる。なお、第1端部64や第2端部65に共通する構成を説明する場合には第1端部64と第2端部65を区別せず適宜、端部66と示す。なお、延長方向の端部66には第1端部64と第2端部65の加えて複数の端部66が含まれていても良い。
【0086】
上記したように延長部60の延長方向の端部66が幅方向に延びている。これによれば、カバー50が幅方向でz方向に変形しにくくなっている。そのために冷媒からカバー50に内圧が加わった際に、カバー50が幅方向でz方向に変形することが抑制されやすくなっている。それに伴って例えばカバー50と第2中央壁部32との第1接合箇所33aに応力が集中することが抑制されやすくなっている。カバー50が第1接合箇所33aで底部23から離間するようにz方向に変形することが抑制されやすくなっている。
【0087】
これまでに説明したように延長部60が分断されている。そして延長部60の分断された一方に幅方向に延びる第1端部64が設けられている。延長部60の分断された他方に幅方向に延びる第2端部65が設けられている。第1端部64と第2端部65それぞれが幅方向に延びている。
【0088】
延長部60が分断されているために端部66の数が増大する。そのために冷媒からカバー50に内圧が加わった際に、カバー50が幅方向でz方向に変形することが抑制されやすくなっている。カバー50が第1接合箇所33aで底部23から離間するようにz方向に変形することが抑制されやすくなっている。
【0089】
これまでに説明したように供給口側第1延長部61aの第2流路120に設けられる部位が周方向で第2中央壁部32に沿って延びている。これに伴って排出口側第1延長部61bの第2流路120に設けられる部位が周方向で第2中央壁部32に沿って延びている。これに伴って第1端部64と第2端部65が第2流路120に設けられている。そして第1端部64と第2端部65とが延長方向で対向している。さらに延長方向で第1端部64と第2端部65の間に第1接合箇所33aが位置している。第1端部64と第2端部65の間の空隙の第2中央壁部32への投影領域内に第1接合箇所33aが位置している。
【0090】
これによればカバー50が第1接合箇所33aで底部23から離間するようにz方向に変形することが効果的に抑制されやすくなっている。
【0091】
なお、本実施形態とは異なり供給口側第1延長部61aと排出口側第1延長部61bが第1接合箇所33aの周囲に設けられない場合においては、カバー50が第1接合箇所33aで底部23から離間するようにz方向に変形しやすくなっている。
【0092】
また第1延長部61が第1接合箇所33aの周囲を囲むように連続して延びる場合においても、カバー50が第1接合箇所33aでz方向に底部23から離間するように変形しやすくなっている。また第1延長部61が第1接合箇所33aの周りを周方向に連続して延びる場合においては、プレス加工後の収縮によりカバー50の製品としての寸法が交差内に収まらなくなる懸念がある。
【0093】
これまでに説明したように、第1端部64と第2端部65の離間距離L1は、第1中央壁部31のy方向の幅の平均L2、および、第1延長部61の幅方向の幅の平均L3よりも小さくなっている。
【0094】
これによれば、第1接合箇所33aにおいて供給口側第1延長部61aおよび排出口側第1延長部61bと幅で対向する範囲が広くなっている。カバー50が第2中央壁部32から離間するようにz方向に変形することが抑制されやすくなっている。第1接合箇所33aにおいて幅方向で底部23から離間するようにz方向に変形することが効果的に抑制されやすくなっている。
【0095】
(第2実施形態)
本実施形態では供給口側第1延長部61aと排出口側第1延長部61bとが第2流路120の第1分流経路210に設けられる形態について説明した。しかしながら図11に示すように供給口側第2延長部62aと排出口側第2延長部62bとが第2流路120の第2分流経路220に設けられていても良い。供給口側第3延長部63aと排出口側第3延長部63bとが第2流路120の第3分流経路230に設けられていても良い。
【0096】
その場合供給口側第2延長部62aの第2流路120に設けられる部位が周方向で第2中央壁部32に沿って延びている。排出口側第2延長部62bの第2流路120に設けられる部位が周方向で第2中央壁部32に沿って延びている。延長方向で第1端部64と第2端部65とが延長方向で対向している。延長方向で第1端部64と第2端部65の間に第1接合箇所33aが位置している。
【0097】
さらに供給口側第3延長部63aの第2流路120に設けられる部位が周方向で第2中央壁部32に沿って延びている。排出口側第3延長部63bの第2流路120に設けられる部位が周方向で第2中央壁部32に沿って延びている。延長方向で第1端部64と第2端部65とが延長方向で対向している。延長方向で第1端部64と第2端部65の間に第1接合箇所33aが位置している。
【0098】
これによれば、第2流路120に設けられる端部66の数が増大する。そのために冷媒からカバー50に内圧が加わった際に、カバー50が幅方向でz方向に変形することが抑制されやすくなっている。カバー50が第1接合箇所33aで底部23から離間するようにz方向に変形することが効率的に抑制されやすくなっている。
【0099】
また図示しないが、延長方向で第1端部64と第2端部65とが延長方向で対向していなくてもよい。延長方向で第1端部64と第2端部65とが延長方向で対向していなくてもよい。
【0100】
第1端部64と第2端部65とが延長方向で対向する場合、第1接合箇所33aからの距離が近くなっている。そのためにカバー50の第1接合箇所33aにおいて幅方向でz方向に変形することが効率的に抑制されやすくなっている。
【0101】
(第3実施形態)
本実施形態では延長部60が第1延長部61~第3延長部63を有する形態について説明した。しかしながら図12に示すように延長部60が第1延長部61のみを有していても良い。また供給口側第1延長部61aと排出口側第1延長部61bとの離間距離L1が、第1中央壁部31のy方向の幅の平均L2、および、第1延長部61の幅方向の幅の平均L3よりも大きくなっていてもよい。また図示しないが、延長部60が第2延長部62もしくは第3延長部63のいずれかを有していてもよい。供給口側延長部と排出口側延長部とが幅方向でずれていてもよい。なお、供給口側延長部とは供給口側第1延長部61a~供給口側第3延長部63aをまとめた名称として示している。排出口側延長部とは排出口側第1延長部61b~排出口側第3延長部63bをまとめた名称として示している。
【0102】
(第4実施形態)
また図13に示すように第1延長部61が供給口側第1延長部61aと排出口側第1延長部61bの他に、供給口側第1延長部61aと排出口側第1延長部61bの間の中継部61cを有していてもよい。供給口側第1延長部61a~中継部61cそれぞれの端部66が第2流路120に設けられていなくても良い。その場合においてもカバー50が幅方向でz方向に変形しにくくなっている。
【0103】
また中継部61cが2つ以上設けられていても良い。逆に供給口側第1延長部61a~中継部61cのうちの1つのみが流路100に設けられていても良い。これによればカバー50が幅方向で並び方向に変形することが抑制される。他にもz方向の平面視で流路100は略U字形状を成していなくてもよい。流路100の形状は略U字形状に限定されない。流路100は例えば一方向に延びていても良い。途中で屈曲していてもよい。
【0104】
(その他の実施形態)
またケース10および電力変換装置1はどの向きで車両に搭載されていてもよい。例えば、上面23aが下面23bよりも重力方向下方に位置する向きで電力変換装置1が車両に搭載されていてもよい。また第1側部24a~第4側部24dのうちの2つが重力方向で対向する態様で電力変換装置1が車両に搭載されていてもよい。
【0105】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範ちゅうや思想範囲に入るものである。
【0106】
<構成群A>
また上記各実施形態において、第2中央壁部32のy方向の最大幅が第1中央壁部31のy方向の最大幅よりも大きくなっていてもよい。図14に示すように第2中央壁部32が第2側部24bに向かうようにしてy方向の幅が広がっていても良い。
【0107】
なお、図14に示すように第1流路110と第2流路120との境界は第2中央壁部32の曲がり始めに相当する。図14に示すように第2流路120の幅方向の幅と第3流路130の幅方向の幅が等しい場合においては、第2流路120と第3流路130との境界はx方向で第1流路110と第2流路120との境界と同じ位置に相当する。
【0108】
さらに図14に示すように第1接合箇所33aが第1中央壁部31と第2中央壁部32の境界付近に設けられていても良い。第1接合箇所33aから第2中央壁部32の第1内面30aに沿うようにしてカバー50が第2中央壁部32に環状に摩擦撹拌接合されていてもよい。その場合、カバー50と第2中央壁部32との接合面積が広くなっている。
【0109】
流路100を通る冷媒の内圧が増加すると、カバー50がz方向に底部23から離間するように変形するが、上記したようにカバー50と第2中央壁部32との接合面積が広くなっている。これによってカバー50と第2中央壁部32との接合部位にかかる応力が緩和されやすくなっている。それに伴ってカバー50が第2中央壁部32から離間するようにz方向に変形することが抑制されやすくなっている。
【0110】
さらにカバー50と第2中央壁部32とを環状に接合する接合部位のうちの第1接合箇所33aから第2側部24bに向かうように接合される部位と、第1接合箇所33aと第2接合箇所33bとを接合する部位とが成す角度が鋭角になっている。これによれば、カバー50と第2中央壁部32との接合部位がより第2中央壁部32の第1内面30a側に位置するようになっている。そのためにカバー50と第2中央壁部32との接合面積が広くなっている。
【0111】
なお、図示しないが、第4側部24dに向かうようにして第2中央壁部32のy方向の幅が広がっていても良い。他にも第2中央壁部32が第2側部24bと第4側部24dの両方に向かうようにして第2中央壁部32のy方向の幅が広がっていてもよい。
【0112】
次に電力変換装置1およびケース10の製造方法について説明する。はじめに本体20の底部23のカバー50を当接させ、仮の位置決めを行う。次に第1接合箇所33aにおいてカバー50が第2中央壁部32に押し当たるように摩擦撹拌接合のツールを押し当てる。次にツールを第1接合箇所33aから第2中央壁部32の第1内面30aに沿うように環状に動かす。言い換えればツールを第1接合箇所33aから第2中央壁部32における第2流路120側の縁に沿うようにして環状に動かす。
【0113】
次に第1接合箇所33aまで戻ったツールを第2接合箇所33bまで動かす。そしてツールが第3接合箇所33c~第7接合箇所33gを通るように、ツールを流路100の周りを環状に一筆書きで第2接合箇所33bまで動かす。
【0114】
これによってカバー50が中央壁部35と外周壁部40それぞれに摩擦撹拌接合される。カバー50と本体20の底部23とが摩擦撹拌接合されることで、ねじなどで接合する場合と比較して小型化が可能になっている。部品点数の増大が抑制される。
【0115】
<構成群Aの特徴>
仕切壁によってU字状に湾曲する流路の形成された本体と、カバーとが摩擦撹拌接合される形態において、仕切壁における流路の湾曲する部位側の先端とカバーとが局所的に接合されると、両者の接合面積が狭くなることが考えられる。そのためにこの接合部位に応力が集中すると、カバー50が仕切壁における流路の湾曲する部位側の先端(第2中央壁部)から離間するよう変形する虞がある。
【0116】
これに対して、本明細書にて開示された構成には、下記のように構成群Aの特徴が含まれている。下記特徴A1によれば、カバー50と第2中央壁部32との接合面積が狭くなることが抑制される。
【0117】
[特徴A1]
冷媒の流れる流路(100)の形成されたケース(10)にであって、
冷媒の供給される供給口(111)と、冷媒の排出される排出口(131)と、供給口と排出口とを連結して流路の一部を区画するように、底部(23)の下面(23b)から上面(23a)に向かって下面と上面の並ぶ並び方向で凹む凹部(30)と、を備える本体(20)と、
下面に主面(50a)が流路を囲むように接合されることで、凹部を閉塞して流路を形作るカバー(50)と、を有し、
流路は、
一端に供給口の連結される第1流路(110)と、
供給口と排出口の並ぶ横方向で第1流路と並び、一端に排出口の連結される第3流路(130)と、
第1流路から第3流路に向かって折り返すように延びて、第1流路の他端と第3流路の他端とを連結する第2流路(120)と、を有し、
底部は、
流路に並び方向まわりの周方向で囲まれる中央壁部(35)と、流路を周方向で囲む外周壁部(40)と、を有し、
中央壁部は、供給口および排出口側の第1中央壁部(31)と、第2流路側の第2中央壁部(32)と、を有し、
第2中央壁部の横方向の最大幅が、第1中央壁部の横方向の最大幅より大きく、
第2中央壁とカバーとが第2流路に沿って環状に接合されているケース。
【0118】
[特徴A2]
第1中央壁部とカバーとが第1流路および第3流路に沿って接合され、
第1中央壁部とカバーとの接合部位と、第2中央壁部とカバーとの接合部位との成す角が鋭角になっている特徴A1に記載のケース。
【0119】
[特徴A3]
カバーと本体とが摩擦撹拌接合されている特徴A1またはA2に記載のケース。
【0120】
[特徴A4]
電気部品(15,16,17)と、電気部品を自身の内部空間(21)に収容したケース(10)と、を備え、冷媒が流れる流路(100)がケースに形成された電気装置(1)にであって、
冷媒の供給される供給口(111)と、冷媒の排出される排出口(131)と、供給口と排出口とを連結して流路の一部を区画するように、底部(23)の下面(23b)から上面(23a)に向かって下面と上面の並ぶ並び方向で凹む凹部(30)と、を備える本体(20)と、
下面に主面(50a)が流路を囲むように接合されることで、凹部を閉塞して流路を形作るカバー(50)と、を有し、
流路は、
一端に供給口の連結される第1流路(110)と、
供給口と排出口の並ぶ横方向で第1流路と並び、一端に排出口の連結される第3流路(130)と、
第1流路から第3流路に向かって折り返すように延びて、第1流路の他端と第3流路の他端とを連結する第2流路(120)と、を有し、
底部は、
流路に並び方向まわりの周方向で囲まれる中央壁部(35)と、流路を周方向で囲む外周壁部(40)と、を有し、
中央壁部は、供給口および排出口側の第1中央壁部(31)と、第2流路側の第2中央壁部(32)と、を有し、
第2中央壁部の横方向の最大幅が、第1中央壁部の横方向の最大幅より大きく、
第2中央壁とカバーとが第2流路に沿って環状に接合されている電気装置。
【0121】
[特徴A5]
冷媒の流れる流路(100)の形成されたケース(10)において、
冷媒の供給される供給口(111)と、冷媒の排出される排出口(131)と、供給口と排出口とを連結して流路の一部を区画するように、底部(23)の下面(23b)から上面(23a)に向かって下面と上面の並ぶ並び方向で凹む凹部(30)と、を備える本体(20)と、
下面に主面(50a)が流路を囲むように接合されることで、凹部を閉塞して流路を形作るカバー(50)と、を有し、
流路は、
一端に供給口の連結される第1流路(110)と、
供給口と排出口の並ぶ横方向で第1流路と並び、一端に排出口の連結される第3流路(130)と、
第1流路から第3流路に向かって折り返すように延びて、第1流路の他端と第3流路の他端とを連結する第2流路(120)と、を有し、
底部は、
流路に並び方向まわりの周方向で囲まれる中央壁部(35)と、流路を周方向で囲む外周壁部(40)と、を有し、
中央壁部は、供給口および排出口側の第1中央壁部(31)と、第2流路側の第2中央壁部(32)と、を有し、
第2中央壁部の横方向の最大幅が、第1中央壁部の横方向の最大幅より大きく、
第2中央壁とカバーとが第2流路に沿って環状に接合されているケースの製造方法であって、
カバーを底部に向かって押し当てることでカバーと本体とを摩擦熱によって機械的に接合するツールを準備し、
下面に主面が並び方向で並ぶ態様で、カバーを底部の下面に設け、
並び方向でカバーと第2中央壁部の第1中央壁部側の部位とが重なる部位にツールを押し当て、
ツールを第2中央壁における第2流路側の縁に沿うようにして環状に動かすことでカバーと第2中央壁とを接合するケースの製造方法。
【0122】
[特徴A6]
電気部品(15,16,17)と、電気部品を自身の内部空間(21)に収容したケース(10)と、を備え、冷媒が流れる流路(100)がケースに形成された電気装置(1)において、
冷媒の供給される供給口(111)と、冷媒の排出される排出口(131)と、供給口と排出口とを連結して流路の一部を区画するように、底部(23)の下面(23b)から上面(23a)に向かって下面と上面の並ぶ並び方向で凹む凹部(30)と、を備える本体(20)と、
下面に主面(50a)が流路を囲むように接合されることで、凹部を閉塞して流路を形作るカバー(50)と、を有し、
流路は、
一端に供給口の連結される第1流路(110)と、
供給口と排出口の並ぶ横方向で第1流路と並び、一端に排出口の連結される第3流路(130)と、
第1流路から第3流路に向かって折り返すように延びて、第1流路の他端と第3流路の他端とを連結する第2流路(120)と、を有し、
底部は、
流路に並び方向まわりの周方向で囲まれる中央壁部(35)と、流路を周方向で囲む外周壁部(40)と、を有し、
中央壁部は、供給口および排出口側の第1中央壁部(31)と、第2流路側の第2中央壁部(32)と、を有し、
第2中央壁部の横方向の最大幅が、第1中央壁部の横方向の最大幅より大きく、
第2中央壁とカバーとが第2流路に沿って環状に接合されている電気装置の製造方法であって、
カバーを底部に向かって押し当てることでカバーと本体とを摩擦熱によって機械的に接合するツールを準備し、
下面に主面が並び方向で並ぶ態様で、カバーを底部の下面に設け、
並び方向でカバーと第2中央壁部の第1中央壁部側の部位とが重なる部位にツールを押し当て、
ツールを第2中央壁における第2流路側の縁に沿うようにして環状に動かすことでカバーと第2中央壁とを接合する電気装置の製造方法。
【符号の説明】
【0123】
1…電力変換装置、10…ケース、15…コンバータユニット、16…コンデンサユニット、17…リアクトルユニット、20…本体、21…内部空間、23…底部、23a…上面、23b…下面、30…凹部、31…第1中央壁部、32…第2中央壁部、35…中央壁部、40…外周壁部、50…カバー、50a…第1主面、50b…第2主面、60…延長部、66…端部、100…流路、110…第1流路、111…供給口、120…第2流路、130…第3流路、131…排出口
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