(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】充電量算出装置および充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240910BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240910BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240910BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240910BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240910BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20240910BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20240910BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240910BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20240910BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240910BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240910BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240910BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20240910BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240910BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240910BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240910BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 X
H02J50/10
H02J50/40
H02J7/00 301D
G06Q10/20
G06Q50/40
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L50/60
B60L53/12
B60L53/14
B60L58/12
G01C21/36
G08G1/123 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
(21)【出願番号】P 2021119443
(22)【出願日】2021-07-20
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】坂柳 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】杉山 緑
(72)【発明者】
【氏名】金子 智洋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 洋孝
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-12946(JP,A)
【文献】特開2010-32459(JP,A)
【文献】特開2011-229356(JP,A)
【文献】特開2017-118741(JP,A)
【文献】特開2015-138501(JP,A)
【文献】特開2012-50299(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0058090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/10
H02J 50/40
G06Q 10/20
G06Q 50/40
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 50/60
B60L 53/12
B60L 53/14
B60L 58/12
G01C 21/36
G08G 1/123
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行ルートの運行前に車両に充電する運行前充電量を算出する充電量算出装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記車両は、
給電設備から電力を受電可能に構成された受電装置と、
前記受電装置により受電された電力を蓄える走行用のバッテリとを含み、
前記給電設備は、
前記運行ルートの運行前に前記車両に充電するための第1給電設備と、
前記運行ルートの運行中に前記車両に充電するための少なくとも1つの第2給電設備とを含み、
前記第1給電設備および前記少なくとも1つの第2給電設備の各々は、充電ケーブルを介して電力を送電する第1送電および非接触で電力を送電する第2送電の一方により電力を送電するように構成され、
前記受電装置は、前記第1送電および前記第2送電の少なくとも一方による電力を受電するように構成され、
前記運行ルート上の少なくとも1つの停車ポイントに、前記少なくとも1つの第2給電設備が設けられており、
前記プロセッサは、
第1情報に基づき、前記運行ルートの運行のために前記バッテリが消費する消費電力量
を算出し、
第2情報に基づき、前記少なくとも1つの第2給電設備から前記受電装置が受電する運行中充電量とを算出し、
前記第1情報は、前記運行ルートにおける走行距離と、前記車両の積載重量とを含み、
前記第2情報は、前記少なくとも1つの停車ポイントにおける前記車両の停車時間を含み、
前記プロセッサは、前記消費電力量と前記運行中充電量とに基づき、前記運行前充電量を算出する、充電量算出装置。
【請求項2】
前記第1情報は、前記運行ルートを運行中の、外気温と、時間帯と、季節と、渋滞情報と、運行前に予め前記車両内を冷却するための予冷時間とのうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記少なくとも1つの第2給電設備により、前記運行ルートを走行中に前記車両の充電が可能であり、
前記第2情報は、走行中充電時間をさらに含み、
前記走行中充電時間は、前記少なくとも1つの第2給電設備により、前記運行ルートを走行中に前記車両が充電される時間である、
請求項1に記載の充電量算出装置。
【請求項3】
前記車両は、乗客を輸送するバスであり、
前記メモリは、前記車両から乗降者数に関する情報を取得して、履歴データとして蓄積し、
前記プロセッサは、蓄積された過去の前記履歴データに基づき、前記停車時間および前記積載重量を推定する、
請求項1または
請求項2に記載の充電量算出装置。
【請求項4】
前記車両は、荷物を配送する配送車であり、
前記メモリは、前記運行ルートで配送される前記荷物の情報が記録された配送予定情報を記憶し、
前記プロセッサは、前記配送予定情報に基づき、前記停車時間および前記積載重量を推定する、
請求項1または
請求項2に記載の充電量算出装置。
【請求項5】
運行ルートの運行前に車両に充電する運行前充電量を算出する充電量算出装置と、
前記運行ルートの運行前に前記車両に充電するための第1給電設備とを備え、
前記車両は、
前記第1給電設備または前記運行ルートの運行中に前記車両に充電するための少なくとも1つの第2給電設備から電力を受電可能に構成された受電装置と、
前記受電装置により受電された電力を蓄える走行用のバッテリとを含み、
前記第1給電設備および前記少なくとも1つの第2給電設備の各々は、充電ケーブルを介して電力を送電する第1送電および非接触で電力を送電する第2送電の一方により電力を送電するように構成され、
前記受電装置は、前記第1送電および前記第2送電の少なくとも一方による電力を受電するように構成され、
前記運行ルート上の少なくとも1つの停車ポイントに、前記少なくとも1つの第2給電設備が設けられており、
前記充電量算出装置は、
第1情報に基づき、前記運行ルートの運行のために前記バッテリが消費する消費電力量
を算出し、
第2情報に基づき、前記少なくとも1つの第2給電設備から前記受電装置が受電する運行中充電量とを算出し、
前記第1情報は、前記運行ルートにおける走行距離と、前記車両の積載重量とを含み、
前記第2情報は、前記少なくとも1つの停車ポイントにおける前記車両の停車時間を含み、
前記充電量算出装置は、前記消費電力量と前記運行中充電量とに基づき、前記運行前充電量を算出し、
前記第1給電設備は、前記充電量算出装置によって算出された前記運行前充電量の電力を前記車両に対して充電する、充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運行ルートの運行前に車両に充電する運行前充電量を算出する充電量算出装置および充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-140193号公報(特許文献1)には、複数の充電方式(プラグイン充電方式、非接触充電方式およびソーラー充電方式)の充電により車載のバッテリを充電可能な車両が開示されている。この車両は、ユーザからの設定時刻および設定充電量の入力を受け付け、設定時刻においてバッテリの充電量が設定充電量となるように、複数の充電方式による充電スケジュールを決定し、当該充電スケジュールを充電情報として報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両が荷物を配送する配送車両あるいは路線バス等の商業用車両である場合、運行前に事業所等の特定の場所で接触充電を行い、その後、決まった運行ルートに従って運行することとなる。ところが、事業所等において接触給電設備が不足するような場合、運行前に適切に車両を充電できず、運行中に電欠する可能性がある。
【0005】
一方で、たとえば、運行ルートに給電レーンがあり走行中に充電ができる場合、あるいは、停車ポイント(配送車両の配送先、バスの停留所等)に設置された給電設備を用いて充電できる場合、その分、運行前の充電時間を減らすことができる。この場合、減らした充電時間を他の車両の充電時間に充てることができる。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、運行ルートの運行前に車両に対して好適な充電を行うことができる充電量算出装置および充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に係る充電量算出装置は、運行ルートの運行前に車両に充電する運行前充電量を算出する。充電量算出装置は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備える。車両は、給電設備から電力を受電可能に構成された受電装置と、受電装置により受電された電力を蓄える走行用のバッテリとを含む。給電設備は、運行ルートの運行前に車両に充電するための第1給電設備と、運行ルートの運行中に車両に充電するための少なくとも1つの第2給電設備とを含む。第1給電設備および少なくとも1つの第2給電設備の各々は、充電ケーブルを介して電力を送電する第1送電および非接触で電力を送電する第2送電の一方により電力を送電するように構成される。受電装置は、第1送電および第2送電の少なくとも一方による電力を受電するように構成される。プロセッサは、運行ルートの運行のためにバッテリが消費する消費電力量と、少なくとも1つの第2給電設備から受電装置が受電する運行中充電量とを算出し、消費電力量と運行中充電量とに基づき、運行前充電量を算出する。
【0008】
上記構成においては、運行ルートの運行のためにバッテリが消費する消費電力量と、少なくとも1つの第2給電設備から受電装置が受電する運行中充電量とを算出し、消費電力量と運行中充電量とに基づき、運行前充電量を算出する。このように、運行中の充電量と消費電力量とを考慮して充電を行うことができるため、必要以上に充電が行われることがなくなる。これにより、運行ルートの運行前に車両に対して好適な充電を行うことができる。
【0009】
ある実施の形態においては、プロセッサは、第1情報に基づき消費電力量を算出し、第2情報に基づき運行中充電量を算出する。運行ルート上の少なくとも1つの停車ポイントに、少なくとも1つの第2給電設備が設けられている。第1情報は、運行ルートにおける走行距離と、車両の積載重量とを含む。第2情報は、少なくとも1つの停車ポイントにおける車両の停車時間を含む。積載重量は、少なくとも1つの停車ポイントにおける車両の乗降者または車両に積載した荷物の積み降ろしにより変化する。停車時間は、少なくとも1つの停車ポイントにおける乗客の乗降者数または荷物の積み降ろし数により変化する。上記構成によれば、消費電力量に影響を与える走行距離および積載重量、運行中充電量に影響を与える停車時間を考慮して運行前充電を行うため、運行ルートの運行前に車両に対して好適な充電を行うことができる。
【0010】
ある実施の形態においては、第1情報は、運行ルートを運行中の、外気温と、時間帯と、季節と、渋滞情報と、運行前に予め車両内を冷却するための予冷時間とのうちの少なくとも1つをさらに含む。少なくとも1つの第2給電設備により、運行ルートを走行中に車両の充電が可能である。第2情報は、走行中充電時間をさらに含む。走行中充電時間は、少なくとも1つの第2給電設備により、運行ルートを走行中に車両が充電される時間である。上記構成によれば、消費電力量に影響を与える外気温、時間帯、季節、渋滞情報および予冷時間、運行中充電量に影響を与える走行中充電時間を考慮して運行前充電を行うため、運行ルートの運行前に車両に対して好適な充電を行うことができる。
【0011】
ある実施の形態においては、車両は、乗客を輸送するバスである。メモリは、車両から乗降者数に関する情報を取得して、履歴データとして蓄積する。プロセッサは、蓄積された過去の履歴データに基づき、停車時間および積載重量を推定する。上記構成によれば、乗降者数に関する履歴データに基づき、停車時間および積載重量を推定するため、消費電力量の推定精度を高めることができる。
【0012】
ある実施の形態においては、車両は、荷物を配送する配送車である。メモリは、運行ルートで配送される荷物の情報が記録された配送予定情報を記憶する。プロセッサは、配送予定情報に基づき、停車時間および積載重量を推定する。上記構成によれば、配送予定情報に基づき、停車時間および積載重量を推定するため、消費電力量の推定精度を高めることができる。
【0013】
本開示の他の局面に係る充電システムは、運行ルートの運行前に車両に充電する運行前充電量を算出する充電量算出装置と、運行ルートの運行前に車両に充電するための第1給電設備とを備える。車両は、第1給電設備または運行ルートの運行中に車両に充電するための少なくとも1つの第2給電設備から電力を受電可能に構成された受電装置と、受電装置により受電された電力を蓄える走行用のバッテリとを含む。第1給電設備および少なくとも1つの第2給電設備の各々は、充電ケーブルを介して電力を送電する第1送電および非接触で電力を送電する第2送電の一方により電力を送電するように構成される。受電装置は、第1送電および第2送電の少なくとも一方による電力を受電するように構成される。充電量算出装置は、運行ルートの運行のためにバッテリが消費する消費電力量と、少なくとも1つの第2給電設備から受電装置が受電する運行中充電量とを算出し、消費電力量と運行中充電量とに基づき、運行前充電量を算出する。第1給電設備は、充電量算出装置によって算出された運行前充電量の電力を車両に対して充電する。上記充電システムによっても、運行ルートの運行前に車両に対して好適な充電を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、電気バスのバッテリの劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係るバスの充電システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るバスおよび給電設備の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るバスの運行ルートの一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るバスの充電量の遷移を説明するため図である。
【
図5】第1実施形態に係るバスの消費電力量と運行中充電量との関係について説明するための図である。
【
図6】第1実施形態に係るバスの充電処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係る配送車の充電システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る配送車および給電設備の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る配送車の運行ルートの一例を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係る配送車の充電量の遷移を説明するため図である。
【
図11】第2実施形態に係る配送車の消費電力量と運行中充電量との関係について説明するための図である。
【
図12】第2実施形態に係る配送車の充電処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0017】
[第1実施形態]
<システム構成>
まず、第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係るバス2の充電システム100の全体構成を概略的に示す図である。充電システム100は、充電量算出装置1と、給電設備7(「第1給電設備7」とも称する)とを備える。第1給電設備7は、複数の電気バス(以下、単に「バス」と記載する)2に対して充電を行う。バス2は、定められた運行ルートにおいて乗客を輸送する車両である。
【0018】
充電量算出装置1は、サーバ装置である。充電量算出装置1は、プロセッサ11と、メモリ12と、算出情報データベース(DB)13と、運行履歴データベース(DB)14と、通信モジュール15と、データ線16とを含む。
【0019】
プロセッサ11は、たとえばCPU(Central Processing Unit)であって、プログラムに記述された所定の演算処理を実行するように構成されている。
【0020】
メモリ12は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。ROMは、プロセッサ11により実行されるプログラムを格納する。RAMは、プロセッサ11におけるプログラムの実行により生成されるデータと、通信モジュール15を介して入力されたデータとを一時的に格納する。RAMは、作業領域として利用される一時的なデータメモリとしても機能する。
【0021】
充電量算出装置1は、運行ルートの運行前にバス2に充電する運行前充電量を算出する。第1給電設備7は、充電量算出装置1によって算出された運行前充電量の電力をバス2に対して充電する。詳細については、
図3以降を用いて後述する。
【0022】
算出情報データベース13は、運行前充電量を算出するための各種情報として、第1情報および第2情報を格納する。詳しくは後述するが、第1情報は、走行距離、積載重量、外気温、時間帯、季節および渋滞情報を含む。第2情報は、停車時間および走行中充電時間を含む。
【0023】
運行履歴データベース14は、複数のバス2の各々の運行履歴を格納する。運行履歴データベース14は、過去にバス2に実際に乗降車した乗降者数に関するデータを格納している。たとえば、ある運行において、バス2が停車する停留所Aで乗車数がX1人であり、降車数がY1人、停留所Bで乗車数がX2人であり、降車数がY2人、停留所Cで乗車数がX3人であり、降車数がY3人、停留所Dで乗車数がX4人であり、降車数がY4人といったデータが、タイムスタンプとともに格納されている。
【0024】
通信モジュール15は、インターネット等のネットワークとの通信インターフェースを含む。通信モジュール15は、充電量算出装置1の外部機器(複数のバス2、給電設備7、後述する給電設備8~10等)との間で双方向の通信が可能に構成されている。
【0025】
データ線16は、充電量算出装置1を構成する機器間で相互にデータをやり取りできるように構成されている。
【0026】
本実施の構成において、各バス2は、給電設備7,10から延びる充電ケーブルを介した接触式の充電が可能であるとともに、給電設備8,9からの非接触での充電も可能に構成されている。以下、給電設備7,10による接触式の充電を「接触充電」とも称し、給電設備8,9による非接触式の充電を「非接触充電」とも称する。バス2の、より詳細な構成については
図2にて説明する。
【0027】
<接触・非接触での電力伝送>
図2は、第1実施形態に係るバス2および給電設備7~9の構成の一例を概略的に示す図である。バス2は、バッテリ21と、受電装置22と、インレット23と、DCM(Data Communication Module)24と、GPS(Global Positioning System)受信器25と、ECU(Electronic Control Unit)26と、カメラ41とを含む。
【0028】
バッテリ21は、複数のセルを含む組電池である。各セルは、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの二次電池である。バッテリ21は、バス2の駆動力を発生させるための電力を供給する。また、バッテリ21は、車載のモータジェネレータ(図示せず)により発電された電力を蓄える。バッテリ21には、ECU26がバッテリ21のSOC(State Of Charge)を算出するための電圧センサおよび電流センサ(いずれも図示せず)が設けられている。
【0029】
受電装置22は、
図2に示す例では、バス2の底面を形成するフロアパネルの下面に配置されている。受電装置22内には受電コイル221が収容されている。受電コイル221は、給電設備8から伝送される電力を非接触で受電する。
【0030】
インレット23は、嵌合等の機械的な連結を伴って給電設備7(第1給電設備7)の充電コネクタを挿入可能に構成されている。充電コネクタの挿入に伴い、バス2と給電設備7とが電気的に接続され、給電設備7から供給される電力によってバッテリ21を充電することが可能になる。
【0031】
図3を用いて後述する給電設備10も、給電設備7と同じ構造である。給電設備10から供給される電力によってバス2のバッテリ21を充電可能である。ここで、給電設備8~10を第2給電設備8~10とも称する。
【0032】
DCM24は、バス2と充電量算出装置1とが双方向に通信可能なように構成されている。また、DCM24は、バス2と給電設備8,9とが双方向に通信可能なように構成されている。
【0033】
GPS受信器25は、人工衛星(図示せず)から送信される電波に基づいて、バス2の位置を特定する。充電量算出装置1は、複数のバス2の各々の位置情報を通信により取得する。
【0034】
ECU26は、メモリ(図示せず)に格納されたプログラムおよび各センサからの信号等に基づいて、バス2が所望の状態となるように機器類を制御する。
【0035】
給電設備9は、複数の送電ユニット81~86と、コントローラ80とを含む。なお、
図2には送電ユニットの台数が6台の例が示されているが、送電ユニットの台数は特に限定されるものではなく、より多くてもよい。
【0036】
複数の送電ユニット81~86は、バス2の運行ルートの路面(側壁であってもよい)に一列に配置されている。複数の送電ユニット81~86は、送電コイル811~861をそれぞれ含む。各送電コイル811~861は、交流電源(図示せず)に電気的に接続されている。図示しないが、複数の送電ユニット81~86の各々には、バス2の通過を検出するためのセンサ(光学センサ、重量センサ等)が設けられている。
【0037】
コントローラ80は、各センサからの検出信号に基づいて、バス2の走行位置を特定する。そして、コントローラ80は、送電ユニット81~86のうちバス2が上方に位置している送電ユニット内の送電コイルに、交流電源からの交流電力を供給する。
【0038】
詳細に説明すると、バス2のECU26は、走行中に非接触充電を実行する場合(給電設備9からの充電を要求する場合)、車両IDの情報とともに、要求電力の情報を充電量算出装置1に送信する。要求電力の情報は、バス2が充電レーン(給電レーン)から得たい電力を示す。充電量算出装置1のCPU11は、COM15を介して、バス2から、車両IDの情報および要求電力の情報を取得する。充電量算出装置1のCPU11は、車両IDの情報と、要求電力の情報とを紐付けて記憶部(図示せず)に記憶する。
【0039】
バス2のECU26は、近距離通信により車両IDの情報を送信する。給電設備9のコントローラ80は、近距離通信により車両IDの情報を受けることで、バス2が、まもなく送電ユニット81(あるいは送電ユニット82~86)の頭上を通過することを検知する。給電設備9は、バス2から近距離通信で車両IDの情報を受けると、車両IDを充電量算出装置1に送信する。充電量算出装置1のCPU11は、受信した車両IDに紐付けられた要求電力の情報を記憶装置から読み出し、車両IDの情報とともに要求電力の情報を給電設備9に送る。給電設備9は、車両IDに紐付けられた要求電力の情報が示す電力を供給するように駆動する。具体的には、送電ユニット81は、近距離通信によりバス2から車両IDの情報を受けると、交流電源から交流電力の供給を受け、送電コイル811の周囲に電磁界を形成する。たとえば、送電ユニット81は、近距離通信によりバス2から車両IDの情報を受けてから、所定の時間が経過するまで動作を継続する。バス2が送電ユニット81の頭上を通過すると、バス2の受電装置22の受電コイル221に電力が非接触で伝送される。なお、送電ユニット81は、充電量算出装置1からの制御信号に従って、動作/非動作を切り替えるように構成されてもよい。この場合には、たとえば、充電量算出装置1は、バス2の位置情報に基づいて、バス2が通過する送電ユニット81(~86)を特定し、当該給電設備9に対して動作を指令する制御信号(動作指令)を出力してもよい。また、充電量算出装置1は、バス2が送電ユニット81を通過した後には、送電ユニット81に対して非動作を指令する制御信号(非動作指令)を出力してもよい。送電ユニット82~86(および対応する送電コイル821~861)についても同様である。送電ユニット81~86の上をバス2が走行すると、送電ユニット81,82,83,84,85,86の順に順次送電が行われる。あるいは、充電量算出装置1は、送電ユニット81~86を含む給電レーンへのバス2の侵入を検知した場合に、バス2が当該給電レーンを通過するまで、当該給電レーンに含まれる送電ユニット81~86を一括して動作させてもよい。これにより、バス2は、給電レーンを走行することで、バッテリ21を充電することができる。
【0040】
あるいは、送電ユニット81~86は、要求電力の情報を記憶してもよい。たとえば、充電量算出装置1のCPU11は、COM15を介して、バス2から、車両IDの情報および要求電力の情報を取得すると、車両IDの情報と、要求電力の情報とを紐付けて、送電ユニット81~86の各々に送信する。送電ユニット81~86の各々は、車両IDの情報および要求電力の情報を紐付けて記憶する。そして、送電ユニット81~86は、近距離通信によりバス2から車両IDの情報を受けると、交流電源から交流電力の供給を受け、送電コイル811~861の周囲に電磁界を形成する。たとえば、送電ユニット81~86は、近距離通信によりバス2から車両IDの情報を受けてから、所定の時間が経過するまで動作を継続する。
【0041】
給電設備8は、1つの送電ユニット81と、コントローラ80とを含む。送電ユニット81は、送電コイル811を含む。各送電コイル811は、交流電源(図示せず)に電気的に接続されている。図示しないが、送電ユニット81には、バス2が送電ユニット81の上方の存在していることを検出するためのセンサ(光学センサ、重量センサ等)が設けられている。
【0042】
コントローラ80は、上記センサからの検出信号に基づいて、送電ユニット81内の送電コイル811に、交流電源からの交流電力を供給する。送電ユニット81は、バス2が停留所(本例では、乗客50が待つ停留所A51)に停車したときに、バス2に対して電力を供給可能な位置に配置されている。
【0043】
これにより、バス2が停留所で停車している間、バス2に対して電力を供給することができる。その際、バスが混雑しており、乗降者数が多い場合は、乗降車のために時間がかかるため、バス2に対する充電時間が長くなる。なお、バス2が早く到着したために発車時間までに時間がある場合も、その分だけ充電時間が長くなる。
【0044】
詳細に説明すると、バス2のECU26は、停車中に非接触充電を実行する場合(給電設備8からの給電を要求する場合)、近距離通信により、充電を行う給電設備8と通信しながら、受電装置22の受電コイル221と給電設備8の送電コイル811との位置合わせを行う。位置合わせが完了すると、バス2のECU26は、要求電力の情報を充電量算出装置1を介して、給電設備8のコントローラ80に送信する。あるいは、バス2のECU26は、充電量算出装置1を介さずに、要求電力の情報を近距離通信により給電設備8に直接送信してもよい。給電設備8は、要求電力の情報が示す電力を供給するように駆動する。給電設備8は、充電量算出装置1あるいはバス2から停止要求を受けるまで動作を継続する。バス2のECU26は、終了条件が成立すると、充電量算出装置1を介して、あるいは充電量算出装置1を介さずに直接、給電設備8に停止要求を送信する。終了条件は、たとえば、バス2が停留所から発車したという条件、バッテリ21のSOCが予め設定されたSOCに到達したという条件、予め設定された時間が経過したという条件、および/または、ユーザによる停止操作が行なわれたという条件、等を採用してもよい。
【0045】
本実施の形態においては、バス2内には、カメラ41が設置されている。カメラ41は、バス2の出入口に設置されており、乗降車する乗客を撮影する。本実施の形態では、カメラ41により撮影された画像から、各停留所での乗車数および降車数(乗降者数)を算出することができる。
【0046】
算出した乗降者数は乗降車時刻とともに、上述の運行履歴データベース14に格納される。乗降者数の算出は、バス2が行ってもよいし、充電量算出装置1が行ってもよい。バス2は、カメラ41で撮影した画像または乗降者数を充電量算出装置1に対して送信する。
【0047】
乗降者数は、たとえば、乗降車がない場合に撮影されたカメラ41の画像と、乗降車中のカメラ41の画像との差分に基づき算出すればよい。両画像の差分から、人物領域を抽出し、人物領域の数をカウントして乗降者数とする。なお、これに限らず、乗降者数の算出は、なんらかの公知の方法により算出してもよい。
【0048】
また、バス2にカメラ41を設置するものに限らず、各停留所にカメラ41を設置して、乗降者数を算出するようにしてもよい。なお、カメラ41に限らず、何らかの装置を用いて乗降者数を算出してもよい。たとえば、予約制のバスであれば、バスの予約情報に基づき乗降者数を算出することができる。
【0049】
このように、本実施の形態においては、給電設備7~10は、充電ケーブルを介して電力を送電する接触充電(給電設備7,10)および非接触で電力を送電する非接触充電(給電設備8,9)のいずれかにより電力を送電(充電)する。インレット23,受電装置22は、接触充電および非接充電の少なくとも一方による電力を給電設備7~10から受電する。給電設備7~10は、運行ルートの運行前に車両に充電するための給電設備7(第1給電設備7)と、運行ルートの運行中にバス2に充電するための少なくとも1つ(本実施の形態では7つであるが、1つであってもよい)の給電設備8~10(第2給電設備8~10)とを含む。
【0050】
<運行ルート>
図3は、第1実施形態に係るバス2の運行ルートの一例を示す図である。運行ルート上には、少なくとも1つの停車ポイントがある。本実施形態において、停車ポイントは、4つの停留所A51~停留所D54である。なお。停留所は1つであってもよい。この例では、バス2が出発地点(バスターミナル等)を出発して停留所A51~停留所D54を経由して、再び出発地点に戻る運行ルートを想定する。ここで、運行ルートにおいて給電設備8~10が設置されている停車ポイントをポイントP1~P7で示す。
【0051】
バス2は、運行ルートの運行を開始すると、まず、給電設備8が設置された停留所A51(ポイントP1)に向かう。次に、給電設備8が設置された停留所B52(ポイントP3)に向かうが、その経路上には給電設備9が設置された充電レーン(ポイントP2)があり、充電レーンにより走行中に充電を行うことができる。
【0052】
停留所B52(ポイントP3)を出発した後は、次の停留所C53(ポイントP5)との間には、給電設備10(ポイントP4)が設置されている。バス2は、時間調整のため、ポイントP4で一時停車する。その際、バス2は、給電設備10により接触充電を行うことができる。
【0053】
停留所C53(ポイントP5)を出発した後は、次の停留所D54(ポイントP7)との間に、給電設備9が設置された充電レーン(ポイントP6)があり、充電レーンにより走行中に充電を行うことができる。停留所D54(ポイントP7)を出発すると、出発地点に戻る。
【0054】
このように、バス2は、予め定められた運行ルートを走行するため、運行ルートの途中で設置されたポイントP1~P7において、充電を行うことができる。
【0055】
図4は、第1実施形態に係るバス2の充電量の遷移を説明するため図である。ここで、横軸は経過時間を表す。縦軸は、バッテリ21のSOCを表す。
【0056】
上述のように、バス2は、出発地点を出発してから、再び出発地点に帰着する(戻る)まで、ポイントP1~P7において充電を行うことができる。バス2が運行ルートを運行する際には、バス2が出発地点に戻るまで電欠を発生させないようにする。
【0057】
本実施の形態においては、充電量算出装置1は、「消費電力量Wh1」を算出する。消費電力量Wh1は、運行ルートの運行のためにバッテリが消費する電力量である。また、充電量算出装置1は、「運行中充電量Wh2」を算出する。運行中充電量Wh2は、第2給電設備(給電設備8~10)からバス2の受電装置22が受電する充電量である。そして、充電量算出装置1は、算出した「消費電力量Wh1」と「運行中充電量Wh2」とに基づき、「運行前充電量Wh3」を算出する。
【0058】
時刻t0において、バス2は出発地点において接触式の給電設備7に接続されている。時刻t0におけるSOC(「充電前SOC」と称する)は運行前の充電を行う前のSOCである。給電設備7は、t1~t2おいて、算出された運行前充電量Wh3の電力をバス2に対して充電する。充電後のSOCを「充電後SOC」とも称する。そして、その状態で、バス2は、t3において運行ルートでの運行を開始する。
【0059】
バスが帰着するt18までの間、P1~P7において充電を行う。具体的には、t4~t5(P1)、t6~t7(P2)、t8~t9(P3)、t10~t11(P4)、t12~t13(P5)、t14~t15(P6)、t16~t17(P7)が、運行中充電が行われている期間である。この期間における充電量の合計を算出したものが、「運行中充電量Wh2」となる。運行中充電量Wh2は、停留所A51~停留所D54における停車時間が長ければ長いほど多くなる。
【0060】
そして、上記期間以外の運行ルートの運行中の期間には、バッテリ消費されて、「消費電力量Wh1」分の電力が消費される。消費電力量Wh1は、バス2の走行距離、バス2の積載重量等に応じてその量が変化する。
【0061】
運行前充電量Wh3は、以下の式(A)により算出される。
運行前充電量Wh3=(最低SOC-充電前SOC)+(消費電力量Wh1-運行中充電量Wh2)・・・(A)
ここで、最低SOCは、電欠しない程度の最低限必要なSOCである。消費電力量Wh1および運行中充電量Wh2はあくまで予測値であるため、これらの値が変動しても電欠とならない程度に、少し余裕を持たせて最低SOCを設定する。
【0062】
図のように、運行前充電を行った後は、消費電力量Wh1分が減少し、運行中充電量Wh2分が増加し、最終的に、最低SOCが残存するように、運行前充電が行われる。
【0063】
次に、バス2の消費電力量と運行中充電量との関係について説明する。バス2が運行ルートを走行中である場合、バッテリ21が消費されてSOCが減少する。この場合の減少量は、算出情報DB13に格納された第1情報(走行距離、積載重量、外気温、時間帯、季節、渋滞情報等)により変化する。
【0064】
バス2が運行ルート中に充電されている場合、SOCが上昇する。この場合の上昇量は、算出情報DB13に格納された第2情報(停車時間、走行中充電時間等)により変化する。
【0065】
ここで、走行距離は、運行ルートにおけるバス2の全走行距離である。積載重量は、バス2に乗車している乗客の重量を含む、バス2の積載重量である。積載重量は、たとえば、運行ルート中の平均乗車数×平均体重(たとえば、65kg)+その他積載物の重量により算出してもよい。積載重量は、少なくとも1つの停車ポイント(本実施の形態では、4つの停留所)における、バス2の乗降者により変化する。なお、停留所は1つであってもよい。
【0066】
外気温は、バス2が運行ルートを運行中の外気温である。季節は、バス2が運行ルートを運行中の季節(春、夏、秋、冬)である。渋滞情報は、バス2が運行ルートを運行中の運行ルートにおける渋滞状況(「停留所A51~停留所B52の間が渋滞中」等の情報)である。
【0067】
停車時間は、停留所51A~停留所54D(P1,P3,P5,P7)に停車した時間の合計である。具体的には、t4~t5(P1)、t8~t9(P3)、t12~t13(P5)、t16~t17(P7)の合計値が、停車時間に相当する。停車時間は、停留所51A~停留所54Dにおける、乗客の乗降者数により変化する。
【0068】
走行中充電時間は、少なくとも1つの第2給電設備9により、運行ルートを走行中にバス2が充電される時間である。具体的には、第2給電設備9の充電レーン(P2、P6)を走行中の時間の合計である。t6~t7(P2)、t14~t15(P6)の合計値が、走行中充電時間に相当する。なお、第2情報は、P4での充電時間(t10~t11)も含む。なお、運行ルートにおいて、第2給電設備9は1つであってもよい。
【0069】
図5は、第1実施形態に係るバス2の消費電力量と運行中充電量との関係について説明するための図である。横軸は経過時間を表す。縦軸は、バッテリ21のSOCを表す。
【0070】
たとえば、バス2の乗客が多い(積載重量が大きい)場合(実線)は、バス2の乗客が少ない(積載重量が少ない)場合(点線)よりも、バッテリ21の消費量が大きくなるため、t1以前、t3以降に示すように、SOCの減少率が大きい。上述のように、積載重量は、乗降者数から算出することができる。
【0071】
停留場においてバス2に乗り込む乗車数が多い場合(t1~t3の点線)は、乗車数が少ない場合(t1~t2の点線)よりも、乗車に時間がかかる。このため、バス2への充電時間が長くなるため、前者の方が後者よりも、SOCの増加量が大きい。
【0072】
その他、SOCは、走行距離が長いほど減少量が大きい。SOCは、バス2において空調機を動作させる場合において、バス2内の室内温度と外気温と差が大きいほど、減少量が大きい。SOCは、時間帯における出勤時または退勤時において、他の時間帯よりも運行ルートが混雑するため減少量が大きい。
【0073】
SOCは、季節における冬または夏において、他の季節よりも空調機の消費電力が大きくなるため、減少量が大きい。SOCは、渋滞が発生している箇所は、渋滞が発生していない箇所よりも、減少量が大きい。SOCは、充電レーンの長さが長いほど、走行中充電時間が長くなり、増加量が大きい。
【0074】
消費電力量Wh1は、第1情報(走行距離、積載重量、外気温、時間帯、季節、渋滞情報等)に基づき算出される。運行中充電量Wh2は、第2情報(停車時間、走行中充電時間等)に基づき算出される。
【0075】
消費電力量Wh1と第1情報とは、上述のような関係性がある。また、運行中充電量Wh2と第2情報とは、上述のような関係性がある。たとえば、運行中充電量Wh2と第1情報との関係(あるいは消費電力量Wh1と第2情報との関係)を、実測値に基づき予め定式化するか対応関係のマップを作成し、これに基づき、運行中充電量Wh2および消費電力量Wh1を算出するようにすればよい。
【0076】
<制御フロー>
図6は、第1実施形態に係るバス2の充電処理の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、たとえば予め定められた条件成立時にメインルーチン(図示せず)から呼び出されて実行される。図中、充電量算出装置1(プロセッサ11)により実行される処理を左側に示し、第1給電設備7により実行される処理を右側に示す。各ステップは、充電量算出装置1または第1給電設備7によるソフトウェア処理により実現されるが、充電量算出装置1またはECU26内に配置されたLSI(Large Scale Integration)等のハードウェアにより実現されてもよい。以下、ステップをSと略す。
【0077】
S21において、第1給電設備7は、バス2の接触充電の準備ができているかどうかを判定する。第1給電設備7は、たとえば、充電ケーブル(図示せず)によってバス2と第1給電設備7とが接続された場合に接触充電の準備ができたと判定できる。接触充電の準備ができていない場合(S21においてNO)には、第1給電設備7は、以降の処理を実行することなく処理をメインルーチンに戻す。接触充電の準備ができている場合(S21においてYES)、第1給電設備7は、電力量の演算要求を充電量算出装置1に出力する(S22)。
【0078】
S11において、充電量算出装置1は、第1給電設備7から演算要求を受けたかどうかを判定する。演算要求を受けていない場合(S11においてNO)、充電量算出装置1は、処理をメインルーチンに戻す。演算要求を受けた場合(S11においてYES)、充電量算出装置1は、処理をS12に進める。
【0079】
S12において、充電量算出装置1は、運行履歴データベース14に格納されたバス2の乗降者数の履歴データを取得する。たとえば、運行履歴データベース14から、同一運行ルート(停留所A~D)、同じ曜日の同じ時間帯(たとえば、金曜日の出勤時間帯)の履歴データを取得する。たとえば、金曜日の出勤時間帯に停留所A~Dを運行しようとしている場合、先週金曜日の出勤時間帯の停留所A~Dの乗車数および降車数を取得する。
【0080】
S13において、充電量算出装置1は、履歴データに基づき停留所での停車時間および積載重量を推定し、
第1情報および第2情報に設定する。たとえば、先週の出勤時間帯において、停留所Aの乗車数がX1人であり、降車数がY1(0)人であるとする(
図1参照)。
【0081】
ここで、1人の乗車または降車にかかる時間をKとする。乗車時間はX1×Kとなり、降車時間はY1×Kとなる。そして、両者のうち、大きい方の時間を停留所Aでの停車時間として推定する。
【0082】
停留所Aまでは乗客がいないため、バス2の乗客数は0人である。停留所AB間における乗客数は、X1人である。ここで、バス2の積載重量=乗客数×M1+M2として算出する。M1は、乗客以外のバス2の積載重量(運転手や荷物等)である。M2は、乗客1人あたりの重量(たとえば、65kg)である。これにより、停留所Aまでの積載重量は、M2となり、停留所AB間の積載重量は、X1×M1+M2となる。
【0083】
以下同様に、停留所B,C,Dにおける停車時間、および、停留所BC間、停留所CD間、停留所D以降の積載重量を算出することができる。そして、これらの停車時間を積算したものを「停車時間」として算出する。また、これらの積載重量の平均値を「積載重量」として算出する。そして、算出した停車時間および積載重量を第2情報に設定する。
【0084】
S14において、充電量算出装置1は、運行ルート上の給電設備情報を取得する。具体的には、
図3における、ポイントP2,P6における充電レーンの長さを取得する。また、P4における充電可能時間を取得する。
【0085】
S15において、充電量算出装置1は、給電設備情報に基づき、走行中充電時間等を推定し、第2情報に設定する。ポイントP2,P6における充電レーンの長さ×バス2の平均走行速度を、走行中充電時間として算出し、第2情報として設定する。また、P4における充電可能時間も第2情報として設定する。
【0086】
S16において、充電量算出装置1は、第1情報および第2情報を取得する。上述のように、第1情報は、走行距離、積載重量、外気温、時間帯、季節、渋滞情報を含む。第2情報は、停車時間、走行中充電時間を含む。
【0087】
S17において、充電量算出装置1は、第1情報に基づき消費電力量Wh1を算出し、第2情報に基づき運行中充電量Wh2を算出する。算出方法は、上述の通りである。
【0088】
S18において、充電量算出装置1は、消費電力量Wh1および運行中充電量Wh2に基づき運行前充電量Wh3を算出する。運行前充電量Wh3は、上述した式(A)により求められる。算出した運行前充電量は、第1給電設備7に送信される。S18の後、処理をメインルーチンに戻す。
【0089】
S23において、第1給電設備7は、S18にて算出された運行前充電量がバス2に充電されるように、バス2の接触充電を実行する。これにより、第1給電設備7は、一連の処理を終了し、処理をメインルーチンに戻す。接触充電が完了し、出発時刻になると、バス2は、運行ルートでの運行を開始する。
【0090】
以上説明したように、第1実施形態においては、充電量算出装置1は、運行ルートの運行のためにバッテリ21が消費する消費電力量Wh1と、少なくとも1つの第2給電設備8~10から受電装置が受電する運行中充電量Wh2とを算出する。充電量算出装置1は、第1情報に基づき消費電力量Wh1を算出する。充電量算出装置1は、第2情報に基づき運行中充電量Wh2を算出する。充電量算出装置1は、消費電力量Wh1と運行中充電量Wh2とに基づき、運行前充電量Wh3を算出する。第1給電設備7は、充電量算出装置1によって算出された運行前充電量Wh3の電力をバス2に対して充電する。
【0091】
事業所等の出発地点において給電設備7が不足するような場合、運行前に適切にバス2を充電できず、運行中に電欠する可能性がある。上述のように、消費電力量に影響を与える要素(積載重量等)と、運行中充電量に影響を与える要素(停車時間等)とを考慮し、運行中の充電量と消費電力量に基づく充電量の充電を行うことができるため、必要以上に充電が行われることがなくなる。必要以上に充電を行わないことで、その分、運行前の充電時間を減らすことができる。そして、減らした充電時間を他のバス2の充電時間に充てることができるため、運行中に電欠が発生するような事態を回避することができる。このように、運行ルートの運行前にバス2に対して好適な充電を行うことができる。
【0092】
また、運行履歴データベース14は、バス2から乗降者数に関する情報を取得して、履歴データとして蓄積する。充電量算出装置1は、蓄積された過去の履歴データに基づき、停車時間および積載重量を推定するため、消費電力量の推定精度をさらに高めることができる。
【0093】
なお、第1実施形態においては、充電量の算出を充電量算出装置1が行うようにしたが、これに限らず、第1給電設備7が算出するような構成であってもよい。また、運行ルートにおいて非接触充電および接触充電を行うようにしたが、これに限らず、非接触充電のみを行うようにしてもよく、接触充電のみを行うようにしてもよい。また、停留所において、給電を行う場合と給電を行わない場合があってもよい。また、バス2の停車時間は、GPSによるバス2の位置情報から算出してもよい。この場合、バス2の位置が停留所にある時間が停車時間となる。
【0094】
消費電力量Wh1を算出する際は、運行ルートにおける走行距離および積載重量等以外にも、運行ルート中の坂の勾配等(アップダウン)も考慮して算出するようにしてもよい。また、感染症予防のため、バス2が除菌システム(UVシステム)を備え、紫外線により除菌を行う場面も想定される。この場合、バス2の乗車数に応じて(あるいは計測した二酸化炭素濃度に応じて)除菌を行う頻度を決定すればよい。除菌システムを適用する場合は、除菌に必要な消費電力量を、乗車数に基づき決定するようにすればよい。
【0095】
[第2実施形態]
<システム構成>
第1実施形態では、車両としてバス2を例示し、バス2を充電する充電システム100について説明した。これに対して、第2実施形態では、車両として配送車3を例示し、配送車3を充電する充電システム100について説明する。配送車3は、運行ルートにおいて荷物を配送する車両である。以下、第2実施形態の説明では、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する箇所については説明を省略する。
【0096】
図7は、第2実施形態に係る配送車3の充電システム100の全体構成を概略的に示す図である。充電システム100は、充電量算出装置1と、第1給電設備7とを備える。第1給電設備7は、複数の配送車3に対して充電を行う。
【0097】
充電量算出装置1は、サーバ装置である。充電量算出装置1は、プロセッサ11と、メモリ12と、算出情報データベース13と、配送情報データベース17と、通信モジュール15と、データ線16とを含む。
【0098】
第2実施形態においては、充電量算出装置1は、運行履歴データベース14の代わりに、配送情報データベース17を有する。配送情報データベース17には、配送車3がこれから配送しようとしている配送先の情報が記録されている。
【0099】
たとえば、配送先Aには、荷物K1,K2等を配送し、配送先Bには、荷物L1,L2等を配送し、配送先Cには、荷物M1,M2等を配送し、配送先Dには、荷物N1,N2等を配送するといった情報が記録されている。また、配送先から引き取る荷物があれば、その情報も記録され、荷物の大きさ、重量等の情報も記録されている。配送情報データベース17には、配送先において、荷物の積み降ろしに所要すると思われる時間(停止時間)、荷物の重さを含む積載重量を算出するために必要な情報が記録されている。
【0100】
充電量算出装置1は、運行ルートの運行前に配送車3に充電する運行前充電量を算出する。第1給電設備7は、充電量算出装置1によって算出された運行前充電量の電力を配送車3に対して充電する。
【0101】
算出情報データベース13は、運行前充電量を算出するための各種情報として、第1情報および第2情報を格納する。本内容は、実施形態1とほぼ同じであるが、実施形態2には、「予冷時間」が含まれる。配送車3は、配送先に配送する荷物の一部を所定の温度以下に保った状態で運搬する。このため、配送車3の一部スペースを空調42(
図8)により冷却する。そして、配送車3の一部スペースを所定の温度以下にするために、配送前に予め空調42を動作させておく必要がある。この、配送前に空調42を作動させておく時間(運行前に予め配送車3内を冷却するための時間)を「予冷時間」と称する。
【0102】
<接触・非接触での電力伝送>
図8は、第2実施形態に係る配送車3および給電設備7~9の構成の一例を概略的に示す図である。配送車3は、バッテリ21と、受電装置22と、インレット23と、DCM24と、GPS受信器25と、ECU26と、空調42とを含む。空調42については、先に説明した通りであり、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0103】
給電設備7~9の機能は第1実施形態と同じである。ただし、給電設備8は、配送先の搬入口付近に設けられる。本例は、配送先A31を例示している。
【0104】
配送先A31には、搬入口35があり、搬入口35から荷物の搬入を行う。配送先Aにおいて荷物を搬入するために、荷物の積み降ろしをする際には、配送車3は、給電設備8から受電可能な位置に停車する。
【0105】
給電設備8は、1つの送電ユニット81と、コントローラ80とを含む。図示しないが、送電ユニット81には、配送車3が送電ユニット81の上方の存在していることを検出するためのセンサ(光学センサ、重量センサ等)が設けられている。
【0106】
コントローラ80は、上記センサからの検出信号に基づいて、送電ユニット81内の送電コイル811に、交流電源からの交流電力を供給する。送電ユニット81は、配送車3が配送先(本例では、配送先A31)の搬入口付近に停車したときに、配送車3に対して電力を供給可能な位置に配置されている。
【0107】
これにより、配送車3が配送先で停車している間、配送車3に対して電力を供給することができる。その際、荷物の量が多く、積み降ろしに時間がかかる場合は、配送車3に対する充電時間が長くなることになる。
【0108】
<運行ルート>
図9は、第2実施形態に係る配送車3の運行ルートの一例を示す図である。運行ルート上には、少なくとも1つの停車ポイントがある。本実施形態において、停車ポイントは、4つの配送先A31~配送先D34である。この例では、配送車3が出発地点を出発して配送先A31~配送先D34を経由して、再び出発地点に戻る運行ルートを想定する。ここで、運行ルートにおいて給電設備8~10が設置されているポイントをP1~P7で示す。
【0109】
配送車3は、運行ルートの運行を開始すると、まず、給電設備8が設置された配送先A31(ポイントP1)に向かう。次に、給電設備8が設置された配送先B32(ポイントP3)に向かうが、その経路上には給電設備9が設置された充電レーン(ポイントP2)があり、充電レーンにより走行中に充電を行うことができる。
【0110】
配送先B32(ポイントP3)を出発した後は、次の配送先C33(ポイントP5)との間には、給電設備10(ポイントP4)が設置されている。配送車3は、時間調整のため、ポイントP4で一時停車する。その際、配送車3は、給電設備10により接触充電を行うことができる。
【0111】
配送先C33(ポイントP5)を出発した後は、次の配送先D34(ポイントP7)との間に、給電設備9が設置された充電レーン(ポイントP6)があり、充電レーンにより走行中に充電を行うことができる。配送先D34(ポイントP7)を出発すると、出発地点に戻る。
【0112】
このように、配送車3は、予め定められた運行ルートを走行するため、運行ルートの途中で設置されたポイントP1~P7において、充電を行うことができる。
【0113】
図10は、第2実施形態に係る配送車3の充電量の遷移を説明するため図である。ここで、横軸は経過時間を表す。縦軸は、バッテリ21のSOCを表す。
【0114】
上述のように、配送車3は、出発地点を出発してから、再び出発地点に帰着する(戻る)まで、ポイントP1~P7において充電を行うことができる。配送車3が運行ルートを運行する際には、配送車3が戻るまで、電欠を発生させないようにする。
【0115】
ここで、第1実施形態と異なるのは、上述した「予冷時間」(t1~t2)が必要になることである。第1実施形態においては、出発~帰着までの運行ルートにおける消費電力量を算出していた。これに対して、第2実施形態においては予冷により消費する消費電力量も考慮して消費電力量を算出する。
【0116】
具体的には、予冷時間(t1~t2)において、消費する電力量(図の「予冷分」)も含めて消費電力量Wh1を算出する。配送車3は、荷物を所定の温度以下に保ったまま荷物の搬送を行うため、空調42の冷却分は電力の消費量は大きくなる。
【0117】
また、第1実施形態と第2実施形態とでは、積載重量および停車時間の考え方が異なるため、これについて、
図11を用いて説明する。その他については、基本的には、第1実施形態と同様であり、同じく式(A)を用いて、運行前充電量Wh3を算出する。
【0118】
図11は、第2実施形態に係る配送車3の消費電力量と運行中充電量との関係について説明するための図である。横軸は経過時間を表す。縦軸は、バッテリ21のSOCを表す。
【0119】
たとえば、配送車3の荷物が多い(積載重量が大きい)場合(実線)は、配送車3の荷物が少ない(積載重量が少ない)場合(点線)よりも、バッテリ21の消費量が大きくなるため、t1以前、t3以降に示すように、SOCの減少率が大きい。積載重量は、荷物の重量から算出することができる。
【0120】
搬送先において配送車3からの積み降ろしをする荷物が多い場合(t1~t3の点線)は、荷物が少ない場合(t1~t2の点線)よりも、積み降ろしに時間がかかる。このため、配送車3への充電時間が長くなるため、前者の方が後者よりも、SOCの増加量が大きい。
【0121】
このように、積載重量は、少なくとも1つの停車ポイント(本実施の形態では、4つの配送先)における、配送車3に積載した荷物の積み降ろしにより変化する。停車時間は、少なくとも1つの停車ポイント(4つの配送先)における、荷物の積み降ろし数により変化する。
【0122】
図12は、第2実施形態に係る配送車3の充電処理の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、たとえば予め定められた条件成立時にメインルーチン(図示せず)から呼び出されて実行される。図中、充電量算出装置1(プロセッサ11)により実行される処理を左側に示し、第1給電設備7により実行される処理を右側に示す。
【0123】
S41において、第1給電設備7は、配送車3の接触充電の準備ができているかどうかを判定する。接触充電の準備ができていない場合(S41においてNO)には、第1給電設備7は、以降の処理を実行することなく処理をメインルーチンに戻す。接触充電の準備ができている場合(S41においてYES)、第1給電設備7は、電力量の演算要求を充電量算出装置1に出力する(S42)。
【0124】
S31において、充電量算出装置1は、第1給電設備7から演算要求を受けたかどうかを判定する。演算要求を受けていない場合(S31においてNO)、充電量算出装置1は、処理をメインルーチンに戻す。演算要求を受けた場合(S31においてYES)、充電量算出装置1は、処理をS32に進める。
【0125】
S32において、充電量算出装置1は、配送情報データベース17に格納された配送車3の配送予定情報を取得する。これにより、各配送先において荷物をどの程度積み降ろしするのかが分かる。
【0126】
S33において、充電量算出装置1は、配送予定情報に基づき配送先での停車時間および積載重量を推定し、第2情報に設定する。充電量算出装置1は、各配送先における荷物の積み卸し量から、積み降ろしのために配送先で停車する時間を推定する。たとえば、1つの荷物の積み降ろしにかかる平均時間×荷物の数=停車時間とする。各配送先の停車する時間の合計を「停車時間」とし、第2情報に設定する。
【0127】
また、各配送先において、配送車3に積載する荷物の重量-配送車から降ろす荷物の重量に基づき、各区間における配送車3の積載重量を算出する。各区間における配送車3の積載重量の平均値を「積載重量」とし、第1情報に設定する。
【0128】
S34において、充電量算出装置1は、運行ルート上の給電設備情報を取得する。具体的には、
図3における、ポイントP2,P6における充電レーンの長さを取得する。また、P4における充電可能時間を取得する。
【0129】
S35において、充電量算出装置1は、給電設備情報に基づき、走行中充電時間等を推定し、第2情報に設定する。ポイントP2,P6における充電レーンの長さ×配送車3の平均走行速度を、走行中充電時間として算出し、第2情報として設定する。また、P4における充電可能時間も第2情報として設定する。
【0130】
S36において、充電量算出装置1は、第1情報および第2情報を取得する。S37において、充電量算出装置1は、第1情報に基づき消費電力量Wh1を算出し、第2情報に基づき運行中充電量Wh2を算出する。
【0131】
S38において、充電量算出装置1は、消費電力量Wh1および運行中充電量Wh2に基づき運行前充電量Wh3を算出する。運行前充電量Wh3は、上述した式(A)により求められる。算出した運行前充電量は、第1給電設備7に送信される。S38の後、処理をメインルーチンに戻す。
【0132】
S43において、第1給電設備7は、S38にて算出された運行前充電量が配送車3に充電されるように、配送車3の接触充電を実行する。これにより、第1給電設備7は、一連の処理を終了し、処理をメインルーチンに戻す。接触充電が完了した後、配送車3は、運行ルートでの運行を開始する。
【0133】
以上説明したように、第2実施形態においては、充電量算出装置1は、消費電力量Wh1と運行中充電量Wh2とに基づき、運行前充電量Wh3を算出する。第1給電設備7は、充電量算出装置1によって算出された運行前充電量Wh3の電力を配送車3に対して充電する。
【0134】
事業所等の出発地点において給電設備7が不足するような場合、運行前に適切に配送車3を充電できず、運行中に電欠する可能性がある。上述のように、消費電力量に影響を与える要素(積載重量等)と、運行中充電量に影響を与える要素(停車時間等)とを考慮し、運行中の充電量と消費電力量に基づく充電量の充電を行うことができるため、必要以上に充電が行われることがなくなる。必要以上に充電を行わないことで、その分、運行前の充電時間を減らすことができる。そして、減らした充電時間を他の配送車3の充電時間に充てることができるため、運行中に電欠が発するような事態を回避することができる。このように、運行ルートの運行前に配送車3に対して好適な充電を行うことができる。
【0135】
また、配送情報データベース17は、運行ルートで配送される荷物の情報が記録された配送予定情報を記憶する。充電量算出装置1は、配送予定情報に基づき、停車時間および積載重量を推定するため、消費電力量の推定精度をさらに高めることができる。
【0136】
なお、第2実施形態においては、配送先において充電を行う場合と充電を行わない場合があってもよい。配送先において充電を行う場合は、非接触充電および接触充電のいずれで充電するものであってもよい。配送先は、法人組織の所有する工場等であってもよいし、個人が賃貸するマンション等(マンション設備からの充電)であってもよいし、学校、病院等、どのようなものであってもよい。
【0137】
また、配送先での給電設備8による充電では、充電に際し、配送車3と給電設備8とが充電量算出装置1を介して通信を行い、配送車3の認証処理を行うようにしてもよい。たとえば、配送先において、配送車3のIDが事前に登録されているとする。給電設備8は、配送車3と通信接続を行った際、配送車3からIDを受け取って認証処理を行う。配送車3のIDが事前に登録されている場合は、配送車3に対する充電を許可するようにすればよい。なお、このような認証処理を行うことなく、自由に充電できるものであってもよい。
【0138】
第2実施形態において、配送車3の荷物は所定の温度以下に保つ必要があり、予冷を行うように構成した。この場合、配送先の担当者が不在であり、その荷物を持ち帰る場合がある。この場合、配送車3が出発地点に戻り、その荷物を別の場所に保管するまで(帰着後の所定時間まで)、配送車3内を所定の温度に保ち続ける必要がある。この場合は、予冷時間に加えて、帰着後の所定時間まで冷却するための電力も消費電力量Wh1に含めて算出する。
【0139】
積み降ろしの際に、配送車3の扉の開閉により冷気が逃げる分も考慮して、消費電力量Wh1を算出してもよい。このように、特に、配送車3が、クール便のような宅配便である場合、上記のように配送車3の車内の冷却も考慮して、事前の充電を行う必要がある。その際、特に、天候(晴れ)、時間帯(気温の高い時間帯)、季節(夏や冬)、外気温などの情報(冷却に電力が必要となる情報)を考慮して、充電量を決定する。
【0140】
また、配送先で充電可能である場合、当該配送先における停車中に庫内温度を維持するために必要な電力は配送先で充電するとの前提の元で、運行前充電量Wh3を算出してもよい。この場合、配送先での停止中での充電および電力の消費を除外し、その他の充電および電力の消費のみを考慮して運行前充電量Wh3を算出する。このように処理を簡略化することで、運行計画の生成を容易化することができる。
【0141】
また、配送車3が除菌システムを備える場合は、荷物の積み降ろしの際に運ばれる菌を除去することになる。このため、除菌システムを適用する場合は、除菌に必要な消費電力量Wh1を、荷物の積み降ろしが発生する回数に基づき決定するようにすればよい。以上説明した第1実施形態に開示された事項と、第2実施形態に開示された事項とは、変形例も含めて自由に組み合わせることができる。
【0142】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0143】
1 充電量算出装置、2 バス、3 配送車、11 プロセッサ、12 メモリ、13 算出情報データベース、14 運行履歴データベース、15 通信モジュール、16 データ線、17 配送情報データベース、21 バッテリ、22 受電装置、221 受電コイル、23 インレット、24 DCM、25 受信器、26 ECU、31~34 配送先A~D、35 搬入口、41 カメラ、42 空調、51~54 停留所A~D、7~10 給電設備、80 コントローラ、81~86 送電ユニット、811~861 送電コイル、100 充電システム。