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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報通信装置、及び情報通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/10 20090101AFI20240910BHJP
   H04W 36/14 20090101ALI20240910BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20240910BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20240910BHJP
   H04W 80/06 20090101ALI20240910BHJP
【FI】
H04W28/10
H04W36/14
H04W48/16 136
H04W48/18 113
H04W80/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021123357
(22)【出願日】2021-07-28
(65)【公開番号】P2023018955
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】中田 恒夫
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140563(JP,A)
【文献】特表2010-532140(JP,A)
【文献】特開2005-109899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中間回線を利用可能な通信区間を通じて通信する情報通信装置(9)であって、
経路上を移動する可能性を判定すると共に当該経路の通過地点に対する到達予測時間を導出する移動経路管理部(27)と、
前記移動経路管理部の導出結果に基づいて現在利用中の基準中間回線に比較して有利な有利中間回線を将来的に利用する利用可能性を推定する回線利用可能性推定部(28)と、
前記基準中間回線及び前記有利中間回線を経由し得る通信フローの属性、及び、前記回線利用可能性推定部の推定結果に基づいて前記基準中間回線への転送レートの帯域制限を行うか否かを判定する判定部(29)と、
前記回線利用可能性推定部の推定結果、前記判定部の判定結果、及び、前記通信フローに係る通信セッションが維持される最大の通信応答時間であるタイムアウト時間に基づき、前記有利中間回線を利用開始するまで、前記現在利用中の前記基準中間回線の前記通信セッションを維持可能な程度に転送レートを帯域制限すると共に、前記有利中間回線の利用を開始する際に前記転送レートの帯域制限を緩和する転送レート制限設定部(30)と、
を備える情報通信装置。
【請求項2】
前記有利中間回線は、前記基準中間回線に比較して通信コストが低い点で有利な通信回線である請求項1記載の情報通信装置。
【請求項3】
前記有利中間回線は、前記基準中間回線に比較してより秘匿性能の高い通信秘匿手段を利用可能な点で有利な通信回線である請求項1又は2記載の情報通信装置。
【請求項4】
前記通信セッションにレイヤ4のTCP/TLSセッションが用いられると共に、前記レイヤ4よりも上位レイヤのプロトコルにて送達確認及び再送の機能を用いて通信する場合には、
前記転送レート制限設定部は、前記上位レイヤのプロトコルで規定される再送タイムアウト時間と、前記レイヤ4のTCP/TLSセッションのタイムアウト時間のうち何れか短い時間に基いて、制限する期間における前記転送レートを設定する請求項1から3の何れか一項に記載の情報通信装置。
【請求項5】
プロトコルとしてレイヤ4にてUDPが用いられると共に、前記レイヤ4よりも上位レイヤのプロトコルにて送達確認及び再送の機能を用いて通信する場合には、
前記転送レート制限設定部は、前記上位レイヤのプロトコルの再送タイムアウト時間に基いて、制限する期間における前記転送レートを設定する請求項1から3の何れか一項に記載の情報通信装置。
【請求項6】
前記通信セッションにレイヤ4のTCP/TLSセッションが用いられると共に、前記レイヤ4よりも上位レイヤのプロトコルにてパケットの受信後の一定時間内に後続のパケットが受信されれば前記レイヤ4の前記TCP/TLSセッションを維持するキープアライブ機能を備える場合、
前記キープアライブ機能によるキープアライブ時間と、前記レイヤ4の前記TCP/TLSセッションのタイムアウトのうち短い方に基づいて、制限する期間における前記転送レートを設定する請求項1から3の何れか一項に記載の情報通信装置。
【請求項7】
複数の中間回線を利用可能な通信区間を通じて通信する情報通信方法であって、
移動経路管理部(27)が経路上を移動する可能性を判定すると共に当該経路の通過地点に対する到達予測時間を導出する過程と、
回線利用可能性推定部(28)が、前記移動経路管理部の導出結果に基づいて現在利用中の基準中間回線に比較して有利な有利中間回線を将来的に利用する利用可能性を推定する過程と、
判定部(29)が前記基準中間回線及び前記有利中間回線を経由し得る通信フローの属性、及び、前記回線利用可能性推定部の推定結果に基づいて前記基準中間回線への転送レートの帯域制限を行うか否かを判定する過程と、
転送レート制限設定部(30)が、前記回線利用可能性推定部の推定結果、前記判定部の判定結果、及び、前記通信フローに係る通信セッションを維持する最大の通信応答時間であるタイムアウト時間に基づき、前記有利中間回線を前記通信フローが利用開始するまで、前記現在利用中の前記基準中間回線の前記通信セッションを維持可能な程度に転送レートを制限すると共に、前記有利中間回線の利用を開始する際に前記転送レートの制限を緩和する過程と、
を備える情報通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報通信装置、及び情報通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
将来到達する予測位置で将来利用可能となる有利な回線を用いてデータを送信できるようにした移動システム通信装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の技術によれば、遅延を許容値未満に保ちつつ、有利な通信特性(例えば、低コスト)でデータを送信することができる移動システム通信装置を提供している。特許文献1記載の技術では、将来利用可能となるより有利な回線を用いた場合に許容遅延を充足可能かの予測結果に基づいて、現在利用可能な回線で通信するか、より有利通信特性の回線を利用可能になってから通信するか選択している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-140563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術によれば、有利通信特性を利用すると決定した場合、有利通信特性を利用開始する前の所定時間中には通信発生することがない。このため、特許文献1記載のシステムを用いて行われるアプリケーションによる通信セッションのパケットは、その間、アプリケーションがパケットを送っても転送されることがないため送達確認されることがなくなる。この送達確認できない時間が前述の所定の時間相当となり、セッション維持用のタイムアウト時間より長期間となれば通信セッションが切断されることになる。
【0005】
本開示の目的は、確実にセッションを維持しながら将来には有利な通信回線を利用して通信できるようにした情報通信装置及び情報通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、複数の中間回線を利用可能な通信区間を通じて通信する情報通信装置を対象としており、回線利用可能性推定部は、現在利用中の基準中間回線に比較して有利な有利中間回線を将来的に利用する利用可能性を推定する。判定部は、基準中間回線及び有利中間回線を経由し得る通信フローの属性、及び、推定部の推定結果に基づいて有利中間回線の利用を優先するか否かを判定する。転送レート制限設定部は、回線利用可能性推定部の推定結果、及び、通信フローに係る通信セッションが維持される最大の通信応答時間であるタイムアウト時間に基づき、有利中間回線を利用開始するまで、現在利用中の基準中間回線の通信セッションを維持可能な程度に転送レートを制限し、有利中間回線の利用を開始する際に転送レートの制限を緩和する。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、転送レート制限設定部が、有利中間回線を通信フローの経由回線として利用開始するまで、現在、基準中間回線を経由中の通信セッションを維持可能な程度に転送レートを制限するため、将来的に有利中間回線を利用するまで現在利用中の基準中間回線を経由した通信量を低く保ちつつ通信セッションを確実に維持できる。しかも、有利中間回線の利用を開始する際に転送レートの制限を緩和しているため、転送レートの制限を緩和した上で有利な通信回線を利用できる。
【0008】
また、請求項3記載の発明によれば、基準中間回線に比較してより秘匿性能の高い通信秘匿手段を利用可能な点で有利な通信回線である有利中間回線を通して通信秘匿手段により保護される通信の比率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態における情報通信システムの全体構成図
図2】情報通信装置の構成を概略的に示すブロック図
図3】時間経過に伴う通信速度の変化を模式的に表す図のその1
図4】情報通信装置の処理内容を概略的に示すフローチャート
図5】通信フローを模式的に示す図のその1
図6】通信フローを模式的に示す図のその2
図7】変形例において、時間経過に伴う通信速度の変化を模式的に表す図のその2
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、情報通信システム1は、車両2、端末3,4、外部サーバ5、並びに、これらの車両2、端末3、4、外部サーバ5の間を通信接続する通信網6を備える。車両2は、四輪車の他、オートバイ、自転車などを含む。
【0011】
図2に示すように、車両2の中にはECU7、8及び中継装置9が設置されており、ECU7、8はそれぞれ中継装置9を通じて通信網6に通信接続できる。ECUは、Electronic Control Unitの略である。中継装置9は、DCM又はTCUとも称され本実施形態に係る情報通信装置として構成される。DCMは、Data Communication Moduleの略であり、TCUはTelematics Control Unitの略である。ECU7、8は、それぞれ中継装置9を通じて端末3、4及び外部サーバ5との間でデータ通信する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の通信網6は、インターネット10を中心として構築された中間回線を構成するもので、無線LANアクセスポイント11、12、無線通信を可能にする広域通信局13、14、中継装置9から無線LANアクセスポイント11、12又は広域通信局13、14を通じてパケットを受信する受信ノード15、受信ノード15から転送されるパケットを端末3、4に中継するISP16、17などを図示のように接続することで構成される。ISPは、Internet Service Providerの略である。図2に示したECU7、8は、中継装置9を通じて広域通信局13、14と通信接続することも可能であり、また無線LANアクセスポイント11、12と通信接続することもできる。本形態では、ECU7、8と端末3、4及び外部サーバ5との間で広域通信局13、14を介して通信するセルラ回線K1を基準中間回線と定義する。中継装置9は、通信網6を利用可能な通信区間を通じて通信する。
【0013】
図1に示す広域通信局13、14は、携帯電話、スマートフォン、タブレットなどとの間で無線通信接続する通信装置を備える。広域通信局13、14は、その通信可能エリアが比較的広範な範囲となっており、その基地局が設置された地域一帯をカバーしている。広域通信局13、14の通信装置は、LTE(Long Term Evolution)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、5Gのうち何れかで通信可能にしている。以下の例では、広域通信局13、14としてLTEによるセルラ回線K1を用いて行われる例を例示し、セルラ回線K1を用いるときには料金c1がかかるものとして説明する。
【0014】
他方、無線LANアクセスポイント11、12と通信可能になるオフロード対象エリアは、広域通信局13、14の通信可能エリアより狭い範囲となっており、無線LANアクセスポイント11、12は狭域基地局として構成される。無線LANアクセスポイント11、12を用いた回線をWLAN回線K2と称することとする。
【0015】
WLAN回線K2は、セルラ回線K1よりも低コストで通信できる。以下の説明では、このWLAN回線K2を用いるときには料金c2(但しc2<c1)がかかるものとして説明する。すなわち車両2のユーザ目線では、WLAN回線K2は、セルラ回線K1を用いるときより通信コストの点で有利な有利中間回線を構成することになる。
【0016】
次に、図2等を参照して車両2に搭載されたECU7、8及び中継装置9の構成例を説明する。ECU7、8と中継装置9とは、CAN、LINなどの車内ネットワーク20を通じて接続されており、互いにデータ通信可能に構成されている。中継装置9は、プロセッサ、記憶部21、I/Oを備えたマイクロコンピュータ及び車内ネットワーク20に通信接続する通信回路を備えて構成される。また記憶部21はROM、RAM、又はフラッシュメモリなどを用いることができ、非遷移的実体的記録媒体(non transitory tangible storage medium)としての構成も含んでいる。
【0017】
ECU7、8は、車両2に搭載されたディスプレイにメータや警告表示を行う表示系ECU、車両2の周辺を監視するための周辺監視系ECU、又は、車両2の移動及び停止などの車両制御について運転アクチュエータを用いて実行する車両制御系ECUなどであり、これらのECU7、8は何れも車両2の内部制御を実行する。これらのECU7、8は、それぞれプロセッサ、メモリ、I/Oを備えたマイクロコンピュータ、及び、車内ネットワーク20に通信接続する通信回路(何れも図示せず)を備えて構成される。
【0018】
なお本実施形態では、ECU7、8から端末3、4又は外部サーバ5に対してデータを送信する際の動作を説明するため、図2にはECU7、8を「送信端末」と対応して記載し、中継装置9には「送信ノード」と記載している。
【0019】
ECU7、8は、それぞれ実行するアプリケーションサービスに応じて送信データも異なる。またECU7、8は、各送信データに要求する通信品質も異なるため、予め定められたプロトコルスタック上で通信品質を規定した上でパケットを中継装置9に送信する。このとき送信するパケットには、例えば周辺監視系ECUに接続された車両周辺撮像カメラの撮像データや車室内カメラの撮像データ、その他諸々のデータが含まれる。
【0020】
ECU7、8が、中継装置9及びインターネット10を通じて車両2の外部の端末3、4及び外部サーバ5との間で標準的に通信する際、パケットはTCP/IPプロトコルを用いて規定される。また、標準的な通信プロトコルより秘匿性能の高い通信品質の通信秘匿手段を実現する場合には、レイヤ3のネットワーク層にてIPSec(Security Architecture for IP)-VPNを規定したり、レイヤ4のトランスポート層にてTLS(Transport Layer Security)を規定しても良い。またECU7、8が中継装置9側に送信する通信品質として許容遅延Taを含んでいる。
【0021】
図3に示すように、許容遅延Taは、中継装置9からデータを転送完了するまでの遅延時間の許容時間である。例えば、電話などのアプリケーションによる音声データは即時性が要求されるため、許容遅延Taは比較的短く設定される。また電話以外、例えばカーナビゲーションのアプリケーションによる音声認識クラウドサーバへの音声認識要求のデータ転送時には、許容遅延Taは比較的長く設定される。
【0022】
他方、中継装置9は、記憶部21と共に、通信部22、通信制御部23、及びロケータ24を接続して構成されている。記憶部21は、中継装置9の構成要素により実行されるプログラムを記憶する。また記憶部21は通信部22から取得したパケットデータを記憶するキュー(図示せず)、及び、データ取得部25により取得されたパケットデータを記憶するキュー21a、21bを備える。通信部22は、広域通信局13、14と無線通信可能にする通信機能と、無線LANアクセスポイント11、12と無線通信可能にする通信機能を備える。
【0023】
セルラ回線K1、WLAN回線K2の利用に関わる情報として、それぞれ利用可能なデータ通信の帯域制限、転送レートVが予め定められている。中継装置9は、このデータ通信の帯域制限、転送レートVを各回線の電波マップと共に記憶部21に保持している。中継装置9は、記憶部21に記憶保持していなくても、通信部22を通じて電波マップ及びデータ通信の帯域制限の各データを、通信確立した外部サーバ5から取得しても良い。
【0024】
通信制御部23は、記憶部21に記憶されたプログラムを実行することで、データ取得部25、移動経路管理部26、通信管理部27、回線利用可能性推定部28、判定部29、及び転送レート制限設定部30としての機能を実行できる。
【0025】
またロケータ24は、GPSなどのGNSS受信機、慣性センサ(何れも図示せず)を接続して構成され、車両2の現在位置情報を逐次取得する。なお、ロケータ24は、中継装置9の外部のECU7、8のうち周辺監視系ECUを通じて構成されることもあるが、ここでは、中継装置9に構成した形態を説明する。
【0026】
データ取得部25は、車内ネットワーク20に接続されており、ECU7、8から車内ネットワーク20を通じて送信された通信品質を含むパケットを取得し、パケットをキュー21a、21bに格納する。中継装置9は、キュー21a、21bに格納されたパケットを許容遅延Taに基づく価値に基づいて評価し価値がゼロとなればパケットを破棄することもある。
【0027】
移動経路管理部26は、ロケータ24から現在位置情報を逐次取得し、ロケータ24から取得される現在位置に基づいて、車両2が何れの経路上を移動するかその可能性を予測すると共に、今後の移動経路の通過地点に何れの到達予測時間に到達するか予測して移動経路を管理する。到達予測時間は、車両2が現在位置を起点として今後移動することが予想される予測移動経路に沿って移動したときの経路の通過地点に到達することが予測される時間を示している。
【0028】
今後の移動経路の通過地点の予測方法は、簡単な方法として、これまでロケータ24により取得された移動道路を延長して得られる位置とすることが考えられる。また、記憶部21に順次記憶された移動履歴に基づいて移動可能性を求め、移動可能性が所定より高い経路を対象として移動経路の通過地点を推定、導出しても良い。車両2に搭載されたナビゲーションシステムなどにより設定される経由地、目標位置に基づいて移動経路の通過地点を導出しても良い。またこのとき移動経路の移動推定速度は、これまで移動した経路の移動速度を平均化して求めると良い。また、移動する道路の法定速度、又は、実際に対象道路を移動して多数の車両2から得られたプローブ情報に含まれる移動平均速度を一般的な車両速度と見なしても良い。
【0029】
また、移動経路が複数存在する場合には、現在位置から目標位置までの到達予測時間等に基づいて全ての経路について移動可能性を判定すると共に、移動経路の通過地点に対する到達予測時間を導出する。処理負荷が高い場合には、移動可能性が所定より高い経路のみについて移動経路の通過地点に対する到達予測時間を導出するとよい。これにより、無線LANアクセスポイント11、12と通信可能なオフロード対象エリアに到達するまでの到達予測時間を導出できる。
【0030】
通信管理部27は、複数のキュー21a、21bに格納された送信用のパケットデータをその優先度に基づいて通信順序を設定するスケジューラ27aを備える。また通信管理部27は、通信部22により利用可能な回線の通信リソース及び通信経路を設定する。通信管理部27は、図3に示すように回線の種類毎に到達予測時間と通信速度との関係を管理している。
【0031】
通信管理部27は、予測移動経路に沿った通過地点に対応した通信速度を、無線LANアクセスポイント11、12の設置位置や広域通信局13、14の位置から予測して管理している。なお通信管理部27は、この関係性を常時記憶する必要はなく、通信部22を通じて外部サーバ5と通信することで取得するようにしても良い。
【0032】
通信管理部27は、車両2が移動する予測移動経路中の通過地点に関する各種のパラメータに基づいて、当該通過地点での到達予測時間における通信速度を予測しても良い。ここでいうパラメータは、日中の時間帯、例えば午前又は午後、また、一週間の中の曜日、例えば平日か休日か、季節、車種、車両状態、ECU7、8の種類、通信データの種類、通信相手先となる端末3、4又は外部サーバ5の種類、もしくは、通信規格などである。
【0033】
さらに通信管理部27は、予測された通信速度に基づいてキュー21a、21bに記憶される送信データを送信完了できることが想定される送達完了時間を通信品質として予測する。
【0034】
回線利用可能性推定部28は、将来における広域通信局13、14、及び、無線LANアクセスポイント11、12の利用可能な帯域、転送レートVを予測する。このとき、回線利用可能性推定部28は、現在利用中の回線が広域通信局13を用いたセルラ回線K1であれば、当該セルラ回線K1に比較して有利なWLAN回線K2を将来的に利用できるか否かの利用可能性を推定する。このとき、回線利用可能性推定部28は、移動経路管理部26の導出結果に基づいてWLAN回線K2の利用可能性を推定する。
【0035】
移動経路管理部26が、今後移動予定の何れの通過地点に何れのタイミング時間に到達するか予測するため、回線利用可能性推定部28は、記憶部21に予め記憶された広域通信局13、14や無線LANアクセスポイント11、12の設置状況マップを参照し、通過地点と照合することで、広域通信局13、14の通信エリア、又は、無線LANアクセスポイント11、12と通信可能なオフロード対象エリアにどの日時、時間に到達するか予測できる。
【0036】
なお、車両2が、現在地点にて既に無線LANアクセスポイント11、12と通信可能なオフロード対象エリアに入っており、既にWLAN回線K2を用いている場合、回線利用可能性推定部28は、何れのタイミングでWLAN回線K2を利用可能になるか予測する必要はなく、100%、WLAN回線K2を用いてデータ通信することを決定する。
【0037】
判定部29は、通信フローF1、F2の属性、及び、回線利用可能性推定部28の推定結果に基づいて、各通信フローF1、F2のそれぞれについて基準中間回線の利用の制限、又、転送レートの帯域制限を行うか否かを判定する判定部として構成される。通信フローF1、F2の属性は、経由回線の選択によらず予め決められるもので、例えば許容遅延Taなどを挙げることができ、判定部29は、この属性を考慮して回線選択制御を変えることで、基準中間回線の利用の制限、又、転送レートの帯域制限を行うことができる。
また、判定部29は、例えば、低コストであるか否か、通常の通信手段を用いるか通信秘匿手段を用いるかの差によるセキュリティレベルの高低、通信変調方式の差に基づく通信速度の高低、又は、通信容量の残容量の多少、を考慮し、セルラ回線K1、WLAN回線K2の何れの利用を優先するか否かを判定する。
本形態では、通信フローF1、F2の2つについて基準中間回線への帯域制限の要否を個別に判定する場合を例示するが、3つ以上のフローがある場合も基準中間回線への帯域制限の要否の判定は同様に各通信フローに対し個別に行われる。
【0038】
なお、低コストであればあるほど有利な回線と判定すると良く、また、セキュリティレベルが高いほど有利な回線と判定すると良い。また、セルラ回線K1としてLTEを採用した場合でも、電波強度が強ければ通信速度の速い変調方式を採用することになる。このため、電波強度が所定より強いときにはそれに伴う変調方式を採用した回線を有利な回線と判定しても良いし、よりデータレートの高い通信変調方式を採用可能であると判定したときに、その通信変調方式を採用した回線を有利な回線と判定しても良い。また、転送レートVの設定制限から実際に通信する転送レートVを減算して得られた残容量が所定より多ければ、その回線を有利な回線としても良い。また、これらのセルラ回線K1、WLAN回線K2の属性に対して優先度を設定して複合的に判定しても良い。
【0039】
なお判定部29は、無線LANアクセスポイント11、12のオフロード対象エリアに入ったと想定される通過地点に到達してもWLAN回線K2を利用できないと判定されれば、WLAN回線K2の利用の優先度を下げてセルラ回線K1を用いて通信すると良い。
【0040】
他方、現在、セルラ回線K1を利用している場合、回線利用可能性推定部28により将来的にWLAN回線K2を利用する経路を移動すると推定されたときには、判定部29は、送信データを送信完了するまでに許容される許容遅延Taと予測到達時間とを比較し、許容遅延Taが予測到達時間より長いときには、有利通信回線であるWLAN回線K2を用いてパケット通信することを決定する。他方、許容遅延Taが予測到達時間より短いときにはセルラ回線K1を用いてパケット通信することを決定する。
【0041】
転送レート制限設定部30は、回線利用可能性推定部28の推定結果、判定部29の判定結果、及び、通信フローF1、F2に係る通信セッションが維持される最大の通信応答時間であるタイムアウト時間に基づき、転送レートVの制限を設定する。転送レート制限設定部30は、データの転送レートVを無制限に設定することも可能である。
【0042】
また転送レート制限設定部30は、ECU7、8の実行アプリケーションに係る通信セッションに基づいて前記のタイムアウト時間を設定してパケットの転送レートVを最低限度に設定することも可能である。このとき、転送レート制限設定部30は、ECU7、8によって実行されるアプリケーションから要求される通信セッションを維持できるタイムアウト時間を予め記憶部21に記憶しておき、記憶部21から読み出して、通信フローF1、F2に係る通信セッションを維持可能なタイムアウト時間だけ維持できるようにすると良い。
【0043】
また、前述したように、通信品質の通信秘匿手段を実現するため、中継装置9に入力されるパケットには、レイヤ3のネットワーク層にてIPSec(Security Architecture for IP)-VPNや、レイヤ4のトランスポート層にてTLS(Transport Layer Security)などのセキュリティプロトコルのヘッダが付与される。
【0044】
中継装置9は、これらのパケットを受信した場合、通信秘匿手段を利用する際のタイムアウト時間を、秘匿セッションの確立に関するタイムアウト時間も考慮して設定するとよい。例えば、通信秘匿の開始にあたって実施するハンドシェイクのタイムアウト時間や、秘匿セッションの維持に必要なタイムアウト時間がTCPセッションのタイムアウト時間よりも短い場合、通信秘匿手段を用いない通常の通信フローに係る通信セッションを維持する際のタイムアウト時間よりも短く設定すると良い。この場合、通信秘匿手段を利用する際にも確立された通信セッションを維持できる。
【0045】
次に、システム全体の一動作例について、図4図6を参照して時系列的に説明する。図4に示す処理は、図5図6に示す通信フローF1、F2ごとに行われる。中継装置9は、その搭載された車両2が移動途中、車両2の周辺における無線LANアクセスポイント11、12及び広域通信局13、14の電波マップを取得する。中継装置9の移動経路管理部26は、ロケータ24から現在位置情報を逐次取得し、自身の車両2の今後の移動経路の通過地点を予測する。
【0046】
また、回線利用可能性推定部28は、広域通信局13、14、及び、無線LANアクセスポイント11、12の設置エリアマップを参照し、図4のS1において、将来の移動予定の通過地点における利用可能帯域の予測情報を逐次取得している。
【0047】
他方、ECU7、8のアプリケーションから外部へサービスをリクエストする際には特定の宛先IPアドレスやポート番号を指定し、許容遅延Taと共にデータサイズを規定したパケットを中継装置9に送信する。このとき、アプリ毎に許容遅延Taが設定されているため、中継装置9は、この許容遅延Taの中でパケットの転送を完了し、且つ、通信セッションを維持しながらより有利な回線の利用帯域を最大化するように回線を選択したり、転送データの帯域制限を実行する。このとき、以下の流れに従ってデータの転送処理を行う。
【0048】
当初、中継装置9が、広域通信局13、14、及び、無線LANアクセスポイント11、12などの様々な通信局との間で通信確立していないときには、最初のハンドシェイク時のパケットには帯域制限をかけず、図4のS2において、帯域上限Vmaxを無し、又は、セルラ回線K1及びWLAN回線K2の帯域制限を上回るように帯域上限Vmaxに設定する。図3の期間t0~t1参照。
【0049】
その後、通信部22が、図1に示す広域通信局13にハンドシェイクすると、図4のS3でYESに移行し、セルラ回線K1を通じてデータを転送可能になる。中継装置9は、図4のS3においてハンドシェイクすると、図4のS4において、回線利用可能性推定部28により、許容遅延Taまでに無線LANアクセスポイント11のオフロード対象エリアに到達予定であるか否かを推定、判定する。仮に、オフロード対象エリアに到達予定でなければ、S4にてNOと判定し、S8において現在の帯域上限Vmaxの設定を維持し、S9において現在使用中の回線を使用し続ける。
【0050】
また、回線利用可能性推定部28により、最初のハンドシェイク以外のパケットが転送開始時刻t0+許容遅延Taの時刻までにオフロード対象エリアに到着予定と見積もることができれば、中継装置9は、図4においてS5~S7の処理を実行する。S5において、無線LANアクセスポイント11のオフロード対象エリア到達前には、現在使用中のセルラ回線K1の接続を維持し、例えばレイヤ4のTCP/TLS通信セッションを維持する程度に転送レートVの帯域上限Vmaxを制限する。図3の時刻t1~時刻t2の期間参照。このとき、TCP/TLS通信セッションを維持可能な最低速度以上に帯域上限Vmaxを制限することになるため、通信セッションの再送タイムアウト時間を経過する前にパケットを少量ずつでも転送することになり、通信セッションを維持できる。
【0051】
図5には、セルラ回線K1を通じてデータ転送する際のデータの流れを2つの通信フローF1、F2を用いて例示している。図5に示す通信フローF1、F2は、図3に示した時刻t1~時刻t2の期間における通信速度を、それぞれ太線、細線によりイメージ化している。
通信フローF1では比較的、許容遅延Taが短く、オフロード対象エリアに到達するまでに許容遅延Taを経過しまうことを想定しており、このとき、中継装置9は、図4のS4にてNOと判定する。図4のS4にてNOと判定されると、スケジューラ27aは、図4のS8~S9において帯域上限無を維持しながら現在使用中のセルラ回線K1の使用を維持する。このため、時刻t1~時刻t2の期間において、通信フローF1における現在使用中のセルラ回線K1の通信速度が比較的速くなる。これにより、通信フローF1に対応して中継装置9に設けられたキュー21aに蓄積されるパケットデータ量は比較的少なくなる。
対して、図5に示す通信フローF2では比較的、許容遅延Taが長く、図4のS4にてYESと判定した場合を想定している。通信フローF2では、時刻t1以降において現在使用中のセルラ回線K1の接続を維持することを想定しているが、スケジューラ27aは、時刻t1において、図4のS5により転送レートVの帯域制限を通信フローF2のみを対象として実行する。これにより、通信フローF2に対応して中継装置9に設けられたキュー21bにはパケットデータ量が比較的多く蓄積される。
【0052】
その後、車両2が、図1の無線LANアクセスポイント11のオフロード対象エリアに到達すると、中継装置9は、S6においてオフロード対象エリア内でWLAN回線K2に接続し、転送レートVの帯域上限Vmaxの制限を緩和する。このとき、中継装置9の転送レート制限設定部30は、それまで帯域制限をかけていた通信フローF2に対し、例えば転送レートVの帯域上限Vmaxの制限を解除するか、又は、転送レートVの帯域上限VmaxをWLAN回線K2の最大転送速度以上に設定する。図3の時刻t2~時刻t3参照。
【0053】
このときの通信フローF1、F2を図6に示す。中継装置9は、セルラ回線K1の転送レートVcelよりも速いWLAN回線K2の転送レートVwlanに合わせて転送レートVを設定でき、転送レートVを速めることができる。しかも、セルラ回線K1を使用するよりコスト的に有利にデータ転送できる。このとき、通信フローF1にとっても、通信速度がLTEより高速なWLAN回線K2で接続することが好ましいため、通信フローF1、F2ともにWLAN回線K2を経由してデータ転送している。
【0054】
その後、車両2が、図1の無線LANアクセスポイント11のオフロード対象エリアを通過した後には、中継装置9は、図4のS7においてセルラ回線K1に接続を戻してデータ転送を継続できる。図3の時刻t3~時刻t4参照。このとき、通信フローF1、F2の両方に対して、中継装置9の転送レート制限設定部30は、転送レートVの帯域上限Vmaxを制限解除するか、又は、転送レートVの帯域上限Vmaxをセルラ回線K1の最大転送速度以上に設定する。
【0055】
これは、図3に示されるように、転送開始タイミングt0から許容遅延Taを経過する時刻t4に達するまでの間に、WLAN回線K2を用いるのみでデータ転送を完了できず、セルラ回線K1を用いる必要があるためである。
【0056】
<変形例>
以下、変形例を説明する。図4のS7の終了時点、すなわちWLAN回線K2のオフロード対象エリアを通過後に接続する回線を戻した後に、図7に示す許容遅延Taaの終了までにオフロード対象エリアに到達予定であるか否かを再度判定するようにしても良い。
【0057】
許容遅延Taaの終了までに、車両2が無線LANアクセスポイント12のオフロード対象エリアに到達予定であれば、S5において転送レートVの帯域上限Vmaxを制限する。そして、無線LANアクセスポイント12のオフロード対象エリアに到達できれば、再度WLAN回線K2に接続して転送レートVの帯域上限Vmaxを緩和するようにしても良い。
【0058】
例えば、中継装置9が、時刻t0において回線利用可能性推定部28により推定するが、中継装置9は、この推定結果に基づいて、無線LANアクセスポイント11の通信可能エリアを通過する間にデータ転送する。この後、さらに中継装置9が、時刻t3において許容遅延Taaまでにオフロード対象エリアに到達予定であると再度判定した場合には、図1に示す広域通信局14を介してセルラ回線K1に接続しつつ、転送レート制限設定部30により通信セッションを維持可能な程度に転送レートVの帯域上限Vmaxを制限する。図7の時刻t3~t5参照。時刻t5において再度無線LANアクセスポイント12の通信可能エリアに入ると、WLAN回線K2を通じてデータ転送する。これにより、許容遅延Taaに達する前にデータ転送完了できる。
【0059】
その他、セルラ回線K1を用いなくても、WLAN回線K2を用いて許容遅延Taaの間にデータ転送を完了できることを時刻t0の時点に判定したときにも、WLAN回線K2に複数回接続してデータ転送しても良い。
【0060】
中継装置9が、例えば無線LANアクセスポイント11を介してWLAN回線K2により転送しているときに、時刻t3においてオフロード対象エリアを通過すると、図1に示す広域通信局14を介したセルラ回線K1に接続しつつ、転送レート制限設定部30により通信セッションを維持可能な程度に転送レートVを制限する。図7の時刻t3~時刻t5参照。
【0061】
その後、中継装置9は、時刻t5において、図1に示す次の無線LANアクセスポイント12を介したWLAN回線K2を通じてデータ転送を開始する。この際、中継装置9の転送レート制限設定部30は、転送レートVの帯域上限Vmaxを制限解除するか、又は、転送レートVの帯域上限Vmaxをセルラ回線K1の最大転送速度以上に設定する。すると、WLAN回線K2に複数回接続することで許容遅延Taaの終了時刻t4aまでにデータ転送を完了できる。
【0062】
<まとめ>
本実施形態によれば、転送レート制限設定部30は、時刻t2においてWLAN回線K2を利用開始するまで、時刻t1~時刻t2において利用中のセルラ回線K1を用いた通信フローF2の通信セッションを維持可能な程度に転送レートVを制限している。将来的にWLAN回線K2を利用開始するまでセルラ回線K1を用いて通信セッションを確実に維持できる。そして転送レート制限設定部30は、時刻t2においてWLAN回線K2の利用を開始する際に転送レートVの制限を緩和している。これにより、移動経路上で利用可能となる回線の中で特に有利なWLAN回線K2を利用した通信量の比率を高めることができる。また、通信秘匿手段を利用する際にも確立された通信セッションを維持できるようになり、WLAN回線K2を通じた秘匿通信の比率を高めることができる。
【0063】
(他の実施形態)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。
【0064】
レイヤ4よりも上位レイヤのプロトコルのタイムアウト時間を基準に含めても良い。例えば、MQTT(Message Queueing Telemetry Transport)、AMQP(Advanced Message Queuing Protocol)、CoAP(Constrained Application Protocol)等の上位レイヤプロトコルは、データの送達確認及び再送の機能を備えたプロトコルである。これら上位レイヤプロトコルの再送タイムアウト時間と、レイヤ4のTCP/TLSセッションのタイムアウト時間のうち、何れか短い時間に基づいて、制限する期間t1~t2における転送レートVを決定すると良い。またレイヤ4のプロトコルがUDP(User Datagram Protocol)である場合、その上位レイヤのプロトコルの再送タイムアウト時間に基づいて、制限する期間t1~t2における転送レートVを設定すると良い。
【0065】
また上位レイヤのプロトコルにキープアライブ(Keep Alive)機能を備える場合には、このキープアライブ時間を基準に含めても良い。MQTT、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)等の上位レイヤプロトコルは、あるパケットの受信後の一定時間内に後続のパケットが受信されれば、レイヤ4のセッションを維持するキープアライブ機能を備える。上位レイヤのプロトコルのキープアライブ時間と、レイヤ4のTCP/TLSセッションのタイムアウトのうち、短い方に基づいて、制限する期間t1~t2における転送レートVを設定すると良い。
【0066】
前述実施形態では、通信網6はインターネット10を含む網を適用した例を示したが、これに限定されるものではなく、他のVPN通信網や、職場環境等で構築されるイントラネットにも適用できる。
【0067】
上記実施形態において、プロセッサは、それぞれ記憶部21に記憶されたプログラムを実行するためのハードウェアであり、本開示による情報送信方法を実現するコンピュータの主体構成である。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。プロセッサを含む処理回路は、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)を主体とした構成であってもよい。
【0068】
記憶部21は、不揮発性の記憶媒体を含む構成であれば良い。記憶媒体には、各プロセッサによって実行される種々のプログラムが格納されている。例えば、記憶部21は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等により構成されていても良く、スロット部に挿入されることで車載の通信制御部23に電気的に接続される構成であっても良い。
【0069】
本開示に記載の中継装置9による手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及び記憶部21を構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の中継装置9及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の中継装置9及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及び記憶部21と一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【0070】
本発明は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本発明は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0071】
図面中、9は中継装置(情報通信装置)、26は移動経路管理部、28は回線利用可能性推定部、29は判定部、30は転送レート制限設定部、K1はセルラ回線(基準中間回線)、K2はLAN回線(有利中間回線)、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7