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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】雌端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20240910BHJP
   H01R 13/187 20060101ALI20240910BHJP
   H01R 43/00 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
H01R13/11 A
H01R13/187 A
H01R43/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021135538
(22)【出願日】2021-08-23
(65)【公開番号】P2023030419
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 裕樹
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-207216(JP,A)
【文献】特開2002-190336(JP,A)
【文献】特開2014-160544(JP,A)
【文献】特開2021-047995(JP,A)
【文献】特開2009-093834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
H01R 13/187
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄端子と接続する雌端子であって、
前記雄端子が挿入されるとともに前後方向に延びる接続筒部と、前記接続筒部内に設けられて前記雄端子と弾性的に接触する弾性接触片と、前記接続筒部内に配されて前記弾性接触片と接触して前記弾性接触片を前記雄端子に向けて付勢する補助バネと、を備え、
前記接続筒部は、底壁と、前記底壁と対向する上壁と、を有するとともに、前方に開口する前開口部を有し、
前記弾性接触片は、前記接続筒部内において前記底壁の前端縁から後方に折り返された支点部と、前記支点部よりも後方の位置に設けられて前記雄端子と接触する接点部と、を有し、
前記補助バネは、前記支点部よりも後方の位置であり、且つ前記接点部よりも下方の位置に配されており、
前記補助バネは前後方向と交差する方向に突出する突部を有し、
前記突部と、前記上壁の内面とが、前記接続筒部の前記前開口部から視認可能である雌端子。
【請求項2】
前記接続筒部は後方に開口する後開口部を有し、
前記接続筒部の前記前開口部に前方から入射したレーザー光が、前記後開口部から出射するようになっている請求項1に記載の雌端子。
【請求項3】
前記接続筒部は、前記底壁の側縁から前記上壁に向かって延びる側壁を有し、
前記突部の先端は、前記側壁より内側に位置している請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項4】
前記接続筒部は、前記底壁の側縁から前記上壁に向かって延びる側壁を有し、
前記側壁には前記突部に対応する位置に前記側壁を貫通する貫通孔が形成されており、
前記突部は前記貫通孔の孔縁部と当接することにより前記補助バネが過度にたわみ変形することを抑制するようになっている請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項5】
前記突部の先端は、前記側壁の外面より内側に位置している請求項4に記載の雌端子。
【請求項6】
前記弾性接触片は、前記接点部よりも後方の位置に、前記補助バネと当接する当接部を有し、
前記補助バネは、前記当接部と当接して前記弾性接触片を付勢する付勢部を有し、
前記突部は、前記補助バネのうち前記付勢部よりも後方の位置に設けられている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の雌端子。
【請求項7】
前記接続筒部とは別体の前記補助バネが、前記接続筒部内に固定されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の雌端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雌端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雌端子として特開2016-062710号公報に記載されたものが知られている。この雌端子は、雄端子が挿入される接続筒部を有する。接続筒部の内部には雄端子と弾性的に接触する弾性接触片が設けられている。雄端子は、弾性接触片と、接続筒部の上壁との間に挟まれることにより、雌端子と電気的に接続される。
【0003】
さらに、接続筒部の内部には、弾性接触片と接触して弾性接触片を雄端子に向けて付勢する補助バネが設けられている。この補助バネに付勢されることにより、雄端子と弾性接触片との接圧が向上するので、雌端子と雄端子との電気的な接続信頼性が向上するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-062710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
雌端子と雄端子との電気的な接続信頼性を向上させるためには、弾性接触片を付勢する補助バネの強度を管理することが重要となる。そのためには、接続筒部内において、補助バネと、接続筒部の上壁との相対的な配置を検査し、管理することが重要となる。
【0006】
しかし、補助バネは接続筒部内に配されており、しかも、弾性接触片に下に隠れてしまうので、外部から補助バネと、接続筒部の上壁との相対的な配置を検査することが難しい。
【0007】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、接続筒部内における補助バネの配置を検査可能な雌端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、雄端子と接続する雌端子であって、前記雄端子が挿入されるとともに前後方向に延びる接続筒部と、前記接続筒部内に設けられて前記雄端子と弾性的に接触する弾性接触片と、前記接続筒部内に配されて前記弾性接触片と接触して前記弾性接触片を前記雄端子に向けて付勢する補助バネと、を備え、前記接続筒部は、底壁と、前記底壁と対向する上壁と、を有するとともに、前方に開口する前開口部を有し、前記弾性接触片は、前記接続筒部内において前記底壁の前端縁から後方に折り返された支点部と、前記支点部よりも後方の位置に設けられて前記雄端子と接触する接点部と、を有し、前記補助バネは、前記支点部よりも後方の位置であり、且つ前記接点部よりも下方の位置に配されており、前記補助バネは前後方向と交差する方向に突出する突部を有し、前記突部と、前記上壁の内面とが、前記接続筒部の前記前開口部から視認可能となっている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、接続筒部内における補助バネの配置を検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る雌端子を示す、図3におけるI-I線断面図である。
図2図2は、雌端子を示す側面図である。
図3図3は、雌端子を示す平面図である。
図4図4は、雌端子を示す背面図である。
図5図5は、補助バネを示す斜視図である。
図6図6は、雌端子を示す、図1におけるIX-IX線断面図の一部を拡大した断面図である。
図7図7は、雌端子を示す、図1におけるIX-IX線断面図を斜め上方から見た斜視断面図である。
図8図8は、雌端子を前方から見た正面図である。
図9図9は、雌端子を示す図1におけるIX-IX線断面図である。
図10図10は、実施形態2に係る雌端子を示す側面図である。
図11図11は、雌端子を示す、一部拡大断面図である。
図12図12は、雌端子を示す、斜視断面図である。
図13図13は、図10におけるXIII-XIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0012】
(1)本開示は、雄端子と接続する雌端子であって、前記雄端子が挿入されるとともに前後方向に延びる接続筒部と、前記接続筒部内に設けられて前記雄端子と弾性的に接触する弾性接触片と、前記接続筒部内に配されて前記弾性接触片と接触して前記弾性接触片を前記雄端子に向けて付勢する補助バネと、を備え、前記接続筒部は、底壁と、前記底壁と対向する上壁と、を有するとともに、前方に開口する前開口部を有し、前記弾性接触片は、前記接続筒部内において前記底壁の前端縁から後方に折り返された支点部と、前記支点部よりも後方の位置に設けられて前記雄端子と接触する接点部と、を有し、前記補助バネは、前記支点部よりも後方の位置であり、且つ前記接点部よりも下方の位置に配されており、前記補助バネは前後方向と交差する方向に突出する突部を有し、前記突部と、前記上壁の内面とが、前記接続筒部の前記前開口部から視認可能となっている。
【0013】
補助バネの突部と、上壁の内面との間隔を、前開口部を通して、光学的な手法によって測定することができる。これにより、上壁の内面に対する補助バネの相対的な位置を容易に検査することができる。
【0014】
(2)前記接続筒部は後方に開口する後開口部を有し、前記接続筒部の前記前開口部に前方から入射したレーザー光が、前記後開口部から出射するようになっていることが好ましい。
【0015】
接続筒部の前方に配置したレーザー光照射装置から照射されたレーザー光は、接続筒部の前開口部から入射し、接続筒部の後開口部から出射し、接続筒部の後方に配されたレーザー光受光装置によって受光される。これにより、レーザー光によって、上壁の内面に対する補助バネの相対的な位置を検査することができる。
【0016】
(3)前記接続筒部は、前記底壁の側縁から前記上壁に向かって延びる側壁を有し、前記突部の先端は、前記側壁より内側に位置していることが好ましい。
【0017】
突部の先端が側壁によって保護されるので、突部の先端が異物と衝突することが抑制される。
【0018】
前記接続筒部は、前記底壁の側縁から前記上壁に向かって延びる側壁を有し、前記側壁には前記突部に対応する位置に前記側壁を貫通する貫通孔が形成されており、記突部は前記貫通孔の孔縁部と当接することにより前記補助バネが過度にたわみ変形することを抑制するようになっていることが好ましい。
【0019】
貫通孔により補助バネが過度にたわみ変形することが抑制される。
【0020】
(5)前記突部の先端は、前記側壁の外面より内側に位置していることが好ましい。
【0021】
突部の先端が側壁よりも外方に突出していないので、突部の先端が異物と衝突することが抑制される。
【0022】
(6)前記弾性接触片は、前記接点部よりも後方の位置に、前記補助バネと当接する当接部を有し、前記補助バネは、前記当接部と当接して前記弾性接触片を付勢する付勢部を有し、前記突部は、前記補助バネのうち前記付勢部よりも後方の位置に設けられていることが好ましい。
【0023】
弾性接触片において、補助バネから付勢される当接部が力点となり、接点部が作用点となり、支点部が支点となるので、てこの原理により、当接部に加えられる力よりも大きな力が接点部に加わる。これにより、雄端子と雌端子との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0024】
また、補助バネのうち弾性接触片を付勢する付勢部は、弾性接触片からの力を受けて変形する可能性がある。この付勢部よりも後方の位置に突部が設けられていることにより、補助バネと、上壁との相対的な位置を正確に検査することができる。
【0025】
(7)前記接続筒部とは別体の前記補助バネが、前記接続筒部内に固定されていることが好ましい。
【0026】
接続筒部を構成する材料と異なる材料で補助バネを形成できるので、補助バネの強度設計を自由に変更できる。これにより、例えば、接続筒部を構成する材料よりも強度の大きな材料で補助バネを形成した場合には、雄端子と弾性接触片との接圧を上げることができるので、雄端子と雌端子との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0028】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図9を参照しつつ説明する。図1に示されるように、本実施形態における雌端子1は、タブ81を有する雄端子80(タブ81のみ図示)と接続される。雌端子1は、端子本体10と、端子本体10とは別体に形成されて、端子本体10に取り付けられる補助バネ70と、を備えるものである。以下の説明においては、矢線Zで示される方向を上方とし、矢線Yで示される方向を前方とし、矢線Xで示される方向を左方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0029】
端子本体10は、金属板材が所定の形状にプレス加工されることにより形成される。端子本体10を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を適宜に選択できる。図2及び図3に示されるように、端子本体10は前後方向に細長い形状に形成されている。図1に示されるように、端子本体10の略前半領域には、雄端子80のタブ81が矢線Aで示される方向から挿入される接続筒部20が形成され、略後半領域には、電線(図示せず)が接続される電線接続部40が形成されている。
【0030】
図1に示されるように、接続筒部20は、前後方向に細長い角筒状をなし、その前端には、雄端子80が挿入される前開口部21が前方に開口して設けられている。接続筒部20の後端部は後方に開口しており、後開口部28とされる。図4に示されるように、接続筒部20は、底壁22と、底壁22の左右両端縁から上方へ起立した一対の側壁23と、これら一対の側壁23の上端に跨って底壁22と対向して配される上壁24とを備えている。本実施形態に係る上壁24は、一方の側壁23上端部から他方の側壁23上端部に向けて折り曲げられて形成されている。上壁24の下面30には、下方に突出すると共に、前後方向に延びるリブ29が形成されている。図4に示されるように、リブ29は、上壁24の下面30のうち、左右両端部を除く領域に形成されている。
【0031】
図2及び図3に示されるように、電線接続部40は、電線の芯線(図示せず)に圧着するワイヤーバレル部42と、電線の絶縁被覆(図示せず)に圧着するインシュレーションバレル部43と、を備えている。
【0032】
図1に示されるように、接続筒部20の内部には弾性接触片50が配されている。弾性接触片50は、底壁22の前端縁から後方に折り返されて形成されている。底壁22の前端縁から折り返された部分は支点部51とされる。この支点部51を支点として、弾性接触片50は上下方向にたわみ変形するようになっている。
【0033】
弾性接触片50は、前後方向について接続筒部20の略中央位置まで延びている。弾性接触片50の後端部寄りの位置には、上方に突出する接点部54が形成されている。接点部54は雄端子80のタブ81に対して、下方から弾性的に接触するようになっている。これにより、タブ81が、弾性接触片50の接点部54と、上壁24のリブ29との間に挟まれることにより、雄端子80と雌端子1とが電気的に接続されるようになっている。タブ81が接続筒部20内に挿入されていない状態では、接点部54と、リブ29とは対向している。
【0034】
弾性接触片50のうち接点部54よりも後方の部分は、後述する補助バネ70に対して上方から当接する当接部55とされる。
【0035】
補助バネ70は、端子本体10を構成する金属と異なる金属からなる板材が、所定の形状にプレス加工されることにより形成される。本実施形態1においては、補助バネ70を構成する金属としてステンレス鋼が用いられている。本実施形態1においては、補助バネ70を構成する金属の弾性率は、端子本体10を構成する金属の弾性率より大きい。補助バネ70は、全体として前後方向に細長い板状とされている。
【0036】
図1に示されるように、補助バネ70が底壁22に載置された状態で、補助バネ70の前端部は、前後方向について接続筒部20の略中央に位置している。補助バネ70の前端部は、弾性接触片50が下方に弾性変形したときに、弾性接触片50の当接部55に下方から当接して弾性接触片50を上方に付勢する付勢部71とされる。これにより、弾性接触片50はタブ81に接近する方向に付勢されるようになっている。弾性接触片50が自然状態のときは、弾性接触片50の後端部と、補助バネ70の付勢部71とは、離れていてもよいし、接触していてもよい。図5に示されるように、付勢部71は、前方に向かうに従ってやや先細り形状に形成されている。
【0037】
図1に示されるように、補助バネ70の後半部分は、端子本体10の底壁22の上面に載置される載置部72とされる。載置部72は、底壁22の上面と接触している。付勢部71と載置部72との間の領域は、補助バネ70が底壁22の上面に載置された状態で、前方に向かって上り勾配になっている傾斜部73となっている。
【0038】
図5に示されるように、載置部72には、左右両側縁から左右両側方に突出する係止突部74が形成されている。係止突部74は、載置部72の各側縁に、前後方向に間隔を空けて2つ並んで形成されている。
【0039】
図6及び図7に示されるように、接続筒部20における2つの側壁23には、接続筒部20の内方に突出するとともに、補助バネ70の載置部72にかしめ付けられるかしめ部25が形成されている。かしめ部25は、接続筒部20の側壁23を切り起こして形成されている。かしめ部25は、載置部72の両側縁に設けられた前後に並ぶ2つの係止突部74の間にかしめ付けられる。これにより、補助バネ70は、前方、及び後方への移動が規制された状態で、端子本体10に取り付けられる。2つのかしめ部25は重なりあうことなく、互いの先端の間に若干の隙間を空けて配される。
【0040】
図1に示されるように、接続筒部20の底壁22には、弾性接触片50の下方であって、且つ、補助バネ70の付勢部71よりも前方の位置に、上方に突出する過度たわみ抑制片27が設けられている。過度たわみ抑制片27は、底壁22が切り起こされて形成されている。過度たわみ抑制片27の上端部と、自然状態の弾性接触片50の下縁部との間には隙間が形成されている。雄端子80のタブ81が接続筒部20内に挿入された状態においても、過度たわみ抑制片27の上端部と、弾性接触片50の下縁部との間には隙間が形成されるようになっている。弾性接触片50が雄端子80のタブ81によって過度の下方に押された場合に、過度たわみ抑制片27の上端部が弾性接触片50の下縁部に下方から当接することにより、弾性接触片50が下方に過度たわみすることが抑制されるようになっている。なお、弾性接触片50が自然状態にあるとは、弾性接触片50に外部から力が加えられていない状態をいう。
【0041】
過度たわみ抑制片27は、補助バネ70の付勢部71よりも前方に設けられているので、過度たわみ抑制片27は補助バネ70とは接触しないようになっている。
【0042】
図5に示されるように、補助バネ70は、付勢部71よりもやや後方の位置であって、且つ傾斜部73の前端部寄りの位置に、左右方向(前後方向と交差する方向の一例)にそれぞれ突出する2つの突部75を有する。突部75は、上方から見て長方形状をなしている。
【0043】
図8に示されるように、2つの突部75の先端は、弾性接触片50の左右両側縁よりも左右方向に突出している。突部75の上方には、上壁24の下面30が位置しており、突部75と上壁24の下面30とが対向するようになっている。
【0044】
また、図6に示されるように、2つの突部75の先端は、側壁23の内面よりも内方に位置している。突部75の先端と、側壁23の内面との間には隙間が形成されている。突部75の先端は、側壁23によって覆われており、接続筒部20の外部には露出していない。
【0045】
図8に示されるように、接続筒部20を前方から見た場合、前開口部21の開口縁部を視認できる。具体的には、2つの側壁23の前端部と、底壁22の前端部と、上壁24の前端部と、が視認可能になっている。さらに、前開口部21を通して、接続筒部20の内部が視認可能になっている。具体的には、弾性接触片50の支点部51及び接点部54が視認可能になっている。また、上壁24の下面30及びリブ29が視認可能になっている。弾性接触片50の接点部54の下方の位置であって、且つ弾性接触片50の左右両側方には、2つの突部75が視認可能になっている。
【0046】
補助バネ70の付勢部71は、弾性接触片50の後方に位置するので、前方からは付勢部71を視認することができないようになっている。
【0047】
なお、視認可能とは、カメラ、受光素子等の光学機器により、対象物の位置、大きさ、形、色等を測定可能であることをいう。
【0048】
図4に示されるように、接続筒部20を後方から見た場合、後開口部28の開口縁部のうち、上壁24の後端部と、2つの側壁23の後端部のうち上端部寄りの部分と、が視認可能になっている。さらに、後開口部28を通して、接続筒部20の内部が視認可能になっている。具体的には、弾性接触片50の接点部54及び当接部55が視認可能になっている。また、上壁24の下面30及びリブ29が視認可能になっている。弾性接触片50の接点部54の下方の位置であって、且つ弾性接触片50の左右両側方には、2つの突部75が視認可能になっている。
【0049】
上記したように、前開口部21からは、上壁24の下面30及びリブ29と、弾性接触片50の接点部54と、補助バネ70の突部75が視認可能になっており、後開口部28からは、上壁24のリブ29と、弾性接触片50の接点部54と、補助バネ70の突部75が視認可能になっている。これにより、図9に示されるように、接続筒部20の前方に配置したレーザー光照射装置60から、接続筒部20の前開口部21の内方に照射されたレーザー光L1,L2,L3は、接続筒部20内を通過して、接続筒部20の後開口部28から後方に出射し、接続筒部20の後方に配置されたレーザー光受光装置61に達することができるようになっている。この結果、接続筒部20内を通過するレーザー光L1,L2,L3によって、接続筒部20の上壁24のリブ29と、弾性接触片50の接点部54との間隔を測定することができるとともに、接続筒部20の上壁24の下面30と、補助バネ70の突部75との間隔を測定することができるようになっている。
【0050】
[実施形態1の作用効果]
続いて、実施形態1の作用効果について説明する。図9に示されるように、雌端子1の前方にレーザー光照射装置60が配され、雌端子1の後方にレーザー光受光装置61が配される。レーザー光照射装置60から、接続筒部20の内部に向けてレーザー光L1,L2,L3が照射される。
【0051】
図9に示されるように、左右方向について接続筒部20の中心付近を通過するレーザー光L1が照射される。このレーザー光L1は、弾性接触片50の接点部54に照射されるとともに、上壁のリブ29に照射されるようになっている。接続筒部20の内部を通過したレーザー光L1がレーザー光受光装置61によって受光されることにより、弾性接触片50の接点部54と、上壁24のリブ29との間隔が測定される。これにより、接続筒部20内において、上壁24のリブ29と、弾性接触片50との相対的な位置を検査することができる。
【0052】
図9に示されるように、接続筒部20の内部において、左端部寄りの位置を通過するレーザー光L2と、右端部寄りの位置を通過するレーザー光L3が照射される。これらのレーザー光L2,L3は、補助バネ70の左右両側縁から突出する突部75に照射されるとともに、上壁24の下面30に照射されるようになっている。接続筒部20の内部を通過したレーザー光L2,L3がレーザー光受光装置61によって受光されることにより、補助バネの突部75と、上壁24の下面30との間隔が測定される。これにより、接続筒部20内において、上壁24の下面30と、補助バネ70との相対的な位置を検査することができる。
【0053】
本実施形態によれば、補助バネ70は、左右両側縁からそれぞれ突出する2つの突部75を有する。これにより、各突部75と、上壁24の下面との間隔を測定することにより、補助バネ70が捻じれているか否かについて検査することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、接続筒部20は、底壁22の側縁から上壁24に向かって延びる側壁23を有し、突部75の先端は、側壁23より内側に位置している。このように突部75の先端が側壁23によって保護されるので、突部75の先端が異物と干渉することが抑制される。
【0055】
また、本実施形態によれば、弾性接触片50は、接点部54よりも後方の位置に、補助バネ70と当接する当接部55を有し、補助バネ70は、当接部55と当接して弾性接触片50を付勢する付勢部71を有し、突部75は、補助バネ70のうち付勢部71よりも後方の位置に設けられている
【0056】
弾性接触片50において、補助バネ70から付勢される当接部55が力点となり、接点部54が作用点となり、支点部51が支点となるので、てこの原理により、当接部55に加えられる力よりも大きな力が接点部54に加わる。これにより、雄端子80と雌端子1との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0057】
また、補助バネ70のうち弾性接触片50を付勢する付勢部71は、弾性接触片50からの力を受けて変形する可能性がある。この付勢部71よりも後方の位置に突部75が設けられていることにより、補助バネ70と、上壁24との相対的な位置を正確に検査することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、接続筒部20とは別体の補助バネ70が、接続筒部20内に固定されている。
【0059】
接続筒部20を構成する材料と異なる材料で補助バネ70を形成できるので、補助バネ70の強度設計を自由に変更できる。これにより、例えば、接続筒部20を構成する材料よりも強度の大きな材料で補助バネ70を形成した場合には、雄端子80と弾性接触片50との接圧を上げることができるので、雄端子80と雌端子1との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0060】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2に係る雌端子101について、図10から図13を参照しつつ説明する。図10図11及び図12に示されるように、接続筒部120の側壁123は、補助バネ170の突部175の左方、及び右方に対応する位置に、それぞれ、側壁123を左右方向に貫通する貫通孔131を有する。図10に示されるように、貫通孔131は、左右方向から見て、略長方形状をなしている。貫通孔131の内形状は、突部175の先端の外形状よりも大きく形成されている。
【0061】
図11、及び図13に示されるように、突部175の先端は、貫通孔131の内側に位置している。詳細には、突部175の先端は、側壁123の内面と、側壁123の外面との間に位置している。これにより突部175の先端が側壁123の外面よりも外方に突出しないようになっている。
【0062】
補助バネ170の突部175が貫通孔131の孔縁部に当接することにより、補助バネ170が過度にたわみ変形することが抑制されるようになっている。
【0063】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0064】
本実施形態によれば、突部175の先端は、側壁123の外面より内側に位置している。これにより、突部175の先端が側壁123よりも外方に突出していないので、突部175の先端が異物と干渉することが抑制される。
【0065】
<他の実施形態>
【0066】
(1)接続筒部20の前方から、例えばカメラにより接続筒部20の内部を撮像し、画像解析により上壁24の下面30と、補助バネ70の突部75との間隔を測定してもよい。この場合、接続筒部20は後開口部28を有さず、接続筒部20の後端部が何らかの部材により塞がれていてもよい。
【0067】
(2)補助バネ70の左右両側縁の一方に、1つの突部75が設けられる構成としてもよい。また、補助バネ70は、3つ以上の突部75を有する構成としてもよい。
【0068】
(3)補助バネは、端子本体10と一体に形成される構成としてもよい。
【0069】
(4)突部75は、補助バネ70の側縁から、前後方向と交差する任意の方向に突出する構成としてもよく、例えば、左斜め上方、右斜め上方、左斜め下方、又は右斜め下方に突出する構成としてもよい。
【0070】
(5)突部75の形状は任意であり、上方から見て先細り形状であってもよいし、上方から見て先端が円弧状に丸められた形状であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1、101: 雌端子
10、110: 端子本体
20、120: 接続筒部
21: 前開口部
22: 底壁
23、123: 側壁
24: 上壁
25: かしめ部
27: 過度たわみ抑制片
28: 後開口部
29: リブ
30: 下面
40: 電線接続部
42: ワイヤーバレル部
43: インシュレーションバレル部
50: 弾性接触片
51: 支点部
54: 接点部
55: 当接部
60: レーザー光照射装置
61: レーザー光受光装置
70、170: 補助バネ
71: 付勢部
72: 載置部
73: 傾斜部
74: 係止突部
75、175: 突部
80: 雄端子
81: タブ
131: 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13