IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

特許7552536車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム
<>
  • 特許-車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム 図1
  • 特許-車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム 図2
  • 特許-車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム 図3
  • 特許-車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム 図4
  • 特許-車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム 図5
  • 特許-車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム 図6
  • 特許-車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム 図7
  • 特許-車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム 図8
  • 特許-車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム 図9
  • 特許-車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240910BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20240910BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20240910BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/14 A
G09G5/37
H04N7/18 U
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021141239
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023034812
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】水野 俊範
(72)【発明者】
【氏名】神谷 玲朗
(72)【発明者】
【氏名】田口 清貴
(72)【発明者】
【氏名】上保 康彦
(72)【発明者】
【氏名】三村 浩之
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-111561(JP,A)
【文献】特開2013-255237(JP,A)
【文献】国際公開第2014/033913(WO,A1)
【文献】特開2021-103274(JP,A)
【文献】特開2016-206255(JP,A)
【文献】特開2019-169828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0061103(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 ー 5/42
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ(2a~2e)にコンテンツを表示制御する車両用表示制御システム(1)であって、
前記ディスプレイから前記コンテンツの画像を反射物(6)に反射させながら表示させるときに歪みを補正する歪み補正部(15a)と、
ユーザの状態又は車両の状態を取得する取得部(12b)と、
前記状態に基づいて前記ディスプレイに表示させる前記コンテンツの画像の歪みを補正するか否かを判定する判定部(12c)と、を備え、
前記歪み補正部は、前記判定部の判定結果により補正可であると判定されたときに歪みを補正する車両用表示制御システム。
【請求項2】
前記ディスプレイは複数備えられ、
前記歪み補正部は、複数のディスプレイ毎に歪みを補正する請求項1記載の車両用表示制御システム。
【請求項3】
前記ディスプレイは複数備えられ、
前記複数のディスプレイのうち一部のディスプレイに前記コンテンツを表示させるときの前記コンテンツの歪みの補正可否を設定する補正可否設定部(12d)を備え、
前記一部のディスプレイを除く他のディスプレイの画像の歪み補正の実施/非実施を固定的に設定する請求項1記載の車両用表示制御システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記車両の状態として車両周辺の状態を取得し、
前記判定部は、前記車両周辺の状態に危険が潜んでいると判断したときには前記コンテンツの歪みを補正しないと判定する請求項1記載の車両用表示制御システム。
【請求項5】
前記コンテンツとして電子ミラー又はメータのコンテンツの画像を前記ディスプレイに表示する際に、
前記車両の状態として現在位置情報又は前記車両の速度情報を取得し、
前記判定部は、取得した情報に基づいて前記車両が高速走行しているときには前記歪みを補正しないと判定する請求項1記載の車両用表示制御システム。
【請求項6】
前記ディスプレイは複数備えられ、
前記判定部は、前記複数のディスプレイに跨いで前記コンテンツを表示させるときには前記歪みを補正しないと判定する請求項1記載の車両用表示制御システム。
【請求項7】
前記判定部は、前記車両の起動時には前記歪みを補正しないと判定する請求項1記載の車両用表示制御システム。
【請求項8】
ディスプレイにコンテンツを表示制御する車両用表示制御方法であって、
歪み補正部が、前記ディスプレイに前記コンテンツの画像を反射物に反射させて表示させるときに歪みを補正する過程と、
取得部が、ユーザの状態又は車両の状態を取得する過程と、
判定部が、前記状態に基づいて前記ディスプレイに表示させる前記コンテンツの画像の歪みを補正するか否かを判定する過程と、を備え、
前記歪み補正部が歪みを補正する過程では、前記判定部の判定結果により補正可であると判定されたときに歪みを補正する車両用表示制御方法。
【請求項9】
ディスプレイにコンテンツを表示制御する車両用表示制御プログラムであって、
歪み補正部が、前記ディスプレイに前記コンテンツの画像を反射物に反射させて表示させるときに歪みを補正する手順と、
取得部が、ユーザの状態又は車両の状態を取得する手順と、
判定部が、前記状態に基づいて前記ディスプレイに表示させる前記コンテンツの画像の歪みを補正するか否かを判定する手順と、を実行させるように構成され、
前記歪み補正部が歪みを補正する手順では、前記判定部の判定結果により補正可であると判定されたときに画像の歪みを補正する車両用表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示制御システム、車両用表示制御方法、及び車両用表示処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載ディスプレイは一度に多くの情報を閲覧可能にするため大型化することが求められている。コストなどを考慮し、小さなディスプレイを複数併設することで大型ディスプレイを実現することが考えられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の技術によれば、1つの意匠を分割して2つの表示器を用いて表示する際に、第1表示部と第2表示部とをつなぐように補助表示器を設置することで、一体感のある1つの意匠を創出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-8740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他方、ディスプレイにコンテンツを表示制御するときに歪み補正を実行すると、当該歪み補正が高負荷となる。この場合、フレーム毎の表示開始タイミングに遅延時間を生じる可能性が高まりフレームレートが低下する要因となる。特に、リアルタイム性が要求される車両用のコンテンツに表示の欠落を生じると、安全上問題となる可能性がある。反面、歪み補正を行うことでユーザに表示提供するコンテンツの品質を向上できるというメリットがある。
【0005】
本発明は、車両用コンテンツについて適切に表示制御できるようにした車両用表示制御システム、車両用表示制御方法及び車両用表示制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、ディスプレイにコンテンツを表示制御する車両用表示制御システムであり、歪み補正部は、反射物に反射させてディスプレイにコンテンツを表示させるときに画像の歪みを補正する構成である。判定部は、取得部により取得されたユーザの状態又は車両の状態に基づいてディスプレイに表示させるコンテンツの歪みを補正するか否かを判定し、歪み補正部は、判定部の判定結果により補正可であると判定されたときに歪みを補正するようにしている。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、歪み補正部が、ユーザの状態又は車両の状態に基づいて必要なときにコンテンツの歪みを補正するため、例えばリアルタイム性が要求されるコンテンツ(例えば、電子ミラー画像)を表示制御する場合には、歪み補正をすることなく表示制御することでフレームレートを高く維持できるようになり、情報の欠落を極力生じさせないように調整できる。逆に、例えばエンターテインメント系のコンテンツ画像を提供する場合には、当該コンテンツ画像の歪み補正を実施して表示制御することで、ユーザに提供するコンテンツの画像の品質を向上できる。これにより、車両用コンテンツについて適切に表示制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における車両前部の構造図
図2】ユーザがディスプレイを視認する状態を図1のA-A線に沿って模式的に示す横断面図
図3】表示制御イメージ図
図4】電気的構成を模式的に示すブロック図
図5】ハード及びソフトウェア構成図
図6】複数のディスプレイに表示させるコンテンツ画像例
図7】処理内容を概略的に示すフローチャート
図8】歪み補正を実施しないときの画像の歪み状態を表すグリッド図
図9】歪み補正を実施する前後の画像の歪み状態の変化を説明するグリッド図
図10】第2実施形態における処理内容を概略的に示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、車両用表示制御システム1に係る幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。各実施形態で同一構成又は同一処理ステップとなる部分については、後述する実施形態では同一符号、同一ステップ番号を付して説明を省略することがある。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図9を参照しながら説明する。図3に例示した車両用表示制御システム1は、車両に搭載されており、表示器2及び電子制御装置10により構成されている。電子制御装置10は、ECU、Electronic Control Unitとも称される。図1及び図2に例示したように、表示器2は、車室内に表示面を露出させた状態でインストルメントパネル3に設置されている。以下では、インストルメントパネル3をインパネ3と略す。インパネ3は、車両の運転席や助手席からなる前座席の前方に設けられている。車両の前座席とインパネ3との間にはステアリングホイール4が設けられており、インパネ3の上方にはフロントウィンドシールド5が設置されている。インパネ3は、その上面が平面に成形されている。
【0011】
表示器2は、ディスプレイ2a~2e及び反射ミラー6を備える。インパネ3にはディスプレイ2a~2eのフード7が連結して構成され、ディスプレイ2a~2b及びフード7は全体として板状に設置される。フード7は、インパネ3の上面の平面に連接された平坦部をディスプレイ2a~2eの背面を覆う構成となっている。
【0012】
複数のディスプレイ2a~2eは、それぞれ前面表示面を備えた有機ELディスプレイにより構成され、その前面表示面が下前方に向けて設置されている。ディスプレイ2a~2eの前面表示面は平面に構成されている。なお、ディスプレイ2a~2eの物理的な設置制約条件、また、車両中心から左右何れかに寄った運転席からの視認性を良好に設計するため、ディスプレイ2a~2eの前面表示面は単純な平面に限られない。凸面、凹面、又は凹凸面状に構成されていても良い。
【0013】
車両用表示制御システム1は、ディスプレイ2a~2eにコンテンツの画像を表示制御する。ディスプレイ2a~2eは、それぞれメータ画像、後述する周辺カメラ21の撮像画像、静止画や動画のエンターテインメント画像、現在位置周辺の地図画像、電子ミラーの撮像画像などの各種の画像コンテンツを表示可能な構成となっている。
【0014】
有機ELディスプレイは、有機発光ダイオードを用いて構成されている。有機発光ダイオードはOLEDと称される。OLEDはOrganic Light-Emitting Diodeの略称である。ディスプレイ2a~2eの表示面は、運転席及び助手席に座したユーザの視線に対して概ね平行な方向に沿って設置されている。またディスプレイ2a~2eの表示面は、表示物が反射ミラー6を介して運転席及び助手席に座したユーザに見えるよう反射ミラー6の上部に設置されている。
【0015】
本実施形態のディスプレイ2a~2eは、その表示面がユーザの視線に対して概ね平行又は手前側が下方に向けて設置されている。このため、運転席又は助手席の前座席に座したユーザはディスプレイ2a~2eの表示面を直接視認しない。またディスプレイ2a~2eの背面、物理的に言い換えるとディスプレイ2a~2eの上面に位置してフード7が装着されている。フード7は、フロントウィンドシールド5を通して車内に入射する日射光をディスプレイ2a~2eに直接当たらないように遮光している。
【0016】
ディスプレイ2a~2eの表示面の前方、物理的に言い換えるとディスプレイ2a~2eの下方に位置して反射ミラー6が設置されている。反射ミラー6は、ディスプレイ2a~2eの表示面から自発光された画像を反射する反射物、反射部材であり、インパネ3の一部に片持ち支持されている。そして、反射ミラー6は、フード7の平坦部の奥端から後下斜方に向けて突出するように設置されている。これにより、ディスプレイ2a~2eの表示面と反射ミラー6の反射面とは所定の角度で傾斜するように設置関係を保っている。
【0017】
反射ミラー6は、その反射面が斜後上方に向けて設置されており、インパネ3の後方の前部座席に向けて画像を反射させることが可能となっている。また、インパネ3や反射ミラー6の反射面のデザイン性を向上し、又は、中央より左右何れかの脇に寄った運転席からの視認性を良好にするため、反射ミラー6の反射面は単純な平面に限らず、凸面、凹面、又は凹凸面状に構成しても良い。反射ミラー6は、ディスプレイ2a~2eの表示面に表示された画像を鏡面反射しながら、ユーザの視線に合わせて虚像Kを映し出す虚像表示部として構成される。
【0018】
反射ミラー6は、フード7及びディスプレイ2a~2eの下部に設置されているため、フロントウィンドシールド5から入る入射光はフード7に遮られ反射ミラー6に反射する虞もなくなる。反射ミラー6の反射面に光が当たりにくいため、ユーザは、反射ミラー6を通して虚像Kを視認しやすくなる。
【0019】
これにより、運転席又は助手席に座したユーザは、反射ミラー6の反射面を視認することでディスプレイ2a~2eの表示面に映し出された画像を虚像Kとして間接的に確認できる。このとき、ユーザは虚像Kがあたかも反射ミラー6の反射面より奥側、すなわち車両の前方にあるかのように見える。
【0020】
図1及び図3に示すように、ディスプレイ2a~2eは、複数隣り合うように併設されており、これらの複数のディスプレイ2a~2eの各表示面の間には非表示部となる枠面が形成されている。反射ミラー6がこの複数のディスプレイ2a~2eの表示面を反射して前部座席側に像を反射するときには枠面の領域もまた映されることになる。枠面は黒色に着色されている。このため、反射ミラー6が枠面を映した虚像Kは黒色に映る。なお枠面を映した虚像Kは、ユーザとってわずかに視認可能な程度とされている。
【0021】
次に、電子制御装置10、及びその周辺の車両用システムの電気的構成について図4を参照しながら説明する。車両内には、多数の電子制御装置10、11が構成されており、互いに車内ネットワークNを用いて通信接続して車両内の各種制御を実行する。電子制御装置10、11は、表示系のECU、走行制御系のECUなどに分類することができ、そのうち本形態の電子制御装置10は、表示系のECUに属しHCUとも称される。HCUは、Human Machine Interface Control Unitの略であり情報提示制御装置を示す。走行制御系のECUは、走行制御信号を入力すると運転アクチュエータを駆動することで所定の走行制御を実施する。また自動運転を実施する場合には、運転アクチュエータを駆動することで対応した所定のレベルの運転支援、自動運転を実行する。
【0022】
各電子制御装置10、11は、プロセッサ、キャッシュメモリ、RAM、ROMなどの各種の記憶部13、これらを接続するバスを備えたマイクロコンピュータを主体として構成される。
【0023】
本実施形態では、図3に示すように、複数の電子制御装置10a~10cを車内ネットワークN又は専用線で接続して電子制御装置10を構成する形態を示す。複数の電子制御装置10a~10cは、その内部の物理リソースの処理能力を分担して複数のディスプレイ2a~2eに表示制御する。前述した記憶部13は、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体を示す。非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリなどにより実現される。物理リソースを確保できれば、電子制御装置10は一つだけ設けて後述する表示制御処理を実行するようにしても良い。
【0024】
図4に示すように、電子制御装置10は、制御装置12、記憶部13、演算装置14、表示処理部15、各種の外部装置からの入力又は出力を管理するI/O制御部16、他の電子制御装置11との間の通信を制御する通信制御部17、を備える。ここでは、図4に図示した、ロケータ18、操作パネル19、乗員モニタ20、周辺カメラ21、距離検出センサ22、及び車速センサ23など主要な構成要素の出力信号は、I/O制御部16を通じて電子制御装置10に信号入力する形態を説明するが、車内ネットワークNを通じて走行制御系のECU、周辺監視系のECUなどの他の電子制御装置11との間でセンサ又はスイッチの状態を車両の状態として入力することもある。
【0025】
演算装置14は、制御装置12の制御に基づいて、記憶部13に記憶された画像や文字のコンテンツについて、複数のディスプレイ2a~2eの表示画面に表示させる表示領域を演算し、画像や文字のコンテンツをディスプレイ2a~2eの表示画面の何れの領域に表示させるか、また、何れの領域に重ね合わせて表示させるか演算し、画像や文字のコンテンツと共に表示領域を制御装置12に出力する。
【0026】
表示処理部15は、制御装置12の制御に基づいて、複数のディスプレイ2a~2eの表示画面の中の前述の表示領域に画像や文字のコンテンツを表示処理する。これにより、ディスプレイ2a~2eの表示画面には、表示レイヤ毎に文字や画像のコンテンツを重ね合わせて表示できる。
【0027】
ロケータ18は、図示しない周知のGPSなどのGNSS受信機、及び、加速度センサやジャイロセンサなどの慣性センサを用いて高精度に位置を検出する。ロケータ18は、位置検出信号をI/O制御部16を通じて制御装置12に出力する。制御装置12の位置特定部12aは、地図データ入力器から入力される地図情報とロケータ18の位置検出信号に基づいて車両の現在位置を高精度に逐次測位するADASロケータとしての機能を実現する。ADASは、Advanced Driver Assistance Systemsの略である。
【0028】
制御装置12は、車両の現在位置に基づいて、いわゆるナビゲーション処理を行うことができる。また車速センサ23は車両の速度を検出し車速情報をI/O制御部16を通じて制御装置12に出力する。制御装置12は、入力した車速情報に基づいて車両の速度を特定できる。操作パネル19は、タッチパネル又は機械的スイッチなどで構成され、I/O制御部16は、乗員による操作入力があると操作入力を受け付け、制御装置12に出力する。制御装置12は、操作パネル19の操作信号に基づいた制御を実行する。
【0029】
乗員モニタ20は、車両内に搭乗したユーザの状態を検出する。乗員モニタ20は、例えばパワースイッチ、乗員状態モニタ、ターンスイッチ、自動制御スイッチなどによるもので、各種の信号を制御装置12に出力する。乗員モニタ20は、ドライバによりステアリングホイール4が把持されているか又は操舵されているか否かを検出するステアリングセンサ、前座席のシートに着座しているか否かを検出する着座センサ、又は、アクセルペダル又はブレーキペダルの踏込センサ、電子スロットルセンサなどによるものを含んでいても良い。
【0030】
パワースイッチは、内燃機関又は電動モータを始動させるために車室内にてユーザによりオン操作されることで、当該操作に応じた信号を出力する。乗員状態モニタは、運転席又は助手席の乗員の状態を画像センサにより撮影することで、当該前部座席に座したユーザの状態を検出して撮像信号を出力する。乗員状態モニタは、通常運転中、運転支援中又は自動運転中にドライバなどの乗員の状態を検知するために使用される。特に運転席に座したドライバの乗員状態モニタはDSMと称されている。DSMは、Driver Status Monitorの略である。ターンスイッチは、車両の方向指示器を作動させるために車室内にて乗員によりオン操作されることで、当該操作に応じて右方又は左方にターンするターン信号を出力する。
【0031】
自動制御スイッチは、車両の走行状態に対する自動制御を指令するために、車室内にてユーザによりオン操作されることで、当該操作に応じた自動制御信号を出力する。制御装置12は、乗員モニタ20のセンサ信号により車両乗員の挙動、例えば視線が何れの方向を向いているかを判定でき、また、パワースイッチの操作状態、方向指示器の作動状態、車両の自動制御の指令情報などを入力できる。
【0032】
周辺カメラ21は、車両の前方を撮像するフロントカメラ、車両の後部を撮像するバックカメラ、車両の前側部や後側部を撮像するコーナカメラ、又は、車両の側部を撮像するサイドカメラ、電子ミラー用カメラなどによるものであり、これらはそれぞれフロントガイドモニタ、バックガイドモニタ、コーナービューモニタ、サイドガイドモニタ、電子ミラーの各撮像信号としてI/O制御部16を通じて制御装置12に出力される。
【0033】
また車両には、障害物との距離を車両の状態として検出する距離検出センサ22が設置されている。距離検出センサ22は、クリアランスソナー22a、LiDAR、又はミリ波レーダなどにより構成され、車両前方、車両前側部、車両後側部、車両後方又は車両側部に近接する車両や人などの障害物との距離を検出できる。通信制御部17は、CANやLINなどの車内ネットワークNに接続されており、制御装置12と他の電子制御装置11との間でデータを通信制御する。
【0034】
電子制御装置10のハードウェア、ソフトウェア構成例を図5に示している。各電子制御装置10b~10c、11にはSoC30が搭載されると共に、電子制御装置10aにはSoC31が搭載され、この搭載されたSoC30、31には前述したマイクロコンピュータが組込まれている。電子制御装置10b、10c、11のSoC30に組み込まれたマイクロコンピュータは、予めインストールされた汎用OS、例えばLinuxOS(Linuxは登録商標)上で各種の複数のアプリケーション(以下、アプリと略す)が動作するように構成されている。SoCはSystem On Chipの略である。
【0035】
アプリ33は、画像処理アプリ34やその他のアプリを含む。画像処理アプリ34の描画要求に応じてSoC30に組み込まれたプロセッサが、ディスプレイ2a~2eの表示画面に描画処理する。
【0036】
他方、電子制御装置10aはメータ描画用途で設けられているため、図5には符号10aを付している。電子制御装置10aのSoC31に組み込まれたマイクロコンピュータには、汎用OS32よりもリアルタイム性能高く処理できるリアルタイムOS35が組み込まれており、リアルタイムOS35上でメータアプリ36を動作させるように構成されている。
【0037】
メータアプリ36は、車両の速度や回転数あるいは警告などをユーザに報知するものであると共に、主に特定のディスプレイ(例えば2b)の表示エリアにコンテンツを描画する。例えば、メータアプリ36は、速度計や回転数計、シフトレンジポジション、又は、警告灯などの画像コンテンツを描画する。速度計は、車両の速度の変化を示すためにリアルタイムで表示を更新する必要がある速度画像を含む。同様に、回転数計も、回転数の変化を示すためにリアルタイムで表示を更新する必要があるメータ画像を含む。メータアプリ36によって描画されるコンテンツは、他のアプリ33によって描画されるコンテンツよりも、相対的にリアルタイム性が要求される。
【0038】
アプリ33にはナビアプリ等が含まれている。ナビアプリは、ナビゲーション機能を実現するものであると共に、主に複数のディスプレイ(例えば2c、2d)に表示する地図や、車両の現在位置などを含むナビゲーション画面などのコンテンツを描画する。
【0039】
またアプリ33には画像合成アプリも含まれている。画像合成アプリは、表示器2に表示させる様々な画像コンテンツの大きさや種類を特定し、コンテンツの画像を1フレーム内に合成し、この合成された混在画像を複数のディスプレイ2a~2eに出力するアプリである。画像合成アプリは、コンポジッタとも称される画像合成部としての機能を実現する。
【0040】
各アプリ33、36のうちコンテンツの画像を描画するアプリには、当該コンテンツの画像を描画するための表示レイヤが割り当てられている。これらの表示レイヤは、記憶部13上に、必要となる画像のコンテンツを描画できる大きさで確保されている。
【0041】
また、複数のディスプレイ2a~2eに表示される画像コンテンツは、アニメーション動作可能になっている。ここで、アニメーション動作とは、コンテンツを示す画像の位置や大きさが徐々に変化したり、画像が回転したり、ユーザによる操作パネル19のスワイプ操作にともなってユーザインターフェースが全体的に移動したり、画像が徐々にフェードインあるいはフェードアウトしたり、画像の色が変化したりするような表示態様である。
【0042】
図4に示した制御装置12及び表示処理部15は、記憶部13に記憶された各種のアプリ33、36を実行することで複数のディスプレイ2a~2eに表示制御する。このとき、図6に例示したように、左右端に位置するディスプレイ2a、2eは、主に電子ミラー用のコンテンツを表示処理すると共に、運転席の直前に位置するディスプレイ2bにはメータ画像を表示制御する。またその他のディスプレイ2c、2dには、ナビゲーション処理の地図画面や前方撮像カメラの撮像画像などを表示制御したり、エンターテインメント系の画像コンテンツを表示制御する。各ディスプレイ2a~2eに表示させるコンテンツの内容はこれに限られるものではない。
【0043】
制御装置12及び表示処理部15は、記憶部13に記憶されたアプリ33、36を実行することで、取得部12b、判定部12c、歪み補正部15a、及び補正可否設定部12dとしての機能を実現する。制御装置12の取得部12bは、乗員モニタ20のセンサ信号によりユーザの状態を取得したり、又は、周辺カメラ21又は距離検出センサ22により車両の周辺情報を車両の状態として取得したりする。
【0044】
判定部12cは、ユーザの状態又は車両の状態に基づいてディスプレイ2a~2eに表示させるコンテンツ画像の歪みを補正するか否かを判定する。歪み補正部15aは、ディスプレイ2a~2eにコンテンツの画像を表示させて反射ミラー6に反射させるとき、判定部12cの判定結果により補正可であると判定されたときにコンテンツの画像の歪みを補正する。このとき歪み補正部15aは、複数のディスプレイ2a~2e毎に歪みを補正する。
【0045】
補正可否設定部12dは、ディスプレイ2a~2eにコンテンツの画像を表示させるときにコンテンツの画像の歪みの補正可否を設定する。表示処理部15の歪み補正部15aは、補正可であるときに限りコンテンツ画像の歪みを補正する。
【0046】
以下、車両の起動時から表示器2に対してコンテンツの画像を表示制御する流れについて図7から図9を参照しながら説明する。運転者によりパワースイッチがオンされると車両内の電子制御装置10a~10c、11は起動し、図7のS0においてアプリ33、36を起動する。車両の起動時において、制御装置12及び表示処理部15は、S1において判定部12cによりディスプレイ2a~2eに表示させるコンテンツの画像の歪みを補正しないと判定し、コンテンツの画像として電子ミラー、メータ画像のコンテンツを各ディスプレイ2a~2eに表示制御する。
【0047】
車両の起動時、電子制御装置10a~10c、11は初期化処理など様々な処理負荷が多くなりリソースの消費量も大きい。他方、歪み補正処理もまたリソースの消費量が大きく処理負荷が大きい。特に、複数のディスプレイ2a~2eの全てに歪み補正処理を施すことで処理負担が大きくなりフレームレートが低下しやすい。このため、車両の起動時にコンテンツの歪み補正をしないようにすることで処理負荷を軽くできる。このとき電子制御装置10はフレームレートを高くしながらコンテンツをディスプレイ2a~2eに表示制御できる。
【0048】
電子制御装置10が、コンテンツの画像をディスプレイ2a~2eに元画像を歪み補正することなく表示制御すると、図8に例示したように、ユーザが虚像Kを確認した際に元画像が歪むように見えるが、制御装置12及び表示処理部15は歪み補正なしに設定しながらコンテンツの画像を表示制御していれば、フレームレートを高く表示処理でき処理負荷の負担を軽くできる。
【0049】
また制御装置12は、取得部12bの機能によりS2において車両の状態として車両周辺の情報を取得すると共に、S3において他の電子制御装置11等から車両の状態を取得する。また、S4において乗員モニタ20を用いてユーザの状態を取得する。
【0050】
制御装置12は、S5において、S3又はS4の取得結果に基づいて例えば車両周辺の状態に危険が潜んでいると判断するとS11に移行する。このとき、制御装置12は、S11においてユーザがディスプレイ2a~2eの何れかを視認していると判断したことを条件として、S12において変数p=1と設定しS8へ処理を移行する。変数pは、画像歪みの補正を実施するか否かを決定する変数を示しており、補正しない場合には1に設定され、補正する場合にはゼロに設定される。
【0051】
車両周辺に危険が潜んでいることを判断する方法は、車両の周辺カメラ21を用いて撮像画像を画像認識したり、又は、クリアランスソナー22aにより自車両の周辺の状態を認識したりする方法がある。また、ユーザがディスプレイ2a~2eを視認しているか否かを判断する方法は、乗員モニタ20のセンサ信号を用いて判断する方法がある。例えば、自車両の進行方向に歩行者や他車両が存在、又は、車両ドアの横に障害物が存在することを検知することで、危険が潜んでいると判定すると良い。制御装置12は、変数pが0以外の1であればS8にてNOと判定し、S13において判定部12cにより画像の歪みを補正しないと判定する。
【0052】
また制御装置12は、ロケータ18に基づいて現在位置情報、又は、車速センサ23に基づいて車両の速度情報を車両の状態として取得した結果、取得した情報に基づいてS6にて車両が高速走行していると判定したことを条件として、判定部12cにより画像の歪みを補正しないと判定すると良い。
【0053】
ここでいう高速走行とは、車両が高速道路を走行していることをロケータ18により検出していることを意味する他、一般道路であっても車速センサ23により一定速度以上の高速走行をしていることを検出していることを意味することもある。また、一般に道路毎に法定速度が定められているが、この法定速度に対する所定の割合で定められた所定速度以上の高速走行をしていることを車速センサ23により検出していることを意味することもある。
【0054】
制御装置12は、車両が高速走行していると判定した場合には、S12において変数p=1と設定しS8へ移行する。制御装置12は、S8において変数pが0以外の1であるためS8にてNOと判定し、S13において判定部12cにより画像の歪みを補正しないと判定する。そして表示処理部15が、S10においてコンテンツの画像を表示器2の複数のディスプレイ2a~2eにそれぞれ出力することでディスプレイ2a~2eにコンテンツを表示処理する。
【0055】
特に、電子ミラー用のディスプレイ2a、2eには、車両側後方の撮像画像を表示処理する。このことから、高速走行中に電子ミラーによりディスプレイ2a、2eの表示処理の遅延を生じると、ユーザが違和感を生じやすく、車両周辺情報をリアルタイムに適切にユーザに伝えることが難しくなる虞がある。また、ディスプレイ2bに表示させるメータ画像についても、表示処理の遅延を生じるとユーザが違和感を生じやすく、メータ情報をリアルタイムに適切にユーザに伝えることが難しくなる虞がある。この場合、電子制御装置10が、歪み補正をすることなくディスプレイ2a、2b、2eに表示処理することで、ユーザに違和感を極力生じさせることがなくなる。
【0056】
また制御装置12は、S5において車両周辺に危険性がないと判定し、S6において自車両が高速走行もしていないと判定すれば、S5及びS6において共にNOと判定し、S7において変数p=0と設定しS8へ移行する。制御装置12は、S8において変数pが0であるためS8にてYESと判定し、S9において判定部12cにより画像歪みの補正を実施すると判定する。そして表示処理部15が、S10において補正を施したコンテンツの画像を表示器2の複数のディスプレイ2a~2eにそれぞれ出力することでそれぞれのディスプレイ2a~2eにコンテンツを表示処理できる。
【0057】
電子制御装置10が、コンテンツの画像をディスプレイ2a~2eに元画像を歪み補正しながら表示制御すると、図9に歪み補正後の視認状態を例示したように、ユーザが反射ミラー6に反射した虚像Kを確認した際に、画像の歪みが補正された状態で視認できるようになる。この場合、ユーザはコンテンツの画像を良質な状態で確認できる。例えば、エンターテインメント画像など嗜好性の強いコンテンツ画像などについては、歪み補正が施されることで画像を良質に補正できるようになり、ユーザはコンテンツ画像を楽しむことができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、歪み補正部15aが、ユーザの状態又は車両の状態に基づいて必要なときに画像の歪みを補正している。このため、リアルタイム性が要求されるような例えば電子ミラーのコンテンツ画像を表示制御する場合には、画像の歪み補正をすることなく表示制御することで、フレームレートを高く維持できるようになり、情報の欠落を極力生じさせないように調整できる。
【0059】
逆に、例えばエンターテインメント系のコンテンツの画像を提供する場合などには、画像の歪み補正を実施して表示制御することで、ユーザに提供するコンテンツの画像の品質を向上できる。これにより、車両用コンテンツの画像について適切に表示制御できる。
【0060】
また例えば、車両の周辺カメラ21又はクリアランスソナー22aにより車両周辺に危険が潜んでいると判断したときには画像の歪み補正なしに設定している。また、高速走行中にも同様に歪み補正を実施しないようにしている。このため、このような危険を伴うような運転シーンの場合でも、コンテンツ画像のガタガタ表示を防止でき、情報の欠落を防止してユーザに対し情報をリアルタイムに伝えることができる。フレーム遅れによるユーザの情報見落としがなくなり安全を担保できる。
【0061】
その他、変形例を挙げる。電子制御装置10が、複数のディスプレイ2c、2dを跨いでコンテンツを表示させるときには判定部12cにより画像の歪みを補正しないように判定して画像の歪みを補正することなくディスプレイ2a~2eに表示制御すると良い。表示するコンテンツは、主に複数のディスプレイ2a~2e毎に決定されるが、例えば、ナビゲーション処理を実行しているとき、複数のディスプレイ(例えば2c、2d)の複数画面に亘って比較的大きな地図画面を表示処理することもある。このようなときには、画像を歪み補正しないようにすることで、地図表示や自車両の現在位置の表示処理における表示遅れの蓄積に基づくフレームずれを極力抑制でき、ユーザは複数画面に亘る地図画面を視認しやすくなる。
【0062】
(第2実施形態)
第2実施形態について図10を参照しながら説明する。前述実施形態と同一処理内容については同一ステップ番号を付して説明を省略する。
図10に示すように、制御装置12は、図10のS11において乗員モニタ20によりユーザがディスプレイ2a~2eの何れかを視認していることを確認したことを条件として、S7において変数p=0に設定し、S9において歪み補正を実施するようにしても良い。すなわち、ユーザがディスプレイ2a~2eの何れかを視認している最中に歪み補正を実施すれば良く、この場合、ユーザがディスプレイ2a~2eを視認していない最中には歪み補正をしなくても良くなる。これにより、ユーザがディスプレイ2a~2eを視認していない最中には、電子制御装置10は画像の歪み補正に関する処理負荷を軽減できる。
【0063】
(他の実施形態)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【0064】
ディスプレイ2a~2eは、横方向に併設された有機ELディスプレイに適用した実施形態を示したが、これに限定されるものではない。例えば、反射ミラー6に反射させてフロントウィンドシールド5や他の表示対象パネルなどに車両情報等のコンテンツの画像を映し出すようにしたヘッドアップディスプレイなどに適用しても良い。
【0065】
前述実施形態では、全てのディスプレイ2a~2eに対して表示するコンテンツ画像の歪み補正を行うか否かを判定するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、補正可否設定部12dが、表示器2のうち一部のディスプレイ(例えば2b~2d)だけコンテンツ画像の歪み補正を行うか否かを示す補正可否を設定するようにしても良く、この場合、一部のディスプレイを除く他のディスプレイ(例えば2a、2e)に対して画像の歪み補正の実施/非実施を固定的に決定すると良い。
【0066】
例えば、電子ミラーの画像表示に割当てられた両端の一部のディスプレイ2a、2eには、画像の歪み補正をしないことを固定的に設定しても良く、補正可否設定部12dは、その他の中央寄りのディスプレイ2b~2dに対してのみ、図7又は図10の処理を実行してコンテンツの画像の歪み補正を行うか否かを判定するように設定しても良い。
【0067】
また五つのディスプレイ2a~2eを用いて説明したが、これに限られるものではなく、ディスプレイは一つでも良く、また二以上の複数備えるシステムに適用しても良い。
【0068】
図10のS2及びS3の処理を省いても良い。この場合、車両の状態を判定条件として考慮することなくユーザの状態のみで画像歪みの補正を実施するか否かを判定できる。
【0069】
図7のS4及びS11の処理を省いても良い。この場合、ユーザの状態を判定条件として考慮することなく車両の状態のみで画像歪みの補正を実施するか否かを判定できる。この場合、制御装置12は、車両周辺の状態に危険が潜んでいるときにS12において変数pに1を設定し、S13において判定部12cにより画像の歪みを補正しないと判定する。すると、車両周辺に危険が潜んでいると判断されたときには、フレームレートを高くして表示処理でき、ユーザに必要な情報を優先的に伝えることができる。
また図7のS6の処理を省いても良い。
【0070】
本開示に記載の電子制御装置10による手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の電子制御装置10及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の電子制御装置10及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【0071】
本発明は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本発明は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0072】
図面中、1は車両用表示制御システム、2a~2eはディスプレイ、6は反射ミラー(反射物)、12bは取得部、12cは判定部、12dは補正可否設定部、15aは歪み補正部、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10