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特許7552556アンケート装置、評価装置、アンケート方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】アンケート装置、評価装置、アンケート方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240910BHJP
   B60W 50/08 20200101ALI20240910BHJP
【FI】
G08G1/00 D
B60W50/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021180579
(22)【出願日】2021-11-04
(65)【公開番号】P2023069028
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】余 淑芬
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏充
(72)【発明者】
【氏名】徳山 貴志
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-524632(JP,A)
【文献】特開2020-052468(JP,A)
【文献】特開2020-160605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
B60W 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両の乗客に対して用意する前記自動運転車両の自動運転走行の評価用の設問を管理するように構成された設問管理部と、
前記自動運転走行における走行環境情報及び走行状態情報を取得するように構成された情報取得部と
理した前記設問の中から前記乗客に対して回答を求める要求設問を決定するように構成された設問決定部と、
を含み、
前記設問決定部によって決定される前記要求設問は、
前記走行環境情報及び前記走行状態情報の少なくとも一つに基づいて決定される、特定のシーンに関連する設問と、
前記走行環境情報又は前記走行状態情報にかかわらず決定される、シーンの影響を受けない設問と、
を含む
アンケート装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンケート装置であって、
前記設問決定部は、前記設問に優先順位を付け、前記要求設問の設問数が所定数を超えるときは、前記設問数が前記所定数以下となるように優先順位の高い順に前記要求設問を決定する
アンケート装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアンケート装置と、
前記アンケート装置により取得された前記要求設問に対する回答に基づいて前記自動運転走行を評価する自動運転評価部と、
を含む
評価装置。
【請求項4】
請求項に記載の評価装置であって、
前記走行環境情報又は前記走行状態情報にかかわらず決定される、シーンの影響を受けない設問は、前記乗客が必ず回答することを必要とする必須設問を含み、
前記自動運転評価部は、
前記アンケート装置により取得された回答に前記必須設問に対する回答が含まれない場合には、前記アンケート装置により取得された回答を集計しない
評価装置。
【請求項5】
自動運転車両の乗客に対して用意する前記自動運転車両の自動運転走行の評価用の設問を管理する処理と、
前記自動運転走行における走行環境情報及び走行状態情報を取得する処理と
理した前記設問の中から前記乗客に対して回答を求める要求設問を決定する処理と、
を含み、
前記要求設問は、
前記走行環境情報及び前記走行状態情報の少なくとも一つに基づいて決定される、特定のシーンに関連する設問と、
前記走行環境情報又は前記走行状態情報にかかわらず決定される、シーンの影響を受けない設問と、
を含む
アンケート方法。
【請求項6】
コンピュータによって実行され、請求項に記載のアンケート方法を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動運転車両の自動運転走行を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、運転評価装置を開示している。運転評価装置は、車両に搭載された車載装置、及び乗客の携帯端末の少なくとも一方に、自動運転制御された車両の運転の評価のための質問を表示させ、質問に対する乗客の回答を受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-052468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転車両の自動運転走行についての評価を行う評価装置が知られている。評価装置は、自動運転車両の乗客に対して1又は複数の設問から成るアンケートを実施し、設問に対する回答を取得することで、評価を行う。アンケートに含まれる設問の設問数が多いと、乗客の負担が増える可能性がある。逆に、設問数が少ないと、アンケートに含まれる設問の多くを概括的な設問が占め、評価装置の使用者が希望する設問が含まれなくなる可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、自動運転車両の自動運転走行を評価する評価装置において、設問数を減らしつつ、適切な設問から成るアンケートを実施することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点は、アンケート装置に関連する。
アンケート装置は、
自動運転車両の乗客に対して用意する前記自動運転車両の自動運転走行の評価用の設問を管理するように構成された設問管理部と、
前記自動運転走行における走行環境情報及び走行状態情報を取得するように構成された情報取得部と、
前記走行環境情報及び前記走行状態情報の少なくとも一つに基づいて、管理した前記設問の中から前記乗客に対して回答を求める要求設問を決定するように構成された設問決定部と、
を含む
ことを特徴とする。
【0007】
第2の観点は、アンケート方法に関連する。
アンケート方法は、
自動運転車両の乗客に対して用意する前記自動運転車両の自動運転走行の評価用の設問を管理する処理と、
前記自動運転走行における走行環境情報及び走行状態情報を取得する処理と、
前記走行環境情報及び前記走行状態情報の少なくとも一つに基づいて、管理した前記設問の中から前記乗客に対して回答を求める要求設問を決定する処理と、
を含む
ことを特徴とする。
【0008】
第3の観点は、コンピュータによって実行されるプログラムに関連する。
プログラムは、上記第2の観点に係るアンケート方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、車両の走行環境や走行状態に応じて設問の内容が切り替えられる。具体的には、車両の走行環境情報や走行状態情報に基づいて、すべての設問の中から、乗客に回答を求める設問を決定する。これにより、設問数を減らしつつ、適切な設問から成るアンケートを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態に係る評価装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本開示の実施の形態に係る評価装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図3】本開示の実施の形態に係る評価装置が実行する処理の第一の例を示すフローチャートである。
図4】本開示の実施の形態に係る評価装置が実行する処理の第二の例を示すフローチャートである。
図5】本開示の実施の形態に係る評価装置が実行する処理の第三の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
1.概要
本実施の形態に係る評価装置は、自動運転車両の自動運転走行についての評価を行う。評価装置は、自動運転車両の乗客に対して、1又は複数の設問から成るアンケートを実施し、設問に対する回答を取得する。そして、本実施形態に係る評価装置は、取得された回答に基づいて自動運転走行を評価し、評価結果を出力する。評価装置の使用者としては、例えば、自動運転車両の開発者が想定される。開発者は、例えば、自動運転車両の機能を向上させるための開発において、評価装置による評価結果を活用することができる。
【0012】
アンケートの設問には、車両の走行環境や走行状態に影響を受ける特定のシーンに関連する設問が含まれる。特定のシーンに関連する設問としては、例えば、「交差点での速度調節はスムーズでしたか?」、あるいは「対向車とすれ違ったときに違和感のある挙動がありましたか?」という設問が挙げられる。また、アンケートの設問には、シーンの影響を受けない設問が含まれる。シーンの影響を受けない設問としては、例えば、「自動運転車両の乗り心地はいかがでしたか?」という設問が挙げられる。交差点を走行する場面や対向車とのすれ違いの場面に例示されるような、特定のシーンに関連する設問に対しては、乗客が設問に関連するシーンに出会っていない場合、的確な回答が得られない可能性がある。
【0013】
アンケートに含まれる設問を、評価装置の使用者が希望する内容を網羅的に含んだ設問とした場合、設問数が多くなったり、乗客が出会っていないシーンに関連する設問が数多く含まれたりする可能性がある。例えば、評価装置の使用者が自動運転車両の開発者の場合、開発者は、開発にフィードバックできるようにできるだけ多くの情報を得る必要がある。多くの情報を得るために評価装置の使用者が希望する設問をすべて含めると、設問数が多くなり、乗客の負担が大きくなる。乗客の負担が大きくなると、回答率が下がったり、丁寧な回答が得られなくなったりすることがある。
【0014】
また、例えば、走行する時間帯、走行する場所、自動運転車両の周辺の車両や歩行者の動きなどが変わると、自動運転車両の制御状態や挙動が変わるため、評価装置の使用者が評価を希望する項目も異なる。しかし、それぞれの制御状態や挙動に応じた設問をすべてアンケートに含めると、乗客が出会っていないシーンに関連する設問が多くなり、正確な回答を得られなくなることがある。正確な回答を得られないと、評価結果が歪んだデータとなり、活用できなくなる可能性がある。
【0015】
逆に、アンケートに含まれる設問を、シーンの影響を受けない設問のみとした場合、乗客が出会っていないシーンに関連する設問を減らすことができる。しかし、アンケートは概括的になり、評価装置の使用者が希望する内容についての回答を得られなくなる可能性がある。
【0016】
そこで、本実施形態に係る評価装置は、車両の走行環境や走行状態に応じて乗客に回答を求める設問を切り替える。具体的には、評価装置が管理する設問の中から、走行環境についての情報や、走行状態についての情報に基づいて、乗客に回答を求める設問を決定する。これにより、設問数を減らしつつ、適切な設問から成るアンケートを実施することができる。
【0017】
乗客に対して回答を求める設問を要求設問と呼ぶ。走行環境についての情報を走行環境情報と呼ぶ。走行状態についての情報を走行状態情報と呼ぶ。走行環境情報は、走行ルートの特別な状況、天気、サービスの内容についての情報を含む。走行状態情報は、車両の制御状態、走行場所、走行コースについての情報を含む。
【0018】
走行ルートの特別な状況の例としては、工事による通行止め、救急車の通過などが挙げられる。走行ルートの特別な状況に基づいて設問を決定する例としては、工事による通行止めがある場合に「通行止めの迂回はスムーズでしたか?」という設問を決定することが挙げられる。
【0019】
天気についての情報に基づいて設問を決定する例としては、走行が雨天時であった場合に「タイヤがスリップして不安を感じる場面はありませんでしたか?」という設問を決定することが挙げられる。その他の例として、晴天時、霧発生時、降雪時に、天気に応じた設問を決定することが挙げられる。
【0020】
サービスの内容についての情報は、オンデマンド運行か定期運行かなどのサービスモードについての情報、あるいは音声案内の有無などのサービス全般についての情報のことである。サービスの内容についての情報に基づいて設問を決定する例として、車両の走行中に音声案内が流れた場合に、「音声案内は煩わしくありませんでしたか?」、あるいは「音声案内の頻度は適切でしたか?」という設問を決定することが挙げられる。
【0021】
車両の制御状態についての情報に基づいて設問を決定する例としては、走行中に追い越しがあった場合に「追い越しはスムーズでしたか?」という設問を決定することが挙げられる。その他の例として、走行中の急加減速、急操舵、退避走行などの車両の特定の制御状態に応じて設問を決定することが挙げられる。
【0022】
走行場所についての情報に基づいて設問を決定する例としては、走行場所に特定の拠点が含まれる場合に、その拠点で発生しやすい現象に関連した設問を決定することが挙げられる。特定の拠点としては、橋の下、バス停、トンネル、スロープ、交差点が例示される。例えば、車両が橋の下を通った場合に「橋の下を通過時に圧迫感はありませんでしたか?」という設問を決定することが想定される。
【0023】
走行コースについての情報は、自動運転車両がどのコースを走行するかについての情報を含む。走行コースについての情報に基づいて設問を決定する例としては、所定のコースを走行する場合に、そのコースで発生しやすい状況に関連した設問を決定することが挙げられる。
【0024】
2.実施の形態
2-1.評価装置の構成例
図1は、本実施の形態に係る評価装置の構成例を示すブロック図である。図1には、自動運転車両10、サーバ20、回答端末30が表示されている。自動運転車両10は、本実施の形態に係る評価装置が実施するアンケートの評価対象となる自動運転車両である。図1の例では、本実施の形態に係る評価装置は、サーバ20として構成されている。ただし、本実施の形態に係る評価装置は、自動運転車両10に搭載された装置であっても良い。自動運転車両10、サーバ20、回答端末30は、通信インターフェイスを備え、通信ネットワーク40を介して互いに通信可能に構成される。通信ネットワーク40は、無線通信ネットワークであっても、有線通信ネットワークであっても良いし、両方の組み合わせであっても良い。
【0025】
自動運転車両10は、車両状態センサ11、認識センサ12、通信装置13、ECU(Electronic Control Unit)14を備える。車両状態センサ11、認識センサ12、通信装置13は、車両のネットワークによりECU14と通信可能に構成される。車両状態センサ11としては、車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ、及び横加速度センサが例示される。認識センサ12としては、カメラ、マイク、温湿度センサ、及び水分測定センサが例示される。通信装置13は、車両の外部と通信を行う。通信装置13は、GPSシステムにより車両の位置情報を取得しても良いし、車両に関連した情報を管理する管理サーバから、運行情報、地図情報、天気情報、走行ルート情報などを取得しても良い。
【0026】
ECU14は、走行状態情報及び走行環境情報に含まれる情報を算出する。例えば、車両状態センサ11が自動運転車両10の車速データをECU14に送信し、ECU14が送信されたデータに基づいて、自動運転車両10の急加減速の有無を算出することで、車両の制御状態についての情報を得る。また、例えば、認識センサ12が温湿度のデータをECU14に送信し、ECU14が送信されたデータに基づいて、自動運転車両10の走行時の天気を算出することで、天気についての情報を得る。
【0027】
自動運転車両10は、通信ネットワーク40を介して走行状態情報及び走行環境情報をサーバ20に送信する。サーバ20は、図1に図示しない通信装置(情報取得部)により、走行状態情報及び走行環境情報を取得する。
【0028】
サーバ20は、プロセッサ21、記憶装置22を備えている。記憶装置22は、アンケートに含まれる設問やプログラムなどの各種情報を格納する。プロセッサ21は、記憶装置22に格納されたプログラムを実行することにより、自動運転車両10の自動運転走行を評価するための処理を行う。
【0029】
回答端末30は、表示装置31、回答入力装置32、プロセッサ33を備える。表示装置31は、要求設問を乗客に対して提示するための装置である。表示装置31は、要求設問を表示するモニタであっても良いし、要求設問を音声により出力するスピーカーであっても良い。図1の例では、表示装置31は、要求設問を表示するモニタとして構成される。回答入力装置32は、要求設問への回答を入力するための装置である。回答入力装置32は、例えば、タッチパネルやスイッチなどであっても良いし、音声による回答の入力を受け付けるマイクであっても良い。プロセッサ33は要求設問を表示装置31に表示させ、回答入力装置32から回答を取得するための各種処理を行う。回答端末30は、車両に搭載された装置であっても良いし、携帯電話などの持ち運び可能な端末であっても良い。
【0030】
プロセッサ21は、要求設問を決定するための処理を行う。そしてサーバ20は、決定した要求設問を、通信ネットワーク40を介して回答端末30に送信し、表示装置31は、送信された要求設問を表示する。要求設問への回答は、回答入力装置32に入力され、回答端末30は、入力された回答を取得する。回答端末30は、取得した回答を、通信ネットワーク40を介してサーバ20に送信する。
【0031】
2-2.評価装置の機能構成例
図2は、本実施の形態に係る評価装置の機能構成例を示すブロック図である。
【0032】
自動運転車両10は、走行環境情報部15、走行状態情報部16を含む。走行環境情報部15は、周辺環境情報部15a、サービスモード部15bを含む。走行状態情報部16は、イベント検知部16a、走行位置部16bを含む。サーバ20は、設問管理部23、設問決定部24、設問送信部25、自動運転評価部26を含む。回答端末30は、表示&回答部34と回答送信部35を含む。
【0033】
走行環境情報部15は、車両の走行環境情報の取得を行う。走行環境情報は、周辺環境情報部15aが取得する天気や特別な状況についての情報、サービスモード部15bが取得するサービスモードについての情報を含む。走行環境情報の取得は、例えば、管理サーバから走行ルート、天気、サービスモードについての情報を取得する通信装置13により実現される。あるいは、例えば、温湿度センサ及び水分測定センサと、センサの出力に基づいて天気を推定するECU14と、により実現される。
【0034】
走行状態情報部16は、走行状態情報を取得する。走行状態情報は、イベント検知部16aが取得する車両の特定の制御状態についての情報、走行位置部16bが取得する車両の走行コースや走行位置についての情報を含む。また、走行状態情報は、車両の特定の制御状態が発生したときの車両の走行位置についての情報を含んでも良い。イベント検知部16aは、例えば、車両状態センサ11と、車両状態センサ11の出力に基づいて車両の制御状態を算出するECUと、により実現される。走行位置部16bは、例えば、GPS受信機と、GPS受信機の出力に基づいて走行コースや走行位置を算出するECUと、により実現される。
【0035】
サーバ20は、設問管理部23、設問決定部24、設問送信部25、自動運転評価部26を含む。設問管理部23、設問決定部24、設問送信部25、及び自動運転評価部26は、プロセッサ21が実行する処理により実現される。
【0036】
設問管理部23は、アンケートに含まれる設問を管理する。例えば、設問管理部23は、アンケートに含める設問として使用者によりサーバ20に入力された設問を記憶装置22に格納する、要求設問決定時に格納した設問のデータを取り出す、といった設問の管理を行う。設問決定部24は、走行環境情報部15、走行状態情報部16が取得した情報に基づいて、設問管理部23が管理する設問の中から、要求設問を決定する。設問送信部25は、決定された要求設問を表示&回答部34に送信する。送信のタイミングは、車両が目的地に到着する直前であっても良いし、到着した後であっても良いし、到着よりも所定の時間だけ早く送信されても良い。設問送信部25が要求設問を決まったタイミングで送信する場合、設問送信部25は、走行位置部16bが取得した情報から、車両が目的地に到着する時間を算出する。
【0037】
自動運転評価部26は、回答送信部35から回答を受信する。自動運転評価部26は、受信した回答に基づいて、自動運転車両の自動運転走行の評価を行う。例えば、自動運転評価部26は、受信した回答を集計し、自動運転走行の評価結果を得る。自動運転評価部26は、さらに、評価結果を評価装置の使用者に送信しても良い。サーバ20は、自動運転評価部26を含まない構成であっても良い。サーバ20が自動運転評価部26を含まない場合、例えば、図2に図示しない外部のサーバが回答送信部35から回答を取得し、取得した回答に基づいて受動運転走行の評価を行うことが想定される。
【0038】
なお、本実施形態に係る評価装置は、自動運転評価部26を含んでいなくとも良い。この場合、評価装置は、回答送信部35から取得した要求設問に対する回答を結果として出力する。従って、この場合、評価装置は「アンケート装置」と呼ぶことができる。
【0039】
表示&回答部34は、要求設問を乗客に対して提示し、要求設問に対する回答を取得する。要求設問の提示及び回答の取得は、例えば、モニタとタッチパネルなどの視覚的な手段により行われても良いし、音声により行われても良い。表示&回答部34は、例えば、表示装置31、回答入力装置32、プロセッサ33により実現される。回答送信部35は、取得した回答を自動運転評価部26に送信する。回答送信部35は、例えば、プロセッサ33が、回答入力装置32が取得した回答を、通信ネットワーク40を介して送信するように制御することにより実現される。
【0040】
表示&回答部34が要求設問を提示するタイミング及び回答を取得するタイミングは、車両が目的地に到着する前であっても良いし、到着した後であっても良い。例えば、目的地に到着する所定の時間だけ前に要求設問を提示し、到着する直前に回答を取得しても良い。この場合、乗客は車両に乗っている間にアンケートに回答することで、自動運転走行中の時間を有効に活用することができる。あるいは、例えば、回答端末30が乗客の携帯電話である場合、車両が目的地に到着した後に要求設問を提示し、後日回答を取得しても良い。この場合、乗客は時間の制限なくアンケートに回答することができる。
【0041】
2-3.実施形態の第一の変形例
実施形態の第一の変形例として、常に要求設問として決定される固定設問を設問に含めることが想定される。第一の変形例においては、設問管理部23が管理する設問の中に固定設問が含まれる。設問決定部24は、固定設問を常に要求設問として決定する。その他の構成、及び機能構成は、2-1で説明した構成と同様の構成、及び2-2で説明した機能構成と同様の機能構成により実現される。固定設問としては、シーンの影響を受けない設問が想定される。シーンの影響を受けない設問の例としては、性別、年齢などの乗客の属性についての設問、自動運転走行全体の感想を問う設問が挙げられる。
【0042】
2-4.実施形態の第二の変形例
実施形態の第二の変形例として、要求設問の設問数に所定の上限を設けることが想定される。第二の変形例においては、設問決定部24は、設問管理部23が管理する設問に優先順位を付ける。要求設問の設問数が所定の上限を超える場合、設問決定部24は、設問数が上限以下となるように優先順位の高い順に要求設問を決定する。その他の構成、及び機能構成は、2-1で説明した構成と同様の構成、及び2-2で説明した機能構成と同様の機能構成により実現される。第二の変形例においては、乗客の負担をより少なくすることができる。
【0043】
2-5.実施形態の第三の変形例
実施形態の第三の変形例として、設問に固定設問を含め、かつ固定設問に、乗客が必ず回答することを必要とする必須設問を含めることが想定される。第三の変形例においては、自動運転評価部26は、回答送信部35から受信した回答に、必須設問への回答が含まれない場合、受信した回答を集計しない。その他の構成、及び機能構成は、2-1で説明した構成と同様の構成、及び2-2で説明した機能構成と同様の機能構成により実現される。必須設問を含めることで、偏りの少ないアンケート結果を得ることができる。例えば、「乗車時の座席位置を教えてください」という設問を必須設問とし、座席位置ごとに回答を集計することが想定される。
【0044】
3.評価装置が行う処理の例
以下、本実施の形態に係る評価装置が実行する処理の例を説明する。第一の処理例は、サービスの内容についての情報に基づいて設問が決定される例である。第二の処理例は、走行場所についての情報に基づいて設問が決定される例である。第三の処理例は、車両の制御状態についての情報に基づいて設問が決定される例である。
【0045】
3-1.第一の処理例
図3は、本実施の形態に係る評価装置が実行する第一の処理例を示すフローチャートである。ステップS100において、情報取得部が、走行環境情報及び走行状態情報を取得する。走行環境情報及び走行状態情報が取得されると、処理は、ステップS110に進む。
【0046】
ステップS110においては、車両のサービスモードが定期運行か否かが判定される。サービスモードが定期運行か否かの判定は、例えば、サービスモード部15bが取得した情報に基づいて設問決定部24が行う。サービスモードが定期運行の場合(ステップS110;Yes)、処理は、ステップS120に進む。定期運行でないオンデマンド運行の場合(ステップS110;No)、処理は、ステップS130に進む。
【0047】
ステップS120において、設問決定部24は、定期運行の場合に合わせて用意された設問を要求設問として決定する。ステップS130において、設問決定部24は、オンデマンド運行の場合に合わせて用意された設問を要求設問として決定する。例えば、ステップS120において「バス停での待ち時間は長すぎませんでしたか?」という設問を決定することが想定される。また、例えば、ステップS130において「選択された走行ルートは適切でしたか?」という設問を決定することが想定される。
【0048】
第一の処理例においては、ステップS110の判定は、サービスモードが決定した時点で行うことができる。設問決定部24は、サービスモードが決定した時点で第1処理例に係る処理を実行しても良いし、アンケートを実施する時点で第1処理例に係る処理を実行しても良い。
【0049】
3-2.第二の処理例
図4は、本実施の形態に係る評価装置が実行する第二の処理例を示すフローチャートである。ステップS200において、情報取得部が、走行環境情報及び走行状態情報を取得する。走行環境情報及び走行状態情報が取得されると、処理は、ステップS210に進む。
【0050】
ステップS210において、車両の走行場所にトンネルがあるか否かが判定される。トンネルがあるか否かの判定は、例えば、走行環境情報に基づいて設問決定部24が行っても良い。また、例えば、GPS情報と地図情報に基づいて設問決定部24が行っても良い。車両の走行場所にトンネルがある場合(ステップS210;Yes)、処理は、ステップS220に進む。トンネルがない場合(ステップS210;No)、処理は、ステップS230に進む。
【0051】
ステップS220において、設問決定部24は、トンネルがある場合に合わせて用意された設問を要求設問として決定する。その後、処理はステップS230に進む。
【0052】
ステップS230において、車両の走行場所にバス停があるか否かが判定される。バス停がある場合(ステップS230;Yes)、処理は、ステップS240に進む。バス停がない場合(ステップS230;No)、処理は、ステップS250に進む。
【0053】
ステップS240において、設問決定部24は、バス停がある場合に合わせて用意された設問を要求設問として決定する。その後、処理はステップS250に進む。
【0054】
ステップS250において、車両の走行場所に橋の下を通過する地点があるか否かが判定される。橋の下を通過する地点がある場合(ステップS250;Yes)、処理は、ステップS260に進む。橋の下を通過する地点がない場合(ステップS250;No)、処理は終了する。
【0055】
ステップS260において、設問決定部24は、橋の下を通過する地点がある場合に合わせて用意された設問を要求設問として決定する。
【0056】
第二の処理例においては、ステップS210、S230、S250の判定は、自動運転車両が走行するルートが決定した時点で行うことができる。設問決定部24は、自動運転車両が走行するルートが決定した時点で第2処理例に係る処理を実行しても良いし、アンケートを実施する時点で第2処理に係る処理を実行しても良い。
【0057】
3-3.第三の処理例
図5は、本実施の形態に係る評価装置が実行する第三の処理例を示すフローチャートである。ステップS300において、情報取得部が、走行環境情報及び走行状態情報を取得する。走行環境情報及び走行状態情報が取得されると、処理は、ステップS310に進む。
【0058】
ステップS310において、車両の走行中に急減速があったか否かが判定される。車両の走行中に急減速があったか否かの判定は、例えば、イベント検知部16aが取得した情報に基づいて設問決定部24が行う。急減速があった場合(ステップS310;Yes)、処理は、ステップS320に進む。急減速がなかった場合(ステップS310;No)、処理は、ステップS330に進む。
【0059】
ステップS320において、設問決定部24は、急減速があった場合に合わせて用意された設問を要求設問として決定する。その後、処理はステップS330に進む。
【0060】
ステップS330において、車両の走行中に追い越しがあったか否かが判定される。追い越しがあった場合(ステップS330;Yes)、処理は、ステップS340に進む。追い越しがなかった場合(ステップS330;No)、処理は終了する。
【0061】
ステップS340において、設問決定部24は、追い越しがあった場合に合わせて用意された設問を要求設問として決定する。
【0062】
第三の処理例においては、自動運転車両が実際に走行した結果に基づいて要求設問が決定される。設問決定部24が行う要求設問の決定が一定の制御周期で行われる場合は、目的地に到着するまでの間に決定される要求設問が増える場合がある。また、要求設問の決定は車両が目的地に到着する直前に行われても良い。
【0063】
以上の例に示した処理により、シーンに応じてアンケートに含まれる設問を切り替えることができる。第一の例から第三の例では、走行ルートの特別な状況、天気、サービスの内容、車両の制御状態、走行場所、走行コースについての情報のうち1種類の情報に基づいて設問を決定しているが、これらの情報のうち2種類以上の情報に基づいて設問を決定しても良い。
【0064】
4.効果
以上に説明したように、本実施の形態に係る評価装置は、リアルタイムにアンケートの設問を切り替える。本開示の実施の形態によれば、設問数を減らしつつ、適切な設問から成るアンケートを実施することのできる技術を提供することができる。これにより、乗客の負担を減らし、回答率を向上させたり、的確な回答を得られる可能性を高めたりすることができ、乗客、評価装置の使用者の双方にとって満足度が向上する。
【符号の説明】
【0065】
10 自動運転車両
11 車両状態センサ
12 認識センサ
13 通信装置
14 ECU
15 走行環境情報部
15a 周辺環境情報部
15b サービスモード部
16 走行状態情報部
16a イベント検知部
16b 走行位置部
20 サーバ
21 プロセッサ
22 記憶装置
23 設問管理部
24 設問決定部
25 設問送信部
26 自動運転評価部
30 回答端末
31 表示装置
32 回答入力装置
33 プロセッサ
34 表示&回答部
35 回答送信部
40 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5