(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240910BHJP
【FI】
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2021185427
(22)【出願日】2021-11-15
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-055134(JP,A)
【文献】特開2016-101774(JP,A)
【文献】特開2006-167837(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112586906(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を載せる載置部を有する自律移動ロボットを制御する制御システムであって、
前記載置部のユーザを認識するユーザ認識部と、
認識された前記ユーザの特徴情報を取得する特徴情報取得部と、
前記特徴情報に基づいて前記載置部の高さを制御する動作制御部と
を有
し、
前記特徴情報は、認識された前記ユーザが過去に前記載置部を利用した際に、所定の姿勢で前記載置部を利用したか否かを示す情報であり、
前記特徴情報がつま先立ちの姿勢又は所定の身体部位よりも高い位置に手を挙げた姿勢で前記載置部を利用したことを示す場合、前記動作制御部は、当該姿勢で前記載置部が利用された時の前記載置部の高さよりも所定値だけ低い高さまで前記載置部を降下させる制御を行う
制御システム。
【請求項2】
前記特徴情報が屈んだ姿勢で前記載置部を利用したことを示す場合、前記動作制御部は、当該姿勢で前記載置部が利用された時の前記載置部の高さよりも所定値だけ高い高さまで前記載置部を上昇させる制御を行う
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
認識された前記ユーザが前記載置部を利用した際の
姿勢を検出する行動検出部と、
検出された前記
姿勢を示す情報を記憶装置に記憶する行動記録部とをさらに有する
請求項
1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
荷物を載せる載置部を有する自律移動ロボットを制御する制御方法であって、
前記載置部のユーザを認識し、
認識された前記ユーザの特徴情報を取得し、
前記特徴情報に基づいて前記載置部の高さを制御
し、
前記特徴情報は、認識された前記ユーザが過去に前記載置部を利用した際に、所定の姿勢で前記載置部を利用したか否かを示す情報であり、
前記特徴情報がつま先立ちの姿勢又は所定の身体部位よりも高い位置に手を挙げた姿勢で前記載置部を利用したことを示す場合、当該姿勢で前記載置部が利用された時の前記載置部の高さよりも所定値だけ低い高さまで前記載置部を降下させる制御が行われる
制御方法。
【請求項5】
荷物を載せる載置部を有する自律移動ロボットを制御するコンピュータに、
前記載置部のユーザを認識する認識ステップと、
認識された前記ユーザの特徴情報を取得する特徴情報取得ステップと、
前記特徴情報に基づいて前記載置部の高さを制御する動作制御ステップと
を実行させ
、
前記特徴情報は、認識された前記ユーザが過去に前記載置部を利用した際に、所定の姿勢で前記載置部を利用したか否かを示す情報であり、
前記特徴情報がつま先立ちの姿勢又は所定の身体部位よりも高い位置に手を挙げた姿勢で前記載置部を利用したことを示す場合、前記動作制御ステップでは、当該姿勢で前記載置部が利用された時の前記載置部の高さよりも所定値だけ低い高さまで前記載置部を降下させる制御が行われる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は制御システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場や倉庫などにおいて、自律移動ロボットにより物を運搬するための技術が開発されている。例えば、特許文献1は、荷物が載置される載置部を有する自律移動ロボットを開示している。この自律移動ロボットは、載置部に荷物を載置した状態で移動することにより、当該荷物を運搬することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
載置部を有する自律移動ロボットのユーザとして、様々な人物が想定される。このため、載置部の高さが一定である場合、ユーザによっては、載置部に荷物を手で載せたり、載置部の荷物を手で取ったりするとき、作業のしづらさを感じ得る。
【0005】
本開示は、上記した事情を背景としてなされたものであり、載置部を有する自律移動ロボットに対するユーザによる作業のしづらさを抑制することができる制御システム、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本開示の一態様は、荷物を載せる載置部を有する自律移動ロボットを制御する制御システムであって、前記載置部のユーザを認識するユーザ認識部と、認識された前記ユーザの特徴情報を取得する特徴情報取得部と、前記特徴情報に基づいて前記載置部の高さを制御する動作制御部とを有する制御システムである。
この制御システムによれば、認識されたユーザに応じて、載置部の高さが調整される。すなわち、載置部の高さをユーザ毎に変更することができる。このため、載置部を有する自律移動ロボットに対するユーザによる作業のしづらさを抑制することができる。
【0007】
上記の一態様において、前記特徴情報は、認識された前記ユーザが過去に前記載置部を利用した際の行動を示す情報であってもよい。
このようにすることで、ユーザが過去に載置部を利用した際の行動に基づいて、載置部の高さを調整することができる。このため、当該ユーザのための適切な載置部の高さを実現することができる。
【0008】
上記の一態様において、前記特徴情報は、認識された前記ユーザが過去に前記載置部を利用した際に、所定の姿勢で前記載置部を利用したか否かを示す情報であってもよい。
このようにすることで、過去の利用時に、載置部の高さがユーザにとって低すぎたか否か又は高すぎたか否かを判定することができる。このため、適切な載置部の高さを実現することができる。
【0009】
上記の一態様において、前記特徴情報は、認識された前記ユーザが過去に前記載置部を利用した際に入力した、前記載置部の高さを変更する指示についての情報であってもよい。
このようにすることで、過去の利用時に、載置部の高さがユーザにとって低すぎたか否か又は高すぎたか否かを判定することができる。このため、適切な載置部の高さを実現することができる。
【0010】
上記の一態様において、認識された前記ユーザが前記載置部を利用した際の行動を検出する行動検出部と、検出された前記行動を示す情報を記憶装置に記憶する行動記録部とをさらに有してもよい。
このようにすることで、載置部の高さを調整するための情報を制御システム自らが取得する。このため、そのような情報を自動的に取得することができる。
【0011】
上記の一態様において、前記特徴情報は、前記ユーザの身長を示す情報であってもよい。
このようにすることで、ユーザの身長に応じて載置部の高さを調整することができる。このため、当該ユーザのための適切な載置部の高さを実現することができる。
【0012】
上記目的を達成するための本開示の他の一態様は、荷物を載せる載置部を有する自律移動ロボットを制御する制御方法であって、前記載置部のユーザを認識し、認識された前記ユーザの特徴情報を取得し、前記特徴情報に基づいて前記載置部の高さを制御する制御方法である。
この制御方法によれば、認識されたユーザに応じて、載置部の高さが調整される。すなわち、載置部の高さをユーザ毎に変更することができる。このため、載置部を有する自律移動ロボットに対するユーザによる作業のしづらさを抑制することができる。
【0013】
上記目的を達成するための本開示の他の一態様は、荷物を載せる載置部を有する自律移動ロボットを制御するコンピュータに、前記載置部のユーザを認識する認識ステップと、認識された前記ユーザの特徴情報を取得する特徴情報取得ステップと、前記特徴情報に基づいて前記載置部の高さを制御する動作制御ステップとを実行させるプログラムである。
このプログラムによれば、認識されたユーザに応じて、載置部の高さが調整される。すなわち、載置部の高さをユーザ毎に変更することができる。このため、載置部を有する自律移動ロボットに対するユーザによる作業のしづらさを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、載置部を有する自律移動ロボットに対するユーザによる作業のしづらさを抑制することができる制御システム、制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る自律移動ロボットの一例を示す模式的側面図である。
【
図2】実施の形態に係る自律移動ロボットの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態に係る自律移動ロボットの制御装置の機能構成の一例を示したブロック図である。
【
図4】実施の形態に係る自律移動ロボットによる載置部の高さの制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態に係る自律移動ロボットによる載置部の高さの制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態に係る自律移動ロボット10の一例を示す模式的側面図である。また、
図2は、実施の形態に係る自律移動ロボット10の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【0017】
自律移動ロボット10は、例えば、住宅、施設、倉庫、工場、屋外などの移動環境内を自律的に移動するロボットであり、制御システムにより動作が制御される。なお、本実施の形態では、自律移動ロボット10の後述する制御装置100が制御システムとして機能するが、制御システムの一部又は全ての機能がサーバなどの自律移動ロボット10以外の装置において実現されてもよい。
【0018】
自律移動ロボット10は、自律移動ロボット10を移動させる移動装置111を備えた筐体110と、上下方向へ伸縮する伸縮部120と、載置された荷物を支持するための載置部130と、移動装置111及び伸縮部120の制御を含む、自律移動ロボット10の制御を行う制御装置100と、センサ140と、無線通信部150とを備えている。
【0019】
筐体110に設けられた移動装置111は、筐体110に回転可能に設けられた左右一対の駆動車輪112及び前後一対の従動車輪113、各駆動車輪112を回転駆動する一対のモータ114と、を有している。各モータ114は減速機などを介して、各駆動車輪112を回転させる。各モータ114は、制御装置100からの制御信号に応じて、各駆動車輪112を回転させることで、自律移動ロボット10の前進移動、後進移動、及び回転を可能にする。これにより、自律移動ロボット10は、任意の位置に移動することができる。なお、上記移動装置111の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、移動装置111の駆動車輪112及び従動車輪113の数は任意でよく、自律移動ロボット10を任意の位置に移動させることができれば任意の構成が適用可能である。
【0020】
伸縮部120は、上下方向へ伸縮する伸縮機構であり、筐体110の上部で載置部130を支持する支柱である。伸縮部120は、テレスコピック型の伸縮機構として構成されていてもよい。伸縮部120の上端部には、載置部130が設けられており、伸縮部120の動作により、載置部130が上昇又は下降する。伸縮部120は、モータなどの駆動装置121を備えており、駆動装置121の駆動により伸縮する。すなわち、駆動装置121の駆動により、載置部130が上昇又は下降する。駆動装置121は、制御装置100からの制御信号に応じて駆動する。なお、自律移動ロボット10において、伸縮機構の代わりに、筐体110の上側に設けられた載置部130の高さを制御する公知の任意の機構が用いられてもよい。
【0021】
載置部130は、伸縮部120の上部(先端)に設けられている。すなわち、載置部130は、自律移動ロボット10の筐体110の上方に、伸縮部120を介して設けられている。載置部130は、モータなどの駆動装置121により昇降し、本実施の形態では、載置部130は、自律移動ロボット10により運搬される荷物を載せたり、当該荷物を支持して持ち上げたりするために使用される。運搬のため、自律移動ロボット10は、荷物を載置部130で支持したまま、荷物とともに移動する。これにより、自律移動ロボット10は、荷物を運搬する。なお、自律移動ロボット10による運搬中に、自律移動ロボット10の移動が行われなくてもよい。すなわち、運搬は、載置部130の昇降による上下方向の荷物の移動であってもよい。ユーザは、例えば、自律移動ロボット10により荷物を運搬してもらうために、載置部130の上に手で荷物を載せる。また、ユーザは、自律移動ロボット10により運搬された荷物を受け取るために、載置部130の上に載せられた荷物を手で取る。
【0022】
載置部130は、例えば、板材で構成されている。本実施の形態では、この板材の形状、すなわち、載置部130の形状は、例えば平らな円盤状であるが、他の任意の形状であってもよい。
【0023】
センサ140は、自律移動ロボット10の任意の位置に設置されており、ユーザに関する外観的な情報を検出するセンサである。例えば、センサ140は、カメラであるが、ライダー(LiDAR:light detection and ranging)センサなどの物体の外観的な情報を検出する任意のセンサであってもよい。センサ140の出力は、制御装置100に入力される。
【0024】
無線通信部150は、必要に応じてサーバ又は他のロボットなどと通信するために、無線通信する回路であり、例えば、無線送受信回路及びアンテナを含む。なお、自律移動ロボット10が他の機器と通信を行わない場合には、無線通信部150が省略されてもよい。
【0025】
制御装置100は、自律移動ロボット10を制御する装置であり、プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース103を備える。プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース103は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0026】
インタフェース103は、移動装置111、伸縮部120、センサ140、無線通信部150などの他の装置と通信するために使用される入出力回路である。
【0027】
メモリ102は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ102は、プロセッサ101により実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)、及び自律移動ロボット10の各種処理に用いるデータなどを格納するために使用される。
【0028】
プロセッサ101は、メモリ102からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、制御装置100の後述する処理を行う。
【0029】
プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。
このように、制御装置100は、コンピュータとして機能する装置である。
【0030】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明される1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0031】
図3は、自律移動ロボット10の制御装置100の機能構成の一例を示したブロック図である。
図3に示すように、制御装置100は、ユーザ認識部160、身体認識部161、操作受付部162、行動記録部163、特徴情報取得部164、及び動作制御部165を有する。
【0032】
ユーザ認識部160は、載置部130のユーザを認識する。ユーザ認識部160は、センサ140からの出力データを解析し、ユーザを認識する。例えば、ユーザ認識部160は、センサ140から出力された画像データに対し、画像認識処理を行うことにより、ユーザを認識する。これによりユーザが特定される。ユーザ認識部160は、センサ140の出力データからユーザの顔などの身体的な特徴を識別することによりユーザを認識してもよいし、センサ140によってユーザが所持するIDカードを読み取ることによりユーザを認識してもよい。
【0033】
身体認識部161は、載置部130のユーザの身長及び姿勢を認識する。身体認識部161は、センサ140からの出力データを解析し、身長及び姿勢を認識する。例えば、身体認識部161は、センサ140から出力された画像データに対し、画像認識処理を行うことにより、ユーザの身長及び姿勢を認識する。これによりユーザの身長及び姿勢が特定される。なお、身体認識部161は、ユーザの身長と姿勢のうちいずれか一方だけを認識してもよい。身体認識部161は、ユーザの身長を認識した場合、ユーザ認識部160により識別されたユーザの識別情報と関連付けて、当該ユーザの身長をメモリ102などの記憶装置に記憶してもよい。
【0034】
身体認識部161は、ユーザの姿勢を認識する場合、特に、ユーザが載置部130を利用する際の姿勢を認識する。例えば、身体認識部161は、ユーザが自律移動ロボット10に近接した位置(自律移動ロボット10から所定距離以内の位置)にいる際の姿勢をユーザが載置部130を利用する際の姿勢として認識してもよいし、載置部130の重量に変化が生じた際の姿勢をユーザが載置部130を利用する際の姿勢として認識してもよい。なお、自律移動ロボット10に対するユーザの相対位置は、センサ140の出力データに基づいて判定されてもよい。また、載置部130の重量は、載置部130に設けられた重量センサなどにより判定されてもよい。なお、身体認識部161は、ユーザが載置部130を利用した際の行動を検出する行動検出部の一例であり、行動として姿勢を認識する。
【0035】
操作受付部162は、ユーザが行った、載置部130の上昇又は降下を指示する操作の入力を受付ける。すなわち、操作受付部162は、載置部130の高さを変更する指示の入力を受付ける。操作受付部162は、例えば、自律移動ロボット10に設けられた、物理的な力(物理的な接触)によって操作されるユーザインタフェース(例えばボタン又はレバーなど)からの信号を受信することにより指示を受付けてもよいし、ユーザが所持する端末などから送信された操作信号を、無線通信部150を介して受信することにより指示を受付けてもよい。なお、操作受付部162は、ユーザが載置部130を利用した際の行動を検出する行動検出部の一例であり、行動として、入力操作を認識する。
【0036】
行動記録部163は、検出された行動を示す情報を記録する。行動記録部163は、検出された行動を示す情報を、メモリ102などの記憶装置に記憶することにより、記録する。行動記録部163は、ユーザ認識部160により識別されたユーザの識別情報と関連付けて、当該ユーザの行動を示す情報を記憶装置に記憶する。例えば、行動記録部163は、ユーザが所定の姿勢で載置部130を利用したか否かを示す情報を記憶装置に記憶する。ここで、所定の姿勢とは、ユーザが作業のしづらさを感じうる姿勢であればよく、具体的には、例えば、屈んだ姿勢(すなわち腰又は膝を曲げた姿勢)であってもよいし、つま先立ちの姿勢であってもよいし、所定の身体部位(例えば、肩)よりも高い位置に手を挙げた姿勢であってもよい。また、行動記録部163は、ユーザが載置部130を利用した際に入力した載置部130の高さを変更する指示についての情報を記憶装置に記憶してもよい。例えば、所定の基準の高さよりも載置部130を上昇させる指示を示す情報を記録してもよいし、所定の基準の高さよりも載置部130を降下させる指示を示す情報を記録してもよいし、入力された指示にしたがった制御により実現された載置部130の高さを示す情報を記録してもよい。なお、行動記録部163は、行動を示す情報として、姿勢についての情報と指示についての情報のうちいずれか一方だけを記録してもよいし、両方を記録してもよい。また、行動記録部163は、ユーザが所定の姿勢で載置部130を利用した際の載置部130の高さを、行動を示す情報と関連付けて記録してもよいし、ユーザが載置部130の高さを変更する指示を入力した際の載置部130の高さを、指示についての情報と関連付けて記録してもよい。
【0037】
特徴情報取得部164は、ユーザ認識部160により認識されたユーザの特徴情報を取得する。ここで、ユーザの特徴情報とは、載置部130の高さに関するユーザの特徴を示す情報である。すなわち、ユーザの特徴情報とは、載置部130の高さに関するパーソナルデータである。具体的には、ユーザの特徴情報は、ユーザが過去に載置部130を利用した際の行動を示す情報であってもよい。この場合、ユーザの特徴情報は、行動記録部163によって記録された情報であってもよい。ユーザが過去に載置部130を利用した際の行動を示す情報は、ユーザが過去に載置部130を利用した際に、所定の姿勢で載置部130を利用したか否かを示す情報であってもよいし、ユーザが過去に載置部130を利用した際に入力した載置部130の高さを変更する指示についての情報であってもよい。例を挙げると、ユーザの特徴情報は、当該ユーザが過去に載置部130を利用した際に屈んだ姿勢で載置部130を利用したことを示す情報である。また、別の例を挙げると、ユーザの特徴情報は、当該ユーザが過去に載置部130を利用した際に入力した所定の高さよりも載置部130を上昇させる指示を示す情報である。なお、これらは特徴情報の例に過ぎず、特徴情報はこれらに限られない。特徴情報取得部164は、メモリ102などの記憶装置に予め記憶されている特徴情報(例えば、行動記録部163により記録された情報)のうち、ユーザ認識部160により認識されたユーザに対応する情報を読み出すことにより、ユーザが過去に載置部130を利用した際の行動を示す特徴情報を取得する。なお、特徴情報取得部164は、必ずしも行動記録部163により記録された情報を取得しなくてもよい。例えば、各ユーザ又は管理者などが入力装置を介して入力することにより記憶装置に記憶された特徴情報を特徴情報取得部164は取得してもよい。この場合、行動記録部163は、省略されてもよい。これに対し、行動記録部163が存在することにより、載置部130の高さを調整するための情報を制御装置100自らが取得することになるため、そのような情報を自動的に取得することができるという利点がある。
【0038】
ユーザが過去に載置部130を利用した際に所定の姿勢で載置部130を利用したか否かを示す情報を特徴情報として取得することにより、過去の利用時に、載置部130の高さがユーザにとって低すぎたか否か又は高すぎたか否かを判定することができる。このため、後述するように適切な載置部130の高さを実現することができる。また、ユーザが過去に載置部130を利用した際に入力した、載置部130の高さを変更する指示についての情報を特徴情報として取得することにより、過去の利用時に、載置部130の高さがユーザにとって低すぎたか否か又は高すぎたか否かを判定することができる。このため、後述するように適切な載置部130の高さを実現することができる。
【0039】
また、ユーザの特徴情報は、ユーザの身長を示す情報であってもよい。この場合、特徴情報取得部164は、メモリ102などの記憶装置に予め記憶されている身長のうち、ユーザ認識部160により認識されたユーザに対応するものを読み出すことにより、特徴情報を取得してもよいし、身体認識部161により認識された身長を特徴情報として取得してもよい。ユーザの身長を示す情報を特徴情報として取得することにより、ユーザの身長に応じて載置部130の高さを調整することができる。このため、当該ユーザのための適切な載置部130の高さを実現することができる。
【0040】
動作制御部165は、自律移動ロボット10を制御する。具体的には、主に、動作制御部165は、移動装置111及び伸縮部120の動作を制御する。動作制御部165は、移動装置111の各モータ114に制御信号を送信することで、各駆動車輪112の回転を制御し、自律移動ロボット10を任意の位置に移動させることができる。また、動作制御部165は、伸縮部120の駆動装置121に対して制御信号を送信することで、載置部130の高さを制御することができる。
【0041】
動作制御部165は、駆動車輪112に設けられた回転センサにより検出された駆動車輪112の回転情報などに基づいて、フィードバック制御、ロバスト制御等の周知の制御を行うことで、自律移動ロボット10の移動を制御してもよい。また、動作制御部165は、自律移動ロボット10に設けられたカメラや超音波センサなどの距離センサにより検出された距離情報、移動環境の地図情報などの情報に基づいて、移動装置111を制御することで、自律移動ロボット10を自律的に移動させてもよい。なお、ユーザに関する外観的な情報を検出するセンサ140は、自律移動ロボット10の移動の際に移動環境をセンシングするために用いられるものであってもよい。
【0042】
また、動作制御部165は、操作受付部162が受付けた指示に基づいて載置部130の高さを制御する。この場合、動作制御部165は、受付けた指示にしたがって載置部130の高さを変更する。さらに、特徴情報取得部164が特徴情報を取得した場合、動作制御部165は、取得した特徴情報に基づいて載置部130の高さを制御する。この場合、具体的には、動作制御部165は、取得された特徴情報に応じた所定の制御ルールに従って、載置部130の高さを制御する。例えば次のような制御を動作制御部165は実施する。
【0043】
特徴情報取得部164が取得した特徴情報が、ユーザが過去に載置部130を利用した際に、屈んだ姿勢で載置部130を利用したこと示す情報である場合、動作制御部165は、載置部130の高さを所定の第1の高さまで上昇させる制御を行う。また、特徴情報取得部164が取得した特徴情報が、ユーザが過去に載置部130を利用した際に、つま先立ちの姿勢又は所定の身体部位よりも高い位置に手を挙げた姿勢で載置部130を利用したこと示す情報である場合、動作制御部165は、載置部130の高さを所定の第2の高さまで降下させる制御を行う。なお、これらの制御において、動作制御部165は、ユーザが過去にそのような姿勢で載置部130を利用した際の載置部130の高さを参照して、制御を行ってもよい。例えば、特徴情報が屈んだ姿勢で載置部130を利用したこと示す情報である場合、動作制御部165は、その姿勢で載置部130が利用された時の載置部130の高さよりも所定値だけ高い高さまで載置部130を上昇させる制御を行ってもよい。同様に、特徴情報がつま先立ちの姿勢又は所定の身体部位よりも高い位置に手を挙げた姿勢で載置部130を利用したこと示す情報である場合、動作制御部165は、その姿勢で載置部130が利用された時の載置部130の高さよりも所定値だけ低い高さまで載置部130を降下させる制御を行ってもよい。
【0044】
また、特徴情報取得部164が取得した特徴情報が、ユーザが過去に載置部130を利用した際に入力された、載置部130を所定の基準の高さよりも上昇させる指示を示す情報である場合、動作制御部165は、載置部130の高さを所定の第1の高さまで上昇させる制御を行う。この所定の第1の高さは、所定の基準の高さよりも所定値だけ高い高さであってもよい。また、特徴情報取得部164が取得した特徴情報が、ユーザが過去に載置部130を利用した際に入力された、載置部130を所定の基準の高さよりも降下させる指示を示す情報である場合、動作制御部165は、載置部130の高さを所定の第2の高さまで降下させる制御を行う。この所定の第2の高さは、所定の基準の高さよりも所定値だけ低い高さであってもよい。なお、これらの制御において、動作制御部165は、ユーザが載置部130の高さを変更する指示を入力した際の載置部130の高さを参照して、制御を行ってもよい。例えば、特徴情報が載置部130を所定の基準の高さよりも上昇させる指示を示す情報である場合、動作制御部165は、ユーザが載置部130の高さを上昇させる指示を入力した際の載置部130の高さよりも所定値だけ高い高さまで載置部130を上昇させる制御を行ってもよい。同様に、特徴情報が載置部130を所定の基準の高さよりも降下させる指示を示す情報である場合、動作制御部165は、ユーザが載置部130の高さを降下させる指示を入力した際の載置部130の高さよりも所定値だけ低い高さまで載置部130を降下させる制御を行ってもよい。また、特徴情報取得部164が取得した特徴情報が、ユーザが過去に載置部130を利用した際に入力された指示にしたがった制御により実現された載置部130の高さを示す情報である場合、動作制御部165は、載置部130の高さが特徴情報に示される高さになるように制御を行う。
【0045】
また、特徴情報取得部164が取得した特徴情報が、ユーザの身長を示す情報である場合、動作制御部165は、載置部130の高さが、身長に応じた高さになるように制御を行う。
【0046】
図4及び
図5は、本実施の形態に係る自律移動ロボット10による載置部130の高さの制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。特に、
図4は、ユーザが初めて載置部130を利用する際の処理の流れの一例を示しており、
図5は、ユーザが、再度、載置部130を利用する際の処理の流れの一例を示している。
【0047】
まず、
図4のフローチャートを参照しつつ、ユーザが初めて載置部130を利用する際の処理の流れの一例について説明する。
【0048】
ステップS100において、ユーザ認識部160が、載置部130のユーザを認識する。
次に、ステップS101において、載置部130の高さの調整を指示する操作の入力を操作受付部162が受付けたか否かが判定される。載置部130の高さの調整を指示する操作の入力が受付けられた場合(ステップS101でYes)、処理はステップS102へ移行し、そうでない場合(ステップS101でNo)、処理はステップS103へ移行する。
【0049】
ステップS102において、動作制御部165は、操作受付部162が受付けた操作(指示)に基づいて載置部130の高さを制御する。ユーザは、例えば、作業のしやすい高さになるよう載置部130の高さを調整する操作を行なう。ステップS102の後、処理はステップS104へ移行する。
【0050】
ステップS103において、身体認識部161は、ユーザが載置部130を利用する際の当該ユーザの姿勢を認識する。ステップS103の後、処理はステップS104へ移行する。
【0051】
ステップS104において、行動記録部163は、ステップS100で認識されたユーザについての情報として、行動を示す情報を記録する。具体的には、載置部130の高さの調整を指示する操作の入力が受付けられた場合、行動記録部163は、載置部130の高さを変更する指示についての情報を記録する。また、行動記録部163は、ステップS103で認識された姿勢が、所定の姿勢(例えば屈んだ姿勢)であるか否かを示す情報を記録する。
【0052】
なお、
図4に示したフローチャートでは、ステップS103において、ユーザの姿勢だけが認識されたが、ユーザの姿勢及び身長が認識されてもよい。
【0053】
次に、
図5のフローチャートを参照しつつ、ユーザが、再度、載置部130を利用する際の処理の流れの一例について説明する。
【0054】
ステップS200において、ユーザ認識部160が、載置部130のユーザを認識する。
次に、ステップS201において、特徴情報取得部164が、ステップS200で認識されたユーザの特徴情報を取得する。具体的には、特徴情報取得部164は、
図4のステップS104において記録された情報を読み出すことにより、当該ユーザの特徴情報を取得する。
【0055】
次に、ステップS202において、動作制御部165は、ステップS201で取得された特徴情報に基づいて載置部130の高さを調整する。ステップS201において、同一のユーザに対して複数種類の特徴情報が取得された場合には、動作制御部165は、例えば、これら複数種類の特徴情報のうち所定の優先順位により選択される特徴情報に基づいて載置部130の高さを制御する。なお、
図5に示したフローチャートでは示されていないが、ユーザが、再度、載置部130を利用する際も、載置部130の高さを調整する指示の入力が受付けられ、当該指示にしたがった制御が行われてもよい。
【0056】
以上、実施の形態について説明した。本実施形態にかかる自律移動ロボット10は、認識されたユーザに応じて、載置部の高さを調整する。すなわち、載置部の高さをユーザ毎に変更することができる。このため、載置部130を有する自律移動ロボット10に対するユーザによる作業のしづらさを抑制することができる。具体的には、載置部130に荷物を手で載せたり、載置部130の荷物を手で取ったりするときに、ユーザが作業のしづらさを感じことを軽減することができる。特に、取得される特徴情報が、ユーザが過去に載置部130を利用した際の行動を示す情報である場合には、ユーザが過去に載置部130を利用した際の行動に基づいて、載置部130の高さを調整することができる。このため、当該ユーザのための適切な載置部130の高さを実現することができる。
【0057】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、
図3に示した構成要素の一部又は全てがサーバなどの自律移動ロボット10以外の装置において実現されてもよいし、センサ140が自律移動ロボット10とは別に設置されていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 自律移動ロボット
100 制御装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 インタフェース
110 筐体
111 移動装置
112 駆動車輪
113 従動車輪
114 モータ
120 伸縮部
121 駆動装置
130 載置部
140 センサ
150 無線通信部
160 ユーザ認識部
161 身体認識部
162 操作受付部
163 行動記録部
164 特徴情報取得部
165 動作制御部