(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/239 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
B60R21/239
(21)【出願番号】P 2021196914
(22)【出願日】2021-12-03
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠矢
(72)【発明者】
【氏名】河村 功士
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 武経
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08646808(US,B2)
【文献】特開2008-308139(JP,A)
【文献】米国特許第06648371(US,B2)
【文献】特開2019-172172(JP,A)
【文献】特開2008-207579(JP,A)
【文献】特開2000-052916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0234528(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103448663(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 - 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内圧調整用に膨張用ガスを排気可能な排気孔を周壁に有したエアバッグと、
前記排気孔の閉塞状態と開口状態とに調整可能な閉塞部材と、
該閉塞部材に元部側を連結させた可撓性を有した連結部材の先端部側を保持して、前記排気孔の閉塞状態を維持し、かつ、前記連結部材の先端部側の保持を解除して、前記排気孔を開口状態に移行可能とする保持解除手段と、
を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、前記排気孔の周縁に、閉塞状態の前記閉塞部材から延びる前記連結部材を前記エアバッグ内から前記エアバッグ外へ挿通させる挿通孔、を備え、
前記閉塞部材が、可撓性を有したシート材から形成されて、
前記排気孔の閉塞状態で、
前記エアバッグの内周面側における前記排気孔の周縁から前記挿通孔側に延びる第1パネル部と、
該第1パネル部の外周縁の全周と連なって、前記排気孔と前記第1パネル部とを覆うように配置される第2パネル部と、
を備えるとともに、
前記挿通孔に接近した前記第1パネル部と第2パネル部との外周縁相互の先端部位に、前記連結部材の元部側を連結させて、配設され、
前記第1パネル部が、
前記排気孔と連通する連通孔を有して、該連通孔の周縁を前記排気孔の周縁に結合させて配設されるとともに、
前記連通孔と、前記連結部材と連結される前記先端部位と、の間に、表裏を貫通して膨張用ガスを流し可能な貫通孔、を備えて構成され、
前記排気孔の開口状態への移行時、膨張用ガスに押圧される前記閉塞部材が、前記排気孔及び前記連通孔を経て、前記エアバッグの内周面側から外周面側に繰り出されるように反転し、前記貫通孔から膨張用ガスを排気させ、
前記排気孔の閉塞状態の維持時、積層された第1パネル部と前記第2パネル部とからなる前記閉塞部材が、前記排気孔周縁の前記エアバッグの内周面側に、膨張用ガスに押圧されて、前記排気孔を閉塞状態としていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
平らに展開した前記第1パネル部が、前記貫通孔を、前記先端部位と前記連通孔との間における前記連通孔に接近した位置に、配設していることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
平らに展開した前記第1パネル部の前記貫通孔が、前記先端部位と前記連通孔との配設方向と直交する方向に沿って延びた略長円形状として、配設されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
平らに展開した前記第1パネル部が、前記先端部位と前記連通孔との配設方向と直交する方向に沿った幅方向における前記排気孔の周縁への結合部の両縁と、前記先端部位における前記連結部材との連結部位の両縁と、をそれぞれ結ぶ両側の直線の間の領域に、前記排気孔を配置させて、配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグの周壁に設けた内圧調整用の排気孔から、膨張用ガスを排気可能として、膨張時のエアバッグの内圧を調整可能なエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグ装置としては、内圧調整用に膨張用ガスを排気可能な排気孔を周壁に有したエアバッグと、排気孔の閉塞状態と開口状態とに調整可能な閉塞部材と、閉塞部材に元部側を連結させた連結部材の先端部側を保持して、排気孔の閉塞状態を維持し、かつ、連結部材の先端部側の保持を解除して、排気孔を開口状態に移行可能とする保持解除手段としてのアクチュエータと、を備えて構成されるものがあった(例えば、特許文献1参照)。閉塞部材は、エアバッグの内周面側において、排気孔の周縁から延びるチューブ状として、先端に、連結部材の元部を連結させていた。排気孔の閉塞時には、チューブ状の閉塞部材が、連結部材に引っ張られてエアバッグの内周面側に配置され、エアバッグ内の膨張用ガスの圧力で閉塞部材の周壁を押し潰して、排気孔を閉塞し、そして、排気孔の開口時には、アクチュエータが連結部材の先端部の保持を解除することから、チューブ状の閉塞部材が、膨張用ガスの圧力により、排気孔の部位で、エアバッグの内周面側から外周面側に繰り出されるように反転して、反転したチューブ状の閉塞部材の先端の開口から、膨張用ガスを排気して、エアバッグの内圧を低下させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、排気孔の閉塞状態から開口状態へ移行する際、チューブ状の閉塞部材が、エアバッグの内周面側から外周面側に反転し、排気孔の周縁から延びるチューブ状の先端の開口から膨張用ガスを排気する構成であり、チューブ状の閉塞部材の全体が、エアバッグの外周面側に配置させた後でしか、その先端の開口から膨張用ガスを流出できないことから、迅速な膨張用ガスの排気に関し、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグが、内圧調整用の排気孔の閉塞時に良好な気密性を確保して、排気孔の開口時、迅速に、膨張用ガスを排気可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアバッグ装置は、内圧調整用に膨張用ガスを排気可能な排気孔を周壁に有したエアバッグと、
前記排気孔の閉塞状態と開口状態とに調整可能な閉塞部材と、
該閉塞部材に元部側を連結させた可撓性を有した連結部材の先端部側を保持して、前記排気孔の閉塞状態を維持し、かつ、前記連結部材の先端部側の保持を解除して、前記排気孔を開口状態に移行可能とする保持解除手段と、
を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、前記排気孔の周縁に、閉塞状態の前記閉塞部材から延びる前記連結部材を前記エアバッグ内から前記エアバッグ外へ挿通させる挿通孔、を備え、
前記閉塞部材が、可撓性を有したシート材から形成されて、
前記排気孔の閉塞状態で、
前記エアバッグの内周面側における前記排気孔の周縁から前記挿通孔側に延びる第1パネル部と、
該第1パネル部の外周縁の全周と連なって、前記排気孔と前記第1パネル部とを覆うように配置される第2パネル部と、
を備えるとともに、
前記挿通孔に接近した前記第1パネル部と第2パネル部との外周縁相互の先端部位に、前記連結部材の元部側を連結させて、配設され、
前記第1パネル部が、
前記排気孔と連通する連通孔を有して、該連通孔の周縁を前記排気孔の周縁に結合させて配設されるとともに、
前記連通孔と、前記連結部材と連結される前記先端部位と、の間に、表裏を貫通して膨張用ガスを流し可能な貫通孔、を備えて構成され、
前記排気孔の開口状態への移行時、膨張用ガスに押圧される前記閉塞部材が、前記排気孔及び前記連通孔を経て、前記エアバッグの内周面側から外周面側に繰り出されるように反転し、前記貫通孔から膨張用ガスを排気させ、
前記排気孔の閉塞状態の維持時、積層された第1パネル部と前記第2パネル部とからなる前記閉塞部材が、前記排気孔周縁の前記エアバッグの内周面側に、膨張用ガスに押圧されて、前記排気孔を閉塞状態としていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置では、排気孔の閉塞状態の維持時には、保持解除手段が連結部材の先端部を保持しており、閉塞部材が、連結部材に引っ張られて、第1パネル部と第2パネル部とを重ねた状態で、エアバッグの内周面側の排気孔を覆うように配置され、そして、膨張用ガスの圧力で押圧されることから、排気孔を閉塞する。この閉塞状態は、排気孔の周縁から延びる第1パネル部と第2パネル部とからなるチューブ状とした閉塞部材が、第1パネル部と第2パネル部とを積層させつつ、排気孔の周縁に圧接させて、排気孔を閉塞し、かつ、閉塞部材自体に開口している第1パネル部の貫通孔も、その周縁をエアバッグの内周面側に押し付けられて、閉塞されることから、この貫通孔からチューブ状の閉塞部材内に、膨張用ガスが流入し難く、仮に、貫通孔からチューブ状の閉塞部材内に膨張用ガスが流入しても、排気孔の周縁が、第2パネル部に圧接されることから、排気孔からの膨張用ガスの排気が抑制されて、排気孔の閉塞時の良好な気密性が確保される。そして、排気孔の開口時には、連結部材が保持解除手段の保持を解除されることから、閉塞部材が、連結部材により引っ張られず、膨張用ガスの圧力を受けて、排気孔と連通孔とを経て、エアバッグの内周面側からエアバッグの外周面側に反転するように、繰り出される。その際、閉塞部材の排気孔の周縁から先端部位までの全域が、エアバッグの外周面側に繰り出される前に、貫通孔が、エアバッグの外周面側に露出されることから、迅速に、エアバッグの外周面側に露出された貫通孔から、膨張用ガスを排気できて、エアバッグの内圧を低下させることができる。
【0008】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、エアバッグが、内圧調整用の排気孔の閉塞時に良好な気密性を確保して、排気孔の開口時、迅速に、膨張用ガスを排気することができる。
【0009】
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、平らに展開した前記第1パネル部が、前記貫通孔を、前記先端部位と前記連通孔との間における前記連通孔に接近した位置に、配設していることが望ましい。
【0010】
このような構成では、膨張用ガスの排気時における閉塞部材が反転して、貫通孔をエアバッグの外周面側に露出させる際、貫通孔が、排気孔に連通する連通孔に接近して配置されていることから、接近している分、反転時にエアバッグの外周面側に露出し易く、一層、迅速に、エアバッグは、膨張用ガスを排気することができる。
【0011】
また、本発明に係るエアバッグ装置では、平らに展開した前記第1パネル部の前記貫通孔が、前記先端部位と前記連通孔との配設方向と直交する方向に沿って延びた長円形状として、配設されていることが望ましい。
【0012】
このような構成では、貫通孔からの膨張用ガスの排気時には、閉塞部材が先端部位側をエアバッグの外周面側に反転させて伸びようとすることから、すなわち、先端部位と連通孔との配設方向に沿って、引張力が作用して、長円形状の貫通孔が、開口面積を広げるように、略真円形状に広がって、効率的に、膨張用ガスを排気することができる。勿論、排気孔の閉塞時には、開口面積を小さくした長円形状として、貫通孔が、エアバッグの内周面側に押圧されることから、エアバッグの膨張用ガスの気密性を確保し易い。
【0013】
さらに、本発明に係るエアバッグ装置では、平らに展開した前記第1パネル部が、前記先端部位と前記連通孔との配設方向と直交する方向に沿った幅方向における前記排気孔の周縁への結合部の両縁と、前記先端部位における前記連結部材との連結部位の両縁と、をそれぞれ結ぶ両側の直線の間の領域に、前記排気孔を配置させて、配設されていることが望ましい。
【0014】
このような構成では、排気孔の閉塞時に、連結部材が保持解除手段に保持されて、閉塞部材が、排気孔の周縁から先端部位まで、連結部材に引っ張られる。その際、閉塞部材は、幅方向の両縁に張力が作用し、幅方向の中央付近では、張力が抑制されることとなる。そのため、膨張用ガスの押圧力を受けて、閉塞部材は、幅方向の両縁の間の部位が、弛んだ状態となって、エアバッグの内周面側に押し付けられて密着し易くなり、その結果、一層、幅方向の両縁の間の部位に配置されている排気孔からの膨張用ガスの漏れが抑制されて、一層、エアバッグは、排気孔の閉塞時の気密性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態のエアバッグ装置の車両搭載状態を示す側面図であり、エアバッグの膨張完了時を二点鎖線で示す。
【
図2】実施形態のエアバッグ装置が搭載されるステアリングホイールの概略平面図である。
【
図3】実施形態のエアバッグ装置が搭載されるステアリングホイールの概略縦断面図である。
【
図4】実施形態のエアバッグ装置の保持解除手段としてのアクチュエータ付近を示す概略縦断面図である。
【
図5】実施形態のエアバッグ装置のアクチュエータ付近を示す概略底面図である。
【
図6】実施形態のエアバッグ装置のエアバッグを平らに展開した状態の底面図である。
【
図7】実施形態のエアバッグ装置のエアバッグを平らに展開した状態のエアバッグの内周面側から見た閉塞部材の展開図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII部位の概略断面図であり、併せて、排気孔の閉塞状態から開口状態へ移行する状態を示す。
【
図9】実施形態のエアバッグの構成材料を示す平面図である。
【
図10】実施形態のエアバッグ装置の作動時における排気孔の閉塞状態と開口状態を示す概略図である。
【
図11】実施形態の閉塞部材の貫通孔の開口状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置10は、
図1~3に示すように、ステアリングホイールWに搭載される運転席用のエアバッグ装置10としている。ステアリングホイールWは、ステアリングホイール本体1と、ステアリングホイール本体1の中央のボス部Bの上部に配置されるエアバッグ装置10と、を備えて構成される。ステアリングホイール本体1は、操舵時に把持する円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されてステアリングシャフトSSに締結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成される。
【0017】
なお、本明細書では、特に断らない限り、上下方向は、ステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向が対応し、前後方向は、車両の直進操舵時のステアリングシャフトSSの軸方向と直交した前後方向が対応し、左右方向は、車両の直進操舵時のステアリングシャフトSSの軸方向と直交した左右方向が対応するものである。
【0018】
また、車両には、エアバッグ装置10の作動を制御する制御装置90、衝突を検知する衝突検知センサ91、座席SEに着座した乗員(運転者)MD(M,F)の位置を検知する位置検知センサ92、乗員(運転者)MD(M,F)の体重を検知する重量検知センサ93が配置されている。そして、制御装置90は、衝突検知センサ91からの信号に基づいて車両の衝突を検知すると、後述するエアバッグ30を膨張させるようにインフレーター18を作動させ、その際、位置検知センサ92と重量検知センサ93とからの信号に基づき、内圧を低下させない状態でエアバッグ30が運転者を受け止めると判断した場合には、内圧調整機構48の後述する保持解除手段としてのアクチュエータ62を作動させないように制御し、また、内圧を低下させて受け止める状態で乗員を受け止めると判断した場合には、内圧調整機構48のアクチュエータ62を作動させるように、制御することとなる。このエアバッグ30の内圧調整は、例えば、体重の軽い運転者MDFやステアリングホイールWに接近している運転者MDFの場合には、制御装置90は、アクチュエータ62を作動させて、エアバッグ30の内圧を低下させるように、膨張用ガスを排気することとなり、体重の重い運転者MDMやステアリングホイールWから離れた運転者の場合には、制御装置90は、アクチュエータ62を作動させずに、エアバッグ30の内圧を維持するように、制御する。
【0019】
ステアリングホイール本体1は、
図1~3に示すように、リング部R、ボス部B、スポーク部Sの各部を連結するように配置されて、アルミニウム合金等の金属製の芯材2を備えて構成されている。芯材2のリング部Rの部位(リング芯材部4)と各スポーク部Sのリング部R側の部位とには、合成樹脂製の被覆層7が被覆されている。芯材2のボス部Bのボス芯材部3には、ステアリングシャフトSSを挿入させてナットN止めするための鋼製のボス3aが配設されている。また、ステアリングホイール本体1の下部には、ボス部Bの下方を覆う合成樹脂製のロアカバー8が配設されている。
【0020】
運転席用のエアバッグ装置10は、
図3,4に示すように、折り畳まれて収納され、かつ、運転者MD(M,F)を保護可能に膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグ30、エアバッグ30に膨張用ガスを供給するインフレーター18、折り畳んだエアバッグ30の上方を覆うエアバッグカバー20、エアバッグ30とインフレーター18とを保持するとともにエアバッグカバー20を保持する取付プレート11、及び、インフレーター18とともにエアバッグ30を取付プレート11に取り付けるためのリテーナ24、を備えて構成される。さらに、実施形態の場合、エアバッグ装置10は、膨張したエアバッグ30の内圧を調整可能に、内圧調整機構48を備えて構成されている。内圧調整機構48は、閉塞部材50、閉塞部材50に連結される連結部材としての閉塞用テザー60、及び、閉塞用テザー60の保持と保持解除とを行う保持解除手段としてのアクチュエータ62、を備えて構成されている。
【0021】
リテーナ24は、四角環状の板金製として、エアバッグ30の後述する流入用開口34の周縁を押えて、エアバッグ30を取付プレート11に取り付けるとともに、インフレーター18を取付プレート11に取り付けるように、四隅に、取付プレート11にナット26止めされるボルト25(
図5参照)を備えて構成されている。
【0022】
インフレーター18は、上部に複数のガス吐出口18bを備えた円柱状の本体部18aと、本体部18aの外周面から突出するフランジ部18cと、を備えて構成される。フランジ部18cには、リテーナ24の各ボルト25を貫通させる図示しない貫通孔が形成されている。
【0023】
取付プレート11は、
図2,3に示すように、略長方形板状の板金製とし、ステアリングホイールWのボス部Bの上部に配置されて、折り畳まれたエアバッグ30、インフレーター18、及び、エアバッグカバー20、を取り付ける部位としている。取付プレート11には、インフレーター18の本体部18aを下方から挿入可能な円形に開口した挿通孔12が形成されるとともに、その周囲に、リテーナ24のボルト25を貫通させる図示しない貫通孔が形成されている。また、取付プレート11には、ステアリングホイール本体1の組付部5に組み付けるための複数(実施形態では3個)の係止脚16が取り付けられている。各係止脚16は、エアバッグ装置10をステアリングホイール本体1に組み付けるとともに、ホーンスイッチ機構を内蔵しており、ステアリングホイール本体1にエアバッグ装置10を取り付けた後、エアバッグ装置10の押下操作時、車両に配設したホーンを作動可能に構成されている。また、取付プレート11に取り付けられた係止脚16は、ステアリングホイール本体1のボス芯材部3に設けられた組付部5に、組み付けられることにより、エアバッグ装置10が、ステアリングホイール本体1に取り付けられることとなる。
【0024】
さらに、取付プレート11は、前縁11a側の裏面に、内圧調整機構48のアクチュエータ62を固定させるとともに、アクチュエータ62の係止ピン62bに係止される連結部材としての閉塞用テザー60を挿通させる挿通孔14、を配設させている(
図4,5参照)。
【0025】
また、取付プレート11は、エアバッグカバー20の側壁部22から延びる図示しない係止脚を係止する複数の係止孔13を備えている。エアバッグカバー20は、各係止孔13に係止されて、取付プレート11に保持されている。
【0026】
エアバッグカバー20は、合成樹脂製として、折り畳まれて収納されたエアバッグ30の上方を覆う天井壁部21と、天井壁部21の外周縁付近から下方へ延びる略四角筒形状の側壁部22と、を備えて構成されている。天井壁部21には、膨張するエアバッグ30に押されて前後両側に開く2枚の扉部21aが形成されている(
図2参照)。側壁部22の下端には、既述したように、取付プレート11の各係止孔13に係止される図示しない係止脚が配設されている。
【0027】
エアバッグ30は、ポリアミドやポリエステル等の織糸を織った布材から形成され、
図1,2の二点鎖線に示すように、膨張完了形状を、上方から見て円形として、側方から見て略楕円形とするように構成されて、外周壁31が、ステアリングホイール本体1側(リング部R側)の車体側壁部33と、運転者MD側の運転者側壁部41と、を備えて構成されている。
【0028】
車体側壁部33と運転者側壁部41とは、相互に、同一の外形の円形として構成され(
図9参照)、車体側壁部33の中央には、膨張用ガスを流入させるように円形に開口する流入用開口34が配設されている。外周壁31は、車体側壁部33と運転者側壁部41との外周縁相互を縫合して形成されている。また、流入用開口34の周縁には、エアバッグ30を取付プレート11に取り付けるためのリテーナ24の各ボルト25を貫通させる取付孔35が、形成されている(
図9参照)。
【0029】
なお、流入用開口34の周縁には、補強布72が縫合され、補強布72にも、流入用開口34と取付孔35とが形成されている。
【0030】
また、エアバッグ30は、車体側壁部33と運転者側壁部41との膨張時の離隔距離を規制するように、車体側壁部33と運転者側壁部41とを連結する2本の厚さ規制用テザー44を配設させている。厚さ規制用テザー44は、車体側壁部33の流入用開口34の周縁に縫着された下側部45の円環状の中央部45aの両側から延びる腕部45b,45bと、運転者側壁部41の中央部42に縫着される上側部46の円板状の中央部46aの両側から延びる腕部46b,46bと、を縫合して、形成されている。なお、実施形態の場合、下側部45の中央部45aは、補強布72と兼用とされている。
【0031】
さらに、車体側壁部33には、膨張用ガスの流入時の急激なエアバッグ30の内圧上昇を抑制するように、膨張用ガスを逃す二つのガス逃し孔(ベントホール)36,36と、膨張時のエアバッグの内圧を調整するように膨張用ガスを排気可能な排気孔(可変ベントホール)38が、配設されている。ガス逃し孔36は、車体側壁部33の前部側の左右に配置されて、円形に開口している。排気孔38は、流入用開口34の前部側の左右方向の中央に配置されて、左右方向に延びた略長円形状に開口されている。さらに、車体側壁部33には、排気孔38と流入用開口34との間に、閉塞用テザー60を挿通させるスリット状の小さい開口の挿通孔39が、配設されている。なお、排気孔38は、エアバッグ30の膨張完了時、ステアリングホイールWのリング部Rの前側部1Rとボス部Bとの間のの空間FPに配置されるように、設定されている(
図10参照)。また、ガス逃し孔36や排気孔38の周縁には、補強布73,74が縫合されている。
【0032】
そして、エアバッグ30の内周面30b側における排気孔38の周縁には、内圧調整機構48を構成する閉塞部材50が配設されている。閉塞部材50は、エアバッグ30と同様なポリアミド等の可撓性を有した布材(シート材)から形成されている。閉塞部材50は、
図6~8に示すように、排気孔38の閉塞状態で、エアバッグ30の内周面30b側における排気孔38の周縁から挿通孔39側の後方へ延びる第1パネル部51と、第1パネル部51の外周縁51aの全周と連なって、排気孔38と第1パネル部51とを覆うように配置される第2パネル部56と、を備えて構成されている。閉塞部材50は、挿通孔39に接近した先端部位50bに、閉塞用テザー60の元部60a側を連結させている。詳しくは、第1パネル部51と第2パネル部56との外周縁55a,56a相互の結合時に、第1パネル部51と第2パネル部56との間に配置させて、閉塞用テザー60の元部60a側を連結させている。第1パネル部51と第2パネル部56とは、外形形状を同等としている。
【0033】
そして、第1パネル部51は、排気孔38と連通する連通孔52を有して、連通孔52の周縁を結合部53として、排気孔38の周縁に結合させて配設されている。また、第1パネル部51は、連通孔52と、連結部材としての閉塞用テザー60と連結される先端部位51c(50b)と、の間に、表裏を貫通して膨張用ガスを挿通可能な貫通孔54、を開口させている。
【0034】
貫通孔54は、平らに展開した第1パネル部51における先端部位51cと連通孔52との間における連通孔52に接近した位置に、配設している。連通孔52と貫通孔54との距離H0と、先端部位51cと貫通孔54との距離H1との比率(H0:H1)は、1:1.5として、貫通孔54は、先端部位51cより連通孔52側に接近している(
図11参照)。さらに、実施形態では、貫通孔54は、平らに第1パネル部51を展開した際、先端部位51cと連通孔52との配設方向SDと直交する方向WDに沿って延びた長円形状として、配設されている。
【0035】
さらにまた、貫通孔54は、平らに第1パネル部51を展開した際、先端部位51cと連通孔52との配設方向SDと直交する方向に沿った幅方向WDにおける排気孔38の周縁への結合部53の両縁53a,53bと、先端部位51cにおける閉塞用テザー60との連結部位の両縁51ca,51cbと、をそれぞれ結ぶ両側の直線LF,LRの間の領域CAに、配置されている(
図7参照)。
【0036】
なお、実施形態の場合、閉塞部材50は、
図9に示すように、ポリアミド等の布材からなる1枚のシート状の閉塞部材用基布79から形成され、折目79aを付けて二つ折りした際、同じ形状とした第1パネル部51を形成する第1パネル用部位80と、第2パネル部56を形成する第2パネル用部位81と、が重ねられて、折目79aを除く第1パネル部51と第2パネル部56との外周縁51a,56a相互を縫合して、形成されることとなる。なお、外周縁51a,56a相互を縫合する前に、第1パネル部51の連通孔52の周縁を、排気孔38の周縁に、縫合に結合させて、外周縁51a,56a相互の縫合時、閉塞用テザー60の元部60aを、先端部位50bに共縫いして、閉塞部材50に閉塞用テザー60を連結することとなる。
【0037】
連結部材としての閉塞用テザー60は、ポリアミド等の可撓性を有した布材(シート材)から形成された帯状として、元部60aを、閉塞部材50の先端部位50bに結合させ、元部60a側から延びた先端部60bを、アクチュエータ62に保持させるように、構成されている。先端部60bには、アクチュエータ62の係止ピン62bを挿入させる係止孔60cが、形成されている。閉塞用テザー60は、係止孔60cにアクチュエータ62の係止ピン62bを挿入係止させて、アクチュエータ62に保持され、係止ピン62bが係止孔60cから外れれば、保持が解除されることとなる。また、閉塞用テザー60は、閉塞部材50の先端部位50bから延びて、中間部60dを、エアバッグ30の挿通孔39を挿通させて、エアバッグ30の内周面30b側から外周面30a側に突出させ、さらに、先端部60b側を、取付プレート11の挿通孔14に挿通させて、取付プレート11の裏面側のアクチュエータ62の係止ピン62bに係止させている。
【0038】
連結部材としての閉塞用テザー60の保持と保持解除とを行う保持解除手段としてのアクチュエータ62は、内部にマイクロガスジェネレータを内蔵させて構成されており、制御装置90からの作動信号を受ければ、瞬時に、本体62aから突出した係止ピン62bを引き込めるように作動される。係止ピン62bが引き込められれば、係止ピン62bが係止孔60cから抜け、アクチュエータ62による閉塞用テザー60の保持が解除されることとなる。
【0039】
このエアバッグ30の構成材料は、
図9に示すように、車体側壁部33を構成する車体側基布70、運転者側壁部41を構成する運転者側基布71、補強布72,73,74、厚さ規制用テザー44を構成する下側部76と上側部77、閉塞部材50を構成する閉塞部材用基布79、及び、連結部材用基布83、を備えて構成されている。エアバッグ30の製造は、車体側壁部33を形成する車体側基布70の内周側に、補強布72兼用の下側部76や補強布73,74を縫合し、さらに、排気孔38となる位置に、閉塞部材用基布79を縫合し、流入用開口34、取付孔35、ガス逃し孔36、排気孔38、及び、挿通孔39、を孔開け加工して形成する。
【0040】
なお、排気孔38の孔開け加工時、閉塞部材用基布79には、連通孔52が形成されることとなる。また、閉塞部材用基布79には、予め、貫通孔54を形成しておく。
【0041】
ついで、閉塞部材用基布79を、折目79aを付けて、第1パネル用部位80と第2パネル用部位81とを重ね、その際、連結部材としての閉塞用テザー60の元部60aを間にして、外周縁51a,56a相互を縫合して、閉塞用テザー60を連結させた閉塞部材50を形成する。閉塞用テザー60の先端部60b側は、挿通孔14から車体側基布70の外表面側に出しておく。
【0042】
その後、予め、上側部用補強布75を介在させて厚さ規制用テザー44の上側部46の上側部77を縫合しておいた運転者側基布71と、車体側基布70とを、外表面側を合わせて、外周縁相互を縫合し、流入用開口34を利用して、反転させれば、エアバッグ30の外周壁31を形成することができる。その後、流入用開口34を利用して、下側部(45)76と上側部(46)77との腕部(45b,46b)76b,77b相互を縫合すれば、エアバッグ30を製造することができる。
【0043】
エアバッグ装置10を組み立てて車両に搭載する場合には、リテーナ24の各ボルト25を取付孔35から突出させるようにエアバッグ30内にリテーナ24を入れ、ついで、エアバッグ30を折り畳んで、折り崩れしないように、エアバッグ30を所定の折り崩れ防止材によって包む。なお、エアバッグ30外に突出させておいた閉塞用テザー60の先端部60b側は、折り崩れ防止材から引き出しておく。ついで、リテーナ24の各ボルト25を取付プレート11から突出させ、かつ、閉塞用テザー60の先端部60b側を挿通孔14から取付プレート11の裏面側に出しつつ、取付プレート11上にエアバッグ30を載せ、さらに、インフレーター18の本体部18aを下方から挿通孔12に挿入させて、フランジ部18cにリテーナ24の各ボルト25を貫通させて、各ボルト25にナット26を締結すれば、取付プレート11に、エアバッグ30とインフレーター18とを取り付けることができる。さらに、閉塞用テザー60の先端部60bの係止孔60cに、アクチュエータ62の係止ピン62bを挿入させるとともに、取付プレート11にエアバッグカバー20を被せて、エアバッグカバー20の図示しない係止脚を取付プレート11の係止孔13に係止させて、取付プレート11にエアバッグカバー20を取り付ければ、エアバッグ装置10を組み立てることができる。なお、エアバッグ装置10では、アクチュエータ62に閉塞用テザー60を保持させた状態を初期状態としており、この状態では、閉塞部材50が、エアバッグ30の内周面30b側で排気孔38を閉塞している状態となる。
【0044】
そして、エアバッグ装置10の車両への搭載は、予め、ステアリングシャフトSSに締結したステアリングホイール本体1の各組付部5に対し、各係止脚16を係止させて、ステアリングホイール本体1にエアバッグ装置10を取り付ければ、エアバッグ装置10を車両に搭載することができる。なお、この時、インフレーター18やアクチュエータ62には、制御装置90から延びる作動用の信号線を結線させておく。
【0045】
実施形態の運転席用エアバッグ装置10では、車両搭載後、車両が衝突すれば、衝突検知センサ91からの信号を入力した制御装置90が、インフレーター18を作動させる。すると、インフレーター18はガス吐出口18bから膨張用ガスGを吐出し、エアバッグ30は、膨張用ガスGにより膨張し、エアバッグカバー20の扉部21a,21aを押し開いて、
図1,2の二点鎖線に示すように、エアバッグカバー20から突出して、リング部Rの上面RP側を覆うように、膨張を完了させる。
【0046】
その際、制御装置90が、位置検知センサ92や重量検知センサ93からの信号に基づき、エアバッグ30の内圧を低下させないように判断すると、保持解除手段としてのアクチュエータ62を作動させず、アクチュエータ62は連結部材として閉塞用テザー60の保持を解除しないことから、閉塞部材50は、排気孔38の閉塞状態を維持する。すなわち、排気孔38の閉塞状態の維持時には、保持解除手段としてのアクチュエータ62が連結部材としての閉塞用テザー60の先端部60bを保持しており、閉塞部材50が、閉塞用テザー60に引っ張られて、第1パネル部51と第2パネル部56とを重ねた状態で、エアバッグ30の内周面30b側の排気孔38を覆うように配置され、そして、膨張用ガスGの圧力で押圧されることから、排気孔38を閉塞する(
図8のA,
図10のA参照)。この閉塞状態は、排気孔38の周縁から延びる第1パネル部51と第2パネル部56とからなるチューブ状とした閉塞部材50が、第1パネル部51と第2パネル部56とを積層させつつ、排気孔38の周縁に圧接させて、排気孔38を閉塞し、かつ、閉塞部材50自体に開口している第1パネル部51の貫通孔54も、その周縁をエアバッグ30の内周面30b側に押し付けられて、閉塞されることから、この貫通孔54からチューブ状の閉塞部材50内に、膨張用ガスGが流入し難く、仮に、貫通孔54からチューブ状の閉塞部材50内に膨張用ガスGが流入しても、排気孔38の周縁が、第2パネル部56に圧接されることから、排気孔38からの膨張用ガスGの排気が抑制されて、排気孔38の閉塞時の良好な気密性が確保される。
【0047】
また、インフレーター18の作動時、制御装置90が、位置検知センサ92や重量検知センサ93からの信号に基づき、エアバッグ30の内圧を低下させるように判断すると、保持解除手段としてのアクチュエータ62を作動させて、アクチュエータ62は閉塞用テザー60の保持を解除して、排気孔38を開口させるように作動される。すなわち、排気孔38の開口時には、閉塞用テザー60がアクチュエータ62の保持を解除されることから、閉塞部材50が、閉塞用テザー60により引っ張られず、膨張用ガスGの圧力を受けて、
図8のB,C、
図10のBに示すように、排気孔38と連通孔52とを経て、エアバッグ30の内周面30b側からエアバッグ30の外周面30a側に反転するように、繰り出される。その際、閉塞部材50の排気孔38の周縁から先端部位50bまでの全域が、エアバッグ30の外周面30a側に繰り出される前に、貫通孔54が、エアバッグ30の外周面30a側に露出されることから、迅速に、エアバッグ30の外周面30a側に露出された貫通孔54から、膨張用ガスGを排気できて、エアバッグ30の内圧を低下させることができる。
【0048】
したがって、実施形態のエアバッグ装置10では、エアバッグ30が、内圧調整用の排気孔38の閉塞時に良好な気密性を確保して、排気孔38の開口時、迅速に、膨張用ガスGを排気することができる。
【0049】
そして、実施形態のエアバッグ装置10では、平らに展開した第1パネル部51が、貫通孔54を、先端部位50bと連通孔52との間における連通孔52に接近した位置に、配設している。
【0050】
そのため、実施形態では、膨張用ガスGの排気時における閉塞部材50が反転して、貫通孔54をエアバッグ30の外周面30a側に露出させる際、貫通孔54が、排気孔38に連通する連通孔52に接近して配置されていることから、接近している分、反転時にエアバッグ30の外周面30a側に露出し易く、一層、迅速に、エアバッグ30は、膨張用ガスGを排気することができる。
【0051】
また、実施形態のエアバッグ装置10では、平らに展開した第1パネル部51の貫通孔54が、先端部位50bと連通孔52との配設方向SDと直交する方向WDに沿って延した長円形状として、配設されている。
【0052】
そのため、実施形態では、貫通孔54からの膨張用ガスGの排気時には、
図11のA,Bに示すように、閉塞部材50が先端部位50b側をエアバッグ30の外周面30a側に反転させて伸びようとすることから、すなわち、先端部位50bと連通孔52との配設方向SDに沿って、引張力TFが作用して、長円形状の貫通孔54が、開口面積を広げるように、略真円形状に広がって、効率的に、膨張用ガスGを排気することができる。勿論、排気孔38の閉塞時には、開口面積を小さくした長円形状として、貫通孔54が、エアバッグ30の内周面30b側に押圧されることから、エアバッグ30の膨張用ガスGの気密性を確保し易い。
【0053】
さらに、実施形態のエアバッグ装置10では、平らに展開した第1パネル部51が、先端部位50bと連通孔52との配設方向SDと直交する方向に沿った幅方向WDにおける排気孔38の周縁への結合部53の両縁53a,53bと、先端部位50bにおける閉塞用テザー60との連結部位の両縁51ca,51cbと、をそれぞれ結ぶ両側の直線LF,LRの間の領域CAに、排気孔38を配置させて、配設されている。
【0054】
そのため、実施形態では、排気孔38の閉塞時に、閉塞用テザー60がアクチュエータ62に保持されて、閉塞部材50が、排気孔38の周縁から先端部位50bまで、閉塞用テザー60に引っ張られる。その際、閉塞部材50は、幅方向WDの両縁50c,50dに張力が作用し、幅方向の中央部50f付近では、張力が抑制されることとなる。そのため、膨張用ガスGの押圧力を受けて、閉塞部材50は、幅方向の両縁50c,50dの間の中央部50fが、弛んだ状態となって、エアバッグ30の内周面30b側に押し付けられて密着し易くなり、その結果、一層、幅方向の両縁50c,50dの間の中央部50fに配置されている排気孔38からの膨張用ガスの漏れが抑制されて、一層、排気孔38の閉塞時の気密性を確保できる。
【0055】
なお、実施形態では、運転席用のエアバッグ装置10について説明したが、膨張を完了させたエアバッグの内圧を調整するように、排気孔が配設されていれば、本発明は、運転席用のエアバッグ装置に限定されるものではなく、他の助手席用のエアバッグ装置に適用できる。
【符号の説明】
【0056】
10…エアバッグ装置、30…エアバッグ、30a…外周面、30b…内周面、31…外周壁、38…排気孔、48…内圧調整機構、50…閉塞部材、50a…元部、50b…先端部位、51…第1パネル部、52…連通孔、53…(連通孔周縁)結合部、53a…左縁、53b…右縁、54…貫通孔、56…第2パネル部、60…(連結部材)閉塞用テザー、60a…元部、60b…先端部、60c…係止孔、60d…中間部、62…(保持解除手段)アクチュエータ、62a…本体、62b…係止ピン、
G…膨張用ガス、SD…配設方向、WD…(直交方向)幅方向、LF…(左縁側)直線、LR…(右縁側)直線、CA…中間領域、MD(M,F)…運転者・乗員。