(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】LEDディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H01L 33/00 20100101AFI20240910BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20240910BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240910BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20240910BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240910BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L33/00 J
H01L33/08
G09F9/33
G09F9/302 C
G09F9/30 338
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2021206557
(22)【出願日】2021-12-20
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】五所野尾 浩一
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/174879(WO,A1)
【文献】特表2019-501533(JP,A)
【文献】特開2011-081043(JP,A)
【文献】特表2021-508175(JP,A)
【文献】特開平08-137413(JP,A)
【文献】特開2021-157106(JP,A)
【文献】米国特許第10985187(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノリシック型の発光素子と、
前記発光素子を駆動する駆動回路を有する駆動回路基板と、
を有し、
前記発光素子は、
1ピクセルに対応するピクセル発光部を有し、
前記ピクセル発光部は、
1個以上のサブピクセル発光部を有し、
前記サブピクセル発光部は、
並列に接続された第1部分発光部と第2部分発光部とを有し、
前記第1部分発光部は、
第1p電極を有し、
前記第2部分発光部は、
第2p電極を有し、
前記駆動回路は、
1個の前記サブピクセル発光部に対して1個のトランジスタを有し、
前記トランジスタの1つの電極は、
前記第1p電極を介して前記第1部分発光部に電気的に接続されるとともに、
前記第2p電極を介して前記第2部分発光部に電気的に接続されていること
を含むLEDディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のLEDディスプレイにおいて、
前記ピクセル発光部は、
マトリクス状に配置されており、
前記駆動回路は、
前記サブピクセル発光部のうち発光させる行を順に1つずつ選択して走査する走査線回路と、
前記サブピクセル発光部の列ごとに設けられ、前記サブピクセル発光部に流す電流をパルス変調してデューティー比を制御するPWM回路と、
を含むLEDディスプレイ。
【請求項3】
請求項2に記載のLEDディスプレイにおいて、
前記走査線回路により選択された行の前記トランジスタはオンとなって前記サブピクセル発光部に電流が流れる状態となり、
前記走査線回路により選択されていない行の前記トランジスタはオフとなって前記サブピクセル発光部に電流が流れない状態となること
を含むLEDディスプレイ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のLEDディスプレイにおいて、
第1サブピクセル発光部と第2サブピクセル発光部と第3サブピクセル発光部とを有し、
前記第1サブピクセル発光部は、
第1発光層を有し、
前記第2サブピクセル発光部は、
前記第1発光層と第2発光層とを有し、
前記第3サブピクセル発光部は、
前記第1発光層と前記第2発光層と第3発光層とを有すること
を含むLEDディスプレイ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のLEDディスプレイにおいて、
前記発光素子は、
n電極を有し、
前記n電極は、
前記第1部分発光部と前記第2部分発光部とで共通化されていること
を含むLEDディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、LEDディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置は、テレビ、デスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、スマートフォン等、多岐にわたって利用されている。そして、LED素子を用いるマイクロLEDディスプレイが研究開発されてきている。マイクロLEDディスプレイは、1μm以上100μm以下の程度の微小な発光部をマトリクス状に配列したものである。
【0003】
このようなマイクロLEDディスプレイにおいては、LED素子の部分的な発光不良等に起因して、画面不良が発生することがある。特許文献1には、画像不良を回避する技術が開示されている。特許文献1では、LED300の2つの発光ダイオードが並列に接続されているため、LED300は冗長性を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、特許文献1では、LED300の2つの発光ダイオードが並列に配置されている。このため、構成する2つの発光ダイオードの電極を1つに統合するための共通電極が必要になり、構造がその分だけ複雑になっている。
【0006】
また、マイクロLEDの電極や、接合する駆動回路の電極はとても小さいため、これらの電極を可能な限り大きく、簡素化することが実装精度の観点から望ましい。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、画像不良を回避しつつ、マイクロLEDの構造の簡素化および駆動回路の電極の簡素化を図ったLEDディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様におけるLEDディスプレイは、モノリシック型の発光素子と、発光素子を駆動する駆動回路を有する駆動回路基板と、を有する。発光素子は、1ピクセルに対応するピクセル発光部を有する。ピクセル発光部は、1個以上のサブピクセル発光部を有する。サブピクセル発光部は、並列に接続された第1部分発光部と第2部分発光部とを有する。第1部分発光部は、第1p電極を有する。第2部分発光部は、第2p電極を有する。駆動回路は、1個のサブピクセル発光部に対して1個のトランジスタを有する。トランジスタの1つの電極は、第1p電極を介して第1部分発光部に電気的に接続されるとともに、第2p電極を介して第2部分発光部に電気的に接続されている。
【0009】
このLEDディスプレイにおいては、一つのサブピクセル発光部R1に対して、一つのトランジスタTrR1が配置されている。トランジスタ側の1個の電極に対して、部分発光部側の2個の電極が電気的に接続されているため、発光素子の実装性が向上している。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、画像不良を回避しつつ、駆動回路の簡素化を図ったLEDディスプレイが提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態のLEDディスプレイD1の概略構成図である。
【
図2】第1の実施形態のLEDディスプレイD1の積層構造を示す図である。
【
図3】第1の実施形態のLEDディスプレイD1におけるバンド構造と電子および正孔の振舞を概念的に示す図である。
【
図4】第1の実施形態のLEDディスプレイD1の駆動回路CC1を模式的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、LEDディスプレイを例に挙げて図を参照しつつ説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。また、後述するLEDディスプレイの各層の積層構造および電極構造は、例示である。実施形態とは異なる積層構造であってももちろん構わない。そして、それぞれの図における各層の厚みの比は、概念的に示したものであり、実際の厚みの比を示しているわけではない。
【0013】
(第1の実施形態)
1.LEDディスプレイ
図1は、第1の実施形態のLEDディスプレイD1の概略構成図である。LEDディスプレイD1は、マイクロLED素子100と、駆動回路基板200と、を有する。
図1に示すように、マイクロLED素子100は、モノリシック型の半導体発光素子である。
【0014】
マイクロLED素子100は、複数のピクセル発光部A1を有する。ピクセル発光部A1は、1ピクセルに対応する発光領域である。このため、ピクセル発光部A1は、マトリクス状に配列されている。ピクセル発光部A1は、サブピクセル発光部R1、G1、B1を有する。サブピクセル発光部R1、G1、B1は、それぞれ、赤色、緑色、青色に発光する領域である。
【0015】
サブピクセル発光部R1は、並列に接続された第1部分発光部RC1と、第2部分発光部RC2と、を有する。サブピクセル発光部G1は、並列に接続された第1部分発光部GC1と、第2部分発光部GC2と、を有する。サブピクセル発光部B1は、並列に接続された第1部分発光部BC1と、第2部分発光部BC2と、を有する。
【0016】
第1部分発光部RC1は、第1p電極P1aを有する。第2部分発光部RC2は、第2p電極P1bを有する。第1部分発光部GC1は、第1p電極P1cを有する。第2部分発光部GC2は、第2p電極P1dを有する。第1部分発光部BC1は、第1p電極P1eを有する。第2部分発光部BC2は、第2p電極P1fを有する。これらのp電極をまとめてp電極P1と示すことがある。
【0017】
このように、各サブピクセル発光部は、第1部分発光部と第2部分発光部とを有する。第1部分発光部と第2部分発光部とは、隣接する領域であり、それぞれ、異なる電極が接続されている。例えば、第1部分発光部が仮に発光しない発光不良であった場合に、第2部分発光部が発光する。
【0018】
駆動回路基板200は、駆動回路CC1を有する。駆動回路CC1はマイクロLED素子100を駆動する。
【0019】
2.積層構造
図2は、第1の実施形態のLEDディスプレイD1の積層構造を示す図である。
図2に示すように、マイクロLED素子100は、透明基板TS1と、半導体層SM1と、p電極P1と、n電極N1と、反射層RF1と、を有する。マイクロLED素子100は、1つの素子に複数の発光部がマトリクス状に配列されたモノリシック型のIII 族窒化物半導体からなる発光素子である。
【0020】
透明基板TS1は、例えば、サファイア、GaN、SiCである。
【0021】
半導体層SM1は、n型コンタクト層120と、第1発光層130と、第1中間層140と、第2発光層150と、第2中間層160と、第3発光層170と、キャップ層180と、p型コンタクト層190と、を有する。
【0022】
駆動回路基板200は、駆動回路CC1を有する。駆動回路CC1はトランジスタTrR1、TrG1、TrB1を有する。トランジスタTrR1、TrG1、TrB1は、部分発光部に電流を流すか否かを選択する選択トランジスタである。
【0023】
サブピクセル発光部R1は、n型コンタクト層120と、第1発光層130と、第1中間層140と、第2発光層150と、第2中間層160と、第3発光層170と、キャップ層180と、p型コンタクト層190と、を有する。
【0024】
サブピクセル発光部G1は、n型コンタクト層120と、第1発光層130と、第1中間層140と、第2発光層150と、第2中間層160と、p型コンタクト層190と、を有する。
【0025】
サブピクセル発光部B1は、n型コンタクト層120と、第1発光層130と、第1中間層140と、p型コンタクト層190と、を有する。
【0026】
p電極P1は、それぞれ、透明電極TE1の上に設けられている。透明電極TE1は、p型コンタクト層190の上に設けられている。p電極P1はマトリクス状のパターンに配置されている。このため、第1部分発光部および第2部分発光部には、それぞれ、1つの透明電極TE1および1つのp電極P1が配置されている。また、それぞれのp電極P1は互いに絶縁されている。
【0027】
n電極N1は、マイクロLED素子100の外周に沿った矩形の環状のパターンで形成されている。マイクロLED素子100の外周はエッチングによりn型コンタクト層120に達する溝が設けられており、その溝の底面に露出するn型コンタクト層120の上にn電極N1が設けられている。n電極N1は1つであり、各ピクセルに共通となっている。このため、n電極N1は、すべての第1部分発光部と第2部分発光部とで共通である。n電極N1の材料は、たとえばTi/Alなどの積層体である。
【0028】
マイクロLED素子100は、各ピクセルを分離するための溝を設けておらず、n電極N1も各ピクセルで共通化されている。そのため、微細化が可能となっている。
【0029】
n電極N2は、駆動回路基板200側に設けられている。n電極N2は、マイクロLED素子100のn電極N1と電気的に接合されている。
【0030】
p電極P2は、駆動回路基板200側に設けられている。p電極P2は、マイクロLED素子100のp電極P1と電気的に接合されている。
【0031】
絶縁層I1は、複数のp電極P1を絶縁する層である。また、絶縁層I1は、各部分発光部の透明電極TE1を絶縁する。
【0032】
3.バンド構造と電子および正孔の振舞
図3は、第1の実施形態のLEDディスプレイD1におけるバンド構造と電子および正孔の振舞を概念的に示す図である。
図3では、説明の簡単のために、各発光層は単一量子井戸構造を有するものとして描かれている。各発光層は、多重量子井戸構造であってもよい。
【0033】
pコンタクト電極p3から注入された正孔は容易に第3発光層170に進入する。正孔は第3発光層170からほとんど出ることなく第3発光層170に留まる。第3発光層170から見た第2中間層160の障壁が十分に高いからである。
【0034】
nコンタクト電極N1から注入された電子は第1発光層130に進入する。第1発光層130から見た第1中間層140の障壁はそれほど高くない。このため、電子は第1発光層130から第2発光層150に移動しやすい。第2発光層150から見た第2中間層160の障壁はそれほど高くない。このため、電子は第2発光層150から第3発光層170に移動しやすい。第3発光層170に進入した電子はほとんど移動せずに第3発光層170に留まる。第3発光層170に隣接する障壁が十分に高いからである。
【0035】
このように、電子は第3発光層170に存在しやすく、正孔は第3発光層170に存在しやすい。つまり、電子の波動関数および正孔の波動関数は、第3発光層170の位置で大きな振幅をもつとともに、互いによく重なり合う。このため、第3発光層170で集中的に発光し、第1発光層130および第2発光層150ではそれほど発光しない。
【0036】
第3発光層170が存在しない場合には、第2発光層150で集中的に発光し、第1発光層130ではそれほど発光しない。
【0037】
4.回路図
4-1.回路の構成
図4は、第1の実施形態のLEDディスプレイD1の駆動回路CC1を模式的に示す回路図である。
図4に示すように、駆動回路CC1は、走査線回路210と、PWM回路220と、走査線230と、データ線240と、トランジスタTrR1、TrG1、TrB1と、を有する。
【0038】
走査線回路210およびPWM回路220は、LSI素子として実現され、駆動回路基板200上に実装されている。
【0039】
走査線回路210は、LEDディスプレイD1の行ごとに設けられた走査線230のうち、1つを順に選択して導通させる回路である。走査線回路210は、サブピクセル発光部R1、G1、B1のうち発光させる行を順に1つずつ選択して走査する。
【0040】
PWM回路220は、LEDディスプレイD1の列ごとに設けられている。PWM回路220は、データ線240に接続されている。PWM回路220は、部分発光部(RC1等)に流す電流をパルス変調する回路であり、デューティー比によって部分発光部の明るさを制御する回路である。PWM制御を用いることにより、部分発光部の発光波長にずれを生じさせることなく明るさを制御することができる。このように、PWM回路220は、サブピクセル発光部R1、G1、B1の列ごとに設けられ、サブピクセル発光部R1、G1、B1に流す電流をパルス変調してデューティー比を制御する。
【0041】
走査線230は、LEDディスプレイD1の行ごとに設けられている。走査線230は、対応する行のトランジスタTrR1、TrG1、TrB1のゲートに並列接続されている。
【0042】
データ線240は、LEDディスプレイD1の列ごとに設けられている。データ線240は、対応する列のトランジスタTrR1、TrG1、TrB1のドレインに並列接続されている。
【0043】
トランジスタTrR1、TrG1、TrB1は、サブピクセルごとに設けられている。トランジスタTrR1、TrG1、TrB1のゲートは走査線230に接続され、ドレインはデータ線240に接続され、ソースは部分発光部(RC1等)のアノード(p電極P1)に接続されている。トランジスタTrR1、TrG1、TrB1のオンオフはゲートへの電圧印加によって制御され、オン状態のときは線路が導通して部分発光部(RC1等)に電流が流れうる状態となり、オフ状態のときは線路が遮断して部分発光部(RC1等)に電流が流れない。
【0044】
サブピクセル発光部R1は、第1部分発光部RC1と、第2部分発光部RC2と、トランジスタTrR1と、を有する。サブピクセル発光部G1は、第1部分発光部GC1と、第2部分発光部GC2と、トランジスタTrG1と、を有する。サブピクセル発光部B1は、第1部分発光部BC1と、第2部分発光部BC2と、トランジスタTrB1と、を有する。
【0045】
走査線回路210により選択された行のトランジスタTrR1、TrG1、TrB1はオンとなってサブピクセル発光部R1、G1、B1に電流が流れうる状態となる。走査線回路210により選択されていない行のトランジスタTrR1、TrG1、TrB1はオフとなってサブピクセル発光部R1、G1、B1に電流が流れない状態となる。
【0046】
4-2.トランジスタの配置
駆動回路CC1は、1個のサブピクセル発光部に対して1個のトランジスタを有する。トランジスタTrR1の1つの電極は、p電極P1aを介して第1部分発光部RC1に電気的に接続されるとともに、p電極P1bを介して第2部分発光部RC2に電気的に接続されている。その他のトランジスタTrG1、TrB1も同様である。
【0047】
また、
図1に示すように、トランジスタTrR1、TrG1、TrB1は、電極P2を有する。電極P2は、部分発光部のp電極P1に電気的に接続されるソース電極である。1つの電極P2に対して、2つのp電極P1が電気的に接続されているため、マイクロLED素子100を駆動回路基板200に実装する際に、実装しやすい。つまり、位置精度がそれほど高くなくても、接合不良を起こしにくい。
【0048】
4-3.回路の動作
まず、走査線回路210が、走査線230のうち1つを選択する。この際に、選択された走査線230に接続されているトランジスタのゲートに電圧が印加される。この段階では、まだ、トランジスタのソースに接続されている部分発光部は発光しない。
【0049】
走査線回路210が、選択されているときに、PWM回路220がデータ線240にパルス変調した電流を発生させる。この電流は、トランジスタのドレインに入力される。これにより、トランジスタのソースに接続されている2つの部分発光部に電流が流れ、これらの部分発光部は発光する。
【0050】
5.第1の実施形態の効果
第1の実施形態のLEDディスプレイD1においては、サブピクセル発光部R1は、第1部分発光部RC1と第2部分発光部RC2とを有する。一つのトランジスタTrR1は、一つのサブピクセル発光部R1に設けられている。一つのトランジスタTrR1は、第1部分発光部RC1と第2部分発光部RC2とを駆動する。第1部分発光部RC1と第2部分発光部RC2とは、並列接続されている。このため、第1部分発光部RC1と第2部分発光部RC2とのうちの一方が発光不良を生じていたとしても、他方の部分発光部が発光する。このため、LEDディスプレイD1は、画像不良をほとんど生じない。
【0051】
このように、一つのサブピクセル発光部R1に対して、一つのトランジスタTrR1が配置されている。このため、駆動回路CC1を簡略化し、LEDディスプレイD1を小型化することができる。
【0052】
また、PWM回路220は列ごとに設けられているため、部分発光部ごとにPWM回路220を設ける場合よりも回路数を少なくすることができる。すなわち、LEDディスプレイD1の微細化を図ることができる。
【0053】
駆動回路CC1が簡素化されるため、接合不良による不良品の発生が抑制される。つまり、歩留まりが向上する。
【0054】
6.変形例
6-1.駆動回路の数
第1の実施形態のLEDディスプレイD1は、一つの駆動回路CC1を有する。しかし、LEDディスプレイ1の領域を複数の領域に分割し、それぞれの領域に対応する駆動回路CC1を配置してもよい。
【0055】
(付記)
第1の態様におけるLEDディスプレイは、モノリシック型の発光素子と、発光素子を駆動する駆動回路を有する駆動回路基板と、を有する。発光素子は、1ピクセルに対応するピクセル発光部を有する。ピクセル発光部は、1個以上のサブピクセル発光部を有する。サブピクセル発光部は、並列に接続された第1部分発光部と第2部分発光部とを有する。第1部分発光部は、第1p電極を有する。第2部分発光部は、第2p電極を有する。駆動回路は、1個のサブピクセル発光部に対して1個のトランジスタを有する。トランジスタの1つの電極は、第1p電極を介して第1部分発光部に電気的に接続されるとともに、第2p電極を介して第2部分発光部に電気的に接続されている。
【0056】
第2の態様におけるLEDディスプレイにおいては、ピクセル発光部は、マトリクス状に配置されている。駆動回路は、サブピクセル発光部のうち発光させる行を順に1つずつ選択して走査する走査線回路と、サブピクセル発光部の列ごとに設けられ、サブピクセル発光部に流す電流をパルス変調してデューティー比を制御するPWM回路と、を有する。
【0057】
第3の態様におけるLEDディスプレイにおいては、走査線回路により選択された行のトランジスタはオンとなってサブピクセル発光部に電流が流れる状態となる。走査線回路により選択されていない行のトランジスタはオフとなってサブピクセル発光部に電流が流れない状態となる。
【0058】
第4の態様におけるLEDディスプレイは、第1サブピクセル発光部と第2サブピクセル発光部と第3サブピクセル発光部とを有する。第1サブピクセル発光部は、第1発光層を有する。第2サブピクセル発光部は、第1発光層と第2発光層とを有する。第3サブピクセル発光部は、第1発光層と第2発光層と第3発光層とを有する。
【0059】
第5の態様におけるLEDディスプレイにおいては、発光素子は、n電極を有する。n電極は、第1部分発光部と第2部分発光部とで共通化されている。
【符号の説明】
【0060】
D1…LEDディスプレイ
100…マイクロLED素子
120…n型コンタクト層
130…第1発光層
140…第1中間層
150…第2発光層
160…第2中間層
170…第3発光層
180…キャップ層
190…p型コンタクト層
P1a、P1b、P1c、P1d、P1e、P1f…p電極
N1…n電極