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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】表示装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/858 20230101AFI20240910BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240910BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240910BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240910BHJP
【FI】
H10K50/858
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/33
H10K59/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021515952
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2020015549
(87)【国際公開番号】W WO2020217954
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2019086857
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】杉 啓司
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-215388(JP,A)
【文献】特開2008-210728(JP,A)
【文献】特開2013-26161(JP,A)
【文献】特開2005-215650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30 - 9/46
H05B 33/00 - 33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面を有する基板と、
前記一主面上に設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子上に設けられ、前記一主面に垂直またはほぼ垂直な側面を有する複数の構造体と
を備え、
前記構造体は、角柱または楕円柱を有し、
前記構造体間の部分の幅が、0.4μm以上1.2μm以下であり、
前記構造体間の屈折率が、前記構造体の屈折率より低く、
前記発光素子のピッチが、前記構造体のピッチの3倍以下である表示装置。
【請求項2】
前記複数の構造体上に設けられた上層をさらに備え、
前記上層の屈折率が、前記構造体の屈折率より低い請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記構造体の高さが、1.5μm以上2.5μm以下である請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記発光素子のピッチが、1μm以上10μm以下である請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光素子と前記構造体の距離が、0.35μmを超え7μm以下である請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記基板の一主面に対する前記側面の傾斜角θは、80度以上100度以下である請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記構造体は、前記発光素子に対応して設けられており、
前記構造体の材質が、前記各発光素子によらず同一である請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の発光素子は、異なる波長の光を発光する複数種の光学素子を含む請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の発光素子と前記複数の構造体の間に設けられたカラーフィルタ層をさらに備える請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記構造体は、平面状の頂面を有する請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
赤色画素に設けられた前記構造体、緑色画素に設けられた前記構造体および青色画素に設けられた前記構造体のサイズが異なる請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記複数の発光素子が、OLEDである請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記複数の発光素子が、マイクロLEDである請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
一主面を有する基板と、
前記一主面上に設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子上に設けられ、前記一主面に垂直またはほぼ垂直な側面を有する複数の構造体と
を備え、
前記構造体は、角柱または楕円柱を有し、
前記構造体間の間隙の幅が、0.4μm以上1.2μm以下であり、
前記構造体間の部分の屈折率が、前記構造体の屈折率より低く、
前記発光素子のピッチが、前記構造体のピッチのn倍以上(但し、nは1以上の整数)である表示装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載された前記表示装置を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
Micro-OLED(Micro-Organic Light Emitting Diode)やMicro-LED(Micro-Light Emitting Diode)等のマイクロディスプレイでは高輝度化および低消費電力化のために、発光した光の利用効率を向上させ、高効率化することが求められている。
【0003】
例えば特許文献1には、発光素子上に半球状のレンズを形成することで、光を正面付近に集光し、光利用効率を高めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-114772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロディスプレイ等のような面光源の場合、光源全体として光利用効率を上げる必要があり、面積比率で考えると、光源の外周付近の光の集光を向上させることが効果的である。しかしながら、半球状のレンズでは、焦点付近、すなわち発光素子の中央付近の光を正面へ集光する効果は大きいが、発光素子の外周付近の光を集光する効果が小さいという問題がある。
【0006】
本開示の目的は、発光素子の外周付近における光の集光効果を高めることができる表示装置およびそれを備える電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、第1の開示は、
一主面を有する基板と、
一主面上に設けられた複数の発光素子と、
複数の発光素子上に設けられ、一主面に垂直またはほぼ垂直な側面を有する複数の構造体と
を備え、
構造体は、角柱または楕円柱を有し、
構造体間の部分の幅が、0.4μm以上1.2μm以下であり、
構造体間の屈折率が、構造体の屈折率より低く、
発光素子のピッチが、構造体のピッチの3倍以下である表示装置である。
【0008】
第2の開示は、
一主面を有する基板と、
一主面上に設けられた複数の発光素子と、
複数の発光素子上に設けられ、一主面に垂直またはほぼ垂直な側面を有する複数の構造体と
を備え、
構造体は、角柱または楕円柱を有し、
構造体間の部分の幅が、0.4μm以上1.2μm以下であり、
構造体間の部分の屈折率が、構造体の屈折率より低く、
発光素子のピッチが、構造体のピッチのn倍以上(但し、nは1以上の整数)である表示装置である。
【0009】
第3の開示は、第1または第2の開示の表示装置を備える電子機器である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る表示装置の全体構成の一例を示す概略図である。
図2図2Aは、本開示の一実施形態に係る表示装置の構成の一例を示す断面図である。図2Bは、図2AのIIB-IIB線に沿った断面図である。
図3図2Aに示した有機層の構成の一例を示す拡大断面図である。
図4図4A図4Bはそれぞれ、マイクロレンズアレイの形成工程の一例を説明するための断面図である。
図5】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図6】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図7】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図8】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図9】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図10】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図11】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図12】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図13】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図14】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図15】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図16】マイクロレンズの変形例を示す断面図である。
図17】マイクロレンズアレイの変形例を示す断面図である。
図18】表示装置の変形例を示す断面図である。
図19】表示装置の変形例を示す断面図である。
図20】表示装置の変形例を示す断面図である。
図21】表示装置の変形例を示す断面図である。
図22】表示装置の変形例を示す断面図である。
図23図23A図23Bはそれぞれ、マイクロレンズアレイの形成工程の変形例を説明するための断面図である。
図24図24A図24Bはそれぞれ、マイクロレンズアレイの形成工程の変形例を説明するための断面図である。
図25】モジュールの概略構成の一例を表す平面図である。
図26図26Aは、デジタルスチルカメラの外観の一例を示す正面図である。図26Bは、デジタルスチルカメラの外観の一例を示す背面図である。
図27】ヘッドマウントディスプレイの外観の一例を斜視図である。
図28】テレビジョン装置の外観の一例を示す斜視図である。
図29】照明装置の外観の一例を示す斜視図である。
図30】解析モデルAの断面図である。
図31】解析モデルBの断面図である。
図32】解析モデルCの断面図である。
図33】解析モデルDの断面図である。
図34】解析モデルEの断面図である。
図35】試験例1-1~1-8の解析結果を示すグラフである。
図36】試験例2-1~2-10の解析結果を示すグラフである。
図37】試験例3-1~3-4の解析結果を示すグラフである。
図38】試験例4-1~4-6の解析結果を示すグラフである。
図39】試験例5-1~5-10の解析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態について以下の順序で説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
1 表示装置の構成
2 表示装置の製造方法
3 効果
4 変形例
5 応用例
【0012】
[1 表示装置の構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る表示装置10の全体構成の一例を示す。表示装置10は、各種の電子機器に用いて好適なものであり、基板11上には表示領域110Aおよび表示領域110Aの周縁に周辺領域110Bが設けられている。表示領域110A内には、複数のサブ画素100R、100G、100Bがマトリクス状に配置されている。サブ画素100Rは赤色を表示し、サブ画素100Gは緑色を表示し、サブ画素100Bは青色を表示する。なお、以下の説明において、サブ画素100R、100G、100Bを特に区別しない場合には、サブ画素100という。
【0013】
同色を表示するサブ画素100R、100G、100Bの列が、繰り返し行方向に配置されている。したがって、行方向に並ぶ3つのサブ画素100R、100G、100Bの組み合わせが一つの画素(ピクセル)を構成している。周辺領域110Bには、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が設けられている。
【0014】
信号線駆動回路120は、信号供給源(図示せず)から供給される輝度情報に応じた映像信号の信号電圧を、信号線120Aを介して選択された画素に供給するものである。走査線駆動回路130は、入力されるクロックパルスに同期してスタートパルスを順にシフト(転送)するシフトレジスタ等によって構成される。走査線駆動回路130は、各画素への映像信号の書き込みに際し行単位でそれらを走査し、各走査線130Aに走査信号を順次供給するものである。
【0015】
表示装置10は、例えば、OLED、Micro-OLEDまたはMicro-LED等の自発光素子をアレイ状に形成したマイクロディスプレイである。表示装置10は、VR(Virtual Reality)用、MR(Mixed Reality)用もしくはAR(Augmented Reality)用の表示装置、電子ビューファインダ(Electronic View Finder:EVF)または小型プロジェクタ等に用いて好適なものである。
【0016】
図2は、本開示の一実施形態に係る表示装置10の構成の一例を示す断面図である。表示装置10は、トップエミッション方式の表示装置であり、一主面を有する基板(第1の基板)11と、基板11の一主面上に設けられた複数の発光素子12および絶縁層13と、複数の発光素子12上に設けられた保護層14と、保護層14上に設けられたアンダーコート層15と、アンダーコート層15上に設けられたカラーフィルタ16と、カラーフィルタ16上に設けられたマイクロレンズアレイ17と、マイクロレンズアレイ17上に設けられた充填樹脂層(上層)18と、充填樹脂層18上に設けられた対向基板(第2の基板)19とを備える。なお、対向基板19側がトップ側となり、基板11側がボトム側となる。
【0017】
複数の発光素子12は、基板11の一主面にマトリクス状に配置されている。発光素子12は、白色OLEDであり、表示装置10におけるカラー化の方式としては、白色OLEDとカラーフィルタ16とを用いる方式が用いられる。なお、カラー化の方式はこれに限定されるものではなく、RGBの塗り分け方式等を用いてもよい。また、単色のフィルタを用いるようにしてよい。また、発光素子12が、Micro-OLED(MOLED)またはMicro-LEDであってもよい。
【0018】
発光素子12は、基板11側から、例えば陽極としての第1の電極12A、有機層12B、および例えば陰極としての第2の電極12Cがこの順序で積載されたものである。
【0019】
基板11は、一主面に配列された複数の発光素子12を支持する支持体である。また、図示しないが、基板11には、複数の発光素子12の駆動を制御するサンプリング用トランジスタおよび駆動用トランジスタを含む駆動回路、ならびに複数の発光素子12に電力を供給する電源回路が設けられていてもよい。
【0020】
基板11は、例えば、水分および酸素の透過性が低いガラスまたは樹脂で構成されてもよく、トランジスタ等の形成が容易な半導体で形成されてもよい。具体的には、基板11は、高歪点ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、フォルステライト、鉛ガラス、もしくは石英ガラス等のガラス基板、アモルファスシリコン、もしくは多結晶シリコン等の半導体基板、またはポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、もしくはポリエチレンナフタレート等の樹脂基板等であってもよい。
【0021】
基板11には、コンタクトプラグ11Aが設けられている。コンタクトプラグ11Aは、第1の電極12Aと、駆動回路および電源回路等とを電気的に接続する。具体的には、コンタクトプラグ11Aは、第1の電極12Aと基板11の内部に設けられた駆動回路および電源回路等(図示せず)とを電気的に接続し、発光素子12の発光のための電力を第1の電極12Aに印加する。コンタクトプラグ11Aは、例えば、クロム(Cr)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、もしくは銀(Ag)等の金属の単体または合金等で形成されてもよく、これらの金属膜を複数積層させたもので形成されてもよい。
【0022】
(第1の電極)
第1の電極12Aは、サブ画素100R、100G、100B毎に電気的に分離して設けられている。第1の電極12Aは、反射層としての機能も兼ねており、できるだけ反射率が高く、かつ仕事関数が大きい金属層によって構成されることが、発光効率を高める上で好ましい。金属層の構成材料としては、例えば、クロム(Cr)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、タングステン(W)、銀(Ag)等の金属元素の単体および合金のうちの少なくとも1種を用いることができる。合金の具体例としては、AlNi合金、AlCu合金等が挙げられる。第1の電極12Aが、上記の金属元素の単体および合金のうちの少なくとも1種を含む複数の金属層の積層膜により構成されていてもよい。
【0023】
(第2の電極)
第2の電極12Cは、表示領域110A内においてすべてのサブ画素100R、100G、100Bに共通の電極として設けられている。第2の電極12Cは、有機層12Bで発生した光に対して透過性を有する透明電極である。ここで、透明電極には、半透過性反射膜も含まれるものとする。第2の電極12Cは、例えば、金属または金属酸化物により構成される。金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)等の金属元素の単体および合金のうちの少なくとも1種を用いることができる。合金としては、例えば、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)との合金(MgAg合金)、またはアルミニウム(Al)とリチウム(Li)との合金(AlLi合金)が好適である。金属酸化物としては、例えば、インジウム酸化物と錫酸化物の混合体(ITO)、インジウム酸化物と亜鉛酸化物の混合体(IZO)または酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物を用いることができる。
【0024】
(絶縁層)
絶縁層13は、第1の電極12Aをサブ画素100R、100G、100B毎に電気的に分離するためのものである。絶縁層13は、第1の電極12Aの間に設けられると共に、第1の電極12Aの周縁部を覆っている。より具体的には、絶縁層13は、各第1の電極12Aに対応する部分に開口を有しており、第1の電極12Aの上面(第2の電極12Cとの対向面)の周縁部から第1の電極12Aの側面(端面)にかけて覆っている。
【0025】
絶縁層13は、例えば有機材料または無機材料により構成される。有機材料としては、例えばポリイミドまたはアクリル樹脂等が挙げられる。無機材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンまたは酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0026】
(有機層)
有機層12Bは、表示領域110A内においてすべてのサブ画素100R、100G、100Bに共通の有機層として設けられている。図3は、図2に示した有機層12Bを拡大して表す。有機層12Bは、第1の電極12Aの側から正孔注入層12B、正孔輸送層12B、発光層12B、電子輸送層12Bがこの順序で積層された構成を有する。なお、有機層12Bの構成はこれに限定されるものではなく、発光層12B以外の層は必要に応じて設けられるものである。
【0027】
正孔注入層12Bは、発光層12Bへの正孔注入効率を高めるためのものであると共に、リークを抑制するためのバッファ層である。正孔輸送層12Bは、発光層12Bへの正孔輸送効率を高めるためのものである。発光層12Bは、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものである。電子輸送層12Bは、発光層12Bへの電子輸送効率を高めるためのものである。電子輸送層12Bと第2の電極12Cとの間には、電子注入層(図示せず)を設けてもよい。この電子注入層は、電子注入効率を高めるためのものである。
【0028】
(保護層)
保護層14は、発光素子12を外気と遮断し、外部環境から発光素子12内部への水分浸入を抑制するためのものである。また、第2の電極12Cが金属層により構成されている場合には、保護層14は、この金属層の酸化を抑制する機能も有している。
【0029】
保護層14は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化窒化シリコン(SiN)、酸化チタン(TiO)または酸化アルミニウム(Al)等、吸湿性が低い無機材料により構成される。また、保護層14は、単層構造であってもよいが、厚さを大きくする場合には多層構造としてもよい。保護層14における内部応力を緩和するためである。また、保護層14が、高分子樹脂により構成されていてもよい。この場合、高分子樹脂としては、熱硬化型樹脂および紫外線硬化型樹脂のうちの少なくとも1種の樹脂材料を用いることができる。
【0030】
(アンダーコート層)
アンダーコート層15は、例えば、保護層14の段差を平坦化するためのものである。アンダーコート層15は、例えば、高分子樹脂により構成される。この場合、高分子樹脂としては、熱硬化型樹脂および紫外線硬化型樹脂のうちの少なくとも1種の樹脂材料を用いることができる。なお、アンダーコート層15は、必要に応じて備えられるものであり、備えられていなくてもよい。
【0031】
(カラーフィルタ)
カラーフィルタ16は、例えば、オンチップカラーフィルタ(On Chip Color Filter:OCCF)である。カラーフィルタ16は、例えば、赤色フィルタ16R、緑色フィルタ16Gおよび青色フィルタ16Bを備える。赤色フィルタ16R、緑色フィルタ16G、青色フィルタ16Bはそれぞれ、サブ画素100Rの発光素子12、サブ画素100Gの発光素子12、サブ画素100Bの発光素子12に対向して設けられている。これにより、サブ画素100R、サブ画素100G、サブ画素100B内の各発光素子12から発せられた白色光がそれぞれ、上記の赤色フィルタ16R、緑色フィルタ16Gおよび青色フィルタ16Bを透過することによって、赤色光、緑色光、青色光がそれぞれ表示面から出射される。また、各色のカラーフィルタ間、すなわちサブ画素100間の領域には、遮光層(図示せず)が設けられていてもよい。
【0032】
(マイクロレンズ)
マイクロレンズアレイ17は、表示装置10の光取り出し効率を向上する光取り出し構造体である。マイクロレンズアレイ17は、基底部17Bと、基底部17B上に設けられた複数のマイクロレンズ17Aとを備える。マイクロレンズ17Aは、例えばオンチップマイクロレンズ(On Chip Microlens:OCL)であり、基板11の一主面に対して垂直な側面を有する構造体である。マイクロレンズ17Aの頂面は平面状であることが好ましい。本実施形態においては、マイクロレンズ17Aは、六角柱状を有している。複数のマイクロレンズ17Aは、基板11の一主面の面内方向に2次元配列されており、ハニカム構造を構成している。マイクロレンズ17Aは、発光素子12に対応して設けられており、マイクロレンズ17Aの材質が、各発光素子12によらず同一である。
【0033】
隣接するマイクロレンズ17Aの側面間には間隙17Cが設けられている。間隙17Cには、充填樹脂18Aが充填されている。マイクロレンズ17A間に充填された充填樹脂18Aの屈折率nは、マイクロレンズの屈折率nより低い。すなわち、マイクロレンズ17A間の屈折率nが、マイクロレンズ17Aの屈折率nより低い。
【0034】
各マイクロレンズ17Aは、サブ画素100Rの発光素子12、サブ画素100Gの発光素子12、サブ画素100Bの発光素子12に対向して設けられている。これにより、サブ画素100R、サブ画素100G、サブ画素100B内の各発光素子12から発せられた白色光がそれぞれ、マイクロレンズ17Aにより表示装置10の正面に向けて集光され、表示面から出射される。したがって、正面方向における光の利用効率が高められる。
【0035】
マイクロレンズアレイ17は、例えば、カラーフィルタ16からから出射される各色光に対して透明な無機材料または高分子樹脂により構成されている。無機材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いることができる。高分子樹脂としては、例えば、感光性樹脂を用いることができる。
【0036】
マイクロレンズ17Aの高さHが、好ましくは1.5μm以上2.5μm以下である。マイクロレンズ17Aの高さHが1.5μm以上であると、発光素子12の外周付近における光の集光効果を効果的に高めることができる。
【0037】
マイクロレンズ17A間の間隙17Cの幅(マイクロレンズ17A間の部分の幅)Wが、好ましくは0.4μm以上1.2μm以下、より好ましくは0.6μm以上1.2μm以下、さらにより好ましくは0.8μm以上1.2μm以下、特に好ましくは0.8μm以上1.0μm以下である。マイクロレンズ17A間の幅Wが0.4μm以上であると、マイクロレンズ17A間の幅Wを可視光の波長帯域の下限値と同程度以上にすることができるので、間隙17Cの機能低下を抑制することができる。したがって、発光素子12の外周付近における光の集光効果を効果的に高めることができる。一方、マイクロレンズ17A間の幅Wが1.2μm以下であると、発光素子12に対するマイクロレンズ17Aのサイズの減少を抑制することができる。したがって、発光素子12の外周付近における光の集光効果を効果的に高めることができる。
【0038】
マイクロレンズ17AのピッチPが、好ましくは1μm以上10μm以下である。マイクロレンズ17AのピッチPが10μm以下であると、光の波動性が顕著に表されるため、上述の構成を有するマイクロレンズ17Aを用いる効果が顕著に現れる。
【0039】
発光素子12とマイクロレンズ17Aの間の距離Dは、好ましくは0.35μmを超え7μm以下、より好ましくは1.3μm以上7μm以下、さらにより好ましくは2.8μm以上7μm以下、特に好ましくは3.8μm以上7μm以下である。発光素子12とマイクロレンズ17Aの間の距離Dが0.35μmを超えると、発光素子12の外周付近における光の集光効果を効率的に高めることができる。一方、発光素子12とマイクロレンズ17Aの間の距離Dが7μm以下であると、視野角特性の低下を抑制することができる。
【0040】
(充填樹脂層)
充填樹脂層18は、マイクロレンズアレイ17と対向基板19とを接着する接着層としての機能を有している。また、マイクロレンズ17Aの間隙17Cを埋める充填剤としての機能も有している。充填樹脂層18は、マイクロレンズアレイ17と対向基板19との間の空間に充填された充填樹脂18Aと、マイクロレンズ17Aの間隙17Cに充填された充填樹脂18Bとにより構成されている。充填樹脂18Aは、複数のマイクロレンズ17A上に設けられた上層の一例であり、充填樹脂18Aの屈折率nが、構造体の屈折率nより低いことが好ましい。これにより、発光素子12の外周付近における光の集光効果を効果的に高めることができる。充填樹脂層18は、例えば、熱硬化型樹脂および紫外線硬化型樹脂のうちの少なくとも1種の樹脂材料により構成される。なお、充填樹脂18Aと充填樹脂18Bとが異なる材料により構成されていてもよく、この場合には、充填樹脂18Aの屈折率nと充填樹脂18Bの屈折率nとが異なっていてもよい。
【0041】
(対向基板)
対向基板19は、対向基板19の一主面と、複数の発光素子12が設けられた基板11の一主面とが対向するように設けられている。対向基板19は、充填樹脂層18と共に、発光素子12、カラーフィルタ16およびマイクロレンズアレイ17等を封止するものである。対向基板19は、カラーフィルタ16からから出射される各色光に対して透明なガラス等の材料により構成される。
【0042】
[2 表示装置の製造方法]
以下、上述の構成を有する表示装置10の製造方法について説明する。
まず、例えば薄膜形成技術、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、基板11の一主面に駆動回路等を形成する。次に、例えばスパッタリング法により、金属層を駆動回路等の上に形成したのち、例えばフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて金属層をパターニングすることにより、発光素子12毎(すなわちサブ画素100毎)に分離された複数の第1の電極12Aを形成する。
【0043】
次に、例えばCVD法により、絶縁層13を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、絶縁層13をパターニングする。次に、例えば蒸着法により、正孔注入層12B、正孔輸送層12B、発光層12B、電子輸送層12Bを第1の電極12A上および絶縁層13上にこの順序で積層することにより、有機層12Bを形成する。次に、例えばスパッタリング法により、第2の電極12Cを有機層12B上に形成する。これにより、基板11の一主面に複数の発光素子12が形成される。
【0044】
次に、例えば蒸着法またはCVD法により、保護層14を第2の電極12C上に形成する。次に、例えばスピンコート法により、保護層14上にアンダーコート層15を形成したのち、例えば薄膜形成技術、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、アンダーコート層15上にカラーフィルタ16を形成する。次に、図4Aに示すように、感光性樹脂をカラーフィルタ16上に塗布し感光性樹脂層17Dを形成したのち、図4Bに示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて感光性樹脂層17Dに間隙17Cを形成することにより、マイクロレンズアレイ17を形成する。
【0045】
次に、例えばODF(One Drop Fill)方式により、充填樹脂層18によりマイクロレンズアレイ17を覆ったのち、対向基板19を充填樹脂層18上に載置する。次に、例えば充填樹脂層18に熱を加えるか、または充填樹脂層18に紫外線を照射し、充填樹脂層18を硬化させることにより、充填樹脂層18を介して基板11と対向基板19とを貼り合せる。これにより、表示装置10が封止される。なお、充填樹脂層18が熱硬化型樹脂および紫外線硬化型樹脂の両方を含む場合には、充填樹脂層18に紫外線を照射し仮硬化させたのち、充填樹脂層18に熱を加えて本硬化させるようにしてもよい。
【0046】
[3 効果]
上述の一実施形態に係る表示装置10は、複数の発光素子12上それぞれに設けられた複数のマイクロレンズ17Aを備える。マイクロレンズ17Aは、基板11の一主面に垂直な側面を有し、マイクロレンズ17A間の屈折率nは、マイクロレンズ17Aの屈折率nより低い。これにより、半球状のマイクロレンズに比べて発光素子(光源)12の外周付近の光の集光効果を向上することができる。したがって、表示装置10を高効率化することができる。すなわち、表示装置10の高輝度化および低消費電力化を実現することができる。
【0047】
上述の一実施形態に係る表示装置10では、マイクロレンズ17Aは垂直な側面を有しているため、リフローやグレートーンマスク等を用いることなく作製可能である。したがって、半球状のマイクロレンズ等に比べて、作製プロセスを簡略化することができる。
【0048】
一般的なマイクロレンズ(例えば半球状のマイクロレンズ)では、マイクロレンズと発光素子(光源)の間の距離を遠ざけないと、表示装置を高効率化することは困難である。また、表示装置を高効率化するために、マイクロレンズと発光素子(光源)の間の距離を遠ざけると、視野角特性が悪化するという問題もある。これに対して、上述の一実施形態に係る表示装置10では、光取り出し構造であるマイクロレンズ17Aと発光素子(光源)12の間の距離を遠ざけなくても、表示装置10を高効率化することができる。したがって、視野角特性の低下を抑制しつつ、表示装置10を高効率化することができる。
【0049】
[4 変形例]
(変形例1)
上述の一実施形態では、マイクロレンズ17Aが六角柱状を有する場合(図2B参照)について説明したが、マイクロレンズ17Aの形状はこれに限定されるものではなく、六角柱状以外の柱状またはほぼ柱状を有していてもよい。以下、図5図8を参照して、六角柱状以外のマイクロレンズ17Aの形状例について説明する。
【0050】
図5に示すように、マイクロレンズ17Aが円柱状を有していてもよい。マイクロレンズ17Aが円柱状を有することで、間隙17Cに対する充填樹脂18Bの充填性を向上することができる。
【0051】
図6に示すように、マイクロレンズ17Aが楕円柱状を有していてもよい。マイクロレンズ17Aが楕円柱状を有することで、間隙17Cに対する充填樹脂18Bの充填性を向上することができる。複数のマイクロレンズ17Aは、それらの断面の楕円形状の長軸が表示面の水平方向となり、短軸が表示面の垂直方向となるように配置されていることが好ましい。このように複数のマイクロレンズ17Aが配置されていることで、水平方向の視野角特性を改善することができる。
【0052】
図7に示すように、マイクロレンズ17Aが四角柱状(直方体状)を有していてもよい。この場合、隣接するマイクロレンズ17Aの四角形状の側面が平行となるように配置される。マイクロレンズ17Aの底面および頂面は、例えば正方形状を有していてもよい。
【0053】
図8に示すように、マイクロレンズ17Aが八角柱状を有していてもよい。この場合、隣接するマイクロレンズ17Aの四角形状の側面が平行となるように配置される。マイクロレンズ17Aが八角柱状を有することで、間隙17Cに対する充填樹脂18Bの充填性を向上することができる。なお、マイクロレンズが四角柱状、六角柱状および八角柱状以外の角柱状を有していてもよい。
【0054】
(変形例2)
上述の一実施形態では、マイクロレンズアレイ17を構成する各マイクロレンズ17Aのサイズが同一である場合(図2A図2B参照)について説明したが、図9に示すように、赤色フィルタ16R上に設けられたマイクロレンズ17A、緑色フィルタ16G上に設けられたマイクロレンズ17A、青色フィルタ16B上に設けられたマイクロレンズ17Aそれぞれのサイズが異なっていてもよい。なお、図9では、マイクロレンズ17Aが四角柱状を有する構成が示されているが、マイクロレンズ17Aが四角柱状以外の形状を有している場合にも、上述のようにマイクロレンズ17Aのサイズが異なっていてもよい。
【0055】
(変形例3)
上述の一実施形態では、マイクロレンズアレイ17を構成する各マイクロレンズ17Aの屈折率nが同一である場合について説明したが、赤色フィルタ16R上に設けられたマイクロレンズ17A、緑色フィルタ16G上に設けられたマイクロレンズ17A、青色フィルタ16B上に設けられたマイクロレンズ17Aそれぞれの屈折率が異なっていてもよい。
【0056】
赤色フィルタ16R上に設けられたマイクロレンズ17A、緑色フィルタ16G上に設けられたマイクロレンズ17A、青色フィルタ16B上に設けられたマイクロレンズ17Aの屈折率をn11、n12、n13とし、マイクロレンズ17A間の屈折率(すなわちマイクロレンズ17A間に充填された充填樹脂18Aの屈折率)をnとした場合、屈折率n11、n12、n13およびnは、n11、n12、n13>nの関係を満たす。
【0057】
(変形例4)
上述の一実施形態では、マイクロレンズ17Aは、基板11の一主面に対して垂直な側面を有する構造体である場合(図2A参照)について説明したが、マイクロレンズ17Aは、基板11の一主面に対してほぼ垂直な側面を有する構造体であってもよい。以下に、ほぼ垂直な側面の例について説明する。
【0058】
図10に示すように、マイクロレンズ17Aの底面から頂面に向かうに従ってマイクロレンズ17Aの幅が狭くなるように、マイクロレンズ17Aの側面が傾斜し、例えばマイクロレンズ17Aが錐体状を有していてもよい。傾斜した側面は、平面であってもよいし、凸状または凹状に湾曲していてもよい。
【0059】
図11に示すように、マイクロレンズ17Aの底面から頂面に向かうに従ってマイクロレンズ17Aの幅が広くなるように、マイクロレンズ17Aの側面が傾斜し、例えばマイクロレンズ17Aが逆錐体状を有していてもよい。傾斜した側面は、平坦であってもよいし、凸状または凹状に湾曲していてもよい。
【0060】
図12に示すように、マイクロレンズ17Aの側面が凸状に湾曲していてもよい。あるいは、マイクロレンズ17Aの側面が凹状に湾曲していてもよい。
【0061】
なお、図10図11において示した形状例において、基板11の一主面に対する側面の傾斜角θは、80度以上100度以下の範囲内である。側面が凸状または凹状に湾曲している場合には、マイクロレンズ17Aの断面の接線が80度以上100度以下の範囲内にあることが好ましい。ここで、“マイクロレンズ17Aの断面”とは、基板11の一主面に対して垂直にマイクロレンズ17Aを切断して得られる断面を意味する。
【0062】
発光素子12の外周付近における光の集光効果を効率的に高めるためには、基板11の一主面に対する側面の傾斜角θは、好ましくは81.8度以上98.2度、より好ましくは84.0度以上96.0度、さらにより好ましくは86.0度以上94.0度、特に好ましくは88.0度以上92.0度、最も好ましくはほぼ90度である。
【0063】
図13に示すように、マイクロレンズ17Aの頂部の幅がマイクロレンズ17Aの高さ方向に向かって徐々に狭くなるように、マイクロレンズ17Aの頂部の側面が傾斜し、例えばマイクロレンズ17Aの頂部が錐体状を有していてもよい。傾斜した側面は、平坦であってもよいし、凸状または凹状に湾曲していてもよい。ここで、“マイクロレンズ17Aの高さ方向”とは、マイクロレンズ17Aの底面から頂面に向かうマイクロレンズ17Aの高さ方向を意味する。
【0064】
(変形例5)
上述の一実施形態では、マイクロレンズ17Aが平面状の頂面を有する場合(図2A参照)について説明したが、凸状または凹状に湾曲した頂面を有していてもよい。但し、正面方向の輝度向上の観点からすると、マイクロレンズ17Aが平面状の頂面を有することが好ましい。
【0065】
(変形例6)
上述の一実施形態では、サブ画素100が正方形状である場合について説明したが、サブ画素100が長方形状を有していてもよい。この場合、図14に示すように、マイクロレンズ17Aとして直方体状のものが用いられてもよい。
【0066】
(変形例7)
上述の一実施形態では、発光素子12とマイクロレンズ17Aのピッチが同一である場合、すなわち、各発光素子12上に一つマイクロレンズ17Aが設けられている場合について説明したが、マイクロレンズ17Aの配置形態はこれに限定されるものではない。例えば、図15に示すように、表示面の垂直方向における発光素子12のピッチPが、表示面の垂直方向におけるマイクロレンズ17AのピッチPの3倍であってもよい。すなわち、一つの発光素子12上に3つのマイクロレンズ17Aが設けられていてもよい。なお、図示はしないが、表示面の垂直方向における発光素子12のピッチPが、表示面の垂直方向におけるマイクロレンズ17AのピッチPの2倍であってもよい。すなわち、一つの発光素子12上に2つのマイクロレンズ17Aが設けられていてもよい。
【0067】
表示面の垂直方向(第1の方向)における発光素子12のピッチPが、表示面の垂直方向(第1の方向)におけるマイクロレンズ17AのピッチPのn倍以上(但し、nは正の整数)であり、かつ、表示面の水平方向(第2の方向)における発光素子12のピッチPが、表示面の水平方向(第2の方向)におけるマイクロレンズ17AのピッチPのm倍以上(但し、mは正の整数)であってもよい。すなわち、一つの発光素子12上にn×m個のマイクロレンズ17Aが設けられていてもよい。n、mの上限値は特に限定されるものではないが、例えば10以下、5以下または3以下である。
【0068】
(変形例8)
上述の一実施形態では、マイクロレンズアレイ17を構成する各マイクロレンズ17Aの高さが同一である構成(図2A参照)について説明したが、図16に示すように、赤色フィルタ16R上に設けられたマイクロレンズ17A、緑色フィルタ16G上に設けられたマイクロレンズ17A、青色フィルタ16B上に設けられたマイクロレンズ17Aの高さが異なっていてもよい。
【0069】
(変形例9)
上述の一実施形態では、マイクロレンズアレイ17が基底部17Bを備える構成(図2A参照)について説明したが、図17に示すように、マイクロレンズアレイ17が基底部17Bを備えていなくてもよい。すなわち、各マイクロレンズ17Aが独立していてもよい。この場合、マイクロレンズ17Aがカラーフィルタ16上に直接設けられていてもよい。
【0070】
(変形例10)
上述の一実施形態では、マイクロレンズ17A間の間隙17Cに充填樹脂18Bが充填されている構成(図2A参照)について説明したが、マイクロレンズ17A間の部分の屈折率nがマイクロレンズ17Aの屈折率nよりも低ければよく、本開示は上記構成に限定されるものではない。例えば、図18に示すように、マイクロレンズ17A間の間隙17Cがエア等の気体で満たされた空間18Cであってもよい。
【0071】
(変形例11)
上述の一実施形態では、カラーフィルタ16上にマイクロレンズアレイ17が直接設けられている構成(図2A参照)について説明したが、図19に示すように、カラーフィルタ16とマイクロレンズアレイ17の間にさらにアンダーコート層20が設けられていてもよい。アンダーコート層20は、例えば、カラーフィルタ16の膜厚差による段差を平坦化するためのものである。アンダーコート層20の材料としては、例えば、上述の一実施形態にけるアンダーコート層15と同様の材料により構成される。
【0072】
(変形例12)
上述の一実施形態では、各マイクロレンズ17Aの光軸(中心軸)が、赤色フィルタ16R、緑色フィルタ16Gまたは青色フィルタ16Bの中心に一致している構成(図2A参照)について説明したが、各マイクロレンズ17Aの光軸(中心軸)が、図20に示すように、赤色フィルタ16R、緑色フィルタ16Gまたは青色フィルタ16Bの中心からずれていてもよい。
【0073】
(変形例13)
上述の一実施形態では、表示装置10がカラーフィルタ16を備える構成(図2A参照)について説明したが、図21に示すように、カラーフィルタ16を備えていなくてもよい。有機層12Bとマイクロレンズ17Aとの距離dは、例えば2μm以上5μm以下である。上記構成の場合、複数の発光素子12としては単色の発光素子を用いてもよいし、異なる波長の光を発光する複数種の発光素子(例えば赤色の発光素子、緑色の発光素子および青色の発光素子等の3種の発光素子)を用いてもよい。
【0074】
図22に示すように、表示装置10がアンダーコート層15を備えていなくてもよい。この場合、発光素子12と保護層14の屈折率差Δnと、保護層14とマイクロレンズアレイ17の屈折率差Δnとを小さくすることで、導波モードを取り出すことができる。屈折率差Δna、屈折率差Δnは、ゼロまたはほぼゼロであるあることが好ましい。
【0075】
(変形例14)
上述の一実施形態では、表示装置10の製造方法において、感光性樹脂を用いてマイクロレンズアレイを作製する場合について説明したが、マイクロレンズアレイの作製方法はこれに限定されるものではなく、以下に示すように、薄膜形成技術、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてマイクロレンズアレイを作製するようにしてもよい。
【0076】
まず、図23Aに示すように、例えば蒸着法またはCVD法により無機材料層17Eをカラーフィルタ16上に形成する。次に、図23Bに示すように、フォトリソグラフィ技術により、無機材料層17Eにレジスト層21を形成し、レジスト層21を規定の形状にパターニングする。次に、図24Aに示すように、エッチング技術により、無機材料層17Eに間隙17Cを形成することにより、マイクロレンズアレイ17を形成する。最後、図24Bに示すように、レジスト層21を除去する。このようにレジスト層21を残してエッチングすることで、マイクロレンズ17Aの頂部の側面角度がほぼ90°となるように加工することができる。
【0077】
なお、レジスト層21が無くなるまで、上述のエッチング工程を行うようにしてもよい。この場合、上述のレジスト層21の除去工程を省略することができる。なお、上述の例では、無機材料層17Eを用いてマイクロレンズアレイ17を形成する場合について説明したが、無機材料層17Eに代えて高分子樹脂層を用いるようにしてもよい。
【0078】
[5 応用例]
(電子機器)
上述の一実施形態およびその変形例のいずれかに係る表示装置10は、例えば、図25に示したようなモジュールとして、種々の電子機器に組み込まれる。特にビデオカメラや一眼レフカメラの電子ビューファインダまたはヘッドマウント型ディスプレイ等の高解像度が要求され、目の近くで拡大して使用されるものに適する。このモジュールは、基板11の一方の短辺側に、対向基板19および充填樹脂層18に覆われず露出した領域210を有し、この領域210に、信号線駆動回路120および走査線駆動回路130の配線を延長して外部接続端子(図示せず)が形成されている。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit:FPC)220が接続されていてもよい。
【0079】
(具体例1)
図26A図26Bは、デジタルスチルカメラ310の外観の一例を示す。このデジタルスチルカメラ310は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのものであり、カメラ本体部(カメラボディ)311の正面略中央に交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)312を有し、正面左側に撮影者が把持するためのグリップ部313を有している。
【0080】
カメラ本体部311の背面中央から左側にずれた位置には、モニタ314が設けられている。モニタ314の上部には、電子ビューファインダ(接眼窓)315が設けられている。撮影者は、電子ビューファインダ315を覗くことによって、撮影レンズユニット312から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことが可能である。電子ビューファインダ315としては、上述の一実施形態またはその変形例のいずれかに係る表示装置10を用いることができる。
【0081】
(具体例2)
図27は、ヘッドマウントディスプレイ320の外観の一例を示す。ヘッドマウントディスプレイ320は、例えば、眼鏡形の表示部321の両側に、使用者の頭部に装着するための耳掛け部322を有している。表示部321としては、上述の一実施形態またはその変形例のいずれかに係る表示装置10を用いることができる。
【0082】
(具体例3)
図28は、テレビジョン装置330の外観の一例を示す。このテレビジョン装置330は、例えば、フロントパネル332およびフィルターガラス333を含む映像表示画面部331を有しており、この映像表示画面部331は、上述の一実施形態またはその変形例のいずれかに係る表示装置10により構成される。
【0083】
(照明装置)
上述の一実施形態では、表示装置に本開示を適用した例について説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、照明装置に本開示を適用するようにしてもよい。
【0084】
図29は、スタンド型の照明装置400の外観の一例を示す。この照明装置400は、基台411に設けられた支柱412に、照明部413を取り付けたものである。この照明部413としては、上述の一実施形態およびその変形例のいずれかに係る表示装置10において、信号線駆動回路120および走査線駆動回路130等の表示装置用の駆動回路に代えて、照明装置用の駆動回路を備えたものが用いられる。また、カラーフィルタ16はなくてもよいし、絶縁層13の開口の大きさは、照明装置400の光学特性に応じて適宜選択されてもよい。さらに、基板11および対向基板19としてフィルムを用い、フレキシブルな構成とすることにより、図29に示した筒状または曲面状等の、任意の形状とすることが可能である。なお、発光素子12の個数は単数であってもよい。また、カラーフィルタ16に代えて単色のフィルタを備えるようにしてもよい。
【0085】
ここでは、照明装置がスタンド型の照明装置400である場合について説明したが、照明装置の形態はこれに限定されるものではなく、例えば、天井、壁または床等に設置される形態のものであってもよい。
【0086】
[試験例]
以下、試験例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの試験例のみに限定されるものではない。
【0087】
本試験例においては、波動解析シミュレーションの方法としてFDTD法(Finite-difference time-domain method)を用いた。波動解析シミュレーションの解析モデルとしては、以下の解析モデルA~Eを用いた。
【0088】
(解析モデルA)
図30に、解析モデルAの構成を示す。解析モデルAでは、マイクロレンズとして、円柱状を有するものが用いられた。
【0089】
(解析モデルB)
図31に、解析モデルBの構成を示す。解析モデルBでは、マイクロレンズとして、円錐台状を有するものが用いられた。
【0090】
(解析モデルC)
図32に、解析モデルCの構成を示す。解析モデルCでは、マイクロレンズとして、逆円錐台状を有するものが用いられた。
【0091】
(解析モデルD)
図33に、解析モデルDの構成を示す。解析モデルDでは、マイクロレンズとして、円柱状の頂部が円錐状にされたものが用いられた。
【0092】
なお、上述の解析モデルA~Dにおいて、各層の屈折率は以下のように設定された。
アルミニウム電極の屈折率:0.96
有機層の屈折率:1.8
保護層の屈折率:1.8
アンダーコート層:1.5
マイクロレンズの屈折率:1.5
充填樹脂層の屈折率:1.38
対向基板の屈折率:1.5
【0093】
(解析モデルE)
図34に、解析モデルEの構成を示す。解析モデルEでは、マイクロレンズとして、半球状のものが用いられた。
【0094】
本試験例について以下の順序で説明する。
i 有機層-マイクロレンズ間の距離Dと正面方向の輝度との関係について検討
ii マイクロレンズの高さHと正面方向の輝度との関係について検討
iii マイクロレンズ間の間隙の幅Wと正面方向の輝度との関係について検討
iv マイクロレンズの傾斜角θと正面方向の輝度との関係について検討
v マイクロレンズの頂部の傾斜角θと正面方向の輝度との関係について検討
【0095】
<i 有機層-マイクロレンズ間の距離Dと正面方向の輝度との関係について検討>
[試験例1-1~1-4]
解析モデルAを用いて、有機層-マイクロレンズ間の距離Dを変化させたときの解析モデルAの正面方向の輝度を求めた。
【0096】
以下に、解析モデルAの条件の詳細を示す。
マイクロレンズの形状:円柱状
マイクロレンズの側面の傾斜角θ:90.0度
マイクロレンズの高さH:2.0μm
有機層-マイクロレンズ間の距離D:1.3μm(試験例1-1)、2.8μm(試験例1-2)、3.8μm(試験例1-3)、4.9μm(試験例1-4)
マイクロレンズ間の間隙(ギャップ)の幅W:1.0μm
間隙(ギャップ)のピッチP:5.4μm
【0097】
[試験例1-5~1-8]
解析モデルEを用いて、有機層-マイクロレンズ間の距離Dを変化させたときの解析モデルEの正面方向の輝度を求めた。
【0098】
以下に、解析モデルEの設定条件の詳細を示す。
マイクロレンズの形状:半球状
マイクロレンズの高さH:2.5μm
有機層-マイクロレンズ間の距離D:3.8μm(試験例1-5)、5.3μm(試験例1-6)、7.3μm(試験例1-7)、9.3μm(試験例1-8)
【0099】
図35は、試験例1-1~1-8の解析結果を示す。この結果から以下のことがわかる。
円柱状のマイクロレンズを用いた試験例1-1~1-4では、マイクロレンズとして半球レンズを用いた試験例1-5~1-8に比べて、有機層-マイクロレンズ間の距離Dに対する正面方向の輝度の依存性を小さくすることができる。したがって、円柱状のマイクロレンズを用いた試験例1-1~1-4では、有機層-マイクロレンズ間の距離Dが小さい場合でも、マイクロレンズとして半球レンズを用いた試験例1-5~1-8に比べて正面方向の輝度向上の効果が大きい。
正面方向の輝度向上の観点からすると、有機層-マイクロレンズ間の距離Dは、好ましくは0.35μmを超え、より好ましくは1.3μm以上、さらにより好ましくは2.8μm以上、特に好ましくは3.8μm以上である。
【0100】
幾何光学で考えた場合、光線がマイクロレンズの垂直な側面に入射した場合、入射角と反射角が等しくなるため、正面方向の取り出しは向上しない。しかしながら、波動解析(FDTD)で考えると、光源外周付近の取り出しが向上し、正面方向の光の取り出しが向上する。
【0101】
<ii マイクロレンズの高さHと正面方向の輝度との関係について検討>
[試験例2-1~2-4]
解析モデルAを用いて、マイクロレンズの高さHを変化させたときの解析モデルAの正面方向の輝度を求めた。
【0102】
以下に、解析モデルAの設定条件の詳細を示す。
マイクロレンズの形状:円柱状
マイクロレンズの傾斜角θ:90.0度
マイクロレンズの高さH:1.5μm(試験例2-1)、2.0μm(試験例2-2)、2.5μm(試験例2-3)、3.0μm(試験例2-4)
有機層-マイクロレンズ間の距離D:3.8μm
マイクロレンズ間の間隙(ギャップ)の幅W:0.8μm
間隙(ギャップ)間のピッチP:5.4μm
【0103】
[試験例2-5~2-7]
マイクロレンズ間の間隙(ギャップ)の幅Wを1.0μmとすること以外は試験例2-1~2-3と同様にして、解析モデルAの正面方向の輝度を求めた。
【0104】
[試験例2-8~2-10]
マイクロレンズ間の間隙(ギャップ)の幅Wを1.2μmとすること以外は試験例2-1~2-3と同様にして、解析モデルAの正面方向の輝度を求めた。
【0105】
図36は、試験例2-1~2-10の解析結果を示す。この結果から以下のことがわかる。
マイクロレンズは単純な導波路として機能しているわけではないため、マイクロレンズの高さが2.0μmである場合に、正面方向の輝度が最大となる。
正面方向の輝度向上の観点からすると、マイクロレンズの高さHは、1.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。
【0106】
<iii マイクロレンズ間の間隙の幅Wと正面方向の輝度との関係について検討>
[試験例3-1~3-5]
解析モデルAを用いて、マイクロレンズ間の間隙の幅Wを変化させたときの解析モデルAの正面方向の輝度を求めた。
【0107】
以下に、解析モデルAの設定条件の詳細を示す。
マイクロレンズの形状:円柱状
マイクロレンズの傾斜角θ:90.0度
マイクロレンズの高さH:2.5μm
有機層-マイクロレンズ間の距離D:3.8μm
マイクロレンズ間の間隙(ギャップ)の幅W:0.4μm(試験例3-1)、0.6μm(試験例3-2)、0.8μm(試験例3-3)、1.0μm(試験例3-4)、1.2μm(試験例3-5)
間隙(ギャップ)間のピッチP:5.4μm
【0108】
図37は、試験例3-1~3-5の解析結果を示す。この結果から以下のことがわかる。
マイクロレンズ間の間隙の幅Wが0.8μmである場合に、正面方向の輝度が最大となる。
正面方向の輝度向上の観点からすると、マイクロレンズ間の間隙の幅Wは、好ましくは0.4μm以上1.2μ以下、より好ましくは0.6μm以上1.2μ以下、さらにより好ましくは0.8μm以上1.2μ以下、特により好ましくは0.8μm以上1.0μ以下である。
【0109】
<iv マイクロレンズの傾斜角θと正面方向の輝度との関係について検討>
[試験例4-1~4-6]
解析モデルA、B、Cを用いて、レンズの傾斜角θを変化させたときの解析モデルA、B、Cの正面方向の輝度を求めた。
【0110】
以下に、解析モデルA、B、Cの条件の詳細を示す。
マイクロレンズの形状:、円柱状(解析モデルA)、円錐台状(解析モデルB)逆円錐台状(解析モデルC)
マイクロレンズの傾斜角θ:81.8度(試験例4-1)、86.0度(試験例4-2)、88.0度(試験例4-3)、90.0度(試験例4-4)、94.0度(試験例4-5)、98.2度(試験例4-6)
マイクロレンズの高さH:2.0μm
有機層-マイクロレンズ間の距離D:3.8μm
マイクロレンズ間の間隙(ギャップ)の幅W:1.0μm
間隙(ギャップ)間のピッチP:5.4μm
【0111】
図38は、試験例4-1~4-6の解析結果を示す。この結果から以下のことがわかる。
マイクロレンズの傾斜角θが90度である場合に、正面方向の輝度が最大となる。
マイクロレンズの側面の傾斜角が80度以上100度の範囲であれば、十分に良好な正面輝度が得られる。
正面方向の輝度向上の観点からすると、マイクロレンズの側面の傾斜角が、好ましくは81.8度以上98.2度、より好ましくは84.0度以上96.0度、さらにより好ましくは86.0度以上94.0度、特に好ましくは88.0度以上92.0度、最も好ましくはほぼ90度である。
【0112】
<v マイクロレンズの頂部の傾斜角θと正面方向の輝度との関係について検討>
[試験例5-1~5-3]
解析モデルA、Eを用いて、マイクロレンズの頂部の傾斜角θを変化させたときの解析モデルA、Eの正面方向の輝度を求めた。
【0113】
以下に、解析モデルA、Eの条件の詳細を示す。
マイクロレンズの形状:円柱状(解析モデルA)、円柱状の頂部が錐体状にされた形状(解析モデルD)
マイクロレンズの高さH:2.0μm
頂部の傾斜角θ:45度(試験例5-1)、75度(試験例5-2)、90度(頂部に傾斜なし)(試験例5-3)
有機層-マイクロレンズ間の距離D:3.8μm
マイクロレンズ間の間隙(ギャップ)の幅W:1.0μm
間隙(ギャップ)間のピッチP:5.4μm
【0114】
[試験例5-4]
マイクロレンズの高さHを1.5μmとすること以外は試験例5-3と同様にして、解析モデルAの正面方向の輝度を求めた。なお、この試験例5-4の解析モデルAは、試験例5-1、5-2で用いた解析モデルEにおいて、マイクロレンズの頂部から錐体状の部分を切り取ったものに相当する。
【0115】
図39は、試験例5-1~5-10の解析結果を示す。この結果から以下のことがわかる。
マイクロレンズの側面全体が90度の垂直面で構成されている場合に、正面方向の輝度が最大となる。しかしながら、マイクロレンズの頂部が傾斜していても、正面輝度に対する影響は小さく、十分に良好な正面輝度が得られる。
【0116】
以上、本開示の一実施形態およびその変形例について具体的に説明したが、本開示は、上述の一実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0117】
例えば、上述の一実施形態およびその変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。
【0118】
また、上述の一実施形態およびその変形例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0119】
また、上述の一実施形態およびその変形例に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値または下限値は、他の段階の数値範囲の上限値または下限値に置き換えてもよい。
【0120】
また、上述の一実施形態およびその変形例にて例示した材料は、特に断らない限り、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0121】
また、本開示は以下の構成を採用することもできる。
(1)
一主面を有する基板と、
前記一主面上に設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子上に設けられ、前記一主面に垂直またはほぼ垂直な側面を有する複数の構造体と
を備え、
前記構造体間の屈折率が、前記構造体の屈折率より低く、
前記発光素子のピッチが、前記構造体のピッチの3倍以下である表示装置。
(2)
前記複数の構造体上に設けられた上層をさらに備え、
前記上層の屈折率が、前記構造体の屈折率より低い(1)に記載の表示装置。
(3)
前記構造体の高さが、1.5μm以上2.5μm以下である(1)または(2)に記載の表示装置。
(4)
前記構造体間の部分の幅が、0.4μm以上1.2μm以下である(1)から(3)のいずれかに記載の表示装置。
(5)
前記発光素子のピッチが、1μm以上10μm以下である(1)から(4)のいずれかに記載の表示装置。
(6)
前記発光素子と前記構造体の距離が、0.35μmを超え7μm以下である(1)から(5)のいずれかに記載の表示装置。
(7)
前記基板の一主面に対する前記側面の傾斜角θは、80度以上100度以下である(1)から(6)のいずれかに記載の表示装置。
(8)
前記構造体は、前記発光素子に対応して設けられており、
前記構造体の材質が、前記各発光素子によらず同一である(1)から(7)のいずれかに記載の表示装置。
(9)
前記複数の発光素子は、異なる波長の光を発光する複数種の光学素子を含む(1)から(8)のいずれかに記載の表示装置。
(10)
前記複数の発光素子と前記複数の構造体の間に設けられたカラーフィルタ層をさらに備える(1)から(8)のいずれかに記載の表示装置。
(11)
前記構造体は、平面状の頂面を有する(1)から(10)のいずれかに記載の表示装置。
(12)
前記構造体は、柱状またはほぼ柱状を有する(1)から(11)のいずれかに記載の表示装置。
(13)
前記複数の発光素子が、OLEDである(1)から(12)のいずれかに記載の表示装置。
(14)
前記複数の発光素子が、マイクロLEDである(1)から(13)のいずれかに記載の表示装置。
(15)
一主面を有する基板と、
前記一主面上に設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子上に設けられ、前記一主面に垂直またはほぼ垂直な側面を有する複数の構造体と
を備え、
前記構造体間の部分の屈折率が、前記構造体の屈折率より低く、
前記発光素子のピッチが、前記構造体のピッチのn倍以上(但し、nは1以上の整数)である表示装置。
(16)
(1)から(15)のいずれかに記載された前記表示装置を備える電子機器。
【符号の説明】
【0122】
10 表示装置
11 基板
12 発光素子
12A 第1の電極
12B 有機層
12B 正孔注入層
12B 正孔輸送層
12B 発光層
12B 電子輸送層
12C 第2の電極
13 絶縁層
14 保護層
15、20 アンダーコート層
16 カラーフィルタ
17 マイクロレンズアレイ
17A マイクロレンズ
17B 基底部
17C 間隙
17D 感光性樹脂層
17E 無機材料層
18 充填樹脂層
18A、18B 充填樹脂
18C 空間
19 対向基板
21 レジスト層
100R、100G、100B サブ画素
110A 表示領域
110B 周辺領域
120 信号線駆動回路
130 走査線駆動回路
120A 信号線
130A 走査線
310 デジタルスチルカメラ(電子機器)
320 ヘッドマウントディスプレイ(電子機器)
330 テレビジョン装置(電子機器)
400 照明装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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