(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】樹脂組成物、プリプレグ、支持体付きレジンシート、金属箔張積層板、及びプリント配線板
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20240910BHJP
C08G 59/40 20060101ALI20240910BHJP
C08K 3/28 20060101ALI20240910BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20240910BHJP
B32B 15/092 20060101ALI20240910BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08G59/40
C08K3/28
C08J5/24 CFC
B32B15/092
H05K1/03 610L
(21)【出願番号】P 2021520688
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(86)【国際出願番号】 JP2020018366
(87)【国際公開番号】W WO2020235328
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2019094398
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 悠仁
(72)【発明者】
【氏名】野本 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 恵一
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105448496(CN,A)
【文献】特開2013-194167(JP,A)
【文献】特開2018-168262(JP,A)
【文献】特開2017-222559(JP,A)
【文献】特開平11-330310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 63/00
C08G 59/40
C08K 3/28
C08J 5/24
B32B 15/092
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ化合物(A)と、
硬化剤(B)と、
窒化ジルコニウム(C)と、を含み、
前記窒化ジルコニウム(C)の含有量が、前記エポキシ化合物(A)と前記硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、1~30質量部であり、
前記窒化ジルコニウム(C)が、一次粒子径が20~50nmの粒子を含
み、
プリント配線板用である、
樹脂組成物。
【請求項2】
前記エポキシ化合物(A)が、下記式(I)で表される化合物を含む、
請求項1に記載の樹脂組成物。
【化1】
(式(I)中、n1は1以上の整数を表す。)
【請求項3】
前記硬化剤(B)が、フェノール化合物(D)及び/又はシアン酸エステル化合物(E)を含む、
請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記フェノール化合物(D)が、下記式(II)又は式(III)で表される化合物を含む、
請求項3に記載の樹脂組成物。
【化2】
(式(II)中、n2は1以上の整数を表す。)
【化3】
(式(III)中、R
1、R
2は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、n3は1以上の整数を表す。)
【請求項5】
前記シアン酸エステル化合物(E)が、下記式(VI)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、及び/又は、下記式(VII)で表されるノボラック型シアン酸エステル化合物を含む、
請求項3に記載の樹脂組成物。
【化4】
(上記式(VI)中、R
5は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、n6は1以上の整数を示す。)
【化5】
(上記式(VII)中、R
6は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、n7は1以上の整数を示す。)
【請求項6】
マレイミド化合物(F)をさらに含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記マレイミド化合物(F)が、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2’-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、下記式(IV)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(V)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含む、
請求項6に記載の樹脂組成物。
【化6】
(式(IV)中、R
3は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、n4は1以上の整数を表す。)
【化7】
(式(V)中、R
4は、各々独立に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はフェニル基を表し、n5は、平均値であり、1<n5≦5を表す。)
【請求項8】
無機充填材(G)を更に含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記無機充填材(G)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上を含む、
請求項8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
基材と、
該基材に含浸又は塗布された請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、を有
し、
プリント配線板用である、
プリプレグ。
【請求項11】
支持体と、
該支持体の片面または両面に積層された請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物とを有
し、
プリント配線板用である、
支持体付きレジンシート。
【請求項12】
請求項
10に記載のプリプレグ及び請求項
11に記載の支持体付きレジンシートからなる群より選択される1種以上で形成された積層体と、該積層体の片面又は両面に配された金属箔とを有
し、
プリント配線板用である、
金属箔張積層板。
【請求項13】
金属箔張積層板から金属箔が除去された基板の波長400~2000nmの範囲における透過率が、0.1%以下である、
請求項
12に記載の金属箔張積層板。
【請求項14】
請求項
10に記載のプリプレグをビルドアップ材料として用いて作製された、
プリント配線板。
【請求項15】
請求項
11に記載の支持体付きレジンシートをビルドアップ材料として用いて作製された、
プリント配線板。
【請求項16】
請求項
12又は13に記載の金属箔張積層板をビルドアップ材料として用いて作製された、
プリント配線板。
【請求項17】
絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された導体層とを含むプリント配線板であって、該絶縁層が請求項1~
9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、
プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、プリプレグ、支持体付きレジンシート、金属箔張積層板、及びプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の用途として、近年、ディスプレイやセンサー基板向けに、可視光から近赤外光(波長400~2000nm)の遮光性に優れる材料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可視光から近赤外光の遮光性に優れる黒色粉末としては、カーボン粒子がある。例えば、特許文献1は、熱硬化性樹脂、カーボン粒子、熱硬化性触媒を必須成分とする光遮断性に優れた熱硬化性樹脂組成物を開示している。一方、カーボン粒子は電気伝導性が高いため、そのまま使用すると、周囲の導電性デバイスとの間で短絡が生じることがある。これに対し、特許文献1では、カーボン粒子の表面を熱硬化性樹脂で被覆することで絶縁性を向上させる方法を開示しているが、この様な加工は、製品コストをアップさせる要因となる。また、特許文献1には、カーボン粒子の表面を被覆しないで、プリプレグとした場合、遮光性に劣ることも開示されている。
【0005】
そこで、本発明では、成形性、可視光から近赤外光の遮光性、及び絶縁抵抗性に優れた樹脂組成物、プリプレグ、支持体付きレジンシート、金属箔張積層板、及びプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、エポキシ化合物(A)と、硬化剤(B)と、特定量の窒化ジルコニウム(C)とを含む樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち、本発明は次のとおりである。
[1]
エポキシ化合物(A)と、硬化剤(B)と、窒化ジルコニウム(C)とを含み、前記窒化ジルコニウム(C)の含有量が、前記エポキシ化合物(A)と前記硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、1~30質量部である、樹脂組成物。
[2]
前記窒化ジルコニウム(C)が、一次粒子径が20~50nmの粒子を含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記エポキシ化合物(A)が、下記式(I)で表される化合物を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
【化1】
(式(I)中、n1は1以上の整数を表す。)
[4]
前記硬化剤(B)が、フェノール化合物(D)及び/又はシアン酸エステル化合物(E)を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
前記フェノール化合物(D)が、下記式(II)又は式(III)で表される化合物を含む、[4]に記載の樹脂組成物。
【化2】
(式(II)中、n2は1以上の整数を表す。)
【化3】
(式(III)中、R
1、R
2は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、n3は1以上の整数を表す。)
[6]
前記シアン酸エステル化合物(E)が、下記式(VI)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、及び/又は、下記式(VII)で表されるノボラック型シアン酸エステル化合物を含む、
[4]に記載の樹脂組成物。
【化4】
(上記式(VI)中、R
5は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、n6は1以上の整数を示す。)
【化5】
(上記式(VII)中、R
6は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、n7は1以上の整数を示す。)
[7]
マレイミド化合物(F)をさらに含む、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]
前記マレイミド化合物(F)が、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2’-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、下記式(IV)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(V)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上を含む、[7]に記載の樹脂組成物。
【化6】
(式(IV)中、R
3は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、n4は1以上の整数を表す。)
【化7】
(式(V)中、R
4は、各々独立に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はフェニル基を表し、n5は、平均値であり、1<n5≦5を表す。)
[9]
無機充填材(G)を更に含む、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]
前記無機充填材(G)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上を含む、[9]に記載の樹脂組成物。
[11]
プリント配線板用である、
[1]~[10]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[12]
基材と、該基材に含浸又は塗布された[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物とを有する、プリプレグ。
[13]
支持体と、該支持体の片面または両面に積層された[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物とを有する、支持体付きレジンシート。
[14]
[12]に記載のプリプレグ及び[13]に記載の支持体付きレジンシートからなる群より選択される1種以上で形成された積層体と、該積層体の片面又は両面に配された金属箔とを有する、金属箔張積層板。
[15] 金属箔張積層板から金属箔が除去された基板の波長400~2000nmの範囲における透過率が、0.1%以下である、[14]に記載の金属箔張積層板。
[16]
[12]に記載のプリプレグをビルドアップ材料として用いて作製されたプリント配線板。
[17]
[13]に記載の支持体付きレジンシートをビルドアップ材料として用いて作製されたプリント配線板。
[18]
[14]又は[15]に記載の金属箔張積層板をビルドアップ材料として用いて作製されたプリント配線板。
[19]
絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された導体層とを含むプリント配線板であって、該絶縁層が[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、プリント配線板。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、成形性、可視光から近赤外光の遮光性(透過率)、及び絶縁抵抗性(絶縁抵抗値)に優れた樹脂組成物、プリプレグ、金属箔張積層板、樹脂シート、及びプリント配線板を提供可能できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0010】
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)と、硬化剤(B)と、窒化ジルコニウム(C)とを含み、窒化ジルコニウム(C)の含有量が、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、1~30質量部である。このような構成をとることにより、本実施形態の樹脂組成物は、成形性、可視光から近赤外光の遮光性(透過率)、及び絶縁抵抗性(絶縁抵抗値)に優れる特徴を有する。また、本実施形態の樹脂組成物は、耐湿熱試験後の絶縁抵抗性にも優れる。以下、本実施形態の樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
【0011】
(窒化ジルコニウム(C))
本実施形態の樹脂組成物は、窒化ジルコニウム(C)を含有する。窒化ジルコニウム(C)としては、特に限定されないが、一次粒子径が20~50nmの粒子を含むことが好ましい。一次粒子径が20nm以上の粒子を含むことにより、窒化ジルコニウム(C)粒子の分散性が優れる傾向にあり、一次粒子径が50nm以下の粒子を含むことにより、成形性が優れる傾向にある。一次粒子径は、電子顕微鏡観察などの方法で測定できる。
【0012】
このような窒化ジルコニウム(C)としては、市販品を使用することができ、例えば、三菱マテリアル株式会社製「NITRBLACK(登録商標)UB-1」を用いることができる。
【0013】
本実施形態の樹脂組成物における窒化ジルコニウム(C)の含有量は、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、1~30質量部である。樹脂組成物中の窒化ジルコニウム(C)の含有量は、5~25質量部であることが好ましく、5~20質量部であることがより好ましい。窒化ジルコニウム(C)の含有量が、1質量部以上であることにより、遮光性が優れる傾向にある。窒化ジルコニウム(C)の含有量が、30質量部以下であることにより、成形性が優れる傾向にある。
【0014】
(エポキシ化合物(A))
本実施形態の樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)を含有する。エポキシ化合物(A)としては、特に限定されないが、好ましくは1分子中にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物が挙げられる。このようなエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂)、ジアリルビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジアリルビスフェノールE型エポキシ樹脂、ジアリルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジアリルビスフェノールS型エポキシ樹脂等)、フェノール類ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を含有するビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を含有するナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン骨格を含有するアントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、イソシアヌレート環含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型構造単位と炭化水素系構造単位からなるエポキシ樹脂、これらのハロゲン化合物が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
これらの中でも、エポキシ化合物(A)は、成形性に加えて、線熱膨張係数(CTE)、ガラス転移温度(Tg)、銅箔ピール強度、耐熱性に一層優れる観点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂としては、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
【化8】
式(I)中、n1は1以上の整数を表す。n1の上限値は、好ましくは10であり、より好ましくは7である。
【0016】
本実施形態の樹脂組成物におけるエポキシ化合物(A)の含有量は、特に限定されないが、成形性に加えて、ガラス転移温度(Tg)、耐熱性、及び線熱膨張率(CTE)に一層優れる観点から、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、30~70質量部であることが好ましく、35~65質量部であることがより好ましく、40~60質量部であることが特に好ましい。なお、2種以上のエポキシ化合物(A)を併用する場合、これらの合計量が上記値を満たすことが好ましい。
【0017】
(硬化剤(B))
本実施形態における硬化剤(B)としては、一般にエポキシ化合物の硬化剤として用いられている化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール化合物(D)、シアン酸エステル化合物(E)、酸無水物、及びアミン化合物からなる群より選択される1種以上を好適に用いることができる。硬化剤(B)は、これらの中でも、フェノール化合物(D)及び/又はシアン酸エステル化合物(E)を含むことより好ましい。
【0018】
(フェノール化合物(D))
フェノール化合物(D)としては、特に限定されないが、1分子中にフェノール基を2つ以上有するフェノール化合物が好ましい。そのようなフェノール化合物としては、例えば、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、ジアリルビスフェノール類(例えば、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールE、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールS等)、ビスフェノール型フェノール樹脂(例えば、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールE型樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールS型樹脂等)、フェノール類ノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等)、グリシジルエステル型フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、フェノール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。これらのフェノール化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
これらの中でも、フェノール化合物(D)は、成形性に加えて、線熱膨張率(CTE)、ガラス転移温度(Tg)、耐熱性、及び低吸水性に一層優れる観点から、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、及び/又はナフタレン型フェノール樹脂を含むことが好ましい。
【0020】
ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、又はナフタレン型フェノール樹脂としては、下記式(II)又は式(III)で表される化合物を含むことが好ましい。
【化9】
式(II)中、n2は1以上の整数を表す。n2の上限値は、好ましくは10、より好ましくは7であり、さらに好ましくは6である。
【化10】
式(III)中、R
1、R
2は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、n3は1以上の整数を表す。n3の上限値は、好ましくは10、より好ましくは7であり、さらに好ましくは6である。
【0021】
本実施形態の樹脂組成物におけるフェノール化合物(D)の含有量は、特に限定されないが、成形性に加えて、線熱膨張率(CTE)、ガラス転移温度(Tg)、耐熱性、及び低吸水性に一層優れる観点から、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、30~70質量部であることが好ましく、35~65質量部であることがより好ましく、40~60質量部であることが特に好ましい。なお、2種以上のフェノール化合物(D)を併用する場合、これらの合計量が上記値を満たすことが好ましい。
【0022】
(シアン酸エステル化合物(E))
シアン酸エステル化合物(E)としては、芳香族環にシアン酸エステル基(シアナト基)が直接結合している化合物であれば、特に限定されず、例えば、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(ナフトールアラルキル型シアネート)、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、キシレン樹脂型シアン酸エステル化合物、トリスフェノールメタン型シアン酸エステル化合物、及びアダマンタン骨格型シアン酸エステル化合物が挙げられる。これらの中でも、めっき密着性及び低吸水性がより一層向上する観点から、シアン酸エステル化合物(E)は、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、ノボラック型シアン酸エステル化合物、及びキシレン樹脂型シアン酸エステル化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物又はノボラック型シアン酸エステル化合物であることがより好ましい。これらのシアン酸エステル化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのシアン酸エステル化合物は、公知の方法により調製してもよく、市販品を用いてもよい。
【0023】
ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(VI)で表される化合物が好ましい。
【化11】
式(VI)中、R
5は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、水素原子が好ましい。また、式(VI)中、nは1以上の整数を示す。n6の上限値は、好ましくは10であり、より好ましくは6である。
【0024】
また、ノボラック型シアン酸エステル化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(VII)で表される化合物が好ましい。
【化12】
(上記式(VII)中、R6は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、この中でも水素原子が好ましい。また、上記式(VII)中、n7は1以上の整数を示す。n7の上限値は、好ましくは10であり、より好ましくは7である。)
【0025】
本実施形態の樹脂組成物におけるシアン酸エステル化合物(E)の含有量は、特に限定されないが、成形性に加えて、めっき密着性、及び低吸水性に一層優れる観点から、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、30~70質量部であることが好ましく、35~65質量部であることがより好ましく、40~60質量部であることが特に好ましい。なお、2種以上のシアン酸エステル化合物(E)を併用する場合、これらの合計量が上記値を満たすことが好ましい。
【0026】
本実施形態の樹脂組成物は、フェノール化合物(D)とシアン酸エステル化合物(E)の両方を、硬化剤(B)として含んでいてもよい。この場合、フェノール化合物(D)とシアン酸エステル化合物(E)の合計含有量は、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、30~70質量部であることが好ましく、35~65質量部であることがより好ましく、40~60質量部であることが特に好ましい。フェノール化合物(D)とシアン酸エステル化合物(E)の合計含有量が上記範囲内であることにより、成形性が向上する傾向にある。
【0027】
(マレイミド化合物(F))
本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物(F)をさらに含むことが好ましい。マレイミド化合物(F)としては、1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、N-フェニルマレイミド、N-ヒドロフェニルマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2’-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、下記式(IV)で表されるマレイミド化合物、下記式(V)で表されるマレイミド化合物などが挙げられる。上記したマレイミド化合物は、モノマー形態だけでなく、プレポリマーの形態であってもよく、また、マレイミド化合物とアミン化合物とのプレポリマーなどの形態であってもよい。これらのマレイミド化合物(F)は、1種を単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0028】
これらのなかでも、耐熱性の観点から、マレイミド化合物(F)は、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2’-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、下記式(IV)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(V)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【化13】
式(IV)中、R
3は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、ともにメチル基であることが好ましい。n4は1以上の整数を表す。n4の上限値は、好ましくは10であり、より好ましくは7であり、更に好ましくは6である。
【化14】
式(V)中、R
4は、各々独立に水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はフェニル基を表し、水素原子、メチル基又はフェニル基であることが好ましい。n5は、平均値であり、1<n5≦5を表す。
【0029】
本実施形態の樹脂組成物におけるマレイミド化合物(F)の含有量は、特に限定されないが、エポキシ化合物(A)及び硬化剤(B)の合計含有量100質量部に対して、好ましくは5~35質量部であり、より好ましくは10~30質量部であり、さらに好ましくは15~20質量部である。なお、2種以上のマレイミド化合物(F)を併用する場合、これらの合計量が上記値を満たすことが好ましい。
【0030】
(その他の樹脂)
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の作用効果を阻害しない限り、以下に示すその他の樹脂を含有してもよい。その他の樹脂としては、上述したエポキシ化合物(A)、硬化剤(B)、マレイミド化合物(F)以外の、重合可能な不飽和基を有する化合物、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物等が挙げられる。重合可能な不飽和基を有する化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル等のビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価又は多価アルコールの(メタ)アクリレート類;ベンゾシクロブテン樹脂等が挙げられる。オキセタン樹脂としては、例えば、オキセタン、2-メチルオキセタン、2,2-ジメチルオキセタン、3-メチルオキセタン、3,3-ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3-メチル-3-メトキシメチルオキセタン、3,3’-ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2-クロロメチルオキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、東亜合成株式会社製品の「OXT-101」、「OXT-121」等が挙げられる。ベンゾオキサジン化合物としては、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であればよく、例えば、小西化学株式会社製品の「ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF-BXZ」「ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS-BXZ」等が挙げられる。
【0031】
(無機充填材(G))
本実施形態の樹脂組成物は、上記窒化ジルコニウム(C)以外の無機充填材(G)を更に含んでいてもよい。そのような無機充填材(G)としては、シリカ類、ケイ素化合物(例えば、ホワイトカーボン等)、金属酸化物(例えば、アルミナ、チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等)、窒化ジルコニウム(C)以外の金属窒化物(例えば、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等)、金属硫酸化物(例えば、硫酸バリウム等)、金属水酸化物(例えば、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(例えば、水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等)、モリブデン化合物(例えば、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等)、モリブデン酸亜鉛を、タルク、酸化亜鉛又は炭酸カルシウムに担持したもの、亜鉛化合物(例えば、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛等)、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、E-ガラス、A-ガラス、NE-ガラス、C-ガラス、L-ガラス、D-ガラス、S-ガラス、M-ガラスG20、ガラス短繊維(Eガラス、Tガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等のガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラス等が挙げられる。これらの無機充填材は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
これらの中でも、無機充填材(G)は、線熱膨張係数(CTE)、曲げ弾性率、難燃性に一層優れる観点から、シリカ、金属水酸化物、及び金属酸化物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上を含むことがより好ましく、シリカ、ベーマイト、モリブデン酸亜鉛、及びアルミナからなる群より選択される1種以上を含むことが更に好ましく、シリカであることが特に好ましい。
【0033】
シリカとしては、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、中空シリカ等が挙げられる。これらの中でも、溶融シリカであることが好ましい。
【0034】
無機充填材(G)の含有量は、特に限定されないが、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、100~250質量部であることが好ましい。無機充填材(G)の含有量が、100質量部以上であることにより、線熱膨張係数(CTE)、曲げ弾性率、難燃性に優れる傾向にある。無機充填材(G)の含有量が、250質量部以下であると、流動特性に優れ、成形性が良好な傾向にあり、プリント配線板の用途として適する。同様の観点から、無機充填材(G)の含有量は、110~200質量部であることがより好ましく、110~150質量部であることが更に好ましい。なお、2種以上の無機充填材(G)を併用する場合、これらの合計量が上記値を満たすことが好ましい。
【0035】
(シランカップリング剤)
本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤を更に含んでいてもよい。本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有することにより、前記窒化ジルコニウム(C)や無機充填材(G)の分散性に一層優れたり、本実施形態の樹脂組成物の各成分と、後述する基材との接着強度に一層優れたりする傾向にある。
【0036】
シランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されるシランカップリング剤が挙げられ、アミノシラン系化合物(例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等)、エポキシシラン系化合物(例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、アクリルシラン系化合物(例えば、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、カチオニックシラン系化合物(例えば、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等)、フェニルシラン系化合物等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、シランカップリング剤は、エポキシシラン系化合物であることが好ましい。エポキシシラン系化合物としては、例えば、信越化学工業株式会社製品の「KBM-403」、「KBM-303」、「KBM-402」、「KBE-403」等が挙げられる。
【0037】
シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、0.1~10.0質量部程度であってもよく、0.5~8.0質量部であることが好ましく、1.0~6.0質量部であることがより好ましい。
【0038】
(湿潤分散剤)
本実施形態の樹脂組成物は、湿潤分散剤を更に含んでいてもよい。本実施形態の樹脂組成物は、湿潤分散剤を含有することにより、前記窒化ジルコニウム(C)や無機充填材(G)の分散性に一層優れる傾向にある。
【0039】
湿潤分散剤としては、無機充填材(G)を分散させるために用いられる公知の分散剤(分散安定剤)であればよく、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製品の「DISPERBYK-110」、「DISPERBYK-111」、「DISPERBYK-118」、「DISPERBYK-180」、「DISPERBYK-161」、「BYK-W996」、「BYK-W9010」、「BYK-W903」等が挙げられる。
【0040】
湿潤分散剤の含有量は、特に限定されないが、前記窒化ジルコニウム(C)や無機充填材(G)の分散性に一層優れる観点から、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、0.1~5.0質量部であることが好ましく、0.2~3.0質量部であることがより好ましく、0.5~1.5質量部であることが更に好ましい。
【0041】
(硬化促進剤)
本実施形態の樹脂組成物は、硬化促進剤をさらに含んでいてもよい。硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、後述するイミダゾール化合物;過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチル-ジ-パーフタレートなどの有機過酸化物;アゾビスニトリルなどのアゾ化合物;N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルトルイジン、2-N-エチルアニリノエタノール、トリ-n-ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N-メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N-メチルピペリジンなどの第3級アミン類;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどのフェノール類;ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫マレート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトン鉄などの有機金属塩;これら有機金属塩をフェノール、ビスフェノールなどの水酸基含有化合物に溶解してなるもの;塩化錫、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの無機金属塩;ジオクチル錫オキサイド、その他のアルキル錫、アルキル錫オキサイドなどの有機錫化合物などが挙げられる。
【0042】
本実施形態の樹脂組成物は、硬化促進剤として、イミダゾール化合物を含むことが好ましい。イミダゾール化合物としては、硬化性に優れる観点から、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等が挙げられる。これらのなかでも、イミダゾール化合物は、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、及び/又は2-フェニル-4-メチルイミダゾールが好ましく、2,4,5-トリフェニルイミダゾールであることがより好ましい。
【0043】
イミダゾール化合物の含有量は、特に限定されないが、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)の合計量100質量部に対して、0.1~10質量部程度であってもよく、本発明の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、0.2~5.0質量部であることが好ましく、0.3~1.0質量部であることがより好ましい。
【0044】
(溶剤)
本実施形態の樹脂組成物は、溶剤を含んでいてもよい。本実施形態の樹脂組成物は、溶剤を含むことにより、樹脂組成物の調製時における粘度が下がり、ハンドリング性(取り扱い性)に一層優れたり、基材への含浸性に一層優れる傾向にある。
【0045】
溶剤としては、樹脂組成物中の各成分の一部又は全部を溶解可能であれば、特に限定されないが、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアルデヒド等)、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテート等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
(透過率)
本実施形態の樹脂組成物は、当該樹脂組成物を用いて得られる金属箔張積層板から金属箔が除去された基板の波長400~2000nmの範囲における透過率が、好ましくは0.1%以下である。透過率の下限は特に制限されないが、検出限界以下であることが好ましい。透過率が0.1%以下であることにより、十分な遮光性を有する。透過率は、窒化ジルコニウム(C)の含有量及び窒化ジルコニウム(C)の粒子径等により調整することができる。透過率は、実施例に記載の測定方法により測定することができる。
【0047】
(樹脂組成物の製造方法)
本実施形態の樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されず、例えば、各成分を一括的に又は逐次的に溶剤に配合し、撹拌する方法が挙げられる。この際、各成分を均一に溶解又は分散せるために、撹拌、混合、混練処理等の公知の処理が用いられる。
【0048】
[用途]
本実施形態の樹脂組成物は、プリプレグ、レジンシート、積層板、金属箔張積層板、又はプリント配線板用として好適に用いることができる。以下、プリプレグ、レジンシート、積層板、金属箔張積層板、及びプリント配線板について説明する。
【0049】
[プリプレグ]
本実施形態のプリプレグは、基材と、該基材に含浸又は塗布された本実施形態の樹脂組成物とを含む。本実施形態のプリプレグは、本実施形態の樹脂組成物を用いて公知の方法によって得られるプリプレグであってよく、具体的には、本実施形態の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布させた後、100~200℃の条件にて加熱乾燥させることにより半硬化(Bステージ化)させて得ることができる。
【0050】
本実施形態のプリプレグは、半硬化状態のプリプレグを200~230℃の加熱温度及び60~180分の加熱時間の条件で熱硬化させて得られる硬化物の形態も包含する。
【0051】
本実施形態のプリプレグにおける、本実施形態の樹脂組成物の含有量は、プリプレグの総量に対して、固形分換算で、好ましくは30~90質量%であり、より好ましくは35~85質量%であり、更に好ましくは40~80質量%である。樹脂組成物の含有量が上記範囲内であることにより、成形性がより向上する傾向にある。なお、プリプレグの固形分は、プリプレグ中から溶剤を取り除いた成分をいい、例えば、充填材は、プリプレグの固形分に含まれる。
【0052】
(基材)
基材としては、特に限定されず、例えば、各種プリント配線板の材料に用いられている公知の基材が挙げられる。基材の具体例としては、ガラス基材、ガラス以外の無機基材(例えば、クォーツ等のガラス以外の無機繊維で構成された無機基材)、有機基材(例えば、全芳香族ポリアミド、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール、ポリイミド等の有機繊維で構成された有機基材)等が挙げられる。これらの基材は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、剛性を一層向上させたり、加熱寸法安定性に一層優れたりする観点から、ガラス基材が好ましい。
【0053】
ガラス基材を構成する繊維としては、例えば、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Tガラス、Qガラス、Lガラス、NEガラス、HMEガラス等が挙げられる。これらの中でも、ガラス基材を構成する繊維は、強度と低吸水性に一層優れる観点から、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Tガラス、Qガラス、Lガラス、NEガラス、及びHMEガラスからなる群より選択される1種以上の繊維であることが好ましい。
【0054】
基材の形態としては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形態が挙げられる。織布の織り方としては、特に限定されないが、例えば、平織り、ななこ織り、綾織り等が知られており、これら公知のものから目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。また、これらを開繊処理したものやシランカップリング剤等で表面処理したガラス織布が好適に使用される。基材の厚さや質量は、特に限定されないが、通常は0.01~0.3mm程度のものが好適に用いられる。
【0055】
[レジンシート]
本実施形態のレジンシートは、本実施形態の樹脂組成物を含む。レジンシートの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、本実施形態の樹脂組成物を支持体上に塗布して乾燥させ、乾燥後に、支持体を剥離又はエッチングすることで、レジンシートを得る方法、または、本実施形態の樹脂組成物を、シート状のキャビティを有する金型内に供給して乾燥する等によりシート状に成形する方法が挙げられる。
【0056】
また、本実施形態のレジンシートは、支持体と、該支持体の片面または両面に積層された、本実施形態の樹脂組成物と、を有するものであってもよい。このようなレジンシートは、支持体付きレジンシートともいう。支持体付きレジンシートは、薄葉化の1つの手段として用いられるもので、例えば、金属箔やフィルムなどの支持体に、直接、プリプレグ等に用いられる樹脂組成物(充填材を含む)を塗布及び乾燥して製造することができる。
【0057】
支持体としては、特に限定されないが、各種プリント配線板材料に用いられている公知の物もの使用することができる。例えばポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、アルミ箔、銅箔、金箔、ガラス板、SUS板など挙げられる。その中でも電解銅箔、PETフィルムが好ましい。
【0058】
樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、溶剤を含ませて溶液状態にした本実施形態の樹脂組成物を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布する方法が挙げられる。
【0059】
支持体付きレジンシートは、本実施形態の樹脂組成物を支持体に塗布後、半硬化(Bステージ化)させたものであることが好ましい。具体的には、例えば、本実施形態の樹脂組成物を銅箔などの支持体に塗布した後、20~200℃の乾燥機中で、1~90分加熱させる方法などにより半硬化させ、支持体付きレジンシートを製造する方法などが挙げられる。支持体に対する組成物の付着量は、樹脂層の厚さで0.1~500μmの範囲が好ましい。
【0060】
[積層板]
本実施形態の積層板は、本実施形態のプリプレグ又は支持体付きレジンシートを有する。本実施形態の積層板は、プリプレグもしくは支持体付きレジンシートを1つ又は複数含み、複数含む場合には、プリプレグ及び/又は支持体付きレジンシートが積層された形態を有する。本実施形態の積層板は、本実施形態のプリプレグ又は支持体付きレジンシートを有することにより、耐熱性、耐薬品性、低吸水性及び電気特性に優れる。積層板の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、上述したプリプレグ同士や、プリプレグと他の層を積層し、加熱加圧成形することで積層板を得ることができる。このとき、加熱する温度は、特に限定されないが、65~300℃が好ましく、120~270℃がより好ましい。また、加圧する圧力は、特に限定されないが、2~5MPaが好ましく、2.5~4MPaがより好ましい。本実施形態の積層板は、金属箔からなる層をさらに備えることにより、後述する金属箔張積層板として好適に用いることができる。
【0061】
[金属箔張積層板]
本実施形態の金属箔張積層板は、本実施形態のプリプレグ及びレジンシートからなる群より選択される1種以上で形成された積層体と、該積層体の片面又は両面に配された金属箔とを有する。本実施形態の金属箔張積層板は、プリプレグ及び支持体付きレジンシートからなる群より選択される1つ又は複数を含む。プリプレグ及び支持体付きレジンシートからなる群より選択されるものの数が1つである場合には、金属箔張積層板は、プリプレグもしくは支持体付きレジンシートの片面又は両面に金属箔が配置された形態を有する。プリプレグ及び支持体付きレジンシートからなる群より選択されるものの数が複数である場合には、金属箔張積層板は、積層したプリプレグ及び支持体付きレジンシートからなる群より選択される1種以上で形成された積層体(例えば、プリプレグの積層体、プリプレグと支持体付きレジンシートの積層体)の片面又は両面に金属箔が配置された形態を有する。本実施形態の金属箔張積層板は、本実施形態のプリプレグ及び支持体付きレジンシートからなる群より選択される1種以上を有することにより、耐熱性、耐薬品性、低吸水性及び電気特性に優れる。
【0062】
金属箔(導体層)としては、各種プリント配線板材料に用いられる金属箔であればよく、例えば、銅、アルミニウム等の金属箔が挙げられ、銅の金属箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等の銅箔が挙げられる。導体層の厚みは、例えば、1~70μmであり、好ましくは1.5~35μmである。
【0063】
金属箔張積層板の成形方法及びその成形条件は、特に限定されず、一般的なプリント配線板用積層板及び多層板の手法及び条件を適用することができる。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機等を用いることができる。また、金属箔張積層板の成形(積層成形)において、温度は100~300℃、圧力は面圧2~100kgf/cm2、加熱時間は0.05~5時間の範囲が一般的である。さらに、必要に応じて、150~300℃の温度で後硬化を行うこともできる。特に多段プレス機を用いた場合は、プリプレグ又は支持体付きレジンシートの硬化を十分に促進させる観点から、温度200℃~250℃、圧力10~40kgf/cm2、加熱時間80分~130分が好ましく、温度215℃~235℃、圧力25~35kgf/cm2、加熱時間90分~120分がより好ましい。また、上述のプリプレグ又は支持体付きレジンシートと、別途作成した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板とすることも可能である。
【0064】
本実施形態の金属箔張積層板は、当該金属箔張積層板から金属箔が除去された基板の波長400~2000nmの範囲における透過率が、好ましくは0.1%以下である。透過率の下限は特に制限されないが、検出限界以下であることが好ましい。透過率が0.1%以下であることにより、十分な遮光性を有する。透過率は、窒化ジルコニウム(C)の含有量及び窒化ジルコニウム(C)の粒子径等により調整することができる。透過率は、実施例に記載の測定方法により測定することができる。なお、実施例における透過率の測定は、測定条件を特定する観点から、Eガラス織布を用いた金属箔張積層板を用いて行ったが、本実施形態の樹脂組成物を用いてプリプレグを形成する際の基材は特に限定されるものではなく、上述した各種基材を用いることができる。
【0065】
[プリント配線板]
本実施形態のプリント配線板は、絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された導体層とを含み、該絶縁層が本実施形態の樹脂組成物を含む。本実施形態のプリント配線板は、例えば、本実施形態の金属箔張積層板の金属箔を所定の配線パターンにエッチングして導体層とすることにより形成できる。
【0066】
また、本実施形態のプリント配線板は、本実施形態のプリプレグをビルドアップ材料として用いて作製することができる。また、本実施形態のプリント配線板は、本実施形態のレジンシートをビルドアップ材料として用いて作製することができる。さらに、本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の金属箔張積層板をビルドアップ材料として用いて作製することができる。すなわち、本実施形態のプリント配線板は、本実施形態のプリプレグ及び支持体付きレジンシートからなる群より選択される1種以上を有していてもよい。この場合、絶縁層は、本実施形態のプリプレグ及び支持体付きレジンシートからなる群より選択される1種以上で構成される。
【0067】
本実施形態のプリント配線板は、具体的には、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、本実施形態の金属箔張積層板を用意する。金属箔張積層板の金属箔を所定の配線パターンにエッチングして導体層(内層回路)を有する内層基板を作成する。次に、内層基板の導体層(内装回路)表面に、所定数のプリプレグ又は支持体付きレジンシートと、外層回路用の金属箔とをこの順序で積層し、加熱加圧して一体成形(積層成形)することにより、積層体を得る。この場合、内層基板の導体層(内装回路)表面に積層されるプリプレグ又は支持体付きレジンシートがビルドアップ材料に相当する。尚、積層成形の方法及びその成形条件は、上記の積層板及び金属箔張積層板における積層成形の方法及びその成形条件と同様である。次に、積層体にスルーホール、バイアホール用の穴あけ加工を施し、これにより形成された穴の壁面に導体層(内装回路)と、外層回路用の金属箔とを導通させるためのめっき金属皮膜を形成する。次に、外層回路用の金属箔を所定の配線パターンにエッチングして導体層(外層回路)を有する外層基板を作成する。このようにしてプリント配線板が製造される。
【0068】
また、金属箔張積層板を用いない場合には、上記プリプレグ上に、回路となる導体層を形成しプリント配線板を作製してもよい。この際、導体層の形成に無電解めっきの手法を用いることもできる。
【実施例】
【0069】
以下に実施例及び比較例を用いて本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されない。
【0070】
[物性評価]
実施例及び比較例で得たワニス又はプリプレグを用いて、以下の各項目に示す手順により物性評価用のサンプルを作製し、成形性、透過率、及び絶縁抵抗値の、物性評価を行った。
【0071】
(成形性)
各実施例および比較例で得られたプリプレグに対して、厚さ12μmの電解銅箔(三井金属鉱業株式会社製、「3EC-LPIII」)を上下に配置し、圧力30kgf/cm2、温度220℃で120分間の積層成形を行い、絶縁層厚さ0.1mmの銅箔張積層板を得た。エッチングにより、銅箔張積層板の銅箔を全て除去した後、ボイドの有無を目視で判定した。結果を表1及び表2に示す。各符号は、以下の通りとした。
○:ボイドなし。
×:ボイドあり。
【0072】
(透過率)
各実施例および比較例で得られたプリプレグに対して、厚さ12μmの電解銅箔(三井金属鉱業(株)製、3EC-LPIII)を上下に配置し、圧力30kgf/cm2、温度220℃で120分間の積層成形を行い、絶縁層厚さ0.1mmの銅箔張積層板を得た。エッチングにより銅箔張積層板の銅箔を全て除去した後、50×50mmのサイズに切り出したサンプルを、日立ハイテクノロジー製、分光光度計U-4100を用いて、波長400~2000nmの透過率を測定した。結果を表1及び表2に示す。各符号は、以下の通りとした。
○:400~2000nmの透過率が0.1%以下であった。
×:400~2000nmの透過率が0.1%超過であった。
【0073】
(絶縁抵抗性値)
各実施例および比較例で得られたプリプレグを8枚重ね、厚さ12μmの電解銅箔(三井金属鉱業(株)製、3EC-LPIII)を上下に配置し、圧力30kgf/cm2、温度220℃で120分間の積層成形を行い、絶縁層厚さ0.8mmの銅箔張積層板を得た。エッチングにより銅箔張積層板の銅箔を全て除去した後、20×40mmのサイズに切り出したサンプルを、常態(25℃、1気圧)、及びプレッシャークッカー試験機(平山製作所製、PC-3型)で121℃、2気圧で24時間処理(耐湿熱性試験)後に、500VのDCを印加して、60秒後に端子間の絶縁抵抗値を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0074】
[合成例1]
α-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(SN495VCN)の合成
α-ナフトールアラルキル樹脂(新日鐵化学株式会社製、「SN495V」、OH基当量:236g/eq.:ナフトールアラルキルの繰り返し単位数nは1~5のものが含まれる。)0.47モル(OH基換算)を、クロロホルム500mlに溶解させ、この溶液にトリエチルアミン0.7モルを添加した(溶液1)。温度を-10℃に保ちながら、0.93モルの塩化シアンを溶解させたクロロホルム溶液300gに、溶液1を1.5時間かけて滴下し、滴下終了後、30分撹拌した。その後さらに、0.1モルのトリエチルアミンとクロロホルム30gの混合溶液を反応器内に滴下し、30分間撹拌して反応を完結させた。副生したトリエチルアミンの塩酸塩を反応液から濾別した後、得られた濾液を0.1N塩酸500mlで洗浄した後、水500mlでの洗浄を4回繰り返した。これを硫酸ナトリウムにより乾燥した後、75℃でエバポレートし、さらに90℃で減圧脱気することにより、褐色固形の上述の式(VI)で表される(式中のR5はすべて水素原子、n=1~5)α-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物を得た。得られたα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物を赤外吸収スペクトルにより分析したところ、2264cm-1付近にシアン酸エステル基の吸収が確認された。
【0075】
[実施例1]
エポキシ化合物(A)としてのビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂 (日本化薬株式会社製、「NC-3000FH」、エポキシ等量:320eq.)50質量部、ビス(3-エチル-5-メチル-4マレイミドフェニル)メタン(ケイ・アイ化成株式会社製、「BMI-70」)20質量部、硬化剤(B)としてのビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(日本化薬株式会社製、「GPH-103」)50質量部、湿潤分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、「DISPERBYK-161」)1質量部、無機充填材(G)としてのモリブデン酸亜鉛をタルクにコートしたもの(シャーウィン・ウイリアムズ・ケミカルズ製、「ケムガード911C」、モリブデン酸亜鉛担持量:10質量%)を10質量部、無機充填材(G)としての溶融シリカ(アドマテックス株式会社製、「SC4500SQ」、平均粒径1.5μm)120質量部、窒化ジルコニウム(三菱マテリアル株式会社製、「NITRBLACK(登録商標)UB-1」、一次粒子径20~50nm)10質量部、および2,4,5-トリフェニルイミダゾール(東京化成工業株式会社製、「TPIZ」)0.3質量部を配合(混合)し、その後メチルエチルケトンで希釈してワニス(樹脂組成物)を得た。このワニス(樹脂組成物)を厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、165℃で3分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。成形性、透過率、及び絶縁抵抗値の評価結果を表1に示した。
【0076】
[実施例2]
実施例1において、窒化ジルコニウム(三菱マテリアル株式会社製、「NITRBLACK(登録商標) UB-1」、一次粒子径20~50nm)10質量部を用いる代わりに、同窒化ジルコニウム5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。成形性、透過率、及び絶縁抵抗値の評価結果を表1に示した。
【0077】
[実施例3]
実施例1において、窒化ジルコニウム(三菱マテリアル株式会社製、「NITRBLACK(登録商標) UB-1」、一次粒子径20~50nm)10質量部を用いる代わりに、同窒化ジルコニウム20質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。成形性、透過率、及び絶縁抵抗値の評価結果を表1に示した。
【0078】
[実施例4]
実施例1において、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(日本化薬株式会社製、「GPH-103」)50質量部を用いる代わりに、硬化剤(B)として合成例1で得られたα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(「SN495VCN」、シアン酸エステル等量:261g/eq.)50質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂量50質量%のプリプレグを得た。成形性、透過率、及び絶縁抵抗値の評価結果を表1に示した。
【0079】
[実施例5]
実施例4において、ビス(3-エチル-5-メチル-4マレイミドフェニル)メタン(ケイ・アイ化成株式会社製、「BMI-70」)20質量部を用いなかった以外は、実施例4と同様にして、樹脂量50質量%のプリプレグを得た。成形性、透過率、及び絶縁抵抗値の評価結果を表1に示した。
【0080】
[比較例1]
実施例1において、窒化ジルコニウム(三菱マテリアル株式会社製、「NITRBLACK(登録商標) UB-1」)10質量部を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、樹脂量50質量%のプリプレグを得た。成形性、透過率、及び絶縁抵抗値の評価結果を表2に示した。
【0081】
[比較例2]
実施例1において、窒化ジルコニウム(三菱マテリアル株式会社製、「NITRBLACK(登録商標) UB-1」)10質量部を用いる代わりに、カーボン粒子(御国色素株式会社製、「MHIブラック#273」)10質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂量50質量%のプリプレグを得た。成形性、透過率、及び絶縁抵抗値の評価結果を表2に示した。
【0082】
[比較例3]
実施例4において、窒化ジルコニウム(三菱マテリアル株式会社製、「NITRBLACK(登録商標) UB-1」)10質量部を用いる代わりに、カーボン粒子(御国色素株式会社製、「MHIブラック#273」)10質量部を用いた以外は、実施例4と同様にして、樹脂量50質量%のプリプレグを得た。成形性、透過率、及び絶縁抵抗値の評価結果を表2に示した。
【0083】
[比較例4]
実施例5において、窒化ジルコニウム(三菱マテリアル株式会社製、「NITRBLACK(登録商標) UB-1」)10質量部を用いる代わりに、カーボン粒子(御国色素株式会社製、「MHIブラック#273」)10質量部を用いた以外は、実施例5と同様にして、樹脂量50質量%のプリプレグを得た。成形性、透過率、及び絶縁抵抗値の評価結果を表2に示した。
【0084】
【0085】
【0086】
表1及び表2から明らかなように、実施例1~5の樹脂組成物を用いて得た銅箔張積層板は、いずれも、成形性、可視光から近赤外光の遮光性(透過率)、および絶縁抵抗性(絶縁抵抗値)が優れている。また、絶縁抵抗性は、耐湿熱性試験後も良好であった。これに対し、比較例1の樹脂組成物は、窒化ジルコニウムを含有しないため、遮光性に劣る。比較例2~4の樹脂組成物は、窒化ジルコニウムの代わりに、カーボン粒子を使用しているため、成形性及び絶縁抵抗性に劣っている。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の樹脂組成物は、プリント配線板等の製造に用いる材料として産業上の利用可能性を有する。