(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/63 20230101AFI20240910BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240910BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240910BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20240910BHJP
【FI】
H04N23/63
H04N23/63 300
H04N23/60 500
H04N23/60 300
G03B15/00 Q
G03B17/18
(21)【出願番号】P 2021524714
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2020017943
(87)【国際公開番号】W WO2020246181
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2019106828
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】森 一晃
(72)【発明者】
【氏名】沼田 知己
【審査官】村山 絢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/164915(WO,A1)
【文献】特開2014-165855(JP,A)
【文献】特開2009-253567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
G03B 15/00
G03B 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像に基づく第一フレームレート画像と、前記第一フレームレート画像よりもフレームレートの低い第二フレームレート画像とを生成する画像生成部と、
前記画像生成部が生成した前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像とが表示部の異なる表示領域に表示されるように出力する出力部と、を備
え、
前記出力部は、
前記第二フレームレート画像を領域分割して得られる複数の分割画像を単一の伝送路に時分割出力する処理として、前記第一フレームレート画像の1フレームごとに、前記複数の分割画像のうちの一の分割画像を対応させて前記伝送路に出力する処理を行う
画像処理装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、
前記第二フレームレート画像として、ユーザに対する通知情報を表す画像を生成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
操作に応じて前記通知情報を前記表示部に表示するモードと非表示にするモードとの切替えが可能とされ、
前記画像生成部は、
前記通知情報を表示するモードにおいて、前記通知情報を表す前記第二フレームレート画像の生成を行う
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像生成部は、
前記通知情報の更新タイミングを契機に前記第二フレームレート画像のフレーム更新を行う
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像生成部は、
前記通知情報を表す前記第二フレームレート画像を、前記表示部における前記第一フレームレート画像の表示領域の外周の表示領域に表示される画像として生成する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像生成部は、
前記撮像画像における一部の領域の画像を前記第一フレームレート画像として生成し、前記撮像画像における前記一部の領域以外の領域の画像を前記第二フレームレート画像として生成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像生成部は、
前記撮像画像における特定被写体の検出領域の画像を前記第一フレームレート画像として生成する
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像生成部は、
前記撮像画像における動体の検出領域の画像を前記第一フレームレート画像として生成する
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記出力部は、
前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像の表示領域を指示する情報を前記表示部に出力する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記出力部が出力した前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像とを合成して表示する前記表示部を備えた
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記画像生成部は、
前記撮像画像における前記第一フレームレート画像とする領域を、ユーザの操作に基づき設定する
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記画像生成部は、
前記撮像画像を表示する画面上における位置を指定する操作に基づき前記第一フレームレート画像とする領域を設定する
請求項
11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記画面上における位置を指定する操作が前記画面をタッチする操作とされた
請求項
12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記画像生成部は、
前記撮像画像を表示する画面の面内における方向を指示する操作に基づき前記第一フレームレート画像とする領域の範囲を設定する
請求項
13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記方向を指示する操作が前記画面上をなぞる操作とされた
請求項
14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
撮像画像に基づく第一フレームレート画像と、前記第一フレームレート画像よりもフレームレートの低い第二フレームレート画像とを生成
する画像生成処理と、
生成した前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像とが表示部の異なる表示領域に表示されるように出力する
出力処理と、を行うと共に、
前記出力処理では、
前記第二フレームレート画像を領域分割して得られる複数の分割画像を単一の伝送路に時分割出力する処理として、前記第一フレームレート画像の1フレームごとに、前記複数の分割画像のうちの一の分割画像を対応させて前記伝送路に出力する処理を行う
画像処理方法。
【請求項17】
撮像画像に基づく第一フレームレート画像と、前記第一フレームレート画像よりもフレームレートの低い第二フレームレート画像とを生成
する画像生成機能と、
生成した前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像とが表示部の異なる表示領域に表示されるように出力する
出力機能
とを、情報処理装置に実現させる
と共に、
前記出力機能では、
前記第二フレームレート画像を領域分割して得られる複数の分割画像を単一の伝送路に時分割出力する処理として、前記第一フレームレート画像の1フレームごとに、前記複数の分割画像のうちの一の分割画像を対応させて前記伝送路に出力する処理を行う
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関し、特には撮像画像を表示する際の画像伝送に係る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置には、装置背面に設けられた表示パネルや電子ビューファインダ等の表示部が設けられ、ユーザは、該表示部にスルー画として表示された撮像画像をモニタリングしながら撮像を行うことが可能とされている。
【0003】
表示部の表示画像は、そのフレームレートによって滑らかさが変化し、ユーザの操作性に大きな影響を与える。仮に、フレームレートが十分でない場合、表示画像はカクついた画像となり、そのためユーザがシャッタチャンスを逃す可能性が高まる。特に、動きの速い被写体を撮像する場合には、被写体の実際の動きに対する表示画像の追従性が著しく悪化し、操作性の大幅な低下を招くことになる。
【0004】
このような背景から、スルー画としてはHFR(High Frame Rate)画像を表示することが望ましいと言える。
しかしながら、HFR画像は、LFR(Low Frame Rate)画像に比べ時間軸方向の情報量が増加するため、画像を伝送する際に大きな消費電力や帯域幅を必要とする。
【0005】
これらを改善するための技術が研究開発されており、例えば下記特許文献1には、ユーザがシャッタボタンの半押し操作等で構図を決定している期間にのみHFR画像を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ユーザがシャッタボタンを半押ししていない期間にはHFR画像が表示されず、シャッタチャンスを逃す期間が存在していると言える。
【0008】
本技術は上記事情に鑑み為されたものであり、撮像画像を表示部に表示する際の画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減を図りつつ、シャッタチャンスを逃し難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術に係る画像処理装置は、撮像画像に基づく第一フレームレート画像と、前記第一フレームレート画像よりもフレームレートの低い第二フレームレート画像とを生成する画像生成部と、前記画像生成部が生成した前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像とが表示部の異なる表示領域に表示されるように出力する出力部と、を備えるものである。
これにより、表示画像を構成する画像のうち、被写体が映し出される部分の画像については第一(ハイ)フレームレート画像とし、それ以外の部分の画像については第二(ロー)フレームレート画像とすることが可能となる。すなわち、被写体が映し出される部分以外の画像をローフレームレートとすることで、表示画像全域をハイフレームレートとする場合と比較して、表示のために伝送すべき画像データの量を削減することが可能とされる。一方、被写体が映し出されている部分の画像をハイフレームレートとすることで、被写体の動きに対する表示画像の応答性低下の防止を図ることが可能とされる。
【0010】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像生成部は、前記第二フレームレート画像として、ユーザに対する通知情報を表す画像を生成する構成とすることが可能である。
これにより、例えば撮像装置の各種設定や状態等を通知するOSD画像等、ユーザに対する通知情報を表す画像をローフレームレート画像として表示することが可能とされる。
【0011】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、操作に応じて前記通知情報を前記表示部に表示するモードと非表示にするモードとの切替えが可能とされ、前記画像生成部は、前記通知情報を表示するモードにおいて、前記通知情報を表す前記第二フレームレート画像の生成を行う構成とすることが可能である。
これにより、通知情報を非表示とするモード下では、通知情報を表すローフレームレート画像の表示が行われないようにすることが可能とされる。すなわち、ユーザの操作(指示)とは無関係に、撮像画像以外の画像を表示する動作が行われないようにすることが可能とされる。
【0012】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像生成部は、前記通知情報の更新タイミングを契機に前記第二フレームレート画像のフレーム更新を行う構成とすることが可能である。
これにより、例えば撮像装置の電池残量や撮像モード情報等の通知情報の更新タイミングを契機に、ローフレームレート画像の画像内容が更新される。
【0013】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像生成部は、前記通知情報を表す前記第二フレームレート画像を、前記表示部における前記第一フレームレート画像の表示領域の外周の表示領域に表示される画像として生成する構成とすることが可能である。
すなわち、通知情報を表すローフレームレート画像は、被写体が映し出されるハイフレームレート画像の外周の表示領域に表示される。そのため、ハイフレームレート画像の表示領域に撮像画像の全域(全視野)の画像を表示しても、その一部がローフレームレート画像によって遮られることがない。
【0014】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像生成部は、前記撮像画像における一部の領域の画像を前記第一フレームレート画像として生成し、前記撮像画像における前記一部の領域以外の領域の画像を前記第二フレームレート画像として生成する構成とすることが可能である。
これにより、画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減を図りつつシャッタチャンスを逃し難くするにあたり、表示部の表示領域全域に撮像画像を表示することが可能とされる。
【0015】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像生成部は、前記撮像画像における特定被写体の検出領域の画像を前記第一フレームレート画像として生成する構成とすることが可能である。
特定被写体とは、撮像画像に対する被写体検出処理において検出対象とされた被写体を意味する。
【0016】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像生成部は、前記撮像画像における動体の検出領域の画像を前記第一フレームレート画像として生成する構成とすることが可能である。
これにより、撮像画像を表示部にスルー画として表示するにあたり、表示画像の応答性を高めるべき領域のみをハイフレームレート画像とし、それ以外の領域をローフレームレート画像とすることが可能とされる。
【0017】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記出力部は、前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像の表示領域を指示する情報を前記表示部に出力する構成とすることが可能である。
これにより、ハイフレームレート画像、ローフレームレート画像それぞれの表示領域が表示部に指示される。
【0018】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記出力部は、前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像を単一の伝送路に時分割で出力する構成とすることが可能である。
これにより、表示部に対する画像伝送用のケーブルを1本に集約することが可能とされる。
【0019】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記出力部は、前記第二フレームレート画像を領域分割して得られる各一部の画像を前記伝送路に時分割出力する構成とすることが可能である。
これにより、ローフレームレート画像の1フレーム全体を出力する間にハイフレームレート画像を複数フレーム分出力することが可能とされる。
【0020】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記出力部が出力した前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像とを合成して表示する前記表示部を備えた構成とすることが可能である。
ここで言う合成とは、複数の画像を単一の画像に統合することを意味する。
【0021】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像生成部は、前記撮像画像における前記第一フレームレート画像とする領域を、ユーザの操作に基づき設定する構成とすることが可能である。
これにより、ユーザが注目している被写体を含んだ領域をハイフレームレート画像の領域として設定することが可能とされる。
【0022】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像生成部は、前記撮像画像を表示する画面上における位置を指定する操作に基づき前記第一フレームレート画像とする領域を設定する構成とすることが可能である。
これにより、ハイフレームレート画像とする領域の指定操作は、画面上に表示される撮像画像を確認しながら、該画面上における位置を指定するという直感的な操作により実現可能とされる。
【0023】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画面上における位置を指定する操作が前記画面をタッチする操作とされた構成とすることが可能である。
これにより、ハイフレームレート画像とする領域の指定操作は、撮像画像が表示される画面上における所要の位置をタッチする操作という直感的な操作により実現可能とされる。
【0024】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像生成部は、前記撮像画像を表示する画面の面内における方向を指示する操作に基づき前記第一フレームレート画像とする領域の範囲を設定する構成とすることが可能である。
これにより、ハイフレームレート画像とする領域の範囲を指定する操作は、画面上に表示される撮像画像を確認しながら、該画面の面内における方向を指定するという直感的な操作により実現可能とされる。
【0025】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記方向を指示する操作が前記画面上をなぞる操作とされた構成とすることが可能である。
これにより、ハイフレームレート画像とする領域の範囲を指定する操作は、撮像画像が表示される画面上をなぞるという直感的な操作により実現される。
【0026】
また、本技術に係る画像処理方法は、撮像画像に基づく第一フレームレート画像と、前記第一フレームレート画像よりもフレームレートの低い第二フレームレート画像とを生成し、生成した前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像とが表示部の異なる表示領域に表示されるように出力する画像処理方法である。
このような画像処理方法によっても、上記した本技術に係る画像処理装置と同様の作用が得られる。
【0027】
また、本技術に係るプログラムは、撮像画像に基づく第一フレームレート画像と、前記第一フレームレート画像よりもフレームレートの低い第二フレームレート画像とを生成し、生成した前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像とが表示部の異なる表示領域に表示されるように出力する機能を、情報処理装置に実現させるプログラムである。
【0028】
このようなプログラムにより、上記した本技術に係る画像処理装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本技術に係る第一実施形態としての画像処理装置の内部構成例を示したブロック図である。
【
図2】OSD表示モード時における撮像画像の表示例についての説明図である。
【
図3】
図2の表示例に対応した領域指示情報の説明図である。
【
図4】OSD非表示モード時における撮像画像の表示例についての説明図である。
【
図5】
図4の表示例に対応した領域指示情報の説明図である。
【
図6】実施形態としての機能をブロック化して表した機能ブロック図である。
【
図7】第一実施形態としての撮像画像表示手法を実現するための具体的な処理手順の例を示したフローチャートである。
【
図8】
図7と共に、第一実施形態としての撮像画像表示手法を実現するための具体的な処理手順の例を示したフローチャートである。
【
図9】被写体の移動に対する対策例についての説明図である。
【
図10】
図9に示す対策例に対応した異フレームレート出力処理を例示したフローチャートである。
【
図11】第二実施形態としての画像処理装置の内部構成例を示したブロック図である。
【
図12】HFR画像とLFR画像を単一の伝送路に時分割出力する手法の例の説明図である。
【
図13】第三実施形態としての画像処理装置の内部構成例を示したブロック図である。
【
図14】タッチ操作に応じてHFR領域の位置を変更する例を示した図である。
【
図15】タッチ操作に応じてHFR領域の範囲を変更する例を示した図である。
【
図16】手術室システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図17】集中操作パネルにおける操作画面の表示例を示す図である。
【
図18】手術室システムが適用された手術の様子の一例を示す図である。
【
図19】
図18に示すカメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図20】応用例におけるHFR領域の設定例についての説明図である。
【
図21】応用例におけるHFR領域の他の設定例についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.第一実施形態>
[1-1.装置構成例]
[1-2.第一実施形態としての撮像画像表示手法]
[1-3.処理手順]
[1-4.被写体の移動に対する対策]
[1-5.変形例]
<2.第二実施形態>
<3.第三実施形態>
<4.変形例>
<5.応用例>
<6.実施形態のまとめ>
<7.本技術>
【0031】
<1.第一実施形態>
[1-1.装置構成例]
図1は、本技術に係る画像処理装置の第一実施形態としての撮像装置1の内部構成例を示したブロック図である。
撮像装置1は、デジタルカメラ装置として構成され、被写体の撮像を行い、動画や静止画としての画像データを記録媒体に記録することが可能に構成されている。
図示のように撮像装置1は、撮像部2、画像処理部3、制御部4、電源部5、操作部6、センサ部7、記録制御部8、HFR/LFR画像生成部9(HFR:High Frame Rate、LFR:Low Frame Rate)、OSD(On Screen Display)画像生成部10、及び表示部11を備えている。
ここで、HFRはLFRよりも高いフレームレートを意味する。本例において、HFRは、特に断りがなければ、LFRの2倍や3倍等、LFRのn倍(nは2以上の自然数)のフレームレートであるとする。
【0032】
撮像部2は、カバーレンズ、ズームレンズ、フォーカスレンズ等のレンズやシャッタ、絞り機構等を有する光学系と、該光学系を介して入射する被写体からの光を受光する例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型やCCD(Charge Coupled Device)型等の撮像素子とを備えている。
撮像部2では、撮像素子で受光した光を光電変換して得た電気信号について、例えばCDS(Correlated Double Sampling)処理、AGC(Automatic Gain Control)処理などを実行し、さらにA/D(Analog/Digital)変換処理を行う。そしてデジタルデータとしての撮像画像信号(以下「撮像画像データ」とも表記する)を、後段の画像処理部3に出力する。
【0033】
画像処理部3は、例えばDSP(Digital Signal Processor)等により画像処理プロセッサとして構成され、撮像部2からのデジタル信号(撮像画像信号)に対して、各種の信号処理を施す。例えば、ホワイトバランス調整処理や色補正処理、ガンマ補正処理、Y/C変換処理、AE(Auto Exposure)処理等の信号処理を施す。
【0034】
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ(演算処理装置)を有して構成される。上記のRAMは、CPUの各種データ処理の際の作業領域として、データやプログラム等の一時的な格納に用いられる。ROMは、CPUが各部を制御するためのOS(Operating System)や、画像ファイル等のコンテンツファイルの他、各種動作のためのアプリケーションプログラムや、ファームウエア等の記憶に用いられる。
制御部4は、上記ROM等に記憶されたプログラムを実行することで、撮像装置1の全体制御を行う。例えば、制御部4は、撮像部2におけるフォーカス、絞り調整、シャッタスピード等のレンズ系の動作、画像処理部3における各種信号処理の指示、操作部6を用いたユーザの操作に応じた撮像動作や記録動作(記録制御部8による記録動作)、記録した画像ファイルの再生動作、ユーザインタフェース動作等について、必要各部の動作を制御する。
【0035】
また、制御部4は、OSD画像生成部10が生成するOSD画像を表示部11に表示するか否かについてのモード切替えを行う。具体的には、OSD画像を表示部11に表示するOSD表示モードと、OSD画像を表示部11に表示しないOSD非表示モードとの切替えを行う。制御部4は、このようなOSD表示モードとOSD非表示モードとの切替えを操作部6の操作に応じて行う
【0036】
電源部5は、撮像装置1が動作するための電力を供給するバッテリと撮像装置1全体の駆動に必要な電源電圧の供給制御を行う電源IC(Integrated Circuits)を備える。電源ICは、制御部4からの指示に基づき電源電圧の供給制御を行う。
【0037】
操作部6は、ユーザが各種操作入力を行うための入力デバイスを総括して示している。操作部6が有する操作子としては、例えば撮像装置1の筐体に設けられた各種のボタン、ダイヤル等の操作子を挙げることができる。また、操作部6の操作子としては、表示部11の画面上に対するタッチ操作を検出するタッチパネルを含んでもよい。
操作部6は、ユーザによる操作を検知し、検知した操作に応じた信号を制御部4に出力する。
【0038】
センサ部7は、撮像装置1が有する各種センサを包括的に示している。例えば手ぶれ、或いは撮像装置1の姿勢や移動等の撮像装置1の全体の動きを検出するためのジャイロセンサ(角速度センサ)や加速度センサ等が設けられる。また、露光調整等のための外部照度を検出する照度センサ、さらには被写体距離を測定する測距センサが設けられてもよい。
【0039】
記録制御部8は、例えば不揮発性メモリによる記録媒体に対し、制御部4からの指示に応じて記録再生を行う。記録制御部8は、例えば記録媒体に対し動画データや静止画データ等の画像ファイルやサムネイル画像等を記録する処理を行う。
記録制御部8の実際の形態は多様に考えられる。例えば記録制御部8は、撮像装置1に内蔵されるフラッシュメモリとその書込/読出回路として構成されてもよいし、撮像装置1に着脱できる記録媒体、例えばメモリカード(可搬型のフラッシュメモリ等)に対して記録再生アクセスを行うカード記録再生部による形態でもよい。また撮像装置1に内蔵されている形態としてHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などとして実現されることもある。
【0040】
HFR/LFR画像生成部9は、撮像部2から画像処理部3を介して入力される撮像画像データに対し解像度変換処理を施すと共に、制御部4からの指示に基づき、該撮像画像データにおける一部領域の画像をHFR画像、該一部領域以外の領域の画像をLFR画像(HFR画像よりもフレームレートの低い動画像)として生成する。
HFR/LFR画像生成部9により生成されたHFR画像はH伝送路L1を介して表示部11に出力され、LFR画像はL伝送路L2を介して表示部11に出力される。
本例において、HFR/LFR画像生成部9は、制御部4からの指示に基づき、OSD表示モード時においては撮像画像データの全域の画像をHFR画像として出力する。HFR/LFR画像生成部9は、OSD非表示モード時において、撮像画像データに基づくHFR画像及びLFR画像の生成や出力の処理を行う。
なお、HFR/LFR画像生成部9によるHFR画像、LFR画像の生成処理の具体例については後に改めて説明する。
【0041】
OSD画像生成部10は、例えば現在の時刻や露出モード、F値(絞り値)、電池残量等、ユーザに対する各種の通知情報を表すOSD画像を生成する。
OSD画像生成部10は、制御部4から指示されたフレームレートによるOSD画像を生成し、生成したOSD画像を制御部4の指示に基づき表示部11に出力する。
【0042】
表示部11は、撮像者としてのユーザに対して各種の情報表示を行う。表示部11は、例えば撮像装置1の筐体に配置される液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイデバイスとされる。
表示部11は、制御部4の指示に基づいて画面上に各種情報の表示を行う。例えば、表示部11は、制御部4の指示に基づき、撮像部2により得られHFR/LFR画像生成部9を介して入力される撮像画像をスルー画(被写体のモニタリング画像)として表示する。また、表示部11は、記録制御部8において記録媒体から読み出された画像データの再生画像を表示することもできる。
また、表示部11は、制御部4からの指示に基づき、OSD表示モード時には、スルー画に対しOSD画像生成部10が生成したOSD画像を合成した画像の表示を行う。OSD非表示モード時には、表示部11はHFR/LFR画像生成部9から入力されるHFR画像とLFR画像とを合成した画像の表示を行う。
【0043】
[1-2.第一実施形態としての撮像画像表示手法]
以下、
図2から
図5を参照し、第一実施形態としての撮像画像表示手法について説明する。
図2は、OSD表示モード時における撮像画像の表示例についての説明図である。
図2Aは、撮像部2で得られた撮像画像の例、
図2BはOSD画像生成部10で生成されたOSD画像の例を示している。
図2Bに示すように、OSD画像は、図中にI1からI5として例示する各種の通知情報Iを表す画像を含む。具体的に本例のOSD画像には、現在設定中の撮像モードを通知する撮像モード通知情報I1や、電池残量(バッテリ残量)を通知する残量通知情報I2、シャッタスピードを通知するシャッタスピード通知情報I3、F値を通知するF値通知情報I4、ISO(感度)のモードを通知するISOモード通知情報I5を表す画像が含まれる。
【0044】
OSD表示モード時には、撮像画像をHFR画像とし、OSD画像をLFR画像とする。具体的に、制御部4は、OSD表示モード時には、HFR/LFR画像生成部9に撮像画像の全域の画像をHFR画像として生成させる指示を行うと共に、OSD画像生成部10には、OSD画像をLFRとしてのフレームレートで出力するように指示を行う。そして、制御部4は、表示部11に指示を行うことで、HFR/LFR画像生成部9から出力される撮像画像全域の画像としてのHFR画像と、OSD画像生成部10から出力されるOSD画像としてのLFR画像とを
図2Cに示すように合成した合成画像を生成させ、該合成画像の表示を実行させる。
ここで言う合成とは、複数の画像を単一の画像に統合することを意味する。
【0045】
本例において、LFR画像としてのOSD画像は、
図2Cに示すように、HFR画像と合成された際に該HFR画像の外周の表示領域に表示される画像とされている。このため、本例のOSD画像生成部10は、OSD画像として、上述した各種の通知情報I(I1からI5)が外周端付近に配置された画像を生成する。
【0046】
OSD表示モード時において、制御部4は、HFR画像とLFR画像の表示領域を指示する情報である領域指示情報を表示部11に対して出力する。
図3は、領域指示情報の説明図である。
本例における領域指示情報は、HFR画像、LFR画像ごとに、表示部11における描画開始位置のオフセット(図中「Offset」)、描画の幅(図中「Width」)、描画の高さ(図中「Height」)の各パラメータを定めた情報とされる。描画開始位置のオフセットは、描画空間の原点位置(0,0)からの横方向、縦方向それぞれのオフセット量(画像数)を表すパラメータである。
このような領域指示情報を表示部11に出力することで、フレームレートの異なる画像をそれぞれ適切なレイアウトで表示部11に表示させることができる。
【0047】
OSD表示モード時において、HFR/LFR画像生成部9は、
図2Cに示す画像表示態様に応じた撮像画像の解像度変換を行う。具体的に、
図2Cに例示する画像表示態様の場合、HFR/LFR画像生成部9は、画像処理部3を介して入力される撮像画像データの解像度を880×560に変換する。
【0048】
図4は、OSD非表示モード時における撮像画像の表示例についての説明図である。
OSD非表示モード時には、撮像画像における一部領域の画像をHFR画像とし、該一部領域以外の領域の画像をLFR画像とし、これらHFR画像とLFR画像を合成した画像を表示部11に表示する。
具体的に、本例では、撮像画像から特定の被写体(以下「特定被写体」と表記)を検出し、特定被写体の検出領域Adの画像をHFR画像とし(
図4A参照)、検出領域Ad以外の領域の画像をLFR画像とする(
図4B参照)。そして、これら検出領域Adの画像としてのHFR画像と検出領域Ad以外の領域の画像としてのLFR画像の合成画像を表示部11に表示する(
図4C参照)。
【0049】
本例において、特定被写体としては、動体としての被写体を検出する。このため、HFR/LFR画像生成部9は、OSD非表示モード時において、画像処理部3を介して入力される撮像画像データについて動きベクトルを演算し、該動きベクトルに基づいて動体としての被写体の領域を検出する。動きベクトルは、Lucas-Kanade法等の時系列画像データに対する動体検出手法によって演算できる。
例えばHFR/LFR画像生成部9は、演算した動きベクトルが閾値以上となる領域を動体としての被写体の領域として検出する。
【0050】
特定被写体の検出は動体の検出に限らない。例えば、人物や動物等の被写体を検出することもできる。例えば、人物としての被写体を特定被写体とする場合には、顔検出の結果に基づいて特定被写体の領域を検出する等の手法を採ることができる。特定被写体の領域を検出する手法については、特定被写体の種類に応じた適切な手法を採ればよく、特定の手法に限定されるものではない。
【0051】
OSD非表示モード時には、HFR/LFR画像生成部9が表示部11に対する領域指示情報を生成・出力する。
図5は、
図4Cに例示した画像合成を行う場合に対応した領域指示情報を例示している。
【0052】
ここで、HFR/LFR画像生成部9は、HFR画像、LFR画像として、それぞれ制御部4からの指示に基づくフレームレートによる画像を生成する。
【0053】
図6は、撮像装置1が有する実施形態としての機能をブロック化して表した機能ブロック図である。
図示のように撮像装置1は、上記した撮像画像表示手法に係る機能について、少なくとも画像生成部F1、出力部F2、及び表示部F3としての機能を有する。
画像生成部F1は、表示部F3の異なる表示領域に表示される画像として、撮像画像に基づくHFR画像と、HFR画像よりもフレームレートの低いLFR画像とを生成する機能を表したものであり、
図1に示す構成においては制御部4、HFR/LFR画像生成部9、及びOSD画像生成部10が対応する。
出力部F2は、画像生成部F1が生成したHFR画像とLFR画像とを表示部F3に出力する機能を表し、
図1に示す構成においてはHFR/LFR画像生成部9、及びOSD画像生成部10が対応する。
表示部F3は、出力部が出力したHFR画像とLFR画像とを合成して表示する機能を表し、
図1に示す構成では表示部11が対応する。
【0054】
[1-3.処理手順]
図7及び
図8のフローチャートを参照し、上記により説明した第一実施形態としての撮像画像表示手法を実現するための具体的な処理手順の例を説明する。
図7に示す処理は制御部4が実行する処理であり、
図8に示す処理はHFR/LFR画像生成部9が実行する処理である。
【0055】
図7において、制御部4はステップS101で、モード切替えの有無を判定する。すなわち、OSD表示モード/OSD非表示モードの切替え操作の有無を待機する。
モード切替え操作がなく、モード切替えがないと判定した場合、制御部4はステップS102で処理終了条件が成立したか否かを判定する。ここでの処理終了条件とは、
図7に示す処理の終了条件を意味するものであり、例えば、撮像装置1の動作モードを、表示部11にスルー画としての撮像画像を表示する撮像モードから、記録制御部8が記録媒体から再生した画像を表示部11に表示する再生モードへと切替える操作が行われたこと等の条件とすることが考えられる。
処理終了条件が成立していないと判定した場合、制御部4はステップS101に戻りモード切替えの有無を再度判定する。処理終了条件が成立したと判定した場合、制御部4は
図7に示す一連の処理を終える。
【0056】
ステップS101でモード切替えがあったと判定した場合、制御部4はステップS103に進んでOSD表示モードへの切替えか否かを判定する。OSD表示モードへの切替えであれば、制御部4はステップS104に処理を進める。一方、OSD表示モードへの切替えでなければ(つまりOSD非表示モードへの切替えであれば)、制御部4はステップS107に処理を進める。
【0057】
ステップS104で制御部4は、OSD表示時の領域指示情報を表示部11に出力する。すなわち、先の
図2Cで例示したようなHFR画像(撮像画像の全域)とOSD画像の表示領域を指示する領域指示情報(
図3参照)を表示部11に対して出力する。
続くステップS105で制御部4は、撮像画像全域のHFR出力開始指示をHFR/LFR画像生成部9に対して行う。すなわち、HFR/LFR画像生成部9に対し、画像処理部3から入力される撮像画像データの全域をHFRとしたHFR画像の生成及び出力の開始指示を行う。
次いで、制御部4はステップS106で、OSD画像の出力開始指示をOSD画像生成部10に対して行う。このとき、制御部4は、OSD画像としてLFR画像が出力されるようにOSD画像のフレームレートをLFRとする指示をOSD画像生成部10に対して行う。
【0058】
ステップS104で出力された領域指示情報に基づき、表示部11はHFR/LFR画像生成部9から出力されるHFR画像とOSD画像生成部10から出力されるOSD画像とを合成して表示する。これにより、OSD表示モード時において
図2Cで例示したような形態による撮像画像(及びOSD画像)の表示が実現される。
【0059】
なお、ステップS104、S105、S106の処理の順番は図示の例に限定されるものではない。
【0060】
一方、OSD表示モードへの切替えでなかった場合におけるステップS107で制御部4は、異フレームレート出力の開始指示をHFR/LFR画像生成部9に対して行う。異フレームレート出力とは、撮像画像の一部領域の画像をHFR画像として出力し、該一部領域以外の領域の画像をLFR画像として出力することを意味する。
【0061】
制御部4は、ステップS106又はS107の処理を実行したことに応じ、ステップS101に戻る。
【0062】
図8は、ステップS107で行われる異フレームレート出力の開始指示に応じてHFR/LFR画像生成部9が実行する異フレームレート出力処理の一例を示したフローチャートである。
HFR/LFR画像生成部9は、
図8に示す処理をHFR画像のフレーム周期で繰り返し実行する。
【0063】
先ず、HFR/LFR画像生成部9はステップS201で、LFR画像のフレーム更新タイミングか否かを判定する。このステップS201の処理は、HFR画像の毎フレームにおいて、今回のフレームがLFR画像のフレーム更新タイミングに対応するフレームであるか否かを判定する処理に相当する。
LFR画像のフレーム更新タイミングでなければ、LFR画像のフレーム画像を出力する必要はないため、HFR/LFR画像生成部9はステップS206でHFR画像のフレーム画像を表示部11に出力して
図8に示す一連の処理を終える。
【0064】
一方、LFR画像のフレーム更新タイミングであれば、HFR/LFR画像生成部9は先ずステップS202で、HFR領域の特定処理を実行する。すなわち、撮像画像の全域のうちHFR画像とする領域を特定するための処理を実行するもので、具体的に本例では、動体としての被写体の検出領域Adを特定する処理を行う。なお、動体としての被写体の領域を検出する手法の例については既に説明済みであるため重複説明は避ける。
【0065】
ステップS202に続くステップS203でHFR/LFR画像生成部9は、領域指示情報の生成処理を行う。すなわち、ステップS202で特定した検出領域Adの画像をHFR画像とし、検出領域Ad以外の領域の画像をLFR画像として、これらHFR画像、LFR画像それぞれの表示領域を指示する領域指示情報を生成する(
図4C及び
図5参照)。そして、続くステップS204でHFR/LFR画像生成部9は、生成した領域指示情報を表示部11に出力する。
【0066】
ステップS204に続くステップS205でHFR/LFR画像生成部9は、LFR画像のフレーム画像の出力処理を行う。すなわち、撮像画像データのフレーム画像における検出領域Ad以外の領域の画像をLFR画像のフレーム画像として表示部11に出力する。
そして、ステップS205に続くステップS206でHFR/LFR画像生成部9は、HFR画像のフレーム画像の出力処理として、撮像画像データのフレーム画像における検出領域Adの画像をHFR画像のフレーム画像として表示部11に出力する処理を行う。
【0067】
上記のような処理により、表示部11に対しては、検出領域Adの画像がHFRで出力される一方、検出領域Ad以外の領域の画像はLFRにより出力される。そして、この場合の表示部11には、LFR画像のフレーム更新タイミングごとに、領域指示情報が出力され、表示部11は該領域指示情報に基づきHFR画像とLFR画像を合成し、合成画像の表示を行う。
【0068】
[1-4.被写体の移動に対する対策]
ここで、被写体は画像内で移動する可能性がある。上記のようにLFR画像のフレーム更新タイミングでHFR領域の特定(特定被写体の領域検出)を行う手法を採る場合、被写体の移動が高速であると、次の特定被写体領域検出が行われるまでの間に、被写体が検出領域Adからフレームアウトしてしまう虞がある。
そこで、検出領域Adについては、マージンをとって広めに設定することが有効である。
【0069】
或いは、特定被写体の領域検出は、LFR画像のフレーム周期ではなくHFR画像のフレーム周期で行うことで、移動する特定被写体への追従性を高めることもできる。
但し、特定被写体の領域検出をHFR画像のフレーム周期で行う場合には、特定被写体の移動に応じて検出領域Adが移動する(HFR領域が移動する)ことに伴い、LFR画像側には、被写体が移動前に存在していた部分の背景となる部分の画像が存在しなくなり(次のLFR画像フレーム更新までの間存在しなくなり)、そのため、合成画像において画欠けが生じてしまう。
【0070】
そこで、
図9に例示するように、特定被写体の移動に応じてHFR領域を拡大することもできる。
図9において、
図9Aは、撮像画像の或るフレーム画像G-f1から次のフレーム画像G-f2にかけての特定被写体Sの移動の例を示している。
図9Bでは、フレーム画像G-f1における特定被写体Sの検出領域Ad-f1と、フレーム画像G-f2における特定被写体Sの検出領域Ad-f2とを示しているが、検出領域Adの更新がHFR画像のフレーム周期で行われる場合には、LFR画像のフレーム更新が行われるまでの間、LFR画像はフレーム画像G-f1から検出領域Ad-f1を除いた領域の画像のままとなる一方、HFR領域は検出領域Ad-f2に更新されてしまうため、検出領域Ad-f1において検出領域Ad-f2と重複していない部分に画像が存在しなくなる。
そこで、検出領域Ad-f2の範囲を、検出領域Ad-f1の全域を覆う範囲にまで拡大するように補正する。すなわち、HFR画像において、1つ前のフレームから特定被写体Sの移動が検出された場合には、現フレームにおける検出領域Adを、1つ前のフレームにおける検出領域Adの全域を覆う範囲まで拡大する補正を行う。
なお、HFR画像の各フレームのうち、LFR画像のフレーム更新タイミングに対応するフレームにおいては、LFR領域が検出領域Ad(つまりHFR領域)に応じて更新されるため、該フレームでは上記のような検出領域Adの補正を行う必要はない。
【0071】
図9Cは、フレーム画像G-f1に対応した領域指示情報の例と、フレーム画像G-f2に対応した領域指示情報の例を示している。これらの領域指示情報を比較すると、特定被写体Sの移動に応じて、HFR領域は、検出領域Ad-f2のみでなく検出領域Ad-f1全体を含む領域として設定されることが分かる。
【0072】
図10のフローチャートは、上記のような被写体の移動に応じた検出領域Adの補正を行う場合に対応した異フレームレート出力処理を例示している。なお、この場合の異フレームレート出力処理としても、HFR画像のフレーム毎に繰り返し実行する処理とされる。
【0073】
この場合もHFR/LFR画像生成部9は、先ずステップS201でLFR画像のフレーム更新タイミングか否かを判定し、LFR画像のフレーム更新タイミングであれば、ステップS202からステップS204の処理を実行する。つまり、
図8の処理と同様、LFR画像のフレーム更新タイミングである場合には、HFR領域の特定処理(S202:本例では動体としての特定被写体Sの領域検出)、特定したHFR領域(本例では検出領域Ad)に基づく領域指示情報の生成処理(S203)、及びその出力処理(S204)が行われる。そして、ステップS204の出力処理を実行したことに応じ、HFR/LFR画像生成部9はステップS210でHFR画像、LFR画像のフレーム画像を表示部11に出力する処理を実行し、
図10に示す一連の処理を終える。
【0074】
一方、ステップS201でLFR画像のフレーム更新タイミングでないと判定した場合、HFR/LFR画像生成部9はステップS211でHFR領域の特定処理、つまり動体としての特定被写体Sの領域検出処理を実行し、続くステップS212で被写体が移動したか否かを判定する。すなわち、現フレームについてステップS211の処理で検出した特定被写体Sの位置と、一つ前のフレームについて実行したHFR領域特定処理(S211又はS202)で検出した特定被写体Sの位置とを比較し、特定被写体Sが移動したか否かを判定する。
被写体が移動したと判定した場合、HFR/LFR画像生成部9はステップS213で被写体の移動を考慮したHFR領域の補正処理を実行する。すなわち、
図9で例示したように、現フレームにおける検出領域Adを、1つ前のフレームにおける検出領域Adの全域を覆う範囲まで拡大し、該拡大した領域をHFR領域として設定する。
一方、被写体が移動していないと判定した場合、HFR/LFR画像生成部9はステップS214で前フレームのHFR領域を維持する。すなわち、現フレームのHFR領域を一つ前のフレームで設定したHFR領域(前フレームで補正が行われている場合は補正後のHFR領域)と同じ領域に設定する。
【0075】
ステップS213又はS214の処理を実行したことに応じ、HFR/LFR画像生成部9はステップS215で領域指示情報の生成処理を行う。すなわち、ステップS213又はS214で設定されたHFR領域に基づき、HFR画像、LFR画像それぞれの表示領域を指示する領域指示情報の生成を行う。そして、続くステップS216でHFR/LFR画像生成部9は、生成した領域指示情報の出力処理を実行し、さらに続くステップS217でHFR画像のフレーム画像の出力処理を実行し、
図10に示す一連の処理を終える。
【0076】
[1-5.変形例]
ここで、上記では、HFRとLFRはそれぞれ一定のレートとすることを前提としたが、HFRとLFRの少なくとも何れか一方を可変レートとすることもできる。特に、LFR画像としてOSD画像を用いる場合には、OSD画像のフレームレートを可変とすることが考えられる。
例えば、OSD画像において、通知情報Iの内容に変化がなければ、同じ画像を表示し続けても通知機能上の問題は生じない。そこで、OSD画像をLFR画像として出力する場合において、OSD画像のフレーム更新を、通知情報Iの更新タイミングを契機に実行することもできる。この場合、制御部4は、例えば撮像モード通知情報I1や残量通知情報I2、シャッタスピード通知情報I3等の各通知情報Iについて情報内容を更新すべきか否かを判定し、何れかの通知情報Iについて情報内容を更新すべきと判定した場合に、OSD画像生成部10にOSD画像を更新させ、表示部11に出力させる。
このようにLFR画像としてのOSD画像のフレーム更新を通知情報Iの更新タイミングを契機に行うようにすることで、LFR画像の伝送量の低減を図ることができ、画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減を図ることができる。
【0077】
また、上記では、OSD表示モード時において、撮像画像の全域をHFR領域とする例を挙げたが、OSD表示モード時においても、撮像画像について、HFR領域とLFR領域とに分けた画像出力を行うこともできる。具体的には、例えばOSD画像の内側の表示領域に表示される撮像画像について、特定被写体Sの検出領域AdをHFR領域、検出領域Ad以外の領域をLFR領域とした画像出力を行うものである。
【0078】
<2.第二実施形態>
続いて、第二実施形態について説明する。
図11は、第二実施形態としての撮像装置1Aの内部構成例を示したブロック図である。
なお、以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
第二実施形態は、HFR画像とLFR画像を単一の伝送路に時分割出力するものである。
撮像装置1Aにおいて、撮像装置1との差異点は、HFR/LFR画像生成部9に代えてHFR/LFR画像生成部9Aが設けられた点、及び表示部11に代えて表示部11Aが設けられた点、及び、H伝送路L1とL伝送路L2が省略された代わりに共通伝送路L3が設けられた点である。
【0080】
HFR/LFR画像生成部9Aは、画像処理部3を介して入力される撮像画像データに基づき生成したHFR画像とLFR画像を共通伝送路L3に時分割出力する。
表示部11Aは、共通伝送路L3を介して入力されるHFR画像とLFR画像を合成して表示する。
【0081】
ここで、HFR画像とLFR画像を単一の伝送路に時分割出力する手法については種々考えられるが、
図12を参照しその一例を説明する。
ここでは、LFRはHFRの1/3のフレームレートであるとする。
図12Aに示すように、この場合には、LFR画像の1枚のフレーム画像(図中「LFR1」)につき、HFR画像のフレーム画像を3枚伝送することになる(図中「HFR1」「HFR2」「HFR3」)。
なお以下、LFR画像のフレーム画像については「LFRフレーム画像」、HFR画像のフレーム画像については「HFRフレーム画像」と表記する。
【0082】
このとき、単位時間あたりのデータ伝送量を一定とするため、LFRフレーム画像については、3等分に領域分割し、該領域分割で得られた第一領域、第二領域、第三領域の各画像を共通伝送路L3にHFRフレーム画像と合わせて時分割出力する(
図12B参照)。
具体的には、1枚のLFRフレーム画像に対応する3枚のHFRフレーム画像を、時間軸上の先頭側から順に第一HFRフレーム画像(HFR1)、第二HFRフレーム画像(HFR2)、第三HFRフレーム画像(HFR3)としたとき、「第一HFRフレーム画像及びLFRフレーム画像の第一領域の画像(LFR1-1)の組」、「第二HFRフレーム画像及びLFRフレーム画像の第二領域の画像(LFR1-2)の組」、「第三HFRフレーム画像及びLFRフレーム画像の第三領域の画像(LFR1-3)の組」を、共通伝送路L3に順に出力する。なおこの際、各画像の組の出力は、伝送に係る同期信号に従って行う。
これにより、HFR画像はLFR画像の3倍のフレームレートで表示部11Aに出力される。
【0083】
HFR/LFR画像生成部9Aは、異フレームレート出力処理として、LFRフレーム画像ごとに、上記した領域分割、及び各領域の画像とHFRフレーム画像の組の共通伝送路L3に対する時分割出力を行う。
またHFR/LFR画像生成部9Aは、HFR画像、LFR画像それぞれの表示領域を指示する領域指示情報を共通伝送路L3を介して表示部11Aに出力する。この場合の領域指示情報は、
図8のようにLFR画像のフレーム周期で特定被写体Sの領域検出を行う場合には、LFR画像のフレーム更新タイミングごとに更新する。或いは、
図10のようにHFR画像のフレーム周期で特定被写体Sの領域検出を行う場合には、領域指示情報はHFR画像のフレーム更新タイミングごとに更新する。
【0084】
表示部11Aは、時分割出力されたLFRフレーム画像の各領域の画像からLFRフレーム画像を再生し、再生したLFRフレーム画像を、第一、第二、第三HFRフレーム画像と順時合成し、各合成画像を順に表示する。
【0085】
なお、上記では、LFRフレーム画像の領域分割を横方向分割(分割線が横方向に平行となる分割)により行う例を挙げたが、領域分割の具体的手法については特に限定されるものではなく、例えば縦方向分割とすることもできる。
また、LFRフレーム画像を等分割することは必須ではなく、非等分割とすることも可能である。
【0086】
また、上記のような単一伝送路に対する時分割出力を行う場合においても、特定被写体Sの移動を考慮したHFR領域の補正を行うことは勿論可能である。
【0087】
さらに、HFR画像とLFR画像とを単一伝送路に時分割出力する手法は、OSD画像をLFR画像とする場合にも好適に適用できるものである。
【0088】
<3.第三実施形態>
図13は、第三実施形態としての撮像装置1Bの内部構成例を示したブロック図である。
図示のように撮像装置1Bにおいては、操作部6においてタッチパネル6aが設けられる。タッチパネル6aは、表示部11における表示画面(以下「表示画面11a」と表記する)に対するタッチ操作を検出する。
【0089】
第三実施形態としての撮像装置1Bにおいては、表示画面11a上における位置を指定する操作に基づき、HFR領域の設定が行われる。具体的には、表示画面11aに対するタッチ操作に基づき、HFR領域の設定が行われる。
【0090】
図14、
図15を参照し、第三実施形態におけるHFR領域の設定例を説明する。
図14は、タッチ操作に応じてHFR領域の位置を変更する例を示している。
図14Aは、特定被写体Sの検出領域AdがHFR領域とされている状態を例示している。本例において、表示画面11aには、HFR領域の位置及び範囲(サイズ)を表す領域枠Waが表示される。この領域枠Waは、制御部4が表示部11に指示することで表示させる。
【0091】
図14Aに示す状態において、ユーザが
図14Bに示すように表示画面11a上の任意位置をタッチしたとする。
このタッチ操作に応じては、
図14Cに示すように、領域枠Waで示されるHFR領域の位置がタッチされた位置に応じた位置に変更される。
【0092】
上記のようなタッチ操作に応じたHFR領域の位置の変更は、制御部4の制御に基づき行われる。具体的に、制御部4は、表示画面11aに対するタッチ操作が行われたことに応じ、タッチ位置に応じたHFR領域の位置をHFR/LFR画像生成部9に指示する。この場合のHFR/LFR画像生成部9は、HFR領域の位置を該指示された位置に設定し、HFR画像とLFR画像の生成及び出力を行う。
【0093】
図15は、タッチ操作に応じてHFR領域の範囲を変更する例を示している。
本例では、
図15Aから
図15Bへの遷移として示すように、領域枠Waがタッチされた状態から、該タッチされた指により表示画面11aをなぞる操作が行われたことに応じ、HFR領域の範囲を拡大(又は縮小)する。例えば、
図15Bのように領域枠Waを外側に広げる方向へのなぞり操作に応じてHFR領域の範囲を拡大し、逆に領域枠Waを内側に狭める方向へのなぞり操作に応じてHFR領域の範囲を縮小する。
なお、上記のなぞり操作は、表示画面11aの面内における方向を指示する操作と換言することができる。
【0094】
上記のようなHFR領域の範囲の変更は、制御部4の制御に基づき行われる。具体的に、制御部4は、領域枠Waの表示領域をタッチする操作が行われた状態から該タッチされた指で表示画面11aをなぞる操作が行われたことに応じ、なぞり方向及びなぞり量に応じて定めたHFR領域の範囲指定情報をHFR/LFR画像生成部9に指示する。HFR/LFR画像生成部9は、該範囲指定情報に従ってHFR領域の範囲を設定し、HFR画像とLFR画像の生成及び出力を行う。
【0095】
なお、上記ではHFR領域の位置の設定に関して、既に設定されたHFR領域の位置を変更する例を挙げたが、HFR領域が未設定の状態で行われた位置の指定操作に応じて、該操作による指定位置に応じた位置にHFR領域を設定することもできる。
【0096】
<4.変形例>
ここで、実施形態としては上記で例示した具体例に限定されるものでなく、多様な変形例が考えられるものである。
例えば、上記では、HFR領域の位置や範囲の指定操作が表示画面11aに対するタッチ操作として行われる例を挙げたが、これに代えて、表示画面11a内に表示したカーソル等のポインタを用いた操作とすることもできる。例えば、位置の指定操作は、所望の位置にポインタを位置させた状態で所定のボタンを押圧する等の操作とすることも考えられる。このとき、例えば十字キー等の変位指示操作子により、表示画面11a内におけるポインタの変位の指示が可能となるようにしておく。また、範囲の指定操作は、例えば領域枠Waの表示領域にポインタを位置させた状態で所定のボタンを押圧しながら上記の変位指示操作子によりポインタを変位させる操作等とすることも考えられる。
【0097】
また、上記では、HFR画像とLFR画像の生成を行う画像生成部(F1)、及びHFR画像とLFR画像の出力を行う出力部(F2)と、HFR画像とLFR画像を合成して表示する表示部(F3)とが撮像装置としての同一装置内に設けられる例を挙げたが、画像生成部及び出力部と表示部とがそれぞれ別々の装置に設けられた構成を採ることも可能である。
【0098】
<5.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、手術室システムに適用されてもよい。
【0099】
図16は、本開示に係る技術が適用され得る手術室システム5100の全体構成を概略的に示す図である。
図16を参照すると、手術室システム5100は、手術室内に設置される装置群が視聴覚コントローラ(AV Controller)5107及び手術室制御装置5109を介して互いに連携可能に接続されることにより構成される。
【0100】
手術室には、様々な装置が設置され得る。
図16では、一例として、内視鏡下手術のための各種の装置群5101と、手術室の天井に設けられ術者の手元を撮像するシーリングカメラ5187と、手術室の天井に設けられ手術室全体の様子を撮像する術場カメラ5189と、複数の表示装置5103A~5103Dと、レコーダ5105と、患者ベッド5183と、照明5191と、を図示している。
【0101】
ここで、これらの装置のうち、装置群5101は、後述する内視鏡手術システム5113に属するものであり、内視鏡や当該内視鏡によって撮像された画像を表示する表示装置等からなる。内視鏡手術システム5113に属する各装置は医療用機器とも呼称される。一方、表示装置5103A~5103D、レコーダ5105、患者ベッド5183及び照明5191は、内視鏡手術システム5113とは別個に、例えば手術室に備え付けられている装置である。これらの内視鏡手術システム5113に属さない各装置は非医療用機器とも呼称される。視聴覚コントローラ5107及び/又は手術室制御装置5109は、これら医療機器及び非医療機器の動作を互いに連携して制御する。
【0102】
視聴覚コントローラ5107は、医療機器及び非医療機器における画像表示に関する処理を、統括的に制御する。具体的には、手術室システム5100が備える装置のうち、装置群5101、シーリングカメラ5187及び術場カメラ5189は、手術中に表示すべき情報(以下、表示情報ともいう)を発信する機能を有する装置(以下、発信元の装置とも呼称する)であり得る。また、表示装置5103A~5103Dは、表示情報が出力される装置(以下、出力先の装置とも呼称する)であり得る。また、レコーダ5105は、発信元の装置及び出力先の装置の双方に該当する装置であり得る。視聴覚コントローラ5107は、発信元の装置及び出力先の装置の動作を制御し、発信元の装置から表示情報を取得するとともに、当該表示情報を出力先の装置に送信し、表示又は記録させる機能を有する。なお、表示情報とは、手術中に撮像された各種の画像や、手術に関する各種の情報(例えば、患者の身体情報や、過去の検査結果、術式についての情報等)等である。
【0103】
具体的には、視聴覚コントローラ5107には、装置群5101から、表示情報として、内視鏡によって撮像された患者の体腔内の術部の画像についての情報が送信され得る。また、シーリングカメラ5187から、表示情報として、当該シーリングカメラ5187によって撮像された術者の手元の画像についての情報が送信され得る。また、術場カメラ5189から、表示情報として、当該術場カメラ5189によって撮像された手術室全体の様子を示す画像についての情報が送信され得る。なお、手術室システム5100に撮像機能を有する他の装置が存在する場合には、視聴覚コントローラ5107は、表示情報として、当該他の装置からも当該他の装置によって撮像された画像についての情報を取得してもよい。
【0104】
あるいは、例えば、レコーダ5105には、過去に撮像されたこれらの画像についての情報が視聴覚コントローラ5107によって記録されている。視聴覚コントローラ5107は、表示情報として、レコーダ5105から当該過去に撮像された画像についての情報を取得することができる。なお、レコーダ5105には、手術に関する各種の情報も事前に記録されていてもよい。
【0105】
視聴覚コントローラ5107は、出力先の装置である表示装置5103A~5103Dの少なくともいずれかに、取得した表示情報(すなわち、手術中に撮影された画像や、手術に関する各種の情報)を表示させる。図示する例では、表示装置5103Aは手術室の天井から吊り下げられて設置される表示装置であり、表示装置5103Bは手術室の壁面に設置される表示装置であり、表示装置5103Cは手術室内の机上に設置される表示装置であり、表示装置5103Dは表示機能を有するモバイル機器(例えば、タブレットPC(Personal Computer))である。
【0106】
また、
図16では図示を省略しているが、手術室システム5100には、手術室の外部の装置が含まれてもよい。手術室の外部の装置は、例えば、病院内外に構築されたネットワークに接続されるサーバや、医療スタッフが用いるPC、病院の会議室に設置されるプロジェクタ等であり得る。このような外部装置が病院外にある場合には、視聴覚コントローラ5107は、遠隔医療のために、テレビ会議システム等を介して、他の病院の表示装置に表示情報を表示させることもできる。
【0107】
手術室制御装置5109は、非医療機器における画像表示に関する処理以外の処理を、統括的に制御する。例えば、手術室制御装置5109は、患者ベッド5183、シーリングカメラ5187、術場カメラ5189及び照明5191の駆動を制御する。
【0108】
手術室システム5100には、集中操作パネル5111が設けられており、ユーザは、当該集中操作パネル5111を介して、視聴覚コントローラ5107に対して画像表示についての指示を与えたり、手術室制御装置5109に対して非医療機器の動作についての指示を与えることができる。集中操作パネル5111は、表示装置の表示面上にタッチパネルが設けられて構成される。
【0109】
図17は、集中操作パネル5111における操作画面の表示例を示す図である。
図17では、一例として、手術室システム5100に、出力先の装置として、2つの表示装置が設けられている場合に対応する操作画面を示している。
図17を参照すると、操作画面5193には、発信元選択領域5195と、プレビュー領域5197と、コントロール領域5201と、が設けられる。
【0110】
発信元選択領域5195には、手術室システム5100に備えられる発信元装置と、当該発信元装置が有する表示情報を表すサムネイル画面と、が紐付けられて表示される。ユーザは、表示装置に表示させたい表示情報を、発信元選択領域5195に表示されているいずれかの発信元装置から選択することができる。
【0111】
プレビュー領域5197には、出力先の装置である2つの表示装置(Monitor1、Monitor2)に表示される画面のプレビューが表示される。図示する例では、1つの表示装置において4つの画像がPinP表示されている。当該4つの画像は、発信元選択領域5195において選択された発信元装置から発信された表示情報に対応するものである。4つの画像のうち、1つはメイン画像として比較的大きく表示され、残りの3つはサブ画像として比較的小さく表示される。ユーザは、4つの画像が表示された領域を適宜選択することにより、メイン画像とサブ画像を入れ替えることができる。また、4つの画像が表示される領域の下部には、ステータス表示領域5199が設けられており、当該領域に手術に関するステータス(例えば、手術の経過時間や、患者の身体情報等)が適宜表示され得る。
【0112】
コントロール領域5201には、発信元の装置に対して操作を行うためのGUI(Graphical User Interface)部品が表示される発信元操作領域5203と、出力先の装置に対して操作を行うためのGUI部品が表示される出力先操作領域5205と、が設けられる。図示する例では、発信元操作領域5203には、撮像機能を有する発信元の装置におけるカメラに対して各種の操作(パン、チルト及びズーム)を行うためのGUI部品が設けられている。ユーザは、これらのGUI部品を適宜選択することにより、発信元の装置におけるカメラの動作を操作することができる。なお、図示は省略しているが、発信元選択領域5195において選択されている発信元の装置がレコーダである場合(すなわち、プレビュー領域5197において、レコーダに過去に記録された画像が表示されている場合)には、発信元操作領域5203には、当該画像の再生、再生停止、巻き戻し、早送り等の操作を行うためのGUI部品が設けられ得る。
【0113】
また、出力先操作領域5205には、出力先の装置である表示装置における表示に対する各種の操作(スワップ、フリップ、色調整、コントラスト調整、2D表示と3D表示の切替え)を行うためのGUI部品が設けられている。ユーザは、これらのGUI部品を適宜選択することにより、表示装置における表示を操作することができる。
【0114】
なお、集中操作パネル5111に表示される操作画面は図示する例に限定されず、ユーザは、集中操作パネル5111を介して、手術室システム5100に備えられる、視聴覚コントローラ5107及び手術室制御装置5109によって制御され得る各装置に対する操作入力が可能であってよい。
【0115】
図18は、以上説明した手術室システムが適用された手術の様子の一例を示す図である。シーリングカメラ5187及び術場カメラ5189は、手術室の天井に設けられ、患者ベッド5183上の患者5185の患部に対して処置を行う術者(医者)5181の手元及び手術室全体の様子を撮影可能である。シーリングカメラ5187及び術場カメラ5189には、倍率調整機能、焦点距離調整機能、撮影方向調整機能等が設けられ得る。照明5191は、手術室の天井に設けられ、少なくとも術者5181の手元を照射する。照明5191は、その照射光量、照射光の波長(色)及び光の照射方向等を適宜調整可能であってよい。
【0116】
内視鏡手術システム5113、患者ベッド5183、シーリングカメラ5187、術場カメラ5189及び照明5191は、
図16に示すように、視聴覚コントローラ5107及び手術室制御装置5109(
図18では図示せず)を介して互いに連携可能に接続されている。手術室内には、集中操作パネル5111が設けられており、上述したように、ユーザは、当該集中操作パネル5111を介して、手術室内に存在するこれらの装置を適宜操作することが可能である。
【0117】
以下、内視鏡手術システム5113の構成について詳細に説明する。図示するように、内視鏡手術システム5113は、内視鏡5115と、その他の術具5131と、内視鏡5115を支持する支持アーム装置5141と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート5151と、から構成される。
【0118】
内視鏡手術では、腹壁を切って開腹する代わりに、トロッカ5139a~5139dと呼ばれる筒状の開孔器具が腹壁に複数穿刺される。そして、トロッカ5139a~5139dから、内視鏡5115の鏡筒5117や、その他の術具5131が患者5185の体腔内に挿入される。図示する例では、その他の術具5131として、気腹チューブ5133、エネルギー処置具5135及び鉗子5137が、患者5185の体腔内に挿入されている。また、エネルギー処置具5135は、高周波電流や超音波振動により、組織の切開及び剥離、又は血管の封止等を行う処置具である。ただし、図示する術具5131はあくまで一例であり、術具5131としては、例えば攝子、レトラクタ等、一般的に内視鏡下手術において用いられる各種の術具が用いられてよい。
【0119】
内視鏡5115によって撮影された患者5185の体腔内の術部の画像が、表示装置5155に表示される。術者5181は、表示装置5155に表示された術部の画像をリアルタイムで見ながら、エネルギー処置具5135や鉗子5137を用いて、例えば患部を切除する等の処置を行う。なお、図示は省略しているが、気腹チューブ5133、エネルギー処置具5135及び鉗子5137は、手術中に、術者5181又は助手等によって支持される。
【0120】
(支持アーム装置)
支持アーム装置5141は、ベース部5143から延伸するアーム部5145を備える。図示する例では、アーム部5145は、関節部5147a、5147b、5147c、及びリンク5149a、5149bから構成されており、アーム制御装置5159からの制御により駆動される。アーム部5145によって内視鏡5115が支持され、その位置及び姿勢が制御される。これにより、内視鏡5115の安定的な位置の固定が実現され得る。
【0121】
(内視鏡)
内視鏡5115は、先端から所定の長さの領域が患者5185の体腔内に挿入される鏡筒5117と、鏡筒5117の基端に接続されるカメラヘッド5119と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒5117を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡5115を図示しているが、内視鏡5115は、軟性の鏡筒5117を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0122】
鏡筒5117の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡5115には光源装置5157が接続されており、当該光源装置5157によって生成された光が、鏡筒5117の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者5185の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡5115は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0123】
カメラヘッド5119の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU:Camera Control Unit)5153に送信される。なお、カメラヘッド5119には、その光学系を適宜駆動させることにより、倍率及び焦点距離を調整する機能が搭載される。
【0124】
なお、例えば立体視(3D表示)等に対応するために、カメラヘッド5119には撮像素子が複数設けられてもよい。この場合、鏡筒5117の内部には、当該複数の撮像素子のそれぞれに観察光を導光するために、リレー光学系が複数系統設けられる。
【0125】
(カートに搭載される各種の装置)
CCU5153は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡5115及び表示装置5155の動作を統括的に制御する。具体的には、CCU5153は、カメラヘッド5119から受け取った画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。CCU5153は、当該画像処理を施した画像信号を表示装置5155に提供する。また、CCU5153には、
図16に示す視聴覚コントローラ5107が接続される。CCU5153は、画像処理を施した画像信号を視聴覚コントローラ5107にも提供する。また、CCU5153は、カメラヘッド5119に対して制御信号を送信し、その駆動を制御する。当該制御信号には、倍率や焦点距離等、撮像条件に関する情報が含まれ得る。当該撮像条件に関する情報は、入力装置5161を介して入力されてもよいし、上述した集中操作パネル5111を介して入力されてもよい。
【0126】
表示装置5155は、CCU5153からの制御により、当該CCU5153によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。内視鏡5115が例えば4K(水平画素数3840×垂直画素数2160)又は8K(水平画素数7680×垂直画素数4320)等の高解像度の撮影に対応したものである場合、及び/又は3D表示に対応したものである場合には、表示装置5155としては、それぞれに対応して、高解像度の表示が可能なもの、及び/又は3D表示可能なものが用いられ得る。4K又は8K等の高解像度の撮影に対応したものである場合、表示装置5155として55インチ以上のサイズのものを用いることで一層の没入感が得られる。また、用途に応じて、解像度、サイズが異なる複数の表示装置5155が設けられてもよい。
【0127】
光源装置5157は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部を撮影する際の照射光を内視鏡5115に供給する。
【0128】
アーム制御装置5159は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、所定のプログラムに従って動作することにより、所定の制御方式に従って支持アーム装置5141のアーム部5145の駆動を制御する。
【0129】
入力装置5161は、内視鏡手術システム5113に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置5161を介して、内視鏡手術システム5113に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、入力装置5161を介して、患者の身体情報や、手術の術式についての情報等、手術に関する各種の情報を入力する。また、例えば、ユーザは、入力装置5161を介して、アーム部5145を駆動させる旨の指示や、内視鏡5115による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示、エネルギー処置具5135を駆動させる旨の指示等を入力する。
【0130】
入力装置5161の種類は限定されず、入力装置5161は各種の公知の入力装置であってよい。入力装置5161としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、スイッチ、フットスイッチ5171及び/又はレバー等が適用され得る。入力装置5161としてタッチパネルが用いられる場合には、当該タッチパネルは表示装置5155の表示面上に設けられてもよい。
【0131】
あるいは、入力装置5161は、例えばメガネ型のウェアラブルデバイスやHMD(Head Mounted Display)等の、ユーザによって装着されるデバイスであり、これらのデバイスによって検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われる。また、入力装置5161は、ユーザの動きを検出可能なカメラを含み、当該カメラによって撮像された映像から検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われる。更に、入力装置5161は、ユーザの声を収音可能なマイクロフォンを含み、当該マイクロフォンを介して音声によって各種の入力が行われる。このように、入力装置5161が非接触で各種の情報を入力可能に構成されることにより、特に清潔域に属するユーザ(例えば術者5181)が、不潔域に属する機器を非接触で操作することが可能となる。また、ユーザは、所持している術具から手を離すことなく機器を操作することが可能となるため、ユーザの利便性が向上する。
【0132】
処置具制御装置5163は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具5135の駆動を制御する。気腹装置5165は、内視鏡5115による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者5185の体腔を膨らめるために、気腹チューブ5133を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ5167は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ5169は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0133】
以下、内視鏡手術システム5113において特に特徴的な構成について、更に詳細に説明する。
【0134】
(支持アーム装置)
支持アーム装置5141は、基台であるベース部5143と、ベース部5143から延伸するアーム部5145と、を備える。図示する例では、アーム部5145は、複数の関節部5147a、5147b、5147cと、関節部5147bによって連結される複数のリンク5149a、5149bと、から構成されているが、
図18では、簡単のため、アーム部5145の構成を簡略化して図示している。実際には、アーム部5145が所望の自由度を有するように、関節部5147a~5147c及びリンク5149a、5149bの形状、数及び配置、並びに関節部5147a~5147cの回転軸の方向等が適宜設定され得る。例えば、アーム部5145は、好適に、6自由度以上の自由度を有するように構成され得る。これにより、アーム部5145の可動範囲内において内視鏡5115を自由に移動させることが可能になるため、所望の方向から内視鏡5115の鏡筒5117を患者5185の体腔内に挿入することが可能になる。
【0135】
関節部5147a~5147cにはアクチュエータが設けられており、関節部5147a~5147cは当該アクチュエータの駆動により所定の回転軸まわりに回転可能に構成されている。当該アクチュエータの駆動がアーム制御装置5159によって制御されることにより、各関節部5147a~5147cの回転角度が制御され、アーム部5145の駆動が制御される。これにより、内視鏡5115の位置及び姿勢の制御が実現され得る。この際、アーム制御装置5159は、力制御又は位置制御等、各種の公知の制御方式によってアーム部5145の駆動を制御することができる。
【0136】
例えば、術者5181が、入力装置5161(フットスイッチ5171を含む)を介して適宜操作入力を行うことにより、当該操作入力に応じてアーム制御装置5159によってアーム部5145の駆動が適宜制御され、内視鏡5115の位置及び姿勢が制御されてよい。当該制御により、アーム部5145の先端の内視鏡5115を任意の位置から任意の位置まで移動させた後、その移動後の位置で固定的に支持することができる。なお、アーム部5145は、いわゆるマスタースレイブ方式で操作されてもよい。この場合、アーム部5145は、手術室から離れた場所に設置される入力装置5161を介してユーザによって遠隔操作され得る。
【0137】
また、力制御が適用される場合には、アーム制御装置5159は、ユーザからの外力を受け、その外力にならってスムーズにアーム部5145が移動するように、各関節部5147a~5147cのアクチュエータを駆動させる、いわゆるパワーアシスト制御を行ってもよい。これにより、ユーザが直接アーム部5145に触れながらアーム部5145を移動させる際に、比較的軽い力で当該アーム部5145を移動させることができる。従って、より直感的に、より簡易な操作で内視鏡5115を移動させることが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0138】
ここで、一般的に、内視鏡下手術では、スコピストと呼ばれる医師によって内視鏡5115が支持されていた。これに対して、支持アーム装置5141を用いることにより、人手によらずに内視鏡5115の位置をより確実に固定することが可能になるため、術部の画像を安定的に得ることができ、手術を円滑に行うことが可能になる。
【0139】
なお、アーム制御装置5159は必ずしもカート5151に設けられなくてもよい。また、アーム制御装置5159は必ずしも1つの装置でなくてもよい。例えば、アーム制御装置5159は、支持アーム装置5141のアーム部5145の各関節部5147a~5147cにそれぞれ設けられてもよく、複数のアーム制御装置5159が互いに協働することにより、アーム部5145の駆動制御が実現されてもよい。
【0140】
(光源装置)
光源装置5157は、内視鏡5115に術部を撮影する際の照射光を供給する。光源装置5157は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成される。このとき、RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置5157において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド5119の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0141】
また、光源装置5157は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド5119の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0142】
また、光源装置5157は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察するもの(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得るもの等が行われ得る。光源装置5157は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0143】
(カメラヘッド及びCCU)
図19を参照して、内視鏡5115のカメラヘッド5119及びCCU5153の機能についてより詳細に説明する。
図19は、
図18に示すカメラヘッド5119及びCCU5153の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0144】
図19を参照すると、カメラヘッド5119は、その機能として、レンズユニット5121と、撮像部5123と、駆動部5125と、通信部5127と、カメラヘッド制御部5129と、を有する。また、CCU5153は、その機能として、通信部5173と、画像処理部5175と、制御部5177と、を有する。カメラヘッド5119とCCU5153とは、伝送ケーブル5179によって双方向に通信可能に接続されている。
【0145】
まず、カメラヘッド5119の機能構成について説明する。レンズユニット5121は、鏡筒5117との接続部に設けられる光学系である。鏡筒5117の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド5119まで導光され、当該レンズユニット5121に入射する。レンズユニット5121は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。レンズユニット5121は、撮像部5123の撮像素子の受光面上に観察光を集光するように、その光学特性が調整されている。また、ズームレンズ及びフォーカスレンズは、撮像画像の倍率及び焦点の調整のため、その光軸上の位置が移動可能に構成される。
【0146】
撮像部5123は撮像素子によって構成され、レンズユニット5121の後段に配置される。レンズユニット5121を通過した観察光は、当該撮像素子の受光面に集光され、光電変換によって、観察像に対応した画像信号が生成される。撮像部5123によって生成された画像信号は、通信部5127に提供される。
【0147】
撮像部5123を構成する撮像素子としては、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプのイメージセンサであり、Bayer配列を有するカラー撮影可能なものが用いられる。なお、当該撮像素子としては、例えば4K以上の高解像度の画像の撮影に対応可能なものが用いられてもよい。術部の画像が高解像度で得られることにより、術者5181は、当該術部の様子をより詳細に把握することができ、手術をより円滑に進行することが可能となる。
【0148】
また、撮像部5123を構成する撮像素子は、3D表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成される。3D表示が行われることにより、術者5181は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部5123が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット5121も複数系統設けられる。
【0149】
また、撮像部5123は、必ずしもカメラヘッド5119に設けられなくてもよい。例えば、撮像部5123は、鏡筒5117の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0150】
駆動部5125は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部5129からの制御により、レンズユニット5121のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部5123による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0151】
通信部5127は、CCU5153との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部5127は、撮像部5123から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル5179を介してCCU5153に送信する。この際、術部の撮像画像を低レイテンシで表示するために、当該画像信号は光通信によって送信されることが好ましい。手術の際には、術者5181が撮像画像によって患部の状態を観察しながら手術を行うため、より安全で確実な手術のためには、術部の動画像が可能な限りリアルタイムに表示されることが求められるからである。光通信が行われる場合には、通信部5127には、電気信号を光信号に変換する光電変換モジュールが設けられる。画像信号は当該光電変換モジュールによって光信号に変換された後、伝送ケーブル5179を介してCCU5153に送信される。
【0152】
また、通信部5127は、CCU5153から、カメラヘッド5119の駆動を制御するための制御信号を受信する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。通信部5127は、受信した制御信号をカメラヘッド制御部5129に提供する。なお、CCU5153からの制御信号も、光通信によって伝送されてもよい。この場合、通信部5127には、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが設けられ、制御信号は当該光電変換モジュールによって電気信号に変換された後、カメラヘッド制御部5129に提供される。
【0153】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、取得された画像信号に基づいてCCU5153の制御部5177によって自動的に設定される。つまり、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡5115に搭載される。
【0154】
カメラヘッド制御部5129は、通信部5127を介して受信したCCU5153からの制御信号に基づいて、カメラヘッド5119の駆動を制御する。例えば、カメラヘッド制御部5129は、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報及び/又は撮像時の露光を指定する旨の情報に基づいて、撮像部5123の撮像素子の駆動を制御する。また、例えば、カメラヘッド制御部5129は、撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報に基づいて、駆動部5125を介してレンズユニット5121のズームレンズ及びフォーカスレンズを適宜移動させる。カメラヘッド制御部5129は、更に、鏡筒5117やカメラヘッド5119を識別するための情報を記憶する機能を備えてもよい。
【0155】
なお、レンズユニット5121や撮像部5123等の構成を、気密性及び防水性が高い密閉構造内に配置することで、カメラヘッド5119について、オートクレーブ滅菌処理に対する耐性を持たせることができる。
【0156】
次に、CCU5153の機能構成について説明する。通信部5173は、カメラヘッド5119との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部5173は、カメラヘッド5119から、伝送ケーブル5179を介して送信される画像信号を受信する。この際、上記のように、当該画像信号は好適に光通信によって送信され得る。この場合、光通信に対応して、通信部5173には、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが設けられる。通信部5173は、電気信号に変換した画像信号を画像処理部5175に提供する。
【0157】
また、通信部5173は、カメラヘッド5119に対して、カメラヘッド5119の駆動を制御するための制御信号を送信する。当該制御信号も光通信によって送信されてよい。
【0158】
画像処理部5175は、カメラヘッド5119から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。当該画像処理としては、例えば現像処理、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の公知の信号処理が含まれる。また、画像処理部5175は、AE、AF及びAWBを行うための、画像信号に対する検波処理を行う。
【0159】
画像処理部5175は、CPUやGPU等のプロセッサによって構成され、当該プロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより、上述した画像処理や検波処理が行われ得る。なお、画像処理部5175が複数のGPUによって構成される場合には、画像処理部5175は、画像信号に係る情報を適宜分割し、これら複数のGPUによって並列的に画像処理を行う。
【0160】
制御部5177は、内視鏡5115による術部の撮像、及びその撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部5177は、カメラヘッド5119の駆動を制御するための制御信号を生成する。この際、撮像条件がユーザによって入力されている場合には、制御部5177は、当該ユーザによる入力に基づいて制御信号を生成する。あるいは、内視鏡5115にAE機能、AF機能及びAWB機能が搭載されている場合には、制御部5177は、画像処理部5175による検波処理の結果に応じて、最適な露出値、焦点距離及びホワイトバランスを適宜算出し、制御信号を生成する。
【0161】
また、制御部5177は、画像処理部5175によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部の画像を表示装置5155に表示させる。この際、制御部5177は、各種の画像認識技術を用いて術部画像内における各種の物体を認識する。例えば、制御部5177は、術部画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具5135使用時のミスト等を認識することができる。制御部5177は、表示装置5155に術部の画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させる。手術支援情報が重畳表示され、術者5181に提示されることにより、より安全かつ確実に手術を進めることが可能になる。
【0162】
カメラヘッド5119及びCCU5153を接続する伝送ケーブル5179は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0163】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル5179を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド5119とCCU5153との間の通信は無線で行われてもよい。両者の間の通信が無線で行われる場合には、伝送ケーブル5179を手術室内に敷設する必要がなくなるため、手術室内における医療スタッフの移動が当該伝送ケーブル5179によって妨げられる事態が解消され得る。
【0164】
以上、本開示に係る技術が適用され得る手術室システム5100の一例について説明した。なお、ここでは、一例として手術室システム5100が適用される医療用システムが内視鏡手術システム5113である場合について説明したが、手術室システム5100の構成はかかる例に限定されない。例えば、手術室システム5100は、内視鏡手術システム5113に代えて、検査用軟性内視鏡システムや顕微鏡手術システムに適用されてもよい。
【0165】
本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、CCU5153から表示装置5155に対する撮像画像の伝送や、視聴覚コントローラ5107から表示装置5103A~5103D、集中操作パネル5111何れかへの撮像画像の伝送に好適に適用され得る。この場合、CCU5153や視聴覚コントローラ5107が、本技術に係る「画像生成部」及び「出力部」の機能を担い、表示装置5155や表示装置5103A~5103D、集中操作パネル5111が本技術に係る「表示部」の機能を担うことになる。
【0166】
図20、
図21は、応用例におけるHFR領域の設定例についての説明図である。
図20は、内視鏡5115による撮像画像の一例を示している。
内視鏡5115によっては、視野が略円形となるものがあり、その場合における撮像画像には、図中に例示するような非有効領域An(例えば輝度=0による黒色の領域)が存在する。この場合には、撮像画像における非有効領域Anを除く領域をHFR領域とすることが考えられる。
【0167】
或いは、
図21に例示するように、内視鏡5115によっては撮像画像に非有効領域Anが発生しない場合もある。この場合には、撮像画像において術者が注目していると推定される領域をHFR領域とすることが考えられる。この際、術者の注目領域は、動き量に基づいて推定することが考えられる。或いは、撮像画像内における鉗子5137等の術具の先端位置を検出し、少なくとも該先端位置を含む領域として推定することも考えられる。或いは、術者の注目領域は、例えば撮像画像の中心を含む固定の領域とすることも考えられる。
【0168】
上記のように手術室システム5100における撮像画像の伝送について本開示に係る技術を適用することにより、撮像画像を表示部に表示する際の画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減を図りつつ、対象とする被写体が映し出されている部分についてはHFR領域とすることが可能となる。
従って、画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減と、手術の安全性向上との両立を図ることができる。
【0169】
<6.実施形態のまとめ>
上記のように実施形態としての画像処理装置(撮像装置1,1A,1B)は、撮像画像に基づく第一フレームレート画像(ハイフレームレート画像)と、第一フレームレート画像よりもフレームレートの低い第二フレームレート画像(ローフレームレート画像)とを生成する画像生成部(制御部4、HFR/LFR画像生成部9又は9A、OSD画像生成部10)と、画像生成部が生成した第一フレームレート画像と第二フレームレート画像とが表示部(同11,11A)の異なる表示領域に表示されるように出力する出力部(HFR/LFR画像生成部9又は9A、OSD画像生成部10)とを備えている。
これにより、表示画像を構成する画像のうち、被写体が映し出される部分の画像については第一(ハイ)フレームレート画像とし、それ以外の部分の画像については第二(ロー)フレームレート画像とすることが可能となる。すなわち、被写体が映し出される部分以外の画像をローフレームレートとすることで、表示画像全域をハイフレームレートとする場合と比較して、表示のために伝送すべき画像データの量を削減することが可能とされる。一方、被写体が映し出されている部分の画像をハイフレームレートとすることで、被写体の動きに対する表示画像の応答性低下の防止を図ることが可能とされる。
従って、撮像画像を表示部に表示する際の画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減を図りつつ、シャッタチャンスを逃し難くすることができる。
【0170】
また、実施形態としての画像処理装置においては、画像生成部は、第二フレームレート画像として、ユーザに対する通知情報(同I)を表す画像を生成している。
これにより、例えば撮像装置の各種設定や状態等を通知するOSD画像等、ユーザに対する通知情報を表す画像をローフレームレート画像として表示することが可能とされる。
従って、表示画像を構成する画像のうち、被写体が映し出される部分の画像についてはハイフレームレート画像とし、それ以外の部分の画像についてはローフレームレート画像とすることができ、撮像画像を表示部に表示する際の画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減を図りつつ、シャッタチャンスを逃し難くすることができる。
【0171】
さらに、実施形態としての画像処理装置においては、操作に応じて通知情報を表示部に表示するモードと非表示にするモードとの切替えが可能とされ、画像生成部は、通知情報を表示するモードにおいて、通知情報を表す第二フレームレート画像の生成を行っている。
これにより、通知情報を非表示とするモード下では、通知情報を表すローフレームレート画像の表示が行われないようにすることが可能とされる。すなわち、ユーザの操作(指示)とは無関係に、撮像画像以外の画像を表示する動作が行われないようにすることが可能とされる。
従って、画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減を図りつつシャッタチャンスを逃し難くするにあたり、ユーザに違和感を与えてしまうことの防止を図ることができる。
【0172】
さらにまた、実施形態としての画像処理装置においては、画像生成部は、通知情報の更新タイミングを契機に第二フレームレート画像のフレーム更新を行っている。
これにより、例えば撮像装置の電池残量や撮像モード情報等の通知情報の更新タイミングを契機に、ローフレームレート画像の画像内容が更新される。
従って、ローフレームレート画像の伝送量の低減を図ることができ、画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減を図ることができる。
【0173】
また、実施形態としての画像処理装置においては、画像生成部は、通知情報を表す第二フレームレート画像を、表示部における第一フレームレート画像の表示領域の外周の表示領域に表示される画像として生成している。
すなわち、通知情報を表すローフレームレート画像は、被写体が映し出されるハイフレームレート画像の外周の表示領域に表示される。そのため、ハイフレームレート画像の表示領域に撮像画像の全域(全視野)の画像を表示しても、その一部がローフレームレート画像によって遮られることがない。
従って、通知情報を表すローフレームレート画像の表示に伴いスルー画としての表示画像の視認性が悪化してしまうことの防止を図ることができる。
【0174】
さらに、実施形態としての画像処理装置においては、画像生成部は、撮像画像における一部の領域の画像を第一フレームレート画像として生成し、撮像画像における一部の領域以外の領域の画像を第二フレームレート画像として生成している。
これにより、画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減を図りつつシャッタチャンスを逃し難くするにあたり、表示部の表示領域全域に撮像画像を表示することが可能とされる。
従って、画像伝送に係る帯域幅や消費電力の削減を図りつつシャッタチャンスを逃し難くするにあたり、スルー画としての表示画像の視認性向上を図ることができる。
【0175】
さらにまた、実施形態としての画像処理装置においては、画像生成部は、撮像画像における特定被写体の検出領域の画像を第一フレームレート画像として生成している。
特定被写体とは、撮像画像に対する被写体検出処理において検出対象とされた被写体を意味する。
上記のように特定被写体の検出領域の画像をハイフレームレート画像とすることで、ユーザが注目していると推定される部分をハイフレームレートとする、すなわち、表示画像の応答性向上を図ることができ、シャッタチャンスを逃し難くすることができる。
【0176】
また、実施形態としての画像処理装置においては、画像生成部は、撮像画像における動体の検出領域の画像を第一フレームレート画像として生成している。
これにより、撮像画像を表示部にスルー画として表示するにあたり、表示画像の応答性を高めるべき領域のみをハイフレームレート画像とし、それ以外の領域をローフレームレート画像とすることが可能とされる。
従って、ハイフレームレート画像とローフレームレート画像の領域分けの効率化を図ることができる。
【0177】
さらに、実施形態としての画像処理装置においては、出力部は、第一フレームレート画像と第二フレームレート画像の表示領域を指示する情報を表示部に出力している。
これにより、ハイフレームレート画像、ローフレームレート画像それぞれの表示領域が表示部に指示される。
従って、フレームレートの異なる画像をそれぞれ適切なレイアウトで表示部に表示させることができる。
【0178】
さらにまた、実施形態としての画像処理装置(撮像装置1A)においては、出力部(HFR/LFR画像生成部9A)は、第一フレームレート画像と第二フレームレート画像を単一の伝送路(共通伝送路L3)に時分割で出力している。
これにより、表示部に対する画像伝送用のケーブルを1本に集約することが可能とされる。
従って、部品点数の削減、及びコスト削減を図ることができる。
【0179】
また、実施形態としての画像処理装置においては、出力部は、第二フレームレート画像を領域分割して得られる各一部の画像を伝送路に時分割出力している。
これにより、ローフレームレート画像の1フレーム全体を出力する間にハイフレームレート画像を複数フレーム分出力することが可能とされる。
従って、ハイフレームレート画像とローフレームレート画像とを単一の伝送路によって各フレームレートを保ちながら適切に出力することができる。
【0180】
さらに、実施形態としての画像処理装置においては、出力部が出力した第一フレームレート画像と第二フレームレート画像とを合成して表示する表示部(同11又は11A)を備えている。
ここで言う合成とは、複数の画像を単一の画像に統合することを意味する。
上記の表示部を備えることで、フレームレートの異なる画像を単一画像としてユーザに違和感なく提示することができる。
【0181】
さらにまた、実施形態としての画像処理装置(撮像装置1B)においては、画像生成部は、撮像画像における第一フレームレート画像とする領域を、ユーザの操作に基づき設定している。
これにより、ユーザが注目している被写体を含んだ領域をハイフレームレート画像の領域として設定することが可能とされる。
ユーザが注目している被写体の部分をハイフレームレート画像とすることで、シャッタチャンスを逃し難くすることができる。
【0182】
また、実施形態としての画像処理装置においては、画像生成部は、撮像画像を表示する画面上における位置を指定する操作に基づき第一フレームレート画像とする領域を設定している。
これにより、ハイフレームレート画像とする領域の指定操作は、画面上に表示される撮像画像を確認しながら、該画面上における位置を指定するという直感的な操作により実現可能とされる。
従って、ハイフレームレート画像とする領域の指定に係る操作について、操作性の向上を図ることができる。
【0183】
さらに、実施形態としての画像処理装置においては、画面上における位置を指定する操作が画面をタッチする操作とされている。
これにより、ハイフレームレート画像とする領域の指定操作は、撮像画像が表示される画面上における所要の位置をタッチする操作という直感的な操作により実現可能とされる。
従って、ハイフレームレート画像とする領域の指定に係る操作について、操作性の向上を図ることができる。
【0184】
さらにまた、実施形態としての画像処理装置においては、画像生成部は、撮像画像を表示する画面の面内における方向を指示する操作に基づき第一フレームレート画像とする領域の範囲を設定している。
これにより、ハイフレームレート画像とする領域の範囲を指定する操作は、画面上に表示される撮像画像を確認しながら、該画面の面内における方向を指定するという直感的な操作により実現可能とされる。
従って、ハイフレームレート画像とする領域の指定に係る操作について、操作性の向上を図ることができる。
【0185】
また、実施形態としての画像処理装置においては、方向を指示する操作が画面上をなぞる操作とされている。
これにより、ハイフレームレート画像とする領域の範囲を指定する操作は、撮像画像が表示される画面上をなぞるという直感的な操作により実現される。
従って、ハイフレームレート画像とする領域の指定に係る操作について、操作性の向上を図ることができる。
【0186】
また、実施形態としての画像処理方法は、撮像画像に基づく第一フレームレート画像と、第一フレームレート画像よりもフレームレートの低い第二フレームレート画像とを生成し、生成した第一フレームレート画像と第二フレームレート画像とが表示部の異なる表示領域に表示されるように出力する画像処理方法である。
このような実施形態としての画像処理方法によっても、上記した実施形態としての画像処理装置と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0187】
実施形態のプログラムは、撮像画像に基づく第一フレームレート画像と、第一フレームレート画像よりもフレームレートの低い第二フレームレート画像とを生成し、生成した第一フレームレート画像と第二フレームレート画像とが表示部の異なる表示領域に表示されるように出力する機能を、情報処理装置に実現させるプログラムである。
すなわち、
図7や
図8、
図10等で説明した処理を情報処理装置に実行させるプログラムである。
このようなプログラムにより実施形態としての画像処理装置の実現が容易となる。
そしてこのようなプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記録媒体や、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記憶しておくことができる。或いは、半導体メモリ、メモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク等のリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記憶)しておくことができる。またこのようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【0188】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0189】
<7.本技術>
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
撮像画像に基づく第一フレームレート画像と、前記第一フレームレート画像よりもフレームレートの低い第二フレームレート画像とを生成する画像生成部と、
前記画像生成部が生成した前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像とが表示部の異なる表示領域に表示されるように出力する出力部と、を備える
画像処理装置。
(2)
前記画像生成部は、
前記第二フレームレート画像として、ユーザに対する通知情報を表す画像を生成する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
操作に応じて前記通知情報を前記表示部に表示するモードと非表示にするモードとの切替えが可能とされ、
前記画像生成部は、
前記通知情報を表示するモードにおいて、前記通知情報を表す前記第二フレームレート画像の生成を行う
前記(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記画像生成部は、
前記通知情報の更新タイミングを契機に前記第二フレームレート画像のフレーム更新を行う
前記(2)又は(3)に記載の画像処理装置。
(5)
前記画像生成部は、
前記通知情報を表す前記第二フレームレート画像を、前記表示部における前記第一フレームレート画像の表示領域の外周の表示領域に表示される画像として生成する
前記(2)乃至(4)の何れかに記載の画像処理装置。
(6)
前記画像生成部は、
前記撮像画像における一部の領域の画像を前記第一フレームレート画像として生成し、前記撮像画像における前記一部の領域以外の領域の画像を前記第二フレームレート画像として生成する
前記(1)から(5)の何れかに記載の画像処理装置。
(7)
前記画像生成部は、
前記撮像画像における特定被写体の検出領域の画像を前記第一フレームレート画像として生成する
前記(6)に記載の画像処理装置。
(8)
前記画像生成部は、
前記撮像画像における動体の検出領域の画像を前記第一フレームレート画像として生成する
前記(7)に記載の画像処理装置。
(9)
前記出力部は、
前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像の表示領域を指示する情報を前記表示部に出力する
前記(1)から(8)の何れかに記載の画像処理装置。
(10)
前記出力部は、
前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像を単一の伝送路に時分割で出力する
前記(1)から(9)の何れかに記載の画像処理装置。
(11)
前記出力部は、
前記第二フレームレート画像を領域分割して得られる各一部の画像を前記伝送路に時分割出力する
前記(10)に記載の画像処理装置。
(12)
前記出力部が出力した前記第一フレームレート画像と前記第二フレームレート画像とを合成して表示する前記表示部を備えた
前記(1)から(11)の何れかに記載の画像処理装置。
(13)
前記画像生成部は、
前記撮像画像における前記第一フレームレート画像とする領域を、ユーザの操作に基づき設定する
前記(6)から(12)の何れかに記載の画像処理装置。
(14)
前記画像生成部は、
前記撮像画像を表示する画面上における位置を指定する操作に基づき前記第一フレームレート画像とする領域を設定する
前記(13)に記載の画像処理装置。
(15)
前記画面上における位置を指定する操作が前記画面をタッチする操作とされた
前記(14)に記載の画像処理装置。
(16)
前記画像生成部は、
前記撮像画像を表示する画面の面内における方向を指示する操作に基づき前記第一フレームレート画像とする領域の範囲を設定する
前記(15)に記載の画像処理装置。
(17)
前記方向を指示する操作が前記画面上をなぞる操作とされた
前記(16)に記載の画像処理装置。
【符号の説明】
【0190】
1,1A,1B 撮像装置、2 撮像部、3 画像処理部、4 制御部、5 電源部、6 操作部、6a タッチパネル、7 センサ部、8 記録制御部、9,9A HFR/LFR画像生成部、10 OSD画像生成部、11,11A 表示部、11a 表示画面、L1 H伝送路、L2 L伝送路、L3 共通伝送路、F1 画像生成部、F2 出力部、F3 表示部、Wa 領域枠