(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】手術顕微鏡システム、および顕微鏡カメラアダプタ
(51)【国際特許分類】
G02B 21/22 20060101AFI20240910BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20240910BHJP
G02B 7/06 20210101ALI20240910BHJP
G03B 35/18 20210101ALI20240910BHJP
A61B 90/20 20160101ALI20240910BHJP
【FI】
G02B21/22
G02B7/28 J
G02B7/06
G03B35/18
A61B90/20
(21)【出願番号】P 2021561299
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2020042375
(87)【国際公開番号】W WO2021106611
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2019215560
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】大木 智之
(72)【発明者】
【氏名】中條 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀男
(72)【発明者】
【氏名】福堀 仁志
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-058733(JP,A)
【文献】特開2017-021356(JP,A)
【文献】特開2017-029333(JP,A)
【文献】特開2019-107552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
G02B 7/28
G02B 7/06
G03B 35/18
A61B 90/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用顕微鏡における対物レンズと接眼レンズとの間に設けられ、右眼用画像および左眼用画像として術野を2つの撮像装置により撮像できるように光学系の調整を行う光学系調整部と、
前記2つの撮像装置による前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に使用される光学系の調整を前記光学系調整部において同時に行うように制御する制御部と、
前記撮像装置を制御し、前記撮像装置により生成された画像信号を出力する撮像制御部と、
前記撮像制御部より出力される前記画像信号に基づく画像を表示する表示部と
を含み、
前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に用いられる2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する、2つのフォーカスレンズ調整部を含み、
前記制御部は、
前記2つのフォーカスレンズ調整部を同時に制御することにより、前記2つのフォーカスレンズの前記フォーカスを調整するフォーカス制御部を含み、
前記2つのフォーカスレンズは、それぞれ最も前記対物レンズ側のレンズである先端レンズ、最も前記撮像装置側のレンズである終端レンズ、および、前記先端レンズと前記終端レンズとの間に挟まれて設けられる少なくとも1枚以上のレンズである中間レンズの、3種類のレンズからなるレンズ群より構成され、
前記フォーカス制御部は、前記2つのフォーカスレンズを構成するレンズ群のうち、前記中間レンズのうちの少なくとも1枚以上を入射光の光軸に対して、同一の距離だけ同時に移動させるように、前記2つのフォーカスレンズ調整部を制御することにより前記2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する
手術顕微鏡システム。
【請求項2】
前記2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整するための設定値であるフォーカス設定値の入力を受け付ける操作部をさらに含み、
前記フォーカス制御部は、前記フォーカス設定値に基づいて、前記2つのフォーカスレンズ調整部を制御することにより、前記2つのフォーカスレンズを同時に制御することにより、前記フォーカスを調整する
請求項
1に記載の手術顕微鏡システム。
【請求項3】
前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像を撮像する前記2つの撮像装置のそれぞれの絞りを2つの絞り機構部により調整する2つの絞り調整部をさらに含み、
前記制御部は、
前記2つの絞り調整部を制御して、前記2つの絞り機構部を同一の状態で、同時に調整することにより、前記2つの撮像装置のそれぞれの絞りを調整する絞り制御部をさらに含む
請求項1に記載の手術顕微鏡システム。
【請求項4】
前記絞りを調整するための設定値である絞り設定値の入力を受け付ける操作部をさらに含み、
前記絞り制御部は、前記絞り設定値に基づいて、前記2つの絞り調整部を制御して、前記2つの絞り機構部を同一の状態で、同時に調整することにより、前記2つの撮像装置の絞りを調整する
請求項
3に記載の手術顕微鏡システム。
【請求項5】
前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光の一部を、それぞれの接眼レンズに分岐し、前記一部以外の前記入射光をそれぞれ前記撮像装置に分岐する2つのスプリッタと、
前記2つのスプリッタ間の距離である基線長を変化させるように、前記2つのスプリッタを移動させる2つの基線長調整部と
をさらに含み、
前記制御部は、
前記2つのスプリッタの中心位置からの距離を等距離にした状態を維持して、同時に前記2つのスプリッタ間の距離である基線長を変化させるように前記2つの基線長調整部を制御することにより、前記基線長を調整する基線長制御部をさらに含む
請求項1に記載の手術顕微鏡システム。
【請求項6】
前記基線長を調整するための設定値である基線長設定値の入力を受け付ける操作部をさらに含み、
前記基線長制御部は、前記基線長設定値に基づいて、前記2つの基線長調整部を制御して、前記2つのスプリッタの中心位置からの距離を等距離にした状態を維持して、同時に前記2つのスプリッタ間の距離である基線長を変化させることにより、前記基線長を調整する
請求項
5に記載の手術顕微鏡システム。
【請求項7】
前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記2つのスプリッタのそれぞれにより前記撮像装置に分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光を、それぞれを前記撮像装置に反射させる2つのミラーと、
前記2つのミラーの少なくともいずれかの反射方向を変化させるミラー調整部とをさらに含む
請求項
5に記載の手術顕微鏡システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記2つのミラーの少なくともいずれかの前記ミラー調整部を制御して、反射方向を調整することにより、前記右眼用画像および前記左眼用画像間の視差を調整する視差制御部をさらに含む
請求項
7に記載の手術顕微鏡システム。
【請求項9】
前記2つのスプリッタの少なくともいずれかは、前記撮像装置に分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光の分岐方向を変化させるスプリッタ方向調整部をさらに含み、
前記視差制御部により制御される、前記ミラー調整部による、前記2つのミラーの少なくともいずれかの反射方向の制御、および、前記視差制御部により制御される、前記スプリッタ方向調整部による、前記スプリッタにより分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像されるそれぞれの入射光の少なくともいずれかの分岐方向の制御のうちの、少なくともいずれかの制御により、前記右眼用画像および前記左眼用画像間の視差が調整される
請求項
8に記載の手術顕微鏡システム。
【請求項10】
前記視差を調整するための設定値である視差設定値の入力を受け付ける操作部をさらに含み、
前記視差制御部は、前記視差設定値に基づいて、前記ミラー調整部を制御して、前記2つのミラーの少なくともいずれかの反射方向を調整することにより、前記右眼用画像および前記左眼用画像間の視差を調整する
請求項
8に記載の手術顕微鏡システム。
【請求項11】
手術用顕微鏡における対物レンズと接眼レンズとの間に設けられ、右眼用画像および左眼用画像として術野を2つの撮像装置により撮像できるように光学系の調整を行う光学系調整部と、
前記2つの撮像装置による前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に使用される光学系の調整を前記光学系調整部において同時に行う調整部と
を含み、
前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に用いられる2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する、2つのフォーカスレンズ調整部を含み、
前記調整部は、
前記2つのフォーカスレンズ調整部を同時に制御することにより、前記2つのフォーカスレンズの前記フォーカスを調整するフォーカスレンズ調整部を含み、
前記2つのフォーカスレンズは、それぞれ最も前記対物レンズ側のレンズである先端レンズ、最も前記撮像装置側のレンズである終端レンズ、および、前記先端レンズと前記終端レンズとの間に挟まれて設けられる少なくとも1枚以上のレンズである中間レンズの、3種類のレンズからなるレンズ群より構成され、
前記フォーカスレンズ調整部は、前記2つのフォーカスレンズを構成するレンズ群のうち、前記中間レンズのうちの少なくとも1枚以上を入射光の光軸に対して、同一の距離だけ同時に移動させるように、前記2つのフォーカスレンズ調整部を制御することにより前記2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する
を含む顕微鏡カメラアダプタ。
【請求項12】
前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像を撮像する前記2つの撮像装置のそれぞれの絞りを調整する2つの絞り機構部をさらに含み、
前記調整部は、
前記2つの絞り機構部を同一の絞りの状態で、同時に調整することにより、前記2つの撮像装置の絞りを調整する2つの絞り調整部をさらに含む
請求項
11に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
【請求項13】
前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光の一部を、それぞれ接眼レンズに分岐し、前記一部以外の前記入射光をそれぞれ前記撮像装置に分岐する2つのスプリッタをさらに含み、
前記調整部は、
前記2つのスプリッタの中心位置からの距離を等距離にした状態を維持して、同時に前記2つのスプリッタを移動することにより、前記2つのスプリッタ間の距離である基線長を調整する2つの基線長調整部をさらに含む
請求項
11に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
【請求項14】
前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、2つのスプリッタのそれぞれにより前記撮像装置に分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光を、それぞれ前記撮像装置に反射させる2つのミラーをさらに含む
請求項
11に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
【請求項15】
前記調整部は、
前記2つのミラーの少なくともいずれかの反射方向を制御することにより、前記右眼用画像および前記左眼用画像間の視差を調整するミラー調整部をさらに含む
請求項14に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
【請求項16】
前記2つのスプリッタの少なくともいずれかを、それぞれにより前記撮像装置に分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光の分岐方向を変化させるスプリッタ方向調整部をさらに含み、
前記ミラー調整部による、前記2つのミラーの少なくともいずれかの反射方向の制御、および、前記スプリッタ方向調整部による、前記スプリッタにより分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光の少なくともいずれかの分岐方向の制御のうち、少なくともいずれかの制御により、前記右眼用画像および前記左眼用画像間の視差が調整される
請求項15に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手術顕微鏡システム、および顕微鏡カメラアダプタに関し、特に、3次元画像の観察に係る左右の画像の調整を同時にできるようにした手術顕微鏡システム、および顕微鏡カメラアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
手術に用いられる顕微鏡(以下、単に、手術顕微鏡とも称する)により観察される画像を表示/記録するために、外付けのカメラを取り付けるためのカメラアダプタが普及しつつある。
【0003】
近年、手術顕微鏡により観察される画像の3次元化のニーズの高まりに伴い、左右両眼の画像を表示/記録するために2台のカメラと手術顕微鏡を光学的に接続するカメラアダプタが提案されている。
【0004】
カメラアダプタにおいて、3次元画像としての感覚を強くするには、左眼右眼のそれぞれの画像の差異をなくして奥行き感(視差)を調整できるようにすることが重要である。
【0005】
そこで、左眼右眼用の画像を撮像するカメラのそれぞれにフォーカス調整機能を設けるようにすることにより、左眼右眼の画像のそれぞれのフォーカスを調整できるようにする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、中間鏡筒に光軸間距離を調整できる機構をつける技術(特許文献2参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-145968号公報
【文献】特開2010-160342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、フォーカスの調整は左眼右眼用の画像を撮像するカメラのそれぞれを個別に調整する構成であるため、手術中に調整が必要になった場合、左眼右眼用のカメラのそれぞれを個別に調整する必要があり、手間が多く手術時間を延長させてしまう恐れがあった。
【0009】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、特に、術野の3次元画像による観察に係る左右の画像の調整を容易にできるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1の側面の手術顕微鏡システムは、手術用顕微鏡における対物レンズと接眼レンズとの間に設けられ、右眼用画像および左眼用画像として術野を2つの撮像装置により撮像できるように光学系の調整を行う光学系調整部と、前記2つの撮像装置による前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に使用される光学系の調整を前記光学系調整部において同時に行うように制御する制御部と、前記撮像装置を制御し、前記撮像装置により生成された画像信号を出力する撮像制御部と、前記撮像制御部より出力される前記画像信号に基づく画像を表示する表示部とを含み、前記光学系調整部は、前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に用いられる2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する、2つのフォーカスレンズ調整部を含み、前記制御部は、前記2つのフォーカスレンズ調整部を同時に制御することにより、前記2つのフォーカスレンズの前記フォーカスを調整するフォーカス制御部を含み、前記2つのフォーカスレンズは、それぞれ最も前記対物レンズ側のレンズである先端レンズ、最も前記撮像装置側のレンズである終端レンズ、および、前記先端レンズと前記終端レンズとの間に挟まれて設けられる少なくとも1枚以上のレンズである中間レンズの、3種類のレンズからなるレンズ群より構成され、前記フォーカス制御部は、前記2つのフォーカスレンズを構成するレンズ群のうち、前記中間レンズのうちの少なくとも1枚以上を入射光の光軸に対して、同一の距離だけ同時に移動させるように、前記2つのフォーカスレンズ調整部を制御することにより前記2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する手術顕微鏡システムである。
【0011】
本開示の第1の側面においては、手術用顕微鏡における対物レンズと接眼レンズとの間に設けられ、右眼用画像および左眼用画像として術野を2つの撮像装置により撮像できるように光学系の調整が行われ、前記2つの撮像装置による前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に使用される光学系の調整が同時に行われるように制御され、前記撮像装置が制御され、前記撮像装置により生成された画像信号が出力され、出力される前記画像信号に基づく画像が表示され、前記光学系の調整が行われ、前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に用いられる2つのフォーカスレンズのフォーカスが同時に制御されることにより、前記2つのフォーカスレンズの前記フォーカスが調整され、前記2つのフォーカスレンズが、それぞれ最も前記対物レンズ側のレンズである先端レンズ、最も前記撮像装置側のレンズである終端レンズ、および、前記先端レンズと前記終端レンズとの間に挟まれて設けられる少なくとも1枚以上のレンズである中間レンズの、3種類のレンズからなるレンズ群より構成され、前記2つのフォーカスレンズを構成するレンズ群のうち、前記中間レンズのうちの少なくとも1枚以上が入射光の光軸に対して、同一の距離だけ同時に移動されるように、制御されることにより前記2つのフォーカスレンズのフォーカスが調整される。
【0012】
本開示の第2の側面の顕微鏡カメラアダプタは、手術用顕微鏡における対物レンズと接眼レンズとの間に設けられ、右眼用画像および左眼用画像として術野を2つの撮像装置により撮像できるように光学系の調整を行う光学系調整部と、前記2つの撮像装置による前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に使用される光学系の調整を前記光学系調整部において同時に行う調整部とを含み、前記光学系調整部は、前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に用いられる2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する、2つのフォーカスレンズ調整部を含み、前記調整部は、前記2つのフォーカスレンズ調整部を同時に制御することにより、前記2つのフォーカスレンズの前記フォーカスを調整するフォーカスレンズ調整部を含み、前記2つのフォーカスレンズは、それぞれ最も前記対物レンズ側のレンズである先端レンズ、最も前記撮像装置側のレンズである終端レンズ、および、前記先端レンズと前記終端レンズとの間に挟まれて設けられる少なくとも1枚以上のレンズである中間レンズの、3種類のレンズからなるレンズ群より構成され、前記フォーカスレンズ調整部は、前記2つのフォーカスレンズを構成するレンズ群のうち、前記中間レンズのうちの少なくとも1枚以上を入射光の光軸に対して、同一の距離だけ同時に移動させるように、前記2つのフォーカスレンズ調整部を制御することにより前記2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する顕微鏡カメラアダプタである。
【0013】
本開示の第2の側面においては、手術用顕微鏡における対物レンズと接眼レンズとの間に設けられ、右眼用画像および左眼用画像として術野を2つの撮像装置により撮像できるように光学系の調整が行われ、前記2つの撮像装置による前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に使用される光学系の調整が同時に行われ、前記2つのフォーカスレンズが同時に制御されることにより、前記2つのフォーカスレンズの前記フォーカスが調整され、前記2つのフォーカスレンズが、それぞれ最も前記対物レンズ側のレンズである先端レンズ、最も前記撮像装置側のレンズである終端レンズ、および、前記先端レンズと前記終端レンズとの間に挟まれて設けられる少なくとも1枚以上のレンズである中間レンズの、3種類のレンズからなるレンズ群より構成され、前記2つのフォーカスレンズを構成するレンズ群のうち、前記中間レンズのうちの少なくとも1枚以上が入射光の光軸に対して、同一の距離だけ同時に移動されるように、制御されることにより前記2つのフォーカスレンズのフォーカスが調整される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の顕微鏡システムの構成例を説明する図である。
【
図2】カメラアダプタの構成例を説明する図である。
【
図3】アダプタコントローラの構成例を説明する図である。
【
図4】アダプタコントローラにより調整される構成を説明する図である。
【
図10】カメラアダプタの変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.好適な実施の形態
2.変形例
【0017】
<<1.好適な実施の形態>>
<顕微鏡システム>
本開示は、3次元画像の観察に係る左眼右眼の画像のそれぞれの調整を1つの操作で容易に実現できるようにするものである。
【0018】
図1は、本開示の顕微鏡システムの構成例を説明する図である。
【0019】
顕微鏡システム11は、顕微鏡21、アダプタコントローラ50、カメラアダプタ51、CCU(Camera Control Unit)71L,71R、およびモニタ81より構成される。
【0020】
顕微鏡21は、例えば、手術用の顕微鏡であり、術者が接眼部31L,31Rを覗き込むことで術野Zrを拡大して患部を視認できるようにするものである。尚、本明細書において、顕微鏡21は、手術用の顕微鏡であることを前提として説明を進めるが、本開示の技術については、手術用以外の顕微鏡に適用することも可能である。
【0021】
顕微鏡21は、接眼レンズ(31LL,31LR(
図2))を備えた上部鏡筒部31と、対物レンズ32TL(
図2)を備えた下部鏡筒部32とから構成される。
【0022】
通常、顕微鏡21は、上部鏡筒部31における左眼用接眼部31Lおよび右眼用接眼部31Rと、対応する下部鏡筒部32の左眼用透過部32Lおよび右眼用透過部32Rとの光軸が一致した状態で、上部鏡筒部31の接続部31Dと、下部鏡筒部32の接続部32Uとが接続されるように構成されている。
【0023】
このため、観察者(たとえば術者)は、顕微鏡21を用いることにより、左眼用接眼部31Lおよび右眼用接眼部31Rに対して左右の眼で覗き込むことにより、術野Zrを拡大して視認することができる。
【0024】
顕微鏡システム11においては、顕微鏡21における上部鏡筒部31と下部鏡筒部32との間に着脱可能な状態でカメラアダプタ51が挟み込まれて接続された構成とされる。すなわち、図示しないが、カメラアダプタ51を挟み込まない状態で、上部鏡筒部31の接続部31Dと、下部鏡筒部32の接続部32Uとが直接接続されるとき、顕微鏡21は、一般的な顕微鏡として機能する。
【0025】
このような構成により、カメラアダプタ51は、左眼用接眼部31Lおよび右眼用接眼部31Rを通して視認される術野Zrからの光の一部を光学的に分岐して抽出し、カメラ61L,61R(撮像装置)により術野Zrの画像を撮像できるようにする。
【0026】
そして、カメラ61L,61R(撮像装置)は、カメラアダプタ51を介して抽出された術野Zrの画像を撮像し、撮像した画像をCCU71L,71Rを介してモニタ81に表示させる。なお、カメラ61L、61Rは二つのイメージセンサを有する一体のカメラとして構成されてもよく、この場合は各イメージセンサを「撮像装置」に対応付けてもよい。
【0027】
より詳細には、カメラアダプタ51は、左眼用接眼部31Lおよび左眼用透過部32Lと穴部51Lとの光軸が一致し、右眼用接眼部31Rおよび右眼用透過部32Rと穴部51Rとの光軸が一致した状態で、接続部51Uと上部鏡筒部31の接続部31Dとが接続され、さらに、接続部51Dと下部鏡筒部32の接続部32Uとが接続されることにより、顕微鏡21と接続される。
【0028】
さらに、左眼により視認される術野Zrからの光がカメラ接続部51CLを介して、カメラ61Lの撮像面61Lfで撮像可能な状態に分岐され、右眼により視認される術野Zrからの光がカメラ接続部51CRを介してカメラ61Rの撮像面61Rfで撮像可能な状態に分岐される。
【0029】
カメラ接続部51CLは、左眼用の画像を撮像するカメラ61Lの接続部61CLと対向するように接続され、カメラ接続部51CRは、右眼用の画像を撮像するカメラ61Rの接続部61CRと対向するように接続される。
【0030】
このような構成により、カメラ61L,61Rのそれぞれにおいて、左右の眼で視認される術野の画像が撮像される。
【0031】
また、カメラアダプタ51には、アダプタコントローラ50が接続されており、アダプタコントローラ50に設けられた入力部122(
図3)を操作することで、例えば、カメラアダプタ51における穴部51L,51R間の距離である基線長、絞り、フォーカス、および視差のうち少なくとも一つを調整する。
【0032】
尚、カメラアダプタ51およびアダプタコントローラ50の詳細な構成については、
図2,
図3を参照して、詳細を後述する。
【0033】
カメラ61L,61Rは、それぞれ撮像した画像をCCU71L,71Rに出力する。
【0034】
CCU71L,71Rは、カメラ61L,61Rの絞り、画像信号の白レベルおよび黒レベル、色調などを制御し、制御した結果を、3次元画像として、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)よりなるモニタ81に表示させる。
【0035】
モニタ81は、3次元画像として観察可能な構成であれば、どのような構成であってもよく、例えば、パララックスバリアやレンチキュラレンズ等を用いた裸眼での3次元画像としての観察を実現できるような構成としてもよいし、左眼用画像および右眼用画像をそれぞれ特定の偏光画像として表示させ、偏光メガネ等を用いて3次元画像としての観察を実現するようにしてもよい。
【0036】
<カメラアダプタの構成例>
次に、
図2を参照して、カメラアダプタ51の構成例について説明する。
【0037】
カメラアダプタ51は、スプリッタ101L,101R、ミラー102L,102R、絞り機構部103L,103R、およびレンズ104L,104Rから構成され、さらに、基線長調整部111L,111R、ミラー調整部112R、絞り調整部113L,113R、およびレンズ調整部114L,114Rを備えてもよい。
【0038】
尚、符号L,Rについては、それぞれ左眼用の構成と、右眼用の構成とを区別する符号であり、それ以外が同一の符号が付された構成については、基本的に同一の機能を備えた構成である。
【0039】
スプリッタ101L,101Rは、それぞれ下部鏡筒部32を構成する対物レンズ32TLを介して入射する被写体Tからの光の一部を、上部鏡筒部31を構成する接眼レンズ31LL,31LRを介して術者の左眼ELおよび右眼ERに向けて透過させると共に、一部以外の光を分岐させてミラー102L,102Rに向けて反射させる。
【0040】
スプリッタ101L,101Rは、基線長調整部111L,111Rにより、図中の直線状の矢印で示されるスプリッタ101L,101R間の距離である基線長Bdを、変化させることが可能な構成とされている。
【0041】
より詳細には、スプリッタ101L,101Rは、基線長調整部111L,111Rにより、双方の中心位置Bdcからの距離が等距離を維持しながら移動可能な構成とされており、これにより基線長Bdの間隔を変化させることができる。
【0042】
スプリッタ101L,101R間の距離である、基線長Bdは、
図1の穴部51L,51Rの中心間距離に対応するものである。
【0043】
従って、基線長Bdを変化させることにより、
図1の穴部51L,51R間の間隔を変化させることが可能となり、左眼用透過部32Lおよび右眼用透過部32Rの間隔が様々な距離の顕微鏡21に対応することが可能となる。
【0044】
ミラー102L,102Rは、それぞれスプリッタ101L,101Rより入射する光を、それぞれカメラ61L,61Rの撮像面61Lf,61Rfに対向する方向に反射させる。
【0045】
また、ミラー102Rは、一点鎖線で示される軸102RCを中心として、モータ等からなるミラー調整部112Rにより回転可能な構成とされており、スプリッタ101Rからの光の反射方向を変化させることが可能な構成とされている。
【0046】
このように、ミラー102Rを、ミラー調整部112Rにより軸102RCを中心として回転させることで、スプリッタ101Rからの光の反射方向を、カメラ61Rの撮像面における図中の水平方向に対して変化させて調整することができる。
【0047】
このようなミラー102Rの反射方向の調整により、ミラー102Rの角度に応じた反射方向に応じて、カメラ61Rにより撮像される画像と、カメラ61Lにより撮像される画像との視差を変化させることが可能となるので、3次元画像の観察に係る被写体の奥行き感覚を調整することが可能となる(視差調整をすることが可能となる)。
【0048】
絞り機構部103L,103Rは、絞り調整部113L,113Rにより調整されることにより、例えば、開口面積を変化させることが可能な構成とされており、それぞれカメラ61L,61Rへの入射光の光量を調整することで絞りを調整する。
【0049】
レンズ104L,104Rは、いずれもフォーカスレンズであり、カメラ61L,61Rへの入射光により撮像される画像のフォーカスを調整する。
【0050】
より詳細には、レンズ104Lは、本実施形態においては、絞り機構部103L側からレンズ104L1,104L2,104L3の順番に配置されたレンズ群により構成され、レンズ104Rは、絞り機構部103R側からレンズ104R1,104R2,104R3の順番で配置されたレンズ群より構成されている。
【0051】
換言すれば、レンズ104L1,104R1は、レンズ104L,104Rのそれぞれを構成するレンズ群のうち、最も対物レンズ32TL側に設けられたレンズであり、レンズ104L3,104R3は、レンズ104L,104Rのそれぞれを構成するレンズ群のうち、最もカメラ61L、61R側に設けられたレンズである。
【0052】
さらに、レンズ104L2,104R2は、それぞれレンズ調整部114L,114Rによりミラー102L,102Rにより反射されたスプリッタ101L,101Rからの光の光軸方向に対して位置を変化させることが可能な構成とされており、レンズ104L2,104R2の位置の調整によりフォーカスが調整される。
【0053】
<アダプタコントローラの構成例>
次に、
図3のブロック図を参照して、アダプタコントローラ50の構成例について説明する。
【0054】
アダプタコントローラ50は、例えば、リモートコントローラや汎用のパーソナルコンピュータなどから構成されるものであるが、マイクロコンピュータによりカメラアダプタ51内に内蔵される構成としてもよい。また、アダプタコントローラ50の機能をCCU71L,71Rのいずれか、または、その両方に持たせるようにしてもよい。
【0055】
図3のアダプタコントローラ50は、制御部121、入力部122、出力部123、記憶部124、通信部125、ドライブ126、およびリムーバブル記憶媒体127より構成されており、相互にバス128を介して接続されており、データやプログラムを送受信することができる。
【0056】
制御部121は、プロセッサやメモリから構成されており、アダプタコントローラ50の全体の動作を制御する。
【0057】
また、制御部121は、基線長制御部151、絞り制御部152、フォーカス制御部153、および視差制御部154を備えている。
【0058】
基線長制御部151は、術者が基線長Bdを調整するために入力部122を操作するとき、入力された基線長Bdを設定するための基線長設定値に応じて、
図4で示されるように、基線長調整部111L,111Rを中心位置Bdcから等距離の状態を維持して同時に等距離だけ移動させ、スプリッタ101L,101R間の距離である基線長Bdを調整する。
【0059】
絞り制御部152は、術者が絞りを調整するために入力部122を操作するとき、入力された絞りを設定するための絞り設定値に応じて、
図4で示されるように、絞り調整部113L,113Rを制御して、絞り機構部103L,103Rの開口面積を同一の状態となるように同時に調整させることで、カメラ61L,61Rの絞りを調整する。
【0060】
フォーカス制御部153は、術者がフォーカスを調整するために入力部122を操作するとき、入力されたフォーカスを設定するためのフォーカス設定値に応じて、
図4で示されるように、レンズ調整部114L,114Rを制御して、レンズ104L,104Rのフォーカスを調整させる。
【0061】
より詳細には、レンズ調整部114L,114Rは、フォーカス設定値に基づいて、レンズ104L,104Rのそれぞれを構成するレンズ群のうち、レンズ104L2,104R2を光軸に対して同時に等距離だけ、図中の矢印方向に前後して移動させることによりフォーカスを調整する。
【0062】
視差制御部154は、術者が視差を調整するために入力部122を操作するとき、入力された視差を設定するための視差設定値に応じて、
図4で示されるように、ミラー調整部112Rを制御して、ミラー102Rを矢印で示されるように回転させることにより、ミラー102Rの反射方向を変化させて、カメラ61L,61Rにおいて撮像される画像の視差を調整する。
【0063】
入力部122は、キーボード、ボタン、操作つまみ、および操作レバーなどの操作コマンドや各種設定値を入力するための操作デバイスより構成され、操作内容に応じた操作コマンドや各種設定値に対応する信号を制御部121に供給する。
【0064】
入力部122により設定される設定値は、基線長を調整するための基線長設定値、絞りを調整するための絞り設定値、フォーカスを調整するためのフォーカス設定値、および視差を調整する視差設定値がある。
【0065】
このため、入力部122においては、それぞれの調整に必要な設定値を入力可能な個別の操作デバイスが設けられるようにしてもよいし、設定値の種別に応じた操作モードの切り替えにより、同一の操作デバイスで、複数の設定値が設定できるようにしてもよい。
【0066】
出力部123は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Organic Electro-Luminescence)等からなる画像表示部や、LED(Light Emitting Diode)等から構成される発光部より構成され、制御部121により制御されて、各種の処理結果等を表示する。
【0067】
設定値の種別に応じて操作モードが切り替えられる場合については、入力部122の操作デバイスを操作することで入力可能な設定値の種別を、出力部123により表示できるようにしてもよい。
【0068】
記憶部124は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または、半導体メモリなどからなり、制御部121により制御され、各種のデータおよびプログラムを書き込む、または、読み出す。
【0069】
また、記憶部124は、入力部122により入力され、設定された各種の設定値を記憶するようにして、適宜読み出すようにしてもよい。
【0070】
通信部125は、制御部121により制御され、有線または無線により、LAN(Local Area Network)などに代表される通信ネットワークを介して、各種の装置との間で各種のデータやプログラムを送受信する。
【0071】
また、入力部122により入力される各種の設定値については、入力部122の操作に応じた設定値に代えて、通信部125を介して外部の装置が操作されて入力された設定値が用いられるようにしてもよい。
【0072】
ドライブ126は、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体127に対してデータを読み書きする。
【0073】
また、リムーバブル記憶媒体127に入力部122により入力され、設定された各種の設定値が記憶されるようにして、適宜読み出されるようにしてもよい。
【0074】
<基線長の調整>
次に、
図5を参照して、基線長制御部151による基線長の調整について説明する。
【0075】
本開示のカメラアダプタ51においては、
図5の左部で示されるように、スプリッタ101L,101Rと、絞り機構部103L,103Rとの間に、それぞれミラー102L,102Rが設けられている。
【0076】
このような構成により、基線長制御部151は、基線長調整部111L,111Rを制御して、入力部122が操作されることで設定された基線長設定値に基づいたスプリッタ101L,101R間の基線長Bdになるように、中心位置Bdcからのスプリッタ101L,101Rの距離が等距離になるように維持しつつ、同時に移動させることで、基線長Bdを調整する。
【0077】
スプリッタ101L,101R間の距離である基線長は、入力部122が操作されることにより設定される設定値に基づいて、基線長調整部111L,111Rが基線長制御部151により制御されて、基線長の中心位置Bdcからスプリッタ101L,101Rのそれぞれが等距離となるように同時に移動されることで調整される。
【0078】
これにより、例えば、
図1を参照して説明した、下部鏡筒部32における左眼用透過部32Lおよび右眼用透過部32Rとの間隔が、様々に異なるタイプの顕微鏡21に対応することが可能となる。
【0079】
また、このとき、基線長制御部151は、
図5の左部において、丸印で囲まれたミラー102L乃至カメラ61LからなるブロックBL、および、ミラー102R乃至カメラ61RからなるブロックBRを固定した状態で、基線長調整部111L,111Rを制御して、スプリッタ101L,101Rのみを基線長Bd上で、中心位置Bdcを基準として移動させるのみでよいので、構造を簡素化することができる。
【0080】
すなわち、例えば、
図5の右部で示されるように、ミラー102L,102Rが設けられておらず、スプリッタ101L’,101R’、絞り機構部103L’,103R’、レンズ104L’,104R’、およびカメラ61L’,61R’からなる構成とした場合、スプリッタ101L’,101R’を移動させるためには、基線長調整部111L’,111R’は、点線で示されるミラー102L’乃至カメラ61L’からなるブロックBL’、および、ミラー102R’乃至カメラ61R’からなるブロックBR’の全てを、スプリッタ101L’,101R’の移動に伴って移動させる必要があり、構造が大掛かりなものとなる。また、2つのスプリッタ101L’,101R’を移動させた場合、観察者(術者)が肉眼で観察する光が通過する2つの接眼レンズ31LL,31LR(接眼部31L,31R)の間隔も動かす必要があり、観察に適さない。
【0081】
以上のような構成により、スプリッタ101L,101Rは、入力部122が操作されて基線長Bdを設定するための基線長設定値が入力されるだけで、基線長制御部151により、基線長調整部111L,111Rが制御されて、スプリッタ101L,101R間の基線長Bdを調整することが可能となる。
【0082】
これにより、基線長Bdを調整するために、スプリッタ101L,101Rのそれぞれの位置を個別に調整することなく1つの基線長設定値で、スプリッタ101L,101Rの両方を基線長Bd上の中心位置Bdcから等距離の位置に同時に移動させつつ、基線長Bdを調整することが可能となる。
【0083】
結果として、基線長の調整を容易にすることが可能となるので、基線長の調整に係る術者の負担を軽減し、手術時間の短縮を図ることが可能となり、患者の手術に係る負担を軽減することが可能となる。
【0084】
<絞りの調整>
次に、
図6を参照して、絞り制御部152による絞りの調整について説明する。
【0085】
絞り制御部152は、入力部122により入力される絞りを設定する絞り設定値に基づいて、絞り調整部113L,113Rを制御して、絞り機構部103L,103Rの絞り、すなわち、開口面積を調整させて透過する光量を、絞り機構部103L,103Rに対して同時に、同一の状態を維持しながら調整する。
【0086】
これにより、絞り機構部103L,103Rを個別に調整することなく1つの絞り設定値で、同一の絞りに、同時に調整することが可能となる。
【0087】
結果として、絞りの調整を容易にすることが可能となるので、絞りの調整に係る術者の負担を軽減し、手術時間の短縮を図ることが可能となり、患者の手術に係る負担を軽減することが可能となる。
【0088】
<フォーカスの調整>
次に、
図7を参照して、フォーカス制御部153によるレンズ104L,104Rのフォーカス調整について説明する。
【0089】
本実施形態においては、レンズ104Lが、絞り機構部103L(対物レンズ32TL)に近い方からレンズ104L1,104L2,104L3の3枚のレンズから構成され、かつ、レンズ104Rが、絞り機構部103R(対物レンズ32TL)に近い方からレンズ104R1,104R2,104R3の3枚のレンズから構成される場合、フォーカス制御部153は、入力部122により入力されるフォーカスを調整するフォーカス設定値に基づいて、レンズ調整部114L,114Rを制御して、それぞれレンズ104L2,104R2の位置を、図中の矢印FL,FR方向に移動させることによりフォーカスを調整する。
【0090】
尚、レンズ104L,104Rのそれぞれを構成するレンズ群のうち、絞り機構部103L,103Rに近いレンズ104L1,104R1や、カメラ61L,61Rに近い104L3,104R3をレンズ調整部114L,114Rにより移動させて調整させることも可能である。
【0091】
しかしながら、レンズ104L1,104R1やレンズ104L3,104R3等のレンズ104L,104Rを構成するレンズ群のうちの端部のレンズを移動させる場合、移動距離に対するフォーカスの変化が大きく(移動距離に対する感度が大きい)、微小な距離の移動を調整する必要がある場合などは調整が煩雑になる。
【0092】
また、レンズ104L1,104R1間、または、レンズ104L3,104R3には微小な歪誤差等の個別の誤差(個体差)が存在するため、レンズの移動距離に対するフォーカスの変化が大きい(移動距離に対する感度が大きい)と、左右で異なる微小な歪誤差も加味した調整が必要となり、左右のフォーカス位置を個別に調整する必要が生じる恐れがある。
【0093】
これに対して、3枚のレンズ群のうちの中央のレンズであるレンズ104L2,104R2は、移動に対するフォーカスの変化が小さい(移動距離に対する感度が小さい)ので、両者を同時に同一の距離だけ移動させても、同一のフォーカス調整が容易である。また、レンズ104L1,104R1、および、レンズ104L3,104R3の位置が正確に調整されていれば、レンズ104L2,104R2が同時に同一の距離だけ移動されている限り、左右のフォーカス位置もほぼ一致した状態を維持することができる。
【0094】
これにより、レンズ104L,104Rのレンズ104L2,104R2を個別に調整することなく1つのフォーカス設定値で、同一のフォーカス位置に、同時に調整することが可能となる。
【0095】
結果として、フォーカス調整を容易にすることが可能となるので、フォーカス調整に係る術者の負担を軽減し、手術時間の短縮を図ることが可能となり、患者の手術に係る負担を軽減することが可能となる。
【0096】
尚、以上においては、レンズ104L,104Rは、いずれも3枚のレンズにより構成される例について説明してきたが、3枚以上である場合については、最も絞り機構部103L,103Rに近いレンズ、および、最もカメラ61L,61Rに近いレンズ以外のレンズ、換言すれば、最も絞り機構部103L,103Rに近いレンズ、および、最もカメラ61L,61Rに近いレンズにより挟まれた位置に設けられたレンズの少なくとも1枚以上を光軸に沿って前後させることによりフォーカスを調整することで、同様の調整が可能となる。
【0097】
<視差調整>
次に、
図8を参照して、視差制御部154による視差調整について説明する。
【0098】
カメラ61L,61Rにより撮像される画像は、視差のある画像として撮像されることになるので、左右の眼で視差のある画像を視認することで、術者は、3次元画像として認識することができる。
【0099】
すなわち、
図8で示されるように、下部鏡筒部32内の対物レンズ32TLを介して被写体Tを撮像した場合、カメラ61Lにより撮像される画像PLには、点線で示される中心位置よりも被写体Tが右に寄った像TLとして撮像される。
【0100】
これに対して、カメラ61Rにより撮像される画像PRには、点線で示される中心位置よりも被写体Tが左に寄った像TRとして撮像される。
【0101】
術者は、この画像PL,PRを左右の眼で視認することにより、被写体Tの像TL,TR間に生じる視差dpにより3次元画像P3Dとして被写体Tを認識することが可能となる。
【0102】
視差制御部154は、ミラー調整部112Rを制御して、ミラー102Rを一点鎖線で示される軸102RCを中心として、スプリッタ101Rからの光の反射方向を図中の矢印方向に回転させることで、
図8の点線で示される光路LRを、水平方向に移動させて、例えば、光路dLRに変化させる。
【0103】
これにより、カメラ61Rの撮像面上においては、撮像位置が距離dcだけ移動することにより、画像PL,PR間の視差が変化する。
【0104】
このような原理により、視差制御部154は、入力部122により設定される視差設定値に基づいて、ミラー調整部112Rを制御して、ミラー102Rを回転させることで、視差を調整する。
【0105】
これにより、ミラー102Rを調整する視差設定値で、視差を調整することが可能となる。
【0106】
結果として、視差調整を容易にすることが可能となるので、視差調整に係る術者の負担を軽減し、手術時間の短縮を図ることが可能となり、患者の手術に係る負担を軽減することが可能となる。
【0107】
尚、
図8においては、ミラー102Rを回転させる例について説明してきたが、ミラー102Lに同様の構成を設けるようにして、ミラー102Lにより視差を調整するようにしてもよいし、ミラー102L,102Rの両方を回転できるようにして、視差が調整されるようにしてもよい。
【0108】
また、
図8においては、ミラー102R(および/または102L)のみを回転させて、視差を調整する例について説明してきたが、
図9で示されるように、併せて、スプリッタ方向調整部111RRを設けて、視差調整値に基づいて、スプリッタ101Rを、回転軸101RCを中心として回転できるようにして光路を変化できるようにして、視差を調整できるようにしてもよい。
【0109】
さらに、
図9の例においても、同様にスプリッタ101Lを回転させることで視差を調整するようにしてもよいし、スプリッタ101L,101Rの両方を回転できるようにして視差を調整するようにしてもよい。
【0110】
また、視差の調整は、CCU71L,71Rにより信号処理で調整することも可能であるが、信号処理による遅延が生じる可能性があるため、ミラー102Rやスプリッタ101R等を回転させて、光学的に調整することで信号処理による遅延も抑制することも可能となる。
【0111】
<<2.変形例>>
以上においては、カメラ61L,61Rの撮像面が平行になるように構成されたカメラアダプタ51の例について説明してきたが、例えば、カメラ61L,61Rの撮像面が対向する構成としてもよい。
【0112】
図10は、カメラ61L,61Rの撮像面が対向する構成とした場合のカメラアダプタ51の構成例を示している。
【0113】
尚、
図10は、
図1における顕微鏡システム11の側面方向で、かつ、スプリッタ101L,101R間の距離である基線長を成す直線に対して垂直な方向から見たときのカメラアダプタ51の構成を示している。
【0114】
図10においては、図中下方向から下部鏡筒部32の対物レンズ32TLを介して入射する光の一部が、スプリッタ101L,101Rによりそれぞれ、図中の左右方向に分岐されて、それぞれ絞り機構部103L,103R、およびレンズ104L,104Rを介して、カメラ61L,61Rの撮像面61Lf,61Rfに入射する構成とされている。
【0115】
すなわち、図中下方向から下部鏡筒部32の対物レンズ32TLを介して入射する光の一部以外が、図中の上方の接眼レンズ31LL,31LRを介して術者の左眼ELおよび右眼ERで視認される。
【0116】
これにより、ミラー102L,120Rが不要な構成とされるので、構成を簡素化することが可能となる。
【0117】
また、
図10の場合でも、基線長Bdの調整は、基線長制御部151により、基線長設定値に基づいて、基線長調整部111L,111Rを制御して、スプリッタ101L,101Rのみを移動させることで、スプリッタ101L,101R間の中心位置Bdcから等距離となるように、同時に基線長Bdを調整することが可能となる。
【0118】
さらに、
図10の場合でも、視差制御部154が、視差設定値に基づいて、図中の矢印方向にスプリッタ方向調整部111RRを制御して、スプリッタ101Rの軸101RC’を中心として、回転させることで、例えば、光路LRを光路dLRに変化させることで、視差を距離dcだけ変化させることが可能である。
【0119】
尚、絞り機構部103L,103R、およびレンズ104L,104Rの調整については、上述と同様であるので、その説明は省略する。
【0120】
以上のような構成により、本開示の顕微鏡システムにおいては、基線長、絞り、フォーカス、および視差の調整を、それぞれの調整に必要な1つの設定値を設定するために入力部122を1回操作するのみで調整することが可能となる。
【0121】
結果として、基線長、絞り、フォーカス、および視差の調整を容易にすることが可能となるので、基線長、絞り、フォーカス、および視差の調整に係る術者の負担を軽減し、手術時間の短縮を図ることが可能となり、患者の手術に係る負担を軽減することが可能となる。
【0122】
尚、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
【0123】
<1> 手術用顕微鏡における対物レンズと接眼レンズとの間に設けられ、右眼用画像および左眼用画像として術野を2つの撮像装置により撮像できるように光学系の調整を行う光学系調整部と、
前記2つの撮像装置による前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に使用される光学系の調整を前記光学系調整部において同時に行うように制御する制御部と、
前記撮像装置を制御し、前記撮像装置により生成された画像信号を出力する撮像制御部と、
前記撮像制御部より出力される前記画像信号に基づく画像を表示する表示部と
を含む手術顕微鏡システム。
<2> 前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に用いられる2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する、2つのフォーカスレンズ調整部をさらに含み、
前記制御部は、
前記2つのフォーカスレンズ調整部を同時に制御することにより、前記2つのフォーカスレンズの前記フォーカスを調整するフォーカス制御部をさらに含む
<1>に記載の手術顕微鏡システム。
<3> 前記2つのフォーカスレンズは、最も前記対物レンズ側の第1群のレンズ乃至最も前記撮像装置側の第n(n≧3)群の複数のレンズからなるレンズ群より構成され、
前記フォーカス制御部は、前記2つのフォーカスレンズを構成するレンズ群のうち、第2群乃至第(n-1)群のレンズを入射光の光軸に対して、同一の距離だけ同時に移動させるように、前記2つのフォーカスレンズ調整部を制御することにより前記2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する
<2>に記載の手術顕微鏡システム。
<4> 前記2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整するための設定値であるフォーカス設定値の入力を受け付ける操作部をさらに含み、
前記フォーカス制御部は、前記フォーカス設定値に基づいて、前記2つのフォーカスレンズ調整部を制御することにより、前記2つのフォーカスレンズを同時に制御することにより、前記フォーカスを調整する
<2>に記載の手術顕微鏡システム。
<5> 前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像を撮像する前記2つの撮像装置のそれぞれの絞りを2つの絞り機構部により調整する2つの絞り調整部をさらに含み、
前記制御部は、
前記2つの絞り調整部を制御して、前記2つの絞り機構部を同一の状態で、同時に調整することにより、前記2つの撮像装置のそれぞれの絞りを調整する絞り制御部をさらに含む
<1>乃至<4>のいずれかに記載の手術顕微鏡システム。
<6> 前記絞りを調整するための設定値である絞り設定値の入力を受け付ける操作部をさらに含み、
前記絞り制御部は、前記絞り設定値に基づいて、前記2つの絞り調整部を制御して、前記2つの絞り機構部を同一の状態で、同時に調整することにより、前記2つの撮像装置の絞りを調整する
<5>に記載の手術顕微鏡システム。
<7> 前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光の一部を、それぞれの接眼レンズに分岐し、前記一部以外の前記入射光をそれぞれ前記撮像装置に分岐する2つのスプリッタと、
前記2つのスプリッタ間の距離である基線長を変化させるように、前記2つのスプリッタを移動させる2つの基線長調整部と
をさらに含み、
前記制御部は、
前記2つのスプリッタの中心位置からの距離を等距離にした状態を維持して、同時に前記2つのスプリッタ間の距離である基線長を変化させるように前記2つの基線長調整部を制御することにより、前記基線長を調整する基線長制御部をさらに含む
<1>乃至<6>のいずれかに記載の手術顕微鏡システム。
<8> 前記基線長を調整するための設定値である基線長設定値の入力を受け付ける操作部をさらに含み、
前記基線長制御部は、前記基線長設定値に基づいて、前記2つの基線長調整部を制御して、前記2つのスプリッタの中心位置からの距離を等距離にした状態を維持して、同時に前記2つのスプリッタ間の距離である基線長を変化させることにより、前記基線長を調整する
<7>に記載の手術顕微鏡システム。
<9> 前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記2つのスプリッタのそれぞれにより前記撮像装置に分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光を、それぞれを前記撮像装置に反射させる2つのミラーと、
前記2つのミラーの少なくともいずれかの反射方向を変化させるミラー調整部とをさらに含む
<7>に記載の手術顕微鏡システム。
<10> 前記制御部は、
前記2つのミラーの少なくともいずれかの前記ミラー調整部を制御して、反射方向を調整することにより、前記右眼用画像および前記左眼用画像間の視差を調整する視差制御部をさらに含む
<9>に記載の手術顕微鏡システム。
<11> 前記2つのスプリッタの少なくともいずれかは、前記撮像装置に分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光の分岐方向を変化させるスプリッタ方向調整部をさらに含み、
前記視差制御部により制御される、前記ミラー調整部による、前記2つのミラーの少なくともいずれかの反射方向の制御、および、前記視差制御部により制御される、前記スプリッタ方向調整部による、前記スプリッタにより分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像されるそれぞれの入射光の少なくともいずれかの分岐方向の制御のうちの、少なくともいずれかの制御により、前記右眼用画像および前記左眼用画像間の視差が調整される
<10>に記載の手術顕微鏡システム。
<12> 前記視差を調整するための設定値である視差設定値の入力を受け付ける操作部をさらに含み、
前記視差制御部は、前記視差設定値に基づいて、前記ミラー調整部を制御して、前記2つのミラーの少なくともいずれかの反射方向を調整することにより、前記右眼用画像および前記左眼用画像間の視差を調整する
<10>に記載の手術顕微鏡システム。
<13> 手術用顕微鏡における対物レンズと接眼レンズとの間に設けられ、右眼用画像および左眼用画像として術野を2つの撮像装置により撮像できるように光学系の調整を行う光学系調整部と、
前記2つの撮像装置による前記右眼用画像および前記左眼用画像の撮像に使用される光学系の調整を前記光学系調整部において同時に行う調整部と
を含む顕微鏡カメラアダプタ。
<14> 前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像のそれぞれのフォーカスを調整する2つのフォーカスレンズをさらに含み、
前記調整部は、
前記2つのフォーカスレンズを同時に移動することにより、前記2つのフォーカスレンズのフォーカスを調整する、2つのフォーカスレンズ調整部をさらに含む
<13>に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
<15> 前記2つのフォーカスレンズは、最も前記対物レンズ側の第1群のレンズ乃至最も前記撮像装置側の第n(n≧3)群のレンズからなるレンズ群より構成され、
前記フォーカスレンズ調整部は、前記2つのフォーカスレンズを構成するレンズ群のうち、第2群乃至第(n-1)群のレンズを入射光の光軸に対して、同一の距離だけ同時に移動させることによりフォーカスを調整する
<14>に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
<16> 前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像を撮像する前記2つの撮像装置のそれぞれの絞りを調整する2つの絞り機構部をさらに含み、
前記調整部は、
前記2つの絞り機構部を同一の絞りの状態で、同時に調整することにより、前記2つの撮像装置の絞りを調整する2つの絞り調整部をさらに含む
<13>または<14>に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
<17> 前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光の一部を、それぞれ接眼レンズに分岐し、前記一部以外の前記入射光をそれぞれ前記撮像装置に分岐する2つのスプリッタをさらに含み、
前記調整部は、
前記2つのスプリッタの中心位置からの距離を等距離にした状態を維持して、同時に前記2つのスプリッタを移動することにより、前記2つのスプリッタ間の距離である基線長を調整する2つの基線長調整部をさらに含む
<13>乃至<16>のいずれかに記載の顕微鏡カメラアダプタ。
<18> 前記光学系調整部は、
前記光学系の調整を行う構成として、前記2つのスプリッタのそれぞれにより前記撮像装置に分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光を、それぞれ前記撮像装置に反射させる2つのミラーをさらに含む
<13>に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
<19> 前記調整部は、
前記2つのミラーの少なくともいずれかの反射方向を制御することにより、前記右眼用画像および前記左眼用画像間の視差を調整するミラー調整部をさらに含む
<18>に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
<20> 前記2つのスプリッタの少なくともいずれかを、それぞれにより前記撮像装置に分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光の分岐方向を変化させるスプリッタ方向調整部をさらに含み、
前記ミラー調整部による、前記2つのミラーの少なくともいずれかの反射方向の制御、および、前記スプリッタ方向調整部による、前記スプリッタにより分岐された、前記右眼用画像および前記左眼用画像として結像される入射光の少なくともいずれかの分岐方向の制御のうち、少なくともいずれかの制御により、前記右眼用画像および前記左眼用画像間の視差が調整される
<19>に記載の顕微鏡カメラアダプタ。
【符号の説明】
【0124】
11 顕微鏡システム, 21 顕微鏡, 31 上部鏡筒部, 32 下部鏡筒部, 50 アダプタコントローラ, 51 カメラアダプタ, 61L,61R カメラ, 71L,71R CCU, 81 モニタ, 101L,101R スプリッタ, 102L,102R ミラー, 103L,103R 絞り, 104L,104R,104L1乃至104L3,104R1乃至104R3 レンズ, 111L,111R 基線長調整部, 111RR スプリッタ方向調整部, 112L,112R ミラー調整部, 113L,113R 絞り調整部, 114L,114R レンズ調整部, 121 制御部, 122 入力部, 123 出力部, 151 基線長制御部, 152 絞り制御部, 153 フォーカス制御部, 154 視差制御部