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  • 特許-光ファイバケーブル 図1
  • 特許-光ファイバケーブル 図2A
  • 特許-光ファイバケーブル 図2B
  • 特許-光ファイバケーブル 図3A
  • 特許-光ファイバケーブル 図3B
  • 特許-光ファイバケーブル 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】光ファイバケーブル
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G02B6/44 366
G02B6/44 371
G02B6/44 381
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021575787
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2021003581
(87)【国際公開番号】W WO2021157535
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2020016254
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100187643
【弁理士】
【氏名又は名称】白鳥 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-108756(JP,A)
【文献】特開2007-178883(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0013573(US,A1)
【文献】特開2014-228689(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0197032(US,A1)
【文献】特開2014-077869(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122518(WO,A1)
【文献】特開2015-215447(JP,A)
【文献】特開2011-227298(JP,A)
【文献】特開2013-009791(JP,A)
【文献】特開2013-097350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバユニットを備え、
前記複数の光ファイバユニットのそれぞれは、複数の光ファイバテープ心線を有し、
前記複数の光ファイバテープ心線は、前記複数の光ファイバユニット間で識別可能な標識を有し、
前記標識は、前記複数の光ファイバユニット間での識別性と、1つの光ファイバユニット内の前記複数の光ファイバテープ心線間での識別性との両方を有し、
前記1つの光ファイバユニット内の前記複数の光ファイバテープ心線の前記標識は、前記複数の光ファイバユニット間での識別性として、前記複数の光ファイバテープ心線間で共通の特徴を有し、
前記標識の少なくとも一部は、前記光ファイバユニットの外周面に露出している
光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記標識は、前記光ファイバユニットごとに異なる色を有する
請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記標識は、前記光ファイバユニットごとに異なる形状を有する
請求項1または請求項2に記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記標識は、一つまたは複数の識別を有し、
前記複数の光ファイバテープ心線のそれぞれは、前記光ファイバテープ心線の長手方向の識別帯長が1mm以上であり、かつ、前記光ファイバテープ心線の短手方向の識別帯幅が前記光ファイバテープ心線自身の短手方向の幅の半分以上である少なくとも1つ以上の前記識別帯を有する
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記標識は、前記光ファイバテープ心線の長手方向に所定の間隔で反復して設けられており、
前記標識の反復間隔は、500mm以下である
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバケーブルに関する。
本出願は、2020年2月3日出願の日本国出願「特願2020-16254」に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバ心線を複数本並列させた光ファイバテープ心線を複数有する光ファイバユニットを備えた光ファイバケーブルが知られている。
このような光ファイバケーブルでは、ケーブルどうしを接続する際などに、光ファイバ心線を同定する必要があるため、光ファイバユニットを識別することが要求されており、例えば、識別用のバンドル糸が巻回された光ファイバユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-190641公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様によれば、
複数の光ファイバユニットを備え、
前記複数の光ファイバユニットのそれぞれは、複数の光ファイバテープ心
線を有し、
前記複数の光ファイバテープ心線は、前記複数の光
ファイバユニット間で識別可能な標識を有し、
前記標識は、前記複数の光ファイバユニット間での識別性と、1つの光ファイバユニット内の前記複数の光ファイバテープ心線間での識別性との両方を有し、
前記1つの光ファイバユニット内の前記複数の光ファイバテープ心線の前記標識は、前記複数の光ファイバユニット間での識別性として、前記複数の光ファイバテープ心線間で共通の特徴を有し、
前記標識の少なくとも一部は、前記光ファイバユニットの外周面に露出し
ている
光ファイバケーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、実施形態である光ファイバケーブルの断面図である。
図2A図2Aは、実施形態の第1例である光ファイバユニットの側面図である。
図2B図2Bは、実施形態の第2例である光ファイバユニットの側面図である。
図3A図3Aは、実施形態である光ファイバテープ心線の平面図である。
図3B図3Bは、図3Aの要部拡大図である。
図4図4は、識別帯の諸元およびパターン形成ピッチを整理した表である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
上記特許文献1に記載された光ファイバケーブルでは、バンドル糸を光ファイバユニットに巻くため、バンドル糸やバンドル糸の巻回装置を用意しなければならず、光ファイバケーブルの構造が複雑になっていたり、光ファイバケーブルの製造工程が煩雑になっていたりしていた。
【0007】
本開示は、このような実情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で光ファイバユニットを識別することが可能な光ファイバケーブルを提供することをその目的とする。
【0008】
[本開示の効果]
上記によれば、簡単な構造で光ファイバユニットを識別することが可能な光ファイバケーブルを提供することができる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様の内容を列記して説明する。
【0010】
[1]本開示の一態様に係る光ファイバケーブルは、
複数の光ファイバユニットを備え、
前記複数の光ファイバユニットのそれぞれは、複数の光ファイバテープ心線を有し、
前記複数の光ファイバテープ心線は、前記複数の光ファイバユニット間で識別可能な標識を有し、
前記標識は、前記複数の光ファイバユニット間での識別性と、1つの光ファイバユニット内の前記複数の光ファイバテープ心線間での識別性との両方を有し、
前記1つの光ファイバユニット内の前記複数の光ファイバテープ心線の前記標識は、前記複数の光ファイバユニット間での識別性として、前記複数の光ファイバテープ心線間で共通の特徴を有し、
前記標識の少なくとも一部は、前記光ファイバユニットの外周面に露出している。
この構成によれば、バンドル糸などの識別部材を設けずに、簡単な構造で光ファイバユニットを識別することができる。
【0012】
]上記[1]に記載の光ファイバケーブルにおいて、
前記標識は、前記光ファイバユニットごとに異なる色を有する。
この構成によれば、簡単に光ファイバユニットを識別することができる。
【0013】
]上記[1]または[2]に記載の光ファイバケーブルにおいて、
前記標識は、前記光ファイバユニットごとに異なる形状を有する。
この構成によれば、簡単に光ファイバユニットを識別することができる。
【0014】
]上記[1]から[]のいずれか1つに記載の光ファイバケーブルにおいて、
前記標識は、一つまたは複数の識別を有し、
前記複数の光ファイバテープ心線のそれぞれは、前記光ファイバテープ心線の長手方向の識別帯長が1mm以上であり、かつ、前記光ファイバテープ心線の短手方向の識別帯幅が前記光ファイバテープ心線自身の短手方向の幅の半分以上である少なくとも1つ以上の前記識別帯を有する。
この構成によれば、光ファイバユニットの外周面から確実にパターンを視認することができ、光ファイバユニットどうしをさらに容易に識別すること可能になる。
【0015】
]上記[1]から[]のいずれか1つに記載の光ファイバケーブルにおいて、
前記標識は、前記光ファイバテープ心線の長手方向に所定の間隔で反復して設けられており、
前記標識の反復間隔は、500mm以下である。
光ファイバテープ心線を接続する際、通常500mm程度の長さの端末で実施する。このため、パターンの間隔が500mm以下であれば、確実にパターンが露出する。[]の構成により、光ファイバユニットの外周面から確実にパターンを視認でき、光ファイバユニットどうしを容易に識別すること可能になる。また、光ファイバテープ心線どうしを容易に識別することも可能になる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の一実施形態に係る光ファイバケーブル100について、図1から図4を参照しつつ説明する。
図1は実施形態である光ファイバケーブルの断面図であり、図2Aは実施形態の第1例である光ファイバユニットの側面図であり、図2Bは実施形態の第2例である光ファイバユニットの側面図であり、図3Aは実施形態である光ファイバテープ心線の平面図であり、図3B図3Aの要部拡大図であり、図4は識別帯の諸元およびパターン形成ピッチを整理した表である。
なお、以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
また、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内ですべての変更が含まれることを意図する。
【0017】
本開示において、「長手方向」とは、長尺体または長尺形状の長さが長い方向のことをいい、光ファイバケーブル100、光ファイバユニット120、光ファイバテープ心線121などの線状体では「軸方向」と言い換えることができる。「短手方向」とは、長尺体または長尺形状の長さが短い方向のことをいい、長手方向と直交する方向を意味する場合がある。なお、光ファイバケーブル100などの断面円形の線状体における「短手方向」は、「半径方向」と言い換えることができる。また、光ファイバテープ心線121における「短手方向」は、「幅方向」と言い換えることができる。また、「外周面」とは、光ファイバケーブル100などの線状体における半径方向の外側を向く面のことをいう。
【0018】
[光ファイバケーブル]
まず、光ファイバケーブル100について、図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、光ファイバケーブル100は、例えば、複数の光ファイバユニット120を有している。
【0019】
具体的には、光ファイバケーブル100は、例えば、複数のリブ111および複数のリブ111の相互間に形成されたスロット溝112を有するスロットロッド110と、スロット溝112に配設される光ファイバユニット120と、これらを覆うケーブル外被130と、スロットロッド110の中心部に埋設されるテンションメンバ140とを備えている。
【0020】
スロットロッド110のリブ111は、スロットロッド110の中心部から半径方向に向かって突出している。リブ111は、周方向に等間隔に例えば8本形成されている。
【0021】
スロット溝112は、一対のスロットロッド110の間に設けられている。例えば、1つのスロット溝112内に、1つの光ファイバユニット120が収容されている。
【0022】
本実施形態において、リブ111が8本設けられていることから、スロットロッド110には、スロット溝112が8つ形成されている。スロット溝112は、光ファイバケーブル100の長手方向に沿って、例えば、螺旋状に形成されているか、あるいは周期的に捩り方向が反転するようなSZ状に形成されている。
【0023】
テンションメンバ140は、引張り及び圧縮に対する耐力を有する線材、例えば、鋼線やFRP(Fiber Reinforced Plastics)などにより構成されている。
【0024】
ケーブル外被130は、スロットロッド110の外周を囲むように設けられ、複数の光ファイバユニット120を内部に収容している。
【0025】
[光ファイバユニット]
次に、光ファイバユニット120について、図2A図2Bおよび図3Aに基づいて説明する。
【0026】
光ファイバユニット120は、例えば、図3Aに示した複数の光ファイバテープ心線121を有している。複数の光ファイバテープ心線121のそれぞれは、例えば、並列配置された複数本の光ファイバ心線121aを有し、偏平な形状を有している。光ファイバテープ心線121の連結態様については、後述する。
【0027】
図2Aおよび図2Bに示すように、光ファイバユニット120は、例えば、複数の光ファイバテープ心線121を撚り合わせることにより構成されている。本実施形態では、光ファイバユニット120は、光ファイバテープ心線121を例えば12枚撚り合わせて形成されている。また、光ファイバユニット120は、例えば、S撚り(右撚り)に撚り合わされている。
【0028】
さらに、光ファイバユニット120の外周面は、チューブやバンドル糸などで覆われていない。したがって、ケーブル外被130を剥いだ際、光ファイバユニット120の外周面において、光ファイバテープ心線121(すなわち、光ファイバ心線121a)が、光ファイバユニット120の全長に亘って露出する。
【0029】
[光ファイバテープ心線]
次に、光ファイバテープ心線121について、図3Aに基づいて説明する。
【0030】
図3Aに示すように、光ファイバテープ心線121は、例えば、いわゆる間欠テープ心線として構成されている。すなわち、光ファイバテープ心線121は、光ファイバ心線121aの短手方向に隣接する相互間を連結させた連結領域121bと、光ファイバ心線121aの短手方向に隣接する相互間を離隔させた非連結領域121cと、を有している。本実施形態では、光ファイバテープ心線121は、例えば、12本の光ファイバ心線121aを有している。
【0031】
[標識]
次に、標識122について、図2A図3Bに基づいて説明する。
【0032】
図2A~3Bに示すように、本実施形態では、複数の光ファイバテープ心線121のうち少なくとも1つは、例えば、複数の光ファイバユニット120間で識別可能な標識122を有している。標識122の少なくとも一部は、光ファイバユニット120の外周面に露出している。これにより、簡単な構造で光ファイバユニット120を識別することができる。
【0033】
本実施形態では、標識122は、例えば、光ファイバテープ心線121の平面上に、印刷、塗布または貼り付けられた図柄などのパターンとして構成されている。なお、ここでいう「平面」とは、扁平な光ファイバテープ心線121を平面視したときの面のことをいい、光ファイバ心線121aの外形に倣った凹凸を有していてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、標識122は、例えば、複数の光ファイバユニット120間での識別性と、1つの光ファイバユニット120内の複数の光ファイバテープ心線121間での識別性との両方を有している。ここでいう「識別性」とは、外観上で物の違いを把握できる特性のことを意味する。標識122が上述のように構成されていることで、簡単な構造を維持しつつ、光ファイバユニット120を識別することと、光ファイバテープ心線121を識別することとを両立することができる。
【0035】
また、図2Aおよび図2Bに示すように、本実施形態では、標識122は、例えば、光ファイバユニット120ごとに異なる色を有している。これにより、簡単に光ファイバユニットを識別することができる。
【0036】
なお、ここでいう「異なる色」とは、例えば、異なる色度であってもよいし、異なる色濃度であってもよい。
【0037】
上述の要件を満たす具体的な構成としては、例えば、複数の光ファイバテープ心線121のそれぞれが、標識122を有している。標識122は、光ファイバテープ心線121ごとに異なるパターン形状を有している。すなわち、各光ファイバテープ心線121が有する標識122のパターン形状が、光ファイバテープ心線121間での識別性を示している。
【0038】
また、図3Aに示すように、例えば、各光ファイバテープ心線121において、標識122は、該光ファイバテープ心線121の長手方向に所定の間隔で反復して複数設けられている。1つの光ファイバテープ心線121において、反復した各標識122のパターン形状は共通している。
【0039】
一方で、図2Aおよび図2Bのそれぞれに示すように、例えば、1つの光ファイバユニット120における複数の光ファイバテープ心線121の全てにおける標識122が、共通の色を有している。当該標識122が、上述のように、光ファイバユニット120ごとに異なる色を有している(例えば、図2Aおよび図2Bのような標識122の色濃度の差)。すなわち、各光ファイバユニット120が有する標識122の色が、光ファイバユニット120間での識別性を示している。
【0040】
以上のような構成により、光ファイバユニット120を識別することと、光ファイバテープ心線121を識別することとを容易に両立することが可能となる。
【0041】
さらに、図3Aおよび図3Bに示すように、本実施形態の標識122は、例えば、1つまたは複数の識別帯122aを有している。識別帯122aは、例えば、矩形状(帯状)の図柄として構成されている。例えば、識別帯122aの第1辺(符号不図示)が光ファイバテープ心線121の長手方向に沿って配置され、識別帯122aの第1辺に直交する第2辺(符号不図示)が光ファイバテープ心線121の短手方向に沿って配置されている。識別帯122aは、例えば、光ファイバテープ心線121の長手方向の長さBと、長手方向に直交する短手方向の幅Aと、を有している。
【0042】
また、標識122は、例えば、長さBが異なる複数の識別帯122aを有している。複数の識別帯122aは、識別帯形成ピッチLで離間して設けられている。識別帯形成ピッチLは、例えば3mm程度である。
【0043】
例えば、識別帯122aの長さBが、短いほうから順に、識別番号の1、5、10などを示すように設定することができる。このような長さBが異なる複数の識別帯122aを組み合わせることにより、各光ファイバテープ心線121固有の識別番号を割り当てることが可能となる。例えば、図3Aの場合は、長さBが最も長い識別帯122aを1つと、長さBが中間である識別帯122aを1つと、長さBが短い識別帯122aを1つと、の組み合わせになるので、この光ファイバテープ心線121の識別番号は、16番となる。
【0044】
光ファイバテープ心線121には、図3Aに示すように、標識122が所定の反復間隔(パターン形成ピッチ)Pでマーキングされている。
【0045】
パターン形成ピッチPは、識別帯形成ピッチLより大きければ良く、例えば、50mm以上の間隔となっている。これにより、反復した標識122間での混同を抑制することができる。
【0046】
一方で、パターン形成ピッチPは、500mm以下であることが好ましい。光ファイバユニット120の外周面から確実にパターンを視認でき、光ファイバユニット120どうしを容易に識別すること可能になる。また、光ファイバテープ心線121どうしを容易に識別することも可能になる。
【0047】
光ファイバユニット120は、チューブまたはバンドル糸などで覆われていないため、その外周面において、光ファイバ心線121aが光ファイバユニット120の全長に亘って露出している。これにより、図2Aおよび図2Bに示すように、標識122の少なくとも一部が、光ファイバユニット120の外周面に露出している。
【0048】
ここで、識別帯122aの諸元およびパターン形成ピッチPの最適値について、検討する。
本検討では、光ファイバテープ心線幅(テープ心線幅)W、識別帯幅A、識別帯長B、パターン形成ピッチPをそれぞれ変数とした。当該変数により、光ファイバユニットの識別性(1つのスロット溝内に配設されている複数の光ファイバユニットから1つの光ファイバユニットを一目で識別できるか否か)、光ファイバテープ心線の識別性(1つの光ファイバユニットの中から1つの光ファイバテープ心線を識別できるか否か)を評価した。
なお、スロット溝内の光ファイバユニットは3つであり、1つの光ファイバユニットの中の光ファイバテープ心線は上記のように12枚とした。
【0049】
そして、図3Bに示すように、上述した「光ファイバテープ心線幅W」を、光ファイバテープ心線121の長手方向Yと直交する短手方向Xの長さとし、「識別帯幅A」を、光ファイバテープ心線121の幅方向である短手方向Xと同方向の識別帯122aの長さとし、「識別帯長B」を、識別帯122aの幅方向と直交する方向Yの識別帯122aの長さとした。
また、パターン形成ピッチPは、1つの光ファイバユニット120内で最も長いものとした。
【0050】
1つの標識における識別帯の数や大きさは、光ファイバテープ心線121ごとに異なる。このため、本検討では、識別帯幅としてMin(AMax)を評価し、識別帯長としてMin(BMax)を評価した。
ただし、
Maxは、光ファイバテープ心線のそれぞれにおいて最も広い識別帯幅Aである。
Min(AMax)は、1つの光ファイバユニット内の光ファイバテープ心線間でAMaxを比較したときの、AMaxの最小値である。
Maxは、光ファイバテープ心線のそれぞれにおいて最も長い識別帯長Bである。
Min(BMax)は、1つの光ファイバユニット内の光ファイバテープ心線間でBMaxを比較したときの、BMaxの最小値である。
【0051】
さらに、上述した光ファイバユニットの識別性については、複数の光ファイバユニットから1つの光ファイバユニットを一目で良好に識別できる場合を「A(最良)」、複数の光ファイバユニットから1つの光ファイバユニットを識別できるがAよりやや劣る場合を「B(良好)」とした。
さらに、光ファイバテープ心線の識別性については、1つの光ファイバユニットの中から1つの光ファイバテープ心線を良好に識別できる場合を「A(最良)」とし、1つの光ファイバユニットの中から1つの光ファイバテープ心線を識別できるがAよりやや劣る場合を「B(良好)」とした。
【0052】
識別帯の諸元およびパターン形成ピッチの最適値について検討した結果を図4に示す。
【0053】
Min(AMax)<W/2またはMin(BMax)<1mmであったサンプルB1、B3およびB4では、ユニット識別性が「B」であった。
【0054】
これに対し、Min(AMax)≧W/2かつMin(BMax)≧1mmであったサンプルA1~A4では、ユニット識別性が「A」であった。
【0055】
このことから、識別帯の諸元としては、Min(AMax)≧W/2かつMin(BMax)≧1mmであることが最も好ましいことが分かる。
【0056】
パターン形成ピッチPが500mm超であったサンプルB2では、テープ心線識別性が「B」であった。
【0057】
これに対し、パターン形成ピッチPが500mm以下であったサンプルA1~A4、B1およびB4では、テープ心線識別性が「A」であった。
【0058】
このことから、パターン形成ピッチPは、500mm以下であることが最も好ましいことが分かる。
【0059】
以上の検討結果に基づき、最適な識別帯122aの諸元の範囲および最適なパターン形成ピッチを満たす標識122が、光ファイバテープ心線121ごとにマーキングされることが好ましい。
【0060】
[本実施形態に係る効果]
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0061】
(a)本実施形態では、複数の光ファイバテープ心線121のうち少なくとも1つは、複数の光ファイバユニット120間で識別可能な標識122を有している。標識122の少なくとも一部は、光ファイバユニット120の外周面に露出している。これにより、光ファイバユニット120の外周面から標識122を容易に視認することができる。その結果、バンドル糸などの識別部材を設けずに簡単な構造で光ファイバユニット120を識別することができる。
【0062】
(b)本実施形態では、標識122は、複数の光ファイバユニット120間での識別性と、1つの光ファイバユニット120内の複数の光ファイバテープ心線121間での識別性との両方を有している。これにより、バンドル糸などを用いて光ファイバユニット120を識別する必要は無くなる。その結果、光ファイバケーブル100の簡単な構造を維持しつつ、光ファイバユニット120を識別することと、光ファイバテープ心線121を識別することとを両立することができる。
【0063】
また、バンドル糸などの識別部材を設ける工程が不要となる。これにより、光ファイバケーブル100の製造工程を短縮することが可能となる。
【0064】
(c)本実施形態では、標識122は、例えば、光ファイバユニット120ごとに異なる色を有している。これにより、簡単に光ファイバユニットを識別することができる。
【0065】
例えば、標識122が、光ファイバユニット120間での識別性と、光ファイバテープ心線121間での識別性との両方を有する場合に、標識122のパターン形状が、光ファイバテープ心線121間での識別性を示し、標識122の色が、光ファイバユニット120間での識別性を示すように、各識別性を容易に切り分けることができる。
【0066】
(d)本実施形態では、複数の光ファイバテープ心線121のそれぞれは、光ファイバテープ心線121の長手方向の識別帯長Bが1mm以上であり、かつ、光ファイバテープ心線121の短手方向の識別帯幅Aが光ファイバテープ心線121自身の短手方向の幅Wの半分以上である少なくとも1つ以上の識別帯122aを有している。これにより、光ファイバユニット120から確実に標識122を視認できるため、光ファイバユニット120どうしをさらに容易に識別すること可能になる。
【0067】
ここで、光ファイバユニット120において複数の光ファイバテープ心線121は、上述のように螺旋状に撚り合わせられている。このため、複数の光ファイバテープ心線121のうち、どの光ファイバテープ心線121の標識122が、光ファイバユニット120の外周面に露出されるか分からない可能性がある。或いは、所定の標識122が、光ファイバユニット120の外周面のどのような位置に表れるか分からない可能性もある。
【0068】
これに対し、複数の光ファイバテープ心線121のそれぞれが、上述の要件を満たす少なくとも1つ以上の識別帯122aを有することで、どの光ファイバテープ心線121の標識122が、光ファイバユニット120の外周面に露出されたとしても、或いは、所定の標識122が、光ファイバユニット120の外周面のどのような位置に表れていたとしても、当該標識122を確実に視認することができる。その結果、上述の光ファイバユニット120間の識別性を安定的に確保することが可能となる。
【0069】
(e)本実施形態では、標識122は、光ファイバテープ心線121の長手方向に所定の間隔で反復して設けられており、標識122の反復間隔(パターン形成ピッチP)は、500mm以下である。これにより、光ファイバユニット120の外周面から確実に標識122を視認できるため、光ファイバユニット120どうしを容易に識別することが可能になる。また、光ファイバテープ心線121どうしを容易に識別することも可能になる。
【0070】
[変形例]
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上記に限定されるものではない。
また、前述した実施形態が備える各要素は技術的に可能である限り組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本開示の特徴を含む限り本開示の範囲に包含される。
【0071】
例えば、本実施形態において、光ファイバケーブルは、スロットロッドを有する構造であったが、スロットロッドを用いずに、ケーブル外被の内部に光ファイバユニットのみを収容した所謂「スロットレス」構造であってもよい。
【0072】
例えば、本実施形態において、スロットロッドにおけるスロット溝の本数は8本であったが、これに限定されるものではない。
さらに、スロットロッドにおけるテンションメンバの配置位置は、本実施形態ではスロットロッドの中心であったが、これに限定されるものではない。
また、テンションメンバの本数は、複数本であってもよい。
【0073】
例えば、本実施形態において、光ファイバユニットは、12枚の光ファイバテープ心線から形成されていたが、光ファイバテープ心線の枚数はこれに限定されるものではなく、複数枚であれば如何なる枚数であっても良い。
また、本実施形態において、光ファイバユニットは、S撚りであったが、これに限定されるものではなく、例えばZ撚り(左撚り)であったり、SZ撚りであったりしてもよい。
さらに、本実施形態において、光ファイバテープ心線は、12本の光ファイバ心線から形成されていたが、光ファイバ心線の数はこれに限定されるものではなく、複数本であれば如何なる本数であっても良い。
【0074】
例えば、本実施形態において、光ファイバテープ心線121は、連結領域121bと非連結領域121cとを有する、所謂「間欠テープ心線」であったが、光ファイバテープ心線は複数の光ファイバ心線から構成されていれば間欠テープ心線に限定されるものではない。
【0075】
例えば、光ファイバテープ心線121への標識122のマーキング方法については、光ファイバテープ心線を着色できれば如何なる方法であってもよく、例えば、インクジェットで着色してもよいし、ホットスタンプで着色してもよい。
【0076】
例えば、本実施形態において、標識122が光ファイバユニット120ごとに異なる色を有する場合について説明したが、この場合に限られない。
【0077】
変形例として、標識122は、光ファイバユニット120ごとに異なる形状を有していてもよい。例えば、標識122のパターン形状が、光ファイバユニット120間での識別性を示し、標識122の色が、光ファイバテープ心線121間での識別性を示すようにしてもよい。この場合、光ファイバユニット120ごとに異なる標識122の形状としては、四角、丸、星、線、V字線、W字線、S字線、Z字線、または各種模様であってもよい。或いは、これらの図柄の太さまたは数が異なっていてもよい。
【0078】
他の変形例として、標識122の色およびパターン形状の組み合わせにより、光ファイバユニット120間での識別性を示していてもよい。
【0079】
ただし、上述の実施形態のように、標識122の色のみが、光ファイバユニット120間での識別性を示す場合のほうが、識別性を容易に切り分けることができる観点から好ましい。
【0080】
また、例えば、本実施形態において、識別帯122aの形状は矩形状になっていたが、識別帯122aの形状はこれに限定されるものではなく、いかなる形状であってもよい。
【0081】
[基礎出願の態様]
以下、基礎出願に開示された一態様を付記する。
【0082】
(付記1)
複数本の光ファイバ心線を並列配置した光ファイバテープ心線を複数枚撚り合わせて形成された光ファイバユニットをケーブル外被の内部に複数本収容した光ファイバケーブルであって、
前記光ファイバユニットを識別するパターンが、前記光ファイバユニットの光ファイバテープ心線にマーキングされ、
前記光ファイバテープ心線にマーキングされたパターンの少なくとも一部が、前記光ファイバユニットの外周面に露出し、
前記光ファイバユニットに露出した箇所における前記光ファイバテープ心線にマーキングされたパターンの特徴が、前記光ファイバユニットごとに異なっている、光ファイバケーブル。
【0083】
(付記2)
前記光ファイバテープ心線にマーキングされたパターンの特徴が、色である、付記1に記載の光ファイバケーブル。
【0084】
(付記3)
前記パターンが、少なくとも1つ以上の識別帯を有しており、
前記識別帯のうち、前記光ファイバテープ心線内で最も長さが長く、且つ、前記光ファイバユニット内で最も長さが短いものの長さが、1mm以上であり、
前記識別帯のうち、前記光ファイバテープ心線内で最も幅が広く、且つ、前記光ファイバユニット内で最も幅が狭いものの幅が、前記光ファイバテープ心線の幅の半分以上である、付記1または付記2に記載の光ファイバケーブル。
【0085】
(付記4)
前記パターンが、前記光ファイバテープ心線ごとに異なっており、
前記パターンが、前記光ファイバテープ心線に所定の間隔で複数設けられており、
前記光ファイバユニット内で最も長い前記所定の間隔が、500mm以下である、付記1から付記3のいずれか1つに記載の光ファイバケーブル。
【符号の説明】
【0086】
100 ・・・ 光ファイバケーブル
110 ・・・ スロットロッド
111 ・・・ リブ
112 ・・・ スロット溝
120 ・・・ 光ファイバユニット
121 ・・・ 光ファイバテープ心線
121a ・・・ 光ファイバ心線
121b ・・・ 連結領域
121c ・・・ 非連結領域
122 ・・・ 標識
122a ・・・ 識別帯
130 ・・・ ケーブル外被
140 ・・・ テンションメンバ
W ・・・ テープ心線幅
P ・・・ パターン形成ピッチ
L ・・・ 識別帯形成ピッチ
A ・・・ 識別帯幅
B ・・・ 識別帯長
X ・・・ 光ファイバテープ心線の短手方向
Y ・・・ 光ファイバテープ心線の長手方向
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4