(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】車両通信制御装置、車両通信制御方法及び車両通信制御用コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20240910BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H04M11/00 302
G08G1/13
(21)【出願番号】P 2022009590
(22)【出願日】2022-01-25
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 宏樹
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-088525(JP,A)
【文献】特開2013-115720(JP,A)
【文献】特開2014-033280(JP,A)
【文献】特開2006-186625(JP,A)
【文献】特開2017-085516(JP,A)
【文献】特許第6842142(JP,B1)
【文献】特開2018-190606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
3/048-3/04895
G08G1/00-99/00
H04B7/24-7/26
H04M1/00
1/24-3/00
3/08-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q1/20-1/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる車両通信制御装置であって、
災害情報を取得する災害情報取得部と、
前記車両と情報配信サーバとの間の通信状態を制御する通信制御部と
を備え、
前記通信制御部は、
前記車両が被災地に位置しているときに、該車両と前記情報配信サーバとの間の通信を制限
し、
予め定められた低年齢層又は高年齢層の人が前記車両の乗員に含まれる場合は、該車両が被災地に位置していたとしても、該車両から前記情報配信サーバへの通信については制限しない、
車両通信制御装置。
【請求項2】
前記通信制御部が前記車両から前記情報配信サーバへの通信を制限するときに、該車両の通信が制限されることを該車両の乗員に通知する通知部を更に備える、
請求項1に記載の車両通信制御装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記車両の乗員が該車両の通信制限を許可したときには、該車両から前記情報配信サーバへの通信を制限し、該車両の乗員が該車両の通信制限を拒否したときには、該車両から該情報配信サーバへの通信を制限しない、
請求項1又は2に記載の車両通信制御装置。
【請求項4】
車両の外部に設けられる車両通信制御装置であって、
災害情報を取得する災害情報取得部と、
前記車両と情報配信サーバとの間の通信状態を制御する通信制御部と
を備え、
前記通信制御部は、
被災地に位置している複数の車両に対して、一部の車両と前記情報配信サーバとの間の通信を制限し、残りの車両と該情報配信サーバとの間の通信を制限せず、
被災地の被害度が大きい場合には、被災地の被害度が小さい場合と比べて、前記複数の車両に対する前記一部の車両の割合を高くする、
車両通信制御装置。
【請求項5】
車両の外部に設けられる車両通信制御装置であって、
災害情報を取得する災害情報取得部と、
前記車両と情報配信サーバとの間の通信状態を制御する通信制御部と
を備え、
前記通信制御部は、被災地に位置している複数の車両に対して、一部の車両と前記情報配信サーバとの間の通信を制限し、残りの車両と該情報配信サーバとの間の通信を制限せず、
前記残りの車両は、予め定められた低年齢層若しくは高年齢層の人を乗せている車両又は被害度が所定値以上である車両を含む、
車両通信制御装置。
【請求項6】
前記通信制御部は、
通信を制限する前記車両に対して、該車両から前記情報配信サーバへの通信を制限するよう
に指示する、
請求項4又は5に記載の車両通信制御装置。
【請求項7】
前記通信制御部は、前記車両が被災地に位置しているときに、前記情報配信サーバから該車両への通信を制限する、
請求項4又は5に記載の車両通信制御装置。
【請求項8】
前記残りの車両は緊急車両を含む、
請求項4から7のいずれか1項に記載の車両通信制御装置。
【請求項9】
前記残りの車両は外部給電可能な車両を含む、
請求項4から8のいずれか1項に記載の車両通信制御装置。
【請求項10】
コンピュータにより実行される車両通信制御方法であって、
災害情報を取得することと、
車両が被災地に位置しているときに、該車両と情報配信サーバとの間の通信を制限することと
、
予め定められた低年齢層又は高年齢層の人が前記車両の乗員に含まれる場合は、該車両が被災地に位置していたとしても、該車両から前記情報配信サーバへの通信については制限しないことと、
を含む、車両通信制御方法。
【請求項11】
コンピュータにより実行される車両通信制御方法であって、
災害情報を取得することと、
被災地に位置している複数の車両に対して、一部の車両と情報配信サーバとの間の通信を制限し、残りの車両と該情報配信サーバとの間の通信を制限しないことと、
被災地の被害度が大きい場合には、被災地の被害度が小さい場合と比べて、前記複数の車両に対する前記一部の車両の割合を高くすることと、
を含む、車両通信制御方法。
【請求項12】
コンピュータにより実行される車両通信制御方法であって、
災害情報を取得することと、
被災地に位置している複数の車両に対して、一部の車両と情報配信サーバとの間の通信を制限し、残りの車両と該情報配信サーバとの間の通信を制限しないことと、
を含み、
前記残りの車両は、予め定められた低年齢層若しくは高年齢層の人を乗せている車両又は被害度が所定値以上である車両を含む、
車両通信制御方法。
【請求項13】
災害情報を取得することと、
車両が被災地に位置しているときに、該車両と情報配信サーバとの間の通信を制限することと
、
予め定められた低年齢層又は高年齢層の人が前記車両の乗員に含まれる場合は、該車両が被災地に位置していたとしても、該車両から前記情報配信サーバへの通信については制限しないことと、
をコンピュータに実行させる、車両通信制御用コンピュータプログラム。
【請求項14】
災害情報を取得することと、
被災地に位置している複数の車両に対して、一部の車両と情報配信サーバとの間の通信を制限し、残りの車両と該情報配信サーバとの間の通信を制限しないことと、
被災地の被害度が大きい場合には、被災地の被害度が小さい場合と比べて、前記複数の車両に対する前記一部の車両の割合を高くすることと、
をコンピュータに実行させる、車両通信制御用コンピュータプログラム。
【請求項15】
災害情報を取得することと、
被災地に位置している複数の車両に対して、一部の車両と情報配信サーバとの間の通信を制限し、残りの車両と該情報配信サーバとの間の通信を制限しないことと、
をコンピュータに実行させる、車両通信制御用コンピュータプログラムであって、
前記残りの車両は、予め定められた低年齢層若しくは高年齢層の人を乗せている車両又は被害度が所定値以上である車両を含む、
車両通信制御用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両通信制御装置、車両通信制御方法及び車両通信制御用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、災害に伴う被災地と関連する関連ユーザの通信がネットワークの輻輳により阻害されないように、関連ユーザの通信を関連ユーザ以外の非関連ユーザの通信よりも優先することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、被災地における車両による通信が一切考慮されていない。近年、通信装置を用いて車両の外部と通信する車両、いわゆるコネクテッドカーが普及してきている。被災地において斯かる車両による通信が頻繁に行われると、ネットワークの輻輳が誘発され、スマートフォン等による緊急性の高い通信に支障が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、被災地において車両通信により通信回線が混雑することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0007】
(1)災害情報を取得する災害情報取得部と、車両と情報配信サーバとの間の通信状態を制御する通信制御部とを備え、前記通信制御部は、前記車両が被災地に位置しているときに、該車両と前記情報配信サーバとの間の通信を制限する、車両通信制御装置。
【0008】
(2)当該車両通信制御装置は前記車両に設けられ、前記通信制御部は、前記車両が被災地に位置しているときに、該車両から前記情報配信サーバへの通信を制限する、上記(1)に記載の車両通信制御装置。
【0009】
(3)前記通信制御部が前記車両から前記情報配信サーバへの通信を制限するときに、該車両の通信が制限されることを該車両の乗員に通知する通知部を更に備える、上記(2)に記載の車両通信制御装置。
【0010】
(4)前記通信制御部は、前記車両の乗員が該車両の通信制限を許可したときには、該車両から前記情報配信サーバへの通信を制限し、該車両の乗員が該車両の通信制限を拒否したときには、該車両から該情報配信サーバへの通信を制限しない、上記(2)又は(3)に記載の車両通信制御装置。
【0011】
(5)前記通信制御部は、予め定められた低年齢層又は高年齢層の人が前記車両の乗員に含まれる場合には、該車両が被災地に位置していたとしても、該車両から前記情報配信サーバへの通信を制限しない、上記(2)から(4)のいずれか1つに記載の車両通信制御装置。
【0012】
(6)当該車両通信制御装置は前記車両の外部に設けられている、上記(1)に記載の車両通信制御装置。
【0013】
(7)前記通信制御部は、前記車両が被災地に位置しているときに、該車両から前記情報配信サーバへの通信を制限するように該車両に指示する、上記(6)に記載の車両通信制御装置。
【0014】
(8)前記通信制御部は、前記車両が被災地に位置しているときに、前記情報配信サーバから該車両への通信を制限する、上記(6)又は(7)に記載の車両通信制御装置。
【0015】
(9)前記通信制御部は、被災地に位置している複数の車両に対して、一部の車両と前記情報配信サーバとの間の通信を制限し、残りの車両と該情報配信サーバとの間の通信を制限しない、上記(6)から(8)のいずれか1つに記載の車両通信制御装置。
【0016】
(10)前記通信制御部は、被災地の被害度が大きい場合には、被災地の被害度が小さい場合と比べて、前記複数の車両に対する前記一部の車両の割合を高くする、上記(9)に記載の車両通信制御装置。
【0017】
(11)前記残りの車両は緊急車両を含む、上記(9)又は(10)に記載の車両通信制御装置。
【0018】
(12)前記残りの車両は、予め定められた低年齢層又は高年齢層の人を乗せている車両を含む、上記(9)から(11)のいずれか1つに記載の車両通信制御装置。
【0019】
(13)前記残りの車両は外部給電可能な車両を含む、上記(9)から(12)のいずれか1つに記載の車両通信制御装置。
【0020】
(14)前記残りの車両は、被害度が所定値以上である車両を含む、上記(9)から(13)のいずれか1つに記載の車両通信制御装置。
【0021】
(15)コンピュータにより実行される車両通信制御方法であって、災害情報を取得することと、車両が被災地に位置しているときに、該車両と情報配信サーバとの間の通信を制限することとを含む、車両通信制御方法。
【0022】
(16)災害情報を取得することと、車両が被災地に位置しているときに、該車両と情報配信サーバとの間の通信を制限することとをコンピュータに実行させる、車両通信制御用コンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、被災地において車両通信により通信回線が混雑することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、車両通信システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態における車両の構成を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、情報配信サーバの構成を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、第一実施形態におけるECUのプロセッサの機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、第一実施形態における通信制限処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第二実施形態における通信制限処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、車両の通信制限の許否を車両の乗員に確認するための確認画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第三実施形態における車両の構成を概略的に示す図である。
【
図9】
図9は、第三実施形態における通信制限処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第四実施形態における情報配信サーバのプロセッサの機能ブロック図である。
【
図11】
図11は、第四実施形態における通信制限処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第五実施形態における通信制限処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0026】
<第一実施形態>
最初に、
図1~
図5を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
図1は、車両通信システム1の構成を概略的に示す図である。車両通信システム1は、複数の車両10と、複数の車両10の外部に設けられた情報配信サーバ30とを備える。
【0027】
複数の車両10はそれぞれ同様の構成を有する。車両10は、いわゆるコネクテッドカーであり、車両10の外部と通信可能である。本実施形態では、車両10と情報配信サーバ30とは、インターネット網のような通信ネットワーク40と、通信ネットワーク40に接続された無線基地局50とを介して互いに通信可能である。車両10と無線基地局50との間の通信は無線通信技術(例えば、3G、LTE、4G、5G等)によって行われる。
【0028】
図2は、第一実施形態における車両10の構成を概略的に示す図である。
図2に示されるように、車両10は、GNSS受信機11、ヒューマンマシンインタフェース(HMI:Human Machine Interface)12、通信装置13、地図データベース14及び電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)20を備える。GNSS受信機11、HMI12、通信装置13及び地図データベース14は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワーク等を介してECU20に通信可能に接続されている。
【0029】
GNSS受信機11は、複数(例えば3つ以上)の測位衛星から得られる測位情報に基づいて、車両10の現在位置(例えば車両10の緯度及び経度)を検出する。具体的には、GNSS受信機11は、複数の測位衛星を捕捉し、測位衛星から発信された電波を受信する。そして、GNSS受信機11は、電波の発信時刻と受信時刻との差に基づいて測位衛星までの距離を算出し、測位衛星までの距離及び測位衛星の位置(軌道情報)に基づいて車両10の現在位置を検出する。GNSS受信機11の具体例としてGPS受信機が挙げられる。GNSS受信機11の出力、すなわちGNSS受信機11によって検出された車両10の現在位置はECU20に送信される。
【0030】
HMI12は車両10と車両10の乗員(例えばドライバ)との間で情報の授受を行う。HMI12は、車両10の乗員に情報を出力する出力部(例えば、ディスプレイ、スピーカ、振動ユニット等)と、車両10の乗員によって情報が入力される入力部(例えば、タッチパネル、操作ボタン、操作スイッチ、マイクロフォン等)とを有する。ECU20の出力はHM12を介して車両10の乗員に通知され、車両10の乗員からの入力はHMI12を介してECU20に送信される。HMI12は、入力装置、出力装置又は入出力装置の一例である。なお、車両10の乗員の携帯端末(スマートフォン、タブレット端末等)が、有線又は無線によってECU20と通信可能に接続され、HMI12として機能してもよい。
【0031】
通信装置13は、車両10の外部と通信可能であり、車両10と車両10の外部との通信を可能とする。通信装置13は、例えば、車両10と車両10の外部との広域無線通信を可能とする広域無線通信機(例えばデータ通信モジュール(DCM:Data Communication Module))として構成される。ECU20は通信装置13を用いて車両10の外部(例えば情報配信サーバ30)と通信する。
【0032】
地図データベース14は地図情報を記憶している。ECU20は地図データベース14から地図情報を取得する。なお、地図データベースが車両10の外部(例えば情報配信サーバ30等)に設けられ、ECU20は車両10の外部から地図情報を取得してもよい。
【0033】
ECU20は車両10の各種制御を実行する。
図2に示されるように、ECU20は、通信インターフェース21、メモリ22及びプロセッサ23を備える。通信インターフェース21及びメモリ22は信号線を介してプロセッサ23に接続されている。なお、本実施形態では、一つのECU20が設けられているが、機能毎に複数のECUが設けられていてもよい。
【0034】
通信インターフェース21は、ECU20を車内ネットワークに接続するためのインターフェース回路を有する。ECU20は通信インターフェース21を介して他の車載機器に接続される。通信インターフェース21はECU20の通信部の一例である。
【0035】
メモリ22は、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。メモリ22は、プロセッサ23によって各種処理が実行されるときに使用されるコンピュータプログラム、データ等を記憶する。メモリ22はECU20の記憶部の一例である。
【0036】
プロセッサ23は一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。なお、プロセッサ23は、論理演算ユニット、数値演算ユニット又はグラフィック処理ユニットのような他の演算回路を更に有していてもよい。
【0037】
図3は、情報配信サーバ30の構成を概略的に示す図である。情報配信サーバ30は、通信インターフェース31、ストレージ装置32、メモリ33及びプロセッサ34を備える。通信インターフェース31、ストレージ装置32及びメモリ33は、信号線を介してプロセッサ34に接続されている。なお、情報配信サーバ30は、キーボード及びマウスのような入力装置、ディスプレイのような出力装置等を更に備えていてもよい。また、情報配信サーバ30は複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0038】
通信インターフェース31は、情報配信サーバ30を通信ネットワーク40に接続するためのインターフェース回路を有する。情報配信サーバ30は通信ネットワーク40を介して車両10と通信する。通信インターフェース31は情報配信サーバ30の通信部の一例である。
【0039】
ストレージ装置32は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SDD)又は光記録媒体及びそのアクセス装置を有する。ストレージ装置32は、各種データを記憶し、例えば、車両10の情報(識別情報、位置情報等)、プロセッサ34が各種処理を実行するためのコンピュータプログラム等を記憶する。ストレージ装置32は情報配信サーバ30の記憶部の一例である。
【0040】
メモリ33は不揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)を有する。メモリ33は、例えばプロセッサ34によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を一時的に記憶する。メモリ33は情報配信サーバ30の記憶部の別の一例である。
【0041】
プロセッサ34は、一つ又は複数のCPU及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ34は、論理演算ユニット、数値演算ユニット又はグラフィック処理ユニットのような他の演算回路を更に有していてもよい。プロセッサ34は情報配信サーバ30の制御部の一例である。
【0042】
情報配信サーバ30は、複数の車両10の各々と通信可能であり、複数の車両10の各々に情報を配信する。例えば、情報配信サーバ30は車両10からの要求信号等に応じて各種情報を車両10に送信する。このことによって、車両10の乗員は車両10の走行中に車両10の外部から有意義な情報を取得することができる。
【0043】
しかしながら、車両10が走行しているエリアにおいて災害が発生した場合には、避難情報の取得や安否確認のためにそのエリアにおける通信量が急激に高まる。このため、このような場合に車両10による通信が頻繁に行われると、ネットワークの輻輳が誘発され、スマートフォン等による緊急性の高い通信に支障が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、車両通信制御装置によって、災害が発生した被災地において、車両10と情報配信サーバ30との間の通信を制限する。
【0044】
本実施形態では、車両通信制御装置が車両10に設けられ、車両10のECU20が車両通信制御装置として機能する。
図4は、第一実施形態におけるECU20のプロセッサ23の機能ブロック図である。本実施形態では、プロセッサ23は、災害情報取得部25、通信制御部26及び通知部27を有する。災害情報取得部25、通信制御部26及び通知部27は、ECU20のメモリ22に記憶されたコンピュータプログラムをECU20のプロセッサ23が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、これら機能モジュールは、プロセッサ23に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0045】
災害情報取得部25は災害情報を取得する。災害情報には、天災(地震、台風、噴火、洪水、津波、豪雨、豪雪等)及び人災(交通事故、大規模停電等)に関する情報(災害の種類、被害度、発生エリア等)が含まれる。例えば、災害情報取得部25は車両10の外部(例えば、気象庁又は国土交通省のような公的機関、電力会社、情報配信サーバ30等)から災害情報を受信することによって災害情報を取得する。なお、災害情報取得部25は、車両10に設けられた検出装置(例えば、カメラ、加速度センサ等)の出力に基づいて災害を検出することによって災害情報を取得してもよい。
【0046】
通信制御部26は車両10と情報配信サーバ30との間の通信状態を制御する。例えば、通信制御部26は、車両10が、災害が発生したエリア、すなわち被災地に位置しているときに、車両10と情報配信サーバ30との間の通信を制限する。このことによって、被災地において車両通信により通信回線が混雑することを抑制することができ、ひいては被災地においてネットワークの輻輳が発生することを低減することができる。
【0047】
通知部27は、通信制御部26が車両10から情報配信サーバ30への通信を制限するときに、車両10の通信機能が制限されることを車両10の乗員に通知する。このことによって、災害の発生により車両10の通信機能が意図的に制限されていること、すなわち車両10の通信機能の低下の原因が故障等の不具合ではないことを車両10の乗員に認識させることができる。
【0048】
以下、
図5のフローチャートを用いて、上述した制御の処理フローについて説明する。
図5は、第一実施形態における通信制限処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、ECU20のメモリ22に記憶されたコンピュータプログラムに従ってECU20のプロセッサ23によって実行される。
【0049】
最初に、ステップS101において、通信制御部26は、車両10の現在位置に関する災害情報が災害情報取得部25によって取得されたか否かを判定する。例えば、通信制御部26は、GNSS受信機11によって検出された車両10の現在位置と、災害情報によって示される被災地の位置とを照合することによってこの判定を行う。車両10の現在位置が被災地の範囲に含まれない場合には、ステップS101の判定が否定され、本制御ルーチンは終了する。一方、車両10の現在位置が被災地の範囲に含まれる場合には、ステップS101の判定が肯定され、本制御ルーチンはステップS102に進む。なお、災害情報取得部25が災害を検出することによって災害情報を取得する場合には、災害が検出されたときにステップS101の判定が肯定される。
【0050】
ステップS102では、通信制御部26は車両10と情報配信サーバ30との間の通信を制限する。本実施形態では、通信制御部26は車両10から情報配信サーバ30への通信を制限する。例えば、通信制御部26は、車両10から情報配信サーバ30へ車両情報(車両10の位置情報等)が定期的に送信される場合に、車両10から情報配信サーバ30への通信頻度、又は車両10から情報配信サーバ30に送信されるデータの通信速度若しくは通信量を低下させる。また、通信制御部26は、車両10の乗員が情報の取得を要求したときに、車両10から情報配信サーバ30に送信されるデータの通信速度又は通信量を低下させてもよい。また、通信制御部26は、車両10から情報配信サーバ30への通信を制限するときに、車両10から情報配信サーバ30への通信を停止してもよい。
【0051】
次いで、ステップS103において、通知部27は、HMI12を介して、車両10の通信が制限されることを車両10の乗員に通知する。例えば、通知部27は、車両10の通信制限を示す文字情報、例えば「災害発生により車両通信を制限します。」のような文字をHMI12に表示する。なお、通知部27は、文字情報に加えて又は文字情報の代わりに、車両10の通信制限を示す音声情報をHMI12に出力させてもよい。すなわち、通知部27はHMI12を介して車両10の通信制限を車両10の乗員に視覚的又は聴覚的に通知する。ステップS103の後、本制御ルーチンは終了する。
【0052】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る車両通信制御装置の構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る車両通信制御装置の構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0053】
車両10の乗員が車両10以外の通信手段を有していない場合には、災害発生時に車両通信によって避難情報等を取得することが考えられる。したがって、災害が発生した場合であっても、車両10の乗員の希望に応じて車両通信の安定性を確保できることが望ましい。
【0054】
そこで、第二実施形態では、通信制御部26は、車両10の乗員が車両10の通信制限を許可したときには、車両10から情報配信サーバ30への通信を制限し、車両10の乗員が車両10の通信制限を拒否したときには、車両10から情報配信サーバ30への通信を制限しない。このことによって、災害発生時に車両10の乗員の通信手段が無くなることを回避することができる。
【0055】
図6は、第二実施形態における通信制限処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、ECU20のメモリ22に記憶されたコンピュータプログラムに従ってECU20のプロセッサ23によって実行される。
【0056】
最初に、ステップS201において、
図5のステップS101と同様に、通信制御部26は、車両10の現在位置に関する災害情報が災害情報取得部25によって取得されたか否かを判定する。災害情報が取得されていないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、災害情報が取得されたと判定された場合、本制御ルーチンはステップS202に進む。
【0057】
ステップS202では、通知部27は、HMI12を介して、車両10の通信制限の許否を車両10の乗員に確認する。例えば、通知部27は、
図7に示されるような確認画面をHMI12に表示する。
【0058】
次いで、ステップS203において、通信制御部26は、車両10の乗員によって車両10の通信制限が許可されたか否かを判定する。車両10の通信制限が拒否されたと判定された場合、例えば
図7の確認画面においてNoが選択された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、車両10の通信制限が許可されたと判定された場合、例えば
図7の確認画面においてYesが選択された場合、本制御ルーチンはステップS204に進む。
【0059】
ステップS204では、
図5のステップS102と同様に、通信制御部26は車両10から情報配信サーバ30への通信を制限する。次いで、ステップS205において、
図5のステップS103と同様に、通知部27は、HMI12を介して、車両10の通信が制限されることを車両10の乗員に通知する。ステップS205の後、本制御ルーチンは終了する。
【0060】
<第三実施形態>
第三実施形態に係る車両通信制御装置の構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る車両通信制御装置の構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第三実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0061】
図8は、第三実施形態における車両10’の構成を概略的に示す図である。第三実施形態では、車両10’は車内カメラ15を更に備える。車内カメラ15は、CAN等の規格に準拠した車内ネットワーク等を介してECU20に通信可能に接続されている。
【0062】
車内カメラ15は、車両10’の乗員を撮影するように車両10’の内部に設けられ、車両10’の乗員の画像を生成する。車内カメラ15の出力、すなわち車内カメラ15によって生成された車両10’の乗員の画像はECU20に送信される。
【0063】
ところで、赤子、幼児又は高齢者のような体力が不十分な人が車両10の乗員に含まれる場合、災害発生時の避難が困難になることが予想される。このため、体力が不十分な人を乗せている車両に対して、通信手段を確保して避難情報を優先的に提供することが望ましい。
【0064】
そこで、第三実施形態では、通信制御部26は、予め定められた低年齢層又は高年齢層の人が車両10’の乗員に含まれる場合には、車両10’が被災地に位置していたとしても、車両10’から情報配信サーバ30への通信を制限しない。このことによって、災害発生時に体力が不十分な人の安全を確保しつつ、車両通信により通信回線が混雑することを抑制することができる。
【0065】
図9は、第三実施形態における通信制限処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、ECU20のメモリ22に記憶されたコンピュータプログラムに従ってECU20のプロセッサ23によって実行される。
【0066】
最初に、ステップS301において、
図5のステップS101と同様に、通信制御部26は、車両10’の現在位置に関する災害情報が災害情報取得部25によって取得されたか否かを判定する。災害情報が取得されていないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、災害情報が取得されたと判定された場合、本制御ルーチンはステップS302に進む。
【0067】
ステップS302では、通信制御部26は車両10’の乗員の年齢を取得する。例えば、通信制御部26は、車内カメラ15によって生成された車両10’の乗員の画像から乗員の推定年齢を出力するように予め学習された識別器を用いて車両10’の乗員の年齢を取得する。斯かる識別器の一例として、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト等の機械学習モデルが挙げられる。なお、車内カメラ15が省略され、通信制御部26は、車両10’の乗員によってHMI12に入力された乗員情報から車両10’の乗員の年齢を取得してもよい。
【0068】
次いで、ステップS303において、通信制御部26は、車両10’の乗員に低年齢層又は高年齢層の人が含まれるか否かを判定する。低年齢層は、予め定められ、例えば6歳以下の年齢に設定される。高年齢層は、予め定められ、例えば65歳以上の年齢に設定される。車両10’の乗員に低年齢層又は高年齢層の人が含まれると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、車両10’の乗員に低年齢層及び高年齢層の人が含まれないと判定された場合、本制御ルーチンはステップS304に進む。
【0069】
ステップS304では、
図5のステップS102と同様に、通信制御部26は車両10’から情報配信サーバ30への通信を制限する。次いで、ステップS305において、
図5のステップS103と同様に、通知部27は、HMI12を介して、車両10’の通信が制限されることを車両10’の乗員に通知する。ステップS305の後、本制御ルーチンは終了する。
【0070】
<第四実施形態>
第四実施形態に係る車両通信制御装置の構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る車両通信制御装置の構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第四実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0071】
第四実施形態では、第一実施形態とは異なり、車両通信制御装置は車両10の外部に設けられる。具体的には、情報配信サーバ30が、車両通信制御装置として機能し、被災地に位置する車両10と情報配信サーバ30との間の通信を制限する。
【0072】
図10は、第四実施形態における情報配信サーバ30のプロセッサ34の機能ブロック図である。第四実施形態では、プロセッサ34は災害情報取得部35及び通信制御部36を有する。災害情報取得部35及び通信制御部36は、情報配信サーバ30のメモリ33に記憶されたコンピュータプログラムを情報配信サーバ30のプロセッサ34が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、これら機能モジュールは、プロセッサ34に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0073】
災害情報取得部35は災害情報を取得する。例えば、災害情報取得部35は情報配信サーバ30の外部(例えば、気象庁又は国土交通省のような公的機関、電力会社、車両10等)から災害情報を受信することによって災害情報を取得する。なお、災害情報取得部35は、オペレータ等による情報配信サーバ30への入力に基づいて災害情報を取得してもよい。
【0074】
通信制御部36は車両10と情報配信サーバ30との間の通信状態を制御する。例えば、通信制御部36は、車両10が、災害が発生したエリア、すなわち被災地に位置しているときに、車両10と情報配信サーバ30との間の通信を制限する。具体的には、通信制御部36は、車両10が被災地に位置しているときに、車両10から情報配信サーバ30への通信を制限するように車両10に指示する。このことによって、被災地において車両通信により通信回線が混雑することを抑制することができ、ひいては被災地においてネットワークの輻輳が発生することを低減することができる。
【0075】
以下、
図11のフローチャートを用いて、上述した制御の処理フローについて説明する。
図11は、第四実施形態における通信制限処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、情報配信サーバ30のメモリ33に記憶されたコンピュータプログラムに従って情報配信サーバ30のプロセッサ34によって実行される。
【0076】
最初に、ステップS401において、通信制御部36は、災害情報取得部35によって災害情報が取得されたか否かを判定する。災害情報が取得されていないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、災害情報が取得されたと判定された場合、本制御ルーチンはステップS402に進む。
【0077】
ステップS402では、通信制御部36は、被災地に位置する車両10を特定する。例えば、通信制御部36は、複数の車両10の各々について、車両10から情報配信サーバ30に定期的に送信される車両10の現在位置と、災害情報によって示される被災地の位置とを照合することによって、車両10が被災地に位置しているか否かを判定する。
【0078】
次いで、ステップS403において、通信制御部36は、通信ネットワーク40及び無線基地局50を介して、被災地に位置する車両10に、車両10から情報配信サーバ30への通信を制限するように指示する。この結果、通信制限の指示を受信した車両10のECU20は車両10から情報配信サーバ30への通信を制限する。例えば、ECU20は、車両10から情報配信サーバ30へ車両情報(車両10の位置情報等)が定期的に送信される場合に、車両10から情報配信サーバ30への通信頻度、又は車両10から情報配信サーバ30に送信されるデータの通信速度若しくは通信量を低下させる。また、ECU20は、車両10の乗員が情報の取得を要求したときに、車両10から情報配信サーバ30に送信されるデータの通信速度又は通信量を低下させてもよい。また、ECU20は、車両10から情報配信サーバ30への通信を制限するときに、車両10から情報配信サーバ30への通信を停止してもよい。ステップS403の後、本制御ルーチンは終了する。
【0079】
なお、通信制御部36は、車両10が被災地に位置しているときに、情報配信サーバ30から車両10への通信を制限してもよい。この場合、ステップS403において、通信制御部36は、車両10への通信制限の指示の代わりに又は車両10への通信制限の指示に加えて、情報配信サーバ30から被災地に位置する車両10への通信を制限する。例えば、通信制御部36は、車両10からの要求等に応じて情報を車両10に送信するときに、情報配信サーバ30から車両10に送信されるデータの通信速度又は通信量を低下させる。
【0080】
<第五実施形態>
第五実施形態に係る車両通信制御装置の構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第四実施形態に係る車両通信制御装置の構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第五実施形態について、第四実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0081】
車両10が被災地に位置している場合であっても、被災地における避難又は救援活動のために車両10の通信機能を維持すべき状況があり得る。このため、第五実施形態では、通信制御部36は、被災地に位置している複数の車両10に対して、一部の車両10(通信制限の対象車両)と情報配信サーバ30との間の通信を制限し、残りの車両10(通信制限の非対象車両)と情報配信サーバ30との間の通信を制限しない。このことによって、車両通信の制限によって被災地における避難又は救援活動に支障が生じることを抑制することができる。
【0082】
図12は、第五実施形態における通信制限処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、情報配信サーバ30のメモリ33に記憶されたコンピュータプログラムに従って情報配信サーバ30のプロセッサ34によって実行される。
【0083】
最初に、ステップS501において、
図11のステップS401と同様に、通信制御部36は、災害情報取得部35によって災害情報が取得されたか否かを判定する。災害情報が取得されていないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、災害情報が取得されたと判定された場合、本制御ルーチンはステップS502に進む。
【0084】
ステップS502では、
図11のステップS402と同様に、通信制御部36は、被災地に位置する車両10を特定する。
【0085】
次いで、ステップS503において、通信制御部36は、車両10から情報配信サーバ30に送信された車両情報(現在位置、車種、乗員の年齢等)に基づいて、被災地に位置する車両10の中から通信制限の非対象車両を選択する。例えば、被災地において安定した車両通信を行う必要がある緊急車両が非対象車両として選択される。このことによって、被災地において緊急車両の通信機能が低下することを抑制することができる。緊急車両は、道路交通法等によって定められた車両であり、例えば、消防用自動車、救急用自動車、災害復旧作業車、ドクターカー、レッカー車等を含む。
【0086】
また、非対象車両として、低年齢層又は高年齢層の人を乗せている車両が選択されてもよい。このことによって、体力が不十分な人に車両通信によって優先的に情報を提供することができる。低年齢層は、予め定められ、例えば6歳以下の年齢に設定される。高年齢層は、予め定められ、例えば65歳以上の年齢に設定される。
【0087】
また、非対象車両として、外部給電可能な車両(例えば、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCEV)等)が選択されてもよい。このことによって、車両通信によって斯かる車両に給電指示等を送信することが可能となり、被災地における救援活動を促進することができる。
【0088】
また、非対象車両として、被害度が所定値以上である車両が選択されてもよい。このことによって、被害度が大きい車両に車両通信によって優先的に情報を提供することができる。例えば、災害が地震である場合には、震度が所定値(例えば震度6)以上である範囲に位置する車両の被害度が所定値以上であると判定される。また、災害が台風である場合には、風速(10分間平均)が所定値(例えば33m/s)以上である範囲に位置する車両の被害度が所定値以上であると判定される。また、車両の現在位置が所定時間以上変化していない場合に、その車両の被害度が所定値以上であると判定されてもよい。
【0089】
ステップS503の後、ステップS504において、通信制御部36は、通信ネットワーク40及び無線基地局50を介して、通信制限の対象車両、すなわち被災地に位置している複数の車両10から非対象車両を除いた車両10に、車両10から情報配信サーバ30への通信を制限するように指示する。この結果、通信制限の指示を受信した車両10のECU20は車両10から情報配信サーバ30への通信を制限する。ステップS504の後、本制御ルーチンは終了する。
【0090】
なお、被災地の被害度が大きい場合には、被災地の被害度が小さい場合と比べて、通信の過度な集中、停電等によりネットワークの輻輳がより発生しやすくなる。このため、通信制御部36は、被災地の被害度が大きい場合には、被災地の被害度が小さい場合と比べて、被災地に位置している複数の車両10に対する通信制限の対象車両の割合を高くしてもよい。このことによって、被災地の被害度に応じた適切な量の車両に対して通信制限を適用することができる。
【0091】
また、ステップS504において、通信制御部36は、対象車両への通信制限の指示の代わりに又は対象車両への通信制限の指示に加えて、情報配信サーバ30から対象車両への通信を制限してもよい。例えば、通信制御部36は、対象車両からの要求等に応じて情報を対象車両に送信するときに、情報配信サーバ30から対象車両に送信されるデータの通信速度又は通信量を低下させる。
【0092】
<その他の実施形態>
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、第四実施形態又は第五実施形態において、情報配信サーバ30とは異なるサーバが車両通信制御装置として機能してもよい。
【0093】
また、ECU20のプロセッサ23又は情報配信サーバ30のプロセッサ34が有する各部の機能をコンピュータに実現させるコンピュータプログラムは、コンピュータによって読取り可能な記録媒体に記憶された形で提供されてもよい。コンピュータによって読取り可能な記録媒体は、例えば、磁気記録媒体、光記録媒体、又は半導体メモリである。
【0094】
また、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施可能である。例えば、第二実施形態と第三実施形態とが組み合わされる場合、
図9の制御ルーチンにおいて、ステップS303とステップS304との間に
図6のステップS202及びS203が実行される。
【符号の説明】
【0095】
10、10’ 車両
20 電子制御ユニット(ECU)
23 プロセッサ
25 災害情報取得部
26 通信制御部
30 情報配信サーバ
34 プロセッサ
35 災害情報取得部
36 通信制御部